説明

ナビゲーション装置

【課題】車両の位置を正確に算出できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】CPU101は、車両10が駐車場入口に進入したと判断した後、算出した車両10の走行軌跡から、車両10が同一平面内を走行していると仮定したときに車両10が同じ場所を周回しているか否かを判断する。車両10が同じ場所を周回していると判断されると、CPU101は、算出した走行軌跡に基づいて、車両10が周回する走行軌跡(旋回軌跡)の形状を特定する。CPU101は、車両10が周回(旋回)を開始した地点(旋回開始地点)からの車両10の走行距離(旋回走行距離)を用いて、旋回開始地点から車両10が旋回軌跡上のどの地点に位置するのかを算出する。CPU101は、旋回軌跡上の車両10の位置を算出すると、算出した位置における旋回軌跡の接線方向を車両10の進行方向として算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置を算出するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、車両の現在位置を算出して周辺地図とともに表示するカーナビゲーション装置が知られている。このカーナビゲーション装置では、自走式立体駐車場を走行して旋回を繰り返したために生じる方位データの累積誤差を、自走式立体駐車場から出場する際に修正している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−14479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカーナビゲーション装置では、自走式立体駐車場内を走行している間は、方位データの修正(補正)が行われないため、駐車場内では車両の進行方位を正しく算出できない恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明によるナビゲーション装置は、車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、車両の走行軌跡を算出する走行軌跡算出手段と、走行軌跡算出手段で算出した車両の走行軌跡に基づいて、車両が同じ場所を周回しているか否かを判断する周回判断手段と、車両が同じ場所を周回していると周回判断手段で判断されると、走行軌跡算出手段で算出した車両の走行軌跡に基づいて、車両が周回する周回軌跡を特定する周回軌跡特定手段と、車両が同じ場所を周回していると周回判断手段で判断されると、走行距離検出手段で検出した車両の走行距離に基づいて、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡上に車両の位置を特定する車両位置特定手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、車両の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段をさらに備え、車両位置特定手段は、車両が同じ場所を周回していると周回判断手段で判断されると、走行距離検出手段で検出した車両の走行距離と、傾斜角度検出手段で検出した車両の傾斜角度とに基づいて、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡上に車両の位置を特定することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置において、車両が同じ場所を周回していると周回判断手段で判断された後、走行軌跡算出手段で算出した車両の走行軌跡に基づいて、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡から車両が離脱したか否かを判断する周回離脱判断手段をさらに備え、車両位置特定手段は、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡から車両が離脱したと周回離脱判断手段で判断されると、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡上に車両の位置を特定する処理を中止することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、車両位置特定手段によって、周回軌跡特定手段で特定した周回軌跡上に車両の位置を特定する際に、周回軌跡の接線方向と略一致するように車両の進行方向を算出する進行方位算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の位置を正確に算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜6を参照して、本発明によるナビゲーション装置をカーナビゲーション装置に適用した一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のカーナビゲーション装置の全体構成を示す図である。カーナビゲーション装置1は、車両位置周辺の道路地図を表示する機能、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能など、車両の走行に関する情報を提示する機能を兼ね備えている。カーナビゲーション装置1は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。
