説明

ナビゲーションシステムおよびランドマークの表示方法

【課題】ナビゲーションデータの更新を待つことなく、最近建てられたコンビニエンスストアなどのランドマークを、ナビゲーションデータに基づく画面に表示することを可能とすること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1の経路抽出手段134は、経路変換テーブル82を用いて、携帯入力装置4による印刷物5の読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する。ランドマーク抽出手段134は、ランドマークテーブル83を用いて、抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出する。表示手段66は、ランドマーク抽出手段134により抽出されるランドマークを、そのランドマークの緯度経度データを用いて経路とともに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよびランドマークの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ナビゲーション装置を開示する。このナビゲーション装置は、コンパクトディスクリードオンリメモリ(略称CD−ROM)などによって実現されるメモリを有する。また、このナビゲーション装置は、メモリから地図データを読み出し、表示する。
【0003】
【特許文献1】特開2001−74481号公報(要約、段落0033など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションシステムは、地図データなどのナビゲーションデータを、CD−ROMなどに記憶する。そして、このナビゲーションデータは、数年に1回、多くても年に1回あるいは半年に1回の割合で更新される。
【0005】
したがって、ユーザがナビゲーションシステムにより経路案内されるときには、コンビニエンスストアなどのランドマークが無くなっていたり、新たなコンビニエンスストアなどのランドマークが建てられていたりする。コンビニエンスストアや、ガソリンスタンドなどのランドマークは、神社、学校などの地図記号化されているランドマークなどとは違って比較的頻繁に変更(出店、移転、閉店など)される傾向にある。再開発地域などにあっては、複数のランドマークが一度に入れ替えられてしまうこともある。
【0006】
このため、ユーザは、たとえば不慣れな地域や見通しがきかない経路などにあっては、ランドマークなどを頼りに現在位置を確認しつつ移動するものであるが、表示されるランドマークが変更されてしまっていることにより、現在位置を見失ったり、案内経路から外れてしまったりしてしまう。また、ユーザは、実在しないコンビニエンスストアなどのランドマークを目的地や立ち寄り地に設定してしまったり、実在していて本来は設定したいと思うランドマークを目的地や立ち寄り地に設定することができなかったりしてしまう。
【0007】
本発明は、ナビゲーションデータの更新を待つことなく、最近建てられたコンビニエンスストアなどのランドマークを、ナビゲーションデータに基づく画面に表示することが可能なナビゲーションシステムおよびランドマークの表示方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るナビゲーションシステムは、経路およびランドマークのナビゲーションデータを有するナビゲーションシステムである。そして、このナビゲーションシステムは、道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取る携帯入力装置と、印刷物中の印刷内容と重なる読取位置に対応付けて経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する経路抽出手段と、経路変換テーブルにおける経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの少なくとも緯度経度データを含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するランドマーク抽出手段と、ナビゲーションデータを用いて経路抽出手段により抽出される経路を表示する場合、ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを、そのランドマークの緯度経度データを用いて、経路とともに表示する表示手段と、を有する。
【0009】
本発明に係る他のナビゲーションシステムは、経路およびランドマークのナビゲーションデータを有するナビゲーションシステムである。そして、このナビゲーションシステムは、道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取る携帯入力装置と、印刷物中の印刷内容と重なる読取位置に対応付けて経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する経路抽出手段と、経路変換テーブルにおける経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの少なくとも緯度経度データを含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するランドマーク抽出手段と、ランドマークテーブルから抽出されたランドマークに関する情報を記憶する記憶手段と、案内経路の確認時あるいは経路案内中にナビゲーションデータを用いて経路抽出手段により抽出される経路を表示する場合、記憶手段に属性情報が記憶されるランドマークを、そのランドマークの緯度経度データを用いて、経路とともに表示する表示手段と、を有するものである。
【0010】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、携帯入力装置は、印刷物に印刷されている、ランドマークの属性情報の分類マークを読み取る。ランドマーク抽出手段は、経路抽出手段により抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられているランドマークであって、且つ、携帯入力装置により読み取られた分類マークの分類に属する分類されるランドマークの属性情報を抽出する。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、印刷物には、携帯入力装置が読み取り可能なパターンとして、少なくともその紙面中の位置毎に異なる値の座標値へ変換することができる複数の座標パターンが印刷される。携帯入力装置は、読み取った複数の座標パターンから変換した複数の座標値による軌跡データを生成する。経路変換テーブルにおける経路に固有の属性情報は、印刷物においてその経路と重ねて印刷される複数の座標パターンの座標値に対応付けられる。さらに、ランドマーク抽出手段は、携帯入力装置により生成される軌跡データの複数の座標値と、経路変換テーブルに記憶される経路毎の複数の座標パターンの座標値とを比較することで、携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する。
【0012】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、印刷物に印刷されている、ランドマークの属性情報の分類マークは、複数の座標パターンと重ねて且つ経路が印刷される紙面領域とは重ならないように印刷される。ランドマーク抽出手段は、携帯入力装置が生成した読取データから、ランドマークの属性情報の分類マークと重なる範囲内の座標パターンの座標値が得られる場合、分類マークの分類に属する属性情報を抽出する。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、経路抽出手段、ランドマーク抽出手段および表示手段は、ナビゲーション本体に設けられる。携帯入力装置は、ナビゲーション本体と通信ケーブルにより接続され、あるいは、ナビゲーション本体と無線通信することで、印刷物を読み取った軌跡データを経路抽出手段へ送信する。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、表示手段は、経路抽出手段により抽出される経路から所定の範囲内には、ナビゲーションデータに含まれるランドマークを表示することなく、ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを表示する。
【0015】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、表示手段は、ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを、当該ナビゲーションシステムにおいて、出発地、立寄地あるいは目的地として選択可能に表示する。
【0016】
本発明に係るランドマークの表示方法は、道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取るステップと、印刷物中の印刷内容と重なる読取位置に対応付けて経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出するステップと、経路変換テーブルにおける経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの、ナビゲーションシステムにおいて利用可能な緯度経度データを少なくとも含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するステップと、抽出される経路とともに、抽出されるランドマークを、それぞれの緯度経度データを用いて表示するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、ナビゲーションデータの更新を待つことなく、最近建てられたコンビニエンスストアなどのランドマークを、ナビゲーションデータに基づく画面に表示することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよびランドマークの表示方法を、図面に基づいて説明する。ナビゲーションシステムは、車両の一種である自動車に設置されて、自動車の道路案内に用いられるカーナビゲーションシステムを例に説明する。ランドマークの表示方法は、カーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示す構成図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車に設置されるナビゲーション装置としてのナビゲーション本体2と、ナビゲーション本体2とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル3により接続可能な、携帯入力装置としての電子ペン4と、印刷物としての地図帳5と、を有する。USBケーブルは、通信ケーブルの一種である。
