説明

ナビゲーション装置

【課題】 運転者の意志がより反映されて新しい推奨経路の探索が行われるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 操作スイッチ群の一つであるハンドルに設けられたスイッチが運転者によって押下されると(S120:Yes)、方向指示器センサからの状態情報に基づいて所定時間内に方向指示器が操作されたか否かを判定する(S130)。そして、方向指示器の操作に基づいて現在案内中の経路を逸脱するか否かを推定し(S140,S170)、逸脱すると推定された場合には、その逸脱した道路を通る経路を再探索する(S150,S180)。したがって、運転者のスイッチ操作がない限り再探索が行われることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用のナビゲーション装置は、目的地や経由地が設定されると、その目的地や経由地までの推奨経路を探索し、その探索した推奨経路を地図上に所定の色の線等によって表示する機能を有している。この表示された推奨経路にしたがって運転者が運転しているときは問題ないが、時として運転者の独自の判断により推奨経路を外れることがある。そのような場合、ナビゲーション装置は推奨経路を外れたことを認識して新たな経路を探索して推奨経路の表示を更新する機能を有している場合が多い。
【0003】
しかし、このように推奨経路を外れたことを認識してから新しい推奨経路を探索して表示するようになっていると、その表示までにタイムラグが発生する。すなわち、推奨経路を外れる直前はもちろん、推奨経路を外れた直後の時点では、元の推奨経路が表示されたままであり、しばらく運転者に対して新しい推奨経路を表示することができない。
【0004】
そこでこのような問題を解決するための技術として、下記の特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、車両の方向指示器の動作状態を検出し、右折または左折の方向指示器の操作があった場合、その指示にしたがって右折または左折を行うと地図上に表示された推奨経路を外れるか否かを判断する。そして、推奨経路から外れると判断した場合はその方向指示器の操作にしたがって右折または左折した際に表示される新しい推奨経路の探索を予め(右折または左折の前に)開始して表示するものである。
【特許文献1】特開2003−214872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の運転の場面を考えると、運転者が方向指示器を操作するのは右折または左折の場合だけに限らず車線変更の場合もある。この問題に対し、特許文献1に記載の技術では、方向指示器が操作された際に現在位置から所定距離内に方向指示器に対応する右折また左折可能な道路が存在するか否かを判断し、存在しない場合には新しい推奨経路の探索を実行しないことにより解決を図っている。また、所定の走行速度以上の場合も新しい推奨経路の探索を実行しないようにしている。
【0006】
ところが、これらの方法は何れも予め定められた条件に基づいて処理されるだけであるため、運転者の意志が的確に判断されているとは言い難い。したがって、例えば運転者が左折する意志がないにもかかわらず左側レーンへのレーンチェンジのために方向指示機を操作した場合、偶然、所定距離内に左折可能な道路が存在した場合に、左折した場合の新たな推奨経路の探索が行われてしまうというケースが発生し得る。
【0007】
本発明は、このような問題にかんがみなされたものであり、運転者の意志がより反映されて新しい推奨経路の探索が行われるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のナビゲーション装置は、設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であり、逸脱指示受付手段と、車両状態情報取得手段と、再探索手段とを備える。逸脱指示受付手段は、運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付け、車両状態情報取得手段は、車両の状態に関する情報を取得する。そして、再探索手段は、逸脱指示受付手段が指示を受け付けると、車両状態情報取得手段が取得した情報に基づいて案内中の推奨経路を逸脱するか否かを推定し、その推定の結果、案内中の推奨経路を逸脱すると推定した場合に、目的地までの推奨経路を再探索する。
【0009】
このようなナビゲーション装置によれば、逸脱指示受付手段が運転者から現在の推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付けない限り、推奨経路の再探索が行われないため、不適切な探索が行われることがない。その上、運転者が現在の推奨経路を逸脱したい場合には逸脱指示受付手段に逸脱する旨の指示を入力しさえすれば、車両状態情報取得手段が取得した情報に基づき、推奨経路の逸脱前に新しい推奨経路の再探索が行われる。このため、従来、問題となっていた、推奨経路を外れた後しばらく元の推奨経路の案内がなさるという問題も解決することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた請求項2に記載のナビゲーション装置は、設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であり、逸脱指示受付手段と、車両状態情報取得手段と、再探索手段とを備える。逸脱指示受付手段は、運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付け、車両状態情報取得手段は、車両の状態に関する情報を取得する。そして、再探索手段は、車両状態情報取得手段が取得した情報に基づいて案内中の推奨経路を逸脱するか否かを推定し、その推定の結果、案内中の推奨経路を逸脱すると推定した場合、さらに逸脱指示受付手段が指示を受け付けると、目的地までの推奨経路を再探索する。
