説明

ナビゲーション装置および行き先検索方法

【課題】所望の地点の住所が検索リストに登録されていなくてピンポイントに住所検索ができない場合でも、その所望の地点が地図上のどこであるかを容易に絞り込むことが可能な「ナビゲーション装置および行き先検索方法」を提供する。
【解決手段】検索リストに登録されている各階層の番地のうち、操作部の操作により入力された番地と一致する階層の地図エリア32を表示するとともに、当該地図エリア32内において、検索リストに登録されていない番地の家形図33を、検索リストに登録されている番地に対応する家形図と識別可能な態様にて強調して表示することにより、ユーザが検索したい所望の番地が検索リストに登録されていなくてピンポイントで住所検索できない場合でも、強調表示された家形図を見ることで、ユーザの所望する番地がどこであるかを容易に絞り込むことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および行き先検索方法に関し、特に、住所地から行き先(目的地や経由地)を検索する機能を備えたナビゲーション装置およびその行き先検索方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
また、ナビゲーション装置の殆どには、経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を自動探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに交差点拡大図を表示して交差点案内を行うことにより、運転者を目的地まで案内するようになっている。
【0004】
通常、この種のナビゲーション装置では、いくつかの行き先検索方法が用意されている。例えば、ユーザがリモコン等の操作部を操作して住所名を入力することにより特定の地点を検索するようにした、いわゆる住所検索が知られている。すなわち、ナビゲーション装置は、日本電信電話株式会社のタウンページ(登録商標)をデータベース化した住所データを検索リストとして備えており、入力された住所名と検索リストとを照合することにより、住所名に対応する地点をピンポイントで検索することができるようになされている。
【0005】
しかしながら、タウンページに登録されていない住所については、ナビゲーション装置の検索リストにも存在しないので、住所検索をしても所望の地点をピンポイントで検索することができない。その場合は、別の行き先検索方法で検索し直すか、登録されている住所で検索可能なエリアまで検索して近くを予想する(例えば、○丁目まで住所名を入力して検索し、これにより表示された地図エリアの中から、番地に対応する地点を予想する)しか方法がなかった。
【0006】
例えば、図6(a)に示すように、「横浜市緑区青砥町985」の下層となる最終番地が検索リストに全ては登録されていない場合、メニューで選択可能な最終番地は、実際に存在する最終番地の一部のみとなる。図6(a)の例の場合、例えば3番地から5番地までの地点は、番地入力によってピンポイントに検索することができない。この場合は、例えば2番地を選択して検索し、図6(b)のように表示された地図エリア(2番地を中心として所定の範囲を示した地図)から所望の番地の地点を予想する必要がある。
【0007】
なお、入力された番地と一致する番地が検索リストに存在しない場合に、一致するレベルの番地の代表点地図を表示するとともに、当該一致するレベルより下層の番地を候補番地として表示するようにしたナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のナビゲーション装置では、例えば「○○1丁目」より下層に、入力された番地「3−4」と一致する番地が検索リストに存在しない場合、番地「3」の代表点地図を表示するとともに、検索リストに「3−6」「3−8」「3−9」の番地が登録されている場合に候補番地として「6」「8」「9」を表示するようになされている。
【特許文献1】特開2002−202142号公報
【0008】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、検索リストに登録されている住所と一致するレベルの番地の代表点地図が表示されても、検索リストに登録されていない所望の地点はユーザが予想するしかなく、所望の地点がどこなのかが分かりにくいという問題があった。また、上記従来の技術では、一致するレベルより下層の番地が候補番地として表示されても、それはあくまでも検索リストに登録されている番地であって、所望の地点の番地ではない。そのため、検索可能な他の番地を検索して表示された地図から所望の地点を予想するしかなく、やはり所望の地点がどこなのかが分かりにくいという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、所望の地点の住所が検索リストに登録されていなくてピンポイントに住所検索ができない場合でも、その所望の地点が地図上のどこであるかをユーザが容易に絞り込むことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、地図記憶部に住所データとして記憶されている各階層の番地のうち、操作部の操作により入力された番地と一致する階層の地図エリアを表示するとともに、当該地図エリア内において、一致する階層よりも下層の番地で住所データとして記憶されている番地に対応する家形図と住所データとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて表示するようにしている。
