ナビゲーション装置及び地図データ配信システム
【課題】 大容量記憶装置に記憶されている地図データの内一部のデータを小容量メモリに読み出して使用する場合に、地図データを極力効率的に使用できるように読み出すことが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1の地図データ入力器7に、地図データの最小読出し単位であるメッシュが緯度,経度方向に沿って配列されている地図データベース12Aと、メッシュが上記方向に対して45度傾いた方向に沿って配列されている地図データベース12Bとを記憶させ、制御回路11は、地図データ入力器7からコリドメモリ13に案内経路に沿った地図データを読み出す場合に、地図データの総容量が、地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1の地図データ入力器7に、地図データの最小読出し単位であるメッシュが緯度,経度方向に沿って配列されている地図データベース12Aと、メッシュが上記方向に対して45度傾いた方向に沿って配列されている地図データベース12Bとを記憶させ、制御回路11は、地図データ入力器7からコリドメモリ13に案内経路に沿った地図データを読み出す場合に、地図データの総容量が、地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置、及びナビゲーション装置が使用する地図データを配信するための配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用のナビゲーション装置においては、地図データがDVD(Digital Versatile Disk)やハードディスクなどの大容量の記憶装置に記憶される場合が多くなっている。また、最近のナビゲーション装置では、ナビゲーションを行なう処理に並行して、例えば映画などが記録されているDVDを再生し、再生画像をディスプレイに表示させて視聴したいというニーズに対応するため、所謂コリド(Corridor)機能を備えているものがある。
ここで、コリド機能とは、ナビゲーションを行なうために必要な、案内経路に沿った地図データだけを上記の記憶装置より予めメモリ(コリドメモリ)に読み出しておき、以降は、そのコリドメモリから地図データを読み出してナビゲーションを行なう機能である。従って、ナビゲーション装置のDVDドライブでは、地図データ以外のDVDを再生することが可能となる。また、地図データがハードディスクに記憶されている場合でも、再生中のDVDの画像や音声が途切れたりすることがなく、快適に視聴を行なうことができる。
【0003】
一般に、上記の記憶装置の容量はギガバイトオーダーであるのに対して、コリドメモリの容量は数十メガバイト程度であるため、その限られた容量のメモリに対して、必要なデータを如何にして効率良く読み出すかが課題となっている。例えば、特許文献1には、上記記憶装置に相当する地図メモリから、案内経路に係る地図データのブロックだけを切り出して、上記コリドメモリに相当する経路メモリに読み出すようにした技術が開示されている。
この地図データの切り出し方について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、ユーザが設定した経路と、地図とを示す図である。そして、図14は、上記図13に示す地図の上に、地図データの最小単位(地図データを切り出す大きさの単位)を重ねて示すと共に、経路に沿って切り出す地図データの領域(斜線で示す)も示している。
【特許文献1】特許第2663003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、1つの案内経路が設定された場合に経路メモリに読み出されるデータ量は、その経路を含む地図データのブロック数で規定されることになり、それ以上にデータ量を削減することは想定していない。
例えば、図15に示すように、現在地から目的地Gまでの経路が比較的長い場合、地図データの最小単位をメッシュとし、1メッシュのデータ容量をnとする。そして、コリドメモリの容量S=15nであるとする。図15の場合、案内経路に沿って地図データを切り出すと19メッシュとなるので、総容量L1は、L1=19n(>S)となる。従って、このケースでは、案内経路に沿った全ての地図データを読み出すことができなくなる。
【0005】
また、1メッシュのデータ容量は地図データの内容に応じて異なる。例えば、都心部のように地図上の道路や施設が多くなりデータ密度が高い場合、1メッシュのデータ容量mが2nに相当するものとする。すると、図16に示すように、案内経路が短く11メッシュであったとしても、総容量L2は、L2=11m=22n(>S)となる。
【0006】
斯様な場合に対処するには、地図データの情報量を平均的に減らすことが考えられる。例えば、道路の形状に関するデータは残し、道路や交差点などの名称は切り出さないようにする。しかし、行き先を確定するような交差点については、道路や交差点などの名称を頼りにしたいのが通常であるため、運転者が安心して交差点での進行方向を選択できなくなるおそれがある。或いは、容量に応じて出発地及び/又は目的地近傍のエリアのみ地図データを切り出すことも考えられるが、その場合、経路案内が不完全になってしまうことは言うまでもない。
【0007】
また一般に、ナビゲーション装置には、例えば、ユーザが自らの意志により途中で目的地や経由地を変更したり、或いは道を間違えて案内経路よりそれてしまった場合には、案内経路を再検索する機能を有している。ところが、当初の案内経路に沿ってコリドメモリに読み出している地図データの容量が、極力小さく抑えた結果ぎりぎりの範囲であったとすると、周辺データの不足により再検索を行なうことができない場合も想定される。
また、ナビゲーションに使用される地図データについては、道路工事によって道路が新設,変更されたり、施設が撤去されたり立て替えられることがあるため、できるだけ最新のデータに更新することが好ましい。そこで、地図データを通信により各ナビゲーション装置に配信することで随時更新できるようにしたシステムも提供されている。この場合においても、配信に要する通信料をできるだけ抑制し、ナビゲーション装置側の記憶装置の容量を削減するには、配信する地図データの容量を極力小さくすることが望まれる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大容量記憶装置に記憶されている地図データの内一部のデータを小容量メモリに読み出して使用する場合に、小容量メモリの限られた容量で地図データを極力効率的に使用できるように読み出すことが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
また、本発明のもう1つの目的は、ナビゲーション装置が使用する地図データを配信するためのシステムにおいて、配信される地図データの容量をより削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置に、地図データの記憶形態が異なる複数の地図データベースを記憶する。そして、読出し制御部は、大容量記憶装置から案内経路に沿った地図データを小容量メモリに読み出す場合に、読出し効率が良好となる何れか1つの地図データベースを選択して読み出す。即ち、従来は、地図データベースが1つしかないことを前提として、地図データの一部をどのように読み出すかという問題に対処していたため、その読み出しの効率化に限界があった。これに対して本発明によれば、読出し制御部が、複数の地図データベースの中から、読出し効率が良好となる適切な記憶形態の地図データベースを選択して読み出すことで、小容量メモリの限られた容量で地図データを極力効率的に使用できるようになる。
【0010】
請求項2記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置に、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、最小読出し単位が基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを記憶する。そして、読出し制御部は、大容量記憶装置から地図データの一部を小容量メモリに読み出す場合、地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択する。
即ち、読出し制御部が、複数の地図データベースから、1つの最小読出し単位の地図上において案内経路の道路の一部がより長い距離に亘って分布しているものを適宜選択し、それらを全案内経路について統合すれば、小容量メモリに読み出す地図データの総容量がより小さくなる。従って、経路案内を行なうために読み出す必要がある地図データの容量を、確実に削減することが可能となる。
【0011】
請求項3記載のナビゲーション装置によれば、複数の地図データベースの内、最小読出し単位の配列方向が基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、傾き角度の設定を45度にする。一般に、地図上の道路は、最小読出し単位の配列方向に沿って延びているものが多く(例えば、東西方向,南北方向)、それ以外の方向に延びている様々な道路を想定すると、基準方向に対する傾き角が45度である地図データは、それらに対して最も中庸的な設定になると考えられる。従って、少なくとも傾き角が45度の地図データベースを備えていれば、大容量記憶装置に記憶される地図データベースの数が少ない場合でも、案内経路に沿って読み出す地図データの容量を効率的に削減できるものを選択することができる。
【0012】
