説明

トリム材の製造方法及び製造装置

【課題】補強用の芯材が埋設されたウェザーストリップの切断端面に芯材が露出することを確実に防止できるようにする。
【解決手段】把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に未加硫のシート状のゴム材料29を配置した後、成形型35を接近移動させて両型32,35を当接させることで、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に形成されたキャビティ52a内にゴム材料29を充填して被覆部を成形し、この被覆部とウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21とを加硫接合する。これにより、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(芯材が埋設された取付部の切断端面)を被覆部で被覆して、ウェザーストリップの切断端面に芯材が露出することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強用の芯材が埋設された長尺な連続トリム材を所定長さに切断したトリム材本体の切断端面を被覆したトリム材の製造方法及び製造装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のドア開口縁に沿って装着されるトリム材は、ゴム等のポリマー材料の押出成形により金属製や樹脂製の長尺な芯材を連続して埋設して一体化して補強することで、ドア開口縁に安定して固定できるようにしている。
【0003】
このように補強用の芯材が埋設されたトリム材は、押出成形により連続的に成形された連続トリム材を所定の長さで切断して形成されるため、トリム材の切断端面には芯材が露出する。トリム材の切断端面に芯材が露出した状態でトリム材を使用すると、芯材が金属製の場合には、芯材が錆びて錆汁がトリム材や被取付体(部)に付着して見栄えが悪くなるおそれがある。また、トリム材の切断端面に露出した芯材の切断端面が被取付体(部)に当って被取付体(部)を傷付けたり、芯材の切断端面で作業者が怪我をするおそれもある。
【0004】
この対策として、特許文献1(特開2000−247190号公報)に記載されているように、トリム材を被取付部に装着する際に、切断端面に露出した芯材の端末部を切断及び除去して、トリム材の切断端面に芯材が露出しないようにしたものがある。
【0005】
また、トリム材の切断端面に液状やペースト状の被覆剤(芯材が金属製の場合には防錆剤)を塗布して、トリム材の切断端面に芯材が露出しないようにしたものもある。
【特許文献1】特開2000−247190号公報(第2頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の技術のように、トリム材の切断端面に露出した芯材の端末部を切断及び除去しても、トリム材の切断端面から内部に浸入した水分で芯材が錆びて錆汁がトリム材の切断端面から流れ出る可能性があり、錆汁がトリム材の表面や被取付部に付着して見栄えが悪くなるおそれがある。
【0007】
また、トリム材の切断端面に防錆塗料等の被覆剤を塗布する場合、一般に防錆剤等の被覆剤は手作業で塗布するため、被覆剤の量の塗布ばらつきが大きく、また被覆剤が塗布されていない部分で芯材の錆びが発生したり、或は、被覆剤が切断端面の全面に塗布されていても乾燥後の厚さが数十ミクロン程度にしか塗布できないので、被覆剤の被膜では芯材の突出を覆いきれないことがあり、芯材の切断端面で被取付部が傷付いたり作業者が怪我をするおそれもある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、トリム材の切断端面に芯材が露出することを確実に防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、複合押出成形により補強用の芯材が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続トリム材を所定長さに切断したトリム材本体の切断端面の少なくとも芯材に対応する部分(以下「被覆予定端面」という)を被覆部で被覆したトリム材を製造する方法であって、トリム材本体を把持するための把持型と、被覆部を成形するための成形型とを接近及び離間可能に対向して配置され、把持型にはトリム材本体の被覆予定端面を成形型と対向するように露出させた状態で該トリム材本体を把持する把持部が設けられている共に、成形型には被覆部の少なくとも一部を成形する被覆部成形部が把持型と対向するように設けられた装置を用い、把持型に対するトリム材本体の移動が阻止されるように把持型にトリム材本体を把持させる把持工程と、把持型と成形型とを当接させた状態で把持型に把持されたトリム材本体の被覆予定端面と成形型の被覆部成形部との間に形成されるキャビティの容積を上回る体積を有する未加硫のシート状のゴム材料を把持型と成形型とを離間させた状態でトリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に配置するゴム材料配置工程と、把持型と成形型の少なくとも一方を移動させて両型の対向面同士を当接させることでトリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に挟まれたゴム材料を厚さ方向に圧縮すると共に該厚さ方向と交差する方向に流動させてトリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に形成されたキャビティ内にゴム材料を充填して被覆部を成形する成形工程と、ゴム材料を加熱して加硫硬化させると共にトリム材本体の被覆予定端面にゴム材料で成形された被覆部を加硫接合させる接合工程と、把持型によるトリム材本体の把持を解除する把持解除工程と、把持型から被覆部が一体的に形成されたトリム材を取り出す取出工程とを実行するようにしたものである。この場合、トリム材本体を製造する工程の後に、本発明のトリム材の製造方法(把持工程、ゴム材料配置工程、成形工程、接合工程、把持解除工程、取出工程)を実行するようにしても良い。或は、予め製造されたトリム材本体を購入や支給等により入手して、本発明のトリム材の製造方法を実行するようにしても良い。
【0010】
本発明のトリム材の製造方法では、シート状のゴム材料で被覆部を成形して、トリム材本体の被覆予定端面(切断端面の少なくとも芯材に対応する部分)に被覆部を接合することができるため、トリム材本体の被覆予定端面を被覆部で被覆することができ、トリム材の切断端面に芯材が露出することを確実に防止することができる。これにより、芯材の切断端面の錆びを防止することができ、錆汁によるトリム材や被取付部の見栄えの悪化を未然に防止することができると共に、芯材の切断端面による被取付部の傷付きや作業者の怪我を未然に防止することができる。
