説明

タクシー経路検索システム

【課題】
所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供すること。
【解決手段】
本発明に係るタクシー経路検索システムは、タクシーに設置される車載端末200と、複数の車載端末200と接続されたナビゲータサーバ300と、車載端末200が設置されたタクシーの各地点の予想通過時刻を含む経路情報を記憶する車両情報記憶手段308とを有する車両経路検索システムであって、所定の時刻以降の走行経路が所定の位置から一定の範囲内であるタクシーを車両情報記憶手段308から抽出する車両検索手段305と、車両検索手段によって抽出されたタクシーの情報をユーザ端末100へ送信する通信部302とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタクシー経路検索システムに関し、特に携帯電話端末を利用した空車状態のタクシーの経路検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タクシーを利用する場合、路上を走行している空車状態のタクシーに乗車する、タクシー乗り場で乗車する、タクシー会社に連絡をとり配車要求をする等の方法が一般的である。しかしながら、所望のタイミングで確実に且つ効率的にタクシーを利用するためにはこれらの方法だけでは不完全である。
【0003】
即ち、路上で空車状態のタクシーを探す場合、タイミング良く空車状態のタクシーが通るとは限らないため、無駄な待ち時間を過ごしてしまう可能性がある。また、タクシー乗り場は、限定された場所にしかないため所望のタイミングでタクシーを利用可能とは限らない。更に、タクシー会社に配車要求を行っても、タクシーが到着するまでに時間がかかる場合がある。
【0004】
このような問題に対し、特許文献1ではタクシーの情報提供支援システムが開示されている。特許文献1に係るタクシーの情報提供支援システムによれば、ユーザは携帯電話端末を用いて、自己の現在位置から所定の範囲内に存在するタクシーの位置を確認できる。現在位置付近にタクシーが存在する場合は、その位置まで移動してタクシーに乗車することができる。
【特許文献1】特開2002−222245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配車要求によりタクシーに乗車する場合迎車料金による課金があり、ユーザは路上で空車状態のタクシーに乗車する場合よりも高い金額を払う必要がある。配車要求によらなければタクシーに乗車できないような状態であれば、この様な課金も止むを得ないが、ユーザが配車要求を行った後に、当該ユーザの近傍を空車状態のタクシーが通過する場合等もあり、非効率であった。
【0006】
また、特許文献1に係る情報提供支援システムを用いた場合でも、ユーザの現在位置近傍に存在するタクシーがどの方向へ走行中かを知ることはできず、課題を完全に解決するには至らない。例えばユーザの現在位置近傍に存在するタクシーがユーザの現在位置とは反対の方向へ走行中の場合、情報配信時にユーザの現在位置近傍に存在したとしても、ユーザの現在位置から遠ざかっていくため、ユーザがそのタクシーに乗車することは略不可能である。
【0007】
本発明はこの様な問題を解決するためになされたものであり、所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタクシー経路検索システムは、タクシーに設置される車載端末と、複数の前記車載端末と接続されたナビゲータサーバと、前記車載端末が設置されたタクシーの各地点の予想通過時刻を含む経路情報を記憶する車両情報記憶手段とを有するタクシー経路検索システムであって、所定の時刻以降の走行経路が所定の位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出する車両検索手段と、前記車両検索手段によって抽出されたタクシーの情報をユーザ端末へ送信する手段とを有する。これにより、所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供することができる。
【0009】
他方、本発明に係るタクシー経路検索システムは、タクシーに設置される車載端末と、複数の前記車載端末と接続されたナビゲータサーバと、前記車載端末が設置されたタクシーの走行位置情報、前記走行位置を走行時の時刻情報、目的地情報及び前記走行位置から前記目的地までの経路情報を含む車両情報を記憶する車両情報記憶手段とを有するタクシー経路検索システムであって、前記走行位置情報及び前記目的地情報から最適な経路を選択し当該経路の各地点の予想通過時刻を算出して経路情報を生成する経路決定手段と、前記経路決定手段によって生成された経路情報を前記車両情報記憶手段に登録する車両情報登録手段と、ユーザ端末から所定の位置を特定する位置情報を含む検索条件情報を受信し、少なくとも当該検索条件情報受信時以降の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出する車両検索手段とを有する。これにより、所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供することができる。
