説明

ナビゲーション装置

【課題】より操作性を向上させることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】保存処理手段150は、ディスプレイ110に表示されている画面が前画面保存画面とされる場合であって操作コストが判断基準値nよりも大きい場合、その画面の直前にディスプレイ110に表示されている画面を自動的にメモリ109に保存する。従って、画面を保存する際にユーザには操作が要求されない。一方、保存画面表示処理手段142は、メモリ109に記憶されている画面をユーザの画面呼び出し操作に基づいてディスプレイ110に表示する。従って、ユーザが画面呼び出し操作をしなければ、不要な画面が表示されないので、操作性が向上する。加えて、保存されている画面が限定されている結果、ユーザは、画面呼び出し操作において所望の画面を選択することが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に関し、特に、ナビゲーション装置の表示装置に表示される画面を制御する技術する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は多くの機能を備えており、その機能の中には、複数回のボタン操作をして所定の画面を表示装置に表示させなければ実行できない機能も存在する。さらに、機能によっては、所定の画面を表示させた後、その画面中の入力欄に文字を入力する必要がある。
【0003】
ところで、車両用のナビゲーション装置には、安全のために、一部の機能については停車中にしか操作できないようになっているものがある。たとえば、ルート設定や現在位置の修正など、操作に比較的時間を要する機能は、停車中にしか操作できないようになっている場合が多い。この種のナビゲーション装置では、停車中にしかできない操作を行っているときに車両が走行を開始すると、操作が途中でできなくなり、走行中に表示することが許可されている所定の画面に強制的に切り替えられる。
【0004】
そこで、停車中にしかできない操作を行っているときに車両が走行を開始した場合、自動的に画面を保存し、且つ、次に車両が停止したら、保存した画面に自動的に切り替えるようにした車両用ナビゲーション装置が提案されている(たとえば特許文献1)。
【0005】
また、ユーザは、ある機能を実行させようと所定の画面を表示させて所定の操作を行ったが、急遽、別な機能を実行させるためにそれまでとは別の画面を表示させる操作をすることがある。この場合において、その別の機能を実行させた後、再度、前の画面を表示させて続きの操作を行いたい場合も考えられる。この続きの操作を行いやすくするために、ユーザ指示に基づいて実行される保存コマンドを設け、操作の途中の画面を保存できるようにしたナビゲーション装置も知られている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特許第2673371号公報
【特許文献2】特許第3770083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、車両走行開始を自動的に検出して画面を自動的に保存し、次に車両が停止したときには、保存した画面を自動的に再表示する装置においては、再表示した画面が、必ずしもユーザが望んでいる画面とはならない可能性があるという問題がある。たとえば、車両走行開始に伴い、目的地を途中まで入力した画面が自動的に保存され、次の車両停止時に、目的地が途中まで入力されている画面が再表示されたが、そのとき既にユーザは目的地を変更している場合などがその例である。この場合、変更した目的地を最初から入力する必要があるが、目的地が途中まで入力されている画面が再表示されてしまうと、却って操作が煩雑になってしまう。この例のように、自動的に画面を再表示してしまうと、操作が却って煩雑になる恐れがあった。
【0007】
ここで、特許文献2のように、ユーザ指示に基づいて保存コマンドを実行するようにすれば、不要な画面を保存し、且つ、不要な画面を再表示してしまうことをある程度は防止することができる。しかし、ユーザ指示に基づいて保存コマンドを実行する場合、ユーザは、車両の走行開始時など、比較的余裕のないときに保存コマンドの実行を指示しなければならない事態も生じる。従って、保存コマンドの実行を指示することができない場合や、この指示のために、保存コマンドの実行と略同時期に行わなければならない他の動作(運転操作など)に対する注意力が低下する場合が考えられる。