【0020】
図2は、図1中の地図帳5中の1ページを示す図である。図3は、図2の地図帳5のページの部分断面図である。
【0021】
地図帳5の各ページは、図3に示すように、シート11の紙面に、赤外線を吸収するインクと、赤外線を透過するインクとが印刷される。シート11には、まず、赤外線を吸収するインクが印刷され、その上に、赤外線を透過するインクにより地図などの情報が印刷される。
【0022】
赤外線を透過するインクにより、地図帳5の各ページには、図2に示すように、自動車が通行可能な複数の道路を含む四角形の地図画像21と、各種の長方形のマーク22,・・・,28とが印刷される。地図画像21および複数のマーク22,・・・,28は、シート11の別々の領域に、互いに重ることがないように領域を分けて印刷される。
【0023】
赤外線を透過するインクによりシート11に形成されるマークには、電子ペン4を制御するための電子ペン用マークと、電子ペン4により読み取ったデータの利用を制御するためのコマンドマークと、ランドマークの属性分類マークと、がある。ランドマークとは、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、神社、学校などの移動の目標物である。また、移動の目的地などにもなるものである。電子ペン用マークには、たとえばリセットマーク22、決定マーク23などがある。コマンドマークには、目的地設定マーク24、ランドマーク取得マーク25などがある。ランドマークの属性分類マークには、コンビニエンスストアマーク26、ガソリンスタンドマーク27、金融機関マーク28などがある。
【0024】
また、地図帳5のページには、赤外線を吸収するインクにより、複数の座標パターン13が印刷される。座標パターン13は、電子ペン4により読み取り可能な解像度のパターンであり、6×6個のドット12により構成されている。
【0025】
図4は、シート11に対する複数の座標パターン13の印刷状態の一例を示す説明図である。図4において、複数の座標パターン13を構成する複数のドット12は、略0.3ミリメートル間隔で、縦横に配列されている。そして、1つの座標パターン13は、6×6個のドット12により構成される。座標パターン13内におけるその複数のドット12の配置は、少なくともその紙面中の複数の座標パターン13において互いが区別できるように、座標パターン13毎に互いに異なる。具体的にはたとえば、各ドット12は、図4中の所定の一定間隔毎の縦基準線と横基準線との交点の位置を基準として、上下左右のいずれか1つの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ少しずれた位置に印刷される。そして、各座標パターン13における6×6個の合計36個のドット12のずれ方向の組合せは、複数の座標パターン13の中で唯一なものとすることができる。複数のドット12の中から6×6個のドット12を選んだとき、その36個のドット12のずれ方向の組合せは、他のすべての36個のドット12によるずれ方向の組合せと異なるものとすることができる。この複数の座標パターン13の中で唯一となる36個のドット12のずれ方向の組合せにより、各座標パターン13には、ユニークな座標値を対応付けることができる。なお、6×6個のドット12で構成される複数の座標パターン13は、たとえば1つの地図帳5において互いに異なるものであってもよい。
【0026】
複数の座標パターン13は、紙面の略全面に印刷される。複数の座標パターン13は、図2の地図帳5のページ中の、電子ペン用マーク22,23と重なる領域以外の紙面の全面に印刷される。複数の座標パターン13は、地図画像21と、各種のコマンドマーク24,25と、各種のランドマークの属性分類マーク26,27,28とに重ねて印刷される。地図画像21と重ねて印刷される複数の座標パターン13と、各種のコマンドマーク24,25と重ねて印刷される複数の座標パターン13と、各種のランドマークの属性分類マーク26,27,28と重ねて印刷される複数の座標パターン13とは、互いに異なるものとなる。
【0027】
また、シート11の略全面に印刷される複数の座標パターン13は、それぞれのユニークなドット12の配列に基づいて、電子ペン4により互いに異なる座標値の座標データへ変換される。複数の座標パターン13は、たとえば紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標データへ変換される。図2の紙面では、紙面の横方向がX軸であり、紙面の縦方向がY軸である。
【0028】
なお、複数の座標パターン13は、たとえば1冊の地図帳5のすべてのページを1つの大きな紙面上に並べたと仮定した状態において、その大きな紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標データへ変換されるものであってもよい。この変形例の場合、二次元の座標データにより、ページ内の読取位置のみならず、地図帳5中のページも特定することが可能である。
【0029】
図5は、図1中の電子ペン4の構成を示すブロック図である。電子ペン4は、ボールペン軸31、筆圧センサ32、赤外線LED(Light Emitting Diode)33、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ34、USBケーブル3が接続されるUSBI/F(USBインタフェース)35、時刻情報を生成するタイマ36、不揮発性メモリ37、マイクロコンピュータ38などを有する。電子ペン4は、図1に示すように、細長い棒形状のハウジング39を有する。
【0030】
なお、電子ペン4や後述するナビゲーション本体2は、USBI/F35の代わりに、たとえばブルートゥースなどの無線通信I/Fを備えるものであってもよい。また、タイマ36は、電子ペン4がたとえばリセットされてからの経過時間などを時刻として計測するものであってもよい。
【0031】
ボールペン軸31は、この細長い棒形状のハウジング39の一端部に、突出して配設される。筆圧センサ32は、ボールペン軸31に作用する筆圧を検出する。筆圧センサ32は、検出した筆圧値をマイクロコンピュータ38へ出力する。
【0032】
赤外線LED33およびCMOSセンサ34は、ハウジング39の一端部において、ボールペン軸31の配設位置の周囲に配設される。赤外線LED33は、ボールペン軸31の先端が紙面に触れるとき、その接触部位およびその周囲の部位へ赤外線を照射する。CMOSセンサ34は、紙面のその接触部位およびその周囲の部位により反射される赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、受光した赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38へ出力する。
【0033】
マイクロコンピュータ38は、図示外のメモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、筆圧センサ32、赤外線LED33、CMOSセンサ34、USBI/F35、タイマ36、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などの不揮発性メモリ37などが接続される。電子ペン4のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン4のマイクロコンピュータ38には、読取データ生成部41と、読取データ送信部42と、が実現される。
【0034】
読取データ生成部41は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13を座標値へ変換し、複数の座標値の読取座標データ51を有する読取データ46を生成する。読取データ生成部41は、生成した読取データ46を不揮発性メモリ37に記憶させる。
【0035】
図6は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46のデータ構造の一例を示す図である。読取データ46は、通常、複数のレコードで構成される。図6では、横一列が1つのレコードに相当する。読取データ46の各レコードは、読取座標データ51と、ペン圧レベルデータ52と、時刻データ53と、を有する。読取座標データ51は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13から得られる座標値を有する座標データであり、X,Yの二次元の座標データである。ペン圧レベルデータ52は、筆圧センサ32が検出した筆圧値を有するデータである。時刻データ53は、タイマ36が計測する時刻を有するデータである。なお、図5の読取データ46は、図6の備考欄に示すように、4つの軌跡データにより構成される。各軌跡データは、複数のレコードにより構成されている。
【0036】
不揮発性メモリ37は、読取データ46の他に、リセット印刷パターンデータ47、決定印刷パターンデータ48を記憶する。リセット印刷パターンデータ47は、図2中のリセットマーク22と重ねて、赤外線を吸収するインクによりシート11に印刷されるリセット印刷パターンのデータである。決定印刷パターンデータ48は、図2中の決定マーク23と重ねて、赤外線を吸収するインクによりシート11に印刷される決定印刷パターンのデータである。リセット印刷パターンおよび決定印刷パターンは、読取データ生成部41による読取を制御するために使用される。
【0037】