【0010】
好適には、前記検索条件情報に含まれる位置情報は前記ユーザ端末の現在位置であり、前記ユーザ端末はGPSを利用する現在位置取得手段を有し、前記ユーザ端末の現在位置情報は当該手段により取得される。これにより、ユーザ及びユーザ端末の位置を高精度に特定することができる。
【0011】
同様に、前記車載装置はGPS(衛星利用測位システム)を利用する現在位置取得手段を有し、前記走行位置情報は当該手段により取得される。これにより、タクシーの位置を高精度に特定することができる。
【0012】
ここで、少なくとも道路の渋滞情報を含む交通情報を記憶する交通情報記憶手段を更に有し、前記経路決定手段は最適な経路を決定する際に前記交通情報記憶手段に記憶された情報をも参照することが好ましい。これにより、渋滞等が発生している場合でも真に最適な経路を検索することができる。
【0013】
また、前記検索条件情報は待機可能時間を示す待機可能時間情報を含み、前記車両検索手段は前記ユーザ端末から受信した検索条件受信時以降であって当該待機可能時間情報に示される時間以内の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出することが好ましい。これにより、配車要求の要否を的確に判断できる。
【0014】
更に、前記検索条件情報はユーザの移動可能距離を示す移動可能距離情報を含み、前記車両検索手段は前記ユーザ端末から受信した検索条件受信時以降の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から前記移動可能距離の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出することが好ましい。これにより、抽出する条件を更に詳細に設定することができる。
【0015】
また、前記ユーザ端末及び当該ユーザ端末を利用するユーザの情報を管理するためのユーザ管理情報を記憶するユーザ管理情報記憶手段を更に有し、当該タクシー経路検索システムの利用に当たってはユーザ管理情報記憶手段へのユーザ情報の登録が必要であることが好ましい。これにより、当該システムの不正な利用を低減し、また、ユーザの多い地域の統計を取ることができる。
【0016】
更に、前記車両検索手段が抽出したタクシーの経路及び当該経路の各地点の予想通過時刻が表示された地図の画像である地図情報を生成する地図情報生成手段を更に有することが好ましい。これにより、タクシーの通過位置を視覚的に表示し、地理情報に詳しくないユーザでもタクシーの通過位置を知ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。本実施形態においてはタクシー経路検索システムの例として、空車状態で走行中のタクシーの走行経路及び当該経路中の地点の予想通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを説明する。図1は本実施形態に係るタクシー経路情報検索システムの全体を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るタクシー経路情報検索システムは、ユーザ端末100、車載端末200、ナビゲータサーバ300及び通信網400を有する。
【0019】
ユーザ端末100はユーザが携帯可能である通信端末であり、通信網400と無線通信可能な携帯電話端末、PDA、ノート型パソコン等が用いられる。ユーザ端末100の内部構成を図2に示すブロック図を用いて説明する。図2に示すように、本実施形態に係るユーザ端末100は、無線部101、表示部102、操作部103、測位部104、音声処理部105、受話スピーカ106、マイク107、スピーカ108、記憶部109、制御部110、無線アンテナ111及び測位アンテナ112を有する。
【0020】
無線部101は無線アンテナ111を介して図示しない無線基地局との間で無線通信を行い、以って通信網400との情報送受信を可能とする。無線部101が通信網400を介してナビゲータサーバ300と情報通信を行う。表示部102はテキストや画像等の視覚的出力部である。操作部103はユーザが情報入力や操作を行うインターフェースであり、テンキー、スクロールキー及び決定キー等から構成される。測位部104は測位アンテナ112を介して図示しないGPS(Global Positioning System)衛星との通信を可能とし、ユーザ端末100の現在位置を測定する。詳細には、GPS衛星から発射された電波がユーザ端末100に到達するまでの時間を測定し、この時間差に光速度を乗じることでGPS衛星とユーザ端末100との距離を求め、この距離を利用して位置座標を未知数とした方程式を解くことによりユーザ端末100の位置座標を求める。
