説明

ナビゲーションシステムおよびナビゲーション装置

【課題】施設情報に基づき地図画像の所望の指定領域にある施設を検索してその施設の一覧を表示する。
【解決手段】表示手段17に地図画像を表示するとともに、地図画像上に所在する施設に関する情報を表示するナビゲーションシステム10において、ナビゲーションシステム10は、地図データ14と、地図データ14に含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベース20と、表示手段17に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段17と、施設検索手段21と、施設情報表示制御手段18と、を備え、表示手段17に地図画像と施設情報を表示する際、施設検索手段21は、領域指定手段17により指定された領域に基づき、地図データ14を参照して当該領域に属する施設を抽出し、施設情報表示制御手段18は前記抽出された施設を一覧表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像と、地図画像上に所在する施設に関する情報を表示する通信型あるいは車載型のナビゲーションシステムやナビゲーション装置に関するものであり、特に、表示手段に地図画像と施設情報を表示する際に、地図画像の所望の領域を簡単な操作で指定でき、その領域内にある施設を一覧表示するようにしたナビゲーションシステムおよびナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、最近では自動車の運転者のみならず携帯電話ユーザに対しても現在位置から目的地までの経路案内をリアルタイムに提供するナビゲーションサービスも実現されている。
【0003】
これらのナビゲーションシステムやナビゲーション装置にあっては、表示手段に表示した地図画像上に、コンビニエンスストア、ファーストフード店、スーパーマーケットなどの施設の種類を示すアイコン画像を該当施設の所在位置に表示し、さらにその施設に関する詳細情報を表示することが行われている。
【0004】
しかしながら、表示画面の大きさに制約があり、表示する地図エリア内に所在する施設のアイコン画像やその詳細情報を無作為で表示する構成とした場合には、アイコン画像と施設の詳細情報が多く表示される場合があり、本来の地図画像の視認を妨げる結果になるという問題がある。このためアイコン画像や詳細情報の表示には様々な工夫が提案されている。
【0005】
また、タッチパネルを有する表示装置によって、限られたサイズの操作パネルと最小限のスイッチキーとからなる操作部を構成して、動作制御に必要な全ての操作、入力設定を行うナビゲーションシステムやナビゲーション装置が提案されている。
【0006】
例えば、下記の特許文献1(特開平10−96648号公報)には、タッチ位置に対して最適な選択項目を選択することができるとともに、操作性を向上できるタッチパネルを併設したナビゲーション技術が開示されている。
【0007】
この特許文献1に開示された技術は、タッチパネルを併設し、表示された複数の選択項目からタッチ操作により所定の項目を選択可能な情報表示装置において、表示画面上に表示された複数の選択項目の座標と、タッチ位置座標との座標差を算出する算出手段と、算出された座標差が最も小さい選択項目を選択する選択手段と、を備えるように構成されているものである。
【0008】
このように構成することにより、選択項目が密集して表示されている場合にも、タッチ位置に対して最適な選択項目を選択することができる。
【0009】
また、下記の特許文献2(特開2003−254761号公報)には、施設情報を入手し、表示器に表示された地図上の該施設の位置に対応する位置に施設アイコンを表示する際に、施設情報の表示が見やすく、利用し易いナビゲーション技術が開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示された技術は、外部から施設情報を取り込み、表示器に表示された地図上の施設位置に対応する位置に施設アイコンを表示するナビゲーション装置において、前記施設アイコンを直接指定するための施設指定手段と、該施設指定手段により施設に対して直接指定操作が行われると、施設までの経路案内を行う指定施設経路案内手段とを備える。そして前記施設指定手段が、前記表示器の前面側に設けられた座標指定用のタッチパネルで構成され、該タッチパネルを介して第1の施設指定操作が行われた場合に前記指定操作が行われたと判断する指定操作検出手段と、前記タッチパネルを介して前記第1の施設指定操作とは異なる第2の施設指定操作が行われた場合に、指定された施設の施設情報を報知する指定施設情報報知手段とを備えるように構成されているものである。
【0011】
このように構成することにより、前記タッチパネルを介して前記第1の施設指定操作が行われれば当該施設までの経路案内が行われ、また前記第2の施設指定操作が行われれば、当該施設の施設情報が報知されるので、モード切換操作等の特別な操作を行わずに施設指定に伴う主な操作が実現され、非常に操作性の良いものとなる。
