説明

ナビゲーション装置

【課題】案内映像(動画)の有する本来のナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供する。加えて、実際の走行状況に忠実なナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車位置近傍から案内点に至る自車前方の実写映像を取得し、取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像を用いて、ナビゲーションするナビゲーション装置であって、案内映像を表示する表示部と、運転の危険度を判定する危険度判定部と、危険度判定部の判定結果に基づいて、表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御するフレームレート制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、より特定的には、自車位置近傍から案内点に至る自車前方の実写映像を取得し、取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像を用いて、ナビゲーションするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、右左折すべき案内点に車両が近づいたとき、周囲の拡大地図(静止画)を画面に表示するナビゲーション装置が一般的である。しかしながら、このようなナビゲーション装置では、ドライバーは、拡大地図(静止画)と実際に見える風景とを見比べて、両者を互いに当てはめる判断をしなければならない。
【0003】
上記のような判断作業の煩雑さを回避する技術として、自車位置近傍から案内点に至る自車前方の実写映像を取得し、取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像(動画)を用いて、ナビゲーションするナビゲーション装置がある。
【0004】
実写映像を用いた案内では、ドライバーが実際に見ている風景が時々刻々と変化するのに追随して案内映像も変化していくため、表示された案内点、或いは進行方向が実風景の中のどこであるのかの対応付けを容易にし、案内点を特定しやすくすることができる。
【0005】
また、上記のように案内映像(動画)を用いてナビゲーションすれば、画面を見ているときにでも、前方の状況がわかる利点がある。すなわち、画面上で前方車両の挙動等がわかると共に、右左折の指示を容易に把握できる利点がある。
【0006】
しかしながら、この案内映像はあくまで動画であり、画面の表示内容は随時変化していくため、ドライバーには画面を注視する傾向がみられる。ドライバーが画面を注視すると、運転上の危険を伴う可能性がある。
【0007】
そこで、上記のようにドライバーが画面上に表示された動画を注視することによって、引き起こされる運転上の危険を回避する技術が提案されている。この技術は、テレビ映像やDVD映像などエンタティンメントに関連するコンテンツを対象としたものであり、画面に向けられるドライバーの視線を検出し、注視していると判定した場合に、動画から静止画に瞬時に切り替えて表示するものである(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−240560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術は、ドライバーが注視しているからといって、案内映像(動画)から拡大地図(静止画)に瞬時に切り替えるのであれば、ドライバーが見ている風景の変化に追随した案内映像を表示することにより享受できる案内映像(動画)の有する本来のナビゲーション機能を果たせない。
【0009】
そこで、本願発明は上記問題に鑑みてなされた。すなわち、案内映像(動画)の有する本来のナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供する。加えて、実際の走行状況に忠実なナビゲーション機能を果たせると共に、画面注視による運転上の危険を軽減できるナビゲーション装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の局面は、自車位置近傍から案内点に至る自車前方の実写映像を取得し、取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像を用いて、ナビゲーションするナビゲーション装置に向けられている。
【0011】
本発明は、案内映像を表示する表示部と、運転の危険度を判定する危険度判定部と、危険度判定部の判定結果に基づいて、表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御するフレームレート制御部とを備える。
【0012】
また、危険度判定部は、表示部が表示する案内映像に向けられるユーザの視線に関する情報に基づいて、注視状況を判定する注視状況判定部を含み、フレームレート制御部は、注視状況判定部の判定結果に基づいて、表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御することが好ましい。
【0013】
また、注視状況判定部は、注視時間を判定し、フレームレート制御部は、注視時間が多いと判定された場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0014】
また、注視状況判定部は、所定時間当たりの注視回数を判定し、フレームレート制御部は、所定時間当たりの注視回数が多いと判定された場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0015】
