説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラム

【課題】目的地が設定されなくても割引が受けられることを運転者に案内するナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段と、前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索手段と、前記検索手段で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内手段と、を備えるナビゲーション装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の割引条件を満たすと割引が受けられる有料道路上において、目的地が設定された場合に当該目的地までの経路上で受けられる割引を案内するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。割引を案内すると運転者は案内された割引を受けるための条件が満たされるよう走行時間帯や走行距離などを適宜調整することにより、走行料金を節約することが可能になる。
【0003】
しかしながら、運転者は必ずしも目的地を設定するとは限らない。このため従来のナビゲーション装置によると、割引が受けられるにもかかわらず目的地を設定しなかったために割引が受けられなくなってしまう畏れがある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−077333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、目的地が設定されなくても割引が受けられることを運転者に案内するナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するためのナビゲーション装置は、有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段と、前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索手段と、前記検索手段で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内手段と、を備える。
本発明によると、割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジがあればそのインターチェンジまで又はインターチェンジから割引が適用されることを運転者に案内するので、運転者は割引が受けられることを知ることができる。また、本発明では割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを、インターチェンジを通過した通過時刻又はインターチェンジを通過する通過予想時刻に基づいて特定するので、運転者は目的地の設定が不要である。このように本発明によると、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0007】
(2)前記案内手段は、前記特定手段で特定されたインターチェンジのうち前記車両の進行方向の最遠方にあるインターチェンジを案内してもよい。
本発明によると、何処のインターチェンジまで割引が受けられるかを知ることができる。
【0008】
(3)前記案内手段は、前記特定手段で特定されたインターチェンジのうち前記車両の進行方向の直近にあるインターチェンジを案内してもよい。
本発明によると、何処のインターチェンジから割引が受けられるかを知ることができる。
【0009】
(4)前記有料道路は前記割引時間帯に所定の割引区間から乗るか又は前記割引時間帯に前記割引区間から降りると走行料金が割引される有料道路であり、前記割引条件は前記割引区間を条件として更に含み、前記検索手段は、前記有料道路に乗った入口インターチェンジを通過した通過時刻が前記割引時間帯にあり且つ前記入口インターチェンジが前記割引区間にある前記割引条件を検索してもよい。
本発明によると、割引時間帯に所定の割引区間から乗るか又は割引時間帯に割引区間から降りると走行料金が割引される有料道路において、割引時間帯に所定の割引区間から有料道路に乗った場合に、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0010】
(5)前記検索手段は、該当する前記割引条件がなかった場合は、前方にある各インターチェンジの通過予想時刻を算出し、前記通過予想時刻が前記割引時間帯にあるインターチェンジが前記割引区間にある前記割引条件を検索してもよい。
本発明によると、割引時間帯に所定の割引区間から乗るか又は割引時間帯に割引区間から降りると走行料金が割引される有料道路において、割引時間帯に有料道路に乗ったものの割引区間からは乗らなかった場合、または割引区間から有料道路に乗ったものの割引時間帯には乗らなかった場合に、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0011】
(6)前記有料道路は割引が適用される最長走行距離が規定されている有料道路であり、前記割引条件は前記最長走行距離を条件として更に含んでもよい。
【0012】
(7)前記検索手段は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を有し、前記渋滞情報取得手段で取得した渋滞情報を加味して前記通過予想時刻を算出してもよい。
