説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び携帯電話機

【課題】目的地周辺の道路状況に応じた最適な経路を目的地側の携帯電話機から取得して、早く安全な経路案内をすることができる「ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び携帯電話機」を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置10と目的地側の携帯電話機40との間で通信を行うようにしたナビゲーションシステムにおいて、携帯電話機40は、ナビゲーション装置10から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して1又は複数の経由地点を指示する経路変更情報を作成し、当該経路変更情報をナビゲーション装置10に通知し、ナビゲーション装置10は、携帯電話機40から通知される経路変更情報に基づいて、最適経路を取得する。ナビゲーション装置10は携帯電話機40に対して目的地周辺の案内経路地図を送信するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置と携帯電話機との間で通信を行うナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU等の制御装置、地図データを予め記憶させたDVD(Digital Versatile Disk)−ROMやICメモリカード等の記憶装置、表示装置、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路案内機能)が搭載されている。この経路案内機能によれば、CPUにより、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を案内経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその案内経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また、自車が案内経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに地図画像上にその交差点の案内図(交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など)を表示したりすることで、いずれの道路を走行すればよいか、また、交差点でどの方向に進んだらよいかをユーザが把握できるようになっている。
【0004】
しかし、このようなナビゲーションの案内経路に従った場合でも、交通事情によっては、目的地に予定の時間に到着できない場合が起こり得る。
【0005】
このため、例えば、特許文献1に記載されるように、送迎バスの運行経路上の所定位置の通過を監視し、送迎場所に近づいたときに利用者に通知するようにしたシステムがある。
【特許文献1】特開2002−150494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、車載用ナビゲーション装置の経路案内機能が指示する経路に従って走行しても、予定時間内に目的地に到着できるとは限らない。
【0007】
この要因として、突発的な事故や火災などの発生により道路が通行できなくなるなど、案内経路を探索するときには想定されていない事態の発生が考えられる。
【0008】
また、時間優先で最適な経路を探索した結果、道幅の狭い道路が選択される場合がある。この場合、自車が大型の車両のときや、駐車する車両が多いときには安全な走行が困難になることが予想される。
【0009】
このような安全な走行を考慮した走行経路を車載用ナビゲーション装置の経路案内機能で探索することは困難である。
【0010】
なお、特許文献1では、車両が目的地に近づいたことを通知するシステムであり、車両が目的地に予定時間内に到着するようにするものではない。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、目的地周辺の道路状況に応じた最適な経路情報を目的地側の携帯電話から取得して、早く安全な経路を案内することができるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、ナビゲーション装置と目的地側の携帯電話機との間で通信を行うようにしたナビゲーションシステムであって、前記携帯電話機は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して1又は複数の経由地点を指示する経路変更情報を作成し、当該経路変更情報を前記ナビゲーション装置に通知し、前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機から通知される前記経路変更情報に基づいて、最適経路を取得することを特徴とするナビゲーションシステムが提供される。