また、危険度判定部は、自車の走行状況を判定する走行状況判定部を含み、フレームレート制御部は、走行状況判定部の判定結果に基づいて、表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御することが好ましい。
【0016】
また、走行状況判定部は、自車が走行中の道路の形状がカーブ形状か否かを判定し、フレームレート制御部は、自車が走行中の道路の形状がカーブ形状である場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0017】
また、走行状況判定部は、自車が走行中の道路の種別のランクを判定し、フレームレート制御部は、自車が走行中の道路の種別のランクが低いと判定された場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0018】
また、走行状況判定部は、自車と前方車両との車間距離を判定し、フレームレート制御部は、自車と前方車両との車間距離が小さいと判定された場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0019】
また、走行状況判定部は、自車が走行中の道路が混雑しているか否かを判定し、フレームレート制御部は、自車が走行中の道路が混雑している場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0020】
また、走行状況判定部は、自車の車速を判定し、フレームレート制御部は、自車の車速が大きいと判定された場合に、フレームレートを下げることが好ましい。
【0021】
以上説明したように、本発明の局面によれば、画面に向けられるドライバーの注視状況に基づいて、案内映像(動画)から拡大地図(静止画)に瞬時に切替えることなく、画面に表示される案内映像(動画)のフレームレートを制御する。従って、案内映像(動画)の本来のナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。また、ドライバーが画面を注視することによって引き起こされる運転上の危険を回避することもできる。更に、自車の走行状況に基づいて、画面に表示される案内映像(動画)のフレームレートを制御する。従って、実際の走行状況に忠実なナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。すなわち、ドライバーの画面の注視時間や頻度、走行している道路の種別、前方車両との車間距離などの走行状況等から、運転に対する危険度を判定し、判定結果に基づいてフレームレートを適切に制御する。具体的には、危険度が高い場合には、フレームレートを下げることにより、案内映像(動画)を用いた分かり易いナビゲーション案内というメリットを保持すると共に、危険が予想される状況においては、その危険を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
案内映像(動画)の有する本来のナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。加えて、実際の走行状況に忠実なナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体構成を示す模式図である。図1において、主装置100は、ナビゲーション装置全体の処理を司る。案内映像用カメラ110は、自車の前方の映像を撮影するためのものであり、自車のルームミラー近傍、運転席近傍及びドアミラー近傍等、自車の前方の風景を撮影可能な位置に配設される。また、視線検出用カメラ120は、表示部130の画面に向けられるドライバーの顔の中でも特に目の部分を撮影するためのものであり、自車のルームミラー近傍及び表示部130近傍、あるいはステアリング近傍等、ドライバーの顔の中でも特に目の部分を撮影可能な位置に配設される。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置200の全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、ナビゲーション装置200は、地図格納部210、位置取得部220、経路探索部230、映像取得部240、映像重畳部250、視線検出部260、注視状況判定部270、フレームレート制御部280及び表示部130を備えている。
【0026】
地図格納部210は、例えば、日本全国等、予め定められた広い範囲の道路地図データ(例えば、3次元地図データ)を格納している。地図格納部210は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)及び半導体メモリ等の記憶媒体で構成される。地図格納部210には、道路の種別、道路の形状、交差点のデータ及び施設等のランドマークを含む地図情報が予め格納されている。なお、地図情報が、例えば、携帯電話等の通信部(図示せず)によって、センター設備から適宜ダウンロードして、地図格納部210に記憶される構成であってもよい。
【0027】
位置取得部220は、典型的には、GPS(Global Positioning System)で構成され、人工衛星の送信情報を基に、例えば、緯度座標、経度座標及び高度座標で表される自車の現在位置を算出する。なお、位置取得部220は、GPS以外に、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ及び車速センサを含んでいてもよい。
【0028】
経路探索部230は、目的地情報、自車の現在位置情報及び地図格納部210に格納された道路地図データを参照して、目的地に至る経路を探索する。この経路探索では、目的地までの最短距離を通る経路、目的地への到着時間を優先した場合の最適経路、有料道路を通過しない場合の最適経路、渋滞を避けた場合の最適経路、或いはドライバーの指定した地点を通るようにした最適経路等の探索が行われる。