【0012】
また、下記の特許文献3(特開2006−284342号公報)には、施設を示す施設マークを地図上に表示するナビゲーション技術に係り、特に、地図上に表示された施設マークを直接選択することができるナビゲーション技術が開示されている。
【0013】
この特許文献3に開示された技術は、地図上で施設を示す施設マークを記憶する施設マーク記憶手段と、前記施設マーク記憶手段に記憶した前記施設マークを取得する施設マーク取得手段と、前記施設マーク取得手段が取得した前記施設マークを地図上に表示する施設マーク表示手段とを備えたナビゲーション装置において、前記施設マーク表示手段にて表示された地図上の前記施設マーク中からユーザの指定する施設マークを取得する施設マーク指定手段と、前記施設マーク指定手段にて取得された前記施設マークを移動体の行き先に設定する行き先設定手段を備える。
【0014】
そして前記施設マークの施設に関する情報を記憶する施設情報記憶手段と、前記施設情報記憶手段に記憶した前記施設情報を取得する施設情報取得手段と、前記施設情報取得手段が取得した前記施設に関する情報を表示する施設情報表示手段とを備え、前記施設マーク指定手段にてユーザが指定した前記施設マークを取得した時、前記施設情報表示手段が前記施設に関する情報を表示するようになっており、更に、前記施設マーク表示手段は、表示された施設マークが操作位置となるタッチパネルを備えており、前記施設マーク指定手段は前記タッチパネルにおける操作位置に対応する前記施設マークを指定するように構成されているものである。
【0015】
このように構成することで、施設マークに対するカーソルの位置調整や、行き先の設定画面への切替えが不要であり、施設マークに対し簡潔な操作を実施するだけで、行き先の設定が可能となる。また、施設マーク指定手段が地図上に表示された施設マークの中からユーザが希望する施設マークを取得すれば、施設情報表示手段が、その施設に関する情報を表示するため、施設の指定操作だけで施設情報を簡単に入手でき、更に、タッチパネルを利用した簡単な操作で施設マークを直接指定することができるため、直感的で確実な操作を実現することができる。
【特許文献1】特開平10−96648号公報(段落[0007]、[0008]、図7)
【特許文献2】特開2003−254761号公報(段落[0005]、[0006]、図2)
【特許文献3】特開2006−284342号公報(段落[0009]、[0013]、[0014])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献1〜特許文献3に開示されたナビゲーション技術においては、地図上に表示された施設アイコンを指定することでその施設情報を簡単に入手できるような工夫がなされている。
【0017】
しかしながら、例えば、施設情報の表示に際して施設情報の表示数が多い場合、地図画像と施設情報が重なりあって必要な地図情報が容易に識別できないという問題点がある。このため、地図上に表示された全ての施設を示すアイコン画像の中でも、所定の地域にある施設の情報のみを表示させたいという要求を持つユーザも少なくない。
【0018】
また、表示画面に表示された地図上で所望の場所を指定して、その場所の周辺の施設を抽出して表示させる場合、場所の指定が容易にできることが好ましい。例えば、地図上の道路リンク画像を選択したり、特定のビル画像を選択したりしてその周辺の施設を抽出する場合、これらの画像が小さい時にはカーソルやタッチパネルで指定するのが困難な場合がある。また、アイコン画像がん重なりあって表示されている場合に、特定のアイコン画像をカーソル選択して指定することが困難な場合もある。
【0019】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示されたナビゲーション技術においては、地図画像の視認を妨げるアイコン画像に対応する施設情報の表示を抑制することはできるものの、上記のように実際に所望する地域を簡単に指定して、その周辺にある施設の情報のみを表示させたいという希望を持つ利用者に対しては、必ずしも利便性のあるものではなかった。
【0020】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーション装置から所望地点の地図画像の表示が要求されたときに、領域指定手段を用いて所望の表示領域を簡単に指定できるようにし、地図画像の所望の指定領域にある施設を検索してその施設情報のみを抽出して表示するようになせば、上記の問題点を解消し得ることを想到し本発明を完成するに至ったものである。
【0021】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、表示手段に地図画像と施設情報を表示する際に、地図画像の所望の領域を簡単な操作で指定でき、その領域内にある施設を一覧表示するようにしたナビゲーションシステムおよびナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