【0008】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、より操作性を向上させることができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、表示装置と、その表示装置に種々の画面を表示させる画面表示処理手段とを備えたナビゲーション装置であって、前記表示装置に表示される画面が前記画面表示処理手段によって所定の前画面保存画面とされる場合に、その前画面保存画面の直前に表示されている画面を記憶装置に保存する保存処理手段を備え、且つ、前記画面表示処理手段は、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて、前記記憶装置に保存されている画面を前記表示装置に表示させる保存画面表示処理手段を有していることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、保存処理手段により、表示装置に表示されている画面が自動的に記憶装置に保存されるので、画面を保存する際にユーザには操作が要求されない。また、記憶装置に記憶されている画面は自動的に表示されるのではなく、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて表示装置に表示される。従って、保存されている画面を表示させる必要がないと判断したときには、ユーザは画面呼び出し操作をしなければ、不要な画面が表示されないので、操作性が向上する。
【0011】
しかも、保存処理手段において記憶装置に保存される画面は、所定の前画面保存画面が表示される直前の画面に限られているので、画面を保存するための処理負荷が軽減するとともに、記憶容量を節約することができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション装置であって、前記保存処理手段は、前記記憶装置に複数の前記画面を蓄積して保存するようになっており、前記保存画面表示処理手段は、前記記憶装置に記憶されている複数の画面のうち、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて特定される一つの画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする。
【0013】
このように、複数の画面を保存するようにしておき、且つ、複数の画面から表示装置に表示させる画面をユーザ操作によって選択できるようにしておけば、特に操作性が向上する。加えて、記憶装置に保存されている画面は、全て、前画面保存画面の直前に表示されていた画面であるので、後のユーザ操作によって選択される可能性が低い画面が保存されてしまうことも抑制できる。従って、ユーザにとっては、画面呼び出し操作において所望の画面を選択することが容易となる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2項に記載のナビゲーション装置において、前記保存処理手段は、前記表示装置に表示される画面が所定の前画面保存画面とされる場合であって、且つ、所定の基準画面から、その前画面保存画面の直前に表示されている画面へ切り替えるためにユーザが操作する必要がある操作回数が所定回数よりも多いことに基づいて、その前画面保存画面の直前に表示されている画面を前記記憶装置に記憶することを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、前画面保存画面に切り替えられる場合であっても、基準画面から所定回数以下で表示させることができる画面は保存されないことになる。基準画面から所定回数以下で表示させることができる画面は、画面呼び出し操作をしなくても容易に表示させることができるので、ユーザが画面呼び出し操作をすることによって再表示させられる可能性は低い。この請求項3のようにすれば、上記再表示させられる可能性が低い画面が、画面呼び出し操作によって呼び出すことができる画面から除外されることになるので、ユーザにとっては、画面呼び出し操作によって、所望する画面を表示させやすくなる。
【0016】
上記前画面保存画面としては、たとえば、請求項4、5記載の画面がある。その請求項4は、車両に用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、車両走行開始を検知する走行開始検知手段を備え、前記画面表示処理手段は、前記走行開始検知手段によって車両走行開始が検知されたときに表示装置に表示されている画面が予め設定されている走行中表示禁止画面である場合、表示装置に表示させる画面を所定の走行開始画面に切り替えるようになっており、前記保存処理手段は、前記走行開始画面を前記前画面保存画面として、その走行開始画面の直前に表示装置に表示されている前記走行中表示禁止画面を前記記憶装置に保存することを特徴とする。
【0017】
また、請求項5は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、前記画面表示処理手段は、ショートカットボタンが操作された場合には、そのショートカットボタンが操作されたときに前記表示装置に表示されている画面に関係なく、そのショートカットボタンに対応したショートカット画面を表示するようになっており、前記保存処理手段は、前記ショートカット画面を前記前画面保存画面として、そのショートカット画面の直前に表示装置に表示されている画面を前記記憶装置に保存することを特徴とする。
【0018】