【0011】
また、トリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に形成されたキャビティで被覆部を成形することができるため、芯材の露出を防止する形状の被覆部をばらつきなく安定して成形することができる。更に、トリム材本体の被覆予定端面に被覆部を加硫接合させることができるため、トリム材本体の被覆予定端面に被覆部を強固に接合することができる。
【0012】
この場合、請求項2のように、ゴム材料配置工程において、トリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に配置するシート状のゴム材料は、トリム材本体の被覆予定端面を上回る外形を有するように形成すると良い。このようにすれば、トリム材本体の被覆予定端面を上回る外形のシート状のゴム材料で被覆部を成形することができるので、トリム材本体の被覆予定端面を被覆するのに十分な大きさの被覆部を確実に成形することができる。
【0013】
また、請求項3のように、被覆部の断面形状をトリム材本体の切断端面の形状とほぼ同じになるように形成するようにすると良い。このようにすれば、トリム材本体に対して段差なく連続的に被覆部を接合することができ、トリム材の端末の見栄えを向上させることができる。
【0014】
更に、請求項4のように、把持型と成形型は、一直線上で対向するように配置すると良い。このようにすれば、トリム材本体の被覆予定端面に対して被覆部(シート状のゴム材料)をほぼ直角に押圧して接合することができ、トリム材本体の被覆予定端面に被覆部を確実に且つ強固に接合することができる。
【0015】
また、請求項5のように、成形工程において、トリム材本体の被覆予定端面に存在する隙間にゴム材料の一部を入り込ませるようにしても良い。このようにすれば、ゴムの加硫接合に加えて、隙間に入り込んだゴムによる物理的な接合(即ち、接合面積の増加やアンカー作用)も加わり、トリム材の被覆予定端面に被覆部をより強固に接合することができる。
【0016】
また、請求項6のように、把持型に、トリム材本体を位置決めする位置決め部材を設け、把持工程において、把持型にトリム材本体を把持させる際にトリム材本体の切断端面を位置決め部材に突き当てることでトリム材本体を位置決めするようにしても良い。このようにすれば、把持型にトリム材本体を把持させる際にトリム材本体を簡単に位置決めすることができる。
【0017】
また、請求項7、14のように、把持型の把持部及び/又は成形型の被覆部成形部を入れ子に形成するようにしても良い。このようにすれば、入れ子を交換することで、他の断面形状のトリム材に対応することができる。また、入れ子を取り外した状態で清掃、修理等のメインテナンス作業を行うことができ、メインテナンス作業が容易になる。
【0018】
更に、請求項8、16のように、成形型に、キャビティ内に残るガス(空気)を該キャビティ外へ逃がすガス抜き手段を設けるようにすると良い。このようにすれば、被覆部を成形する際に、キャビティ内のガスをガス抜き手段によってキャビティ外へ逃がすことで、キャビティ内にガスが滞留することを防止して、被覆部にガス溜りに起因して生じる欠肉が発生することを防止できる。
【0019】
具体的には、請求項9、17のように、成形型の被覆部成形部が複数の入れ子に形成されている場合、ガス抜き手段として、複数の入れ子の合わせ面に微小隙間を形成するようにすると良い。このようにすれば、キャビティ内のガスを、成形型の入れ子の合わせ面に設けた又は合わせ面に生じた微小隙間を介してキャビティ外へ逃がすことができる。
【0020】
或は、請求項10、18のように、ガス抜き手段として、成形型の被覆部成形部の成形面の少なくとも1箇所にガス抜き溝を設けるようにしても良い。このようにすれば、キャビティ内のガスを、該被覆部成形部の成形面に設けたガス抜き溝を介してキャビティ外へ逃がすことができる。
【0021】
また、請求項11、20のように、成形型の被覆部成形部の外周に沿って切断刃を設け、トリム材本体の被覆予定端面と被覆部成形部との間に形成されたキャビティ内にゴム材料を充填して被覆部を成形する際にゴム材料のうちの被覆部成形部の外周側にはみ出た部分を切断刃で切断するようにしても良い。このようにすれば、被覆部の成形と同時にゴム材料のうちの被覆部成形部の外周側にはみ出た部分を切断刃で切断する(つまり被覆部の外周に沿ってゴム材料を切断する)ことができるので、取出工程後に被覆部の外周に沿ってゴム材料を切断する工程を別途設ける必要がなくなる。
【0022】
本発明は、請求項12のように、シール部が一体的に形成された自動車用のウェザーストリップに適用しても良い。このようにすれば、ウェザーストリップの切断端面に芯材が露出することを確実に防止することができる。
【0023】
また、本発明のトリム材の製造装置は、請求項13のように、トリム材本体を把持するための把持型と、被覆部を成形するための成形型とを接近及び離間可能に対向して配置し、把持型にはトリム材本体の被覆予定端面を成形型と対向するように露出させた状態で該トリム材本体を把持する把持部を設ける共に、成形型には被覆部の少なくとも一部を成形する被覆部成形部を把持型と対向するように設け、把持型と成形型とを離間させることで把持型に把持されたトリム材本体の被覆予定端面と成形型の被覆部成形部との間に未加硫のシート状のゴム材料を配置するスペースが形成され、把持型と成形型の少なくとも一方を移動させて両型の対向面同士を当接させることで把持型に把持されたトリム材本体の被覆予定端面と成形型の被覆部成形部との間に被覆部を成形するキャビティが形成されて該キャビティが未加硫のシート状のゴム材料の体積を下回る容積を有するように構成すると良い。この製造装置を用いれば、トリム材本体の被覆予定端面を被覆部で被覆したトリム材を容易に製造することができる。
【0024】
また、請求項15のように、成形型に対して被覆部成形部が形成された入れ子を把持型と接近及び離間する方向に位置調整可能に設けるようにしても良い。このようにすれば、把持型と成形型とを当接状態(全閉状態)にしたときに、成形型の被覆部成形部が把持型に過度に押しつけられないように、被覆部成形部が形成された入れ子の位置を調整することができる。
【0025】