読取データ送信部42は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を、USBI/F35にUSBケーブル3により接続される機器へ送信する。図1のカーナビゲーションシステム1では、電子ペン4のUSBI/F35には、USBケーブル3によりナビゲーション本体2が接続される。読取データ送信部42は、ナビゲーション本体2へ、不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を送信する。
【0038】
図7は、図1中のナビゲーション本体2の構成を示すブロック図である。ナビゲーション本体2は、ジャイロセンサ61、GPS(Global Positioning System)受信機62、HDD(ハードディスクドライブ)63、キーデバイス64、タッチパネル65、表示手段としての液晶デバイス66、記憶手段としての一時メモリ67、USBI/F68、CD(Compact Disc)I/F69、マイクロコンピュータ70などを有する。また、図7中には、ナビゲーション本体2に挿入されているCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)6も記述されている。
【0039】
図1に示すように、ナビゲーション本体2のフロントパネルには、液晶デバイス66と、キーデバイス64の複数の入力ボタン60とが配設される。また、液晶デバイス66の表示部上には、タッチパネル65が配設される。このフロントパネルの裏側には、図示外のCD挿入口と、USBI/F68と、が配設される。このUSBI/F68には、電子ペン4のUSBI/F35に接続されたUSBケーブル3が接続可能である。
【0040】
ジャイロセンサ61は、そのX軸,Y軸およびZ軸の3軸方向での加速度を検出する。つまり、ジャイロセンサ61は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の3軸方向での加速度を検出する。
【0041】
GPS受信機62は、GPS衛星が送信するGPS電波を受信し、緯度経度データを生成する。つまり、GPS受信機62は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の緯度経度データを生成する。
【0042】
HDD63は、ナビゲーション本体2が単独で経路探索および経路案内を実行するために必要となるデータを記憶する。このようなデータとしては、たとえば、ナビゲーションデータ71、目的地設定に基づく案内経路データ72などがある。
【0043】
ナビゲーションデータ71は、たとえば表示地図データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数のランドマークデータなどを有する。
【0044】
ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、液晶デバイス66に道路地図を表示するためデータであり、たとえば所定の縮尺での日本全国の道路地図をデータ化したものである。ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、たとえば所定のメッシュサイズでの複数のテクスチャデータにより構成される。各テクスチャデータには、そのテクスチャデータの位置を示す緯度経度データなどが対応付けられている。
【0045】
ナビゲーションデータ71中のノードデータは、表示地図データが網羅する地域中の自動車が通過可能な道路の交差点や曲がり角のデータである。ノードデータは、固有のノード名や、それが対応する交差点や曲がり角の緯度経度データなどを有する。また、ノードデータには、対応する交差点などの交差点名などが属性情報として対応付けられている。
【0046】
ナビゲーションデータ71中のリンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータである。リンクデータは、固有のリンク名や、それが接続される複数のノードのノード名などが対応付けられる。また、ノードデータおよびリンクデータには、対応する道路の道路名(たとえば国道○○号線、県道△△号線など)などが属性情報として対応付けられている。
【0047】
ナビゲーションデータ71中のランドマークデータは、表示地図データが網羅する地域中の施設や場所、たとえばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行などの金融機関、学校、神社などに対応付けられるデータである。ランドマークデータは、たとえば対応するランドマークの名称、種類、緯度経度などの属性情報を有する。
【0048】
CDI/F69は、ナビゲーション本体2に挿入されたCD−ROM6からデータを読み込む。ナビゲーション本体2に挿入されるCD−ROM6は、たとえば地図帳5とともに、たとえばカーナビゲーションシステム1の提供元や出版社などから供給されるものである。そして、このCD−ROM6は、たとえば領域判断テーブル81、経路変換テーブルとしての道路名変換テーブル82、ランドマークテーブル83などを記憶する。
【0049】
図8は、図7中のCD−ROM6に記憶される領域判断テーブル81の一例を示す図である。領域判断テーブル81は、電子ペン4で読み取る紙面と対応付けられた複数の座標枠データ91を有する。各座標枠データ91には、その座標枠が選択された場合に実行する処理コマンド92が対応付けられている。
【0050】
具体的には、図8の領域判断テーブル81は、図2中の目的地設定マーク24の印刷範囲の座標枠データ91と、ランドマーク取得マーク25の印刷範囲の座標枠データ91と、コンビニエンスストアマーク26の印刷範囲の座標枠データ91と、ガソリンスタンドマーク27の印刷範囲の座標枠データ91と、金融機関マーク28の印刷範囲の座標枠データ91と、地図画像21の印刷範囲の座標枠データ91と、を有する。各座標枠データ91は、印刷範囲が長方形であると仮定し、その対向する2角の座標値で構成される。
【0051】
また、図8の領域判断テーブル81では、目的地設定マーク24の座標枠内が選択された場合の処理コマンド92として、目的地設定が対応付けられている。ランドマーク取得マーク25の座標枠内が選択された場合の処理として、ランドマーク取得処理が対応付けられている。コンビニエンスストアマーク26の座標枠内が選択された場合の処理として、検索するランドマークの種類にコンビニエンスストアを設定する処理が対応付けられている。ガソリンスタンドマーク27の座標枠内が選択された場合の処理として、検索するランドマークの種類にガソリンスタンドを設定する処理が対応付けられている。金融機関マーク28の座標枠内が選択された場合の処理として、検索するランドマークの種類に金融機関を設定する処理が対応付けられている。地図画像21の座標枠内が選択された場合の処理として、道路名の特定処理が対応付けられている。
【0052】
図9は、図7中のCD−ROM6に記憶される道路名変換テーブル82の一例を示す図である。道路名変換テーブル82は、印刷された地図範囲内の複数の道路の道路名データ101を有する。道路名データ101は、道路に固有の属性情報である。図9の道路名変換テーブル82は、図2に印刷された3つの道路の中の、2つの道路の道路名データ101を有する。具体的には、「国道○○号線」の道路名データ101と、「県道△△号線」の道路名データ101とを有する。各道路名データ101には、その道路と重ねて印刷される複数の座標パターン13の座標データ102が対応付けられている。なお、この道路名変換テーブル82において道路名データ101と対応付けられる座標データ102の座標値は、厳密に道路名データ101の道路と重なる座標パターン13の座標値と一致するものでなくてもよい。
【0053】
図10は、図7中のCD−ROM6に記憶されるランドマークテーブル83の一例を示す図である。ランドマークテーブル83は、印刷された地図範囲内の複数のランドマークの属性情報を有する。ランドマークテーブル83の各レコードは、それが対応するランドマークの名称データ111、種類データ112、所在地の緯度経度データ113、近接道路名データ114などの属性情報を有する。ランドマークの種類データ112は、ランドマークが属する属性分類を示すものである。なお、このランドマークテーブル83におけるランドマークの種類には、図2の紙面にマーク26,27,28として印刷された分類に限られるものではない。また、このランドマークテーブル83において、複数の近接道路名データ114は、道路名変換テーブル82に登録される道路名データ101の道路のものに限られるものではない。図10のランドマークテーブル83は、具体的には、1つ以上のコンビニエンスストアの属性情報と、1つ以上のガソリンスタンドの属性情報と、1つ以上の金融機関の属性情報と、を有する。
【0054】
一時メモリ67は、たとえばフラッシュメモリなどの半導体メモリなどにより構成される。一時メモリ67は、受信読取データ121、抽出道路名データ122、抽出条件データ123、抽出ランドマークデータ124などを記憶する。
【0055】
ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70は、図示外のメモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、ジャイロセンサ61、GPS受信機62、HDD63、キーデバイス64、タッチパネル65、液晶デバイス66、一時メモリ67、USBI/F68などが接続される。ナビゲーション本体2のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70には、現在位置データ生成部131と、UI(User Interface)部132と、読取データ受信部133と、経路抽出手段およびランドマーク抽出手段としての読取データ処理部134と、が実現される。
【0056】