表示手段に地図画像を表示するとともに、前記地図画像上に所在する施設に関する情報を表示するナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーションシステムは、地図データと、前記地図データに含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベースと、前記表示手段に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段と、施設検索手段と、施設情報表示制御手段と、を備え、前記表示手段に地図画像と施設情報を表示する際、前記施設検索手段は、前記領域指定手段により指定された領域に基づき、前記地図データを参照して当該領域に属する施設を抽出し、前記施設情報表示制御手段は前記抽出された施設を一覧表示することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記領域指定手段は、前記表示手段上に配置されたタッチパネルであることを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記領域指定手段は、前記表示手段に表示されるカーソルを操作するためのカーソル操作手段であることを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記地図データに含まれる施設の属性に応じたアイコン画像が記憶されているアイコン画像データベースと、アイコン画像表示制御手段と、をさらに備え、前記アイコン画像表示制御手段は前記抽出された施設のアイコン画像を表示することを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項5にかかる発明は、表示手段に地図画像を表示するとともに、前記地図画像上に所在する施設に関する情報を表示するナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、地図データと、前記地図データに含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベースと、前記表示手段に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段と、施設検索手段と、施設情報表示制御手段と、を備え、前記表示手段に地図画像と施設情報を表示する際、前記施設検索手段は、前記領域指定手段により指定された領域に基づき、前記地図データを参照して当該領域に属する施設を抽出し、前記施設情報表示制御手段は前記抽出された施設を一覧表示することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかるナビゲーション装置において、前記領域指定手段は、前記表示手段上に配置されたタッチパネルであることを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項5にかかるナビゲーション装置において、
前記領域指定手段は、前記表示手段に表示されるカーソルを操作するためのカーソル操作手段であることを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項5ないし請求項7の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記地図データに含まれる施設の属性に応じたアイコン画像が記憶されているアイコン画像データベースと、アイコン画像表示制御手段と、をさらに備え、前記アイコン画像表示制御手段は前記抽出された施設のアイコン画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
請求項1、請求項5にかかる発明においては、ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置は、地図データと、前記地図データに含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベースと、前記表示手段に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段と、施設検索手段と、施設情報表示制御手段と、を備え、前記表示手段に地図画像と施設情報を表示する際、前記施設検索手段は、前記領域指定手段により指定された領域に基づき、前記地図データを参照して当該領域に属する施設を抽出し、前記施設情報表示制御手段は前記抽出された施設を一覧表示する。
【0031】
このような構成によれば、地図画像を表示する際に、領域指定手段により、例えば、地図画像上で所望の建物や道路リンクあるいは所望のエリアの周りを矩形や円で囲む入力をしてエリアを指定すると、指定された領域に属する施設が検索され、その施設のみが一覧表示できるから、地図画像上に表示される施設の情報量を抑制でき、地図画像が視認し易くなる。また、ユーザにより簡単に地図画像上の所望エリアを指定でき、指定された領域に属する施設の情報のみが表示されるから、ユーザが所望する施設情報を見落とすという不具合を生じることがなくなる。