更に、請求項19のように、成形型の被覆部成形部は、略U溝形状に形成するようにしても良い。このようにすれば、先端面の隅部が面取りされた形状の被覆部を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1を図1乃至図7に基づいて説明する。
図1に示すように、自動車の車体パネル11(被取付体)のリアドア開口縁12(被取付部)に沿って装着される長尺なウェザーストリップ13(トリム材)は、リアドア開口縁12の上側部に装着される上側ウェザーストリップ14と、リアドア開口縁12の前側部に装着される前側ウェザーストリップ15と、リアドア開口縁12の後側部に装着される後側ウェザーストリップ16と、上側ウェザーストリップ14の前端部と前側ウェザーストリップ15の上端部とを接合する前側コーナー部17と、上側ウェザーストリップ14の後端部と後側ウェザーストリップ16の上端部とを接合する後側コーナー部18とから構成されている。また、前側ウェザーストリップ15の下端部と後側ウェザーストリップ16の下端部は接合されずに離れた状態で、別に成形されたカバー部材19によって覆われている。
【0028】
次に、前側及び後側ウェザーストリップ15,16(つまり下端部が他のウェザーストリップと接続されないウェザーストリップ)の構成について説明する。但し、前側及び後側ウェザーストリップ15,16の要部は実質的に同じ構成であるため、図2及び図3を用いて、前側ウェザーストリップ15の構成について説明し、後側ウェザーストリップ16の構成については説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、前側ウェザーストリップ15は、複合押出成形(共押出成形ともいう)により連続的に成形されて補強用の芯材25(図3参照)が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続ウェザーストリップ(連続トリム材)を所定長さに切断したウェザーストリップ本体20(トリム材本体)と、このウェザーストリップ本体20の切断端面のうちの後述する被覆予定端面21(図3参照)を被覆するゴム製の被覆部22とから構成されている。
【0030】
図3に示すように、ウェザーストリップ本体20は、EPDM等のゴム材料の押出成形により横断面略U字形状でソリッドゴム又は僅かに発泡したゴムからなる取付部23と、この取付部23の車外側の一側面にスポンジゴム製の中空シール部24とが一体的に形成され、取付部23には、金属板で形成された補強用の芯材25が複合押出成形により埋設されている。また、取付部23の車外側側壁23aの内周面及び車内側側壁23bの内周面には、それぞれ内側に向けて突出する1つ又は複数の保持リップ26が一体的に形成されている。
【0031】
車体パネル11のリアドア開口縁12に沿って設けられたフランジ(図示せず)に前側ウェザーストリップ15の取付部23を被せたときに、保持リップ26が弾性変形してフランジを車外側と車内側の両側から挟むことで、前側ウェザーストリップ15がフランジに装着される。
【0032】
芯材25は、長尺な略帯板状の芯材素材(金属板)を打ち抜き加工することにより、長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の芯材片部27と、これら複数の芯材片部27を長手方向に連結する連結部28とが一体的に形成されている。
【0033】
また、ウェザーストリップ本体20の切断端面のうちの中空シール部24と保持リップ26を除いた部分(つまり芯材25が埋設された取付部23の切断端面)が被覆予定端面21であり、図2に示すように、この被覆予定端面21が被覆部22によって被覆されている。この被覆部22は、後述する製造方法によりEPDM等の未加硫ゴム材料で形成されたシート状のゴム材料29(図7参照)を用いて成形されると共に加硫接合により被覆予定端面21に一体的に接合されている。
【0034】
被覆部22の厚さ寸法が厚過ぎると、被覆部22の成形時に被覆部22を成形するシート状のゴム材料29を厚くする必要があり、被覆部22の加硫が完了するまでに長時間を要するおそれがある。逆に、被覆部22の厚さ寸法が薄過ぎると、芯材25の切断端面が被覆部22から突出するおそれがある。これらの事情を考慮して、被覆部22の厚さ寸法は、例えば0.5〜5mm(好ましくは1〜3mm、より好ましくは1.5〜2.5mm)に設定されている。
【0035】
次に、図4乃至図7を用いて、前側ウェザーストリップ15の製造装置30(被覆部22の成形装置)について説明する。
図4に示すように、前側ウェザーストリップ15の製造装置30は、取付板31の上面に、把持型32と二本のスライドレール33がボルト34等によって固定され、このスライドレール33に沿って成形型35を把持型32に対して接近及び離間する方向にスライド移動可能に設けることで、把持型32と成形型35とが一直線上で対向するように配置されている。成形型35は、駆動手段としてのエアシリンダ36のシリンダロッド36aに連結され、このエアシリンダ36によって成形型35が把持型32に対して接近移動(接近する方向にスライド移動)又は離間移動(離間する方向にスライド移動)するようになっている。
【0036】
図5に示すように、把持型32には、上型37と下型38が開閉可能に設けられている。下型38に固定されたガイドピン39に、上型37に設けられたガイドブッシュ40が挿通されることで、上型37がガイドピン39に沿って上下方向にスライド移動できるようになっている。また、下型38の側面には、支持フレーム41がボルト42等によって固定され、この支持フレーム41の上部に、エアシリンダ43(図4参照)が取り付けられている。上型37は、エアシリンダ43のシリンダロッド43aに連結され、このエアシリンダ43によって上型37がガイドピン39に沿って上方に移動して把持型32を開放する開放位置と、ガイドピン39に沿って下方に移動して把持型32を閉鎖する閉鎖位置との間を移動するようになっている。
【0037】
把持型32の上型37には、上型入れ子44が着脱可能に設けられ、この上型入れ子44の下面に、ウェザーストリップ本体20の上側の外面(リアドア開口縁12に装着されたときに内周側になる外面)を把持するための上型把持部46が、ウェザーストリップ本体20の上側の外面形状に対応したほぼ同じ形状に形成されている。一方、把持型32の下型38には、下型入れ子45が着脱可能に設けられ、この下型入れ子45の上面に、ウェザーストリップ本体20の下側の外面(リアドア開口縁12に装着されたときに外周側になる外面)を把持するための下型把持部47が、ウェザーストリップ本体20の下側の外面形状に対応したほぼ同じ形状に形成されている。
【0038】