【0011】
このようなナビゲーション装置によれば、逸脱指示受付手段が運転者から現在の推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付けない限り、推奨経路の再探索が行われないため、不適切な探索が行われることがない。その上、運転者が現在の推奨経路を逸脱したい場合には逸脱指示受付手段に逸脱する旨の指示を入力しさえすれば、推奨経路の逸脱前に新しい推奨経路の再探索が行われる。このため、従来、問題となっていた、推奨経路を外れた後しばらく元の推奨経路の案内がなさるという問題も解決することができる。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3に記載のナビゲーション装置は、設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であり、逸脱指示受付手段と、車両状態情報取得手段と、再探索手段とを備える。逸脱指示受付手段は、運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付け、車両状態情報取得手段は、車両の状態に関する情報を取得する。そして、再探索手段は、逸脱指示受付手段が指示を受け付けると、当該車両の現在の走行状態から推測される推奨経路を逸脱する箇所を少なくとも一つ特定し、その特定した箇所毎にその特定した箇所から推奨経路を逸脱した場合の新たな推奨経路を再探索し、運転操作情報取得手段が取得した情報に基づいて、再探索した推奨経路の中から案内に利用する推奨経路を選択する。
【0013】
このようなナビゲーション装置によれば、逸脱指示受付手段が運転者から現在の推奨経路を逸脱する旨の指示がない限り、再探索された推奨経路の案内が行われないため、不適切な案内がなされることがない。その上、運転者が現在の推奨経路を逸脱したい場合には逸脱指示受付手段に逸脱する旨の指示を入力しさえすれば、予め探索しておいた別の推奨経路の中から車両状態情報取得手段が取得した情報に基づいて適切に推奨経路の選択が行われて案内がなされるため、従来、問題となっていた、推奨経路を外れた後しばらく元の推奨経路の案内がなさるという問題も解決することができる。
【0014】
ところで、車両状態情報取得手段が取得する情報としては、方向指示器の操作状態に関する情報であるとよい(請求項4)。
一般的に方向指示器の操作状態は、近い将来の車両の進行方向と対応している確率が高いため、このように方向指示器の操作状態の情報を用いて推奨経路の逸脱可否の推定、または、案内に利用する推奨経路の選択を行うようになっていれば、精度良く新たな推奨経路の案内を行うことができる。
【0015】
また、車両状態情報取得手段が取得する情報としては、車両の走行レーンに関する情報であってもよい(請求項5)。
同一方向の複数の走行レーンから道路が構成されている場合、走行レーン毎に右折専用レーン、直進専用レーン、左折専用レーンというように車両の進行方向が決められている場合がある。したがって、現在の車両の走行レーンを特定してその特定した走行レーンの情報を用いて推奨経路の逸脱可否の推定、または、案内に利用する推奨経路の選択を行うようになっていれば、精度良く新たな推奨経路の案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0017】
[構成の説明]
図1は、実施形態のナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置20とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車内LANに接続された各種ECUと通信を行う車内LAN通信部33と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28,車内LAN通信部33からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27を,車内LAN通信部33を制御する制御部29とを備えている。
【0018】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0019】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ、ハンドルに設けられたスイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0020】
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、走行レーンデータ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0021】
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0022】
音声出力部27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力することができる。
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置20を操作することができる。
【0023】
車内LAN通信部33は、車内LANに接続され、図示しないエンジンECUや方向指示器のような各種ECUや各種センサ等との通信を担う。
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0024】
[動作の説明]