【0013】
また、ナビゲーション装置と目的地側の携帯電話機との間で通信を行うようにしたナビゲーションシステムであって、前記携帯電話機は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して指定した1又は複数の経由地点を基に当該案内経路地図を変更し、当該変更した案内経路地図を前記ナビゲーション装置に通知し、前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機から通知される前記変更した案内経路地図に基づいて、最適経路を取得することを特徴とするナビゲーションシステムが提供される。
【0014】
これらの形態に係るナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機に対して目的地周辺の案内経路地図を送信するようにしても良い。
【0015】
これらの形態に係るナビゲーションシステムによれば、目的地側の携帯電話機に案内経路を含めた目的地周辺の地図を送信し、携帯電話機側で目的地周辺の道路状況に応じた最適な経路に変更する経路変更情報を作成する。ナビゲーション装置では、この経路変更情報を受信して、案内経路を変更する。携帯電話機側で作成される経路変更情報は、通過する交差点であったり、この交差点を経由地として再探索した案内経路である。
【0016】
これにより、ナビゲーション装置で案内経路を探索する際には想定されていない突発的な事故で走行ができない経路や道幅が狭く走行が困難な経路を回避して、目的地周辺の最新の道路状況に応じた最適な案内経路をすることが可能となり、走行の安全性に寄与することができる。
【0017】
また、本発明の他の形態によれば、携帯電話機と通信するための通信手段と、前記通信手段を介して前記携帯電話機に案内経路地図を送信し、その後、前記携帯電話機から通知される経路変更情報に基づいて前記案内経路より最適な経路を導出する制御手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置が提供される。
【0018】
さらに、本発明の他の形態によれば、ナビゲーション装置との情報の送受信を行う通信手段と、地図画像データを格納する記憶手段と、情報入力手段と、前記通信手段、記憶手段及び情報入力手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して、1又は複数の経由地点を指示する経路変更情報を作成し、当該経路変更情報を前記通信手段を介して前記ナビゲーション装置に通知することを特徴とする携帯電話機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
(ナビゲーションシステムの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置10及び携帯電話機40から構成され、ナビゲーション装置10と携帯電話機40は電話網30を介して相互に通信を可能としている。
【0022】
ナビゲーション装置10は、マイクロコンピュータにより構成される制御部11と、地図データベースを収録したDVD−ROM12と、DVD−ROM12から読み出した地図データを一時的に記憶するバッファメモリ13と、バッファメモリ13に読み出された地図データに基づいて地図画像等を描画する地図描画部14と、地図画像等を表示する表示部15と、GPS信号を受信するGPS受信機16と、車両の回転角度を検出するジャイロや車両の走行距離を検出する走行距離センサにより構成される自立航法センサ17と、案内経路記憶部18と、外部機器との通信を制御する通信制御部19と、経路変更データを格納するRAM等により構成されるメモリ部20と、目的地周辺の案内経路地図を作成する目的地周辺経路作成部21と、ナビゲーション装置を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部22とにより構成されている。なお、DVD−ROM12は、HDD(ハードディスクドライブ)、半導体メモリ等の記憶媒体でもよい。
【0023】
通信制御部19に接続される外部機器としては、例えば携帯電話機25がある。通信制御部19は携帯電話機25を制御し、電話網30を介して外部とのデータの送受信を行う。
【0024】
制御部11は、GPS受信機16及び自立航法センサ17の出力により車両の現在位置を検出し、DVD−ROM12から車両の現在位置周辺の地図データをバッファメモリ13に読み出したり、目的地が設定されると、車両の現在位置を出発地とし、出発地から目的地までの案内経路を探索して、探索した案内経路を案内経路記憶部18に記憶したりする。
【0025】
なお、目的地の設定方法としては、例えば、緯度・経度を直接入力する方法、地図データベースに収録されている施設名やユーザにより登録された案内ポイントから指定する方法など、種々の方法がある。また、案内経路の探索には、横型探索法やダイクストラ法などの公知の方法が使用される。
【0026】