請求項4記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位の容量が夫々異なる複数の地図データベースを記憶する。そして、読出し制御部は、小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと、小容量メモリの容量に収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択する。従って、小容量メモリの限られた容量の範囲で、案内経路に沿った地図データの情報量を最大にすることができ、小容量メモリを効率的に利用することができる。
【0013】
請求項5記載のナビゲーション装置によれば、読出し制御部は、案内経路を複数の区間に分割して各区間毎に選択を行なう。即ち、案内経路としての道路が延びる方向は、目的地に到達するまでの間様々に変化する。従って、1つの案内経路を、短い距離の区間に区切り、各区間について選択すべき地図データベースを判断すれば、読み出しを更に効率的に行なうことができる。
【0014】
請求項6記載の地図データ配信システムによれば、データ配信ホストは、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、最小読出し単位が基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを保持しており、地図データの一部をナビゲーション装置にダウンロードさせる場合、地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベースを選択する。従って、地図データをナビゲーション装置に配信させる場合のデータ容量を、請求項2と同様の作用により削減することができるので、データ配信コストを低下させると共に、データ配信時間を短くすることができる。また、ナビゲーション装置側の記憶装置の容量をより小さくすることも可能である。
【0015】
請求項7載の地図データ配信システムによれば、複数の地図データベースの内、最小読出し単位の配列方向が基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つの、傾き角度の設定を45度にする。従って、請求項3と同様の作用により、案内経路に沿って読み出し配信する地図データの容量を、効率的に削減可能となるものを選択することができる。
【0016】
請求項8載の地図データ配信システムによれば、データ配信ホストは、案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に選択を行なうので、請求項5と同様の作用によって、配信する地図データの容量を効率的に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図6を参照して説明する。図1は車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器(位置取得手段)2、操作スイッチ3、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)4a、リモコン4aからの信号を入力するリモコンセンサ4、通信装置(通信手段)5、VICS送受信機6、地図データ入力器(大容量記憶装置)7、表示装置8、音声入出力装置9、各種のデータを記憶するための外部メモリ10を備えている。また、これらを介して入力される情報やデータに応じて各種処理を実行すると共に、これらを制御する制御回路(読出し制御部)11を備えている。
【0018】
位置検出器2は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機2aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ2bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ2cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ2dとを備えている。そして、これら各センサ等2a〜2dは各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、また、その他ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0019】
ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ3としては、表示装置8と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置8の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置8とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。また、リモコン4aは、操作スイッチ3と同様に各種指示を入力するための操作端末である。
【0020】
通信装置5は、図示しない自動車電話機と接続され、インターネットに接続してネット上のサーバから情報を取得する機能を備える。VICS送受信機6は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム,登録商標)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報は制御回路11へ送られて処理される。
【0021】
地図データ入力器7は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
地図データ中の道路データは、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したもので、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば国道○号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x,y座標)とともに記憶されている。
【0022】
そして、本実施例の地図データ入力器7には、地図としての内容は同じであるが記憶形態が異なる地図データが2つ記憶されている。地図データベース12Aは一般的に使用されている地図であり、図2(a)に示すように、地図データを読み出すための最小単位であるメッシュが緯度線,経度線(基準方向)に沿って配列されている。これに対して、地図データベース12Bは、メッシュが、緯度線,経度線に対して45度傾いた方向に配列されている。そして、制御回路11は、後述するように、これら2つの地図データベース12A,12Bから地図データの一部を選択して読み出すようになっている。尚、一例として、メッシュは2km四方のエリアであり、1メッシュのデータ容量は数100kバイト程度である。また、地図データ入力器7の記憶容量は比較的大きいことから、同一内容の地図データを複数記憶するような冗長性を許容する余地が存在する。
【0023】
地図表示画面やTV画面等の各種表示を行なうための表示装置8は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置8の表示画面には、位置検出器2にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器7より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、前述した施設の案内情報に基づき施設のガイド等も表示できる。そして、音声入出力装置9は、図示しないマイクを介して入力される運転者などの音声を認識すると共に、地図データ入力器7より入力した施設のガイドや各種案内の音声や、通信装置5,VICS送受信機6を介して取得した情報の読み上げ音声を出力することができる。
【0024】
制御回路11は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器2からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出したり、地図データ入力器7を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置8に表示する地図表示処理を行なう。
【0025】
また、制御回路11は、地図データ入力器7に格納された地点データに基づき、操作スイッチ3やリモコン4a等の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行い、車両の運転中には経路案内処理を行なう。このように自動的に最適な経路を設定する手法としては、ダイクストラ法等の手法が知られている。
そして、制御回路11は、上記RAMの一部として割り当てられる領域であるコリドメモリ13を備えており、上記のように案内経路を計算すると、最初にその案内経路に沿った地図データを地図データ入力器7より読み出して、以降は、コリドメモリ(小容量メモリ)13に記憶されている地図データに基づいて経路案内を行なうコリド機能を有している。尚、コリドメモリ13の容量は、例えば数10Mバイト程度である。
【0026】
次に、本実施例の作用について図3乃至図6も参照して説明する。図3は、制御回路11によって行われるコリド機能を中心とする処理内容を示すフローチャートである。尚、図3のフローチャートを実行する前の段階で、ユーザによる目的地の設定や、案内経路の検索処理などは終了しているものとする。制御回路11は、先ず、ユーザの設定入力により、コリド機能の実行要求があるか否かを判断し(ステップS1)、コリド機能の実行要求が無ければ(「NO」)通常の地図である地図データベース12Aより、必要な部分の地図データを随時読み出しながら経路案内を行なうように設定する(ステップS9)。
【0027】