次に制御部29が実行する処理について説明する。なお、通常のナビゲーション装置が実行する現在位置表示処理(位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示部26に表示する処理)や経路案内処理(地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在位置から目的地までの推奨経路を探索し、その探索した推奨経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する処理)等については、従来技術であるため詳細な説明を省略する。
【0025】
以下においては、本発明に特徴的な処理である再探索処理1について図2のフローチャートを用いて説明する。
この再探索処理1は、車両のイグニッションキーがアクセサリー給電位置(ACC位置)またはエンジン動作位置(ON位置)になった際に制御部29にて起動されて実行が開始される。また、この再探索処理1は、他の処理(現在位置表示処理や経路案内処理等)とは独立して同時に実行可能な処理である。
【0026】
制御部29は、再探索処理1の実行を開始すると、まず、経路案内処理の実行中であるか否かを判定する(S110)。経路案内処理の実行中でないと判定した場合は(S110:No)、本ステップにとどまり上記判定を繰り返す。
【0027】
一方、経路案内処理の実行中であると判定した場合は(S110:Yes)、運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったか否かを判定する(S120)。この判定は、操作スイッチ群22の中の予め定められたスイッチ(例えばハンドルに設けられたスイッチ)が運転者によって押下されたか否かによって判定する。このようなスイッチが運転者によって押下された場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示がなかったと判定し(S120:No)、上述したS110に処理を戻す。一方、このようなスイッチが運転者によって押下されなかった場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったと判定し(S120:Yes)、S130に処理を進める。
【0028】
S130では、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されたか否かを判定する。なお、ここで言う「所定時間内」とは、例えば3秒や5秒といった固定的な値の時間であってもよいし、次の案内ポイントまでの到達時間に応じた値を都度設定して用いるようになっていてもよい。また、この判定は、車内LAN通信部33を介して方向指示器センサから取得した信号に基づいて行う。
【0029】
S130において、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されていないと判定した場合は(S130:No)、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S140)。
【0030】
このS140において、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進したとしても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S140:No)、上述したS110に処理を戻し、一方、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S140:Yes)、次の案内ポイントで直進した進路を取った場合の推奨経路を探索する(S150)。この推奨経路の探索は、次の案内ポイントを直進した先の交差点から、現在案内中の経路における目的地までの経路をダイクストラ法等の手法によって行われる。
【0031】
推奨経路の探索が終了すると、探索した経路に案内経路を置き換える(S160)。これは、経路案内処理によって案内される経路をこの再探索処理1によって探索された経路に置き換えることを意味する。この結果、経路案内処理では、この再探索処理1によって探索された経路が案内されることとなる。
【0032】
一方、S130において、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されたと判定した場合は(S170:Yes)、直近の右折または左折可能ポイントであって、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S170)。方向指示器の示す方向に進むと仮定しても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S170:No)、上述したS110に処理を戻し、一方、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S170:Yes)、直近の右折または左折可能ポイントで方向指示器の方向に進んだ場合の推奨経路を探索する(S180)。そして、上述したS160に処理を進める。
【0033】
[実施形態の効果]
このようなナビゲーション装置20によれば、操作スイッチ群22の中の予め定められたスイッチ(例えばハンドルに設けられたスイッチ)が運転者によって押下されてはじめて推奨経路の再探索が行われ得る状態になる(S120:Yes)。そして、方向指示器の状態によって現在案内中の経路を逸脱することになるか否かが推定され(S140,S170)、逸脱することになると推定された場合に(S140:Yes,S170:Yes))、新しい推奨経路の再探索が行われる(S150,S180)。
【0034】