【0021】
音声処理部105は通話時の音声の符号化又は復号化等の処理を行う。受話スピーカ106及びマイク107は通話において用いる受話部及びマイクである。スピーカ108は着信音や音楽等の音声を出力する。記憶部109はアドレス情報、送受信メール情報、発着呼情報、携帯電話端末の各種設定、プログラム情報などを記憶している。制御部110は、ユーザ端末100全体の動作を制御し、電話機能、web接続機能、メール送受信、測位機能等、各部の制御を行う。
【0022】
車載端末200は、タクシー内に設置され、現在位置情報、目的位置情報、車両情報をナビゲータサーバ300へ送信し、ナビゲータサーバ300から経路情報を受信し、表示する機能を備えた情報処理装置である。車載端末200の内部構成を図3に示すブロック図を用いて説明する。図3に示すように、本実施形態に係る車載端末200は、無線部201、表示部202、操作部203、測位部204、スピーカ205、記憶部206、制御部207、無線アンテナ208及び測位アンテナ209を有する。
【0023】
無線部201は無線アンテナ208を介して図示しない無線基地局との間で無線通信を行い、以って通信網400との情報送受信を可能とする。無線部201が通信網400を介してナビゲータサーバ300と情報通信を行う。表示部202はテキストや画像等の視覚的出力部であり、主に、当該車載端末200が設置されている車輌が走行している地域の地図等が表示される。操作部203はユーザが情報入力や操作を行うインターフェースであり、各種の操作ボタンや表示ディスプレイ上のタッチパネル方式により実現される。
【0024】
測位部204はユーザ端末100に含まれる測位部104と同様に測位アンテナ209を介して当該車載端末200の現在位置を測定する。スピーカ205は車載端末200からの音声出力部であり、経路情報の音声案内等が出力される。記憶部206は地図の画像情報、ナビゲータサーバ300から受信した経路情報、車載端末200にプログラム情報等を記憶している。制御部207は、車載端末200全体の動作を制御し、測位機能、通信機能、経路検索機能等の各部の制御を行なう。
【0025】
ナビゲータサーバ300は、制御部301、通信部302、記憶部303、経路決定部304、車両検索部305及び情報登録部306を有し、利用者情報DB(データベース)307、車両情報DB308及び交通情報DB309と接続されている。但し、利用者情報DB307、車両情報DB308及び交通情報DB309はナビゲータサーバ300内に含まれても良い。制御部301はナビゲータサーバ300全体の動作を制御する。通信部302は通信網400を介して情報通信を行う。記憶部303は、ナビゲータサーバ300内で動作するプログラムや地図の画像情報及び各地の経路情報等、各種の情報を記憶する。
【0026】
経路決定部304は車載端末200が設置されているタクシーの現在位置情報及び目的地情報に基づき、交通情報DB309を参照して現在位置から目的地までの最適な経路を決定する。車両検索部305は、ユーザ端末100から入力された現在地情報を含む検索条件情報に基づき、車両情報DB308から好適な車両情報を抽出する。情報登録部306は、利用者情報DB307、車両情報DB308及び交通情報DB309に情報を登録する。
【0027】
利用者情報DB307はユーザ端末100の所有者であるユーザを個別に識別するIDをはじめとしたユーザの情報や、ユーザ端末100を個別に識別する情報等を記憶している。車両情報DB308は車載端末200及び車載端末200が設置されたタクシーを個別に識別するIDや車種(タクシー会社情報等)、そして当該タクシーの走行位置情報、当該走行位置登録時の時刻情報、目的地情報、経路情報及び実車/空車情報を随時更新しながら記憶している。交通情報DB309は道路の渋滞状況や工事中の情報等を随時更新しながら記憶している。これらのデータベースの管理及び制御は各データベースが個別に行なっても良いし、ナビゲータサーバ300が行なっても良い。また、図示しない制御装置若しくはサーバにより管理されても良い。
【0028】
ナビゲータサーバ300はユーザ端末100から現在位置情報を受信し、その現在位置周辺を走行しているタクシーの走行経路情報及び通過時刻情報をユーザ端末100に送信する。また、車載端末200から現在位置情報及び目的地情報を受信し、最適な経路を検索し、検索結果を経路情報として車載端末200へ送信する。この時、車両情報DB308に現在位置情報、目的地情報、経路情報及び情報登録時間等が記憶される。通信網400は電話回線やインターネット網からなる双方向通信可能な通信回線であり、通信網400を介してユーザ端末100、ナビゲータサーバ300、車載端末200がそれぞれ相互に通信可能となる。