なお、このナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70が実行する制御プログラムは、ナビゲーション本体2の出荷前に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであっても、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶される制御プログラムは、たとえばCD−ROM6などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。上述した電子ペン4のマイクロコンピュータ38が実行する制御プログラムについても、同様である。
【0057】
現在位置データ生成部131は、GPS受信機62が生成する緯度経度データや、ジャイロセンサ61が生成する加速度データに基づいて、ナビゲーション本体2が設置される自動車の現在位置データを生成する。現在位置データは、緯度経度により表される。
【0058】
UI部132は、目的地などの設定に基づいて案内経路データ72を生成したり、液晶デバイス66の表示を制御したりする。UI部132は、たとえばキーデバイス64やタッチパネル65からの入力データに基づいて、HDD63や一時メモリ67にアクセスし、新たな表示データを生成する。UI部132は、表示データに基づく画像を液晶デバイス66に表示させる。UI部132が液晶デバイス66に表示させる表示画面としては、目的地などを住所や分類により検索し選択する画面、案内経路の表示画面、経路案内画面などがある。
【0059】
読取データ受信部133は、ナビゲーション本体2のUSBI/F68を用いて、電子ペン4が送信する読取データ46を受信する。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、受信読取データ121として記憶する。
【0060】
読取データ処理部134は、一時メモリ67に記憶される受信読取データ121に基づいて、抽出道路名や抽出条件を特定し、その抽出条件のもとで、ナビゲーション本体2に装着されているCD−ROM6から、ランドマークの属性情報を抽出する。読取データ処理部134は、抽出道路名データ122、抽出条件データ123、抽出ランドマークデータ124などを、一時メモリ67に記憶させる。
【0061】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下においては、電子ペン4により、地図帳5のページを読み取り、その読み取りに基づいて抽出されたランドマークを、ナビゲーション本体2の液晶デバイス66に表示する動作を説明する。
【0062】
まず、ユーザは、電子ペン4により地図帳5を読み取る。地図帳5のページには、図2に示すように、地図画像21とともに、リセットマーク22、決定マーク23、目的地設定マーク24、ランドマーク取得マーク25、コンビニエンスストアマーク26、ガソリンスタンドマーク27、金融機関マーク28が印刷されている。ユーザは、たとえば、図2中に点線で示すように、電子ペン4のペン先(ボールペン軸31の先端)により、リセットマーク22およびランドマーク取得マーク25をチェックし、地図画像21中の道路「国道OO号線」をなぞり、さらに、コンビニエンスストアマーク26、ガソリンスタンドマーク27および決定マーク23をチェックする。
【0063】
電子ペン4の読取データ生成部41は、筆圧センサ32から所定の閾値以上の筆圧値が入力されると、赤外線の照射処理を開始する。電子ペン4の読取データ生成部41は、筆圧センサ32からの筆圧値が所定の閾値以下になると、赤外線の照射処理を終了する。読取データ生成部41は、各マークがチェックされるとき、および各道路がなぞられるとき、赤外線の照射処理を実行する。
【0064】
この赤外線の照射処理において、読取データ生成部41は、赤外線LED33により赤外線を発光させる。赤外線LED33が出力する赤外線は、紙面のペン先が当たる部位により反射される。リセットマーク22などの各種のマークや地図画像21には、座標パターン13が重ねて印刷される。座標パターン13は、その複数のドット12の配列により赤外線を吸収する。CMOSセンサ34は、ドット12により吸収されずに紙面により反射された赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38に実現される読取データ生成部41へ供給する。
【0065】
CMOSセンサ34から赤外線の強度分布データが供給されると、読取データ生成部41は、その画像を解析する。読取データ生成部41は、まず、読取画像における赤外線の吸収パターン中に、不揮発性メモリ37に記憶されるリセット印刷パターンデータ47と一致する吸収パターン、あるいは、不揮発性メモリ37に記憶される決定印刷パターンデータ48と一致する吸収パターンが含まれているか否かを判断する。
【0066】
読取画像における赤外線の吸収パターン中にリセット印刷パターンデータ47と一致する吸収パターンが含まれている場合、読取データ生成部41は、不揮発性メモリ37をリセットし、読取データ46の追加処理を開始する。読取データ生成部41は、不揮発性メモリ37に記憶されている過去の読取データ46を消去する。
【0067】
読取画像における赤外線の吸収パターン中に決定印刷パターンデータ48と一致する吸収パターンが含まれている場合、読取データ生成部41は、読取データ46の追加処理を終了する。
【0068】
読取画像における赤外線の吸収パターン中にリセット印刷パターンデータ47と一致する吸収パターンおよび決定印刷パターンデータ48と一致する吸収パターンのいずれも含まれない場合、読取データ生成部41は、画像中の座標パターン13を特定する。読取データ生成部41は、所定のアルゴリズムにより、特定した座標パターン13から、その座標パターン13に固有の座標値を得る。
【0069】
CMOSセンサ34が生成した読取画像から座標値を得ると、読取データ生成部41は、タイマ36から時刻情報を取得し、筆圧センサ32から筆圧値を取得する。読取データ生成部41は、取得した座標値、筆圧値および時刻情報を、不揮発性メモリ37に記憶させる。不揮発性メモリ37は、読取データ生成部41から供給されるこの3つのデータを、読取データ46の1つのレコードとして、読取データ46へ追加する。
【0070】
上述したように、ユーザが、リセットマーク22およびランドマーク取得マーク25をチェックし、地図画像21中の道路「国道OO号線」をなぞり、さらに、コンビニエンスストアマーク26、ガソリンスタンドマーク27および決定マーク23をチェックすると、不揮発性メモリ37には、たとえば図6に示すような読取データ46が蓄積して記憶される。不揮発性メモリ37には、ランドマーク取得マーク25に重なる複数の座標パターンから得られる座標値を有する複数のレコードと、地図画像21中の道路「国道OO号線」に重なる複数の座標パターンから得られる座標値を有する複数のレコードと、コンビニエンスストアマーク26に重なる複数の座標パターンから得られる座標値を有する複数のレコードと、ガソリンスタンドマーク27に重なる複数の座標パターンから得られる座標値を有する複数のレコードと、で構成される読取データ46が記憶される。読取データ46として、図6に示すように、4つの軌跡データを有する読取データ46が生成される。読取データ46は、ランドマーク取得マーク25をチェックする軌跡データと、地図画像21中の道路「国道OO号線」をなぞる軌跡データと、コンビニエンスストアマーク26をチェックする軌跡データと、ガソリンスタンドマーク27をチェックする軌跡データと、を有する。
【0071】
以上の読取作業を終えると、ユーザは、電子ペン4とナビゲーション本体2とをUSBケーブル3で接続する。
【0072】
USBケーブル3により電子ペン4とナビゲーション本体2とが接続されると、電子ペン4のUSBI/F35と、ナビゲーション本体2のUSBI/F68との間で、たとえばUSBマスストレージクラスなどにより、データの送受信が可能な状態となる。電子ペン4の読取データ送信部42は、不揮発性メモリ37に記憶されている読取データ46を、ナビゲーション本体2の読取データ受信部133へ送信する。読取データ送信部42が送信した読取データ46は、電子ペン4のUSBI/F35、USBケーブル3およびナビゲーション本体2のUSBI/F68を介して、読取データ受信部133へ送信される。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を、一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ受信部133が受信した読取データ46を、受信読取データ121として記憶する。
【0073】
一時メモリ67に新たな未処理の受信読取データ121が保存されると、読取データ処理部134は、その未処理の受信読取データ121に対する処理を開始する。
【0074】
図11は、図7中の読取データ処理部134が未処理の受信読取データ121に対して実行する処理の流れを示すフローチャートである。読取データ処理部134は、まず、一時メモリ67に未処理の受信読取データ121が保存されているか否かを判断する(ステップST1)。
【0075】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ121が保存されていない場合、読取データ処理部134は、この判断処理(ステップST1)を繰り返し実行する。読取データ処理部134は、未処理の受信読取データ121待ち状態となる。
【0076】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ121が保存されている場合、読取データ処理部134は、受信読取データ121中のランドマーク取得指示の有無を確認する(ステップST2)。読取データ処理部134は、具体的にたとえば、まず、CD−ROM6の領域判断テーブル81から、図8に示すように、ランドマーク取得マーク25の印刷範囲の座標枠データ91を取得する。CDI/F69は、読取データ処理部134からの取得指示に基づいて、CD−ROM6を回転駆動し、CD−ROM6に記録されているランドマーク取得マーク25の座標枠データ91を読込み、読取データ処理部134へ供給する。
【0077】