走行開始画面の直前に表示装置に表示されている走行中表示禁止画面や、ショートカット画面の直前に表示されている画面は、通常の操作によって再度表示させようとする場合に、多数回のボタン操作(または音声操作)を必要とする可能性が高い。そのため、記憶装置に保存しておき、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて表示装置に表示させることができるようにしておく意義が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された車載ナビゲーション装置100の構成を説明する図である。車載ナビゲーション装置100は、位置検出器101、地図データ記憶装置106、操作スイッチ群107、メモリ109、ディスプレイ110、DSRC通信装置111、音声コントローラ112、スピーカ113、音声認識装置114、マイク115、リモコンセンサ116、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)117と、これら各装置が接続されたECU108とを備えている。
【0020】
ECU108は、内部に周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、ECU108が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0021】
位置検出器101は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ102、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ103、車両の走行距離を検出する距離センサ104、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機105を有している。これらのセンサ等102、103、104、105は、いずれも周知のものである。これらのセンサ等102、103、104、105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等102、103、104、105により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器101を構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0022】
地図データ記憶装置106には、たとえばDVD、ハードディスクなどの図示しないディスク型の記憶媒体を有している。記憶媒体にはデジタル地図データが記憶されており、地図データ記憶装置106は、その記憶媒体に記憶されているデジタル地図データに含まれている各種データをECU108へ出力する。
【0023】
操作スイッチ群107は、ディスプレイ110と一体になったタッチスイッチもしくはディスプレイ110の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。リモコン117には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群107と同様の入力操作が行える。リモコン117に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ116を介してECU108へ供給される。
【0024】
メモリ109は、請求項の記憶装置に相当するものであり、たとえば、EEPROMなどの書き込み可能な記憶媒体である。このメモリ109に画面データが保存される。画面データとは、ディスプレイ110に表示されている画面(画像)のデータである。画面に入力欄(入力フィールド)が設けられており、その入力欄に文字が表示されている場合にはその文字のコードデータも画面データの一部である変数データとして保存される。また、車載機器の動作状態を選択的に設定する(たとえば、オン/オフを選択的に設定する)機器設定欄が画面に設けられている場合、その機器設定欄の選択状態を示す変数も変数データ(すなわち画面データの一部)として保存される。また、メモリ109には、他に、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、音声データ等も記憶される。
【0025】
ディスプレイ110は、請求項の表示装置に相当するものであり、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成される。このディスプレイ110には、ユーザ操作に基づいて、また、車両走行状態に応じて、種々の画面が表示される。たとえば、経路案内中には、所定の地図表示領域に車両周辺の道路地図が表示され、目的地設定モードにおいては、目的地を入力する入力フィールドを含む目的地設定画面が表示される。また、このナビゲーション装置100が音楽再生機能を備えている場合には、再生可能な音楽を示す再生リスト画面も表示される。この再生リスト画面としては、ジャンル別、アーティスト別などの大分類が表示される画面と、その大分類が表示される画面にて特定のジャンル等が選択された後に表示されるより詳細な分類の画面とが存在し、再生リスト画面は、多数種類の画面が階層構造に構成されている。なお、音楽データは、たとえばメモリ109に記憶されるが、地図データ記憶装置106が備えている記憶媒体の記憶領域を一部、音楽データ用の記憶領域としてもよい。
【0026】
