説明

トナー供給装置および画像形成装置

【課題】駆動装置よりも多くのトナー供給装置の駆動を制御しつつ、トナー供給不足が発生する機会を減らす。
【解決手段】クラッチ150C,150M,150Y,150Kは、それぞれトナー収容器110C,110M,110Y,110Kと対になるように設けられ、トナー収容器110から現像器へトナーを供給する際には、モータ120から受け取った駆動力を各々に伝達するか、又は伝達しないかを制御することによって、トナーを供給するか否かが切り替えられる。この構成により、駆動装置よりも多くのトナー供給装置の駆動を制御することができるし、駆動力を伝達するクラッチ150の数が多いほどトナー供給時間を多くするので、トナーの供給不足を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の低価格化や小型化のために、或る部品装置が複数の機能を有するようにして、装置全体としての部品点数を減らすことが効果的である。例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の画像を形成する画像形成装置における現像器にトナーを供給するトナー供給装置においては、モータ等の1つの駆動装置が2つのトナー供給装置を同時に駆動させるようにしたり、クラッチ等を用いて1つの駆動装置がすべてのトナー供給装置を駆動させるようになっている。このように複数のトナー供給装置で1つの駆動装置を共用することで、駆動装置の数を減らすと、1つの駆動装置から各々のトナー供給装置に与えられる駆動力が低下してしまい、トナーの供給量が減少して現像器内のトナーが不足してしまうことがあった。一方で、大きな駆動力を発生させることのできる駆動装置を用いるようにすれば、コストだけでなく装置の大型化や消費電力の増大というデメリットが生じてしまう。そこで、特許文献1には、画像の内容に応じて、駆動させるトナー供給装置を切り替えることによって、トナー供給不足を回避しつつ、駆動装置の数を減らすことが記載されている。
【特許文献1】特開2006−201314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、すべてのトナー供給装置からすべての現像器に対していっせいにトナーを供給することができないから、画像密度が極めて高い画像を形成する場合においてはトナー供給不足が発生してしまう、という問題があった。
本発明は、駆動装置よりも多くのトナー供給装置の駆動を制御しつつ、トナー供給不足が発生する機会を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明は、駆動力を発生させる駆動手段と、トナーと、前記駆動手段が発生させた駆動力により駆動させられる供給部材とを収容し、トナーを含む現像剤を用いて像を形成する複数の現像手段のそれぞれに対し、前記供給部材の駆動に応じてトナーを供給する複数のトナー収容手段と、各々の前記供給部材のうち少なくともいずれか1つに対し、前記駆動手段によって発生させられた駆動力を伝達するか、又は、いずれの前記供給部材にも前記駆動力を伝達しない伝達手段と、トナーを供給する前記現像手段を特定し、特定した当該現像手段にトナーを供給するトナー収容手段に収容される前記供給部材を前記駆動力によって駆動させるよう、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態及び前記駆動手段による駆動の状態を制御する制御手段であって、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態又は前記駆動手段による駆動の状態のうち少なくとも一方を制御して、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数の増減にかかわらず、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする制御手段とを備えることを特徴とするトナー供給装置を提供する。
【0005】
本発明のトナー供給装置において、前記制御手段は、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が多くなるほど、前記供給部材に駆動力を伝達する時間を長くするように、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態又は前記駆動手段による駆動の状態のうち少なくとも一方を制御して、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にすることを特徴とする。この場合において、前記制御手段は、少なくとも1つの前記現像手段に対してトナーを供給しているときに、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が増加した場合には、前記伝達手段によって前記供給部材に駆動力が伝達される時間を長くし、当該個数が減少した場合には、当該時間を短くして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にすることが好ましい。
【0006】
また、本発明のトナー供給装置において、前記制御手段は、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が多くなるほど、前記駆動手段が駆動力を発生させるときの単位時間当たりの駆動回数を多くして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にするようにしてもよい。この場合において、前記制御手段は、少なくとも1つの前記現像手段に対してトナーを供給しているときに、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が増加した場合には、当該トナーを供給しているときの前記駆動手段の前記駆動回数を多くし、当該個数が減少した場合には、当該駆動回数を少なくして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にすることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、上記構成のいずれかのトナー供給装置と、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された潜像を、前記トナー供給装置から供給されるトナーを含む現像剤を用いて現像する現象手段と、前記現像手段によって現像された像を記録媒体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動装置よりも多くのトナー供給装置の駆動を制御しつつ、トナー供給不足が発生する機会を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