一方、携帯電話機40は、マイクロコンピュータにより構成される制御部41と、液晶表示装置などにより構成される表示部45と、携帯電話機を操作するための各種スイッチ等から構成される操作部43と、案内経路情報を含んだ地図画像データが格納される記憶部44と、電話網30を介して外部とのデータの送受信を行う送受信部42とから構成される。
【0027】
制御部41は、携帯電話機を制御する主体であって、操作部43からの情報に基づき、表示部45に対して各種情報の表示の制御を行うものである。また、操作部43からの指示によって、記憶部44内に格納される経路変更情報や変更された案内経路の地図画像データを送信部42から発信させる制御を行う。
【0028】
以下、本実施形態のナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0029】
図2は本実施形態のナビゲーションシステムにおける最適経路取得処理を示すフローチャートである。なお、本処理では、すでに目的地までの案内経路が探索されているものとする。
【0030】
まず、ステップS11では、探索された案内経路を画面上に表示して経路案内を行う。
【0031】
次のステップS12では、車両が、案内経路の変更を要求できる範囲に入ったか否かを判定する。変更を要求できる範囲に入ったと判定された場合はステップS13に移行し、そうでない場合は、ステップS11に戻り、経路案内を継続する。案内経路の変更要求は車両が走行中いつでもできるようにしてもよいが、その場合には、携帯電話機に頻繁に変更の要求があり煩雑である。そのため、目的地から所定の範囲に車両が入ったときに変更の要求ができるようにしている。
【0032】
ここで、変更の要求ができる範囲としては、例えば、自車位置が目的地の行政区域内に入った場合や目的地まで所定の距離範囲内になった場合である。なお、範囲を限定することなく、ユーザが指定するようにしてもよい。
【0033】
自車位置が所定の範囲内に入ったか否かは、GPS受信機16の出力から検出した自車の現在位置と、メモリ部20に格納されている地図データとに基づいて判定する。
【0034】
ステップS13では、案内経路の変更要求があったか否かを判定する。案内経路の変更要求があった場合は、ステップS14に移行し、案内経路の変更要求がない場合は、ステップS11に戻り最適経路取得処理を継続する。
【0035】
案内経路の変更の要求は、例えば、ナビゲーション装置10の操作部22に用意した変更要求ボタン(不図示)が選択されたか否かで判定する。
【0036】
次のステップS14では、目的地周辺経路作成部21において目的地周辺の案内経路図を作成する。本実施形態では、案内経路図を目的地側の携帯電話機40に送信し、携帯電話機40から経路変更情報を受信する。このため、広範囲の地図画像を携帯電話機40に送信しても、案内経路等が縮小されて表示されるため見づらくなる。よって、目的地周辺の地図画像及び案内経路を作成するようにしている。
【0037】
例えば、地図画像の範囲を、目的地が含まれる行政区域にしてもよいし、目的地から所定の距離の範囲にしてもよい。
【0038】
目的地周辺経路作成部21は、案内経路記憶部18に格納されている案内経路を参照し、目的地から所定の距離の範囲の地図を案内経路の情報を含めて抽出する。
【0039】
なお、この案内経路地図は目的地及び経路が分かれば十分であるため、必要のない画像データ、例えば施設を表示する画像データ等は削除するようにしてもよい。これにより、情報量を削減でき、携帯電話機40との送受信にかかる負担を軽減して通信速度を速くすることができる。
【0040】
図3(a)は、目的地周辺の案内経路の地図画像の一例を示す図である。図3(a)の例では、表示画面50に表示された地図画像51に、自車の現在位置を示す自車位置マークCMと共に、自車位置から目的地52までの案内経路53が表示されている。この案内経路53は、ユーザが識別し易いように他の道路とは異なる表示態様(例えば、線幅を太くしたり、目立つ色で表示する)で表示することが望ましい。
【0041】
なお、図3(a)では、自車位置が地図画像51に表示される例を示しているが、目的地周辺の範囲内に自車が入っていない場合には、自車位置は表示されない。また、自車が目的地周辺に到達していないときには、自車の走行位置が含まれる地図画像と、目的地周辺の地図画像の2画面を表示させるようにしてもよい。
【0042】
次のステップS15では、ステップS14で作成した案内経路図を目的地側の携帯電話機40に送信する。携帯電話機40に案内経路図を送信した後は、携帯電話機40側で案内経路の変更処理を行う。この処理の詳細については後述する。
【0043】
次のステップS16では、携帯電話機40からデータを受信する。このデータには、携帯電話機40側で案内経路の変更処理が行われたときの変更情報が含まれている。
【0044】
次のステップS17では、案内経路の変更があったか否かを判定する。変更があったと判定されたときは、ステップS18に移行し、変更がなかったと判定されたときは、ステップS11に戻り、本最適経路取得処理を継続する。