ランドマーク取得マーク25の座標枠データ91を取得すると、読取データ処理部134は、その座標枠データ91による座標枠内を指定する軌跡データが、一時メモリ67に記憶される受信読取データ121中に含まれているか否かを判断する。読取データ処理部134は、たとえば、座標枠内の座標値が受信読取データ121に含まれている場合、座標枠内を指定する軌跡データが受信読取データ121中に含まれていると判断する。読取データ処理部134は、たとえば、座標枠内の座標値が受信読取データ121に含まれていない場合、座標枠内を指定する軌跡データが受信読取データ121中に含まれていないと判断する。
【0078】
なお、読取データ処理部134は、受信読取データ121を解析して受信読取データ121中の各軌跡データを特定し、特定した軌跡データの重心の座標値などを演算し、その演算した座標値が、ランドマーク取得マーク25の座標枠データ91による座標枠内に入っているか否かに基づいて、ランドマーク取得マーク25の座標枠内を指定する軌跡データが受信読取データ121中に含まれているか否かを判断するようにしてもよい。
【0079】
また、読取データ処理部134は、たとえば以下のような判断により、受信読取データ121中の軌跡データを特定すればよい。受信読取データ121は、図6の読取データ46と同じデータ構造を有する。読取データ46において、複数の読取座標データ51は、読み取られた時刻順に並んで格納されている。読取データ処理部134は、連続するレコードの時刻データ53の時間間隔が所定値以下の場合、その連続するレコードが同じ軌跡データに属するものであると判断し、その時間間隔が所定値より大きい場合、その連続するレコードが別々の軌跡データに属するものであると判断する。読取データ処理部134は、受信読取データ121の先頭レコードから最終レコードまでを走査し、別々の軌跡データに属すると判断したところを複数の軌跡データの区切りとして、受信読取データ121中の軌跡データを特定すればよい。なお、読取データ処理部134は、連続するレコードの時刻データ53の時間間隔ではなく、連続するレコードの読取座標値の差により、軌跡データの区切りと判断するようにしてもよい。
【0080】
一時メモリ67に記憶される受信読取データ121にランドマーク取得マーク25の座標枠内の軌跡データが含まれている場合、読取データ処理部134は、ランドマーク取得処理を実行する。それ以外の場合、読取データ処理部134は、たとえば目的地設定などの別の処理(ステップST3)を実行する。
【0081】
ランドマーク取得処理において、読取データ処理部134は、まず、受信読取データ121中に、未処理の軌跡データが含まれているか否かを判断する(ステップST4)。読取データ処理部134は、たとえば、受信読取データ121中に、ランドマーク取得マーク25を指定する軌跡データ以外の軌跡データが含まれている場合、受信読取データ121中に未処理の軌跡データが含まれていると判断する。それ以外の場合、読取データ処理部134は、受信読取データ121中に未処理の軌跡データが含まれていないと判断する。図6の読取データ46は、4つの軌跡データを有する。この読取データ46を受信した場合、読取データ処理部134は、受信読取データ121中に未処理の軌跡データが含まれていると判断する。
【0082】
受信読取データ121中に未処理の軌跡データが含まれていると判断すると、読取データ処理部134は、未処理の軌跡データが、図2中の地図画像21が印刷された地図領域内であるか否かを判断する(ステップST5)。読取データ処理部134は、たとえばCD−ROM6の領域判断テーブル81から、地図画像21に対応する座標枠のデータを読み込み、未処理の軌跡データが、この座標枠の範囲内であるか否かを判断する。
【0083】
なお、読取データ処理部134は、未処理の軌跡データの中の一部の座標値が座標枠外へはみ出すものであったとしても、未処理の軌跡データの中のたとえば半分以上の座標値がこの座標枠の範囲内である場合には、未処理の軌跡データが、この座標枠の範囲内であると判断すればよい。
【0084】
未処理の軌跡データが地図画像21の座標枠の範囲内であると判断すると、読取データ処理部134は、道路名の抽出処理を開始する(ステップST6)。具体的にはたとえば、読取データ処理部134は、受信読取データ121中の未処理の軌跡データの複数の読取座標データ51の座標値と、図9に示す道路名変換テーブル82中の複数の道路名の道路の座標列の座標値とを比較する。
【0085】
図6の読取データ46では、2つ目の軌跡データは、図2中の地図上の道路「国道○○号線」をなぞることで生成される軌跡データである。読取データ処理部134は、この2つ目の軌跡データについて、道路名の抽出処理を実行する。
【0086】
読取データ処理部134は、たとえば、道路名変換テーブル82中に、未処理の軌跡データの複数の座標値と所定の値の差の範囲で一致する複数の座標値に対応付けられた道路名データ101がある場合、未処理の軌跡データの複数の座標値と所定の値の差の範囲で、略平行に並ぶ複数の座標値に対応付けられた道路名データ101がある場合、あるいは、道路名変換テーブル82中で、複数の座標値の累積的な値の差が少ない道路名データ101がある場合、それらの道路名データ101を、未処理の軌跡データによる道路のものとして特定する。読取データ処理部134は、特定した道路名データ101を、一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ処理部134により特定された道路名データ101を、抽出道路名データ122として記憶する。
【0087】
未処理の軌跡データが地図画像21の座標枠の範囲内ではないと判断すると、読取データ処理部134は、抽出条件の設定処理を開始する(ステップST7)。具体的にはたとえば、読取データ処理部134は、読取データ46中の未処理の軌跡データの複数の読取座標データ51の座標値と、図8に示す領域判断テーブル81中のランドマークの属性分類マーク26,27,28の複数の座標枠の範囲とを比較する。そして、これらのランドマークの属性分類マーク26,27,28の複数の座標枠の中に、たとえば未処理の軌跡データの複数の読取座標データ51の座標値を含む座標枠がある場合、読取データ処理部134は、その座標枠に対応するランドマークの属性分類マークを、ランドマークの抽出条件として設定する。一時メモリ67は、ランドマークの抽出条件を、抽出条件データ123として記憶する。
【0088】
図6の読取データ46では、3つ目の軌跡データおよび4つ目の軌跡データが、地図画像21の座標枠の範囲内に無い未処理の軌跡データとなる。読取データ処理部134は、図6の3つ目の軌跡データおよび4つ目の軌跡データを未処理の軌跡データとして処理する。
【0089】
図6の3つ目の軌跡データは、コンビニエンスストアマーク26をチェックする軌跡データである。読取データ処理部134は、この3つ目の軌跡データについて、ランドマークの抽出条件としてコンビニエンスストアを設定する。一時メモリ67は、抽出条件データ123として、コンビニエンスストアを抽出する設定を記憶する。
【0090】
図6の4つ目の軌跡データは、ガソリンスタンドマーク27をチェックする軌跡データである。読取データ処理部134は、この4つ目の軌跡データについて、ランドマークの抽出条件としてガソリンスタンドを設定する。一時メモリ67は、抽出条件データ123として、ガソリンスタンドを抽出する設定を記憶する。これらの処理により、一時メモリ67は、抽出条件データ123として、コンビニエンスストアおよびガソリンスタンドを抽出する設定を記憶する。
【0091】
未処理の軌跡データに基づく道路名の抽出処理(ステップST6)あるいは抽出条件の設定処理(ステップST7)が完了すると、読取データ処理部134は、再び、受信読取データ121中に、未処理の経路データが含まれているか否かを判断する(ステップST4)。受信読取データ121に未処理の経路データが含まれている場合、読取データ処理部134は、その未処理の軌跡データが経路画像の座標枠の範囲内か否かを判断し(ステップST5)、その判断に応じて道路名の抽出処理(ステップST6)あるいは抽出条件の設定処理(ステップST7)を実行する。読取データ処理部134は、受信読取データ121中に未処理の軌跡データが無くなるまで、以上の処理を繰り返し実行する。
【0092】
受信読取データ121中に未処理の軌跡データが無くなると、読取データ処理部134は、ランドマーク抽出処理を開始する(ステップST8)。読取データ処理部134がランドマーク抽出処理を開始するとき、一時メモリ67には、受信読取データ121に含まれる軌跡データに基づいて抽出された抽出条件データ123や抽出道路名データ122が記憶されている。なお、受信読取データ121が、ランドマーク取得マーク25をチェックする軌跡データのみを有する場合には、一時メモリ67には、これら抽出条件データ123や抽出道路名データ122が記憶されていない。
【0093】
ランドマーク抽出処理において、読取データ処理部134は、まず、一時メモリ67から抽出条件データ123および抽出道路名データ122を読み込む。一時メモリ67に抽出条件データ123あるいは抽出道路名データ122が記憶されていない場合、読取データ処理部134は、一時メモリ67に記憶されているもののみを読み込む。
【0094】
一時メモリ67から抽出条件データ123や抽出道路名データ122などを読み込んだ後、読取データ処理部134は、CD−ROM6から、ランドマークテーブル83を読み込む。ランドマークテーブル83には、図10に示すように、複数のランドマークの属性情報が記憶される。各ランドマークの属性情報は、ランドマークの名称データ111、種類データ112、所在地の緯度経度データ113、近接道路名データ114などを有する。
【0095】
抽出条件データ123および抽出道路名データ122とともにランドマークテーブル83を読み込むと、読取データ処理部134は、ランドマークテーブル83から、道路名データ101の道路名が、抽出道路名データ122と一致し、且つ、ランドマークの種類データ112が抽出条件データ123と一致するランドマークのレコードを抽出する。
【0096】
なお、一時メモリ67に抽出条件データ123および抽出道路名データ122が記憶されていない場合、つまり電子ペン4により地図中の道路が指定もされず、且つ、ランドマークの属性分類マーク26,27,28がチェックされていない場合、読取データ処理部134は、ランドマークテーブル83から、すべてのランドマークのレコードを抽出することになる。
【0097】