(1)実施形態の構成
まず、図1は、画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、制御部1と、記憶部2と、通信部3と、操作部4と、画像形成部5とを備えている。
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えた演算装置であり、CPUはRAMをワークエリアとし、ROMに記憶されたプログラムを実行することによって画像形成装置100の各部の動作を制御する。記憶部2は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、後述する現像器50に収容された現像剤に含まれるトナーの濃度と、現像器50にトナーの供給を行うときのその供給時間(以下、「トナー供給時間」という。)との対応関係や、駆動制御テーブル2aを記憶している。通信部3は、パーソナルコンピュータおよびスキャナ等の外部装置とデータをやりとりするためのインタフェース装置である。制御部1は、これらの外部装置から通信部3によって、例えばレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなる画像データを取得する。操作部4はタッチパネルを備えた入力装置であり、ユーザによって操作されることによりユーザからの指示を受け付ける。画像形成部5は、制御部1によりRGB色空間の色成分から色空間変換されたCMYK色空間の色成分からなる画像データに応じた画像を記録媒体に形成する。
【0010】
図2は、画像形成部5の画像形成を行う要部の構造を示す図である。
同図に示すように、画像形成部5には、画像形成ユニット10C、10M、10Y、10Kと、中間転写ベルト200とが備えられている。中間転写ベルト200は、図示せぬ駆動機構によって図中の矢印Aの方向に周回する無端のベルト部材であり、この中間転写ベルト200のベルト面外周に沿って画像形成ユニット10C、10M、10Y、10Kが一列に配置されている。画像形成ユニット10C、10M、10Y、10Kは、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の色のトナーを用いて各色の画像を形成し、これらの画像を中間転写ベルト200の表面に重ね合わせるようにして転写する。これら画像形成ユニット10C、10M、10Y、10Kは、用いるトナーが異なるのみであって、その構成は同様であるから、これらをそれぞれ区別する必要の無い場合には、「画像形成ユニット10」と総称し、その構成要素についても符号末尾のC,M,Y,Kを省略して説明する。
【0011】
ここで、画像形成ユニット10の構成を説明する。
画像形成ユニット10は、感光体ドラム20と、この感光体ドラム20の周囲に配置された帯電器30と、露光器40と、現像器50と、転写器60と、除電器70、及びトナー濃度検出センサ80と、トナー供給装置90とを備えている。感光体ドラム20は、例えば導体基板上に電荷受容体としてOPC(Organic Photo Conductor:有機光導電体)からなる電荷発生層や電荷輸送層を含む2層ないし3層の光導電層が積層されることによって形成された像保持体である。感光体ドラム20は、図示せぬ駆動装置によりその中心軸を中心として図に示す矢印Bの方向(半時計周り方向)へ回転駆動させられる。帯電器30は、その表面が感光体ドラム20の表面に接触した帯電手段であり、感光体ドラム20の回転に従って回転しつつ、感光体ドラム20の表面を所定の電位に帯電させる。露光器40は、帯電させられた感光体ドラム20の表面に向けてレーザまたはLEDを照射(露光)して、感光体ドラム20の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段である。
【0012】
現像器50は、現像剤に含まれている色材としてのトナーを用いて現像を行う現像手段である。現像器50は、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像が、その感光体ドラム20の回転に伴って現像ロールに対向する位置に到達すると、静電潜像に現像剤が供給されて静電潜像を現像させ、感光体ドラム20の表面にトナー像を形成させる。転写器60は、感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像が、その感光体ドラム20の回転に伴って、自身と感光体ドラム20との間の位置(転写位置)に到達すると、静電力などによってそのトナー像を、中間転写ベルト200に転写させる。中間転写ベルト200に転写されたトナー像は、図示せぬ2次転写装置によって用紙等の記録媒体に転写される。その記録媒体は図示せぬ定着装置へ搬送され、トナー像が定着させられた後に機外へ排出される。除電器70は、感光体ドラム20の表面に除電光を照射し、その表面を除電させる。
【0013】
トナー濃度検出センサ80は、現像器50内に設けられており、トナーとキャリアからなる二成分の現像剤の透磁率を検出することによりトナー濃度を検出する濃度検出手段である。トナー濃度検出センサ80はトナー濃度を検出すると、その濃度を表す濃度検出信号を制御部1に出力する。