【0045】
案内経路の変更があったか否かは次のようにして判定する。携帯電話機40に送信した案内経路を含む地図画像データに対して、通過する交差点が指定されている場合に、案内経路の変更があったと判定する。
【0046】
例えば、図3(b)に示すように、携帯電話機40から受信した地図画像データに交差点54a、54bが指定されているとする。このように、携帯電話機40に送信した地図画像データと携帯電話機40から受信した地図画像データが同一でない場合に、経路変更情報が付加されていると判定する。この場合は、交差点54a、54bを表す位置座標データが経路変更情報(経由地点)となっている。
【0047】
一方、携帯電話機40に送信した地図画像データと同一のデータを受信したときは、経路変更がされていないと判断し、ステップS11に戻り、最適経路取得処理を継続する。
【0048】
なお、例えば、経路を変更したか否かを表すフラグ(変更フラグ)を用意し、変更フラグの値によって案内経路図の変更があったか否かを判定するようにしてもよい。
【0049】
次のステップS18では、携帯電話機40から受信した案内経路の変更情報に基づいて、案内経路を変更する。自車位置から目的地まで、指定された交差点(54a、54b)を経由地として案内経路の再探索を行う。
【0050】
次のステップS19では、ステップS18で導出した案内経路をナビゲーション装置の表示画面に表示する。図3(c)は、目的地周辺の再探索された結果の案内経路図の一例を示した図である。図3(c)の例では、地図画像51に自車位置(CM)から目的地52までの案内経路55が表示されている。案内経路55は、図3(b)に示した交差点(54a、54b)を経由して目的地52に到達している。
【0051】
また、変更前の案内経路56が変更後の案内経路55と異なる表示態様(例えば、経路を破線にする)で表示している。
【0052】
運転者は変更前の経路56では何らかの不都合があることを認識でき、この案内経路に従って走行することにより、目的地周辺の道路状況に応じた適切な経路を安全に走行することができる。
【0053】
次のステップS20では、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着すれば、本最適経路取得処理は終了し、目的地に到達していなければ、ステップS11に戻り、本最適経路取得処理を継続する。
【0054】
次に、携帯電話機40が受信した案内経路の地図画像に対して、経路変更情報を作成する処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、ステップS21では、ナビゲーション装置10から電話網30及び送受信部42を介して、目的地周辺の案内経路の地図画像を受信し、記憶部44に地図画像データを格納する。
【0056】
次のステップS22では、ステップS21で受信した地図画像を携帯電話機40の表示部45の表示画面に表示する。
【0057】
図5(a)は、携帯電話機40が受信した案内経路の地図画像の一例を示す図である。図5(a)の例では、携帯電話機40の表示画面60に表示された地図画像61に、自車の現在位置を示す自車位置マークCMと共に、自車位置(CM)から目的地62までの案内経路63が表示されている。
【0058】
この地図画像61には、図3(a)に示した地図画像と同一の案内経路情報が表示されている。すなわち、交差点や目的地など位置データが同じ座標値で表される。
【0059】
次のステップS23では、案内経路を変更する必要がある旨の指示を制御部41が受信したか否かを判定する。案内経路の変更が必要と判定された場合はステップS24に移行し、案内経路の変更が必要ないと判定された場合はステップS26に移行する。
【0060】
ここで、案内経路を変更する必要がある場合としては、目的地の周辺道路の最新状況を適確に把握できる者が、案内経路を変更したほうが安全に早く目的地に到着すると判断した場合である。
【0061】
例えば、ナビゲーション装置から送信された案内経路63上に駐車車両が多く走行しづらい場所があったり、突発的な事故や火災などが発生し通行できない場合が考えられる。
【0062】
ステップS24では、案内経路を変更する処理を行う。本実施形態では、案内経路の変更は、表示される地図画像において、通過する交差点を指定することによって行う。図5(b)は、携帯電話機40の表示画面60に表示された地図画像61に対して通過する交差点を指定したときの表示例を示している。例えば、図5(b)の経路R1は道幅が狭く走行しづらい場合に、経路R1を走行しないように交差点64a、64bを経由地として指定する。
【0063】
通過する交差点を指定する方法は、地図画像61とは別の画面に交差点一覧を表示させて、操作部43の選択ボタン(不図示)により交差点を指定させるようにしてもよいし、地図画像61上でカーソルを表示し、操作部43の移動ボタン(不図示)でカーソルを移動させ、交差点を指定するようにしてもよい。
