説明

ナビゲーション装置および交通情報提示方法

【課題】 従来のナビゲーション装置において、渋滞発生時に渋滞を迂回する経路を探索し、本来の経路を表示するとともに迂回路の経路を表示し、経路の付近に走行距離や走行時間等を数字で表示する技術がある。
しかし、このような技術は、本来の経路を迂回した場合の効果が直感的に分かりづらい。特に、運転者が経路の表示内容を認識し、経路付近に示される走行距離や走行時間等の数値による情報を注視してその差を理解する必要があり、迂回の効果を短時間で理解することは難しい。本発明の目的は、短時間で迂回効果を理解できるように迂回情報を提示するための技術を提供することにある。
【解決手段】
本発明のナビゲーション装置は、迂回路を表示する際に、予め定めた表示用テンプレートを用い、迂回により回避することが可能な渋滞の情報に基づいて立体図形を作図し表示する手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報を提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置において、渋滞発生時に渋滞を迂回する経路を探索し表示する技術がある。
【0003】
特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−227965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなナビゲーション装置では、本来の経路を迂回した場合の効果を短時間で理解するのが難しい。具体的には、運転者は、迂回路の経路と本来の経路の表示とをそれぞれ認識し、各経路付近に示される走行距離や走行時間等の数値情報を見つけて読み取り、それぞれの差を算出して理解する必要があるため、迂回路の効果を短時間で理解することは難しい。
【0006】
本発明の目的は、ナビゲーション装置において、短時間で迂回の効果を理解できるように迂回に関する情報を提示するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明のナビゲーション装置は、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、渋滞の度合いを含む交通情報を取得する交通情報取得手段と、前記経路探索手段により探索された経路の渋滞部分を、前記交通情報取得手段にて取得した交通情報から抽出する渋滞部分抽出手段と、前記渋滞部分抽出手段により前記経路から渋滞部分が抽出された場合に、抽出された渋滞部分を迂回する迂回経路を探索する迂回経路探索手段と、迂回経路の迂回部分の距離に応じた迂回図形を記憶する迂回図形記憶手段と、前記迂回経路探索手段で探索された迂回経路の迂回部分の距離に応じて前記迂回図形記憶手段から迂回図形を選択する迂回図形選択手段と、前記渋滞部分抽出手段で抽出された渋滞部分の渋滞の度合いに応じて、表示する立体図形を特定する表示立体特定手段と、前記迂回図形選択手段で選択された迂回図形と、前記表示立体特定手段で特定した立体図形と、を表示する画面表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また例えば、ナビゲーション装置の交通情報提示方法であって、前記ナビゲーション装置は、迂回する距離に応じて、迂回路を示す迂回図形を記憶する迂回図形記憶手段を備え、目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、渋滞の度合いを含む交通情報を取得する交通情報取得ステップと、前記経路探索ステップにより探索された経路の渋滞部分を、前記交通情報取得ステップにて取得した交通情報から抽出する渋滞部分抽出ステップと、前記渋滞部分抽出ステップにより前記経路から渋滞部分が抽出された場合に、抽出された渋滞部分を迂回する迂回経路を探索する迂回経路探索ステップと、前記迂回経路探索ステップで探索された迂回経路の迂回部分の距離に応じて前記迂回図形記憶手段から迂回図形を選択する迂回図形選択ステップと、前記渋滞部分抽出ステップで抽出された渋滞部分の渋滞の度合いに応じて、表示する立体図形を特定する表示立体特定ステップと、前記迂回図形選択ステップで選択された迂回図形と、前記表示立体特定ステップで特定した立体図形と、を表示する画面表示ステップと、を実行することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、を備えている。
【0011】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10、またはビーコン受信装置11から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0012】
演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するインターフェイスであるI/F24と、を有する。
【0013】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0014】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0015】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、迂回路テンプレートテーブル300と、表示色テーブル400と、が記憶されている。