【0008】
図1において、11は車両の現在地を検出する現在地検出装置であり、たとえば車両の進行方位の変化量を検出するためのジャイロセンサ11a、車両の前後方向の傾斜角度の変化を検出するための加速度センサ11b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ11c、車速を検出する車速センサ11d等から成る。
【0009】
100は制御装置であり、CPU101およびその周辺回路から成る。CPU101およびその周辺回路は互いにバスで接続されている。周辺回路は、メモリ102、パラレルI/O103、A/D変換器104a,104b、シリアルI/O105、カウンタ106、グラフィックコントローラ107、画像メモリ108、地図記憶装置109等から成る。14は車室内の乗員が視認可能な位置に配設されて、地図や各種情報を表示する表示モニタである。15は乗員が車両の目的地等の入力など、各種操作入力を行うためのスイッチである。スイッチ15は、表示モニタ14の画面上に設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。スイッチ15は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたスイッチであってもよい。
【0010】
制御装置100のメモリ102は、制御プログラムを格納するROMおよび作業エリアのRAM、および、各種設定値などを記憶する不揮発メモリを含むメモリである。CPU101は、メモリ102にアクセスして制御プログラムを実行し、各種の制御を行う。パラレルI/O103は、スイッチ15を構成する個別のスイッチ等が接続されるパラレルI/Oポートである。A/D変換器104a,104bは、それぞれジャイロセンサ11aおよび加速度センサ11bのアナログ信号をA/D変換する変換器である。シリアルI/O105は、GPSセンサ11cからのシリアル信号を受信するシリアルI/Oポートである。カウンタ106は、たとえば車軸の回転に伴って車速センサ11dから出力されるパルス信号をカウントするカウンタである。
【0011】
グラフィックコントローラ107は、CPU101から出力される表示データを、画像データとして画像メモリ(ビデオRAM)であるメモリ108に格納し、メモリ108に格納された画像データを表示モニタ14に表示するための制御を行う。CPU101から出力される表示データは、各種の文字データや道路地図などの各種の図形データなどから成る。制御装置100は、表示モニタ14の表示制御装置として機能する。
【0012】
地図記憶装置109は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI情報(Point of Interest 観光地や各種施設の情報)など各種の情報を格納する地図記憶装置であり、ハードディスク装置が用いられている。なお、地図記憶装置109は、ハードディスク装置以外にも、道路地図データが格納されたCD−ROMやDVD、その他の記録媒体、および、その読み出し装置であってもよい。
【0013】
−−−データ構成−−−
道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド・施設情報など)などから成る。地図表示用データは道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0014】
このように構成されるカーナビゲーション装置1は、現在地検出装置11により取得した情報および地図記憶装置109に格納されている道路地図データに基づいて、車両の現在位置を算出するとともに各種のナビゲーションを行う。たとえば、制御装置100のCPU101は、車両の現在位置近辺の道路地図および車両の現在位置を表示モニタ14に表示し、経路探索によって得られた経路(推奨経路)に沿ってドライバーを誘導するように各部を制御する。
【0015】
−−−自走式立体駐車場走行時のジャイロセンサ11aの誤差について−−−
たとえば、自走式立体駐車場などでは、駐車場入口が設けられた階層(通常1階)から駐車スペースが設けられた他の階層(駐車フロア)に到達するまで、スロープを走行して移動する必要がある。スロープを走行する際、車両がスロープの傾斜角度と略同じ角度に前後方向に傾斜するため、車両に搭載されたジャイロセンサ11aも同様に水平面に対して傾斜する。一般的に、ジャイロセンサ11aは、設置角度が水平に保たれていないと出力値の誤差が大きくなるため、たとえば、図2に示すような螺旋状に設けられたスロープを走行する場合のように、車両が傾斜した状態で旋回すると、算出される車両の旋回角度の誤差も大きくなってしまう。また、このような自走式立体駐車場のスロープでは、車両の上方には上階へ至るためのスロープがあるため、GPS衛星からのGPS信号が遮られてしまってGPSセンサ11cで受信できず、GPS信号に基づいて車両の正確な位置、進行方位を検出できないことが多い。