これらの上型把持部46と下型把持部47は、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(取付部23の切断端面)を成形型35と対向するように露出させた状態で該ウェザーストリップ本体20を上下方向及び左右方向に位置決めして把持するように設けられている。
【0039】
また、図5及び図7に示すように、把持型32の下型38の端面には、ウェザーストリップ本体20を長手方向で位置決めするための位置決め板48(位置決め部材)が対向面32aから後退した位置にボルト49等によって固定されている。この位置決め板48は、ウェザーストリップ本体20の中空シール部24の切断端面に対応する部分に配置され、下型38にウェザーストリップ本体20をセットする際に、ウェザーストリップ本体20の中空シール部24の切断端面を位置決め板48に当接させることで、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(取付部23の切断端面)が把持型32の対向面32aから所定寸法(位置決め板48の厚さと同一寸法)だけ後退した位置に位置決めされるようになっている。
【0040】
一方、図6に示すように、成形型35には、一対の入れ子50,51が着脱可能に設けられ、これらの入れ子50,51に、被覆部22を成形するための被覆部成形部52が把持型32と対向するように設けられている。この被覆部成形部52は、ウェザーストリップ本体20の長手方向における被覆部22の横断面形状がウェザーストリップ本体20の取付部23の切断端面の形状に対応したほぼ同じ形状になるように形成されている。これにより、ウェザーストリップ本体20の取付部23に対して段差なく連続的に被覆部22を接合することができ、前側ウェザーストリップ15の端末の見栄えを向上させることができる。また、被覆部成形部52を窪ませて、窪みの横断面形状を略U溝形状に形成するようにしても良く、このようにすれば、被覆部22の先端面の隅部が面取りされた形状を容易に得ることができる。また、把持型32の形状やウェザーストリップ本体20の配置によっては、被覆部成形部52の形状を平坦面や凸形状にすることもできる。
【0041】
一対の入れ子50,51は、上下方向に分割されるように形成され、各入れ子50,51に設けられた合わせ孔54に合わせピン55を挿通することで、入れ子50,51同士を固定し位置ずれが防止されるようになっている。また、入れ子50,51の合わせ面(割り面)には、被覆部22の成形時に後述するキャビティ52a(把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に形成されるキャビティ)内に残るガス(空気)を該キャビティ52aの外へ逃がすための微小隙間53(ガス抜き手段)が生じ又は設けられている。被覆部22を成形する際に、キャビティ52a内のガスを入れ子50,51の合わせ面に形成した微小隙間53を介してキャビティ52aの外へ逃がすことで、キャビティ52a内にガスが滞留することを防止して、被覆部22にガス溜りに起因する欠肉が発生することを防止する。この微小隙間53は、キャビティ52a内のガスが逃げ易く且つ被覆部22のゴム材料が入り込み難くなるように、例えば0.01〜0.03mmに設定されている。
【0042】
尚、入れ子50,51の合わせ面からガスが抜け難い分割方法の場合、或は、成形型35の入れ子を分割しない場合や入れ子を設けない場合には、成形型35の被覆部成形部52の成形面の少なくとも1箇所(例えば後述する切断刃56)にガス抜き溝(ガス抜き手段)を設けるようにしても良い。このようにすれば、キャビティ52a内のガスを、被覆部成形部52の成形面に設けたガス抜き溝を介してキャビティ52aの外へ逃がすことができる。また、入れ子50,51全体又は被覆部成形部52を形成する部分の少なくとも一部を、焼結金属等の多孔質体で形成しても良い。
【0043】
図6及び図7に示すように、入れ子50,51には、被覆部22の外周に沿ってシート状のゴム材料29の余分な部分(被覆部成形部52の外周側にはみ出した部分)を切断するための切断刃56が、被覆部成形部52の外周に沿って環状に設けられている。この切断刃56の外周側には、切断されたシート状のゴム材料29の外周部(はみ出し部)を受け入れるための逃げ部57が設けられている。
【0044】
また、図7に示すように、成形型35の対応面35a側には、入れ子50,51をスライド移動させて位置を調整可能に保持する保持凹部58が設けられ、この保持凹部58内に保持された入れ子50,51の裏面側に、クッション体59と受け板60が配置されている。一方、成形型35の対応面35aと反対側には、複数のネジ孔61が保持凹部58まで貫通するように設けられ、各ネジ孔61に、それぞれ入れ子位置調整ボルト62が捩じ込まれて、各入れ子位置調整ボルト62の先端部が受け板60に当接している。
【0045】
これにより、各入れ子位置調整ボルト62の捩じ込み量を調整することで、成形型35に対して入れ子50,51を把持型32と接近及び離間する方向に位置調整でき、把持型32と成形型35とを当接状態(全閉状態)にしたときに、成形型35の被覆部成形部52が把持型32に過度に押しつけられないように、入れ子50,51の位置を調整することができる。また、各入れ子位置調整ボルト62には、入れ子位置調整ボルト62の捩じ込み量を調整後に固定するためのロックナット63が螺合されている。
【0046】
また、把持型32と成形型35には、それぞれ複数のヒータ64,65(図5及び図6参照)が内蔵され、これらのヒータ64,65で加熱された把持型32や成形型35からの伝導熱でシート状のゴム材料29を加熱すると共にシート状のゴム材料29を加硫させるようになっている。
【0047】
製造装置30は、図7に実線で示すように、成形型35を後退させて把持型32と成形型35とを離間させることで把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に未加硫のシート状のゴム材料29を配置するスペースが形成され、図7に二点鎖線で示すように、成形型35を把持型32に向けてスライド移動させて両型32,35の対向面同士を当接させることで把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に被覆部22を成形するキャビティ52aが形成されて、該キャビティ52aがシート状のゴム材料29の体積を下回る容積を有するようになっている。
【0048】
次に、前側ウェザーストリップ15の製造方法(被覆部22の成形方法)について説明する。
