説明

ナビゲーション装置及び経路案内方法

【課題】ユーザに不安感を与えないように目的地までの経路を案内する「ナビゲーション装置及び経路案内方法」を提供する。
【解決手段】今回設定された誘導経路(b1)の過去の誘導経路(a1)で経由した二地点間の区間N7-S1うちの、過去の誘導経路(a1)と重ならない部分503を第2の表示色で描画し、他部分501、502を第1の表示色で描画する。また、過去の誘導経路(a1)のうちの、今回設定された誘導経路(b1)の第2の表示色で描画した部分で代替された部分503を参考ルート図形3031として第3の表示色で描画する(b3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されるナビゲーション装置において、目的地までの経路を案内する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるナビゲーション装置において、目的地までの経路を案内する技術としては、出発地から目的地に至る最小コストの経路を誘導経路として探索し、地図上に現在位置と誘導経路を表した画像を表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10-239079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、渋滞などの交通状況を考慮して誘導経路を探索する場合に、同じ出発地と目的地との組み合わせに対して、そのときどきの交通状況に応じて異なる経路が誘導経路として探索されることがある。また、第1地点から第2地点に至る誘導経路と、その後、第2地点から第1地点に戻る誘導経路、すなわち、往路と復路についても、そのときどきの交通状況に応じて、同じ経路を逆方向に辿る経路ではない経路が探索されることがある。また、一方通行道路や、上り下りの道路が分離している道路区間が誘導経路中に含まれる場合にも、往路と復路について、同じ経路を逆方向に辿る経路ではない経路が探索されることになる。
【0004】
一方、ある出発地からある目的地に至る誘導経路として、過去に当該出発地から当該目的地に走行したときに設定された誘導経路と異なる誘導経路が設定されたり、往路と復路で、同じ経路を逆方向に辿る経路ではない誘導経路が設定されると、ユーザが予想する経路と、設定された誘導経路が異なることになるため、ユーザが不安感を感じることがある。
【0005】
たとえば、誘導経路に従って走行した往路で通っていない道に、復路において誘導経路に従って進行した場合など、ユーザは、本当に現在走行中の道で経路が間違っていないのか不安になる場合がある。
そこで、本発明は、ユーザに不安感を与えないように、目的地までの経路を案内することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載されるナビゲーション装置に、現在位置を算定する現在位置算定手段と、目的地に至る経路を誘導経路として設定する誘導経路設定手段と、現在位置周辺の地図上に、現在位置と前記誘導経路とを描画した経路案内画像を表示する経路案内手段と、過去に走行された誘導経路の経路を表す誘導履歴データを保持する誘導履歴保持手段とを備え、前記経路案内手段において、前記誘導経路上の二地点を含む経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路において前記二地点間の経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画するようにしたものである。
【0007】
このようなナビゲーション装置によれば、今回の誘導経路上の二地点を通る過去の誘導経路で当該二地点間の経路として用いていない道路区間に、今回の誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該道路区間を明示することにより、前記二地点間の経路として、今回は該道路区間において過去と異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該道路区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。
【0008】
ここで、このようなナビゲーション装置は、前記経路案内手段において、前記誘導経路の出発地と目的地とを前記二地点とし、前記誘導経路の出発地を目的地とし、前記誘導経路の目的地を出発地とする経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画するように構成してもよい。
【0009】
このようにすることにより、誘導経路に従って走行した往路で通っていない道路区間に、復路において誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該道路区間を明示することにより、当該道路区間において、復路は往路と異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該道路区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。
【0010】
また、このようなナビゲーション装置は、前記経路案内手段において、前記誘導経路の出発地と目的地とを前記二地点とし、前記誘導経路と出発地を出発地とし、前記誘導経路の目的地を目的地とする経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画するように構成してもよい。
【0011】