トナー供給装置90は、トナー収容器110C,110M,110Y,110K等を備え、必要に応じてそれぞれの現像器50にトナーを供給する。このトナー供給装置90の後述する各構成部品は、上述した感光体ドラム20等の画像を形成させるために駆動する各構成部品とは独立した動作をするから、これらは例えば、画像形成ユニット10の上部や、装置からみたときの奥方向等に配置され、例えば、トナー収容器110は図示のように感光体ドラム20や中間転写ベルト200よりも上方に一列並べて配置されている。
【0014】
ここで、図3は、トナー供給装置90の構造をより詳細に説明する図である。
同図に示すように、トナー供給装置90は、トナー収容器110と、モータ120と、シャフト130と、ラックギア140と、クラッチ150と、クラッチギア160と、駆動伝達ギア170と、トナー供給ギア180とを備える。なお、同図においては図が煩雑になるのを防ぐため、ラックギア140、クラッチギア160、駆動伝達ギア170及びトナー供給ギア180については、同図においての最も右側にあるトナー収容器110Cを駆動させる機構のみに符号を付している。
トナー収容器110C、110M、110Y、110Kは、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色のトナーを収容するトナー収容手段であり、それぞれ、自身が収容するトナーを、制御部1による制御の下、現像器50Y、50M、50C、50Kにそれぞれ供給する。
【0015】
ここで、図4は、トナー収容器110の内部構成を、トナー収容器110が並べられた方向(図3の矢印x方向)に見たときの様子を模式的に表した図である。
同図に示すように、トナー収容器110には、トナーとともに、その収容空間内の下方部において供給部材111が収容されている。供給部材111は、回転軸lの長手方向に対して複数の螺旋状の羽根を有する。供給部材111が回転させられると、これらの羽根の駆動によってトナーが図中右方向へと押し出され、供給口112よりトナーが排出される。供給口112から排出されたトナーは、供給経路を通って現像器50へと供給される。供給部材111の単位時間当たりの回転数が多くなるほど、供給部材111によるトナーの供給力が増すため、単位時間当たりのトナーの供給量もそれに応じて増すことになる。また、供給部材111の回転時間が長くなるほど、もちろん、その供給部材111によるトナーの供給量も増加する。
【0016】
ここで図3に戻って説明する。
モータ120は、例えばステッピングモータであり、商用電源から供給される電力を用いてその回転軸を回転させることにより、供給部材111を回転させる駆動力を発生させる駆動手段である。ここでは、制御部1は、単位時間当たりの回転数を一定にさせたままモータ120の回転軸を回転させる。シャフト130は、その一端がモータ120の回転軸に連結され、他端は画像形成装置100の筐体に設けられた部品等によって回転可能に支持されている。このシャフト130は、モータ120の駆動によって発生した駆動力によって回転させられる。ラックギア140は、シャフト130の周りに設けられている。
【0017】
駆動力の伝達手段であるクラッチ150C,150M,150Y,150Kを備えており、これらはそれぞれトナー収容器110C,110M,110Y,110Kと対になるように設けられている。クラッチ150は、例えば、図示せぬ入力軸と出力軸とを電磁的な結合状態に応じて、入力軸から出力軸へと駆動力を伝達する状態(以下では、「伝達状態」という。)か、又は伝達しない状態(以下では、「非伝達状態」という)となる。このような電磁的に結合するクラッチ150は、制御部1の制御によって電流の供給が行われるか否かによって、伝達状態と非伝達状態とのいずれかの伝達の状態となるように制御される。
【0018】
また、クラッチ150は、シャフト130及びラックギア140を介してモータ120と連結され、一方でトナー収容器110の供給部材111と、クラッチギア160、駆動伝達ギア及びトナー供給ギア180を介して連結されており、クラッチ150が伝達状態のときには、モータ120によって発生させられた駆動力が供給部材111へと伝達されることになる。この駆動力によって供給部材111が回転させられると、現像器50に対してトナーが供給される。このクラッチ150による駆動力の伝達の状態が制御部1によって制御されることにより、各々の供給部材111のうち少なくともいずれか1つに対し、モータ120によって発生させられた駆動力が伝達されたり、又は、いずれの供給部材111にもその駆動力を伝達されなかったりする。
【0019】
ここで、駆動制御テーブル2aについて説明する。
図5は、駆動制御テーブル2aの一例を示した図である。この駆動制御テーブル2aは、制御部1がクラッチ150の伝達の状態を制御するときに用いられる。同図に示すように、この駆動制御テーブル2aにおいては「対象個数(個)」と、「供給時間補正値」とが対応付けられている。「対象個数」は、同時刻において、現像器50にトナーを供給するトナー収容器110の個数を表しており、この個数はトナーが供給される現像器50の数と等しい。以下では、このようなトナー収容器110の個数のことを「対象個数」と言うことがある。「供給時間補正値」は、トナー濃度検出センサ80によって検出されるトナー濃度に応じて決定されるトナー供給時間の補正に用いられる補正値であって、ここでは補正時においてトナー供給時間に乗算される値(倍率)が書き込まれている。例えば、第1行においては、「2個」の現像器50にトナーを供給するに際しては、トナー供給時間を「1.1倍」とすることが示されている。同様に、第2行においては、同時刻において「3個」の現像器50にトナーを供給する場合には、トナー供給時間を「1.2倍」とすることが記述され、第3行においては、4個全ての現像器50にトナーを供給する場合には、トナー供給時間を「1.3倍」とすることが記述されている。このように、駆動制御テーブル2aにおいては、対象個数が多くなるほど、トナー供給時間を長くするような補正値が記述されている。
【0020】
(2)動作