一方、ユーザがコリド機能の実行要求を設定すると(ステップS1,「YES」)、制御回路11は、検索した案内経路に沿った地図データを地図データベース12Aから切り出し(ステップS2)、続いて上記地図データを地図データベース12Bからも切り出す(ステップS3)。それから、何れの地図データベース12から切り出した方が「効率が良い」かを判断する(ステップS4)。
【0028】
ステップS4における比較判定の結果、地図データベース12A,12Bの何れか一方を採用すると(ステップS5,又はS6)、制御回路11は、採用した方の地図データベース12より切り出した地図データをコリドメモリ13にロードする(ステップS7)。そして、以降は、経路案内が終了するまで地図データ入力器7にはアクセスせず、コリドメモリ13から地図データを読み出しながら経路案内を行なうように設定する(ステップS8)。
【0029】
ここで、ステップS4における比較処理の詳細について、図4を参照して説明する。ステップS2,S3において地図データベース12A,12Bより夫々切り出した地図データの容量をLA,LBとする。制御回路11は、先ず、地図データ容量LA,LBが、何れもコリドメモリ13の容量Sを超えているか否かを判断する(ステップS11)。そして、容量LA,LBの何れか一方が容量S以下であれば(「NO」)、容量LA,LBの大小を比較し(ステップS12)、容量が小さい方の地図データベース12を選択する(ステップS13)。また、この時点でコリドメモリ13の空き容量に余裕があれば、その余っている領域を、他のアプリケーションが使用できるように開放する(ステップS14)。
一方、ステップS11において、容量LA,LBが、何れも容量Sを超えている場合は(「YES」)、容量Sに収まるように、案内経路の地図データの削減処理を地図データベース12A,12Bの夫々について行なう(ステップS15)。ここでの削減処理は、従来技術について図15及び図16を参照して説明したものと同様に行なう。そして、データの削減量がより少ない方の地図データベース12を選択する(ステップS16)。
【0030】
次に、ステップS12における、容量LA,LBの大小を比較する具体例について図5及び図6を参照して説明する。図5(a),(b)は、同一の案内経路について、地図データベース12A,12Bの夫々より切り出しを行なう場合を示す。この場合、(a)に示す地図データベース12Aで切り出すと15メッシュとなり、(b)に示す地図データベース12Bで切り出すと20メッシュとなるので、地図データベース12Aから地図データを切り出した方が容量が小さくなる。即ち、図5のケースでは、案内経路が緯度,経度に沿った方向に延びる道路で構成されているため、上記のような結果となっている。
【0031】
また、図6は案内経路が異なるパターンであり、この場合、(a)に示す地図データベース12Aで切り出すと18メッシュとなり、(b)に示す地図データベース12Bで切り出すと13メッシュとなるので、地図データベース12Bから地図データを切り出した方が容量が小さくなる。即ち、図6のケースでは、案内経路が緯度,経度に対して45度傾いた方向に延びる道路で構成されているため、上記のような結果となっている。
【0032】
以上のように本実施例によれば、地図データ入力器7に、地図データの最小読出し単位であるメッシュが緯度,経度方向に沿って配列されている地図データベース12Aと、メッシュが上記方向に対して45度傾いた方向に沿って配列されている地図データベース12Bとを記憶させ、制御回路11は、地図データ入力器7からコリドメモリ13に案内経路に沿った地図データを読み出す場合に、地図データの総容量が、地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択するようにした。従って、経路案内を行なうために読み出す必要がある地図データの容量を、従来よりも効果的に抑制することが可能となる。
【0033】
そして、地図データベース12Bについては、メッシュが緯度,経度方向に対して45度傾いた方向に沿って配列している。即ち、一般に、地図上の道路は、緯度,経度方向に沿ったメッシュの配列方向に沿って延びているものが多く、それ以外の方向に延びている様々な道路を想定すると、上記方向に対する傾き角が45度である地図データは、それらに対して最も中庸的な設定になると考えられる。従って、地図データ入力器7に記憶される地図データベース12が2つであっても、案内経路に沿って読み出す地図データの容量を効率的に削減可能であるものを選択することができる。
【0034】
(第2実施例)
図7及び図8は本発明の第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例の構成は基本的に第1実施例と同様であり、制御回路11によるソフトウエア的な処理内容が異なっている。図7は図3相当図であり、制御回路11は、ステップS1を実行すると、案内経路を複数区間に分割する(ステップS17)。また、ステップS2,S3に代わるステップS18,S19では、分割された区間の1つについて地図データベース12A,12Bより夫々切り出しを行なう。尚、第2実施例の場合、第1実施例の図4に示す比較処理は、ステップS12,S13の処理を1区間について行なうのみとする。
【0035】
そして、1つの区間について比較判定を行った結果、容量が小さい方の地図データベース12を採用すると(ステップS5,S6)、全区間について比較判定を行ったか否かを判断する(ステップS20)。全区間を比較してなければ(「NO」)ステップS18に戻り、残りの区間について比較する。一方、全区間について比較判定を完了すると(「YES」)図4に示すステップS11の判定を行い、「NO」であればステップS7に移行してコリドメモリ13に地図データをロードする。また、「YES」であればステップS15の処理を行なった後ステップS7に移行する。
【0036】
ここで、図8には、図7のフローチャートの実行結果の一例を示す。図8では、案内経路を2区間に分割した場合であり、前半の区間(1)については地図データベース12Bを選択し、後半の区間(2)については地図データベース12Aを選択している。即ち、案内経路の道路が延びる方向は目的地に到達するまでの間様々に変化するので、案内経路を複数の区間に分割し、夫々について容量の比較を行なうと、夫々の区間に適した地図データベース12を選択することが可能となる。
以上のように第2実施例によれば、制御回路11は、案内経路を2つの区間に分割して各区間毎にステップS4の比較判定を行なうようにしたので、各区間についてメッシュを選択すべき地図データベース12を判定すれば、地図データの読み出し容量を更に削減することが可能となる。
【0037】
(第3実施例)
図9及び図10は本発明の第3実施例を示すものである。第3実施例では、地図データ入力器7に記憶されている地図データベース12 Bに代えて、地図データベース12Cが記憶されている。図10に示すように、地図データベース12Aのメッシュは2km四方に設定されているのに対し、地図データベース12Cのメッシュは4km四方に設定されている。即ち、これらは1メッシュの容量が異なる(地図データの記憶形態が異なる)ように設定されている。
【0038】
また、第3実施例では、第1実施例における図4に示す処理内容が異なっている。即ち、ステップS11に代わるステップS21において、制御回路11は、地図データベース12A,12C夫々より切り出した地図データの容量LA,LCが、双方ともコリドメモリ13の容量Sを超えているか否かを判断し、「YES」と判断すると第1実施例と同様にステップS15,S16を実行する。
【0039】
そして、ステップS21において「NO」と判断すると、続いて、容量LA,LCの何れか一方が容量Sを超えているか否かを判断し(ステップS22)、「YES」と判断すると容量Sよりも小さい方の地図データベース12を選択する(ステップS23)。また、ステップS22において「NO」と判断すると、容量LA,LCの大小を比較し(ステップS24)、容量が大きい方の地図データベース12を選択する(ステップS25)。そして、コリドメモリ13の容量Sの容量に未だ余裕があれば、第1実施例と同様にステップS14を実行する。
【0040】
以上のように第3実施例によれば、地図データ入力器7に、地図データのメッシュの容量が夫々異なる2つの地図データベース12A,12Cを記憶し、制御回路11は、コリドメモリ13に読み出す地図データの総容量が、地図データベース12A,12Cの何れから読み出すと、コリドメモリ13の容量Sに収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択する。従って、コリドメモリ13の限られた容量の範囲で、案内経路に沿った地図データの情報量を最大にすることができ、コリドメモリ13を効率的に利用することができる。
【0041】
(第4実施例)
図11及び図12は本発明の第4実施例を示すものであり、図11は、地図データ配信システムの構成を示すものである。地図データ配信システムは、ナビゲーション装置21と、地図データ配信センタ(データ配信ホスト)22とで構成されている。ナビゲーション装置21は、必要に応じて地図データ配信センタ22より地図データの配信を受けて、その地図データをたとえばハードディスクドライブ(HDD)などの地図データ記憶装置23に書き込むと、その記憶装置23から地図データを読み出して経路計算や経路案内を行なうように構成されている。そして、制御回路11に代わる制御回路24は、上記各実施例とは異なりコリドメモリ13は備えていない。
【0042】
一方、地図データ配信センタ22は、第1実施例ではナビゲーション装置1が地図データ入力器7に備えていた2つの地図データベース12A,12Bが記憶されている記憶装置25を備えている。また、地図データ配信センタ22は、ナビゲーション装置21と、図示しない電話通信網を介して自動車電話(通信装置5)による無線通信を行なうための通信装置(通信手段)26も備えている。