【0016】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0017】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、リンク旅行時間225、リンクを構成する2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)である開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の通称(例えば、「環八通り」等)を示す通称227、等を含んでいる。
【0018】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。なお、リンク旅行時間225は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。
【0019】
図3は、迂回路テンプレートテーブル300の構成を示す図である。迂回路テンプレートテーブル300は、迂回路を用いることの効果を明らかに示す画面表示のテンプレート情報を記憶するテーブルであり、予め記憶装置3に記憶される。
【0020】
迂回路テンプレートテーブル300は、迂回距離区分301ごとに、使用する表示テンプレートを示す使用テンプレート302と、渋滞の状況を表示するための立体の形状を示す表示立体303と、混雑度の表示方法304と、混雑距離の表示方法305と、を含んでいる。
【0021】
具体的には、迂回距離区分301は、「3km以下」、「3km超」等の迂回距離の区分を示す情報である。
【0022】
なお、迂回距離とは、案内中の経路と重複しない迂回路上のリンクの距離を指す。
【0023】
使用テンプレート302は、「短距離」、「長距離」等の迂回距離に応じた表示情報を備えるテンプレートを示す情報である。
【0024】
表示立体303は、渋滞情報を表示する際に用いる立体の形状等を示す情報であり、例えば「直方体」、「車両」、「山」等の立体の形状を示す識別子である。
【0025】
混雑度の表示方法304は、回避する渋滞の混雑度を表示する態様を定めるものである。
【0026】
例えば、混雑度の表示方法304が「高さ」である場合には、混雑度が大きくなれば表示立体の高さを大きく表示する。また例えば、混雑度の表示方法304が「高さ、幅」である場合には、混雑度が大きくなれば表示立体の高さと幅を大きくする。
【0027】
混雑距離の表示方法305は、回避する渋滞の混雑距離を表示する際にどのように表示に反映させるかを定めるものである。
【0028】
例えば、「奥行き」である場合には、混雑距離が大きくなれば表示立体の奥行きを大きく表示する。また例えば、「繰り返し」である場合には、混雑距離が大きくなれば表示立体の高さと幅を変更しながら繰り返し表示する。
【0029】
図4は、表示色テーブル400の構成を示す図である。
【0030】
表示色テーブル400は、渋滞の原因に応じて渋滞情報を表示する際に用いる立体の色彩等を示す情報を記憶するテーブルであり、予め記憶装置3に記憶される。
【0031】
表示色テーブル400は、渋滞原因401と、立体表示色402と、を含む。
【0032】
渋滞原因401は、渋滞が発生した原因である。例えば、「事故」「車線規制」等である。
【0033】
立体表示色402は、渋滞情報を表示する際に用いる立体の色彩を示す情報である。例えば、「赤」、「オレンジ」等である。
【0034】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などの車載用ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0035】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。車載用ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0036】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0037】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0038】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0039】
ROM装置6は、CD-ROMやDVDなどのROM(Read Only Memory)やIC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0040】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100において現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0041】
車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定し、演算処理部1に送信するものである。
【0042】
FM多重放送受信装置10は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0043】
ビーコン受信装置11は、光ビーコン、電波ビーコン等の信号を受信する。ビーコン等の信号には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報などがある。
【0044】
図5は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0045】