本発明によると、通過予想時間を渋滞を加味して算出するので、通過予想時刻に基づいてインターチェンジを特定する場合により正確に特定できる。よって割引が適用されることをより正確に案内できる。
【0013】
(8)前記案内手段は、前記有料道路が前方のジャンクションで分岐する場合は、前記割引が適用されることを分岐する方面毎に案内してもよい。
本発明によると、分岐した方面毎に案内することにより、運転者はいずれの方面に向かう場合であっても割引が受けられることを知ることができる。
【0014】
(9)前記案内手段は、前記割引が適用されることを、直近のジャンクションの所定距離手前で、又は前記検索手段で検索された前記割引条件に含まれる前記割引時間帯の所定時間前に前記運転者に案内してもよい。
【0015】
(10)前記案内手段は、前記検索手段で検索された前記割引条件に含まれる前記割引時間帯の開始時刻、又は前記開始時刻までの時間を更に案内してもよい。
本発明によると、運転者は何時から割引を受けられるかを知ることができる。
【0016】
(11)上記目的を達成するためのナビゲーション方法は、有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段を備えるナビゲーション装置を用いたナビゲーション方法であって、前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索段階と、前記検索段階で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定段階と、前記特定段階で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内段階と、を含む。
本発明によると、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0017】
(12)上記目的を達成するためのナビゲーションプログラムは、有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段を有するコンピュータを、前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索手段と、前記検索手段で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内手段として機能させる。
本発明によると、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0018】
尚、請求項に記載された方法の各動作の順序は、技術上の阻害要因がない限り、記載順に限定されるものではなく、どのような順番で実行されてもよく、また同時に実行されてもよい。また、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。また、本発明はプログラムを記録した記録媒体の発明としても特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図2は本発明の一実施例によるナビゲーション装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は自動車、オートバイなどの車両に搭載される。ナビゲーション装置10は、目的地点までの推奨経路や自車の走行地点を案内するものである。
【0020】
インタフェース22は、AD変換器、DA変換器などで構成され、ナビゲーション装置10内のCPU20と各ブロックとの信号形態の変換、ならびに通信部23を介して情報センタ24との通信信号形態の変換を行う。
ハードディスク装置(HDD)18には、地図データベース(地図DB)などが格納されている。地図DBは、地図をディジタル表現した情報で構成されるデータベースであって、道路網上の自車の現在位置の検出、経路探索などに用いられる。地図DBでは、交差点、合流点、曲がり点、行き止まり点、有料道路上のインターチェンジ(以下「IC」という)などはノードであり、道路はノードとノードとを結ぶリンクとして定義されている。各リンクには、通行方位、距離、レーン数、道路種別(一般道、有料道路、自動車専用道路、山岳道路など)、リンクID、始点及び終点のノード、右折専用レーン及び左折専用レーンなどの車線情報などが属性情報として定義されている。
【0021】
車速センサ15は、スピードメータや自車位置の算出に使用されるセンサである。車速センサ15は、車輪回転速度を用いた車速センサの他、電波や超音波を用いたドップラ対地車速センサ、光と空間フィルタを用いた対地車速センサなどで構成することができる。
方位センサ16は、推測航法に用いる地磁気センサ、左右車輪速度差センサ、振動ジャイロ、ガスレートジャイロ、光ファイバジャイロなどで構成されている。
【0022】
GPSユニット14は、衛星航法に用いる3個又は4個の衛星から送られてくる軌道データを受信し、自車の現在地の緯度経度データを出力するためのアンテナ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成される。
通信部23は、情報センタ24からFM多重放送、光ビーコン、赤外線ビーコンなどにより各車両に送信される現在位置付近の渋滞情報、交通規制情報などの各種の交通情報を受信する。受信した交通情報はCPU20によってRAM19、フラッシュメモリ21又はHDD18に記憶される。
【0023】