次に、画像形成装置100が現像器50に対してトナーを供給しようとするときの動作について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。ここでは、複数ページに亘る画像データが通信部3によって画像形成装置100に供給されると、画像形成装置100は1つの画像データに応じた画像の形成を行うに際しては、その都度、現像器50内のトナー濃度に応じてトナー供給に係る以下の処理を行うものとする。
【0021】
(2−1)動作例1
まず、制御部1は、通信部3によって受信した画像データに応じた画像を形成する旨の指示を受信すると、画像形成部5に画像データを出力し、画像を形成させる処理を行わせる。その一方で、制御部1は、トナー濃度検出センサ80に対して現像器50内の現像剤のトナー濃度を検出するタイミングになったか否かを判定する(ステップS1)。ここでの判定結果が「YES」となると、制御部1は、トナー濃度検出センサ80C,80M,80Y,80Kによって、現像器50C,50M,50Y,50Kに収容されたトナーの濃度をそれぞれ検出する(ステップS2)。そして、制御部1は、トナー濃度検出センサ80C,80M,80Y,80Kから濃度検出信号が供給されると、これに基づいて、現像器50C,50M,50Y,50Kのそれぞれに収容された現像剤のトナー濃度を特定し、これらのうちトナー濃度が所定の閾値Th1未満のものがあるか否かを判定する(ステップS3)。この閾値Th1は、例えば画像データに応じた画像を形成させるために最低限必要なトナー量を考慮して決められ、現像器50に収容された現像剤に含まれるトナーが空になったり、トナーの量が極めて少量になることがないように設定される。
【0022】
ここで、制御部1は、トナー濃度が閾値Th1以下となった現像器50がないと判定すると(ステップS3;NO)、いずれの現像器50においても十分な濃度のトナーが収容されており、トナーを供給すべき現像器50はないので、ステップS1に戻ってトナー濃度の検出のタイミングになるまで待機することになる。
一方、ステップS3において制御部1が「YES」と判定し、トナー濃度が閾値Th1以下の現像器50がある場合には、その現像器50を、トナーの供給が必要な現像器50として特定する(ステップS4)。ここでは、制御部1は、トナー濃度が閾値Th1以下であった現像器50として、現像器50Cのみを特定したとする。
【0023】
続いて、制御部1は、トナー濃度検出センサ80Cによる濃度の検出結果に基づいて、トナー供給時間を決定する(ステップS5)。ここでは、前述したように、記憶部2には現像器50に収容された現像剤におけるトナー濃度と、トナー供給時間との対応関係が記憶されているから、制御部1はこの対応関係に基づいてトナー供給時間を決定する。ここでは、制御部1は、トナー供給時間として「10秒」を決定するものとするが、トナー濃度が低いほどその供給量を大きくするべく、トナー供給時間も長くなる。
【0024】
続いて、制御部1は、すでに他の現像器50についてトナーを供給しているか否かを判定する(ステップS6)。すなわち、制御部1は、ステップS4で特定した現像器50C以外に、トナーを供給している現像器50があるか否かを判定することになる。ここでは、他の現像器50に対してトナーを供給をしてないので判定結果は「NO」となり、制御部1はステップS8に進む。
【0025】
次いで、制御部1は、ステップS6において決定したトナー供給時間に基づいて、現像器50Cに対してトナーを供給する(ステップS8)。具体的には、制御部1は、モータ120の駆動を開始させ、さらに現像器50Cにトナーを供給するべくクラッチ150Cを非伝達状態から伝達状態へと切り替える。その一方で、制御部1は、現像器50M,50Y,50Kにはトナーを供給しないのでクラッチ150M,150Y,150Kをそれぞれ非伝達状態となるよう制御する。これにより、モータ120の駆動によって発生する駆動力がクラッチ150Cを介して、トナー収容器110Cに収容されている供給部材111に伝達され、その回転によって現像器50Cに対してトナーが供給されることとなる。そして、制御部1は、トナーの供給を開始してから、ステップS5で決定したトナー供給時間「10秒間」が経過するまでトナーを供給することになる。
【0026】
(2−2)動作例2
次に、上記で説明したようにして現像器50Cに対してトナーを供給している最中に、さらに別の現像器50に対してトナーを供給するとき、すなわち同時刻に複数の現像器50にトナーを供給する場合の制御部1の動作について説明する。
【0027】
図7は、本動作例におけるクラッチ150C,150M,150Y,150Kの伝達状態、又は非伝達状態の時系列な変化の様子を示すタイミングチャートである。同図に示すように、時刻T=0秒において、動作例1におけるクラッチ150Cが非伝達状態から伝達状態に切り替えられるものとし、その「5秒後」である時刻T=「5秒」において、現像器50M及び50Yに対してトナーの供給が開始されるものとする。
【0028】
トナー濃度の検出タイミングになると、制御部1は、トナー濃度検出センサ80によって現像器50内のトナー濃度を検出させ(ステップS2)、この検出結果により現像器50M及び50Yのトナー濃度が閾値Th1以下であると判定すると(ステップS3;YES)、これらをトナーの供給が必要な現像器50として特定する(ステップS4)。そして、制御部1は、トナー濃度検出センサ80の濃度の検出結果に基づいて、ここではトナー供給時間「10秒」を決定する(ステップS5)。このステップS1〜S5の処理は、前述した動作例1と同様にして行われる。
【0029】
続いて、ステップS6において、制御部1はすでに他の現像器である現像器50Cについてトナーを供給している判定すると(ステップS6;YES)、ステップS7に進む。
このステップS7において、制御部1は、ステップS6において決定したトナー供給時間を補正する。具体的には、制御部1は、記憶部2に記憶された駆動制御テーブル2aを読み出し、同時刻にトナーを供給する対象となるトナー収容器110の個数(対象個数)に応じて、トナー供給時間に対する補正値を特定する。ここでは、制御部1は、すでにトナーを供給している現像器50Cの他に、現像器50M,50Yに対してトナーを供給するから、その個数を「3個」と特定する。そして、制御部1は、駆動制御テーブル2aの第2行の内容に基づいて、ステップS6で決定したトナー供給時間に対して、供給時間補正値として「1.2」を乗算することによって、トナー供給時間を補正する。