【0032】
請求項2、請求項6にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項5にかかるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置において、前記領域指定手段は、前記表示手段上に配置されたタッチパネルである。
【0033】
このような構成によれば、地図画像を表示する際に、タッチパネルにより地図画像上の所望の領域を囲むようにして簡単に領域を指定することができるようになる。また、指定された領域に属する施設が検索され、その施設のみが一覧表示できるから、地図画像上に表示される施設の情報量を抑制でき、地図画像が視認し易くなるとともに、ユーザにより指定された領域に属する施設の情報のみが表示されるから、ユーザが所望する施設情報を見落とすという不具合を生じることがなくなる。
【0034】
請求項3、請求項7にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項5にかかるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置において、前記領域指定手段は、前記表示手段に表示されるカーソルを操作するためのカーソル操作手段である。
【0035】
このような構成によれば、地図画像を表示する際に、カーソルを操作することにより地図画像上の所望の領域を囲むようにして簡単に領域を指定することができるようになる。また、指定された領域に属する施設が検索され、その施設のみが一覧表示できるから、地図画像上に表示される施設の情報量を抑制でき、地図画像が視認し易くなるとともに、ユーザにより指定された領域に属する施設の情報のみが表示されるから、ユーザが所望する施設情報を見落とすという不具合を生じることがなくなる。
【0036】
請求項4、8にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項3の何れか、請求項5ないし請求項7の何れかにかかるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置において、前記地図データに含まれる施設の属性に応じたアイコン画像が記憶されているアイコン画像データベースと、アイコン画像表示制御手段と、をさらに備え、前記アイコン画像表示制御手段は前記抽出された施設のアイコン画像を表示する。
【0037】
このような構成によれば、地図画像を表示する際に、領域指定手段により指定された領域に属する施設が検索され、その施設のみが一覧表示できるとともにその施設を示すアイコン画像のみが表示できるから、地図画像上に表示される施設の情報量とアイコン画像の数を抑制でき、地図画像が視認し易くなるとともに、ユーザにより指定された領域に属する施設の情報のみとアイコン画像のみとが表示されるから、ユーザが所望する施設情報を見落とすという不具合を生じることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステム、ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステム、ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステム、ナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0039】
図1は、本発明の実施例にかかる車載用のナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置10は、制御手段11、GPS受信手段12、自立航法手段13、地図データ14、経路探索手段15、表示手段16、入力手段17、施設情報表示制御手段18、通信手段19、施設情報DB(データベース)20、施設検索手段21、アイコン画像DB(データベース)22、アイコン画像表示制御手段23、などを備えて構成されている。
【0040】
なお、本実施例は、車載用のナビゲーション装置10を示すものであるが、ナビゲーションサーバとナビゲーション端末装置とからなる通信型のナビゲーションシステムであってもよく、また自動車による移動の他、徒歩や公共交通機関を利用した経路を案内するナビゲーションシステムであってもよい。ナビゲーション端末装置が車載用の機能を持たない携帯端末装置の場合、自立航法手段13を備える必要はない。
【0041】
制御手段11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。GPS受信手段12は一定の周期で複数のGPS衛星からの信号を受信して現在位置を測位する。自立航法手段13は車両に設けられた加速度センサや舵角センサなどの各種のセンサ出力を取得して現在位置を算出して推測航法を行うためのものである。
【0042】