また、上述の地図エリア内において、住所データとして記憶されている番地の数字をそれに対応する家形図と共に表示するようにしても良い。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、例えば最下層の番地が住所データ(検索リスト)に登録されていなくて、その番地の地点をピンポイントで住所検索できない場合でも、それより上層の番地が検索リストに登録されていれば、その上層の番地で示される地図エリアが表示されるとともに、当該地図エリア内において、最下層の番地で検索リストに登録されていない番地の家形図が、検索リストに登録されている番地の家形図と識別可能な態様にて表示される。この場合、ユーザが検索したい所望の番地の家形図は、検索リストに登録されていない番地のものとして表示された家形図の中のどれかである。これによりユーザは、所望の番地の家形図がどれであるかを容易に絞り込むことができるようになる。
【0012】
また、検索リストに登録されている番地の数字をそれに対応する家形図と共に表示するようにした場合には、数字が表示されている番地の位置と、検索リストに登録されていない番地のものとして表示された家形図の位置との関係から、所望の番地の家形図がどれであるかを更に高い精度で絞り込むことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。図1において、1はDVD−ROM等の地図記録媒体であり、地図表示や経路探索等に必要な地図データを記憶している。なお、ここでは地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROM1を用いているが、CD−ROM、ハードディスク、半導体メモリ等の他の記録媒体を用いても良い。2はDVD−ROM制御部であり、DVD−ROM1からのデータの読み取りを制御する。
【0014】
DVD−ROM1に記憶されている地図データには、地図表示や経路探索等に使用する道路データの他に、地図上に存在する各地点(施設や住宅等)の住所データ、各地点における施設や住宅等の形状(家形図)を表す家形データを含んでいる。住所データは、タウンページ(登録商標)をデータベース化して生成したものであり、これが住所検索を行う際の検索リストとして利用される。
【0015】
図2は、本実施形態による住所データ(検索リスト)の例を示す図である。図2に示すように、本実施形態の住所データは、都道府県、市区町村、町名、番地を階層的に組み合わせて構成されている。番地も複数の階層に分割されて構成されている。例えば、「985番地の2」という番地であれば、番地の第1層に「985」、番地の第2層(この場合の最下層)に「2」というデータが記憶される。図2には図示していないが、「1丁目7番5号」という番地であれば、番地の第1層に「1」、番地の第2層に「7」、番地の第3層(この場合の最下層)に「5」というデータが記憶される。
【0016】
家形データは、上述の住所データとして記憶されている番地に対応する家形図を表す家形データと、住所データとして記憶されていない番地の家形図を表す家形データとを含んでいる。すなわち、図2の例では、住所データとして記憶されている「985番地の2、8〜10、13」に対応する家形図を表す家形データのみならず、住所データとして記憶されていない「985番地の1、3〜7、11、12」の家形図を表す家形データも地図データ中に含まれている。通常、地図データが更新されるときには家形データも更新されるが、その住所地がタウンページ(登録商標)に登録されていなければ住所データは更新されず、家形データはあるのに住所データが存在しないという状態が発生し得る。
【0017】
3は車両の現在位置を測定する位置測定装置であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含んでいる。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0018】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車位置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0019】
4は地図情報メモリであり、DVD−ROM制御部2の制御によってDVD−ROM1から読み出された地図データ(上述の住所データおよび家形データを含む)を一時的に格納する。この地図情報メモリは、本発明の地図記憶部を構成する。
【0020】