ETC(自動料金収受システム)ユニット12は、有料道路の出入口料金所に設けられた通信装置と通信するためのアンテナ及びASICを備える。ETCユニット12は、有料道路の走行区間に応じた課金額情報を有料道路の出入り口料金所に設けられた通信装置から取得し、前払い情報から課金額を引き算する。ETCユニット12と有料道路の出入口料金所との通信を検出することにより、自車が有料道路に乗ったあるいは有料道路から降りたことを検出することができる。
【0024】
ディスプレイ13は、操作案内や地図や走行経路案内の表示に用いるFPD(Flat Panel Display)、HUD(Head Up Display)等で構成される。
案内手段としてのスピーカ17は、操作、走行経路、割引などの案内音声の出力に用いられる。スピーカ17はオーディオスピーカと共用してもよいし、ナビゲーション専用でもよい。
【0025】
RAM19は、CPU20で処理されるデータやプログラムを一時的に格納する揮発性記憶媒体である。
記憶手段としてのフラッシュメモリ21は、CPU20で実行される制御プログラムや割引条件などを格納しているEEPROMなどの不揮発性記憶媒体である。なお、割引条件はHDD18に記憶されていてもよい。制御プログラム、割引条件、地図DBなどは、所定のサーバからのネットワークを介したダウンロード、図示しないリムーバブルメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からの読み出しなどによってもフラッシュメモリ21又はHDD18に格納することができる。
検索手段、特定手段、案内手段および渋滞情報取得手段としてのCPU20は、制御プログラムを実行することによりナビゲーション装置10の各部を制御する。
【0026】
次に有料道路の走行料金に適用される割引の一例について説明する。
有料道路の割引としては、例えばETCユニットを備える車両にのみ適用される割引として、大都市近郊以外の区間で所定の割引時間帯に適用される通勤割引、大都市近郊で所定の割引時間帯に適用される早朝夜間割引、区間に限定されず深夜の所定の割引時間帯に適用される深夜割引などが知られている。ここでは通勤割引を例に説明する。
【0027】
図3は、通勤割引を説明するための模式図である。通勤割引は、6:00〜9:00の割引時間帯、又は17:00〜20:00の割引時間帯に大都市近郊以外の予め決められている割引区間から有料道路に乗るか、又は割引時間帯に割引区間から有料道路を降りると割引区間を走行した分について走行料金が割引されるものである。その他、通勤割引には次のような条件がある。
(1)1回の最長走行距離が100km以内に限定されており、100kmを超えた場合は走行した全区間に亘って割引が適用されない。
(2)割引時間帯の前に割引区間に入り、割引時間帯が過ぎた後に割引区間から降りた場合は割引は適用されない。
(3)一つの割引時間帯に二回以上は適用されない。例えば6:00〜9:00および17:00〜20:00はそれぞれ一つの割引時間帯であり、各割引時間帯において割引が適用されるのは一回までである。
前述したフラッシュメモリ21には通勤割引に対応する割引条件として上述した全ての条件が含まれている割引条件が記憶されている。
【0028】
次に、各種の走行パターンとそれら各種の走行パターンにおいて通勤割引の割引条件を満たす、または満たすと予想されるICについて説明する。
図1は、有料道路に乗った入口IC43が割引区間にあり且つ入口IC43を通過した通過時刻が割引時間帯(17:00〜20:00)にある走行パターンの例である。この場合は入口IC43が割引区間にあり且つ入口IC43を通過した通過時刻が割引時間帯にあるので、入口IC43を通過した時点で通勤割引が適用されることが確定する。通勤割引では、割引区間にあるICから割引時間帯に有料道路に乗った場合は、割引時間帯を越えて走行しても、割引区間内にあって且つ割引区間の走行距離が100km以内にあるICまでは割引が適用される。すなわち、図1に示す走行パターンの場合は入口IC43を通過した時点で割引条件を満たす前方のICが特定される。例えば図1でいうと、A方面についてはIC47まで、B方面についてはIC50までにあるICが割引条件を満たすICであると特定される。
【0029】
図4は、入口IC61を通過した通過時刻が割引時間帯に含まれるものの、入口IC61が割引区間にない走行パターンの例である。この場合は、自車の直近の割引区間にある各ICのうち、通過予想時刻が当該割引時間帯にあるICが特定される。例えばIC63〜IC65およびIC68〜IC70は直近の割引区間にあり且つ通過予想時刻が当該割引時間帯にあるので、それらは少なくとも割引時間帯と割引区間とについては通勤割引の条件を満たすと予想される。IC66から先のIC、及びIC71から先のICは通過予想時刻が割引時間帯にないので対象外となる。次に、通過予想時刻が当該割引時間帯にあり且つ直近の割引区間にあるICのうち、通勤割引に含まれる全ての条件を満たすと予想されるICが特定される。通勤割引では割引区間の走行距離が100km以内までである。このため通過予想時刻が当該割引時間帯にあり且つ直近の割引区間にあるインターチェンジのうち、始点IC62からの走行距離が100km以内にあるICが条件を満たすと予想される。例えばIC63〜65、IC68およびIC69は始点IC62からの距離が100km以内にあるので条件を満たすと予想される。IC70は100kmを越えているので対象外となる。
【0030】