このように、経路の逸脱前から新しい推奨経路の探索が行われるため、従来、問題となっていた、推奨経路を外れた後しばらく元の推奨経路の案内がなさるという問題を解決することができる。また、運転者の推奨経路離脱意志を的確に捉えて処理を行っているため、例えば運転者が左折する意志がないにもかかわらず左側レーンへのレーンチェンジのために方向指示機を操作した場合、偶然、所定距離内に左折可能な道路が存在した場合に、左折した場合の新たな推奨経路の探索が行われてしまうという従来のナビゲーション装置で発生し得た問題も解決することができる。
【0035】
また、一般的に、近い将来の車両の進行方向と対応している確率が高い方向指示器の状態に基づいて現在案内されている推奨経路を逸脱するか否かを判定しているため、精度良く新たな推奨経路の案内を行うことができる。
【0036】
[他の実施形態]
次に上述した再探索処理1の別例を説明する。
(1)再探索処理2
図3は、制御部29が実行する再探索処理2を説明するためのフローチャートである。この再探索処理2も、車両のイグニッションキーがアクセサリー給電位置(ACC位置)またはエンジン動作位置(ON位置)になった際に制御部29にて起動されて実行が開始される。また、この再探索処理2も、他の処理(現在位置表示処理や経路案内処理等)とは独立して同時に実行可能な処理である。
【0037】
制御部29は、再探索処理2の実行を開始すると、まず、経路案内処理の実行中であるか否かを判定する(S210)。経路案内処理の実行中でないと判定した場合は(S210:No)、本ステップにとどまり上記判定を繰り返す。一方、経路案内処理の実行中であると判定した場合は(S210:Yes)、運転者によって方向指示器の操作がなされたか否かを判定する(S220)。なお、この判定は、車内LAN通信部33を介して方向指示器センサから取得した信号に基づいて行う。
【0038】
このS220おいて、運転者によって方向指示器の操作がなされていないと判定した場合は(S220:No)、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S230)。
【0039】
このS230において、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進したとしても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S230:No)、上述したS210に処理を戻す。一方、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S230:Yes)、所定時間内に運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったか否かを判定する(S240)。なお、ここで言う「所定時間内」とは、例えば3秒や5秒といった固定的な値の時間であってもよいし、次の案内ポイントまでの到達時間に応じた値を都度設定して用いるようになっていてもよい。また、推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったか否かの判定は、操作スイッチ群22の中の予め定められたスイッチ(例えばハンドルに設けられたスイッチ)が運転者によって押下されたか否かによって判定する。このようなスイッチが運転者によって押下された場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示がなかったと判定し(S240:No)、上述したS210に処理を戻す。一方、このようなスイッチが運転者によって押下された場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったと判定し(S240:Yes)、S250に処理を進める。
【0040】
S250では、次の案内ポイントで直進した進路を取った場合の推奨経路を探索する(S150)。この推奨経路の探索は、次の案内ポイントを直進した先の交差点から、現在案内中の経路における目的地までの経路をダイクストラ法等の手法によって行われる。推奨経路の探索が終了すると、探索した経路に案内経路を置き換える(S160)。これは、経路案内処理によって案内される経路をこの再探索処理2によって探索された経路に置き換えることを意味する。この結果、経路案内処理では、この再探索処理2によって探索された経路が案内されることとなる。
【0041】
S220において、運転者によって方向指示器の操作がなされたと判定した場合は(S220:Yes)、直近の右折または左折可能ポイントであって、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S270)。方向指示器の示す方向に進むと仮定しても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S270:No)、上述したS210に処理を戻し、一方、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S270:Yes)、S280に処理を進める。
【0042】
S280では、所定時間内に運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったか否かを判定する。なお、ここで言う「所定時間内」とは、例えば3秒や5秒といった固定的な値の時間であってもよいし、次の案内ポイントまでの到達時間に応じた値を都度設定して用いるようになっていてもよい。また、この判定は、操作スイッチ群22の中の予め定められたスイッチ(例えばハンドルに設けられたスイッチ)が運転者によって押下されたか否かによって判定する。このようなスイッチが運転者によって押下されなかった場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示がなかったと判定し(S280:No)、上述したS210に処理を戻す。一方、このようなスイッチが運転者によって押下された場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったと判定し(S280:Yes)、S290に処理を進める。