5はプロセッサ(CPU)であり、ナビゲーション装置の全体を制御する。6はROMであり、各種プログラム(誘導経路探索プログラム、住所検索プログラムなど)を記憶する。7はRAMであり、各種処理の過程で得られるデータや、各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。
【0021】
CPU5は、ROM6に記憶されている誘導経路探索プログラムに従って、地図情報メモリ4に格納された地図データを用いて、現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索する処理を行う。また、CPU5は、ROM6に記憶されている住所検索プログラムに従って、行き先を設定する際の住所検索処理を行う。8は誘導経路メモリであり、CPU5が上述のように設定した誘導経路のデータを記憶する。誘導経路のデータは、例えば、現在地から目的地まで至る各ノードの位置を表すものである。
【0022】
9はリモコン等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置に対して各種の情報(例えば、誘導経路の行き先)を設定したり、各種の操作(例えば、メニュー選択操作、拡大/縮小操作、手動地図スクロールなど)を行ったりするための各種操作子(ボタンやジョイスティック、テンキー等)を備えている。10はインタフェース部であり、操作部9の各種操作情報を受け付ける。このインタフェース部10は、操作部9の操作を通じて所望の住所名の入力を受け付ける、本発明のデータ入力部に相当する。
【0023】
11はディスプレイコントローラであり、地図情報メモリ4に格納された地図データに基づいて、表示装置18への表示に必要な地図画像データを生成する。12はビデオRAMであり、ディスプレイコントローラ11によって生成された画像データを一時的に格納する。すなわち、ディスプレイコントローラ11により生成された画像データはビデオRAM12に一時的に格納され、1画面分の画像データが読み出されて画像合成部17に出力される。13はメニュー発生部であり、ユーザが各種の操作を行う際に必要なメニュー画像を発生して出力する。
【0024】
14は誘導経路発生部であり、誘導経路メモリ8に記憶された経路探索処理の結果を使用して、誘導経路の描画データを発生する。すなわち、誘導経路発生部14は、誘導経路メモリ8に記憶された誘導経路のデータの中から、その時点でビデオRAM12に描画された地図エリアに含まれるものを選択的に読み出し、他の道路とは異なる所定色で太く強調した誘導経路を描画する。
【0025】
15はマーク発生部であり、マップマッチング処理された後の自車位置に表示する車両位置マークや、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア等を表示する各種ランドマーク等を発生して出力する。なお、マップマッチング処理とは、地図情報メモリ4に読み出されている地図データと、位置測定装置3によって測定されたGPS受信機による自車位置および車両方位のデータと、自立航法センサによる推定車両位置および車両方位のデータとを用いて、自車の走行位置を地図データの道路上に位置修正する処理のことを言う。
【0026】
16は直前階層エリア描画部であり、CPU5がROM6に記憶されている住所検索プログラムに従って住所検索処理を行っているときに、地図情報メモリ4に住所データとして記憶されている各階層の番地のうち、インタフェース10より入力された番地と一致する階層(ある階層の番地を入力する前の1つ上の階層)の地図エリア(以下、直前階層エリアという)を描画するとともに、当該直前階層エリア内において、上述の一致する階層よりも下層の番地で住所データとして記憶されている番地に対応する家形図と住所データとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて描画する。
【0027】
このとき直前階層エリア描画部16は、直前階層エリア内において、地図情報メモリ4に住所データとして記憶されている最下層の番地の数字を、その番地に対応する家形図と共に表示する。また、直前階層エリア描画部16は、住所データとして記憶されていない番地の家形図を強調して表示する。強調表示は、例えば他の家形図と色を変えて表示したり、他の家形図よりも線を太くして表示したりすることによって実現する。この直前階層エリア描画部16は、本発明の表示処理部に相当する。
【0028】
17は画像合成部であり、各種画像を合成して出力する。すなわち、ディスプレイコントローラ11により読み出された地図画像データに対して、メニュー発生部13、誘導経路発生部14、マーク発生部15、直前階層エリア描画部16のそれぞれから出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、合成した画像データを表示装置18に出力する。
【0029】