そして、地図データ配信センタ22は、ナビゲーション装置21側より地図データの配信要求があると、第1実施例においてナビゲーション装置1の制御回路11が行っていた処理と同様に、地図データベース12A,12Bの何れを選択すると、配信する地図データの容量が小さくなるかを比較判定し、その結果選択した地図データベース12から読み出した地図データを、ナビゲーション装置21に配信する。すると、ナビゲーション装置21は、配信された地図データを通信装置5を介して受信して(ダウンロード)地図データ記憶装置23に記憶させる。
【0043】
また、図12(a),(b)は、地図データベース12A,12Bに夫々記憶されている配信対象の地図データの一例を示すものである。これらの地図データにおいて、若干太線で描かれているのが新規に開通した道路であり、その道路に沿って新たにできた施設も存在している。そして、新規開通した道路に沿う地図データのみを、ナビゲーション装置21に配信するものとする。
この場合も、地図データベース12A,12Bについて、夫々より切り出す地図データの総容量を比較すると、地図データベース12Aは11メッシュ、地図データベース12Bは16メッシュとなっているので、総容量が小さい地図データベース12Aより切り出された地図データが配信される。
【0044】
以上のように第4実施例によれば、地図データ配信センタ22は、第1実施例と同様の2つの地図データベース12A,12Bを記憶装置25に記憶しており、地図データの一部をナビゲーション装置21にダウンロードさせる場合、地図データの総容量が、2つの地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベース12を選択するようにした。従って、地図データをナビゲーション装置21に配信させる場合のデータ容量を、第1実施例と同様に削減することができるので、データ配信コストを低下させると共に、データ配信時間を短くすることができる。また、ナビゲーション装置21側の記憶装置23の容量をより小さくすることも可能である。
【0045】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
地図データベースは3つ以上あっても良く、基準方向たる緯度,経度に対する傾き角度は、45度以外であっても、例えば22.5度,30度,60度,67.5度に設定されているものでも良い。
第2実施例において、区間の分割数は「3」以上であっても良い。
第1実施例と第3実施例,第2実施例と第3実施例を組み合わせて実施しても良い。
第3実施例の方式では、案内経路の全体について一律にメッシュの大きさを選択せずとも、例えば、現在地付近や目的地付近のエリアについてのみメッシュを大きくしたり、或いは、ユーザの過去の走行記録から、走行頻度が比較的低い、若しくは走行したことがないエリアのメッシュを重点的に大きくするなどしても良い。
【0046】
第4実施例に第2実施例と同様の方式を適用しても良い。
また、第1乃至第3実施例以外に、複数の地図データベースから、読出し効率が良好となるものを選択するための判断基準としては、例えば以下のようなものが考えられる。
・案内経路が、切り出す地図データの領域内で、より中央に近い部分に分布し
ているものを選択する。
・案内経路に接続される主要な幹線道路がより多く含まれているものを選択する。
・案内経路沿いの主要施設がより多く含まれているものを選択する。
・海や山などが含まれている領域がより少ないものを選択する。
・人口密集地がより多く含まれているものを選択する。
これらの判断基準に基づいて地図データベースの選択を行えば、夫々の基準に応じて読出し効率が良好となるものを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例であり、車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている地図データメッシュの配列方向を示す図
【図3】ナビゲーション装置の制御回路によって行われる、コリド機能を中心とする処理内容を示すフローチャート
【図4】図3のステップS4における比較処理の詳細を示すフローチャート
【図5】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている同一の地図データを切り出す場合のデータ容量を示す図(その1)
【図6】図5相当図(その2)
【図7】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図8】案内経路を分割した区間夫々について、2つの地図データベースより読み出した地図データを合成した状態を示す図
【図9】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図10】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている地図データメッシュの大きさを示す図
【図11】本発明の第4実施例であり、地図データ配信システムの構成を示す機能ブロック図
【図12】図5相当図
【図13】従来技術を示す、地図データの切り出し方式を示す図(その1)
【図14】従来技術を示す、地図データの切り出し方式を示す図(その2)
【図15】地図データの切り出し方と、地図データの容量との関係を説明する図(その1)
【図16】図15相当図(その2)
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は車両用ナビゲーション装置、5は通信装置(通信手段)、7は地図データ入力器(大容量記憶装置)、11は制御回路(読出し制御部)、12A,12B,12Cは地図データベース、13はコリドメモリ(小容量メモリ)、21は車両用ナビゲーション装置、22は地図データ配信センタ(データ配信ホスト)、23は地図データ記憶装置、26は通信装置(通信手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置、及びナビゲーション装置が使用する地図データを配信するための配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用のナビゲーション装置においては、地図データがDVD(Digital Versatile Disk)やハードディスクなどの大容量の記憶装置に記憶される場合が多くなっている。また、最近のナビゲーション装置では、ナビゲーションを行なう処理に並行して、例えば映画などが記録されているDVDを再生し、再生画像をディスプレイに表示させて視聴したいというニーズに対応するため、所謂コリド(Corridor)機能を備えているものがある。
ここで、コリド機能とは、ナビゲーションを行なうために必要な、案内経路に沿った地図データだけを上記の記憶装置より予めメモリ(コリドメモリ)に読み出しておき、以降は、そのコリドメモリから地図データを読み出してナビゲーションを行なう機能である。従って、ナビゲーション装置のDVDドライブでは、地図データ以外のDVDを再生することが可能となる。また、地図データがハードディスクに記憶されている場合でも、再生中のDVDの画像や音声が途切れたりすることがなく、快適に視聴を行なうことができる。
【0003】
一般に、上記の記憶装置の容量はギガバイトオーダーであるのに対して、コリドメモリの容量は数十メガバイト程度であるため、その限られた容量のメモリに対して、必要なデータを如何にして効率良く読み出すかが課題となっている。例えば、特許文献1には、上記記憶装置に相当する地図メモリから、案内経路に係る地図データのブロックだけを切り出して、上記コリドメモリに相当する経路メモリに読み出すようにした技術が開示されている。
この地図データの切り出し方について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、ユーザが設定した経路と、地図とを示す図である。そして、図14は、上記図13に示す地図の上に、地図データの最小単位(地図データを切り出す大きさの単位)を重ねて示すと共に、経路に沿って切り出す地図データの領域(斜線で示す)も示している。
【特許文献1】特許第2663003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、1つの案内経路が設定された場合に経路メモリに読み出されるデータ量は、その経路を含む地図データのブロック数で規定されることになり、それ以上にデータ量を削減することは想定していない。
例えば、図15に示すように、現在地から目的地Gまでの経路が比較的長い場合、地図データの最小単位をメッシュとし、1メッシュのデータ容量をnとする。そして、コリドメモリの容量S=15nであるとする。図15の場合、案内経路に沿って地図データを切り出すと19メッシュとなるので、総容量L1は、L1=19n(>S)となる。従って、このケースでは、案内経路に沿った全ての地図データを読み出すことができなくなる。
【0005】
また、1メッシュのデータ容量は地図データの内容に応じて異なる。例えば、都心部のように地図上の道路や施設が多くなりデータ密度が高い場合、1メッシュのデータ容量mが2nに相当するものとする。すると、図16に示すように、案内経路が短く11メッシュであったとしても、総容量L2は、L2=11m=22n(>S)となる。
【0006】