【0029】
映像取得部240は、ナビゲーション案内に利用するための映像として、図1に示した案内映像用カメラ110が撮影した車両前方の風景映像を取得する。
【0030】
映像重畳部250は、映像取得部240の案内映像用カメラ110が取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像を生成する。なお、案内映像生成処理については後述する。
【0031】
視線検出部260は、表示部130の画面に向けられているドライバーの視線を検出する。図3に、視線検出部260の内部構成を示す。視線検出部260は、照明部(図示せず)、瞳孔抽出部261、角膜反射像抽出部262及び合焦判断部263を備えている。
【0032】
近赤外線LED等の不可視光を発する照明部(図示せず)は、映像取得部240の視線検出用カメラ120と共軸系をなして配設され、ドライバーに向けて発光している。映像取得部240の視線検出用カメラ120が撮像した撮像画像から、瞳孔抽出部261は、網膜反射像(瞳孔位置)を抽出する。更に、角膜反射像抽出部262は、瞳孔位置近傍からの角膜反射像を抽出する。そして、合焦判断部263は、角膜反射像のピントの合い具合を表す合焦度合いを算出して、合焦しているのか否かを判定し、視線を検出する。
【0033】
なお、視線検出部260は、映像取得部240の視線検出用カメラ120により撮像された、例えば、目の虹彩の位置を検出することによって、表示部130の画面に向けられているドライバーの視線を検出する構成としてもよい。このとき、映像取得部240の視線検出用カメラ120により撮像された目の虹彩の向きが正面を向いていれば、ドライバーの視線が表示部130の画面に向けられていることを検出できる。なお、視線の検出方法はこの例に限らず、その他の周知の技術を用いてもよい。
【0034】
なお、本実施の形態においては、視線検出部260はドライバーの視線方向を検出する機能を有する例について述べたが、このような機能がナビゲーション装置外部に存在するのであれば、視線検出部260は、ドライバーの視線方向に関する情報、すなわち表示部130を見ているかどうかのみを取得する機能を最低限備えていればよい。
【0035】
注視状況判定部270は、視線検出部260の検出結果に基づいて、表示部130の画面に向けられている視線の停留時間である注視時間、或いは所定時間当たりの視線の停留回数である注視回数を判定する。なお、注視時間と注視回数の両方を合わせて判定する構成としてもよい。
【0036】
フレームレート制御部280は、注視状況判定部270の判定結果に基づいて、表示部130の画面に表示される案内映像のフレームレートを制御する。表示部130は、交差点案内エリア内では、映像重畳部250が生成した案内映像を表示する。
【0037】
次に、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置200の動作について、図4のフロー図を用いて説明する。
【0038】
ドライバーが経路設定をすると(ステップS401)、ナビゲーション装置200は、走行情報を取得する(ステップS402)。この走行情報とは、地図格納部210が格納する道路地図データ、位置取得部220が取得した自車の現在位置情報、映像取得部240が取得した自車前方の実写映像からなる。
【0039】
ナビゲーション装置200は、取得した走行情報を参照し、自車が交差点案内エリア内にいない場合であって、案内が終了していれば、処理を終了する(ステップ403及び404)。自車が交差点案内エリア内にいない場合であって、案内が終了していなければ、再度走行情報を取得する(ステップ403〜402)。一方、自車が交差点案内エリア内いる場合、案内映像生成処理に移行する(ステップ403及び500)。
【0040】
以下では、図5〜図9を用いて、案内映像生成処理ステップ500を示す。図5は、案内映像生成処理を示すフロー図である。この案内映像生成処理において、映像重畳部250は、まず、地図格納部210に格納されている3次元地図と、映像取得部240の案内映像用カメラ110により取得される映像の撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータであるカメラ位置とカメラ角(水平角、仰角)と焦点距離と画像サイズを基に、3次元地図空間におけるカメラの視野空間を求める(ステップS501)。
【0041】
ここで、3次元地図とは、緯度座標、経度座標及び高度座標により位置情報が表される地図のことである。カメラの視野空間の算出は、例えば、図6に示すような方法で行う。3次元地図空間において、カメラ位置(視点)Eからカメラ角方向に焦点距離fだけ進んだ点Fを求め、そこに画像サイズに相当する横x縦yの平面(カメラ画面)を視点Eと点Fとを結んだベクトルに垂直になるように設定する。
【0042】
次に、視点Eからカメラ画面の4隅の点とを結ぶ半直線が作る3次元空間を求める。この3次元空間は理論上無限遠まで延びるが、視点Eから適当な距離だけ離れたところで打ち切り、それを視野空間とする。
【0043】
なお、3次元地図の代わりに3次元地図から高度情報を除いた2次元地図を用い、2次元地図空間におけるカメラの視野空間を求めるようにしても構わない。また、撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータは上記のものに限らず、撮像方向と撮像範囲が定まるものであれば、画角等の他のパラメータを用いて、算出するようにしても構わない。
【0044】