このようにすることにより、今回の誘導経路と同じ出発地と目的地を有する過去の誘導経路で用いていない道路区間に、今回の誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該道路区間を明示することにより、当該道路区間において、今回は過去と異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該道路区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。
【0012】
なお、以上のナビゲーション装置は、前記経路案内手段において、前記誘導経路の前記検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を、前記誘導経路の前記検出した共通の部分に相当する誘導経路上の区間と、異なる形態で前記地図上に描画するように構成してもよい。また、以上のナビゲーション装置は、前記経路案内手段において、前記誘導経路の前記検出した共通でない部分と、前記誘導経路の前記検出した共通の部分との境界を示す図形を前記地図上に描画するように構成することもできる。
【0013】
また、以上のナビゲーション装置は、前記経路案内手段において、前記存在した誘導履歴データが示す経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間の、前記誘導経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間と共通でない部分を、前記地図上に描画するように構成することも好ましい。
【0014】
このようにすることにより、今回の誘導経路上の二地点を通る過去の誘導経路で当該二地点間の経路として用いていない道路区間に、今回の誘導経路によって誘導する場合に、ユーザは、当該道路区間と、当該道路区間で代替される過去の誘導経路上の道路区間との関係についても把握できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、ユーザに不安感を与えないように、目的地までの経路を案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示す。
ナビゲーションシステムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、ナビゲーション装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両状態センサ4と、GPS受信機5と、交通情報受信機6を備えて構成される。ここで、車両状態センサ4は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの各種車両状態を検出する各種センサである。また、交通情報受信機6は、VICS受信機などの、渋滞、事故、規制などの交通情報を受信する受信機である。
【0017】
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したHDDなどの記憶装置11、現在状態算出部12、操作部2や表示装置3を用いたユーザとの間の入出力を制御するGUI制御部13、ルート探索部14、メモリ15、制御部16、案内画像生成部17とを有する。
【0018】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0019】
次に、図2aに、記憶装置11に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、地図データのバージョン等を記述した管理データ、路線データ、地図を表す基本地図データとを含んで構成される。
そして、路線データは、各道路毎に設けられた路線レコードを有し、各路線レコードには、道路の識別子である路線番号や、各道路の高速道路、国道、県道などの路線種別や、各道路の路線名称が記述される。
そして、基本地図データは、道路ネットワークを表す道路ユニットと、地図に含まれる道路以外の描画オブジェクト(地名や地形図形等)を表す描画ユニットとを有する。
ここで、道路網データでは、交差点を表すノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路網を定義している。
そして、道路ユニットは、ノード毎に設けられたノードデータと、リンク毎に設けられたリンクデータとを有する。
また、各ノードデータには、対応するノードの識別子となるノード番号、対応するノードの属する路線の路線番号を示す所属路線番号、対応するノードの各種属性を表すノード属性、対応するノードが主要な交差点に対応するノードであるかどうかを表す主要ノード有無、対応するノードの位置を表すノード座標、ノード接続情報とを含み、ノード接続情報には、対応するノードに接続するリンクのリンク番号を表す接続リンク番号と、対応するノードに一本のリンクを介して接続する他のノードのノード番号を表す接続ノード番号が登録される。
【0020】
また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子となるリンク番号、対応するリンクの属する路線の路線番号を示す所属路線番号、対応するリンクの各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの端点となる二つノードのノード番号を表す第1端点ノードと第2端点ノード、第1端点ノードまたは第2端点ノードで示されるノードに接続する他のリンクのリンク番号を表すリンク接続情報が登録される。