前側ウェザーストリップ15を製造する(被覆部22を成形する)場合には、まず、複合押出成形により補強用の芯材25が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続ウェザーストリップを所定長さに切断(取付部23の端面と中空シール部24の端面とが段差のない同一面となるように切断)したウェザーストリップ本体20を用意する。この場合、ウェザーストリップ本体20を製造する工程の後に、本実施例の前側ウェザーストリップ15の製造方法(把持工程、ゴム材料配置工程、成形工程、接合工程、把持解除工程、取出工程)を実行するようにしても良い。或は、予め製造されたウェザーストリップ本体20を購入や支給等により入手して、本実施例の前側ウェザーストリップ15の製造方法を実行するようにしても良い。
【0049】
また、製造能率の観点から製造装置30の把持型32と成形型35をヒータ64,65で加熱して、把持型32と成形型35の温度をシート状のゴム材料29を加硫可能な温度(例えば180〜250℃)まで予め上昇させておくのが好ましい。
【0050】
この後、把持工程を実行する。この把持工程では、図5に示すように、把持型32と成形型35を離間させた状態で、把持型32の上型37を開放位置へ移動させて把持型32を開放状態にしておく。この状態で、把持型32の下型38に、ウェザーストリップ本体20をセットする。その際、図7に示すように、ウェザーストリップ本体20の中空シール部24の切断端面を位置決め板48に当接させることで、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(取付部23の切断端面)を把持型32の対向面32aよりも所定寸法、即ち、位置決め板48の厚さと同一寸法だけ後退した位置に位置決めする。この後、把持型32の上型37を閉鎖位置へ移動させて把持型32を閉鎖状態にすることで、上型把持部46と下型把持部47とによってウェザーストリップ本体20を把持して、把持型32に対するウェザーストリップ本体20の移動が阻止されるようにする。
【0051】
把持工程の実行後、把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に未加硫のシート状のゴム材料29を配置するゴム材料配置工程を実行する。このゴム材料配置工程では、把持型32と成形型35を離間させた状態で、把持型32の対向面32aのうちのウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21が露出した部分に、未加硫ゴム材料で形成されたシート状のゴム材料29を貼り付ける。その際、シート状のゴム材料29は、把持型32と成形型35とを当接させたときに把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に形成されるキャビティ52aの容積を上回る体積を有し、且つ、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21を上回る外形を有するように形成しておく。これにより、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21を上回る外形のシート状のゴム材料29で被覆部22を成形することができるので、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21を被覆するのに十分な大きさの被覆部22を確実に成形することができる。
【0052】
ゴム材料配置工程の実行後に、成形工程を実行する。この成形工程では、成形型35を接近移動させて把持型32と成形型35を当接させる。これにより、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に挟まれたゴム材料29を厚さ方向に圧縮すると共にキャビティ52a内で該厚さ方向と交差する方向に流動させてウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に形成されたキャビティ52a内にゴム材料29を充填して被覆部22を成形すると共に、被覆部成形部52の外周に沿って環状に設けられた切断刃56の先端が把持型32の対向面32aに当接して被覆部22の外周に沿ってシート状のゴム材料29の余分な部分(被覆部成形部52の外周側にはみ出した部分)を切断する。
【0053】
この際、ヒータ64,65で加熱された把持型32と成形型35からの伝導熱でゴム材料29が加熱されるため、ゴム材料29のムーニー粘度が一時的に低下して流動良好な状態になり、ゴム材料29が流動良好な状態のときに、ゴム材料29の一部を更に流動させて取付部23の芯材25との空隙に入り込ませる。この際、取付部23が僅かに発泡したゴム材料(内部に多数の微小な気泡を有するゴム材料)で成形されている場合には、ゴム材料29の一部を取付部23の切断端面に露出した多数の微細孔にも入り込ませることができる。
【0054】
成形工程の実行後に、接合工程を実行する。この接合工程では、把持型32と成形型35を当接させた状態で所定の加硫所要時間(例えば60秒)だけ維持する。これにより、ヒータ64,65で加熱された把持型32と成形型35からの伝導熱でゴム材料29を加硫させると共に、ゴム材料29で成形された被覆部22とウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21とを加硫接合することで、被覆部22を強固に接合する。この際、取付部23の空隙や微細孔、切断によって形成された凹凸等による接合面積の増大、空隙や微小孔に入り込んだゴム材料29のアンカー作用(機械的な嵌まり合いによる固着作用)も付加されるため、被覆部22とウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21との接合力を、化学的な加硫接合と接合面積の増大や機械的なアンカー作用といった物理的な接合の両方によって高めることができる。
【0055】
成形工程の実行後に、把持解除工程を実行して、把持型32の上型37を開放位置へ移動させて把持型32を開放状態にすることで、把持型32によるウェザーストリップ本体20の把持を解除する。
【0056】
把持工程の実行後に、取出工程を実行して、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(取付部23の切断端面)に被覆部22が接合された前側ウェザーストリップ15を把持型32から取り出す。これにより、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21が被覆部22で被覆された前側ウェザーストリップ15の製造が完了する。
【0057】