次に、映像重畳部250は、3次元地図空間内において、カメラの視野空間内に存在する道路とその位置を検出する道路検出処理を行う(ステップS502)。図7に道路検出処理で検出される道路を示す。図7は、3次元地図空間とカメラ視野空間を上方向から見た図である。図7において、視野空間に囲まれた道路が道路検出処理によって検出される。
【0045】
次に、映像重畳部250は、3次元地図空間において、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部230により探索された案内経路に該当する道路上の位置に案内オブジェクトを配置する(ステップS503)。図8に案内オブジェクトの配置位置を示す。なお、案内オブジェクトの形状は、図8に示した矢印図形に限らず、例えば、矢印図形から先端の三角形を除いた折れ線図形を用いても構わない。
【0046】
次に、映像重畳部250は、カメラ画面を投影面として案内オブジェクトに対して投影変換を行う(ステップS504)。投影処理において、案内オブジェクトが投影される投影面は、映像取得部240の案内映像用カメラ110で取得されるカメラ画面と一致するため、案内オブジェクトは実写映像上に写っている道路上(案内経路上)に重畳される(図9参照)。なお、実写映像に案内オブジェクトを重畳する際に、白線検知、道路端検知等の周知の画像認識技術を用いて、カメラに写っている道路の位置を検出し、案内オブジェクトの重畳位置を補正するようにしても構わない。
【0047】
上記のように、案内映像生成処理が終了し、案内映像が表示部130の画面に表示されると、注視状況判定部270は、表示部130の画面に向けられるドライバーの注視状況を判定する(ステップS405)。なお、このとき、注視状況判定部270は、注視状況として、注視時間を判定するものと仮定する。
【0048】
図10(A)のグラフの注視時間とフレームレートとの関係を連続関数で示したように、フレームレート制御部270は、注視時間が多くなるに連れて、表示部130の画面に表示される案内映像のフレームレートを下げるように制御する(ステップS406)。表示部130は、フレームレート制御部270により制御されたフレームレートで案内映像を画面に表示する(ステップS407)。また、図10(B)のグラフの注視時間とフレームレートとの関係をステップ関数で示したように、注視時間が多くなるに連れて、表示部130の画面に表示する案内映像のフレームレートを段階的に下げるように制御してもよい。
【0049】
なお、注視状況判定部270は、注視状況として、所定時間当たりの注視回数を判定する構成としてもよい。この場合、フレームレート制御部270は、所定時間当たりの注視回数が多くなるに連れて、表示部130の画面に表示される案内映像のフレームレートを下げるように制御する構成とすればよい。
【0050】
また、フレームレート制御部280は、地図格納部210から、走行情報として、走行中の道路の形状情報を取得した際に、道路形状がカーブ形状であった場合、フレームレートを下げるように制御してもよい。更に、フレームレート制御部280は、地図格納部210から、走行情報として、走行中の道路の種別情報を取得した際に、この道路の種別を考慮して、フレームレートを制御する構成としてもよい。このとき、例えば、図11に示すように、道路の種別のランクが最も低い細街路である場合、フレームレートを15fpsとする。また、次にランクの高い主要道路である場合、フレームレートを25fpsとし、最もランクの高い高速道路である場合、フレームレートを30fpsとする。このように、道路の種別のランクが低い程、フレームレートを下げるように制御してもよい。
【0051】
このように、画面に向けられるドライバーの注視状況に基づいて、案内映像(動画)から拡大地図(静止画)に瞬時に切替えることなく、画面に表示される案内映像(動画)のフレームレートを制御する。従って、案内映像(動画)の本来のナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。また、ドライバーが画面を注視することによって引き起こされる運転上の危険を回避することもできる。
【0052】
なお、図12に示すように、更に、自車の走行状況を判定する走行状況判定部1200を備える構成としてもよい。このとき、フレームレート制御部280は、走行状況として、自車と前方車両との車間距離、或いは道路の混雑具合等を考慮して、フレームレートを制御する構成としてもよい。この場合、図13のグラフの車間距離とフレームレートとの関係を連続関数で示したように、車間距離が小さくなる程、フレームレートを下げるように制御する構成とすればよい。また、フレームレート制御部280は、道路が混雑している場合、フレームレートを下げるように制御してもよい。なお、自車と前方車両との車間距離の測定は、周知の技術、例えば、ミリ波センサや赤外線センサのセンシング手段を用いればよい。また、走行状況として、更に、自車の車速を考慮して、車速が大きくなればなる程、フレームレートを下げるように制御してもよい。
【0053】
このように、自車の走行状況に基づいて、案内映像(動画)のフレームレートを制御する。従って、実際の走行状況に忠実なナビゲーション機能を果たせるナビゲーション装置を提供することができる。例えば、危険な走行状況であれば、フレームレートを下げることにより、ドライバーが画面を注視することによって引き起こされる運転上の危険を回避することができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、注視状況に基づいてフレームレートが制御される場合、及び走行状況に基づいてフレームレートが制御される場合について説明したが、少なくとも注視状況に基づいてフレームレートが制御される構成とし、更に、走行状況も加味して、フレームレートが制御される構成としてもよい。
【0055】