【0021】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、車両状態センサ4やGPS受信機5の出力から推定される現在位置に対して、記憶装置11から読み出した地図データが示す前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ15に設定する。
【0022】
また、制御部16は、ユーザから操作部2、GUI制御部13を介して目的地の設定を受付け、これをメモリ15にセットする。そして、目的地までの誘導経路をルート探索部14に探索させる。ルート探索部14は、必要地理的範囲の地図データを記憶装置11から読み出し、メモリ15に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、交通情報受信機6が受信した交通情報を考慮に加えつつ、距離最小、時間最小などの複数のコストモデルの各々に基づいて探索し、探索した経路を誘導経路とし、誘導経路の経路データを、メモリ15にセットする。
【0023】
また、制御部16は、メモリ15にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ15にセットされている目的地をクリアし、誘導経路の経路データを誘導履歴データとして記憶装置11に保存した上で、誘導経路の経路データをクリアする。
【0024】
図2bに、このようにして記憶装置11に保存される誘導履歴データを示す。
図示するように、誘導履歴データには、誘導履歴データの保存日時と、経路データが表す出発地の座標と、誘導経路上の各ノードのノード番号#xxxnnnと、目的地の座標とが登録されている。ここで、誘導経路上の各ノードのノード番号は、誘導経路上の順序に従って、より出発地に近い順に登録される。
【0025】
なお、誘導履歴データに登録する誘導経路上の各ノードのノード番号としては、誘導経路上の主要ノードのノード番号のみを登録してもよい。主要ノードとは、主要な交差点に対応するノードであり、このようなノードであるかどうかは、ノードデータの主要ノード有無より判定することができる。
【0026】
さて、制御部16は、定期的に、地図表示範囲を算出し、算出した地図表示範囲と設定されている表示地図縮尺による案内画像の表示装置3への表示を案内画像生成部17に要求する処理を繰り返し行う。地図表示範囲の算出は、当該地図表示範囲がメモリ15にセットされた現在位置周辺の範囲となり、当該地図表示範囲を設定されている表示地図縮尺で表した地図のサイズが、表示装置3の表示画面のサイズに適合するサイズとなるように、地図表示範囲を算定することにより行う。
【0027】
さて、このようにして制御部16から、案内画像の表示を要求された案内画像生成部17は、地図データの描画ユニットが示す地図表示範囲内の描画オブジェクト(地名や地形図形等)と、地図データの道路ユニットのリンクデータが示す地図表示範囲内のリンクを表示地図縮尺で描画して、表示装置3の表示画面のサイズの地図画像を生成する。
【0028】
また、案内画像生成部17は、描画した地図画像上に、メモリ15にセットされている現在位置を示す現在位置マークを描画し、案内画像としてGUI制御部13を介して表示装置3に表示する。また、案内画像生成部17は、誘導経路が設定されている場合には、表示装置3に表示する案内画像中に、後述する誘導経路描画処理によって地図画像上で示すルート図形を描画する。また、地図表示範囲内に目的地が含まれている場合には、表示装置3に表示する案内画像中に目的地を示す目的地マークの描画も行う。
【0029】
図3aは、このようにして表示装置3の表示画面上に表示される案内画像の例を示すものであり、図示するように、案内画像は、地図表示範囲内の地図を表す地図画像301上に、現在位置を表す現在位置マーク302と、地図表示範囲内の誘導経路を表すルート図形303と、目的地を表す目的地マーク304が表されたものとなる。
【0030】
さて、図示するように、案内画像生成部17が表示するルート図形303は、区間毎に異なる表示色で表示される場合があり、誘導経路外の経路を表す参考ルート図形3031が付加される場合がある。
以下、このようなルート図形303を描画するために行う案内画像生成部17の誘導経路描画処理について説明する。
図4に、この誘導経路描画処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、メモリ15に設定されている誘導経路の経路データを参照し、誘導経路の出発地と、誘導経路上の各ノードと、誘導経路の目的地とを、経由ポイントとして抽出する(ステップ402)。ただし、誘導履歴データに出発地と目的地と共に主要ノードのノード番号のみを登録している場合には、経由ポイントとして抽出する誘導経路上のノードは、誘導経路上の主要ノードのみとする。
【0031】
そして、二つの経由ポイントの組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる二つの経由ポイントの双方が登録された誘導履歴データが存在する組み合わせのうちの、二つの経由ポイント間の誘導経路に沿った道程距離が最も大きい組み合わせを探索する(ステップ404)。ここで、経由ポイントが出発地または目的地である場合には、当該出発地または目的地の座標またはその周辺の座標が、出発地もしくは目的地の座標として誘導履歴データに登録されているか、当該出発地の座標またはその周辺の座標を有するノードが誘導履歴データに登録されている場合に当該経由ポイントが誘導履歴データに登録されているものとする。
【0032】