以上説明した本実施例1では、把持型32に把持されたウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と成形型35の被覆部成形部52との間に未加硫のシート状のゴム材料29を配置した後、成形型35を接近移動させて両型32,35を当接させることで、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に形成されたキャビティ52a内にゴム材料29を充填して被覆部22を成形し、この被覆部22とウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21とを加硫接合するようにしたので、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21(芯材25が埋設された取付部23の切断端面)をゴムの被覆部22で被覆することができ、前側ウェザーストリップ15の切断端面に芯材25が露出することを確実に防止することができる。これにより、芯材25の切断端面の錆びを防止することができ、錆汁による前側ウェザーストリップ15や車体パネル11の見栄えの悪化を未然に防止することができると共に、芯材25の切断端面による車体パネル11の傷付きや作業者の怪我を未然に防止することができる。
【0058】
また、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に形成されたキャビティ52aで被覆部22を成形することができるため、芯材25の露出を防止する形状の被覆部22をばらつきなく安定して成形することができる。更に、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21に被覆部22を加硫接合させることができるため、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21に被覆部22を強固に接合することができる。
【0059】
また、本実施例1では、把持型32と成形型35を一直線上で対向するように配置したので、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21に対して被覆部22(シート状のゴム材料29)をほぼ直角に押圧して接合することができ、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21に被覆部22を確実に且つ強固に接合することができる。
【0060】
しかしながら、把持型32と成形型35を一直線上で対向するように配置した構成に限定されず、ウェザーストリップ本体20の端末が斜めに切断される仕様では、把持型32と成形型35を対応する斜め方向に対向するように配置した構成としても良い。
【0061】
更に、本実施例1では、把持型32の入れ子44,45に把持部46,47を形成すると共に、成形型35の入れ子50,51に被覆部成形部52を形成するようにしたので、把持型32の入れ子44,45と成形型35の入れ子50,51を交換することで、他の断面形状のウェザーストリップに対応することができる。また、把持型32の入れ子44,45や成形型35の入れ子50,51を取り外した状態で清掃、修理等のメインテナンス作業を行うことができ、メインテナンス作業が容易になる。
【0062】
しかしながら、把持型32と成形型35は、必ずしも入れ子を備えた構成に限定されず、把持型32と成形型35のうちの一方又は両方を、入れ子を備えていない構成としても良い。
【0063】
また、本実施例1では、成形型35の被覆部成形部52の外周に沿って切断刃56を設け、ウェザーストリップ本体20の被覆予定端面21と被覆部成形部52との間に形成されたキャビティ52a内にゴム材料29を充填して被覆部22を成形する際にゴム材料29のうちの被覆部成形部52の外周側にはみ出た部分を切断刃56で切断するようにしたので、被覆部22の成形と同時にゴム材料29の余分な部分を切断刃56で切断する(つまり被覆部22の外周に沿ってゴム材料29を切断する)ことができ、取出工程後に被覆部22の外周に沿ってゴム材料29を切断する工程を別途設ける必要がなくなる。
【0064】
しかしながら、成形型35に切断刃56を設けた構成に限定されず、把持型32に切断刃を設けても良く、又は、把持型32と成形型35の両方に切断刃を設けても良い。或は、把持型32と成形型35のいずれにも切断刃を設けない構成として、取出工程後に被覆部22の外周に沿ってゴム材料29を切断する工程を実行するようにしても良い。
【0065】
また、上記実施例1では、ウェザーストリップ本体20の切断端面のうちの取付部23の切断端面を被覆部22で被覆するようにしたが、更に、中空シール部24の切断端面や保持リップ26の切断端面を被覆部で被覆するようにしても良く、ウェザーストリップ本体20の切断端面のうちの被覆部で被覆する範囲は、適宜変更しても良い。
【0066】
また、上記実施例1では、把持型32に位置決め板48を固定するようにしたが、把持型32の対向面32aの前方に位置決め部材を突出させ、把持型32の下型38にウェザーストリップ本体20をセットする際に、ウェザーストリップ本体20の切断端面を位置決め板部材に当接させてウェザーストリップ本体20の切断端面が対向面32aと同一位置となるように位置決めをして、把持型32を閉鎖状態にした後、位置決め部材を把持型32の対向面32aの前方から退避させるようにしても良い。
【0067】
また、上記実施例では、把持型32を固定して成形型35を移動可能に設けるようにしたが、これとは逆に、成形型35を固定して把持型32を移動可能に設ける構成にしても良い。或は、把持型32と成形型35の両方を移動可能に設ける構成にしても良い。
【0068】
また、上記実施例では、製造装置30は、前側ウェザーストリップ15を1本だけ製造する構成にしたが、複数本の前側ウェザーストリップ15を同時に製造する構成にしても良い。更に、把持型32は、上型37と下型38とで構成されるものに限らず、これに代えて、第1と第2の横型としても良い。
【実施例2】
【0069】
次に、図8及び図9を用いて本発明の実施例2を説明する。
前記実施例1は、自動車のリアドア開口縁12に沿って装着されるウェザーストリップ15に本発明を適用したものであるが、本実施例2は、住宅等の建築物の外壁材の目地に沿って装着される目地材66に本発明を適用したものである。但し、製造方法と製造装置は、前記実施例1で説明した技術を利用できるため、主として目地材66の構成について説明する。
【0070】