【0029】
次に本実施形態に係るタクシー経路検索システムの動作について説明する。まず、図4、5を用いて車載端末200が経路情報を獲得し、同時に車両情報DB308に経路情報が登録される動作を説明する。図4においては、利用者情報DB307、車両情報DB308及び交通情報DB309をまとめてDB群とする。
【0030】
まず、車載端末200が現在位置情報及び目的地情報をナビゲータサーバ300へ送信する(S401)。この時送信される現在位置情報は測位部204により測定された位置又は当該車載端末200が設置されたタクシーのドライバーが任意に入力した位置であり、目的地情報は車載端末200が設置されたタクシーのドライバーが任意に入力した位置である。ナビゲータサーバ300が車載端末200から現在位置情報及び目的地情報を受信すると、経路決定部304は該当する地域及び日時を検索キーとして交通情報DB309を検索する(S402)。
【0031】
交通情報DB309は検索キーに該当する地域及び日時の交通情報を検索結果としてナビゲータサーバ300に送信し(S403)、経路決定部304は受信した交通情報、車載端末200から受信した現在位置情報及び目的地情報に基づき、現在位置情報から目的地情報までの最適な経路を決定する(S404)。この様に、交通情報DB309に格納された交通情報をも参照して経路を検索することにより、最適な経路を特定することができる。こうして生成された最適な経路を示す経路情報を、通信部302が車載端末200へ送信する(S405)。更に、ナビゲータサーバ300では、情報登録部306が車載端末200へ送信した経路情報で車両情報DB308を更新する(S406)。他方、車載端末200は受信した経路情報を表示部202に表示する(S407)。
【0032】
図5に、表示部202に表示される経路情報の例を示す。図5において、黒点は車載端末200が設置されたタクシーの現在位置であり、矢印の先端が目的地である。図に示すように、現在位置から目的地までの最適な経路が点線で示され、右左折時や、交差点通過時及び目的地到着時等の要所の予定時刻が表示される。これらの算出された予定時刻は経路情報に予め含まれても、表示部202に経路情報が表示される際に車載端末200が計算しても良いが、車載端末200が計算した方がよりタイムラグを低減できる。各地の予定時刻を車載端末200が計算する場合においても、ナビゲータサーバ300にて生成される経路情報にはこれらの時刻情報が含まれており、情報登録部306が車両情報DB308を経路情報を用いて更新する際に、同時にこれらの情報も登録される。また、表示部202においては、予定時刻の表示有無を切換可能としても良い。
【0033】
次に、ユーザがユーザ端末100を用いて走行中のタクシーの経路情報及び通過時刻を検索する動作を図6に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザ端末100からナビゲータサーバ300へログイン画面の送信を要求する(S601)。ログイン画面の送信要求を受けたナビゲータサーバ300はログイン画面をユーザ端末100へ送信する(S602)。ユーザ端末100が受信したログイン画面はユーザ端末100の表示部102に表示される。表示部102に表示されたログイン画面に対し、ユーザによりユーザ固有のIDとパスワード(PW)が入力され、ユーザ端末100が当該ID及びPWをナビゲータサーバ300へ送信する(S603)。
【0034】
ナビゲータサーバ300はユーザ端末100から受信したID及びPWを利用者情報DB307に送信する(S604)。利用者情報DB307は登録されている情報と受信したID及びパスワードとを照合し、照合結果をナビゲータサーバ300へ送信する(S605)。ナビゲータサーバ300は、照合結果を用いて認証結果判断を行い(S606)、認証OKであればユーザ端末100へ情報要求画面を送信する(S607)。利用者情報DB307に格納された情報とID及びPWが一致しない場合、認証失敗としてユーザ端末100へ再度ログイン画面を送信する(S602)。
【0035】
ユーザ端末100は情報要求画面を受信したら当該情報要求画面を表示部102に表示する。表示部102に表示された情報要求画面に従って、ユーザは現在位置、待機可能時間(待機時間)及び希望車種を含む検索条件情報を入力し、ユーザ端末100が検索条件情報をナビゲータサーバ300へ送信する(S608)。ここで、検索条件情報はユーザが徒歩等により移動可能である距離を示す移動可能距離情報を含んでも良い。更に、この時送信される現在位置情報はユーザが任意に入力したランドマーク情報等の位置情報でも良いし、ユーザ端末100の測位部104が測定した位置情報でも良い。また、希望車種は特に指定しなくとも良い。