そして、探索に失敗した場合(ステップ406)、すなわち、二つの経由ポイントの組み合わせのうちに、当該組み合わせに含まれる二つの経由ポイントの双方が登録された誘導履歴データが存在する組み合わせが存在しなかった場合に、誘導経路の全てを予め定めた第1表示色で描画してルート図形303とし(ステップ420)、処理を終了する。
【0033】
一方、探索に成功した場合は、探索した組み合わせに含まれる二つの経由ポイントのうちの、出発地側の経由ポイントを第1ポイント、目的地側のポイントを第2ポイントに設定する。また、探索した組み合わせに含まれる二つの経由ポイントが登録されていた誘導履歴データを対象誘導履歴データに設定する(ステップ408)。ここで、探索した組み合わせに含まれる二つの経由ポイントが登録されている誘導履歴データが複数ある場合には、最も保存日時が最近のものを対象誘導履歴データに設定する。
【0034】
そして、誘導経路の第1ポイントと第2ポイント間の経路を、対象誘導履歴の第1ポイントと第2ポイント間の経路と重なる部分である共通区間と、対象誘導履歴の第1ポイントと第2ポイント間の経路と重ならない部分である非共通区間に区分けし、非共通区間を第1種区間に、共通区間を第2種区間に設定する(ステップ410)。
【0035】
また、誘導経路の出発地が第1ポイントと異なる場合には、誘導経路の出発地と第1ポイントの間の区間を第1種区間に設定する。また、誘導経路の目的地が第2ポイントと異なる場合には、誘導経路の第2ポイントと目的地との間の区間を第1種区間に設定する(ステップ412)。
【0036】
また、対象誘導履歴データの第1ポイントと第2ポイント間の経路の、誘導経路の第1ポイントと第2ポイント間の経路と重ならない部分を非共通区間として抽出し、抽出した非共通区間を第3種区間に設定する(ステップ414)。
なお、ステップ410、414において、対象誘導履歴データにおいて、第1ポイントが第2ポイントよりも目的地側のノードまたは目的地として登録されている場合には、対象誘導履歴データが示す第2ポイントから第1ポイントに向かう経路を逆に辿る経路を、対象誘導履歴の第1ポイントと第2ポイント間の経路とする。
【0037】
そして、誘導経路の第1種区間を第1表示色で描画し、第2種区間を第2表示色で描画してルート図形303とする(ステップ416)。
また、対象誘導履歴データが示す経路上の第3種区間を第3表示色で参考ルート図形3031として描画する(ステップ418)。
そして、処理を終了する。
以上、案内画像生成部17の行う誘導経路描画処理について説明した。
以下、このような誘導経路描画処理の処理例を図5に示す。
いま、過去に、a1のように、地点s1を出発地、地点s2を目的地とし、ノードN1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8を順次経由して、s1からs2に至る誘導経路が設定されたものとする。
この場合、このa1の誘導経路に沿った走行が行われると、記憶装置11には、a2に示すように、s1-N1-N2-N3-N4-N5-N6-N7-N8-s2と辿る経路を表す誘導履歴データが保存される。
そして、a2に示す経路を表す誘導履歴データが保存された後に、b1に示すように、地点s3を出発地、地点s1を目的地として、N11、N7、N6、N5、N12、N4、N3、N2、N1を順次経由して、s3からs1に至る誘導経路が設定された場合、経由ポイントとしてs3、N11、N7、N6、N5、N12、N4、N3、N2、N1、s1が抽出される(ステップ402)。
【0038】
そして、a2に示す誘導履歴データに双方が含まれる二つの経由ポイントの組み合わせのうちの、二つの経由ポイント間のb1に示す誘導経路に沿った道程距離が最大となる組み合わせは、N7とs1となるので、b1に示す誘導経路の出発地s1側のN7が第1ポイント、目的地側のs1が第2ポイントとして選定される(ステップ406、408)。
【0039】
そして、b2に示すように、b1に示す誘導経路の第1ポイントN7-第2ポイントs1間の区間のうち、a2に示す誘導履歴データが示す経路と重ならない部分N5-N12-N4の区間が第2種区間に、残る区間N7-N5、N4-s1が第1種区間に設定される(ステップ410)。
【0040】
また、b1に示す誘導経路の出発地s3は第1ポイントN7と異なるので、出発地s3から第1ポイントN7までの区間も第1種区間に設定される(ステップ412)。
一方、b2に示すように、a2に示す誘導履歴データが示す経路の第1ポイントN7-第2ポイントs1間の区間のうち、b1に示す誘導経路と重ならない部分N5-N4が第3種区間に設定される(ステップ414)。
そして、b3に示すように、誘導経路を表すルート図形303の第1種区間とされた部分s3-N5の部分501と、N4-s1の部分502が第1の表示色で描画され、誘導経路を表すルート図形303の第2種区間とされたN5-N12-N4の部分503が第2の表示色で描画される(ステップ416)。
【0041】
また、誘導履歴データが示す経路の第3種区間とされたN5-N4の部分が参考ルート図形3031として第3の表示色で描画されることになる(ステップ418)。
このように描画されたルート図形303によれば、ユーザが過去の誘導経路に従って走行した道路区間を逆方向に辿る経路を代替する経路に用いる道路区間である第2種区間に、誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該第2種区間を明示することにより、当該第2種区間において、過去の誘導経路を逆方向に辿る経路とは異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該第2種区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。また、参考ルート図形3031によって、当該第2種区間で代替する、往路の誘導経路上の道路区間との関係を、ユーザが把握できるようになる。