通信装置111は、車両外部の通信装置と無線通信を行う装置であり、たとえば、VICS(Vehicle Information and Communication System)の外部通信装置との間で通信を行う。
【0027】
スピーカ113は、音声コントローラ112から入力された音声出力信号に基づき種々のメッセージを外部に出力する。このスピーカ113から出力されるメッセージとしては、経路案内のためのメッセージ、画面操作説明のためのメッセージ、音声認識結果を表すメッセージなどがある。
【0028】
マイク115は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置114に入力する。音声認識装置114は、マイク115から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ112に入力する。
【0029】
音声コントローラ112は、音声認識装置114を制御するとともに、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ113を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置114の認識結果をECU108に入力する処理も行う。
【0030】
ECU108は、ECU108に入力される信号に基づいて種々の処理を実行する。ECU108が実行する処理としては、たとえば、位置検出器101からの信号に基づいて車両の現在位置を逐次決定する位置決定処理がある。また、ECU108に入力される信号としては、ユーザの入力操作に基づく信号があり、ユーザの入力操作に基づいてECU108が実行する処理としては、たとえば、メニュー表示処理、地図縮尺変更処理、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理、現在位置修正処理、音楽再生処理などがある。また、ECU108は上記種々の処理に伴い、ディスプレイ110に種々の画面を表示する画面表示処理を実行するとともに、所定の条件が成立したらディスプレイ110に表示している画面をメモリ109に保存する処理も実行する。さらに、ECU108には、車速パルス信号が逐次供給されるようになっており、この車速パルス信号に基づいて、車両の停止・走行開始を検知する。
【0031】
図2は、ECU108が実行する機能のうち、本発明に関する機能を示すブロック図である。図2に示すように、ECU108は、走行開始検知手段130と、画面表示手段140と、保存処理手段150とを備えている。なお、入力装置120は、ユーザがECU108に対して指示を入力することができる装置であり、図1の操作スイッチ群107、リモコン117、マイク115、リモコン117またはマイク115に入力された指示をECU108に伝達するための装置であるリモコンセンサ116、音声認識装置114、音声コントローラ112を意味する。
【0032】
走行開始検知手段130は、ECU108に逐次供給される車速パルス信号に基づいて、車両の停止および走行開始を検知する。
【0033】
画面表示処理手段140は、ディスプレイ110に種々の画面を表示させる。たとえば、経路案内処理を実行中であれば、車両の現在位置を中心とする所定範囲の地図データを地図データ記憶装置106から読み出して、ディスプレイ110の地図表示領域に現在位置を中心とする道路地図を表示する。なお、現在位置は位置検出器101からの情報に基づいて決定する。また、入力装置120から信号が入力された場合には、その信号に基づいて定まる画面をディスプレイ110に表示する。
【0034】
また、画面表示処理手段140は、走行開始検知手段130によって車両走行開始が検知されたときにディスプレイ110に表示している画面が予め設定された走行中表示禁止画面である場合、画面を所定の走行開始画面に切り替える。上記走行中表示禁止画面には、たとえば、目的地設定画面、現在位置修正画面などが設定されており、画面に基づく操作に比較的時間がかかる画面が、安全上の観点から走行中表示禁止画面に設定される。
【0035】
また、画面表示処理手段140は、入力装置120からショートカットボタンが押されたことを示す信号が入力された場合には、そのときディスプレイ110に表示している画面がどの画面であっても、ショートカットボタンに対応したショートカット画面を表示する。上記ショートカットボタンは、メカニカルなスイッチとして操作スイッチ群107やリモコン117に設けられていてもよいし、ディスプレイ110に表示されるボタンでもよい。また、ショートカットボタンは、一つであってもよいし複数であってもよい。ショートカットボタンとしては、たとえば、「現在地ボタン」が設けられる。この「現在地ボタン」が押下されたことを示す信号が入力された場合、その押下時に表示されている画面がどの画面であっても、ディスプレイ110に現在地を中心とする地図を表示する。
【0036】
また、この画面表示処理手段140は保存画面表示処理手段142を備えている。保存画面表示処理手段142は、メモリ109に記憶されている複数の画面から、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて特定される一つの画面をディスプレイ110に表示させる。なお、メモリ109に画面を保存する処理は保存処理手段150が実行する。この保存処理手段150については後述する。