図5は、入口IC82が割引区間にあるものの、入口IC82を通過した通過時刻が割引時間帯に含まれない走行パターンの例である。この場合の特定の仕方は図4で説明した走行パターンと実質的に同一である。まず、始めに現在時刻に最も近い割引時間帯(以下、「直近の割引時間帯」という)を特定し、当該割引区間にある各ICのうち、通過予想時刻が直近の割引時間帯にあるICが特定される。例えばIC84〜IC86およびIC89〜IC91は当該割引区間にあり且つ通過予想時刻が直近の割引時間帯にあるので、それらは少なくとも割引時間帯と割引区間とについては通勤割引の条件を満たすと予想される。IC87から先のIC、及びIC92から先のICは対象外となる。次に、当該割引区間にあり且つ通過予想時刻が直近の割引時間帯にあるICのうち、入口IC82からの走行距離が100km以内にあるICが条件を満たすと予想される。例えばIC84〜86、IC89およびIC90は入口IC82からの距離が100km以内にあるので条件を満たすと予想される。IC91は100kmを越えているので対象外となる。
【0031】
次に、割引が適用されるICを案内する処理について説明する。
図6は、割引が適用されるICを案内する処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、有料道路に乗ったとき、有料道路を走行中にICを通過したとき、あるいは有料道路上において所定時間間隔などで実行される。以下では有料道路に乗ったときを例に説明する。
【0032】
S105では、CPU20は自車が有料道路に乗ったか否かを判定する。具体的には例えば、CPU20はETCユニット12と有料道路の入口料金所との通信を検出すると有料道路に乗ったと判定する。
S110では、CPU20は入口ICをRAM19に記憶する。記憶された入口ICは料金計算の起点として用いられる。また、割引区間の走行距離が100km以内であるかを判定する際に入口ICがその起点となる場合はこの入口ICが用いられる。
【0033】
S115では、CPU20はフラッシュメモリ21又はHDD18から割引条件を読み込む。
S120では、CPU20は入口ICを通過した入口IC通過時刻が割引時間帯にある割引条件を検索する。CPU20は該当する割引条件が検索された場合はS125に進み、なかった場合はS140に進む。
【0034】
S125では、CPU20は入口IC通過時刻が割引時間帯にある割引条件のうち入口ICが割引区間にある割引条件を検索する。CPU20は該当する割引条件が検索された場合は第1の処理(S130)を実行し、なかった場合は第2の処理(S135)を実行する。
S140では、CPU20は入口ICが割引区間にある割引条件を検索する。該当する割引条件が検索された場合は第3の処理(S145)を実行し、なかった場合は処理を終了する。
【0035】
次に、第1、第2および第3の各処理について説明する。ここでは割引条件として前述した通勤割引が検索された場合を例に説明する。ただし、ここでは理解を容易にするため一つの割引時間帯に二回以上は割引が適用されないという条件はないものとして説明する。
図7は、第1の処理の流れを示すフローチャートである。第1の処理は前述した図1に示す走行パターンに相当する処理である。
S205では、CPU20は地図DBを用いてマップマッチングによる補正を行いながら、GPSユニット14から入力される自車の現在位置の緯度経度データと、車速センサ15から入力される走行速度と、方位センサ16から入力される進行方位とに基づいて道路網上の自車の現在位置を検出する。次に、CPU20は地図DBを参照して現在位置の前方にある直近のジャンクションJCTを特定し、現在位置から直近のジャンクションJCTまでの距離を判定する。CPU20は直近のジャンクションJCTまでの距離が2km以下になるとS210に進み、2km以内でなければS220に進む。
【0036】
S210では、CPU20は地図DBを参照し、直近のジャンクションJCTで分岐する各方面について、割引区間内にあって且つ入口ICからの距離が100km以内にあるICを、通勤割引に含まれる全ての条件を満たすICとして特定する。
S215では、CPU20はS210で特定したICのうち最遠方にあるICを方面毎に音声案内する。具体的には例えば、CPU20は図1に示す「A方面、IC47まで割引が適用されます。B方面、IC50まで割引が適用されます。」のように運転者に音声案内する。これにより、運転者は目的地を設定していなくても割引が適用される最遠方のICを知ることができる。また、CPU20は分岐した方面毎に最遠方のICを案内するので、運転者はいずれの方面に向かう場合であっても割引が適用される最遠方のICを知ることができる。なお、案内は音声案内に限定されるものではなく、LCDに表示することによって案内してもよい。
【0037】
S220では、CPU20は有料道路を降りたかを判定し、降りてなければS205に戻って処理を繰り返す。降りた場合は処理を終了する。
なお、ここではジャンクションを基準にして案内するタイミングを決定しているが、案内するタイミングは適宜選択可能であり、例えば入口ICに入ったときに案内してもよい。
【0038】
図8は、第2の処理の流れを示すフローチャートである。第2の処理は前述した図4に示す走行パターンに相当する処理である。
S305では、CPU20は進行方向にある割引区間のうち直近の割引区間を特定する。ただし、走行中の有料道路が前方のジャンクションで分岐している場合があるので、CPU20は前方で分岐する場合は方面毎に直近の割引区間を特定する。
【0039】