表示手段16はLCDや有機ELDなどのディスプレイパネルなどから構成される表示ユニットであり、地図画像や推奨経路を表示する。入力手段17は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置10の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0043】
図2は、表示手段16および入力手段17の構成を示すブロック図であり、図3は、表示手段16および入力手段17の構成を示す模式図である。
【0044】
図2に示すように、表示手段16は、LCD161とLCD制御部162とから構成されている。LCD制御部162は、制御手段11からの制御信号に応じて、地図データ14、施設情報DB20、あるいはアイコン画像DB22から供給された画像信号について所定の画像処理を施してLCD161に出力する。
【0045】
入力手段17は、抵抗膜方式やセンサ方式などのタッチパネル171とタッチパネル制御部172とから構成されている。タッチパネル171は、LCD161の表示面に設けられ、表示面の任意の位置における指などの押圧あるいは接触を検出して位置検出信号を生成する。タッチパネル制御部172は、タッチパネル171からの位置検出信号を処理して、制御手段11に対して動作制御信号を出力する。
【0046】
図3に示すように、タッチパネル171は水平方向(x方向)に電極31が設けられたパネル及び垂直方向(y方向)に電極32が設けられたパネルを貼り合わせて構成されている。タッチパネル制御部172からの制御信号が入力端子を介して図示しない入力レジスタに供給されると、入力レジスタから信号ixが出力され、これら信号ixがタッチパネル171の水平方向の各電極31に夫々供給される。
【0047】
この状態で、水平方向の電極31と垂直方向の電極32の交差部分が押圧されると、押圧部分の垂直方向の電極32に電流oyが流れ、この電流oyが図示しない出力レジスタに供給される。そして出力レジスタからは電流oyに対応した信号、すなわち、どの位置がオンかを示す位置検出信号が出力され、この信号が出力端子を介してタッチパネル制御部172に供給される。このように検出を行うことによって、制御手段11はどの位置が押圧されたかを検出し、その位置に対応した各種処理を行うことができる。
【0048】
なお、上記実施例のタッチパネルは、LCDなどの表示面の上部に透明な抵抗膜及び電極膜から成るタッチセンサー面を設置して、ユーザが押圧することにより当該押圧部分におけるタッチセンサー面の電気抵抗が押圧時の圧力によって変化するため、タッチパネル制御部は、タッチセンサー面上において抵抗変化の生じたエリアを検出するものである。本発明はこのようなタッチパネルに限ることなく、例えば、光センサを用いてLCDなどの表示面と近接した空間に、その表示面に平行となるような光を放射し、タッチパネル制御部は、ユーザがその表示面を操作するときに光の遮られた位置エリアを検知するタッチパネルに適用することも可能である。
【0049】
経路探索手段15は、入力手段17から所望の出発地、目的地を設定してナビゲーションの要求があると、地図データ14を参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索する。
【0050】
経路探索手段15が探索した推奨経路は、地図画像とともに表示手段16に表示される。地図画像は、GPS受信手段12または自立航法手段13で算出した現在位置を中心とした所定範囲の地図データに基づいて表示手段16に表示され、現在位置を示す現在位置マークが地図画像上に表示される。
【0051】
地図データ14には、地図エリアに存在する種々の施設について、その属性(種別)や所在位置などの施設情報が記憶されている。
【0052】
施設情報DB(データベース)20には、各施設の詳細な情報、すなわち施設の名称や電話番号あるいは施設の営業に関する施設情報が記憶されている。この施設情報は、通信手段19を介して外部の情提供手段から取得して更新するように構成されている。
【0053】
例えば、施設が店舗の場合、種々のサーバやホームページが提供する店舗情報から営業日や営業時間を初めとする詳細な施設情報を取得することができる。また、施設が駐車場である場合には、空きスペースがあるか、満車であるかという状態はVICSシステムから提供されており、通信手段19を介して駐車場ごとに空き、満車の状態を所定の時間間隔で更新することができる。
【0054】
図4は、施設情報DB20に蓄積される施設情報を示す図である。図4は、店舗情報として、各店舗名41に対して位置データ42、住所43、電話番号44、営業時間帯45、およびリンク情報46が関連付けられて記憶されている例を示している。
【0055】
施設検索手段21は、地図画像の表示が要求された場合、施設情報DB20の施設情報を検索して地図画像上の所在位置に該当する施設を抽出する。ここで、入力手段17(領域指定手段)によりユーザが所望する地図画像上の領域が指定されると、施設情報DB20の施設情報を検索して、指定領域に含まれる所在位置に対応する施設を検索する。
【0056】