【0037】
ユーザの画面呼び出し操作は、入力装置120に対する複数回の操作からなり、最初の操作が行われると、メモリ109に記憶されている画面データに基づいて、図3に示すような操作履歴画面をディスプレイ110に表示する。図3の操作履歴画面には、画面中央付近に、2つの画面情報欄200、210が設けられている。
【0038】
この画面情報欄200、210の中には、ID番号201、211、保存日時202、212、画面階層情報203、213が表示されている。ID番号201、211は、メモリ109に保存されている画面に対して、保存日時順など所定の規則に従って付与される固有の番号である。保存日時202、212は、画面が保存された日時を示している。画面階層情報203、213は、トップ画面(起動時に表示される画面)を基準として保存されている画面の階層を示している。また、下側の画面情報欄210の画面階層情報213には、画面内の所定の入力欄に入力されている文字も示されている。
【0039】
上記画面情報欄200、210の左横には、メモリ109に記憶されている複数の画面のうち、各画面情報欄200、210に対応した画面の縮小画面204、214が表示されている。画面情報欄200、210の右横にはスクロールバー220が表示されており、このスクロールバー220がユーザによって操作された場合、保存画面表示処理手段142は、それまで表示されているものとは別の画面に対する画面情報(ID番号、保存日時、画面階層情報)および縮小画面を操作履歴画面に表示させる。
【0040】
図3の操作履歴画面には、他に、並べ替えボタン230と戻るボタン240とが表示されている。並べ替えボタン230が操作されと、保存画面表示処理手段142は、メモリ109に記憶されている複数の画面に対する画面情報を昇順から降順へ、またはその逆に降順から昇順へ並べ変えて表示させる。戻るボタン240が操作されると、保存画面表示処理手段142は、画面を操作履歴画面の前に表示していた画面に切り替える。
【0041】
この操作履歴画面が表示されている状態において、ある画面情報または縮小画面がユーザの選択操作によって選択された場合、保存画面表示処理手段142は、選択された画面をディスプレイ110に表示させて処理を終了する。なお、選択操作は、たとえば、ディスプレイ110をタッチ操作することによって行う。
【0042】
図2に戻り、保存処理手段150は、所定の条件が成立した場合にディスプレイ110に表示されている画面を、メモリ109に保存する処理である。図4は、この保存処理手段150における処理をフローチャートにして示す図である。この図4を用いて保存処理手段150を説明する。
【0043】
図4に示す処理は、画面遷移イベントの発生によって開始するようになっている。この画面遷移イベントとは、ECU108に入力される信号によって、画面表示処理手段140が、ディスプレイ110に表示している画面を別な画面に切り替える処理を実行することを意味する。
【0044】
ステップS10では保存イベントか否かを判断する。保存イベントとは、画面表示処理手段140が画面を保存する必要がある処理を意味し、画面を保存する必要がある処理とは、所定の前画面保存画面をディスプレイ110に表示させる処理を意味する。本実施形態では、この前画面保存画面として、前述の走行開始画面およびショートカット画面が設定されている。
【0045】
保存イベントではない場合、すなわち、ディスプレイ110に表示される画面が前画面保存画面でない場合には図4の処理を終了する。一方、保存イベントである場合には、ステップS20へ進む。
【0046】
ステップS20では、操作コストが、予め設定された判断基準値nよりも大きいか否かを判断する。ここで、操作コストとは、所定の基準画面から、前画面保存画面の直前に表示されていた画面を表示させるために、ユーザが入力装置120を操作する必要がある操作回数を意味する。基準画面はここではトップ画面とされている。ただし、各種処理を実行する際に最初に表示される画面など、種々設定可能である。また、基準画面が予め設定されているので、操作コストも予め設定しておくことが可能である。ただし、画面に入力欄が設けられており、その入力欄に文字が入力されている場合や、機器設定欄が設けられている場合には、操作コストを都度算出することになる。なお、全ての場合において操作コストを都度算出してもよい。
【0047】
上記操作コストが判断基準値n以下である場合には、ステップS20を否定判断して図4の処理を終了する。一方、操作コストが判断基準値nよりも大きい場合には、処理をステップS30へ進める。
【0048】
ステップS10およびステップS20がともに肯定判断となるのは、画面呼び出し操作を用いない通常の操作で前画面保存画面の直前の画面を表示させようとした場合、比較的多くの操作回数を要する場合である。そこで、後に画面呼び出し操作によって再表示可能とするために、ステップS30以降を実行して、前画面保存画面の直前に表示されていた画面を保存するのである。
【0049】