【0016】
そこで、本実施の形態のカーナビゲーション装置1では、たとえば、螺旋状のスロープを走行する場合のように、車両を上方から見たときに、車両が同じ場所を周回するように走行する場合には、次のようにして車両の位置および進行方位を補正する。
【0017】
なお、以下の説明では、図2,3に示すような螺旋状のスロープが設けられた駐車場に進入する場合について説明する。CPU101は、算出した自車位置と、道路地図データに含まれる駐車場の設置位置と、ジャイロセンサ11aからの出力に基づいて、車両10が道路から駐車場入口へ進入したか否かを判断する。たとえば、CPU101は、算出した自車位置が、道路地図データに含まれる駐車場の入口位置近傍に位置すると判断し、かつ、ジャイロセンサ11aからの出力に基づいて車両10が駐車場入口に向かって旋回したことを検出すると、車両10が駐車場入口に進入したと判断する。また、たとえば、旋回することなく道路から駐車場入口へ進入できるような場合には、CPU101は算出した自車位置が駐車場入口に位置しているか否かによって、駐車場入口へ進入したか否かを判断する。CPU101は、車両10が駐車場入口に進入したと判断すると、そのときの車両10の位置および進行方位をメモリ102に記憶させるとともに、以降の車両10の走行軌跡の算出および算出した走行軌跡のメモリ102への記録を開始する。なお、車両10の走行軌跡は、ジャイロセンサ11aからの出力に基づく車両10の旋回角度と、加速度センサ11bからの出力に基づく車両10の前後方向の傾斜角度と、車速センサ11dから出力されるパルス信号に基づく車両10の走行距離とに基づいてCPU101が算出する。また、CPU101は、車両10が駐車場入口に進入したと判断すると、駐車場進入フラグに1をセットする。
【0018】
車両10が図2に示す駐車場のスロープを走行して1周し、図3に示すように、駐車場入口の略真上の位置に到達した場合、X−Y平面を地面と略平行な平面(水平面)とすると、X−Y平面に投影した(X−Y平面上の)車両10の位置座標は、駐車場入口の位置座標と略一致する。さらに車両10がスロープを走行して1周し、図4に示すように、再び駐車場入口の略真上の位置に到達した場合、X−Y平面上の車両10の位置座標は、駐車場入口の位置座標と再び略一致する。このように、車両10が同一平面内を走行していると仮定すると、車両10が同じ場所を周回していることになる。すなわち、図2に示す駐車場のスロープを車両10が走行すると、X−Y平面に投影された車両10の位置座標点は、略円形を描くように移動することとなる。
【0019】
そこで、CPU101は、車両10が駐車場入口に進入したと判断した後、算出した車両10の走行軌跡から、車両10が同一平面内を走行していると仮定したときに車両10が同じ場所を周回しているか否かを判断する。具体的には、CPU101は、駐車場進入フラグに1がセットされている場合に、X−Y平面上の車両10の位置座標の推移から、略同じ場所に2回戻ってきたか否かを判断する。たとえば、上述したように、車両10が図2に示す駐車場に進入してスロープを1周走行し、図3に示すように、駐車場入口の略真上の位置に到達した後、さらに車両10がスロープを1周走行すると、図4に示すように、再び駐車場入口の略真上の位置に到達するので、車両10はX−Y平面上で同じ場所に2回戻ってきたこととなる。
【0020】
車両10が同じ場所を周回していると判断されると、CPU101は、車両10が周回(旋回)中であるか否かを示す旋回フラグに1をセットする。また、CPU101は、算出した走行軌跡に基づいて、車両10が周回する走行軌跡の形状を特定する。図2に示すような螺旋状のスロープの場合には、特定される走行軌跡の形状は略円形となる。この場合には、CPU101は、走行軌跡の半径と中心位置の座標を算出する。このようにしてCPU101が形状を特定した走行軌跡のことを周回軌跡(旋回軌跡)と呼ぶ。なお、旋回軌跡は、X−Y平面上の車両10の位置座標の推移から求められるため、X−Y平面上の軌跡として算出される。
【0021】
CPU101は、駐車場進入フラグおよび旋回フラグの双方に1がセットされている場合には、車両10が周回(旋回)を開始した地点(旋回開始地点)からの車両10の走行距離(旋回走行距離)を用いて、旋回開始地点から車両10が旋回軌跡上のどの地点に位置するのかを算出する。すなわち、CPU101は、算出した走行軌跡の半径と中心位置の座標に基づき、旋回開始地点を基点として旋回軌跡上を旋回走行距離だけ辿った地点を車両10の現在位置として算出する。なお、車両10が走行するスロープは傾斜しているため、旋回軌跡上の1周の周長と、車両10がスロープを1周走行するのに要する走行距離との間には差が生じる。そこで、CPU101は、車両10の前後方向の傾斜角度に基づいて、旋回走行距離を補正することで、車両10の旋回軌跡上の位置を求めている。なお、車両10の前後方向の傾斜角度は、上述したように加速度センサ11bからの出力に基づいて算出される。
【0022】