図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、迂回路検索部102と、迂回距離算出部103と、表示立体特定部104と、画面構成部105と、入力受付部106と、出力処理部107と、を有する。
【0046】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部101は、車載用ナビゲーション装置100の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路探索、経路誘導等)を実施する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。
【0047】
迂回路検索部102は、案内中の経路のうち渋滞等の発生している地点を迂回する迂回路を検索する。
【0048】
具体的には、迂回路検索部102は、案内中の経路のうち渋滞等の発生している地点を、FM多重放送受信装置10およびビーコン受信装置11を介して受信した交通情報に基いて特定する。
【0049】
そして、迂回路検索部102は、なるべく案内中の経路を走行する経路であって、特定した渋滞等の発生している地点を避ける経路のうち、走行コストの低い経路(迂回経路)を探索する。
【0050】
迂回距離算出部103は、迂回路検索部102が検索した経路の迂回部分の走行距離を算出する。
【0051】
具体的には、迂回距離算出部103は、迂回路検索部102が検索した経路のうち、案内中の経路と重複しない部分である迂回部分のリンクを特定し、特定した迂回部分のリンクについてリンク長224を合計して走行距離を算出する。
【0052】
表示立体特定部104は、迂回距離算出部103が算出した迂回部分の走行距離と、FM多重放送受信装置10およびビーコン受信装置11を介して受信した渋滞情報と、に基いて、ディスプレイ2に表示する画面を作成するために必要な情報を特定する。
【0053】
具体的には、表示立体特定部104は、迂回距離算出部103が算出した迂回部分の走行距離に応じて、迂回路テンプレートテーブル300から、使用するテンプレートと表示する立体とを特定する。そして、表示立体特定部104は、FM多重放送受信装置10およびビーコン受信装置11を介して受信した渋滞情報に基いて立体の具体的な表示サイズ、例えば高さと奥行きとを特定する。
【0054】
渋滞情報には、少なくとも、渋滞箇所を示す情報と、渋滞の原因を示す情報と、混雑の度合いを示す混雑度等の情報(例えばその道路を走行する車両の平均速度に応じて定められた「渋滞(一般道では10km/h以下等)」、「混雑(一般道では10km/h〜20km/h等)」、「順調(一般道では20km/h等)」等の段階)と、混雑の距離を示す混雑距離等の情報と、が含まれる。
【0055】
表示立体特定部104は、混雑度に応じて立体の高さを特定し、混雑距離に応じて立体の奥行きを特定する。
【0056】
画面構成部105は、表示立体特定部104が特定したテンプレートと、表示する立体とを合成して表示画面を構成し、経路変更指示受付用の画面を表示する。
【0057】
入力受付部106は、マイクロフォン41、タッチパネル51およびダイヤルスイッチ52を介して、使用者からの指示入力を受け付け、これを各処理部に受け渡す処理部である。
【0058】
出力処理部107は、画面出力をディスプレイ2に表示させる機能部である。ディスプレイ2への表示が要求される領域にある画面データと表示候補を受け取り、指定された描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路、メッセージ情報のためのダイアログなどを描画するように画面描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ2に送信する。
【0059】
なお、主制御部101、迂回路検索部102、迂回距離算出部103、表示立体特定部104、画面構成部105および入力受付部106、出力処理部107は、CPU21がRAM22やROM23にロードしたプログラムを実行することにより実現される。
【0060】
次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0061】
図6は、迂回表示処理の流れを示すフロー図である。
【0062】
主制御部101は、ナビゲーション装置100の図示しない電源部に電源が投入されてナビゲーション装置100が起動すると、本フローを開始する。
【0063】
主制御部101は、迂回路検索の指示を受け付ける(ステップS001)。
【0064】
具体的には、主制御部101は、入力受付部106を介して、利用者からの迂回路検索処理の要求入力を受け付ける。
【0065】
そして、迂回路検索部102は、現在位置から目的地に到る経路を検索して、迂回路を特定する。(ステップS002)。
【0066】
具体的には、迂回路検索部102は、交通情報としてVICS等により受信した交通情報を用いて、案内中の経路のうち渋滞等の発生している地点を特定する。
【0067】
そして、迂回路検索部102は、なるべく案内中の経路を走行しつつ、特定した渋滞の発生している地点の走行を避ける経路のうち、走行コストの低い経路をダイクストラ法等により探索する。
【0068】
次に、迂回距離算出部103は、ステップS002にて特定した迂回路の迂回部分の距離を算出し、迂回路テンプレートテーブル300の迂回距離区分301の合致するレコードを特定し、使用するテンプレートを使用テンプレート302にて特定し、表示する立体を表示立体303により特定する(ステップS003)。