斯様な場合に対処するには、地図データの情報量を平均的に減らすことが考えられる。例えば、道路の形状に関するデータは残し、道路や交差点などの名称は切り出さないようにする。しかし、行き先を確定するような交差点については、道路や交差点などの名称を頼りにしたいのが通常であるため、運転者が安心して交差点での進行方向を選択できなくなるおそれがある。或いは、容量に応じて出発地及び/又は目的地近傍のエリアのみ地図データを切り出すことも考えられるが、その場合、経路案内が不完全になってしまうことは言うまでもない。
【0007】
また一般に、ナビゲーション装置には、例えば、ユーザが自らの意志により途中で目的地や経由地を変更したり、或いは道を間違えて案内経路よりそれてしまった場合には、案内経路を再検索する機能を有している。ところが、当初の案内経路に沿ってコリドメモリに読み出している地図データの容量が、極力小さく抑えた結果ぎりぎりの範囲であったとすると、周辺データの不足により再検索を行なうことができない場合も想定される。
また、ナビゲーションに使用される地図データについては、道路工事によって道路が新設,変更されたり、施設が撤去されたり立て替えられることがあるため、できるだけ最新のデータに更新することが好ましい。そこで、地図データを通信により各ナビゲーション装置に配信することで随時更新できるようにしたシステムも提供されている。この場合においても、配信に要する通信料をできるだけ抑制し、ナビゲーション装置側の記憶装置の容量を削減するには、配信する地図データの容量を極力小さくすることが望まれる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大容量記憶装置に記憶されている地図データの内一部のデータを小容量メモリに読み出して使用する場合に、小容量メモリの限られた容量で地図データを極力効率的に使用できるように読み出すことが可能なナビゲーション装置を提供することにある。
また、本発明のもう1つの目的は、ナビゲーション装置が使用する地図データを配信するためのシステムにおいて、配信される地図データの容量をより削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置に、地図データの記憶形態が異なる複数の地図データベースを記憶する。そして、読出し制御部は、大容量記憶装置から案内経路に沿った地図データを小容量メモリに読み出す場合に、読出し効率が良好となる何れか1つの地図データベースを選択して読み出す。即ち、従来は、地図データベースが1つしかないことを前提として、地図データの一部をどのように読み出すかという問題に対処していたため、その読み出しの効率化に限界があった。これに対して本発明によれば、読出し制御部が、複数の地図データベースの中から、読出し効率が良好となる適切な記憶形態の地図データベースを選択して読み出すことで、小容量メモリの限られた容量で地図データを極力効率的に使用できるようになる。
【0010】
請求項2記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置に、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、最小読出し単位が基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを記憶する。そして、読出し制御部は、大容量記憶装置から地図データの一部を小容量メモリに読み出す場合、地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択する。
即ち、読出し制御部が、複数の地図データベースから、1つの最小読出し単位の地図上において案内経路の道路の一部がより長い距離に亘って分布しているものを適宜選択し、それらを全案内経路について統合すれば、小容量メモリに読み出す地図データの総容量がより小さくなる。従って、経路案内を行なうために読み出す必要がある地図データの容量を、確実に削減することが可能となる。
【0011】
請求項3記載のナビゲーション装置によれば、複数の地図データベースの内、最小読出し単位の配列方向が基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、傾き角度の設定を45度にする。一般に、地図上の道路は、最小読出し単位の配列方向に沿って延びているものが多く(例えば、東西方向,南北方向)、それ以外の方向に延びている様々な道路を想定すると、基準方向に対する傾き角が45度である地図データは、それらに対して最も中庸的な設定になると考えられる。従って、少なくとも傾き角が45度の地図データベースを備えていれば、大容量記憶装置に記憶される地図データベースの数が少ない場合でも、案内経路に沿って読み出す地図データの容量を効率的に削減できるものを選択することができる。
【0012】
請求項4記載のナビゲーション装置によれば、大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位の容量が夫々異なる複数の地図データベースを記憶する。そして、読出し制御部は、小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと、小容量メモリの容量に収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択する。従って、小容量メモリの限られた容量の範囲で、案内経路に沿った地図データの情報量を最大にすることができ、小容量メモリを効率的に利用することができる。
【0013】
請求項5記載のナビゲーション装置によれば、読出し制御部は、案内経路を複数の区間に分割して各区間毎に選択を行なう。即ち、案内経路としての道路が延びる方向は、目的地に到達するまでの間様々に変化する。従って、1つの案内経路を、短い距離の区間に区切り、各区間について選択すべき地図データベースを判断すれば、読み出しを更に効率的に行なうことができる。
【0014】
請求項6記載の地図データ配信システムによれば、データ配信ホストは、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、最小読出し単位が基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを保持しており、地図データの一部をナビゲーション装置にダウンロードさせる場合、地図データの総容量が、複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベースを選択する。従って、地図データをナビゲーション装置に配信させる場合のデータ容量を、請求項2と同様の作用により削減することができるので、データ配信コストを低下させると共に、データ配信時間を短くすることができる。また、ナビゲーション装置側の記憶装置の容量をより小さくすることも可能である。
【0015】
請求項7載の地図データ配信システムによれば、複数の地図データベースの内、最小読出し単位の配列方向が基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つの、傾き角度の設定を45度にする。従って、請求項3と同様の作用により、案内経路に沿って読み出し配信する地図データの容量を、効率的に削減可能となるものを選択することができる。
【0016】
請求項8載の地図データ配信システムによれば、データ配信ホストは、案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に選択を行なうので、請求項5と同様の作用によって、配信する地図データの容量を効率的に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図6を参照して説明する。図1は車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器(位置取得手段)2、操作スイッチ3、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)4a、リモコン4aからの信号を入力するリモコンセンサ4、通信装置(通信手段)5、VICS送受信機6、地図データ入力器(大容量記憶装置)7、表示装置8、音声入出力装置9、各種のデータを記憶するための外部メモリ10を備えている。また、これらを介して入力される情報やデータに応じて各種処理を実行すると共に、これらを制御する制御回路(読出し制御部)11を備えている。
【0018】
位置検出器2は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機2aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ2bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ2cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ2dとを備えている。そして、これら各センサ等2a〜2dは各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、また、その他ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0019】
ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ3としては、表示装置8と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置8の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置8とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。また、リモコン4aは、操作スイッチ3と同様に各種指示を入力するための操作端末である。
【0020】