【0042】
次に、a2に示す経路を表す誘導履歴データが保存された後に(b1に示す誘導経路は過去に設定されていないものとする)、c1に示すように、再度、地点s1を出発地、地点s2を目的地とする誘導経路が設定され、今回設定された誘導経路は、N1、N2、N3、N4、N12、N5、N6、N7、N11を順次経由して、s1からs2に至る誘導経路となったものとする。この場合、経由ポイントとしてs1、N1、N2、N3、N4、N12、N5、N6、N7、N11、s2が抽出される(ステップ402)。
【0043】
そして、a2に示す導履歴データに双方が含まれる二つの経由ポイントの組み合わせのうちの、二つの経由ポイント間のc1に示す誘導経路に沿った道程距離が最大となる組み合わせは、s1とs2となるので、c1に示す誘導経路の出発地s1が第1ポイント、目的地s2が第2ポイントとして選定される(ステップ406、408)。
【0044】
そして、c2に示すように、c1に示す誘導経路の第1ポイントs1-第2ポイントs2間の区間のうち、a2に示す誘導履歴データが示す経路と重ならない部分N4--N12-N5の区間と、N7-N11-s2の区間が第2種区間に、残る区間s1-N4、N5-N7が第2種区間に設定される(ステップ410)。
【0045】
一方、c2に示すように、a2に示す誘導履歴データが示す経路の第1ポイントs1-第2ポイントs2間の区間のうち、c1に示す誘導経路と重ならない部分N4-N5が第3種区間に設定される(ステップ414)。
そして、c3に示すように、誘導経路を表すルート図形303の第1種区間とされたs1-N4の部分511と、N5-N7の部分512が第1の表示色で描画され、誘導経路を表すルート図形303の第2種区間とされたN4-N12-N5の区間の部分513と、N7-s2の部分514が第2の表示色で描画される(ステップ416)。
【0046】
また、誘導導履歴データが示す経路の第3種区間とされたN5-N4の部分が参考ルート図形3031として第3の表示色で描画されることになる(ステップ418)。
このようなルート図形303の描画によれば、ユーザが過去の誘導経路に従って走行した道路区間を辿る経路を代替する経路に用いる道路区間である第2種区間に、誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該第2種区間を明示することにより、当該第2種区間において、過去の誘導経路を逆方向に辿る経路とは異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該第2種区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。また、参考ルート図形3031から、ユーザが、当該第2種区間で代替する、過去の誘導経路上の道路区間との関係を把握できるようになる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、今回の誘導経路上の二地点を通る過去の誘導経路で当該二地点間の経路として用いていない道路区間を第2種区間として、今回の誘導経路によって誘導する場合に、ユーザに対して、当該第2種区間を明示することにより、前記二地点間の経路として、今回は当該第2種区間において過去と異なる経路を進むことを認知せしめ、ユーザが当該道路区間の走行に対して不安を感じないようにすることができる。た、参考ルート図形3031によって、ユーザに対して、当該第2種区間で代替する、過去の誘導経路上の道路区間との関係を、ユーザが把握できるようになる。
【0048】
なお、本実施形態は、ルート図形303や参考ルート図形3031で示す誘導履歴データが示す過去の誘導経路との関係を、往路の誘導経路と、当該往路の誘導経路と出発地と目的地を交代した往路の誘導経路との関係のみとするようにしてもよい。すなわち、この場合には、図4に示した誘導経路描画処理の、ステップ402において誘導経路の経路データを参照し、誘導経路の出発地と、誘導経路の目的地とを抽出し、ステップ404において、抽出した出発地が目的地として、抽出した目的地が出発地として登録された保存日時が最も最近の誘導履歴データを探索し、ステップ408において抽出した出発地を第1ポイント、抽出した目的地側を第2ポイントに設定し、探索した誘導履歴データを対象誘導履歴データに設定するようにすればよい。
また、本実施形態は、ルート図形303や参考ルート図形3031で示す誘導履歴データが示す過去の誘導経路との関係を、誘導経路の、出発地と目的地が同じ過去の誘導経路との関係のみとするようにしてもよい。すなわち、この場合には、図4に示した誘導経路描画処理の、ステップ402において誘導経路の経路データを参照し、誘導経路の出発地と、誘導経路の目的地とを抽出し、ステップ404において、抽出した出発地が出発地として、抽出した目的地が目的地として登録された保存日時が最近の誘導履歴データを探索し、ステップ408において抽出した出発地を第1ポイント、抽出した目的地側を第2ポイントに設定し、探索した誘導履歴データを対象誘導履歴データに設定するようにすればよい。
【0049】
なお、以上の実施形態では、第1種区間、第2種区間、第3種区間の表示色を異ならせることにより、ユーザが各種区間を識別できるようにしたが、これは、各種区間の表示の表示色の色相や彩度や輝度、模様その他任意の修飾要素を異ならせることにより、各種区間をユーザが識別できるようにしてもよい。