【0069】
具体的には、迂回距離算出部103は、ステップS002にて特定した迂回路と、案内中の経路と、を比較し、案内中の経路に含まれない迂回路上の道路を特定し、その道路を示すリンクのリンク長224を合算することで迂回路の迂回部分の距離を算出する。
【0070】
そして、迂回距離算出部103は、迂回部分の距離に基いて、迂回路テンプレートテーブル300の迂回距離区分301の合致するレコードを特定する。
【0071】
そして、迂回距離算出部103は、特定したレコードから、使用するテンプレートを使用テンプレート302にて特定し、表示する立体を表示立体303にて特定する。
【0072】
そして、表示立体特定部104は、案内中の経路上の渋滞情報を取得して、表示立体の表示サイズと色彩を特定する(ステップS004)。
【0073】
具体的には、表示立体特定部104は、案内中の経路に含まれる渋滞情報のうち、迂回路により迂回される経路に含まれている渋滞であって、その渋滞が1つであればその渋滞を、複数の渋滞であれば最も深刻な渋滞についての情報を記憶装置3から取得する。
【0074】
なお、渋滞の深刻さを示す基準として、本実施形態においては、深刻度という値を用いることとする。
【0075】
迂回距離算出部103は、渋滞情報の混雑度が高くなれば高くなるほど、また混雑距離が長くなればなるほど、深刻度が高い値となるように算出する。
【0076】
例えば、渋滞の深刻度を計測する基準は、渋滞情報に含まれる混雑度を所定の方法で数値化した値と、混雑距離を所定の方法で数値化した値との積とする。そして、迂回距離算出部103は、深刻度の値が大きければ、渋滞が深刻であると判定する。
【0077】
そして、表示立体特定部104は、取得した渋滞情報に含まれる混雑度を用いて、表示立体にて混雑度を表示する表示方法に必要な情報を算出する。
【0078】
この際、表示立体特定部104は、混雑度の表示方法304に従って、表示方法に必要な情報を特定する。
【0079】
例えば、表示立体特定部104は、表示立体303が直方体であれば、混雑度の表示方法304から、混雑度を用いて表示する要素は高さであると特定する。
【0080】
より具体的には、混雑度が平均時速またはそれに準ずる値(例えば混雑度が高い程小さい値で表示される値)で表示される場合には、平均時速に反比例するように表示立体の高さを算出する。
【0081】
もちろん、混雑度が高いほど大きな値で表示される値により混雑度が示される場合には、その値が高くなればなるほど表示立体の高さが高くなるように表示立体の高さを算出する。
【0082】
また、表示立体特定部104は、取得した渋滞情報の混雑距離を用いて、表示立体にて混雑距離を表示するために必要な情報を算出する。
【0083】
この際、表示立体特定部104は、混雑距離の表示方法305に従って、表示に必要な情報を特定する。
【0084】
例えば、表示立体特定部104は、表示立体303が直方体であれば、混雑距離の表示方法305から、混雑距離を用いて表示する要素は奥行きであると特定する。
【0085】
より具体的には、表示立体特定部104は、表示立体303が直方体であれば、混雑距離の表示方法305に従い、混雑距離に比例するように表示立体の奥行きを算出する。
【0086】
また、表示立体特定部104は、取得した渋滞情報に含まれる渋滞原因を示す情報に基いて、表示色テーブル400を参照して、表示立体の色彩を特定する。例えば、渋滞原因が「事故」であれば、表示色テーブル400の渋滞原因401が「事故」であるレコードを特定し、立体表示色402の値から「赤」を特定する。
【0087】
次に、画面構成部105は、表示立体を迂回路テンプレートの所定の位置に重畳させることで表示画面を構成する(ステップS005)。
【0088】
具体的には、画面構成部105は、ステップS003で特定した表示立体をステップS004で特定した高さや奥行きおよび色彩で表示するよう構成し、ステップS003で特定した迂回路テンプレートの所定の位置に重畳させることで表示画面を構成し、出力処理部107を介してディスプレイ2に作成した画面を表示させる。
【0089】
ここで、ステップS005にて表示する画面の例を、図7を用いて説明する。
【0090】
図7(a)は、迂回距離が短距離である場合の表示画面700の例である。
【0091】
表示画面700は、簡略化した道路図形701と、立体表示図形702と、了解ボタン表示領域703と、により構成される。
【0092】
簡略化した道路図形701は、ステップS003において選択されたテンプレートに含まれる図形であり、案内中の経路と迂回路の経路とを簡略化して示すものである。
【0093】
例えば、案内中の経路と、迂回路の経路と、は、矢印等の図形により示される。
【0094】
また、迂回路を示す矢印は、案内中の経路を示す矢印の先端付近において合流するように示される。
【0095】
立体表示図形702は、ステップS003において特定した立体表示図形を、ステップS004において特定した高さ、奥行き等の表示方法を用いて表示される。また、ステップS004で特定した色彩により立体表示図形702は着色され表示される。
【0096】
了解ボタン表示領域703は、「了解」と表示されたボタンを表示する領域である。
【0097】
「了解」と表示されたボタンは、入力者からの入力操作を受け付けるボタンであり、入力操作を受け付けると、主制御部101にその旨を通知する。
【0098】
図7(b)は、迂回距離が長距離である場合の表示画面710の例である。
【0099】