S310では、CPU20は所定時間間隔で自車からS305で特定した直近の割引区間の始点ICまでの距離を判定し、始点ICまでの距離が15km以下になるとS315に進む。
S315では、CPU20は通信部23で受信した交通情報を検索し、自車位置から直近の割引区間の終点ICまでの渋滞状況を取得する。
【0040】
S320では、CPU20は直近の割引区間内にあり且つ始点ICから100km以内にある前方の各ICについて、渋滞状況を考慮した通過予想時刻を算出する。具体的には、CPU20は自車位置と通信部23で受信した渋滞情報とに基づいて進行方向の渋滞区間を判定する。次に、CPU20は各ICまでの距離を地図DBから取得し、渋滞区間については渋滞時の標準的な速度で所要時間を算出し、渋滞していない区間については渋滞していないときの標準的な速度で所要時間を算出する。渋滞状況を考慮した通過予想時間を算出することにより、通過予想時刻に基づいてICを特定する場合に当該ICをより正確に特定できる。よって割引が適用されるICを運転者により正確に案内できる。
【0041】
S325では、CPU20は通過予想時刻が割引時間帯に含まれるICを、通勤割引を満たすと予想されるICとして特定する。
【0042】
S330では、CPU20は始点IC、およびS325で特定したICのうち各方面の最遠方にあるICを音声案内する。例えば図4に示す「15km先のIC62より割引が適用されます。A方面、IC65まで割引が適用されます。B方面、IC69まで割引が適用されます。」のように運転者に音声案内する。これにより運転者はIC65およびIC69まで割引が適用されることを知ることができると共に、その割引が何処のICから開始されるかについても知ることができる。
なお、割引条件は、割引区間外にある入口IC61から有料道路に乗っても始点IC62を通過した通過時刻が割引時間帯にあれば割引区間内にあり且つ割引区間内の走行距離が100km以内のICまでは割引時間帯を越えても割引が適用されるものであってもよい。この場合、A方面についてはIC66まで割引が適用されることになる。割引条件には種々のものがあるので、どのICまで割引が適用されるかは割引条件に応じて決定すればよい。
【0043】
図9は、第3の処理の流れを示すフローチャートである。第3の処理は前述した図5に示す走行パターンに相当する処理である。
S405では、CPU20は直近の割引時間帯を特定する。
S410では、CPU20は所定時間間隔で現在時刻とS405で特定した直近の割引時間帯の開始時刻との差を判定し、開始時刻までの時間が15分以内になるとS415に進む。
【0044】
S415では、CPU20は通信部23で受信した交通情報を検索し、自車位置から割引区間の終点ICまでの渋滞状況を取得する。
S420では、CPU20は割引区間内にあり且つ入口ICから100km以内にある前方の各ICについて、渋滞状況を考慮した通過予想時刻を算出する。
S425では、CPU20は通過予想時刻が直近の割引時間帯に含まれるICを、通勤割引を満たすと予想されるICとして特定する。
【0045】
S430では、CPU20はS425で特定したICのうち最遠方にあるIC、割引時間帯の開始時刻、および開始時刻までの時間を音声案内する。具体的には例えば図5に示す「15分後の17:00より、A方面、IC86まで割引が適用されます。B方面、IC90まで割引が適用されます。」のように運転者に音声案内する。これにより運転者はIC86およびIC90まで割引が適用されることを知ることができると共に、その割引が何時から開始されるかについても知ることができる。
【0046】
以上説明した本発明のナビゲーション装置10によると、割引条件を満たす又は満たすと予想されるICのうち進行方向の最遠方にあるICを案内するので、運転者は案内されたICまで割引が受けられることを知ることができる。また、本発明では割引条件を満たす又は満たすと予想されるICを、ICを通過した通過時刻又はICを通過する通過予想時刻に基づいて特定するので、運転者は目的地の設定が不要である。このように本発明によると、運転者は目的地を設定しなくても割引を受けられることを知ることができる。
【0047】
なお、本実施例では割引時間帯および割引区間を条件として含む割引条件を例に説明したが、割引条件は少なくとも割引時間帯を条件として含むものであれば任意の割引条件であってよい。例えば割引区間は限定されず、割引時間帯を少しでも走行すれば走行した全区間に割引が適用される割引条件や、割引時間帯に走行した距離の分だけ割引が適用される割引条件であってもよい。
【0048】
また、本実施例では割引条件として通勤割引のみを例に説明したが、複数種類の割引があってもよい。複数種類の割引がある場合は必ずしも上述した処理では適用すべき割引を適切に選択できない場合もあり得るが、そのような場合はそれらの割引条件に応じて処理を適宜修正すればよい。
【0049】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る走行パターンの一例を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置のブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る割引条件を説明するための模式図。
【図4】本発明の実施の形態に係る走行パターンの一例を示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態に係る走行パターンの一例を示す模式図。