【0043】
S290では、直近の右折または左折可能ポイントで方向指示器の方向に進んだ場合の推奨経路を探索する。そして、上述したS260に処理を進める。
このように、運転者からの離脱指示有無の判定(S240,S280)より、方向指示器の操作有無の判定(S220)および案内経路の離脱可能性の判定(S230,S270)の方が先に行われるようになっていても、上述した再探索処理1を実行するナビゲーション装置20と同様の効果を奏することができる。
【0044】
(2)再探索処理3
図4は、制御部29が実行する再探索処理3を説明するためのフローチャートである。この再探索処理3も、車両のイグニッションキーがアクセサリー給電位置(ACC位置)またはエンジン動作位置(ON位置)になった際に制御部29にて起動されて実行が開始される。また、この再探索処理3も、他の処理(現在位置表示処理や経路案内処理等)とは独立して同時に実行可能な処理である。
【0045】
制御部29は、再探索処理3の実行を開始すると、まず、経路案内処理の実行中であるか否かを判定する(S310)。経路案内処理の実行中でないと判定した場合は(S310:No)、本ステップにとどまり上記判定を繰り返す。
【0046】
一方、経路案内処理の実行中であると判定した場合は(S310:Yes)、運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったか否かを判定する(S320)。この判定は、操作スイッチ群22の中の予め定められたスイッチ(例えばハンドルに設けられたスイッチ)が運転者によって押下されたか否かによって判定する。このようなスイッチが運転者によって押下されなかった場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示がなかったと判定し(S320:No)、上述したS310に処理を戻す。一方、このようなスイッチが運転者によって押下された場合は運転者から推奨経路を逸脱する意志を示す指示があったと判定し(S320:Yes)、S330に処理を進める。
【0047】
S330では、次の案内ポイントまたはその案内ポイントの手前から推奨経路を逸脱可能なポイントを検索し、検索された各ポイントから推奨経路を逸脱した場合の経路の探索を開始する。なお、探索する経路の目的地は、現在案内中の経路における目的地である。また、逸脱可能なポイントが所定数以上(例えば6つ以上)検索された場合は、逸脱可能性の高いポイントの上位5つのみを選択し、それらのポイントから逸脱する経路を探索することとする。探索を開始するとその探索を続けながらS340の処理に移行する。
【0048】
S340では、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されたか否かを判定する。なお、ここで言う「所定時間内」とは、例えば3秒や5秒といった固定的な値の時間であってもよいし、次の案内ポイントまでの到達時間に応じた値を都度設定して用いるようになっていてもよい。また、この判定は、車内LAN通信部33を介して方向指示器センサから取得した信号に基づいて行う。
【0049】
S340において、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されていないと判定した場合は(S340:No)、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S350)。
【0050】
このS350において、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進したとしても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S350:No)、上述したS310に処理を戻し、一方、次の案内ポイントにおいて車両がこのまま直進すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S350:Yes)、次の案内ポイントで直進した進路を取った場合の推奨経路をS330において探索を開始して完了している経路の中から選択する(S360)。
【0051】
推奨経路の選択を終えると、経路案内処理が案内に用いている経路を、選択した経路に置き換える(S370)。この結果、経路案内処理では、この再探索処理3によって探索された経路が案内されることとなる。
【0052】
一方、S370において、所定時間内に運転者によって方向指示器が操作されたと判定した場合は(S370:Yes)、直近の右折または左折可能ポイントであって、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになるか否かを判定する(S380)。方向指示器の示す方向に進むと仮定しても案内中の推奨経路を逸脱することにならないと判定した場合は(S380:No)、上述したS310に処理を戻し、一方、方向指示器の示す方向に進むと仮定すると案内中の推奨経路を逸脱することになると判定した場合は(S380:Yes)、直近の右折または左折可能ポイントで方向指示器の方向に進んだ場合の推奨経路をS330において探索を開始した経路の中から選択する(S390)。そして、上述したS370に処理を進める。
【0053】