ステップS30では、保存しようとしている画面(すなわち、前画面保存画面の直前に表示されていた画面)のデータと重複するデータがメモリ109に保存されているか否かを判断する。
【0050】
重複データであるか否かの判断は次のようにして行う。まず、保存しようとしている画面のデータに、前述の変数データ(画面の入力欄に入力された文字、機器設定欄の選択状態を示す変数)がない場合には、保存しようとする画面データと完全に一致するデータがメモリ109に保存されているか否かの判断を行い、完全に一致するデータが保存されていなければ、重複データはないと判断する。
【0051】
また、保存しようとしている画面のデータに変数データが含まれている場合、画面データのうち変数データ以外(以下、固定データという)のデータが保存されているか否かを判断する。この固定データが保存されていなければ、重複データなしと判断する。
【0052】
固定データが保存されている場合には、変数データについての一致・不一致をさらに判断する。この判断は、具体的には、次の(1)〜(3)の判断を行うものである。
(1)保存しようとする画面データの変数データと、保存されている画面データの変数データとが部分的にも重複しない場合、および、部分的に一致するに過ぎない場合には一致しないと判断する。たとえば、保存しようとする変数データが「愛知県刈谷市」で、保存されている変数データが「愛知県名古屋市」である場合、部分的に一致するに過ぎないので、一致しないと判断する。変数データが一致しない場合には、重複データはなしと判断することになる。
(2)保存しようとする画面データの変数データが、保存されている画面データの変数データを完全に包含している場合、すなわち、保存しようとする画面データの変数データは、保存されている画面データの変数データとその保存されている画面データの変数データにはないデータとからなっている場合には、一致していると判断する。たとえば、保存しようとする変数データが「愛知県刈谷市昭和町」で、保存されている変数データが「愛知県刈谷市」である場合、一致していると判断する。変数データが一致している場合には、重複しているデータがあると判断する。
(3)上記(2)とは逆の場合、すなわち、保存しようとする画面データの変数データが、保存されている画面データの変数データに完全に包含されている場合も、一致していると判断する。たとえば、保存しようとする変数データが「愛知県刈谷市」で、保存されている変数データが「愛知県刈谷市昭和町」である場合も、一致していると判断する。
【0053】
上記ステップS30が肯定判断となる場合には、ステップS40へ進んで画面データを上書きするとともに保存日時(上書き日時)、画面階層情報も記憶し、且つ、その画面データにID番号を付与する。その後、図4の処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS30が否定判断である場合にはステップS50へ進み、画面データを保存するためのメモリ109の保存領域に、保存しようとしている画面データを保存できるだけの空き領域があるか否かを判断する。
【0055】
このステップS50が否定判断である場合にはステップS60へ進む。ステップS60では、メモリ109に保存されている画面データのうち、優先順位が最も低いデータを削除する。優先順位は種々の規則に基いて設定可能であり、たとえば、保存日時、操作コスト、使用率のいずれかを用いて決定することができる。保存日時を用いる場合には、保存日時が新しいものほど優先順位を上位とする。操作コストを用いる場合には、操作コストが大きいものほど優先順位を上位とする。使用率を用いる場合には、使用率が高いものほど優先順位を上位とする。ステップS60を実行後はステップS50へ戻る。これによって、初回のステップS50は否定判断となったとしても、ステップS50乃至S60を繰り返すことにより、いずれはステップS50が肯定判断となる。
【0056】
ステップS50が肯定判断である場合にはステップS70へ進む。ステップS70では、保存しようとしている画面データをメモリ109の画面データ保存領域に保存する。このステップS70においても、ステップS40と同様に、画面データとともに保存日時、画面階層情報も記憶し、且つ、その画面データにID番号を付与する。ステップS70を実行後は、図4の処理を終了する。
【0057】
以上、説明した本実施形態によれば、ディスプレイ110に表示されている画面が前画面保存画面とされる場合であって操作コストが判断基準値nよりも大きい場合、その画面の直前にディスプレイ110に表示されている画面が自動的にメモリ109に保存され、画面を保存する際にユーザには操作が要求されない。また、メモリ109に記憶されている画面は自動的に表示されるのではなく、ユーザの画面呼び出し操作によってディスプレイ110に表示される。従って、保存されている画面を表示させる必要がないと判断したときには、ユーザは画面呼び出し操作をしなければ、不要な画面が表示されないので、操作性が向上する。
【0058】