【図6】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図7】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
10 ナビゲーション装置、17 スピーカ(案内手段)、21 フラッシュメモリ(記憶手段)、20 CPU(検索手段、特定手段、案内手段、渋滞情報取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段と、
前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索手段と、
前記検索手段で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定手段と、
前記特定手段で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記特定手段で特定されたインターチェンジのうち前記車両の進行方向の最遠方にあるインターチェンジを案内する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記特定手段で特定されたインターチェンジのうち前記車両の進行方向の直近にあるインターチェンジを案内する請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記有料道路は前記割引時間帯に所定の割引区間から乗るか又は前記割引時間帯に前記割引区間から降りると走行料金が割引される有料道路であり、
前記割引条件は前記割引区間を条件として更に含み、
前記検索手段は、前記有料道路に乗った入口インターチェンジを通過した通過時刻が前記割引時間帯にあり且つ前記入口インターチェンジが前記割引区間にある前記割引条件を検索する請求項1、2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記検索手段は、該当する前記割引条件がなかった場合は前方にある各インターチェンジの通過予想時刻を算出し、前記通過予想時刻が前記割引時間帯にあるインターチェンジが前記割引区間にある前記割引条件を検索する請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記有料道路は割引が適用される最長走行距離が規定されている有料道路であり、
前記割引条件は前記最長走行距離を条件として更に含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記検索手段は、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を有し、前記渋滞情報取得手段で取得した渋滞情報を加味して前記通過予想時刻を算出する請求項1〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記案内手段は、前記有料道路が前方のジャンクションで分岐する場合は、前記割引が適用されることを分岐する方面毎に案内する請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記案内手段は、前記割引が適用されることを、直近のジャンクションの所定距離手前で、又は前記検索手段で検索された前記割引条件に含まれる前記割引時間帯の所定時間前に前記運転者に案内する請求項1〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記案内手段は、前記検索手段で検索された前記割引条件に含まれる前記割引時間帯の開始時刻、又は前記開始時刻までの時間を更に案内する請求項1〜9のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段を備えるナビゲーション装置を用いたナビゲーション方法であって、
前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索段階と、
前記検索段階で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定段階と、
前記特定段階で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内段階と、
を含むナビゲーション方法。
【請求項12】
有料道路の走行料金に割引が適用されるために満たされるべき割引条件であって少なくとも前記割引が適用される割引時間帯を条件として含む割引条件を記憶している記憶手段を有するコンピュータを、
前記有料道路上において、車両がインターチェンジを通過した通過時刻又は前記車両がインターチェンジを通過する通過予想時刻が前記割引時間帯にある前記割引条件を検索する検索手段と、
前記検索手段で検索された前記割引条件を満たす又は満たすと予想されるインターチェンジを特定する特定手段と、
前記特定手段で特定されたインターチェンジから、又は特定されたインターチェンジまで前記割引が適用されることを前記車両の運転者に案内する案内手段として機能させるナビゲーションプログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−171108(P2007−171108A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372340(P2005−372340)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】