通信装置5は、図示しない自動車電話機と接続され、インターネットに接続してネット上のサーバから情報を取得する機能を備える。VICS送受信機6は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム,登録商標)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報は制御回路11へ送られて処理される。
【0021】
地図データ入力器7は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
地図データ中の道路データは、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したもので、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば国道○号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x,y座標)とともに記憶されている。
【0022】
そして、本実施例の地図データ入力器7には、地図としての内容は同じであるが記憶形態が異なる地図データが2つ記憶されている。地図データベース12Aは一般的に使用されている地図であり、図2(a)に示すように、地図データを読み出すための最小単位であるメッシュが緯度線,経度線(基準方向)に沿って配列されている。これに対して、地図データベース12Bは、メッシュが、緯度線,経度線に対して45度傾いた方向に配列されている。そして、制御回路11は、後述するように、これら2つの地図データベース12A,12Bから地図データの一部を選択して読み出すようになっている。尚、一例として、メッシュは2km四方のエリアであり、1メッシュのデータ容量は数100kバイト程度である。また、地図データ入力器7の記憶容量は比較的大きいことから、同一内容の地図データを複数記憶するような冗長性を許容する余地が存在する。
【0023】
地図表示画面やTV画面等の各種表示を行なうための表示装置8は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置8の表示画面には、位置検出器2にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器7より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、前述した施設の案内情報に基づき施設のガイド等も表示できる。そして、音声入出力装置9は、図示しないマイクを介して入力される運転者などの音声を認識すると共に、地図データ入力器7より入力した施設のガイドや各種案内の音声や、通信装置5,VICS送受信機6を介して取得した情報の読み上げ音声を出力することができる。
【0024】
制御回路11は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器2からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出したり、地図データ入力器7を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置8に表示する地図表示処理を行なう。
【0025】
また、制御回路11は、地図データ入力器7に格納された地点データに基づき、操作スイッチ3やリモコン4a等の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行い、車両の運転中には経路案内処理を行なう。このように自動的に最適な経路を設定する手法としては、ダイクストラ法等の手法が知られている。
そして、制御回路11は、上記RAMの一部として割り当てられる領域であるコリドメモリ13を備えており、上記のように案内経路を計算すると、最初にその案内経路に沿った地図データを地図データ入力器7より読み出して、以降は、コリドメモリ(小容量メモリ)13に記憶されている地図データに基づいて経路案内を行なうコリド機能を有している。尚、コリドメモリ13の容量は、例えば数10Mバイト程度である。
【0026】
次に、本実施例の作用について図3乃至図6も参照して説明する。図3は、制御回路11によって行われるコリド機能を中心とする処理内容を示すフローチャートである。尚、図3のフローチャートを実行する前の段階で、ユーザによる目的地の設定や、案内経路の検索処理などは終了しているものとする。制御回路11は、先ず、ユーザの設定入力により、コリド機能の実行要求があるか否かを判断し(ステップS1)、コリド機能の実行要求が無ければ(「NO」)通常の地図である地図データベース12Aより、必要な部分の地図データを随時読み出しながら経路案内を行なうように設定する(ステップS9)。
【0027】
一方、ユーザがコリド機能の実行要求を設定すると(ステップS1,「YES」)、制御回路11は、検索した案内経路に沿った地図データを地図データベース12Aから切り出し(ステップS2)、続いて上記地図データを地図データベース12Bからも切り出す(ステップS3)。それから、何れの地図データベース12から切り出した方が「効率が良い」かを判断する(ステップS4)。
【0028】
ステップS4における比較判定の結果、地図データベース12A,12Bの何れか一方を採用すると(ステップS5,又はS6)、制御回路11は、採用した方の地図データベース12より切り出した地図データをコリドメモリ13にロードする(ステップS7)。そして、以降は、経路案内が終了するまで地図データ入力器7にはアクセスせず、コリドメモリ13から地図データを読み出しながら経路案内を行なうように設定する(ステップS8)。
【0029】
ここで、ステップS4における比較処理の詳細について、図4を参照して説明する。ステップS2,S3において地図データベース12A,12Bより夫々切り出した地図データの容量をLA,LBとする。制御回路11は、先ず、地図データ容量LA,LBが、何れもコリドメモリ13の容量Sを超えているか否かを判断する(ステップS11)。そして、容量LA,LBの何れか一方が容量S以下であれば(「NO」)、容量LA,LBの大小を比較し(ステップS12)、容量が小さい方の地図データベース12を選択する(ステップS13)。また、この時点でコリドメモリ13の空き容量に余裕があれば、その余っている領域を、他のアプリケーションが使用できるように開放する(ステップS14)。
一方、ステップS11において、容量LA,LBが、何れも容量Sを超えている場合は(「YES」)、容量Sに収まるように、案内経路の地図データの削減処理を地図データベース12A,12Bの夫々について行なう(ステップS15)。ここでの削減処理は、従来技術について図15及び図16を参照して説明したものと同様に行なう。そして、データの削減量がより少ない方の地図データベース12を選択する(ステップS16)。
【0030】
次に、ステップS12における、容量LA,LBの大小を比較する具体例について図5及び図6を参照して説明する。図5(a),(b)は、同一の案内経路について、地図データベース12A,12Bの夫々より切り出しを行なう場合を示す。この場合、(a)に示す地図データベース12Aで切り出すと15メッシュとなり、(b)に示す地図データベース12Bで切り出すと20メッシュとなるので、地図データベース12Aから地図データを切り出した方が容量が小さくなる。即ち、図5のケースでは、案内経路が緯度,経度に沿った方向に延びる道路で構成されているため、上記のような結果となっている。
【0031】
また、図6は案内経路が異なるパターンであり、この場合、(a)に示す地図データベース12Aで切り出すと18メッシュとなり、(b)に示す地図データベース12Bで切り出すと13メッシュとなるので、地図データベース12Bから地図データを切り出した方が容量が小さくなる。即ち、図6のケースでは、案内経路が緯度,経度に対して45度傾いた方向に延びる道路で構成されているため、上記のような結果となっている。
【0032】
以上のように本実施例によれば、地図データ入力器7に、地図データの最小読出し単位であるメッシュが緯度,経度方向に沿って配列されている地図データベース12Aと、メッシュが上記方向に対して45度傾いた方向に沿って配列されている地図データベース12Bとを記憶させ、制御回路11は、地図データ入力器7からコリドメモリ13に案内経路に沿った地図データを読み出す場合に、地図データの総容量が、地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択するようにした。従って、経路案内を行なうために読み出す必要がある地図データの容量を、従来よりも効果的に抑制することが可能となる。
【0033】
そして、地図データベース12Bについては、メッシュが緯度,経度方向に対して45度傾いた方向に沿って配列している。即ち、一般に、地図上の道路は、緯度,経度方向に沿ったメッシュの配列方向に沿って延びているものが多く、それ以外の方向に延びている様々な道路を想定すると、上記方向に対する傾き角が45度である地図データは、それらに対して最も中庸的な設定になると考えられる。従って、地図データ入力器7に記憶される地図データベース12が2つであっても、案内経路に沿って読み出す地図データの容量を効率的に削減可能であるものを選択することができる。
【0034】
(第2実施例)
図7及び図8は本発明の第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例の構成は基本的に第1実施例と同様であり、制御回路11によるソフトウエア的な処理内容が異なっている。図7は図3相当図であり、制御回路11は、ステップS1を実行すると、案内経路を複数区間に分割する(ステップS17)。また、ステップS2,S3に代わるステップS18,S19では、分割された区間の1つについて地図データベース12A,12Bより夫々切り出しを行なう。尚、第2実施例の場合、第1実施例の図4に示す比較処理は、ステップS12,S13の処理を1区間について行なうのみとする。