施設情報表示制御手段18は施設検索手段21が抽出した指定領域内にある施設の一覧表およびユーザによって指定された各施設に応じた詳細情報を施設情報DB20から読み出して表示手段16に表示した地図画像上に表示する。
【0057】
アイコン画像DB(データベース)22には、施設の属性(施設の種別)に応じたアイコン画像の画像データが蓄積されており、表示手段16に地図画像を表示する際、アイコン画像DB22から施設の属性に応じたアイコン画像のデータを取得し、各施設の所在位置に当該施設の属性に応じたアイコン画像を表示する。
【0058】
アイコン画像表示制御手段23は施設検索手段21が抽出した指定領域内にある施設の属性に応じたアイコン画像をアイコン画像DB22から読み出して表示手段16に表示した地図画像上の当該施設の所在位置に該アイコン画像を表示する。
【0059】
入力手段17(領域指定手段)はタッチパネルで構成されるものであるから、ユーザは所望の建物画像やアイコン画像、あるいは、道路リンクの画像を矩形や円で囲むように指でタッチパネルを操作すれば、簡単に地図画像上の所望の領域(エリア)を指定することができる。指定したエリア内に施設が複数ある場合には、その施設一覧が表示されるから、ユーザは表示された施設から所望に施設を選択することができ、その施設情報を表示させ観察(読む)ことができる。
【0060】
このようにすれば、施設の画像が重なり合っていても容易に所望の施設の情報を表示させることができるようになる。また、指定したい画像が細い道路リンクの画像のような場合もその周囲を囲むようにしたエリアを指定することができるようになる。入力手段17(領域指定手段)がカーソルであっても同様であり、建物画像やアイコン画像、あるいは、道路リンクの画像を矩形や円で囲むようにカーソルを操作して所望の領域を指定すればよい。この場合、カーソルで細い道路リンクを選択操作するは困難な場合があるが、本実施例のようにすれば、細い道路リンク画像であっても簡単にエリアを指定することができる。
【0061】
従って、本発明にかかる車載用ナビゲーション10は通常の地図表示モードの他に、エリア指定の表示モードを切替えることができる。エリア指定モードの表示に切替える方法としては、例えば、エリア指定モードに切替えるボタンを設け、この切替えボタンを押すことでエリア指定モードに切り替わるようにしてもよいし、タッチパネル上の操作アイコンにエリア指定切替えアイコンを設け、このアイコンをタッチ操作することによりエリア指定のモードへの切替えを行うようにしてもよい。
【0062】
図5は、施設情報を表示するための領域を指定する操作を説明するための地図画像の表示画面の一例を示す図である。図5の表示例は、主要な道路5aが表示され、画面中央にはナビゲーション装置10の現在位置を示す現在位置マーク5cが表示されている状態において、ユーザが、所望の地域が含まれる矩形の領域(範囲)を想定し、例えば、まず頂点Aの位置(矩形領域の左上の頂点となるべき位置)を指でタッチ操作し、引続き、頂点Bの位置(矩形領域の右上の頂点となるべき位置)、頂点Cの位置(矩形領域の右下の頂点となるべき位置)、頂点Dの位置(矩形領域の左下の頂点となるべき位置)をそれぞれ指でタッチ操作する。
【0063】
制御部172によって当該位置が検知され、位置情報が出力されると、制御手段11は、それぞれの頂点座標のうちX方向、Y方向それぞれの最大座標、最小座標で囲まれた矩形領域を指定範囲(破線で示す)として認識する。このとき図5に示すように、表示手段16の表示画面には認識された指定範囲が破線で表示される。この例はエリアを矩形形が囲むように指定しているが、円形で指定するようにしてもよい。
【0064】
図6は、表示手段16に表示される施設一覧表の表示画面の一例を示す図である。図6の表示例は、図5において指定された矩形範囲内に存在する店舗を施設検索手段21が探索し、その所在位置に該当する店舗の一覧表を表示した例を示している。表示画面には主要な道路5aと画面中央にはナビゲーション装置10の現在位置を示す現在位置マーク5cとが表示され、画面右下には矩形範囲内に存在する店舗の一覧表60が表示されている。
【0065】
図7は、表示手段16に表示される詳細施設情報の表示画面の一例を示す図である。図7の表示例は、図6において一覧表示された店舗の中からユーザによって指定された特定の店舗(例えば、店舗Z)の詳細情報を施設検索手段21が施設情報DB20から探索し、その詳細情報70のみを表示するとともに、その店舗に対応する所在位置に該当する店舗のアイコン画像5bを表示した例を示している。
【0066】
詳細情報70には、店舗名、住所、電話番号、営業時間帯、およびリンク情報が含まれており、ユーザによって指定された店舗の詳細情報のみを表示させることによりさらに地図画像が視認し易くなるとともに、所望の施設情報を見落といる不具合をさらに低減することができる。
【0067】
表示されたアイコン画像5bを見て、ユーザが所望のアイコンの詳細情報をダウンロードする場合、表示されたアイコンを選んでクリックする。アイコン画像にはリンク情報が記録されており、選択されたアイコン画像の詳細情報を有する情報提供サーバにリンクして情報をダウンロードすることができる。