読取データ処理部134は、抽出したすべてのランドマークのレコードを、抽出ランドマークデータ124として一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67に記憶される抽出ランドマークデータ124は、ランドマークの名称データ111、種類データ112、所在地の緯度経度データ113、近接道路名データ114などを有する。
【0098】
上述した電子ペン4による読取操作では、一時メモリ67には、ユーザが電子ペン4を用いて図2の紙面において指定した国道OO号線沿いに存在する複数のランドマークのレコードが、抽出ランドマークデータ124として記憶される。一時メモリ67には、図10のランドマークテーブル83中の、近接道路名が「国道○○号線」であり、且つ、ランドマークの種類が「コンビニエンスストア」あるいは「ガソリンスタンド」であるランドマークのレコードが保存される。具体的には、ランドマークテーブル83中の、第一行目のコンビニエンスストアのレコードと、第四行目のガソリンスタンドのレコードとが、抽出ランドマークデータ124として一時メモリ67に記憶される。読取データ処理部134は、ランドマークの抽出処理を終えると、未処理の受信読取データ121に対する処理を終える。
【0099】
ナビゲーション本体2のUI部132は、目的地探索画面、経路探索画面、経路案内画面などの表示画面を液晶デバイス66に表示させる場合、HDD63にアクセスする。UI部132は、案内経路の確認時あるいは経路案内中に、HDD63にアクセスする。UI部132は、HDD63のナビゲーションデータ71から、表示エリアの表示地図データ、ノードデータ、リンクデータおよびランドマークデータを読み込む。
【0100】
HDD63からナビゲーションデータ71を読み込んだ後、UI部132は、一時メモリ67にアクセスする。UI部132は、取得したノードデータおよびリンクデータに属性情報として登録されている道路名と一致する道路名が、一時メモリ67の抽出ランドマークデータ124に含まれているか否かを判断する。そして、UI部132は、一時メモリ67から、ノードデータおよびリンクデータの道路名と一致する近接道路名データ114を有するランドマークのレコードを、抽出ランドマークデータ124から読み込む。
【0101】
HDD63および一時メモリ67から、表示するエリアのランドマークデータなどを読み込むと、UI部132は、表示データを生成する。UI部132は、たとえば、表示地図データによる背面画像の上に、表示エリア内の道路(ノードデータおよびリンクデータによる道路)を示す曲線と、表示エリア内のランドマークを選択可能なオブジェクトとして表示するための表示用マーク(表示オブジェクト)と、を重ねた画像の表示データを生成する。UI部132は、各表示用マークを、それぞれが対応する緯度経度データ113の値を用いて背景画面上に割り付けて、表示データを生成する。UI部132は、生成した表示データを液晶デバイス66へ供給する。液晶デバイス66は、表示データに基づく画像を表示する。
【0102】
図12は、図7中の液晶デバイス66に表示される表示画面の一例を示す図である。液晶デバイス66には、国道○○号線の道路141および県道△△号線の道路142を含む複数の道路が表示される。また、液晶デバイス66には、国道○○号線の道路141沿いのガソリンスタンドを示す表示用マーク143と、国道○○号線の道路141と県道△△号線の道路142との交差点脇にあるコンビニエンスストアを示す表示用マーク144と、県道△△号線の道路142沿いのガソリンスタンドを示す表示用マーク145と、県道△△号線の道路142沿いの銀行を示す表示用マーク146とが、出発地、立寄地あるいは目的地として選択可能なオブジェクトとして表示される。
【0103】
国道○○号線の道路141沿いのガソリンスタンドを示す表示用マーク143と、国道○○号線の道路141と県道△△号線の道路142との交差点脇にあるコンビニエンスストアを示す表示用マーク144とは、CD−ROM6から抽出されたランドマークデータを用いて表示される。このように、電子ペン4によりなぞられた道路沿いには、CD−ROM6に登録されている新しいランドマークが、選択可能なオブジェクトとして表示用マーク143,144により表示される。
【0104】
また、県道△△号線の道路142沿いのガソリンスタンドを示す表示用マーク145と、県道△△号線の道路142沿いの銀行を示す表示用マーク146とは、ナビゲーション本体2が持っているナビゲーションデータ71に登録されているランドマークデータを用いて表示される。
【0105】
図12の表示を実現するために、UI部132は、たとえば、液晶デバイス66の表示画面上において、一時メモリ67から読み込んだランドマークデータにおいて近接道路名データ114として登録される道路名の道路から所定の表示幅の範囲(たとえば図12中の2本の点線に挟まれる範囲)には、一時メモリ67から読み込んだランドマークデータに基づく表示用マークのみを表示させ、それ以外の表示位置には、ナビゲーションデータ71から読み込んだランドマークデータに基づく表示用マークを表示させている。
【0106】
このため、たとえば図12において国道○○号線の道路141沿いに点線で示すガソリンスタンドの表示用マーク147が、ナビゲーションデータ71に登録されており、且つ、地図帳5の発行時には閉店したためにCD−ROM6に記憶されていない場合、この点線で示すガソリンスタンドの表示用マーク147は表示されないようになる。電子ペン4により選択された道路沿いには、CD−ROM6に登録されていない古いランドマークが表示用マークによりオブジェクトとして表示されないようになる。
【0107】
以上のように、この実施の形態によれば、電子ペン4は、道路などの経路に関する印刷内容とともに、電子ペン4により読み取り可能な座標パターン13が印刷された印刷物を読み取る。ナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、道路名変換テーブル82を用いて、電子ペン4による読取位置に対応付けられる経路に固有の道路名を抽出し、ランドマークテーブル83を用いて、抽出した道路名に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出する。一時メモリ67は、抽出ランドマークデータ124として、ランドマークの緯度経度データ113を含む属性情報を記憶する。液晶デバイス66は、案内経路の確認時あるいは経路案内中に、抽出ランドマークデータ124中のランドマークデータの表示用マーク143,144を、抽出された道路名の道路141とともに表示する。
【0108】
このように、この実施の形態に係るナビゲーションシステムは、CD−ROM6において電子ペン4の読取位置にある道路に関連付けられたランドマークを、その緯度経度データ113を用いて、その道路とともに、ナビゲーションデータ71に基づく画面に表示することができる。道路沿いにある新たなランドマークなどを表示することができる。したがって、カーナビゲーションシステム1は、それが保有するナビゲーションデータ71に登録されていないランドマークを、ナビゲーションデータ71に基づく画面に表示することができる。カーナビゲーションシステム1は、年に1回あるいは半年に1回のナビゲーションデータ71の更新を待つことなく、最近建てられたコンビニエンスストアなどのランドマークを、ナビゲーションデータ71に基づく画面に表示することができる。
【0109】
特に、このカーナビゲーションシステム1では、ランドマークテーブル83から抽出されたランドマークの属性情報を抽出ランドマークデータ124として一時メモリ67に記憶させ、液晶デバイス66は、案内経路の確認時あるいは経路案内中に、抽出ランドマークデータ124中のランドマークを経路とともに表示する。したがって、液晶デバイス66は、たとえば案内表示を切り替える度にランドマークテーブル83の検索処理を待つことなく、一時メモリ67から取得されたランドマークを表示することができる。カーナビゲーションシステム1は、ランドマークテーブル83に記憶されるランドマークを、ナビゲーションデータ71に登録されているランドマークと同様に速やかに取得して表示することができる。
【0110】
また このカーナビゲーションシステム1は、ユーザに電子ペン4により地図帳5の紙面を読み取らせることで、CD−ROM6のランドマークテーブル83に記憶されるランドマークを表示させることができる。ユーザは、所望の道路沿いのランドマークを表示させるために、ナビゲーション本体2の小さいタッチパネル65や入力ボタン60などを操作する必要がない。ユーザは、CD−ROM6に記憶されるランドマークデータを表示するために、ナビゲーション本体2の階層化されたメニューなどへの操作をする必要がない。
【0111】
また、このカーナビゲーションシステム1では、それが保有するナビゲーションデータ71に登録されていないランドマークを表示できるようにするために、ナビゲーションデータ71そのものを更新する必要はない。ユーザは、ナビゲーションデータ71を更新するための煩わしい作業をしたり、カーナビゲーションシステム1をサポートセンタへ持ち込んだりする必要がない。ユーザは、ナビゲーションデータ71に登録されていない、案内経路の途中にあるランドマークを、自らの手で1つ1つ入力してナビゲーションデータ71に登録する必要もない。
【0112】
また、この実施の形態の電子ペン4は、地図帳5の紙面に、地図とは重ならないように印刷されている、ランドマークの属性分類マーク26,27,28を読み取る。ナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、抽出した道路の道路名に対応付けられているランドマークであって、且つ、電子ペン4により読み取られた属性分類マークの分類に属するランドマークの属性情報を抽出し、一時メモリ67に保存する。
【0113】
したがって、読取データ処理部134は、ユーザが電子ペン4により指定した、ユーザが必要とする分類のランドマークの属性情報を抽出する。液晶デバイス66は、道路の沿線において、ユーザが必要と思ってチェックした分類のランドマークのみを表示することができる。また、必要とする分類のランドマークに限定することで、情報の読込みに要する時間を短縮できる。