図8に示すように、目地材66(トリム材)は、複合押出成形により連続的に成形されて補強用の芯材67(図9参照)が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続目地材(連続トリム材)を所定長さに切断した目地材本体68(トリム材本体)と、この目地材本体68の一方又は両方の切断端面のうちの後述する被覆予定端面69(図9参照)を被覆するゴム製の被覆部70とから構成されている。
【0071】
図9に示すように、目地材本体68は、EPDM等のゴム材料の押出成形により頭部71と脚部72とが一体的に形成され、頭部71と脚部72には、金属板で形成された補強用の芯材67が複合押出成形により埋設されている。また、頭部71の両側部には、それぞれ外側に向けて突出する意匠リップ73が一体的に形成され、脚部72の両側部には、それぞれ外側に向けて突出する複数の保持リップ74が一体的に形成されている。
【0072】
また、目地材本体68の切断端面のうちの意匠リップ73と保持リップ74を除いた部分(つまり芯材67が埋設された頭部71と脚部72の切断端面)が被覆予定端面69であり、図8に示すように、この被覆予定端面69が被覆部70によって被覆されている。この被覆部70は、前記実施例1で説明した技術を利用してEPDM等の未加硫ゴム材料で形成されたシート状のゴム材料を用いて成形されると共に加硫接合により被覆予定端面69に一体的に接合されている。
【0073】
以上説明した本実施例2では、目地材本体68の被覆予定端面69(芯材67が埋設された頭部71と脚部72の切断端面)を被覆部70で被覆することができ、目地材66の切断端面に芯材67が露出することを確実に防止することができる。これにより、芯材67の切断端面の錆びを防止することができ、錆汁による目地材66や外壁材の見栄えの悪化を未然に防止することができると共に、芯材67の切断端面による外壁材の傷や作業者の怪我を未然に防止することができる。
【0074】
尚、上記実施例2では、目地材本体68の切断端面のうちの頭部71と脚部72の切断端面を被覆部70で被覆するようにしたが、更に、意匠リップ73の切断端面や保持リップ74の切断端面を被覆部で被覆するようにしても良く、目地材本体68の切断端面のうちの被覆部で被覆する範囲は、適宜変更しても良い。
【0075】
また、上記各実施例1,2では、金属製の芯材を埋設したトリム材(ウェザーストリップ又は目地材)に本発明を適用したが、硬質樹脂製の芯材を埋設したトリム材に本発明を適用しても良い。
【0076】
その他、本発明の適用範囲は、自動車のリアドア開口縁に装着されるウェザーストリップや外壁材の目地に装着される目地材に限定されず、例えば、自動車のフロントドア開口縁に装着されるウェザーストリップ、バックドア開口縁やトランク開口縁に装着されるウェザーストリップ、スライドドア開口縁に装着される直線状のウェザーストリップ、中空シール部等のシール部を備えていないトリム材等、芯材が埋設された種々のトリム材に本発明を適用して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1におけるウェザーストリップが装着された車両の側面図である。
【図2】実施例1の前側ウェザーストリップの斜視図である。
【図3】実施例1のウェザーストリップ本体の斜視図である。
【図4】製造装置の側面図である。
【図5】把持型の正面図である。
【図6】成形型の正面図である。
【図7】図4のA−A断面図である。
【図8】実施例2の目地材の斜視図である。
【図9】実施例2の目地材本体の斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
13…ウェザーストリップ(トリム材)、15…前側ウェザーストリップ、20…ウェザーストリップ本体(トリム材本体)、21…被覆予定端面、22…被覆部、23…取付部、24…中空シール部、25…芯材、26…保持リップ、29…ゴム材料、30…製造装置、32…把持型、35…成形型、37…上型、38…下型、44,45…入れ子、46,47…把持部、48…位置決め板(位置決め部材)、50,51…入れ子、52…被覆部成形部、53…微小隙間(ガス抜き手段)、56…切断刃、62…入れ子位置調整ボルト、64,65…ヒータ、66…目地材(トリム材)、67…芯材、68…目地材本体(トリム材本体)、69…被覆予定端面、70…被覆部、71…頭部、72…脚部、73…意匠リップ、74…保持リップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合押出成形により補強用の芯材が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続トリム材を所定長さに切断したトリム材本体の切断端面の少なくとも前記芯材に対応する部分(以下「被覆予定端面」という)を被覆部で被覆したトリム材を製造する方法であって、
前記トリム材本体を把持するための把持型と、前記被覆部を成形するための成形型とが接近及び離間可能に対向して配置され、前記把持型には前記トリム材本体の被覆予定端面を前記成形型と対向するように露出させた状態で該トリム材本体を把持する把持部が設けられている共に、前記成形型には前記被覆部の少なくとも一部を成形する被覆部成形部が前記把持型と対向するように設けられた装置を用い、
前記把持型に対する前記トリム材本体の移動が阻止されるように前記把持型に前記トリム材本体を把持させる把持工程と、
前記把持型と前記成形型とを当接させた状態で前記把持型に把持された前記トリム材本体の被覆予定端面と前記成形型の被覆部成形部との間に形成されるキャビティの容積を上回る体積を有する未加硫のシート状のゴム材料を前記把持型と前記成形型とを離間させた状態で前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に配置するゴム材料配置工程と、
前記把持型と前記成形型の少なくとも一方を移動させて両型の対向面同士を当接させることで前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に挟まれた前記ゴム材料を厚さ方向に圧縮すると共に該厚さ方向と交差する方向に流動させて前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に形成された前記キャビティ内に前記ゴム材料を充填して前記被覆部を成形する成形工程と、
前記ゴム材料を加熱して加硫硬化させると共に前記トリム材本体の被覆予定端面に前記ゴム材料で成形された前記被覆部を加硫接合させる接合工程と、
前記把持型による前記トリム材本体の把持を解除する把持解除工程と、
前記把持型から前記被覆部が一体的に形成されたトリム材を取り出す取出工程と