表示画面710は、簡略化した道路図形711と、立体表示図形712と、了解ボタン表示領域713と、により構成される。
【0100】
簡略化した道路図形711は、ステップS003において選択されたテンプレートに含まれる図形であり、案内中の経路と迂回路の経路とを簡略化して示すものである。
【0101】
例えば、案内中の経路と、迂回路の経路と、は、矢印等の図形により示される。
【0102】
また、迂回路を示す矢印は、案内中の経路を示す矢印と平行するように示される。
【0103】
立体表示図形712は、ステップS003において特定した立体表示図形を、ステップS004において特定した高さ、奥行き等の表示方法を用いて表示される。また、ステップS004で特定した色彩により立体表示図形は着色され表示される。
【0104】
了解ボタン表示領域713は、「了解」と表示されたボタンを表示する領域である。
【0105】
「了解」と表示されたボタンは、入力者からの入力操作を受け付けるボタンであり、入力操作を受け付けると、主制御部101にその旨を通知する。
【0106】
次に、主制御部101は、ステップS005にて表示した画面から「了解」ボタンに対する入力操作を受け付ける(ステップS006)。
【0107】
次に、主制御部101は、ステップS006で入力操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS007)。
【0108】
入力操作を受け付けた場合(ステップS007にて「Yes」)、主制御部101は、迂回路を経路として設定して、経路誘導を開始し、経路誘導を終えると処理を終了する(ステップS008)。
【0109】
入力操作を受け付けなかった場合(ステップS007にて「No」)、主制御部101は、処理を終了する。
【0110】
以上が、迂回表示処理の処理フローである。
【0111】
迂回表示処理により、迂回路を検索した後、迂回による効果を短時間で理解できるように表示することができる。
【0112】
また例えば、ステップS005にて表示する画面の別の例を、図8を用いて説明する。
【0113】
図8(a)は、迂回距離が短距離である場合の表示画面800の例である。
【0114】
表示画面800は、簡略化した道路図形801と、立体表示図形802と、了解ボタン表示領域803と、により構成される。
【0115】
この別の例においては、立体表示図形802を除いては、図7(a)の表示画面700と同様であるため、共通する部分の説明を省略する。
【0116】
立体表示図形802は、ステップS003において特定した立体表示図形である「車」を、ステップS004において特定した高さと幅、繰り返しを用いて表示するものである。また、ステップS004で特定した色彩により立体表示図形802は着色表示される。
【0117】
具体的には、画面構成部105は、ステップS004において特定した高さと幅に応じて、表示させる車の高さと幅を決定し表示する。また、ステップS004において特定した繰り返しに応じて、表示させる車の台数を増減させて表示する。
【0118】
図8(b)は、迂回距離が長距離である場合の表示画面810の例である。
【0119】
表示画面810は、簡略化した道路図形811と、立体表示図形812と、了解ボタン表示領域813と、により構成される。
【0120】
この例においては、立体表示図形812を除いては、図7(b)の表示画面710と同様であるため、共通する部分の説明を省略する。
【0121】
立体表示図形812は、ステップS003において特定した立体表示図形である「山」を、ステップS004において特定した高さ、奥行きを用いて表示するものである。また、ステップS004で特定した色彩により立体表示図形812は着色表示される。
【0122】
具体的には、画面構成部105は、ステップS004において特定した高さに応じて、表示させる山(例として、四角錐)の高さを決定し表示する。また、ステップS004において特定した奥行きに応じて、表示させる山の奥行きを増減させて表示する。
【0123】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0124】
本発明の上記実施形態によれば、車載用ナビゲーション装置100のユーザは、迂回路検索により迂回路を検索した際に、回避する渋滞の規模を立体の大きさにより直感的に理解できるため、迂回の効果を容易に把握できる。
【0125】
例えば、ユーザは、初めて訪れた地域等、土地勘のない場所であっても、渋滞を迂回して走行することについての効果を理解することが容易となるため、安心して運転することができる。
【0126】
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0127】
例えば、上記実施形態では、図6に示した迂回表示処理のステップS004において、迂回距離算出部103は、最も深刻な渋滞について表示立体を表示するようにしたが、これに限られない。
【0128】
迂回距離算出部103は、複数の渋滞が含まれる場合には、その中の最も現在地に近い渋滞を選択することとしてもよいし、最も現在地から遠い渋滞を選択することとしてもよい。
【0129】
または、迂回距離算出部103は、迂回路から復帰する地点から迂回しない経路を逆に辿り、最も近くにある渋滞を選択することとしてもよい。
【0130】
または、迂回距離算出部103は、対象となる複数の渋滞の混雑度を相加平均した混雑度と、合計した混雑距離とを用いて混雑度、混雑距離としてもよい。
【0131】
以上が、変形例である。
【0132】