このような再探索処理3を実行するナビゲーション装置20によれば、運転者から離脱指示がない限り、再探索された推奨経路の案内が行われないため、従来、問題となっていた不適切な案内がなされることがない。その上、運転者が現在の推奨経路を逸脱したい場合には逸脱する旨の指示を入力しさえすれば、予め探索しておいた離脱後の推奨経路候補の中から方向指示器の動作状態に基づいて推奨経路が選択される。そして、その推奨経路にしたがって案内が開始される。このため、従来、問題となっていた、推奨経路を外れた後しばらく元の推奨経路の案内がなさるという問題も解決することができる。
【0054】
(3)その他
上記実施形態は何れも方向指示器の動作状態に基づいて現在案内中の推奨経路を逸脱しそうか否かを判定するようになっていたが、ナビゲーション装置20が搭載された車両が現在走行する走行レーンの種類によって現在案内中の推奨経路を逸脱しそうか否かを判定するようになっていてもよい。つまり、位置検出器21から得られる信号から現在位置を算出し、地図データ入力器25から得られる地図データ(道路のレーンデータ)を用いて現在走行中のレーンを特定する。そして、その特定した走行レーンの種類(右折レーン,直進レーン,左折レーン)と案内中の推奨経路の情報とを比較して推奨経路を逸脱するか否かを判定するようになっていてもよい。
【0055】
このようになっていても、現在案内中の推奨経路の逸脱可否判定や案内に利用する推奨経路の選択を精度良く行うことができる。
また、ナビゲーション装置20が搭載された車両が、再探索された推奨経路を実際に走行しはじめたか否かを判定するような処理を上述した各再探索処理に加え、当該車両が再探索された推奨経路を実際に走行し始めたと判断した際にはじめて新しい推奨経路によって案内を開始するようになっていてもよい。
【0056】
このようになっていれば、ナビゲーション装置20の行う案内の精度が向上する。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態で用いた用語と特許請求の範囲に記載の用語との対応を示す。操作スイッチ群22が逸脱指示受付手段に相当し、車内LAN通信部33が車両状態情報取得手段に相当し、制御部29が再探索手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】再探索処理1を説明するためのフローチャートである。
【図3】再探索処理2を説明するためのフローチャートである。
【図4】再探索処理3を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、33…車内LAN通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う、車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置において、
運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付ける逸脱指示受付手段と、
前記車両の状態に関する情報を取得する車両状態情報取得手段と、
前記逸脱指示受付手段が前記指示を受け付けると、前記車両状態情報取得手段が取得した前記情報に基づいて案内中の推奨経路を逸脱するか否かを推定し、その推定の結果、案内中の推奨経路を逸脱すると推定した場合に、前記目的地までの推奨経路を再探索する再探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う、車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置において、
運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付ける逸脱指示受付手段と、
前記車両の状態に関する情報を取得する車両状態情報取得手段と、
前記車両状態情報取得手段が取得した前記情報に基づいて案内中の推奨経路を逸脱するか否かを推定し、その推定の結果、案内中の推奨経路を逸脱すると推定した場合、さらに前記逸脱指示受付手段が前記指示を受け付けると、前記目的地までの推奨経路を再探索する再探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う、車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置において、
運転者から推奨経路を逸脱する旨の指示を受け付ける逸脱指示受付手段と、
前記車両の状態に関する情報を取得する車両状態情報取得手段と、
前記逸脱指示受付手段が前記指示を受け付けると、当該車両の現在の走行状態から推測される推奨経路を逸脱する箇所を少なくとも一つ特定し、その特定した箇所毎にその特定した箇所から推奨経路を逸脱した場合の新たな推奨経路を再探索し、前記運転操作情報取得手段が取得した前記情報に基づいて、前記再探索した推奨経路の中から案内に利用する推奨経路を選択する再探索手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記車両状態情報取得手段が取得する前記情報は、方向指示器の操作状態に関する情報であること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載のナビゲーション装置において、
前記車両状態情報取得手段が取得する前記情報は、車両の走行レーンに関する情報であること、
を特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−292430(P2006−292430A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110087(P2005−110087)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】