を含むことを特徴とするトリム材の製造方法。
【請求項2】
前記ゴム材料配置工程において、前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に配置するシート状のゴム材料は、前記トリム材本体の被覆予定端面を上回る外形を有するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトリム材の製造方法。
【請求項3】
前記被覆部の断面形状が前記トリム材本体の切断端面の形状とほぼ同じになるように形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトリム材の製造方法。
【請求項4】
前記把持型と前記成形型は、一直線上で対向するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程において、前記トリム材本体の被覆予定端面に存在する隙間に前記ゴム材料の一部を入り込ませることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項6】
前記把持型に、前記トリム材本体を位置決めする位置決め部材が設けられ、
前記把持工程において、前記把持型に前記トリム材本体を把持させる際に前記トリム材本体の切断端面を前記位置決め部材に突き当てることで前記トリム材本体を位置決めすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項7】
前記把持型の把持部及び/又は前記成形型の被覆部成形部が入れ子に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項8】
前記成形型に、前記キャビティ内のガスを該キャビティ外へ逃がすガス抜き手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項9】
前記成形型の被覆部成形部が複数の入れ子に形成され、
前記ガス抜き手段は、前記複数の入れ子の合わせ面に形成された微小隙間であることを特徴とする請求項8に記載のトリム材の製造方法。
【請求項10】
前記ガス抜き手段は、前記成形型の被覆部成形部の少なくとも1箇所に設けられたガス抜き溝であることを特徴とする請求項8に記載のトリム材の製造方法。
【請求項11】
前記成形型の被覆部成形部の外周に沿って切断刃が設けられ、
前記成形工程において、前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に形成されたキャビティ内に前記ゴム材料を充填して前記被覆部を成形する際に前記ゴム材料のうちの前記被覆部成形部の外周側にはみ出た部分を前記切断刃で切断することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項12】
前記トリム材は、シール部が一体的に形成された自動車用のウェザーストリップであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトリム材の製造方法。
【請求項13】
複合押出成形により補強用の芯材が埋設された加硫済みゴム製の長尺な連続トリム材を所定長さに切断したトリム材本体の切断端面の少なくとも前記芯材に対応する部分(以下「被覆予定端面」という)を被覆部で被覆したトリム材を製造する装置であって、
前記トリム材本体を把持するための把持型と、前記被覆部を成形するための成形型とが接近及び離間可能に対向して配置され、前記把持型には前記トリム材本体の被覆予定端面を前記成形型と対向するように露出させた状態で該トリム材本体を把持する把持部が設けられている共に、前記成形型には前記被覆部の少なくとも一部を成形する被覆部成形部が前記把持型と対向するように設けられ、
前記把持型と前記成形型とを離間させることで前記把持型に把持された前記トリム材本体の被覆予定端面と前記成形型の被覆部成形部との間に未加硫のシート状のゴム材料を配置するスペースが形成され、前記把持型と前記成形型の少なくとも一方を移動させて両型の対向面同士を当接させることで前記把持型に把持された前記トリム材本体の被覆予定端面と前記成形型の被覆部成形部との間に前記被覆部を成形するキャビティが形成されて該キャビティが前記未加硫のシート状のゴム材料の体積を下回る容積を有するように構成されていることを特徴とするトリム材の製造装置。
【請求項14】
前記把持型の把持部及び/又は前記成形型の被覆部成形部が入れ子に形成されていることを特徴とする請求項13に記載のトリム材の製造装置。
【請求項15】
前記成形型に対して前記被覆部成形部が形成された入れ子が前記把持型と接近及び離間する方向に位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項14に記載のトリム材の製造装置。
【請求項16】
前記成形型に、前記キャビティ内のガスを該キャビティ外へ逃がすガス抜き手段が設けられていることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載のトリム材の製造装置。
【請求項17】
前記成形型の被覆部成形部が複数の入れ子に形成され、
前記ガス抜き手段は、前記複数の入れ子の合わせ面に形成された微小隙間であることを特徴とする請求項16に記載のトリム材の製造装置。
【請求項18】
前記ガス抜き手段は、前記成形型の被覆部成形部の少なくとも1箇所に設けられたガス抜き溝であることを特徴とする請求項16に記載のトリム材の製造装置。
【請求項19】
前記成形型の被覆部成形部は、略U溝形状に形成されていることを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載のトリム材の製造装置。
【請求項20】
前記成形型の被覆部成形部の外周に沿って切断刃が設けられ、前記トリム材本体の被覆予定端面と前記被覆部成形部との間に形成されたキャビティ内に前記ゴム材料を充填して前記被覆部を成形する際に前記ゴム材料のうちの前記被覆部成形部の外周側にはみ出た部分を前記切断刃で切断することを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載のトリム材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−73441(P2009−73441A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246575(P2007−246575)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】