なお、上記の実施形態では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、記憶装置に記憶されているリンクテーブルの構成例を示す図である。
【図3】図3は、記憶装置に記憶されている迂回路テンプレートテーブルの構成例を示す図である。
【図4】図4は、記憶装置に記憶されている表示色テーブルの構成例を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部の機能構成を示す図である。
【図6】図6は、迂回表示処理のフロー図である。
【図7】図7は、テンプレートの例を示す図である。
【図8】図8は、テンプレートの例を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声出入力装置、5…入力装置、6…ROM装置、7…車速センサ、8…ジャイロセンサ、9…GPS受信機、10…FM多重放送受信装置、11…ビーコン受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…I/F、25…バス、41…マイクロフォン、42…スピーカ、51…タッチパネル、52…ダイヤルスイッチ、100…車載用ナビゲーション装置、101…主制御部、102…迂回路検索部、103…迂回距離算出部、104…表示立体特定部、105…画面構成部、106…入力受付部、107…出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
渋滞の度合いを含む交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記経路探索手段により探索された経路の渋滞部分を、前記交通情報取得手段にて取得した交通情報から抽出する渋滞部分抽出手段と、
前記渋滞部分抽出手段により前記経路から渋滞部分が抽出された場合に、抽出された渋滞部分を迂回する迂回経路を探索する迂回経路探索手段と、
迂回経路の迂回部分の距離に応じた迂回図形を記憶する迂回図形記憶手段と、
前記迂回経路探索手段で探索された迂回経路の迂回部分の距離に応じて前記迂回図形記憶手段から迂回図形を選択する迂回図形選択手段と、
前記渋滞部分抽出手段で抽出された渋滞部分の渋滞の度合いに応じて、表示する立体図形を特定する表示立体特定手段と、
前記迂回図形選択手段で選択された迂回図形と、前記表示立体特定手段で特定した立体図形と、を表示する画面表示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記画面表示手段は、前記交通情報に含まれる前記渋滞部分の混雑度と混雑の距離とに応じて前記立体図形を変形させる、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記立体図形は、直方体を斜視した図形であり、
前記画面表示手段は、前記混雑度に応じて前記直方体の高さを決定し、前記混雑の距離に応じて前記直方体の奥行きを決定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置であって、
前記画面表示手段は、前記交通情報に含まれる渋滞原因に応じて表示する立体図形の色彩を決定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
さらに、前記画面表示手段は、前記迂回経路により迂回する渋滞部分が前記経路上に複数ある場合に、前記渋滞部分の混雑度と混雑の距離とに基いて深刻度を算出し、前記深刻度が最も高い渋滞部分に関して前記立体図形を決定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置であって、
前記画面表示手段は、前記深刻度を、前記渋滞度が高くなるほど高く、前記渋滞距離が長くなるほど高くなるよう算出する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
ナビゲーション装置の交通情報提示方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
迂回する距離に応じて、迂回路を示す迂回図形を記憶する迂回図形記憶手段を備え、
目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
渋滞の度合いを含む交通情報を取得する交通情報取得ステップと、
前記経路探索ステップにより探索された経路の渋滞部分を、前記交通情報取得ステップにて取得した交通情報から抽出する渋滞部分抽出ステップと、
前記渋滞部分抽出ステップにより前記経路から渋滞部分が抽出された場合に、抽出された渋滞部分を迂回する迂回経路を探索する迂回経路探索ステップと、
前記迂回経路探索ステップで探索された迂回経路の迂回部分の距離に応じて前記迂回図形記憶手段から迂回図形を選択する迂回図形選択ステップと、
前記渋滞部分抽出ステップで抽出された渋滞部分の渋滞の度合いに応じて、表示する立体図形を特定する表示立体特定ステップと、
前記迂回図形選択ステップで選択された迂回図形と、前記表示立体特定ステップで特定した立体図形と、を表示する画面表示ステップと、
を実行することを特徴とする交通情報提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−38795(P2010−38795A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203547(P2008−203547)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】