【0036】
通信部302がユーザ端末100から検索条件情報を受信すると、車両検索部305が検索条件情報を検索キーとして車両情報DB308を検索する(S609)。当該検索においては、現在時刻から待機時間情報に示される時間以内に、現在位置情報に示される地点若しくはその近傍を通過するタクシーを検索する。待機時間情報が指定されていない場合は自動的に所定の時間以内とされても良いし、現在時刻以降に現在位置情報に示される地点若しくはその近傍を通過するタクシーを検索しても良い。また、空車状態のタクシーだけでなく、現在位置情報に示される地点若しくはその近傍を目的地とする実車中のタクシーを同時に抽出しても良い。
【0037】
検索条件情報に移動可能距離情報が含まれている場合には、ユーザの現在位置から当該移動可能距離の範囲内を通過するタクシーを検索する。詳細には、図4に示すフローチャートのS406において、ナビゲータサーバ300から車両情報DB308に登録された、現在位置情報、目的地情報及びそれらから計算される図5に示されるような各地の通過予定時刻を参照することにより実現することができる。また、車両情報DB308には、タクシーが実車中か空車中かの情報が含まれ、S609において抽出される車両情報は空車状態の情報のみである。
【0038】
車両情報DB308は、検索により抽出された車両情報をナビゲータサーバ300へ送信し(S610)、通信部302は当該車両情報をユーザ端末100へ送信する(S611)。ユーザ端末100は、受信した車両情報を表示部102に表示する(S612)。図7にユーザ端末100の表示部102に表示される車両情報の例を示す。
【0039】
図7に示されるように、検索の結果、条件に該当するタクシーが利用可能車両としてその台数と共に表示される。表示内容は、タクシー会社を示す種別情報と、ユーザの現在位置の近傍であってそのタクシーが通過する位置情報と、表示された位置をそのタクシーが通過する予想時刻情報である。ユーザは図7に示されるような検索結果を参照し、表示されたタクシーの中から所望のタクシーを選んで表示された位置情報に対応する地点に待機することによってタクシーに乗車することができる。
【0040】
更に、ユーザは表示された車両情報に対し、地図情報を表示させることができる。図7に示す車両情報だけでは、現在位置の地理に対してある程度の知識がないと、表示された地点でタクシーを待つことが出来ない。ユーザの現在位置及び表示された車両情報のタクシーの走行経路を示す地図を表示することによって、そのような弊害を回避することができる。
【0041】
図7に示す車両情報がユーザ端末100の表示部102に表示された後(S612)、ユーザ端末100に対して地図表示要求があると(S613)、ユーザ端末100はナビゲータサーバ300に対して地図情報を要求する(S614)。この時に要求する地図情報は、S612において表示された車両情報に含まれるタクシーのすべての経路情報でも良いし、表示された車両情報から1つ若しくは複数を指定して要求しても良い。
【0042】
地図情報の要求を受信したナビゲータサーバ300は、S610において車両情報DB308から受信した車両情報及びユーザ端末100から受信した現在位置情報に基づき、ユーザ端末100周辺の地図及び車両情報に含まれる経路を表示した地図情報を生成し、ユーザ端末100へ送信する(S615)。地図情報は例えば車両検索部305が生成するが、制御部301が生成しても、図示しない地図情報生成部が生成しても良い。ここでは、S610において車両情報DB308から受信した情報を再度用いたが、ユーザ端末100からのS614の要求により、再度車両情報DB308を検索しても良い。これにより、より最新の情報を用いて地図を生成することができる。
【0043】
地図情報を受信したユーザ端末100は、表示部102に地図情報を表示する(S616)。この時表示される地図情報を図8に示す。図8において、星印はユーザ端末100の現在位置であり、丸で囲まれた番号は図7に示す番号と対応している。その他の表示は図5に示される経路情報と同様である。即ち、図8においては、図7に示す(1)及び(2)の番号に対応するタクシーの経路及び各地点の通過予想時刻を表示している。図8に示すような地図情報を参照することにより、ユーザは何時までに、どの地点でタクシーを待てばよいか容易に理解することができる。
【0044】