【0068】
以上の説明は、ナビゲーション装置10のユーザが所望の経路や地点を基準として所定の縮尺、緯度・経度範囲の地図画像を表示する一般的な例を説明したものであるが、地図画像を表示する際、ユーザが所望の地域を指定してその地域の地図画像を選択的に表示させることもできる。
【0069】
なお、本発明の上記実施例の説明では、所望の矩形領域を指定する際に矩形領域の4つの頂点を順次指定していったが、少なくとも矩形領域の3つの頂点を指定し、それぞれの頂点座標のうちX方向、Y方向それぞれの最大座標、最小座標で囲まれた矩形領域を指定範囲として設定してもよい。また、まず頂点Aの始点位置(矩形領域の左上の頂点となるべき位置)を指でタッチ操作し、引続き仮想した矩形の枠に沿ってなぞるように右方、下方、左方、上方の順に一筆書きの要領でドラッグ操作を行い、元に戻ったと思われる位置で指を離すことで、制御手段11が、始点位置を始点座標と検出し、更にドラッグ操作の軌跡となる座標を記憶しておき、指が離れた位置の座標を終点座標として検出する。
【0070】
そして、始点座標から終点座標までを閉じた範囲として認識し、軌跡におけるX方向、Y方向夫々の最大座標、最小座標から矩形領域を指定範囲として認識してもよい。さらに、指定範囲に係る形状は、矩形を想定したが、この矩形形状に限らず、閉じた範囲を形成できる形状のものであれば、指定範囲として設定することができる。例えば、始点からドラッグして、円を描き、終点を始点に重ねて終了することによっても、円形領域を指定範囲として設定することができる。そしてその入力軌跡を指定範囲として表示画面上に表示すればよい。
【0071】
また、ユーザの入力によって指定された所望の指定範囲内に、施設アイコンのほかに縮尺変更アイコン等のタッチパネルボタン(UI:ユーザインタフェース)がある場合には、入力モードによってタッチパネルボタンと施設アイコンのどちらを優先するかを決定する。
【0072】
例えば、表示画面上の地図にAという目的地を示す施設アイコンがあり、このアイコンAをユーザが目的地として設定する場合にアイコン周辺を指定範囲としてユーザ入力を行うが、このとき指定範囲内にアイコンAと縮尺変更アイコンが存在していると仮定する。
【0073】
制御手段は、現在ユーザによる目的地設定プログラムを実行していることを認識して目的地としてのアイコンAと目的地としては関係のない縮尺変更アイコンのどちらを優先的に選択するか判断し、目的地としてのアイコンAを選択するようにする。このとき、制御手段内の優先情報は予め記憶させておく。
【0074】
さらに、図8は、表示手段に表示される施設一覧表の表示画面のその他の一例を示す図である。図8の表示例は、図5において指定された矩形範囲内に存在する店舗を施設検索手段21が探索し、その所在位置に該当する店舗の一覧表とその所在位置に該当する店舗のアイコン画像とを表示した例を示している。表示画面には主要な道路5aと該当する複数の店舗のアイコン5bが表示され、画面中央にはナビゲーション装置10の現在位置を示す現在位置マーク5cとが表示され、画面右下には矩形範囲内に存在する店舗の一覧表80が表示されている。
【0075】
図8において一覧表示された店舗の中からユーザによって指定された特定の店舗(例えば、店舗Z)を指定すると、詳細情報を施設検索手段21が施設情報DB20から探索し、図7に示すように、指定された施設の詳細情報70のみを表示するとともに、その店舗に対応する所在位置に該当する店舗のアイコン画像5bのみを表示させてもよい。
【0076】
また、図9に示すように注目したい施設のアイコン画像5bがその周辺のエリア内に密集して表示されており、ユーザが特定の注目したい施設のアイコン画像5bをタッチパネルあるいはカーソルなどの操作手段で選択するのが困難な場合がある。この場合に本発明によるエリア指定を行い、そのエリア内の施設一覧表90を表示させ、施設一覧表90から注目する施設を選択することもできる。
【0077】
以上説明したように本発明にかかるナビゲーション装置によれば、表示手段に地図画像と施設情報を表示する際に、領域指定手段により指定された領域に属する施設が検索され、その施設のみが一覧表示できるから、地図画像上に表示される施設の情報量を抑制でき、地図画像が視認し易くなるとともに、ユーザにより指定された領域に属する施設の情報のみが表示されるから、ユーザが所望する施設情報を見落とすという不具合を生じることがなくなる。
【0078】
なお、本発明の上記説明はナビゲーション装置を実施例としたものであるが、本発明は実施例のナビゲーション装置10に限ることなく、ナビゲーション端末装置とナビゲーションサーバを備えたナビゲーションシステムに適用することも可能である。また、ナビゲーション端末装置は車載用、歩行用の何れであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における表示手段および入力手段の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明における表示手段および入力手段の構成を示す模式図である。