また、以上の実施形態は、参考ルート図形3031は、図3bに示すように、これを描画しないようにしてもよい。また、図3bに示すように、ルート図形303の第2種区間の両端の位置に、過去の誘導経路と経路が異なる区間の始終点であることを表すマーク3032を描画するようにしてもよい。
【0050】
また、第2種区間の出発地側端点に現在位置が接近したときに、過去の誘導経路と異なる経路をとることを通知するメッセージを、表示装置3に表示するようにしてもよい。または、ナビゲーション装置1に音声出力装置を備え、第2種区間の出発地側端点に現在位置が接近したときに、過去の誘導経路と異なる経路をとることを通知する音声メッセージを出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置が保持する地図データと誘導履歴データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る誘導経路描画処理を示すフローチャートである。
【図5】本本発明の実施形態に係る誘導経路描画処理の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…ナビゲーション装置、2…操作部、3…表示装置、4…車両状態センサ、5…GPS受信機、6…交通情報受信機、11…記憶装置、12…現在状態算出部、13…GUI制御部、14…ルート探索部、15…メモリ、16…制御部、17…案内画像生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されるナビゲーション装置であって、
現在位置を算定する現在位置算定手段と、
目的地に至る経路を誘導経路として設定する誘導経路設定手段と、
現在位置周辺の地図上に、現在位置と前記誘導経路とを描画した経路案内画像を表示する経路案内手段と、
過去に走行された誘導経路の経路を表す誘導履歴データを保持する誘導履歴保持手段とを有し、
前記経路案内手段は、前記誘導経路上の二地点を含む経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路において前記二地点間の経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記経路案内手段は、前記誘導経路の出発地と目的地とを前記二地点とし、前記誘導経路の出発地を目的地とし、前記誘導経路の目的地を出発地とする経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記経路案内手段は、前記誘導経路の出発地と目的地とを前記二地点とし、前記誘導経路と出発地を出発地とし、前記誘導経路の目的地を目的地とする経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のナビゲーション装置であって、
前記経路案内手段は、前記誘導経路の前記検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を、前記誘導経路の前記検出した共通の部分に相当する誘導経路上の区間と、異なる形態で前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のナビゲーション装置であって、
前記経路案内手段は、前記誘導経路の前記検出した共通でない部分と、前記誘導経路の前記検出した共通の部分との境界を示す図形を前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載のナビゲーション装置であって、
前記経路案内手段は、前記存在した誘導履歴データが示す経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間の、前記誘導経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間と共通でない部分を、前記地図上に描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
自動車に搭載されるナビゲーション装置において、目的地に至る経路を誘導経路として案内する経路案内方法であって、
現在位置を算定する現在位置算定ステップと、
目的地に至る経路を誘導経路として設定する誘導経路設定ステップと、
現在位置周辺の地図上に、現在位置と前記誘導経路とを描画した経路案内画像を表示する経路案内ステップと、
走行された誘導経路の経路を表す誘導履歴データを記憶する誘導履歴記憶ステップとを有し、
前記経路案内ステップにおいて、前記誘導経路上の二地点を含む経路を表す誘導履歴データが存在する場合に、前記誘導経路の前記二地点間の経路として用いられる道路区間の、前記存在した誘導履歴データが示す経路において前記二地点間の経路として用いられる道路区間との共通の部分と共通でない部分とを検出し、検出した共通でない部分に相当する誘導経路上の区間を識別可能な形態で、前記誘導経路を前記地図上に描画することを特徴とする経路案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−2848(P2009−2848A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165217(P2007−165217)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】