S610における検索の結果、該当するタクシーが0台の場合はそのまま配車要求を行なうこともできる。この時、車両検索部305がユーザ端末100の現在位置から一番近い位置を走行中の空車状態のタクシーを、車両情報DB308から自動的に検索し、当該タクシーに設置された車載端末200に対して配車要求を行えば、配車要求後に当該配車要求を行ったユーザの位置にタクシーが到着するまでの時間をより短縮できる。
【0045】
更に、図7に示す車両情報に表示されたタクシーを指定して配車要求をすることもできる。現在位置の近傍を走行中のタクシーを指定して配車要求をするため、配車要求後すぐにタクシーに乗車することができる。ユーザ端末100に対して図7に表示されたいずれかのタクシーを指定した配車要求があると(S617)、ユーザ端末100はナビゲータサーバ300に対してタクシーを指定した配車要求を送信する(S618)。当該配車要求には、ユーザ端末100の現在位置情報が含まれる。
【0046】
配車要求を受信したナビゲータサーバ300は、指定されたタクシーの車載端末200に対して、配車要求を行ったユーザの現在位置情報を指定して配車手配をする(S619)。更に配車手配をしたタクシーは既に空車ではないので、当該タクシーの情報に対して車両情報DB308を更新する(S620)。ここで、ナビゲータサーバ300が車載端末200に対して配車手配をした後、車載端末200からナビゲータサーバ300へ迎車了解の旨の返信を送信しても良く、当該返信を受信したナビゲータサーバ300がユーザ端末100へ配車完了の通知を送信しても良い。
【0047】
タクシーの現在位置とユーザの現在位置情報とを参照して近傍のタクシーを検索するだけでは、タクシーの走行する方向等によって乗車できない場合もあり得る。しかしながら、本実施の形態のようにタクシーの走行経路情報及び通過予想時刻情報とユーザの現在位置情報とを参照してタクシーを検索することにより、タクシーの通る位置及び時刻の情報を入手し、配車要求の要否を確実に判断することができる。従って、配車要求をした後に、空車のタクシーが通る等の非効率な配車要求を回避し、また配車要求をすることなく容易にタクシーに乗車することができる。更に、タクシーにとっては、実車状態の増加を図ることができる。
【0048】
以上説明したように、本発明により、所定の範囲内を走行するタクシーの経路情報及び通過時刻情報を入手可能であるタクシー経路検索システムを提供することができる。
【0049】
尚、上記の説明においては、図4に示す動作において経路を決定するのはナビゲータサーバ300であったが、これに限定されるものではない。例えば、車載端末200が現在位置情報及び目的地情報をナビゲータサーバ300へ送信すると(S401)、ナビゲータサーバ300は受信した情報に基づき交通情報DB309を検索し(S402)、交通情報DB309から得られた情報をそのまま車載端末200へ送信することによって車載端末200が経路を決定しても良い。その後、車載端末200は自己が決定した経路情報をナビゲータサーバ300へ送信し、ナビゲータサーバ300が車両情報DB308へ当該経路情報を登録することによって上記と同様の効果を得ることができる。
【0050】
この他、ナビゲータサーバ300及び車載端末200が経路を決定せずとも、例えば車載端末200の設置されたタクシーのドライバーが手動で経路を設定して車載端末200に入力し、車載端末200が当該経路情報をナビゲータサーバ300へ送信することによっても上記と同様の効果が得られる。更には、ナビゲータサーバ300の管理者が、特定の車載端末200の経路を直接設定し、ナビゲータサーバ300に入力することによっても上記と同様の効果を得ることができる。上記の説明においては経路の決定に際して交通情報DB309を参照しているが、自動、手動に限らず、交通情報DB309から得られる交通情報を参照することなく経路を決定しても良い。
【0051】
また、車両情報DB308に登録する経路情報は現在位置から目的地までの経路に限定されず、例えば巡回ルートであっても良い。現在地から目的地までの経路の場合、目的地に到着後は再度経路設定をしなければならないが、巡回ルートを経路情報として登録することにより、経路の再設定をすることなく乗客を探して巡回することができる。この時、車両情報DB308に登録された通過予想時刻と実際の通過時刻とは、交通情報によりずれが生ずることが考えられる。従って、巡回ルートを巡回中であっても、車載端末200は自己の現在位置情報を一定時間ごとにナビゲータサーバ300へ送信し、ナビゲータサーバ300は受信した情報をもって車両情報DB308を更新することが好ましい。これにより、車両情報DB308に格納される経路情報及び予想通過時刻情報の精度を向上することができる。
【0052】