CPU101は、旋回軌跡上の車両10の位置を算出すると、算出した位置における旋回軌跡の接線方向を車両10の進行方向として算出する。CPU101は、車両10の現在位置および進行方向を算出すると、表示モニタ14に表示された地図上に車両10の現在位置を示すカーマークを重畳表示するよう各部を制御する。図5(a)〜(d)は、表示モニタ14に表示されたカーマークの位置および向きと、駐車場のスロープの形状と、旋回軌跡との関係を示す図である。なお、図5(a)〜(d)は、車両10がスロープ上で1/4周ずつ移動した際のカーマーク141の表示位置、向きを示している。図5(a)〜(d)に示すように、カーマーク141は、旋回軌跡上で、旋回軌跡の接線方向を向くように表示モニタ14上で表示される。上述した処理を行うことによって、表示モニタ14にはカーマーク141の位置および向きが正確に表示される。
【0023】
なお、CPU101は、車両10がスロープから離脱したものと判断されると旋回フラグに0をセットするとともに、上述した旋回軌跡上に車両10の現在位置を特定する処理を中止する。そして、CPU101は、従来のカーナビゲーション装置と同様に、ジャイロセンサ11aからの出力に基づく車両10の旋回角度と、加速度センサ11bからの出力に基づく車両10の前後方向の傾斜角度と、車速センサ11dからの出力に基づく車両10の走行距離とに基づいて車両10の現在位置を算出する。これにより、車両10が図2に示すような駐車場内の駐車フロアに進入する際には、従来のカーナビゲーション装置と同様に、車両10の現在位置が算出される。
【0024】
車両10がスロープから離脱したか否か、すなわち、車両が旋回をしなくなったか否かは、次のようにして判断される。たとえば、CPU101は、ジャイロセンサ11aからの出力に基づく車両10の旋回角度と、加速度センサ11bからの出力に基づく車両10の前後方向の傾斜角度と、車速センサ11dからの出力に基づく車両10の走行距離とに基づいて算出される車両10の現在位置が、旋回軌跡から所定の距離以上離れると、車両10がスロープから離脱から離脱したものと判断する。また、上述したように旋回軌跡の形状が略円形であった場合には、CPU101は、ジャイロセンサ11aからの出力に基づいて算出される車両10の旋回角度が所定の角度以上変化すると、車両10がスロープから離脱したものと判断する。
【0025】
上述の説明では、駐車場への進入時について説明したが、駐車場から出場する際にスロープを走行する場合についても同様である。すなわち、車両10が駐車場内の駐車フロアに駐車される際には、上述した処理によって、駐車場進入フラグに1がセットされ、かつ旋回フラグに0がセットされた状態となる。この状態で駐車場のスロープを2周走行すると、上述したように、車両10が同じ場所を周回していると判断されて、旋回フラグに1がセットされる。そして、上述したように、CPU101は、旋回軌跡上で車両10の現在位置を特定し、特定した位置における旋回軌跡の接線方向を車両10の進行方向として決定する。
【0026】
なお、カーナビゲーション装置1では、車両10が駐車場内の駐車フロアに駐車されてイグニッションキーによりカーナビゲーション装置1の電源がオフされても、駐車場進入フラグおよび旋回フラグにセットされた値は、メモリ102で記憶されて保持されるように構成されている。
【0027】
車両10が駐車場から出場すると、X−Y平面上おける車両10の位置座標が旋回軌跡から所定の距離以上離れることになるため、CPU101は、車両10が旋回しなくなったものと判断し、旋回フラグに0をセットする。そして、CPU101は、従来のカーナビゲーション装置と同様に、ジャイロセンサ11aからの出力に基づく車両10の旋回角度と、加速度センサ11bからの出力に基づく車両10の前後方向の傾斜角度と、車速センサ11dからの出力に基づく車両10の走行距離とに基づいて車両10の現在位置を算出する。また、CPU101は、従来のカーナビゲーション装置と同様に算出された車両10の現在位置が、駐車場から所定の距離以上離れると、駐車場進入フラグに0をセットする。
【0028】
−−−フローチャート−−−
図6は、車両10の現在位置を算出して表示モニタ14上に表示する処理の動作を示したフローチャートである。車両の不図示のイグニッションキーによりアクセサリスイッチがオン(ACC ON)されると、カーナビゲーション装置1の電源がオンされて、図6に示す処理を行うプログラムが起動されてCPU101で実行される。なお、このプログラムは、アクセサリスイッチがオンされている間は、適宜繰り返して実行される。ステップS1において、現在地検出装置11からの各情報や、道路地図データに含まれる駐車場の設置位置に関するデータ、各フラグの値などを読み込んでステップS3へ進む。ステップS3において、駐車場進入フラグに1がセットされているか否かを判断する。
【0029】
ステップS3が否定判断されるとステップS5へ進み、ステップS1で読み込んだ現在地検出装置11からの各情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。なお、ステップS5における車両10の現在位置算出処理は、従来の現在位置算出処理と同様であり公知であるため、説明を省略する。ステップS7において、ステップS5で算出した車両10の現在位置と、ステップS1で読み込んだ道路地図データに含まれる駐車場の設置位置に関するデータと、ジャイロセンサ11aからの出力に基づいて、車両10が道路から駐車場入口へ進入したか否かを判断する。