【0114】
また、この実施の形態の地図帳5の紙面には、電子ペン4が読み取り可能なパターンとして、少なくともその紙面中の位置毎に異なる値の座標値へ変換することができる複数の座標パターン13が印刷される。電子ペン4は、読み取った複数の座標パターン13から変換した複数の座標値による軌跡データを生成する。道路名変換テーブル82では、各道路名は、地図帳5の紙面においてその道路と重ねて印刷される複数の座標パターン13の座標値に対応付けられている。また、読取データ処理部134は、電子ペン4により生成される軌跡データの複数の座標値と、道路名変換テーブル82に記憶される道路毎の複数の座標パターン13の座標値とを比較することで、電子ペン4による読取位置に対応付けられる道路の道路名を抽出する。
【0115】
したがって、読取データ処理部134は、地図帳5の紙面における複数の座標パターン13と道路との重なりに基づいて、電子ペン4により読み取られた道路を特定することができる。
【0116】
ランドマークをカーナビゲーションシステム1においてナビゲーションデータ71とともに表示するためには、そのランドマークの緯度経度データが必要である。仮に地図帳5に緯度経度データそのものを印刷しようとすると、印刷される緯度経度データは、カーナビゲーションシステム1が利用可能な分解能により印刷する必要がある。カーナビゲーションシステム1が利用可能な分解能の緯度経度データを印刷するために、地図帳5において道路は所定の大きいサイズで印刷する必要がある。これに対して、上述した実施の形態の構成であれば、地図帳5に印刷される道路は、その地図帳5の紙面における座標に対応付けられる。印刷される道路は、カーナビゲーションシステム1で利用されることにより制限されてしまうことなく、任意の大きさで印刷することができる。道路は、地図帳5において、一般的な地図帳5と同様に印刷上のレイアウトを優先し、最適なサイズで印刷することができる。
【0117】
また、この実施の形態の地図帳5に印刷されるランドマークの属性分類マーク26,27,28は、複数の座標パターン13と重ねて、且つ経路が印刷される地図画像21とは重ならないように印刷される。読取データ処理部134は、電子ペン4の軌跡データにより特定される座標値が、地図画像21とは別の紙面領域内の座標値である場合、読み取られた属性分類マークの分類に属するランドマークの属性情報を抽出する。
【0118】
したがって、読取データ処理部134は、ユーザが電子ペン4により指定した、ユーザが必要とする分類のランドマークの属性情報を抽出することができる。液晶デバイス66は、ユーザが必要とする分類のランドマークのみを、経路とともに表示することができる。
【0119】
しかも、この実施の形態の構成であれば、電子ペン4に、ランドマークの属性情報の分類マークを解釈する機能を持たせる必要は無い。電子ペン4は、印刷物毎に固有のものとする必要は無い。電子ペン4は、たとえば、ランドマークの属性分類マークが印刷された地図帳5用のものと、ランドマークの属性分類マークが印刷されていない地図帳5用のものとで別々のものとする必要は無い。
【0120】
また、この実施の形態において、読取データ処理部134は、ナビゲーション本体2に設けられ、電子ペン4は、ナビゲーション本体2とUSBケーブル3により接続される。したがって、電子ペン4は地図帳5とともに持ち運ぶことができる。ユーザは、ナビゲーション本体2を用いずに、あるいは、ナビゲーション本体2の設置場所以外の場所で、電子ペン4による地図帳5の読取作業をすることができる。ユーザは、たとえば出発前夜の屋内において、たとえばカーナビゲーションシステム1において新たなランドマークが利用できるように読取作業することができる。
【0121】
また、この実施の形態の液晶デバイス66は、少なくとも抽出された道路から所定の範囲内には、ナビゲーションデータ71中のランドマークを表示することなく、読取データ処理部134により抽出されるランドマークのみを表示する。
【0122】
したがって、読取データ処理部134により抽出される道路の周辺には、CD−ROM6のランドマークテーブル83から抽出したランドマークのみが表示される。電子ペン4により読み取られた道路の周辺には、CD−ROM6のランドマークテーブル83から抽出された最新のランドマークのみが表示される。表示される道路の周囲には、たとえば、ナビゲーションデータ71の生成時には運営しているが、CD−ROM6の発行時には閉店してしまったコンビニエンスストアなどが表示されなくなる。しかも、表示される道路の周囲には、ナビゲーションデータ71に登録されていない、ナビゲーションデータ71の生成後に新たに開店したコンビニエンスストアなどが表示される。
【0123】
また、この実施の形態では、液晶デバイス66は、読取データ処理部134により抽出されたランドマークを、表示用マークにより、出発地、立寄地あるいは目的地として選択可能なオブジェクトとして表示する。
【0124】
したがって、カーナビゲーションシステム1は、そのナビゲーションデータ71に含まれないランドマークを、出発地、立寄地あるいは目的地として選択することができる。カーナビゲーションシステム1では、一般的に住所などにより任意の地点を出発地、立寄地あるいは目的地として選択することができるものであるが、その設定のための操作は、地図をスクロールしたり、階層化された住所を選択したりするものであり、操作が複雑である。これに対して、この実施の形態の構成であれば、そのような面倒な操作をすることなしに、ナビゲーションデータ71に含まれるランドマークと同等の簡単な操作により、ナビゲーションデータ71に含まれないランドマークを、出発地、立寄地あるいは目的地として選択することができる。
【0125】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0126】
上記実施の形態では、印刷物は、地図帳5である。この他にもたとえば、電子ペン4が読み取ることができる印刷物としては、たとえば旅行誌、観光案内パンフレット、その他の、道路などの経路に関する情報が印刷されたものであればよい。
【0127】
図13は、旅行誌の1ページあるいは観光案内パンフレットの1ページを示す図である。図13の紙面には、その略全面に、赤外線を吸収するインクにより、複数の座標パターンが印刷される。また、赤外線を吸収するインクの上に、赤外線を透過するインクにより、観光地までの交通案内151と、各種の長方形のマーク22,・・・,28と、が印刷される。
【0128】
そして、図13中に点線枠152で示すように、たとえば交通案内151における各区間の印刷領域などと重なる複数の座標枠を、領域判断テーブル81に登録することで、カーナビゲーションシステム1の読取データ処理部134は、ランドマークテーブル83に記憶されるその区間の道路沿いのランドマークの属性情報を抽出し、一時メモリ67に保存することができる。カーナビゲーションシステム1の液晶デバイス66は、抽出されたランドマークを表示することができる。
【0129】
上記実施の形態では、道路名変換テーブル82、領域判断テーブル81およびランドマークテーブル83は、CD−ROM6により、カーナビゲーションシステム1のユーザへ提供される。これらのテーブルは、CD−ROM6以外のたとえばDVDなどの光ディスクや、半導体メモリを有するメモリカードなどの、コンピュータ読取可能な記録媒体により、ユーザへ提供されるようにしてもよい。また、これらのテーブルは、インターネットやLAN(Local Area Network)などの伝送媒体を介してナビゲーション本体2により取得可能に、ユーザへ提供されていてもよい。また、道路名変換テーブル82、領域判断テーブル81およびランドマークテーブル83は、ナビゲーション本体2のHDD63などに、ナビゲーションデータ71とは別に、予め記憶されているものであってもよい。
【0130】
上記実施の形態では、ナビゲーションデータ71を記憶するHDD63とは別の記憶手段である一時メモリ67に、ランドマークテーブル83から抽出したランドマークの属性情報(抽出ランドマークデータ124)が記憶される。この他にもたとえば、ランドマークテーブル83から抽出したランドマークの属性情報(抽出ランドマークデータ124)は、HDD63に記憶されていても、さらにはナビゲーションデータ71に追加更新あるいはコピーされていてもよい。
【0131】
上記実施の形態では、一時メモリ67は、抽出ランドマークデータ124として、ランドマークテーブル83から抽出したランドマークの属性情報そのものを記憶する。この他にもたとえば、一時メモリ67は、読取データ処理部134が抽出したランドマークの属性情報の、ランドマークテーブル83(CD−ROM6)中の位置情報を記憶したり、ランドマークテーブル83からランドマークを抽出するための条件を記憶したりしてもよい。一時メモリ67は、抽出したランドマークに関する情報を記憶すればよい。
【0132】
上記実施の形態では、液晶デバイス66は、電子ペン4の操作に基づいて抽出された道路を表示するとき、抽出した道路の周辺には、ランドマークテーブル83から抽出したランドマークのみが表示されている。この他にもたとえば、液晶デバイス66は、電子ペン4の操作に基づいて抽出された道路を表示するとき、ランドマークテーブル83から抽出されたランドマークと、ナビゲーションデータ71から抽出されたランドマークとの中のいずれか一方または双方を表示するようにしてもよい。新旧のランドマークを併存させることにより、たとえば過去に訪れた場所を再訪するような場合に、これらの新旧の情報を比較することで、より円滑に目的地まで到達することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、自動車などの車両にナビゲーション本体が設置されるナビゲーションシステムにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示す構成図である。
【図2】図2は、図1中の地図帳中の1ページを示す図である。
【図3】図3は、図2の地図帳のページの部分断面図である。