更に、上記の説明においては、本実施形態にかかるシステムは利用者情報DB307を有し、システム利用時にはIDとパスワードによる認証が必要であったがこれに限定されない。ユーザはユーザ端末100を用いて認証を経ることなく、S605においてナビゲータサーバ300が提供する情報要求画面に直接アクセスすることによって、何人も利用可能としても良い。但し、利用者情報DB307を設けることにより、当該システムの不正な利用を低減し、また当該DBに利用者の住所や勤務地情報を含めることによって、ユーザの多い地域の統計を取ることができる。
【0053】
更にまた、上記の説明においては、S609における車両情報の検索においての位置情報のキーは、ユーザ端末100がナビゲータサーバ300へ送信した検索条件情報に含まれているが、これに限定されない。例えば、検索条件情報にはユーザ端末100を個別に識別するIDが含まれ、利用者情報DB307に、予めキーとなる位置情報が格納されていても良い。ナビゲータサーバ300は、S608においてユーザ端末100を個別に識別するIDを受信し、S609において利用者情報DB307に記憶されている当該IDに対応する検索条件を用いて車両情報DB308を検索することもできる。利用者情報DB307に記憶する検索条件情報に含まれる位置情報としては、ユーザの自宅の位置情報やユーザの職場の位置情報等、ユーザが頻繁に利用する場所の位置情報が好ましい。
【0054】
同様に、上記の説明においては、S609においての時刻情報のキーは現在時刻以降として説明しているが、これに限定されない。例えば検索条件情報には特定の時刻を指定する時刻情報が含まれ、当該時刻以降をキーとして検索しても良い。当該時刻情報はS608においてユーザ端末100がナビゲータサーバ300に送信する以外にも、利用者情報DB307に予め格納されていても良い。上記の特定の時刻の指定方法としては絶対時間として日時を指定しても良いし、現在時刻から所定の時間後として指定しても良い。
【0055】
上記の実施例においてはタクシーの経路検索システムを例として本発明に係るシステムを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、路線バスにておいは交通状態によりバス停の到着時刻が前後することが多いため、本発明に係るシステムを用いて路線バスの現在位置及び交通情報を加味したバス停への到着予想時刻を表示可能であれば有意義である。また、路線バスは電車のように線路があるわけではないため経路がわかりにくいが、本発明に係るシステムを用いれば路線バスの経路を容易に認識することができる。
【0056】
また、車載端末200を自家用車に搭載し、ユーザ端末100から車載端末200のIDを指定して検索を可能としても良い。これにより、例えば待ち合わせ中の知人の車両の現在地を知ることができる。本発明で表現するところの車両には、上記のタクシー、バス及び一般車両以外にも、自動車、二輪車、電車等、人や貨物を移送可能である移動体全般が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係るシステム全体を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るユーザ端末の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車載端末の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る経路情報登録動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る車載装置に表示される経路情報を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車両情報検索動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るユーザ端末に表示される車両情報を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るユーザ端末に表示される経路情報を含む地図を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 ユーザ端末、101 無線部、102 表示部、103 操作部、
104 測位部、105 音声処理部、106 受話スピーカ、107 マイク、
108 スピーカ、109 記憶部、110 制御部、111 無線アンテナ、
112 測位アンテナ、200 車載端末、201 無線部、202 表示装置、
203 操作部、204 測位部、205 スピーカ、206 記憶部、
207 制御部、208 無線アンテナ、209 測位アンテナ、
300 ナビゲータサーバ、301 制御部、302 通信部、303 記憶部、
304 経路決定部、305 車両検索部、306 情報登録部、
307利用者情報DB、308 車両情報DB、309 交通情報DB、
400 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーに設置される車載端末と、