図3は、本実施形態による住所検索時の画面遷移例を示す図である。図3(a)は、住所検索において所望の住所名を入力している途中の画面例を示している。すなわち、図3(a)は、メニュー発生部13により発生されるメニュー画面を通じて「横浜市緑区青砥町985」まで住所を入力した段階の画面例を示しており、これに続く番地の枝番(最下層の番地)をリストの中から選択できるようになっている。図2のような住所データが地図情報メモリ4に記憶されている場合、メニュー発生部13は、図3(a)のように、選択可能な最下層の番地として「2,8,9,10,13」の5つをリスト表示する。
【0030】
リスト表示された最下層の番地の中に、ユーザが検索したい所望の番地が含まれていれば、その番地を操作部9の操作によって選択することにより、所望の番地の地点をピンポイントで検索することができる。しかし、リストの中に所望の番地がない場合は、その所望の番地をピンポイントで検索することができない。この場合には、エリア絞込みボタン31を押すと良い。エリア絞込みボタン31を押すと、図3(b)のような画面に遷移する。この図3(b)の画面を描画しているのは、直前階層エリア描画部16である。
【0031】
直前階層エリア描画部16は、操作部9の操作によって入力された「横浜市緑区青砥町985」という番地(この番地は地図情報メモリ4に住所データとして記憶されている)の直前階層エリア32を描画する。また、直前階層エリア描画部16は、描画した直前階層エリア32内において、住所データとして記憶されている最下層の番地「2,8〜10,13」に対応する家形図と、住所データとして記憶されていない番地「1,3〜7,11,12」の家形図とを互いに識別可能な態様にて描画する。図3(b)の例では、住所データとして記憶されていない番地「1,3〜7,11,12」の家形図33を強調表示している。また、住所データとして記憶されている最下層の番地「2,8〜10,13」の数字を、その番地に対応する家形図と共に表示している。
【0032】
直前階層エリア32の描画は、例えば次のようにして行うことが可能である。すなわち、「横浜市緑区青砥町985」という番地に対応する直前階層エリア32の描画データを地図データの一部としてあらかじめ用意しておき、それを地図情報メモリ4から読み出して描画する。ただし、この場合は、用意すべき描画データの数が多くなると、大容量の記憶領域が必要になる。
【0033】
そこで、描画データをあらかじめ用意しておく方法ではなく、直前階層エリア32を動的に計算して描画することも可能である。例えば、図4(a)の太い実線で示すように、住所データが最下層の番地まで記憶されている複数の地点「横浜市緑区青砥町985の2,8〜10,13」を結んだ領域を直前階層エリア32’として描画する。
【0034】
なお、このようにすると、「横浜市緑区青砥町985」の領域として描画される直前階層エリア32’が本来の領域(図3(b)に直前階層エリア32として示す領域)より狭くなり、本来は「横浜市緑区青砥町985」の領域内に含まれる地点が直前階層エリア32’の内部に含まれなくなってしまうことがある。このような不都合を回避するために、次のような処理を行うのが好ましい。
【0035】
例えば、図4(a)中に点線で示すように、最初に描画した直前階層エリア32’を、その周囲にある道路や川の位置まで拡張して直前階層エリア32”とする。道路や川が番地の境界になっていることが多いので、直前階層エリア32”の境界を道路や川に沿って設定するのである。
【0036】
ただし、無制限に拡張すると、今度は余分な領域が含まれてしまう可能性が高くなる。そこで、元の直前階層エリア32’から拡張する道路や川までの距離を所定値以内に限定するのが良い。また、拡張する直前階層エリア32”の境界とする道路は、番地の境界になっていることが多い主要道路に限定しても良い。このような制限を加えて直前階層エリア32’を拡張すると、例えば図4(a)のように、地図の右方向にはエリアが拡張されず、左方向と上下方向にのみ拡張された直前階層エリア32”を得ることができる。
【0037】
別の方法として、図4(b)に示すような方法を用いても良い。すなわち、「985番地」において住所データが最下層の番地まで記憶されている複数の地点を結んで直前階層エリア32’−1を設定するとともに、これに隣接する番地においても住所データが最下層の番地まで記憶されている複数の地点を結んで直前階層エリア32’−2を設定する。そして、どの番地の直前階層エリアにも含まれない地点を包含するように、対象としている番地「横浜市緑区青砥町985」の直前階層エリア32’−1を拡張して、点線で示すような直前階層エリア32”を描画する。
【0038】
なお、この場合において、どの番地の直前階層エリア32’−1,32’−2にも含まれない地点は、「985番地」ではなく、それに隣接する番地に属するものであるかもしれないが、対象としている「985番地」に属するものである可能性もある。このような地点を「985番地」の直前階層エリア32”に含めて表示することで、本来「985番地」に属する地点が直前階層エリア32”から外れてしまう不都合を防止することができる。
【0039】