【0030】
この補正において、制御部1は、現像器50M,50Yに対して決定したトナー供給時間「10秒」に供給時間補正値「1.2」を乗算し、これを現像器50M,50Yに対するトナー供給時間とする。すなわち、制御部1は、「10秒」×「1.2」=「12秒」間に亘って、現像器50M,50Yに対してトナーを供給するようトナー供給時間を補正する。
一方、すでにトナーを供給している現像器50Cについては、制御部1は、トナー供給時間のうちの残りの供給時間(残り時間)を駆動制御テーブル2aに基づいて補正する。すなわち、ステップS5で決定したトナー供給時間「10秒」のうち、時刻Tにおいて「5秒」が既に経過しているから、制御部1は駆動制御テーブル2aの第2行に基づいて、残り時間「5秒」×「1.2」=「6秒」を残り時間として補正する。
【0031】
そして、制御部1は、ステップS7において補正したトナー供給時間に基づいて、現像器50C、50M,50Yに対してトナーを供給する(ステップS8)。具体的には、制御部1は、クラッチ150Cを伝達状態に、クラッチ150Kを非伝達状態に維持させ、クラッチ150M及び150Yを非伝達状態から伝達状態に切り替える。これによって、トナー供給装置90M,90Yからの現像器50M,50Yのそれぞれに対するトナーの供給が開始される。そして、制御部1は、トナー供給時間が経過した現像器50から順に、対応するクラッチ150を非伝達状態となるように制御して、トナーの供給を終了する。
【0032】
以上の制御により、図7に示すように、制御部1は、現像器50M,50Yに対しては、時刻Tが「5秒」から「17秒」までの「12秒間」に亘って、トナー供給装置90M,90Yにトナーを供給することになる。図7において、ハッチングで図示した時刻「15秒」から「17秒」までが補正によって増加するトナー供給時間である。一方、現像器50Cに対しては、最初に決定したトナー供給時間「10秒」のうち時刻Tにおいて「5.0秒」がすでに経過しているから、制御部1は、残りのトナー供給時間と、駆動制御テーブル2aの第2行に基づいて、(決定したトナー供給時間「10.0」−残りのトナー供給時間「5.0」)×「1.2」=「6.0秒」と補正して、トナーを供給することになる。すなわち、制御部1は、現像器50Cに対しては、すでに経過した「5秒」と併せて「11秒」間に亘ってトナーを供給することになり、時刻Tが「0秒」〜「11秒」の間にこれを行う。図7のハッングで図示した時刻Tが「10秒」から「11秒」までが補正によって増加するトナー供給時間である。
【0033】
ところで、現像器50Cについては、トナーを供給している最中において、新たにトナーを供給する現像器50の数が増加するため、時刻T=「5秒」以降の単位時間当たりの供給量はそれ以前よりも減少してしまう。しかしながら、制御部1は、少なくとも1つの現像器50にトナーを供給しているときにトナーの供給のために駆動させるトナー収容器110が増加した場合、残りの供給時間を長くするよう補正することによって、その増加した対象個数の増減にかかわらず供給量を一定とする。一方、現像器50M、50Yにおいては、当初からトナーを供給する現像器50の対象個数が「3」であるから、制御部1は、決定したトナー供給時間を駆動制御テーブル2aに基づいて補正し、対象個数「1」の場合よりも供給時間を長くすることによって、トナー供給量が一定となるようにする。また、トナーの供給中に対象個数が「2」→「3」に増加する現像器50M,50Yに比して、当初から対象個数が「3」である現像器50Cの方が単位時間当たりの供給量の平均が少ないから、供給時間においても現像器50Cの方が長くなっている。
【0034】
また、同時刻にトナーを供給する現像器50の数が「2個」や「4個」であっても、上記と同じようにトナー供給時間を補正することができる。例えば、2個の現像器50に同時にトナーを供給する場合には、ステップS7において、制御部1は駆動制御テーブル2aの第1行の内容に基づいて、すでにトナー供給している現像器50に対する残りトナー供給時間を「1.1倍」にし、新たに供給を開始する現像器50に対してはステップS5で決定したトナー供給時間を「1.1倍」と補正してトナーを供給する。また、4個すべての現像器50に同時にトナーを供給するには、制御部1は、駆動制御テーブル2aの第3行の内容に基づいて、すでにトナーを供給する現像器50に対する残りのトナー供給時間を「1.3倍」にし、新たに供給を開始する現像器50に対してはステップS5で決定した供給時間を「1.3倍」と補正してトナーを供給する。
また、対象個数が減った場合においても、複数の現像器50に対してトナーを供給しているときに或る現像器50に対する供給が完了すると、制御部1は、駆動させているトナー収容器110に対する残りのトナー供給時間を短くして、トナーの供給量が一定となるようにする。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、画像形成装置100は、トナーを供給するトナー供給装置90の対象個数に応じて、現像器50内のトナー濃度に応じて決定した補正値でトナー供給時間を補正する。これによって、発生させる駆動力が大きなモータを用いなくても、トナーを供給する現像器50の対象個数の増減にかかわらず、トナー収容器110から現像器50へのトナー供給量が一定となるようにすることができる。また、画像形成装置100は、トナー濃度が閾値Th1以下であることを検出すると、直ちにトナーを供給することができるから、現像器50内のトナーの供給不足となる機会を減らすことができる。また、トナーを供給している最中において、対象個数が増減し、単位時間当たりのトナー供給量が変化してしまっても、残り時間をこの対象個数に応じて補正するから、この場合においてもトナー供給量が一定とすることができる。
【0036】
(3)変形例