【図4】本発明において施設情報データベースに蓄積される施設情報を示す図である。
【図5】本発明において施設情報を表示するための領域を指定する操作を説明するための地図画像の表示画面の一例を示す図である。
【図6】本発明において表示手段に表示される施設一覧表の表示画面の一例を示す図である。
【図7】本発明において表示手段に表示される詳細施設情報の表示画面の一例を示す図である。
【図8】本発明において表示手段に表示される施設一覧表の表示画面のその他の一例を示す図である。
【図9】本発明において表示手段に表示される施設一覧表の表示画面の更に他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・・車載用ナビゲーション装置
11・・・・制御手段
12・・・・GPS受信手段
13・・・・自立航法手段
14・・・・地図データ
15・・・・経路探索手段
16・・・・表示手段
17・・・・入力手段
18・・・・施設情報表示制御手段
19・・・・通信手段
20・・・・施設情報DB(データベース)
21・・・・施設検索手段
22・・・・アイコン画像DB(データベース)
23・・・・アイコン画像表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に地図画像を表示するとともに、前記地図画像上に所在する施設に関する情報を表示するナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、地図データと、前記地図データに含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベースと、前記表示手段に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段と、施設検索手段と、施設情報表示制御手段と、を備え、
前記表示手段に地図画像と施設情報を表示する際、前記施設検索手段は、前記領域指定手段により指定された領域に基づき、前記地図データを参照して当該領域に属する施設を抽出し、前記施設情報表示制御手段は前記抽出された施設を一覧表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記領域指定手段は、前記表示手段上に配置されたタッチパネルであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記領域指定手段は、前記表示手段に表示されるカーソルを操作するためのカーソル操作手段であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記地図データに含まれる施設の属性に応じたアイコン画像が記憶されているアイコン画像データベースと、アイコン画像表示制御手段と、をさらに備え、
前記アイコン画像表示制御手段は前記抽出された施設のアイコン画像を表示することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
表示手段に地図画像を表示するとともに、前記地図画像上に所在する施設に関する情報を表示するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、地図データと、前記地図データに含まれる個々の施設に関する情報である施設情報が記憶されている施設情報データベースと、前記表示手段に表示された地図画像の任意の領域を指定する領域指定手段と、施設検索手段と、施設情報表示制御手段と、を備え、
前記表示手段に地図画像と施設情報を表示する際、前記施設検索手段は、前記領域指定手段により指定された領域に基づき、前記地図データを参照して当該領域に属する施設を抽出し、前記施設情報表示制御手段は前記抽出された施設を一覧表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
前記領域指定手段は、前記表示手段上に配置されたタッチパネルであることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記領域指定手段は、前記表示手段に表示されるカーソルを操作するためのカーソル操作手段であることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記地図データに含まれる施設の属性に応じたアイコン画像が記憶されているアイコン画像データベースと、アイコン画像表示制御手段と、をさらに備え、
前記アイコン画像表示制御手段は前記抽出された施設のアイコン画像を表示することを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−180786(P2008−180786A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12612(P2007−12612)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】