次に、上記のように構成した本実施形態によるナビゲーション装置の動作を説明する。図5は、本実施形態によるナビゲーション装置の動作例(行き先検索方法の処理手順)を示すフローチャートである。図5において、インタフェース部10は、メニュー発生部13により描画された住所検索のメニュー画面を通じて、ユーザが操作部9を操作して入力した所望の住所名を受け付ける(ステップS1)。また、CPU5は、操作部9の操作を通じてインタフェース部10から入力される操作データに基づいて、エリア絞込みボタン31が押されたかどうかを判定する(ステップS2)。
【0040】
ここで、エリア絞込みボタン31が押されていないと判断した場合、つまり、最下層の番地まで住所が入力されて検索指示が成された(図3(a)に示す完了ボタンが押された)と判断した場合、CPU5は、地図情報メモリ4に記憶されている住所データ(検索リスト)を用いて、入力された住所に対応する地点を検索する(ステップS3)。
【0041】
一方、エリア絞込みボタン31が押されたと判断した場合、CPU5は、その段階で入力されている住所の番地が、地図情報メモリ4に記憶されている住所データ(検索リスト)の中にあるかどうかを調べる。すなわち、ステップS1で入力された住所の番地と、地図情報メモリ4に記憶されている住所データにより示される番地とが一致するか否かを判定する(ステップS4)。ここで、入力されている住所の番地が検索リストの中にないと判断した場合、CPU5は、メニュー発生部13を制御して表示装置18にエラー表示を行い(ステップS5)、ステップS1の処理に戻る。
【0042】
また、入力されている住所の番地が検索リストの中にあると判断した場合、CPU5は直前階層エリア描画部16を制御して、図3(b)のように、ステップS1で入力された住所名の番地に相当する階層の直前階層エリア32を表示装置18に表示させるとともに、当該直前階層エリア32内において、最下層の番地で検索リストとして記憶されている番地に対応する家形図と、検索リストとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて表示装置18に表示させる(ステップS6)。
【0043】
図3(b)に示すように、直前階層エリア32と共にカーソル34が表示されており、操作部9を操作してカーソル34を移動させることにより、所望の地点を選択することができるようになっている。ユーザは、数字として表示されている番地の位置と、検索リストに登録されていない番地のものとして強調表示された家形図の位置との関係から、所望の番地の家形図がどれであるかを予想して、何れかの家形図にカーソル34を合わせて選択する(ステップS7)。
【0044】
何れかの家形図が選択されると、CPU5は、地図情報メモリ4に記憶されている地図データを用いて、選択された家形図に対応する地点を検索する(ステップS8)。ここでは、選択された家形図の位置データをもとに、該当する施設や住宅を検索する。ステップS3またはステップS8で地点の検索が行われると、CPU5はメニュー発生部13を制御して、検索された地点についてどのような処理を行うか(例えば、目的地に設定するか、経由地に設定するか、詳細情報を見るか、現在地に設定するかなど)のメニュー画面を表示装置18に表示する。そして、操作部9の操作を通じて行われたユーザからの指示に応じた処理を実行する。
【0045】
なお、ここでは選択された家形図の位置に対応する施設や住宅を検索するようにしているが、これに限定されない。例えば、所望の家形図を選択した時点で、検索を行うことなく、選択した家形図の地点についてどのような処理を行うか(例えば、目的地に設定するか、経由地に設定するか、詳細情報を見るか、現在地に設定するかなど)のメニュー画面を表示装置18に表示するようにしても良い。
【0046】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、住所データ(検索リスト)として記憶されている各階層の番地のうち、操作部9の操作により入力された番地と一致する階層の直前階層エリア32を表示するとともに、当該直前階層エリア32内において、一致する階層よりも下層の番地で住所データとして記憶されている番地に対応する家形図と、住所データとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて表示するようにしている。
【0047】
このような構成により、例えば最下層の番地が検索リストに登録されていなくて、その番地の地点をピンポイントで住所検索できない場合でも、それより上層の番地で示される直前階層エリア32が表示されるとともに、当該直前階層エリア32内において、最下層の番地で検索リストに登録されていない番地の家形図が、検索リストに登録されている番地の家形図と識別可能な態様にて強調して表示される。これによりユーザは、強調して表示された家形図の中に所望の番地があることを認識することができ、所望の番地がどれであるかを容易に絞り込むことができるようになる。
【0048】
また、本実施形態では、直前階層エリア32内において、検索リストとして記憶されている番地を表す数字を、それに対応する家形図と共に表示するようにしている。このように構成した場合は、数字が表示されている番地の位置と、検索リストに登録されていない番地のものとして強調表示された家形図の位置との関係から、所望の番地の家形図がどれであるかを更に高い精度で絞り込むことができるようになる。