なお、上記実施形態を次のように変形してもよい。具体的には、例えば以下のような変形が挙げられる。これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
(3−1)変形例1
上述した実施形態では、制御部1は、同時刻にトナーを供給するトナー供給装置の対象個数に応じてトナー供給時間を補正し、一定量のトナーが現像器50に供給されるようにしていた。これに対し、制御部1は、モータ120の駆動力を補正することによってトナーの供給量が一定となるようにしてもよい。前述したように、トナー供給時において、制御部1が駆動させるトナー収容器110(供給部材111)の数が多くなるほど、供給部材111の単位時間当たりの回転数(以下、単に「回転数」という。)が減少してしまうので、単位時間当たりのトナーの供給量が減少していた。そこで、制御部1は、この供給量が減少しないように、モータ120の回転軸の回転数を大きくすることによって、トナーの供給量を一定にすることができる。
【0037】
このような態様においては、記憶部2において、駆動数とモータ120の回転数との対応関係を記憶しておき、ステップS7において、制御部1が供給時間を補正するのに代えて、モータ120の回転軸の回転数を補正すればよい。もちろん、トナー供給装置90が少なくとも1つの現像器50にトナーを供給しているときに対象個数が増減した場合においても、制御部1は、モータ120の回転数を補正することによって、トナーの供給量を一定にすることができる。
このような構成によれば、制御部1は、現像器50内のトナー濃度に基づいて決定した供給時間を長くしなくても、トナーの供給量を一定にすることができる。
また、制御部1は、モータ120の回転軸の回転数を変える代わりに、モータ120へ供給する電流を変化させて、発生させる駆動力を制御してもよい。
【0038】
(3−2)変形例2
また、トナー供給時間の補正は、トナー収容器110内のトナーの残量や環境条件に基づいて行うことが好ましい。例えば、トナー収容器110内のトナーの残量が少なくなるほど、供給部材111の回転数が一定であっても単位時間当たりの供給量は減少してしまいやすいから、トナー収容器110に収容されているトナーの量を検出するセンサを設けておき、その残量が小さくほど供給時間を長くするような補正量で、トナー供給時間を補正するとよい。
【0039】
また、トナー残量の検出手法として、モータ120の駆動時間と、クラッチ150C,150M,150Y,150Kのそれぞれが伝達状態となった時間とを用いてトナー濃度を検出する手法が知られている。しかしながら、伝達状態となっているクラッチ150の個数が多いほど、モータ120の駆動時間が同じあっても供給部材111が回転しにくくなるから、トナーの単位時間当たりの供給量が小さくなり、求めたトナー残量は本来よりも少なくなり、その精度が低下してしまう。よって、制御部1は、この伝達状態となったクラッチ150の数に応じてその残量を補正することが好ましい。
【0040】
ここで、図8は、トナー供給装置90Y及び90Mによる単位時間当たりのトナー供給量の時系列的な遷移の様子を示すタイムチャートである。ここでは、同図(a)に示すように、トナー供給装置90Yのみによってトナーを供給する場合と、同図(b)に示すように、トナー供給装置90Y及び90Mに対して同じ時間帯にトナーを供給する場合について説明する。
まず、同図(a)に示すように、時刻T=0において、制御部1がクラッチ150Yを非伝達状態から伝達状態に切り替えるよう制御すると、時間Tu1を要して非伝達状態から伝達状態へと切り替わる。そして、時刻T=Tu1からクラッチ150Yは伝達状態となり、時刻T=TR1において、伝達状態から非伝達状態へ遷移し始め、時刻TR1から時間To1を要した時刻TE1において非伝達状態となる。この時刻TR1〜TE1における伝達状態から非伝達状態へ遷移する時間帯においては、慣性で駆動力が伝達される期間である。同図において、縦成分が単位時間当たりのトナー供給量に相当するものとすると、この時刻T=0からTE1までの間におけるトナー供給量M1は次式(1)の演算によって算出することができる。ただし、クラッチ150Yが伝達状態のときに、トナー収容器110Yからの単位時間当たりのトナー供給量をH1とする。
M1=TR1×H1−Tu1×H1/2+To1×H1/2 ・・・(1)
【0041】
一方、同図(b)に示すように、時刻T=0において、制御部1がクラッチ150Y及び150Mを非伝達状態から伝達状態に切り替えるよう制御すると、時間Tu2を要して非伝達状態から伝達状態へと切り替わる。この時間Tu2は、同図(a)に示す対象個数が「1個」の場合のTu1よりも大きくなる。これは、モータ120にかかる負荷が大きくなり、供給部材111の加速度が小さくなる(回転しにくくなる)ためである。そして、時刻T=Tu2からクラッチ150Y及び150Mが伝達状態となり、時刻T=TR2において、伝達状態から非伝達状態へ遷移し始め、時刻TR2から時間To2を要した時刻TE2において非伝達状態となる。この時間To2は、同図(a)に示す対象個数が「1個」の場合のTo1よりも大きくなる。この理由も、モータ120にかかる負荷が大きくなるから減速度が小さくなるためである。同図において、縦成分が単位時間当たりのトナー供給量を表すものとすると、この時刻T=0からTE2の間のトナー供給量M2は次式(2)の演算によって算出することができる。ただし、伝達状態における単位時間当たりのトナー供給量をH2とする。
M2=TR2×H2−Tu2×H2/2+To2×H2/2 ・・・(2)
【0042】