複数の前記車載端末と接続されたナビゲータサーバと、
前記車載端末が設置されたタクシーの各地点の予想通過時刻を含む経路情報を記憶する車両情報記憶手段とを有するタクシー経路検索システムであって、
所定の時刻以降の走行経路が所定の位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出する車両検索手段と、
前記車両検索手段によって抽出されたタクシーの情報をユーザ端末へ送信する手段とを有するタクシー経路検索システム。
【請求項2】
タクシーに設置される車載端末と、
複数の前記車載端末と接続されたナビゲータサーバと、
前記車載端末が設置されたタクシーの走行位置情報、前記走行位置を走行時の時刻情報、目的地情報及び前記走行位置から前記目的地までの経路情報を含む車両情報を記憶する車両情報記憶手段とを有するタクシー経路検索システムであって、
前記走行位置情報及び前記目的地情報から最適な経路を選択し当該経路の各地点の予想通過時刻を算出して経路情報を生成する経路決定手段と、
前記経路決定手段によって生成された経路情報を前記車両情報記憶手段に登録する車両情報登録手段と、
ユーザ端末から所定の位置を特定する位置情報を含む検索条件情報を受信し、少なくとも当該検索条件情報受信時以降の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出する車両検索手段とを有するタクシー経路検索システム。
【請求項3】
前記検索条件情報に含まれる位置情報は前記ユーザ端末の現在位置であることを特徴とする請求項2に記載のタクシー経路検索システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末はGPS(衛星利用測位システム)を利用する現在位置取得手段を有し、前記ユーザ端末の現在位置は当該手段により取得されることを特徴とする請求項3に記載のタクシー経路検索システム。
【請求項5】
前記車載装置はGPSを利用する現在位置取得手段を有し、前記走行位置情報は当該手段により取得されることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載のタクシー経路検索システム。
【請求項6】
少なくとも道路の渋滞情報を含む交通情報を記憶する交通情報記憶手段を更に有し、
前記経路決定手段は最適な経路を決定する際に前記交通情報記憶手段に記憶された情報をも参照することを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載のタクシー経路検索システム。
【請求項7】
前記検索条件情報は待機可能時間を示す待機可能時間情報を含み、前記車両検索手段は前記ユーザ端末から受信した検索条件受信時以降であって当該待機可能時間情報に示される時間以内の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から一定の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出することを特徴とする請求項2乃至6いずれかに記載のタクシー経路検索システム。
【請求項8】
前記検索条件情報はユーザの移動可能距離を示す移動可能距離情報を含み、前記車両検索手段は前記ユーザ端末から受信した検索条件受信時以降の走行経路が、前記位置情報により特定される位置から前記移動可能距離の範囲内であるタクシーを前記車両情報記憶手段から抽出することを特徴とする請求項2乃至7いずれかに記載のタクシー経路検索システム。
【請求項9】
前記ユーザ端末及び当該ユーザ端末を利用するユーザの情報を管理するためのユーザ管理情報を記憶するユーザ管理情報記憶手段を更に有し、当該タクシー経路検索システムの利用に当たってはユーザ管理情報記憶手段へのユーザ情報の登録が必要であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のタクシー経路検索システム。
【請求項10】
前記車両検索手段が抽出したタクシーの経路及び当該経路の各地点の予想通過時刻が表示された地図の画像である地図情報を生成する地図情報生成手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載のタクシー経路検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−284246(P2006−284246A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101805(P2005−101805)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】