【0030】
ステップS7が否定判断されるとステップS9へ進み、算出された車両10の現在位置をメモリ102に記憶させてステップS11へ進む。ステップS11において、算出された車両10の現在位置に基づいて、表示モニタ14に表示された地図上に車両10の現在位置を示すカーマークを重畳表示するよう各部を制御してリターンする。
【0031】
ステップS3が肯定判断されるか、ステップS7が肯定判断されるとステップS13へ進み、駐車場進入フラグに1をセットしてステップS15へ進む。ステップS15において、旋回フラグに1がセットされているか否かを判断する。ステップS15が否定判断されるとステップS17へ進み、X−Y平面上の車両10の位置座標の推移から、上述したように略同じ場所に2回戻ってきたか否かを判断する。ステップS17が肯定判断されると、旋回フラグに1をセットしてステップS20へ進む。
【0032】
ステップS20において、すでに旋回軌跡の形状が特定されているか否かを判断する。ステップS20が否定判断されるとステップS21へ進み、上述したように旋回軌跡の形状を特定してステップS23へ進む。
【0033】
ステップS21が実行されるか、ステップS20が否定判断されるとステップS23へ進み、上述したように、旋回開始地点を起点として車両10が旋回軌跡上のどの地点に位置するのかを算出して、すなわち、旋回軌跡上の車両10の現在位置を算出してステップS9へ進む。
【0034】
ステップS15が肯定判断されるとステップS25へ進み、車両10がスロープから離脱したか否かを判断する。ステップS25が否定判断されるとステップS21へ進む。ステップS25が肯定判断されるとステップS27へ進み、旋回フラグに0をセットしてステップS29へ進む。ステップS29において、ステップS5と同様にステップS1で読み込んだ現在地検出装置11からの各情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。
【0035】
ステップS29が実行されるとステップS31へ進み、ステップS29で算出した車両10の現在位置と、ステップS1で読み込んだ道路地図データに含まれる駐車場の設置位置に関するデータとに基づいて、車両10が駐車場から出場したか否かを判断する。ステップS31が肯定判断されるとステップS33へ進み、駐車場進入フラグに0をセットしてステップS9へ進む。
【0036】
ステップS31が否定判断されるとステップS9へ進む。ステップS17が否定判断されるとステップS29へ進む。
【0037】
上述したカーナビゲーション装置1では次の作用効果を奏する。
(1) 車両10が同一平面内を走行していると仮定したときに車両10が同じ場所を周回していると判断されると、旋回開始地点を基点として旋回軌跡上を旋回走行距離だけ辿った地点を車両10の現在位置として算出するように構成した。これにより、駐車場で車両10が旋回を繰り返しても、ジャイロセンサ11aの誤差の影響を受けることなく、駐車場内の車両10の位置を正確に算出できる。
【0038】
(2) 車両10の前後方向の傾斜角度に基づいて、旋回走行距離を補正することで、車両10の旋回軌跡上の位置を求めるように構成したので、車両10が走行するスロープの傾斜角度に関わらず、駐車場内の車両10の位置を正確に算出できる。
【0039】
(3) 車両10がスロープから離脱したものと判断されると、上述した旋回軌跡上に車両10の現在位置を特定する処理を中止するように構成した。そして、従来のカーナビゲーション装置と同様に、ジャイロセンサ11aからの出力に基づく車両10の旋回角度と、加速度センサ11bからの出力に基づく車両10の前後方向の傾斜角度と、車速センサ11dからの出力に基づく車両10の走行距離とに基づいて車両10の現在位置を算出するように構成した。これにより、車両10がスロープから駐車場内の駐車フロアに進入する際や、駐車場から出場する際には、従来のカーナビゲーション装置と同様に車両10の現在位置が算出されることになる。そのため、車両10が駐車場のスロープを走行していないにもかかわらず、旋回軌跡上に車両10の現在位置が算出されるということはない。したがって、車両10がスロープから駐車場内の駐車フロアに進入する際や、駐車場から出場する際にも車両10の現在位置および進行方位が正確に算出される。
【0040】
(4) 旋回軌跡上で車両10の現在位置を特定し、特定した位置における旋回軌跡の接線方向を車両10の進行方向として決定するように構成した。これにより、カーマーク141の向きを正確に表示モニタ14に表示できる。
【0041】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、螺旋状のスロープが設けられた駐車場へ入場または出場する場合について説明したが、本発明は、これに限定されない。たとえば、駐車場のスロープ以外にも、ループ状の通路を走行する場合にも本発明を適用できる。なお、ループ状の通路であれば、一般道路や高速道路などの道路であってもよく、建物や施設内の通路であってもよい。
【0042】