ここでH1=H2とみなして、両者で同じ量のトナーを供給する場合(M1=M2)を想定すると、対象個数が「2個」の方がモータ120の駆動時間が長くなり、その分、モータ120の回転数の累算値も多くなる。したがって、回転数の累算値からトナーの残量を求める手法では、対象個数「1個」の場合とトナー残量の検出結果がずれてしまう。また、対象個数が「3個」や「4個」のように多くなると、さらにずれは大きくなる。よって、伝達状態としたクラッチ150の数に応じた補正量で求めたトナー残量を補正することにより、モータ120の回転軸の回転数の累算値と、トナー残量との関係を正確に求めることができる。具体的には、同時刻に伝達状態となったクラッチ150が多いほど、単位時間当たりの供給部材の回転数は減少するため、単位時間当たりのトナー供給量は減少する。したがって、制御部1は、時間Tu1,Tu2,To1、To2等の伝達の状態の遷移に要する時間を、伝達状態としたクラッチ150の数に応じて使い分けて、クラッチ150の数が多いほど残量が多くなるような補正量で、回転数の累算値から求めたトナーの残量を補正するとよい。また、単位時間当たりのトナー供給量をH1,H2が異なるのであれば、その差異をも加味した補正量とすることが好ましい。
【0043】
また、環境条件においては、温度が高かったり、湿度が低いほど、トナーが固着しやすくなり、供給部材111の供給力が一定でも単位時間当たりの供給量が小さくなるから、このような場合には、供給時間を長くするよう補正してもよい。
【0044】
また、図8(a)、(b)に示すように、クラッチ150の伝達状態と非伝達状態とを切り替える際には、その遷移に時間を要してしまい、時刻T=0〜Tu1、0〜Tu2の非伝達状態から非伝達状態への遷移中にトナーの供給を開始してしまうと、単位時間当たりのトナーの供給量は伝達状態のときよりも少なくなってしまう。よって、制御部1は、モータ120の駆動を開始させてから、或る程度時間が経過してからクラッチ150を伝達状態に切り替えることが好ましい。また、伝達状態から非伝達状態に遷移するときにおいては、ハッチングで図示した領域に相当する分だけ供給量が多くなるから、制御部1はこの遷移時におけるトナーの供給量を加味して、トナー供給時間を補正することが好ましい。
【0045】
(3−3)変形例3
上述した実施形態では、1つの画像データに応じた画像を形成するたびに、制御部1はトナー濃度検出センサ80にトナー濃度を検出させ、トナーを供給するか否かを判定していた。これに対し、制御部1は、所定時間ごとに行ってもよいし、画像データの内容に基づいてトナーの供給タイミングを決定してもよい。後者の場合、例えば現像器50内のトナーが閾値Th1付近まで減少している場合に、次に形成する画像に著しく多量のトナーを必要とする場合には、現像器50内のトナーが不足してしまう虞がある。よって、制御部1は、画像を形成する前に画像データにおける有色画素(トナー像を形成する位置に対応する画素)を画素カウンタによって計数し、その数が所定値よりも大きい場合にトナー濃度の検知を行わせてもよい。
【0046】
また、トナー供給装置の構成は、図3に示したトナー供給装置90に限らず、図9に示したトナー供給装置90aとしてもよい。同図において、トナー供給装置90と同じ構成部品には同じ符号を付している。このトナー供給装置90aにおいては、シャフト130からクラッチ150へと駆動力を伝達される構成がトナー供給装置90とは異なっている。同図に示すように、モータ出力ギア190の中心にシャフト130が貫通しており、シャフト130の回転によってモータ出力ギア190も回転させられるようになっている。そして、クラッチ150とモータ出力ギア190とは、アイドラーギア210a及び210bを介して連結されている。すなわち、クラッチ150C及びクラッチ150Mは、モータ120が発生させた駆動力を、モータ出力ギア190およびアイドラーギア210a,210を介して受け取っている点で、トナー供給装置90と異なっている。また、クラッチ150Y及びクラッチ150Kは、アイドラーギア210c及び210dを介して、モータ出力ギア190と連結されており、ここから駆動力を受け取っている。このように、クラッチ150がモータ120によって発生された駆動力を受け取り、クラッチ150が伝達状態のときのみに、トナー収容器110の供給部材111に駆動力を与える構成であれば、トナー供給装置の構成は前掲したものに限らない。
【0047】
(3−4)変形例4
上述した実施形態では、制御部1は、トナー供給時間に応じてクラッチ150の伝達状態と非伝達状態とを制御することによって、トナー供給時間の間だけトナーを供給するようにしていた。これに対し、制御部1は、トナー供給時間だけモータ120を駆動させ、それが経過したら停止させることにより、トナー供給時間のみトナーを供給することができる。ただし、この場合においては、複数の現像器50に同量のトナーを供給することになる。また、制御部1は、トナー供給時間に応じてクラッチ150の伝達状態と非伝達状態とを制御することと併せて、モータ120の駆動を制御するようにしてもよい。
要するに、制御部1は、伝達手段であるクラッチ150による駆動力の伝達の状態と、駆動手段であるモータ120による駆動の状態のうち少なくとも一方を制御して、現像器50にトナーを供給するトナー収容器110の個数の増減にかかわらず、トナー収容器110から現像器50へのトナー供給量を一定にすればよい。
【0048】
また、トナーを供給する条件として、「現像器50内のトナー濃度が閾値Th1以下」を採用していたが、これは現像器50毎に異なっていてもよい。また、駆動手段であるモータ120は1個でなくてもよく、トナー供給装置の数(実施形態では「4個」)より少数であればよい。また、トナー供給装置90の数においても「4個」に限らず複数であればよい。
また、上述した実施形態では、供給部材111が駆動力によって回転させられることによって、トナー供給装置90はトナーを現像器50へと供給していたが、その態様は回転に限らず、搬送部材の駆動によって駆動の状態に応じた量のトナーを供給するものであればよい。例えば、供給部材の駆動回数に応じた量のトナーが供給される構成のものでもよい。また、画像形成装置100のような通信部3によって受信した画像データに応じた画像を形成する装置に限らず、画像読取手段が生成した画像データに応じた画像を形成するコピー装置にトナー供給装置90が内蔵されていてもよく、トナーを含む現像剤を用いて画像を形成する装置であれば、実施形態と同じようにして、その装置にトナー供給装置90を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成部の画像形成を行う要部の構造を示す図である。