【0064】
このようにして指定された交差点は、ユーザが識別し易いような表示態様(例えば、大きな点にしたり、目立つ色の点にしたりするなど)で表示するのが望ましい。
【0065】
次のステップS25では、ステップS24で指定した交差点による経路変更情報をナビゲーション装置に送信し、携帯電話機40側の処理を終了する。このように、指定した交差点の位置座標データは経路変更情報として記憶部44に記録される。
【0066】
一方、経路変更の必要がないと判定された場合に移行したステップS26では、受信した地図画像データを、ナビゲーション装置10に送信して携帯電話機40側の処理を終了する。また、変更フラグに0をセットするなどして、案内経路に変更がない旨の情報を送信してもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るナビゲーションシステムにおいては、目的地まで所定の距離範囲内に車両が到達したとき、目的地側の携帯電話機に案内経路を含めた目的地周辺の地図を送信し、携帯電話機側で目的地周辺の道路状況に応じた最適な経路に変更する経路変更情報を作成する。ナビゲーション装置では、この経路変更情報を受信して、案内経路を変更する。
【0068】
これにより、ナビゲーション装置で案内経路を探索する際には想定されていない突発的な事故で走行できない経路や道幅が狭く走行が困難な経路を回避して、目的地周辺の最新の道路状況に応じた最適な案内経路をすることが可能となり、走行の安全性に寄与することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、経路変更の要求をユーザの指示に従って携帯電話機に送信するようにしたが、これに限らず、周期的に経路変更の要求をするようにしてもよい。
【0070】
(変形例)
上記した実施形態では、携帯電話機40において案内経路の変更処理を行う際に、通過する交差点を指定して経路変更情報としている。この経路変更情報をナビゲーション装置10に送信し、ナビゲーション装置10側で再度案内経路の探索をしている。
【0071】
本変形例では、地図画像データを受信した携帯電話機40において、案内経路の変更を行うようにしている。この場合、案内経路を変更した地図画像データをナビゲーション装置に送信するので、ナビゲーション装置10側で案内経路の再探索をする必要がない。
【0072】
以下、変形例に係る最適経路取得処理の説明をする。
【0073】
本変形例の最適経路取得処理におけるナビゲーション装置10側の処理は、図2で説明したフローチャートにおいてステップS18の処理を行わないことを除いて同じである。
【0074】
ここでは、ステップS14において図6(a)に示される案内経路図が作成され、ステップS16において、携帯電話機40から図6(b)に示される案内経路図を受信した場合について説明する。
【0075】
図6(a)は、図3(a)と同様に、目的地周辺の案内経路の地図画像の一例を示す図である。図6(a)の例では、表示画面70に表示された地図画像71に、自車位置マークCMと共に、自車位置(CM)から目的地72までの案内経路73が表示されている。
【0076】
ステップS17では、案内経路の変更があったか否かを判定する。案内経路の変更があったと判定されたときは、ステップS19に移行し、変更がなかったと判定されたときは、ステップS11にもどり、最適経路取得処理を継続する。
【0077】
案内経路の変更があったか否かは次のようにして判定する。携帯電話機40に送信した案内経路を含む地図画像データに対して、異なる案内経路が設定されている場合に、案内経路の変更があったと判定する。なお、本変形例では、携帯電話機40側で案内経路の変更を行うため、携帯電話機40から地図画像データが送信された場合に案内経路の変更があったものと判定するようにしてもよい。
【0078】
一方、携帯電話機40において案内経路の変更をしなかった場合には、地図画像データを送信することなく、受信を確認した旨の信号を送信するようにする。この場合、携帯電話機40から受信したデータが、受信確認信号であれば、案内ルートの変更はないと判定される。
【0079】
また、例えば、案内経路を変更したか否かを表すフラグ(変更フラグ)を用意し、変更フラグの値によって案内経路の変更があったか否かを判定するようにしてもよい。
【0080】
図6(b)は、携帯電話機40から受信した地図画像の一例を示している。図6(b)の例では、地図画像71に携帯電話機40側で変更された案内経路75が表示されている。
【0081】
次のステップS19では、変更された案内経路をナビゲーション装置10の表示画面に表示する。この表示は、変更された新たな案内経路だけを表示するようにしてもよいし、変更前の経路と変更後の経路の違いがわかるように、変更された経路を表示態様を変えて表示するようにしてもよい。例えば、図6(c)の例では、変更前の経路76が変更後の経路75と異なる表示態様(例えば、経路を破線にする)で表示する。
【0082】