(2) 上述の説明では、駐車場のスロープが図2に示すように駐車フロアの外部に設けられているものとして説明しているが、本発明はこれに限定されず、駐車場のスロープが駐車フロアの中に設けられていてもよい。また、スロープの形状は、上方から見たときに略円形となる螺旋状に限らず、自走式立体駐車場の形状に合わせて、上方から見たときに略矩形の形状であってもよい。
(3) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0043】
上述の実施の形態およびその変形例において、たとえば、走行距離検出手段は、車速センサ11dと、カウンタ106と、CPU101とによって実現される。走行軌跡算出手段は、ジャイロセンサ11aと、加速度センサ11bと、車速センサ11dと、A/D変換器104a,104bと、カウンタ106と、CPU101とによって実現される。周回判断手段、周回軌跡特定手段、車両位置特定手段、周回離脱判断手段、および進行方位算出手段は、CPU101およびメモリ102に格納されてCPU101で実行される制御プログラムによって実現される。傾斜角度検出手段は、加速度センサ11bおよびA/D変換器104bに対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】カーナビゲーション装置1の全体構成を示す図である。
【図2】螺旋状のスロープが設けられた自走式立体駐車場の一例を模式的に示す図である。
【図3】図2の駐車場の2階部分のスロープを車両10が走行している状態を示す図である。
【図4】図2の駐車場の3階部分のスロープを車両10が走行している状態を示す図である。
【図5】車両10がスロープ上で1/4周ずつ移動した際のカーマーク141の表示位置、向きを示す図である。
【図6】車両10の現在位置を算出して表示モニタ14上に表示する処理の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 カーナビゲーション装置 10 車両
11 現在地検出装置 11a ジャイロセンサ
11b 加速度センサ 11c GPSセンサ
11d 車速センサ 14 表示モニタ
101 CPU 102 メモリ
104a,b A/D変換器 106 カウンタ
141 カーマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、
車両の走行軌跡を算出する走行軌跡算出手段と、
前記走行軌跡算出手段で算出した前記車両の走行軌跡に基づいて、前記車両が同じ場所を周回しているか否かを判断する周回判断手段と、
前記車両が同じ場所を周回していると前記周回判断手段で判断されると、前記走行軌跡算出手段で算出した前記車両の走行軌跡に基づいて、前記車両が周回する周回軌跡を特定する周回軌跡特定手段と、
前記車両が同じ場所を周回していると前記周回判断手段で判断されると、前記走行距離検出手段で検出した前記車両の走行距離に基づいて、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡上に前記車両の位置を特定する車両位置特定手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記車両の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段をさらに備え、
前記車両位置特定手段は、前記車両が同じ場所を周回していると前記周回判断手段で判断されると、前記走行距離検出手段で検出した前記車両の走行距離と、前記傾斜角度検出手段で検出した前記車両の傾斜角度とに基づいて、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡上に前記車両の位置を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記車両が同じ場所を周回していると前記周回判断手段で判断された後、前記走行軌跡算出手段で算出した前記車両の走行軌跡に基づいて、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡から前記車両が離脱したか否かを判断する周回離脱判断手段をさらに備え、
前記車両位置特定手段は、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡から前記車両が離脱したと前記周回離脱判断手段で判断されると、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡上に前記車両の位置を特定する処理を中止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記車両位置特定手段によって、前記周回軌跡特定手段で特定した前記周回軌跡上に前記車両の位置を特定する際に、前記周回軌跡の接線方向と略一致するように前記車両の進行方向を算出する進行方位算出手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−42155(P2009−42155A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209392(P2007−209392)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】