【図4】図4は、地図帳のページにおける複数の座標パターンの印刷状態の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図1中の電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5中の不揮発性メモリに記憶される読取データのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】図7は、図1中のナビゲーション本体の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7中のCD−ROMに記憶される領域判断テーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、図7中のCD−ROMに記憶される道路名変換テーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、図7中のCD−ROMに記憶されるランドマークテーブルの一例を示す図である。
【図11】図11は、図7中の読取データ処理部による未処理の受信読取データに対する処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、図7中の液晶デバイスに表示される表示画面の一例を示す図である。
【図13】図13は、印刷物の変形例である、旅行誌の1ページあるいは観光案内パンフレットの1ページを示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)
2 ナビゲーション本体
3 USBケーブル(通信ケーブル)
4 電子ペン(携帯入力装置)
5 地図帳(印刷物)
13 座標パターン(電子ペンにより読み取り可能なパターン)
26 コンビニエンスストアマーク(ランドマークの属性情報の分類マークの一種)
27 ガソリンスタンドマーク(ランドマークの属性情報の分類マークの一種)
28 金融機関マーク(ランドマークの属性情報の分類マークの一種)
46 読取データ
66 液晶デバイス(表示手段)
67 一時メモリ(記憶手段)
71 ナビゲーションデータ
82 道路名変換テーブル(経路変換テーブル)
83 ランドマークテーブル
101 道路名データ(経路に固有の属性情報)
113 緯度経度データ
121 受信読取データ
124 抽出ランドマークデータ(抽出されたランドマークに関する情報)
134 読取データ処理部(経路抽出手段、ランドマーク抽出手段)
143 ガソリンスタンドを示す表示用マーク
144 コンビニエンスストアを示す表示用マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路およびランドマークのナビゲーションデータを有するナビゲーションシステムであって、
道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取る携帯入力装置と、
上記印刷物中の上記印刷内容と重なる読取位置に対応付けて上記経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、上記携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する経路抽出手段と、
上記経路変換テーブルにおける上記経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの少なくとも緯度経度データを含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、上記抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するランドマーク抽出手段と、
上記ナビゲーションデータを用いて上記経路抽出手段により抽出される経路を表示する場合、上記ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを、そのランドマークの上記緯度経度データを用いて、上記経路とともに表示する表示手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
経路およびランドマークのナビゲーションデータを有するナビゲーションシステムであって、
道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取る携帯入力装置と、
上記印刷物中の上記印刷内容と重なる読取位置に対応付けて上記経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、上記携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出する経路抽出手段と、
上記経路変換テーブルにおける上記経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの少なくとも緯度経度データを含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、上記抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するランドマーク抽出手段と、
上記ランドマークテーブルから抽出されたランドマークに関する情報を記憶する記憶手段と、
案内経路の確認時あるいは経路案内中に上記ナビゲーションデータを用いて上記経路抽出手段により抽出される経路を表示する場合、上記記憶手段に属性情報が記憶されるランドマークを、そのランドマークの上記緯度経度データを用いて、上記経路とともに表示する表示手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯入力装置は、前記印刷物に印刷されている、ランドマークの属性情報の分類マークを読み取り、
前記ランドマーク抽出手段は、前記経路抽出手段により抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられているランドマークであって、且つ、前記携帯入力装置により読み取られた上記分類マークの分類に属する分類されるランドマークの属性情報を抽出すること、
を特徴とする請求項1または2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記印刷物には、前記携帯入力装置が読み取り可能なパターンとして、少なくともその紙面中の位置毎に異なる値の座標値へ変換することができる複数の座標パターンが印刷され、
前記携帯入力装置は、読み取った複数の座標パターンから変換した複数の座標値による軌跡データを生成し、
前記経路変換テーブルにおける前記経路に固有の属性情報は、前記印刷物においてその経路と重ねて印刷される複数の座標パターンの座標値に対応付けられ、さらに、
前記ランドマーク抽出手段は、前記携帯入力装置により生成される上記軌跡データの複数の座標値と、前記経路変換テーブルに記憶される経路毎の複数の座標パターンの座標値とを比較することで、前記携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出すること、
を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記印刷物に印刷されている、ランドマークの属性情報の分類マークは、前記複数の座標パターンと重ねて且つ前記経路が印刷される紙面領域とは重ならないように印刷され、
前記ランドマーク抽出手段は、携帯入力装置が生成した前記読取データから、上記ランドマークの属性情報の分類マークと重なる範囲内の前記座標パターンの座標値が得られる場合、上記分類マークの分類に属する属性情報を抽出すること、
を特徴とする請求項4記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記経路抽出手段、前記ランドマーク抽出手段および前記表示手段は、ナビゲーション本体に設けられ、
前記携帯入力装置は、上記ナビゲーション本体と通信ケーブルにより接続され、あるいは、上記ナビゲーション本体と無線通信することで、印刷物を読み取った軌跡データを前記経路抽出手段へ送信することを特徴とする請求項1から5の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記表示手段は、前記経路抽出手段により抽出される経路から所定の範囲内には、前記ナビゲーションデータに含まれるランドマークを表示することなく、前記ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを表示することを特徴とする請求項1から6の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記ランドマーク抽出手段により抽出されるランドマークを、当該ナビゲーションシステムにおいて、出発地、立寄地あるいは目的地として選択可能に表示することを特徴とする請求項1から7の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
道路などの経路に関する印刷内容とともに、携帯入力装置により読み取り可能なパターンが印刷された印刷物を読み取るステップと、
上記印刷物中の上記印刷内容と重なる読取位置に対応付けて上記経路に固有の属性情報を記憶する経路変換テーブルを用いて、上記携帯入力装置による読取位置に対応付けられる経路に固有の属性情報を抽出するステップと、
上記経路変換テーブルにおける上記経路に固有の情報と対応付けて複数のランドマークの、ナビゲーションシステムにおいて利用可能な緯度経度データを少なくとも含む複数の属性情報を記憶するランドマークテーブルを用いて、上記抽出された経路に固有の属性情報に対応付けられるランドマークの属性情報を抽出するステップと、
抽出される上記経路とともに、抽出される上記ランドマークを、それぞれの上記緯度経度データを用いて表示するステップと、
を有することを特徴とするランドマークの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−89443(P2008−89443A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271451(P2006−271451)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】