また、メモリ109に保存される画面は前画面保存画面が表示される直前の画面であって操作コストが判断基準値よりも大きい場合に限られているので、画面を保存するための処理負荷が軽減するとともに、記憶容量を節約することができる。さらに、保存する画面を限定することにより、後のユーザ操作によって選択される可能性が低い画面が保存されてしまうことも抑制でき、これによって、ユーザは、画面呼び出し操作において所望の画面を選択することが容易となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
たとえば、前述の実施形態では、保存領域に空きがなくなった場合に画面データを削除していたが、画面データの数に上限を設け、その上限を超える場合に優先順位が最も低いデータを削除してもよい。また、保存日時または最も近い再表示日時からの経過時間が所定時間を経過した場合にデータを削除するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明が適用された車載ナビゲーション装置100の構成を説明する図である。
【図2】図1のECU108が実行する機能のうち、本発明に関する機能を示すブロック図である。
【図3】ユーザの画面呼び出し操作によってディスプレイ110に表示される操作履歴画面を例示する図である。
【図4】図2の保存処理手段150における処理をフローチャートにして示す図である。
【符号の説明】
【0062】
100:車載ナビゲーション装置、 109:メモリ(記憶装置)、 110:ディスプレイ(表示装置)、 120:入力装置、 130:走行開始検知手段、 140:画面表示処理手段、 142:保存画面表示処理手段、 150:保存処理手段、 200:画面情報欄、 201:ID番号、 202:保存日時、 203:画面階層情報、 204:縮小画面、 210:画面情報欄、 211:ID番号、 212:保存日時、 213:画面階層情報、 214:縮小画面、 220:スクロールバー、 230:並べ替えボタン、 240:戻るボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、その表示装置に種々の画面を表示させる画面表示処理手段とを備えたナビゲーション装置であって、
前記表示装置に表示される画面が前記画面表示処理手段によって所定の前画面保存画面とされる場合に、その前画面保存画面の直前に表示されている画面を記憶装置に保存する保存処理手段を備え、且つ、
前記画面表示処理手段は、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて、前記記憶装置に保存されている画面を前記表示装置に表示させる保存画面表示処理手段を有していることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記保存処理手段は、前記記憶装置に複数の前記画面を蓄積して保存するようになっており、
前記保存画面表示処理手段は、前記記憶装置に記憶されている複数の画面のうち、ユーザの画面呼び出し操作に基づいて特定される一つの画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記保存処理手段は、前記表示装置に表示される画面が所定の前画面保存画面とされる場合であって、且つ、所定の基準画面から、その前画面保存画面の直前に表示されている画面へ切り替えるためにユーザが操作する必要がある操作回数が所定回数よりも多いことに基づいて、その前画面保存画面の直前に表示されている画面を前記記憶装置に記憶することを特徴とする請求項2項に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
車両に用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
車両走行開始を検知する走行開始検知手段を備え、
前記画面表示処理手段は、前記走行開始検知手段によって車両走行開始が検知されたときに表示装置に表示されている画面が予め設定されている走行中表示禁止画面である場合、表示装置に表示させる画面を所定の走行開始画面に切り替えるようになっており、
前記保存処理手段は、前記走行開始画面を前記前画面保存画面として、その走行開始画面の直前に表示装置に表示されている前記走行中表示禁止画面を前記記憶装置に保存することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
前記画面表示処理手段は、ショートカットボタンが操作された場合には、そのショートカットボタンが操作されたときに前記表示装置に表示されている画面に関係なく、そのショートカットボタンに対応したショートカット画面を表示するようになっており、
前記保存処理手段は、前記ショートカット画面を前記前画面保存画面として、そのショートカット画面の直前に表示装置に表示されている画面を前記記憶装置に保存することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−69015(P2009−69015A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238284(P2007−238284)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】