以上のように本発明によれば、ドライバーの画面の注視時間や頻度、走行している道路の種別、前方車両との車間距離などの走行状況などから、運転に対する危険度を判定し、判定結果に基づいてフレームレートを適切に制御する。具体的には、危険度が高い場合にはフレームレートを下げることにより、案内映像(動画)を用いた分かり易いナビゲーション案内というメリットを保持すると共に、危険が予想される状況においては、それを回避することが可能となる。なお、危険度は、画面の注視時間や頻度、走行道路の種別、走行状況の少なくとも1つの要因をもとに判定されるのであればよい。
【0056】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
カーナビゲーション等の移動体機器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体構成を示す模式図
【図2】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図
【図3】視線検出部の構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図5】案内映像生成処理を示すフロー図
【図6】カメラの視野空間を示す模式図
【図7】3次元地図空間とカメラ視野空間を上方向から見た模式図
【図8】案内オブジェクトの配置位置を示す模式図
【図9】案内映像を示す模式図
【図10】注視状況とフレームレートとの対応関係を示す図
【図11】道路の種別のランクとフレームレートとの対応関係を示す図
【図12】本発明の他の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図
【図13】走行状況とフレームレートとの対応関係を示す図
【符号の説明】
【0059】
100 主装置
110 案内映像用カメラ
120 視線検出用カメラ
130 表示部
200 ナビゲーション装置
210 地図格納部
220 位置取得部
230 経路探索部
240 映像取得部
250 映像重畳部
260 視線検出部
261 瞳孔抽出部
262 角膜反射像抽出部
263 合焦判断部
270 注視状況判定部
280 フレームレート制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置近傍から案内点に至る自車前方の実写映像を取得し、取得した自車前方の実写映像に案内オブジェクトを重畳した案内映像を用いて、ナビゲーションするナビゲーション装置であって、
前記案内映像を表示する表示部と、
運転の危険度を判定する危険度判定部と、
前記危険度判定部の判定結果に基づいて、前記表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御するフレームレート制御部とを備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記危険度判定部は、前記表示部が表示する案内映像に向けられるユーザの視線に関する情報に基づいて、注視状況を判定する注視状況判定部を含み、フレームレート制御部は、前記注視状況判定部の判定結果に基づいて、前記表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記注視状況判定部は、注視時間を判定し、前記フレームレート制御部は、注視時間が多いと判定された場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記注視状況判定部は、所定時間当たりの注視回数を判定し、前記フレームレート制御部は、所定時間当たりの注視回数が多いと判定された場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記危険度判定部は、自車の走行状況を判定する走行状況判定部を含み、前記フレームレート制御部は、前記走行状況判定部の判定結果に基づいて、前記表示部が表示する案内映像のフレームレートを制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記走行状況判定部は、自車が走行中の道路の形状がカーブ形状か否かを判定し、前記フレームレート制御部は、自車が走行中の道路の形状がカーブ形状である場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記走行状況判定部は、自車が走行中の道路の種別のランクを判定し、前記フレームレート制御部は、自車が走行中の道路の種別のランクが低いと判定された場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記走行状況判定部は、自車と前方車両との車間距離を判定し、前記フレームレート制御部は、自車と前方車両との車間距離が小さいと判定された場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記走行状況判定部は、自車が走行中の道路が混雑しているか否かを判定し、前記フレームレート制御部は、自車が走行中の道路が混雑している場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記走行状況判定部は、自車の車速を判定し、前記フレームレート制御部は、自車の車速が大きいと判定された場合に、フレームレートを下げることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−218655(P2007−218655A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37712(P2006−37712)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】