【0049】
なお、上記実施形態では、検索したい所望の地点の住所データが検索リストに存在しない場合に直前階層エリアを表示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、検索したい所望の地点の住所データが検索リストに存在する場合であっても、住所を途中まで入力してエリア絞込みボタン31を押すことにより、直前階層エリアを表示するようにしても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、エリア絞込みボタン31が押されたときに直前階層エリアを表示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、番地の第1層が入力された段階で、当該第1層の番地に該当する直前階層エリアを自動的に表示するようにしても良い。また、番地の第3層が存在する住所の場合には、番地の第2層が入力された段階で、当該第2層の番地に該当する直前階層エリアを自動的に表示するようにしても良い。これらの場合の直前階層エリアの表示は、図3(b)のように一画面に大きく表示しても良いし、図3(a)のように番地の選択リストの横に画面を分割して表示するようにしても良い。
【0051】
また、図3(b)のような直前階層エリアを表示するときに、使用している地図データがいつ更新されたものであるかを表示するようにしても良い。このようにすれば、家形データや住所データを含む地図データの新鮮度を把握することができ、表示されている直前階層エリアに含まれている家形図や番地表示がどの程度信頼できるかを予想した上で、所望の地点を絞り込むことができる。
【0052】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による住所データ(検索リスト)の例を示す図である。
【図3】本実施形態による住所検索時の画面遷移例を示す図である。
【図4】本実施形態による直前階層エリアの描画方法の例を示す図である。
【図5】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例(行き先検索方法の処理手順)を示すフローチャートである。
【図6】従来の住所検索時の画面遷移例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
4 地図情報メモリ
5 CPU
9 リモコン
10 インタフェース部
13 メニュー発生部
16 直前階層エリア描画部
17 画像合成部
18 表示装置
31 エリア絞込みボタン
32 直前階層エリア
33 住所検索の検索リストに登録されていない家形図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
都道府県、市区町村、町名、番地を階層的に組み合わせて成る住所データと地図上の各地点の家形図を表す家形データとを含む地図データを記憶する地図記憶部と、
操作部の操作を通じて所望の住所名の入力を受け付けるデータ入力部と、
上記地図記憶部に上記住所データとして記憶されている各階層の番地のうち、上記データ入力部より入力された番地と一致する階層の地図エリアを表示するとともに、当該地図エリア内において、上記一致する階層よりも下層の番地で上記住所データとして記憶されている番地に対応する家形図と上記住所データとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて表示する表示処理部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記表示処理部は、上記地図エリア内において、上記地図記憶部に上記住所データとして記憶されている番地の数字を、その番地に対応する家形図と共に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
操作部の操作を通じて所望の住所名の入力を受け付ける第1のステップと、
上記第1のステップで入力された住所名の番地と、地図記憶部に記憶されている都道府県、市区町村、町名、番地を階層的に組み合わせて成る住所データにより示される番地とが一致するか否かを判定する第2のステップと、
上記第1のステップで入力された住所名の番地と上記住所データにより示される番地とが一致した階層の地図エリアを表示するとともに、当該地図エリア内において、上記一致した階層よりも下層の番地で上記住所データとして記憶されている番地に対応する家形図と上記住所データとして記憶されていない番地の家形図とを互いに識別可能な態様にて表示する第3のステップとを有することを特徴とする行き先検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−52077(P2008−52077A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228780(P2006−228780)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】