【図3】トナー供給装置の構成を説明する図である。
【図4】トナー収容器の内部構成を模式的に表した図である。
【図5】駆動制御テーブルの一例を示した図である。
【図6】画像形成装置の制御部が現像器にトナーするための処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】クラッチの伝達状態又は非伝達状態の切り替わりの様子を示すタイミングチャートである。
【図8】トナー供給装置による単位時間当たりのトナー供給量の時系列的な遷移の様子を示すタイムチャートである。
【図9】変形例に係るトナー供給装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1…制御部、10,10C,10M,10Y,10K…画像形成ユニット、100…画像形成装置、110,110C,110M,110Y,110K…トナー収容器、111…供給部材、120…モータ、130…シャフト、140…ラックギア、150,150C,150M,150Y,150K…クラッチ、160…クラッチギア、170…駆動伝達ギア、180…トナー供給ギア、190…モータ出力ギア、2…記憶部、20…感光体ドラム、200…中間転写ベルト、210,210a,210b,210c,210d…アイドラーギア、2a…駆動制御テーブル、3…通信部、30…帯電器、4…操作部、40…露光器、5…画像形成部、50,50C,50M,50Y,50K…現像器、60…転写器、70…除電器、80…トナー濃度検出センサ、90,90M,90Y,90K…トナー供給装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生させる駆動手段と、
トナーと、前記駆動手段が発生させた駆動力により駆動させられる供給部材とを収容し、トナーを含む現像剤を用いて像を形成する複数の現像手段のそれぞれに対し、前記供給部材の駆動に応じてトナーを供給する複数のトナー収容手段と、
各々の前記供給部材のうち少なくともいずれか1つに対し、前記駆動手段によって発生させられた駆動力を伝達するか、又は、いずれの前記供給部材にも前記駆動力を伝達しない伝達手段と、
トナーを供給する前記現像手段を特定し、特定した当該現像手段にトナーを供給するトナー収容手段に収容される前記供給部材を前記駆動力によって駆動させるよう、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態及び前記駆動手段による駆動の状態を制御する制御手段であって、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態又は前記駆動手段による駆動の状態のうち少なくとも一方を制御して、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数の増減にかかわらず、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする制御手段と
を備えることを特徴とするトナー供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が多くなるほど、前記供給部材に駆動力を伝達する時間を長くするように、前記伝達手段による駆動力の伝達の状態又は前記駆動手段による駆動の状態のうち少なくとも一方を制御して、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする
ことを特徴とする請求項1に記載のトナー供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、少なくとも1つの前記現像手段に対してトナーを供給しているときに、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が増加した場合には、前記伝達手段によって前記供給部材に駆動力が伝達される時間を長くし、当該個数が減少した場合には、当該時間を短くして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする
ことを特徴とする請求項2のトナー供給装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が多くなるほど、前記駆動手段が駆動力を発生させるときの単位時間当たりの駆動回数を多くして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする
ことを特徴とする請求項1に記載のトナー供給装置。
【請求項5】
前記制御手段は、少なくとも1つの前記現像手段に対してトナーを供給しているときに、前記現像手段にトナーを供給するトナー収容手段の個数が増加した場合には、当該トナーを供給しているときの前記駆動手段の前記駆動回数を多くし、当該個数が減少した場合には、当該駆動回数を少なくして、前記トナー収容手段から前記現像手段へのトナー供給量を一定にする
ことを特徴とする請求項4に記載のトナー供給装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー供給装置と、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段によって帯電された前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像形成手段によって形成された潜像を、前記トナー供給装置から供給されるトナーを含む現像剤を用いて現像する現象手段と、
前記現像手段によって現像された像を記録媒体に転写する転写手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−175280(P2009−175280A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11914(P2008−11914)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】