次のステップS20では、自車が目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合は、本最適経路取得処理を終了し、目的地に到着していなければ、ステップS11に戻り、本処理を継続する。
【0083】
次に、携帯電話機40側の処理について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
まず、ステップS41では、ナビゲーション装置10から電話網30及び送受信部42を介して目的地周辺の地図画像を受信し、記憶部44に地図画像データを格納する。
【0085】
次のステップS42では、ステップS41で受信した地図画像を携帯電話機40の表示部45の画面に表示する。図8(a)は携帯電話機40が受信した案内経路の地図画像の一例を示す図である。
【0086】
次のステップS43では、案内経路を変更する必要がある旨の指示を制御部41が受信したか否かを判定する。案内経路の変更が必要と判定された場合はステップS44に移行し、案内経路の変更が必要ないと判定された場合はステップS48に移行する。
【0087】
次のステップS44からステップS46は案内経路を変更する処理である。
【0088】
ステップS44では、受信した地図画像において、出発点84c、目的地82、通過する交差点84a、84bをユーザが指定し、制御部41はこれら指定された地点の位置座標を変更情報として記憶部44に記録する。ユーザによるこれらの地点の設定は、交差点名を地図画像81とは別の画面に表示して選択させるようにしてもよいし、地図画像81上でカーソルを表示し、操作部43の移動ボタン(不図示)でカーソルを移動させ、交差点等を指定させるようにしてもよい。指定された地点の位置座標を変更情報として記録するとともに、表示画面では表示態様を変えて指定した位置が分かるように表示する。図8(b)の例では、出発点84cを‘○’で表示し、通過する交差点(84a、84b)を‘●’で表示している。
【0089】
次のステップS45では、指定した出発点から目的地までの案内経路を指定した交差点を経由地として探索する。この経路探索は公知の探索法を使用して行う。
【0090】
次のステップS46では、ステップS45で経路を探索した結果を携帯電話機40の表示画面に表示する。図8(c)は、変更された案内経路を表示した表示画面の一例を示した図である。出発点84cから交差点84a、84bを経由して目的地82に至る案内経路85が表示態様を変えて表示されている。
【0091】
次のステップS47では、変更された案内経路情報をナビゲーション装置に送信する。
【0092】
一方、ステップS43で経路変更の指示がなかった場合に移行するステップS48では、受信した地図画像をナビゲーション装置10に送信する。なお、経路変更をしなかった場合には、ナビゲーション装置10から地図画像データを受信した受信確認信号を送信するようにしてもよい。
【0093】
以上説明したように、本変形例に係るナビゲーションシステムにおいては、目的地まで所定の距離範囲内に車両が到達したとき、目的地側の携帯電話機に案内経路を含めた目的地周辺の地図を送信し、携帯電話機側で目的地周辺の道路状況に応じた最適な経路に変更している。ナビゲーション装置では、案内経路を再探索する必要がなく、この変更された案内経路を受信して表示している。
【0094】
これにより、ナビゲーション装置で案内経路を探索する際には想定されていない突発的な事故で走行できない経路や道幅が狭く走行が困難な経路を回避して、目的地周辺の最新の道路状況に応じた最適な案内経路をすることが可能となり、走行の安全性に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に係るシステムのナビゲーション装置側における案内経路を変更する処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)〜(c)は、ナビゲーション装置における案内経路の画面表示の一例を示す図(その1)である。
【図4】図1に係るシステムの携帯電話機側における案内経路を変更する処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図5】図5(a)、(b)は、携帯電話機において案内経路を変更する際の画面表示の一例を示す図(その1)である。
【図6】図6(a)〜(c)は、ナビゲーション装置における案内経路の画面表示の一例を示す図(その2)である。
【図7】図1に係るシステムの携帯電話機側における案内経路を変更する処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図8】図8(a)、(b)は、携帯電話機において案内経路を変更する際の画面表示の一例を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0096】
10…ナビゲーション装置、
11…(ナビゲーション装置の)制御部、
20…メモリ部、