【0035】
そして、1つの区間について比較判定を行った結果、容量が小さい方の地図データベース12を採用すると(ステップS5,S6)、全区間について比較判定を行ったか否かを判断する(ステップS20)。全区間を比較してなければ(「NO」)ステップS18に戻り、残りの区間について比較する。一方、全区間について比較判定を完了すると(「YES」)図4に示すステップS11の判定を行い、「NO」であればステップS7に移行してコリドメモリ13に地図データをロードする。また、「YES」であればステップS15の処理を行なった後ステップS7に移行する。
【0036】
ここで、図8には、図7のフローチャートの実行結果の一例を示す。図8では、案内経路を2区間に分割した場合であり、前半の区間(1)については地図データベース12Bを選択し、後半の区間(2)については地図データベース12Aを選択している。即ち、案内経路の道路が延びる方向は目的地に到達するまでの間様々に変化するので、案内経路を複数の区間に分割し、夫々について容量の比較を行なうと、夫々の区間に適した地図データベース12を選択することが可能となる。
以上のように第2実施例によれば、制御回路11は、案内経路を2つの区間に分割して各区間毎にステップS4の比較判定を行なうようにしたので、各区間についてメッシュを選択すべき地図データベース12を判定すれば、地図データの読み出し容量を更に削減することが可能となる。
【0037】
(第3実施例)
図9及び図10は本発明の第3実施例を示すものである。第3実施例では、地図データ入力器7に記憶されている地図データベース12 Bに代えて、地図データベース12Cが記憶されている。図10に示すように、地図データベース12Aのメッシュは2km四方に設定されているのに対し、地図データベース12Cのメッシュは4km四方に設定されている。即ち、これらは1メッシュの容量が異なる(地図データの記憶形態が異なる)ように設定されている。
【0038】
また、第3実施例では、第1実施例における図4に示す処理内容が異なっている。即ち、ステップS11に代わるステップS21において、制御回路11は、地図データベース12A,12C夫々より切り出した地図データの容量LA,LCが、双方ともコリドメモリ13の容量Sを超えているか否かを判断し、「YES」と判断すると第1実施例と同様にステップS15,S16を実行する。
【0039】
そして、ステップS21において「NO」と判断すると、続いて、容量LA,LCの何れか一方が容量Sを超えているか否かを判断し(ステップS22)、「YES」と判断すると容量Sよりも小さい方の地図データベース12を選択する(ステップS23)。また、ステップS22において「NO」と判断すると、容量LA,LCの大小を比較し(ステップS24)、容量が大きい方の地図データベース12を選択する(ステップS25)。そして、コリドメモリ13の容量Sの容量に未だ余裕があれば、第1実施例と同様にステップS14を実行する。
【0040】
以上のように第3実施例によれば、地図データ入力器7に、地図データのメッシュの容量が夫々異なる2つの地図データベース12A,12Cを記憶し、制御回路11は、コリドメモリ13に読み出す地図データの総容量が、地図データベース12A,12Cの何れから読み出すと、コリドメモリ13の容量Sに収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベース12を選択する。従って、コリドメモリ13の限られた容量の範囲で、案内経路に沿った地図データの情報量を最大にすることができ、コリドメモリ13を効率的に利用することができる。
【0041】
(第4実施例)
図11及び図12は本発明の第4実施例を示すものであり、図11は、地図データ配信システムの構成を示すものである。地図データ配信システムは、ナビゲーション装置21と、地図データ配信センタ(データ配信ホスト)22とで構成されている。ナビゲーション装置21は、必要に応じて地図データ配信センタ22より地図データの配信を受けて、その地図データをたとえばハードディスクドライブ(HDD)などの地図データ記憶装置23に書き込むと、その記憶装置23から地図データを読み出して経路計算や経路案内を行なうように構成されている。そして、制御回路11に代わる制御回路24は、上記各実施例とは異なりコリドメモリ13は備えていない。
【0042】
一方、地図データ配信センタ22は、第1実施例ではナビゲーション装置1が地図データ入力器7に備えていた2つの地図データベース12A,12Bが記憶されている記憶装置25を備えている。また、地図データ配信センタ22は、ナビゲーション装置21と、図示しない電話通信網を介して自動車電話(通信装置5)による無線通信を行なうための通信装置(通信手段)26も備えている。
そして、地図データ配信センタ22は、ナビゲーション装置21側より地図データの配信要求があると、第1実施例においてナビゲーション装置1の制御回路11が行っていた処理と同様に、地図データベース12A,12Bの何れを選択すると、配信する地図データの容量が小さくなるかを比較判定し、その結果選択した地図データベース12から読み出した地図データを、ナビゲーション装置21に配信する。すると、ナビゲーション装置21は、配信された地図データを通信装置5を介して受信して(ダウンロード)地図データ記憶装置23に記憶させる。
【0043】
また、図12(a),(b)は、地図データベース12A,12Bに夫々記憶されている配信対象の地図データの一例を示すものである。これらの地図データにおいて、若干太線で描かれているのが新規に開通した道路であり、その道路に沿って新たにできた施設も存在している。そして、新規開通した道路に沿う地図データのみを、ナビゲーション装置21に配信するものとする。
この場合も、地図データベース12A,12Bについて、夫々より切り出す地図データの総容量を比較すると、地図データベース12Aは11メッシュ、地図データベース12Bは16メッシュとなっているので、総容量が小さい地図データベース12Aより切り出された地図データが配信される。
【0044】
以上のように第4実施例によれば、地図データ配信センタ22は、第1実施例と同様の2つの地図データベース12A,12Bを記憶装置25に記憶しており、地図データの一部をナビゲーション装置21にダウンロードさせる場合、地図データの総容量が、2つの地図データベース12A,12Bの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベース12を選択するようにした。従って、地図データをナビゲーション装置21に配信させる場合のデータ容量を、第1実施例と同様に削減することができるので、データ配信コストを低下させると共に、データ配信時間を短くすることができる。また、ナビゲーション装置21側の記憶装置23の容量をより小さくすることも可能である。
【0045】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
地図データベースは3つ以上あっても良く、基準方向たる緯度,経度に対する傾き角度は、45度以外であっても、例えば22.5度,30度,60度,67.5度に設定されているものでも良い。
第2実施例において、区間の分割数は「3」以上であっても良い。
第1実施例と第3実施例,第2実施例と第3実施例を組み合わせて実施しても良い。
第3実施例の方式では、案内経路の全体について一律にメッシュの大きさを選択せずとも、例えば、現在地付近や目的地付近のエリアについてのみメッシュを大きくしたり、或いは、ユーザの過去の走行記録から、走行頻度が比較的低い、若しくは走行したことがないエリアのメッシュを重点的に大きくするなどしても良い。
【0046】
第4実施例に第2実施例と同様の方式を適用しても良い。
また、第1乃至第3実施例以外に、複数の地図データベースから、読出し効率が良好となるものを選択するための判断基準としては、例えば以下のようなものが考えられる。
・案内経路が、切り出す地図データの領域内で、より中央に近い部分に分布し
ているものを選択する。
・案内経路に接続される主要な幹線道路がより多く含まれているものを選択する。
・案内経路沿いの主要施設がより多く含まれているものを選択する。
・海や山などが含まれている領域がより少ないものを選択する。
・人口密集地がより多く含まれているものを選択する。
これらの判断基準に基づいて地図データベースの選択を行えば、夫々の基準に応じて読出し効率が良好となるものを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例であり、車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている地図データメッシュの配列方向を示す図
【図3】ナビゲーション装置の制御回路によって行われる、コリド機能を中心とする処理内容を示すフローチャート
【図4】図3のステップS4における比較処理の詳細を示すフローチャート
【図5】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている同一の地図データを切り出す場合のデータ容量を示す図(その1)
【図6】図5相当図(その2)
【図7】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図8】案内経路を分割した区間夫々について、2つの地図データベースより読み出した地図データを合成した状態を示す図
【図9】本発明の第3実施例を示す図4相当図
【図10】(a),(b)は、2つの地図データベースに夫々記憶されている地図データメッシュの大きさを示す図