21…目的地周辺経路作成部、
30…電話網、
40…携帯電話機、
41…(携帯電話機の)制御部、
42…送受信部、
44…記憶部、
50、70…表示画面、
60、80…(携帯電話機の)表示画面、
64a、64b、84a、84b…通過交差点、
CM…自車位置マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置と目的地側の携帯電話機との間で通信を行うようにしたナビゲーションシステムであって、
前記携帯電話機は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して1又は複数の経由地点を指示する経路変更情報を作成し、当該経路変更情報を前記ナビゲーション装置に通知し、
前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機から通知される前記経路変更情報に基づいて、最適経路を取得することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
ナビゲーション装置と目的地側の携帯電話機との間で通信を行うようにしたナビゲーションシステムであって、
前記携帯電話機は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して指定した1又は複数の経由地点を基に当該案内経路地図を変更し、当該変更した案内経路地図を前記ナビゲーション装置に通知し、
前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機から通知される前記変更した案内経路地図に基づいて、最適経路を取得することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、前記携帯電話機に対して目的地周辺の案内経路地図を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
携帯電話機と通信するための通信手段と、
前記通信手段を介して前記携帯電話機に案内経路地図を送信し、その後、前記携帯電話機から通知される経路変更情報に基づいて前記案内経路より最適な経路を導出する制御手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
更に、情報入力手段と、
目的地周辺経路作成手段を有し、
前記制御手段は、前記情報入力手段を介して経路変更の要求をする旨の指示があったとき、前記目的地周辺経路作成手段に目的地周辺の案内経路図を作成させ、前記通信手段を介して前記携帯電話機に当該案内経路図を送信することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
更に、表示手段を有し、
前記制御手段は、前記携帯電話機から案内経路図に指示された1又は複数の経由地点を示す経路変更情報を受信したとき、当該経路変更情報を基に案内経路を再探索し、変更された案内経路を前記表示手段の表示画面に表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
更に、表示手段を有し、
前記制御手段は、前記携帯電話機から経路が変更された案内経路図を受信したとき、当該変更された案内経路図を前記表示手段の表示画面に表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
ナビゲーション装置との情報の送受信を行う通信手段と、
地図画像データを格納する記憶手段と、
情報入力手段と、
前記通信手段、記憶手段及び情報入力手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して、1又は複数の経由地点を指示する経路変更情報を作成し、当該経路変更情報を前記通信手段を介して前記ナビゲーション装置に通知することを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
ナビゲーション装置との情報の送受信を行う通信手段と、
地図画像データを格納する記憶手段と、
情報入力手段と、
前記通信手段、記憶手段及び情報入力手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記ナビゲーション装置から案内経路地図を受信し、当該案内経路地図に対して指定した1又は複数の経由地点を示す経路変更情報を基に当該案内経路地図を変更し、前記通信手段を介して当該変更した案内経路地図を前記ナビゲーション装置に通知することを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−39682(P2008−39682A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217181(P2006−217181)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】