【図11】本発明の第4実施例であり、地図データ配信システムの構成を示す機能ブロック図
【図12】図5相当図
【図13】従来技術を示す、地図データの切り出し方式を示す図(その1)
【図14】従来技術を示す、地図データの切り出し方式を示す図(その2)
【図15】地図データの切り出し方と、地図データの容量との関係を説明する図(その1)
【図16】図15相当図(その2)
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は車両用ナビゲーション装置、5は通信装置(通信手段)、7は地図データ入力器(大容量記憶装置)、11は制御回路(読出し制御部)、12A,12B,12Cは地図データベース、13はコリドメモリ(小容量メモリ)、21は車両用ナビゲーション装置、22は地図データ配信センタ(データ配信ホスト)、23は地図データ記憶装置、26は通信装置(通信手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データが記録されている大容量記憶装置を備え、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、前記大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置において、
前記大容量記憶装置には、地図データの記憶形態が異なる複数の地図データベースが記憶されており、
前記大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータが読み出されて記憶される小容量メモリと、
前記大容量記憶装置から前記案内経路に沿った地図データを前記小容量メモリに読み出す場合に、読み出し効率が良好となる何れか1つの地図データベースを選択して読み出す読出し制御部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、前記最小読出し単位が前記基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとが記憶されており、
前記読出し制御部は、前記小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記複数の地図データベースの内、前記最小読出し単位の配列方向が前記基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、前記傾き角度が45度に設定されていることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位の容量が夫々異なる複数の地図データベースが記憶されており、
前記読出し制御部は、前記小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと、前記小容量メモリの容量に収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記読出し制御部は、前記案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に前記選択を行なうことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
外部と通信を行なうための通信手段と、地図データが記録される記憶装置とを備え、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、前記記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置と、
自身が保持している地図データの一部を、通信手段を介して前記ナビゲーション装置にダウンロードさせるデータ配信ホストとで構成される地図データ配信システムにおいて、
前記データ配信ホストは、
地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、前記最小読出し単位が前記基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを保持しており、
前記地図データの一部を、前記ナビゲーション装置にダウンロードさせる場合に、地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベースを選択することを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項7】
前記複数の地図データベースの内、前記最小読出し単位の配列方向が前記基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、前記傾き角度が45度に設定されていることを特徴とする請求項6記載の地図データ配信システム。
【請求項8】
前記データ配信ホストは、前記案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に前記選択を行なうことを特徴とする請求項6又は7記載の地図データ配信システム。
【請求項1】
地図データが記録されている大容量記憶装置を備え、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、前記大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置において、
前記大容量記憶装置には、地図データの記憶形態が異なる複数の地図データベースが記憶されており、
前記大容量記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータが読み出されて記憶される小容量メモリと、
前記大容量記憶装置から前記案内経路に沿った地図データを前記小容量メモリに読み出す場合に、読み出し効率が良好となる何れか1つの地図データベースを選択して読み出す読出し制御部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、前記最小読出し単位が前記基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとが記憶されており、
前記読出し制御部は、前記小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記複数の地図データベースの内、前記最小読出し単位の配列方向が前記基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、前記傾き角度が45度に設定されていることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記大容量記憶装置には、地図データの最小読出し単位の容量が夫々異なる複数の地図データベースが記憶されており、
前記読出し制御部は、前記小容量メモリに読み出す地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと、前記小容量メモリの容量に収まる範囲内で最大となるかを判断し、その判断結果に従って読み出し元とする地図データベースを選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記読出し制御部は、前記案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に前記選択を行なうことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
外部と通信を行なうための通信手段と、地図データが記録される記憶装置とを備え、目的地までの案内経路についてナビゲーションを行なうため、前記記憶装置に記憶されている地図データの内、一部のデータを読み出して使用するナビゲーション装置と、
自身が保持している地図データの一部を、通信手段を介して前記ナビゲーション装置にダウンロードさせるデータ配信ホストとで構成される地図データ配信システムにおいて、
前記データ配信ホストは、
地図データの最小読出し単位が基準方向に沿って配列されている地図データベースと、前記最小読出し単位が前記基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に沿って配列されている1つ以上の地図データベースとを保持しており、
前記地図データの一部を、前記ナビゲーション装置にダウンロードさせる場合に、地図データの総容量が、前記複数の地図データベースの何れから読み出すと小さくなるかを判断し、その判断結果に従ってダウンロード元とする地図データベースを選択することを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項7】
前記複数の地図データベースの内、前記最小読出し単位の配列方向が前記基準方向に対して傾いている地図データベースの少なくとも1つは、前記傾き角度が45度に設定されていることを特徴とする請求項6記載の地図データ配信システム。
【請求項8】
前記データ配信ホストは、前記案内経路を複数の区間に分割し、各区間毎に前記選択を行なうことを特徴とする請求項6又は7記載の地図データ配信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−85768(P2007−85768A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272097(P2005−272097)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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