ハイブリッド自動車
【課題】二次電池の蓄電割合の管理の様子を運転者が把握できるようにする。
【解決手段】エンジンから出力される動力とモータから入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリの蓄電割合SOCが目標割合SOC*に近づくと共に要求トルクによって走行するようエンジンと二つのモータとを制御する。そして、このときには(S710)、バッテリの蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報と目標割合SOC*を示す目標割合情報とをディスプレイ90に表示する(S730)。これにより、蓄電割合情報と目標割合情報とを運転者が把握できるようにすることによってバッテリの蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【解決手段】エンジンから出力される動力とモータから入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリの蓄電割合SOCが目標割合SOC*に近づくと共に要求トルクによって走行するようエンジンと二つのモータとを制御する。そして、このときには(S710)、バッテリの蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報と目標割合SOC*を示す目標割合情報とをディスプレイ90に表示する(S730)。これにより、蓄電割合情報と目標割合情報とを運転者が把握できるようにすることによってバッテリの蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、走行用の動力を出力可能な内燃機関と、内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、発電機および電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と内燃機関から出力される動力と電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンと、第1のモータジェネレータと、エンジンと第1のモータジェネレータと車輪とに接続された動力分割機構と、車輪に接続された第2のモータジェネレータと、第1のモータジェネレータや第2のモータジェネレータと電力をやりとりする蓄電装置と、情報を表示する表示部とを備え、エンジンに燃料を供給する燃料タンクの燃料残量と蓄電装置の蓄電残量とを表示部に表示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、燃料残量と蓄電残量とのうちしきい値以下に低下したものに対応する表示のみを点滅させることにより、その旨を運転者に報知(警告)している。なお、このハイブリッド自動車では、エンジンを動作させて走行するHVモードで走行するときには、エンジンの動力を用いて発電を行なうことにより、蓄電装置のSOCが規定値に近づくよう蓄電装置の充放電を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−247081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のハイブリッド自動車では、蓄電装置の現在の蓄電残量については運転者が把握することができるものの、蓄電装置の蓄電残量が目標残量(例えば、上述の規定値など)に近づくよう蓄電残量を管理しているときのその管理の様子については運転者が把握することができない、という課題があった。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、二次電池の蓄電割合の管理の様子を運転者が把握できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、前記電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車であって、
情報を表示可能な表示手段と、
前記ハイブリッド走行によって走行するとき、前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
前記蓄電割合を示す情報と前記目標割合を示す情報とが表示されるよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、内燃機関から出力される動力と電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御し、蓄電割合を示す情報と目標割合を示す情報とが表示されるよう表示手段を制御する。したがって、蓄電割合に加えて目標割合も運転者が把握できるようにすることによって二次電池の蓄電割合の管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【0009】
こうした発明のハイブリッド自動車において、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動時に前記蓄電割合が第1所定割合以上のときには走行に伴って前記蓄電割合が前記第1の所定割合より小さな第2の所定割合未満に至るまでは前記ハイブリッド走行よりも前記電動走行を優先して走行する電動走行優先モードを走行モードに設定し、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しないときには前記電動走行よりも前記ハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する走行モード設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記蓄電割合が前記第2の所定割合未満に至ったことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記第2の所定割合以上で前記第1の所定割合より小さな第3の所定割合を前記目標割合に設定する手段である、ものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記ハイブリッド走行優先モードの設定であるハイブリッド設定と該ハイブリッド設定の解除とを指示するハイブリッド設定スイッチを備え、前記走行モード設定手段は、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しているときに前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたときには、前記ハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する手段であり、前記制御手段は、前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときの前記蓄電割合を前記目標割合に設定する手段である、ものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】ハイブリッド用電子制御ユニット70により電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】ハイブリッド用電子制御ユニット70によりハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。
【図8】バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89の状態と走行モードとエンジン22の回転数Neとの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。
【図9】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図10】ディスプレイ90に情報を表示する様子の一例を示す説明図である。
【図11】ディスプレイ90に情報を表示する様子の一例を示す説明図である。
【図12】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号(例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなど)を入力すると共にエンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号(例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流など)を入力すると共にインバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50と、バッテリ50を管理するのに必要な信号(例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからの端子間電圧Vbやバッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなど)を入力するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、インバータ41,42が接続された電力ライン(以下、高電圧系電力ラインという)54aとシステムメインリレー56を介してバッテリ50が接続された電力ライン(以下、電池電圧系電力ラインという)54bとに接続されて電池電圧系電力ライン54bの電力を昇圧して高電圧系電力ライン54aに供給したり高電圧系電力ライン54aの電力を降圧して電池電圧系電力ライン54bに供給したりする昇圧コンバータ55と、電池電圧系電力ライン54bに取り付けられて家庭用電源などの外部電源からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50を充電可能な充電器60と、車両全体をコントロールする制御するハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。
【0013】
エンジンECU24は、エンジン22を駆動制御するだけでなく、クランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数即ちエンジン22の回転数Neを演算したりしている。また、モータECU40は、インバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御するだけでなく、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算したりしている。バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50に蓄えられている蓄電量の全容量(蓄電容量)に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cにより検出された電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0014】
充電器60は、リレー62を介して電池電圧系電力ライン54bに接続されており、電源コード68を介して供給される外部電源からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ66と、AC/DCコンバータ66からの直流電力の電圧を変換して電池電圧系電力ライン54bに供給するDC/DCコンバータ64と、を備える。
【0015】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、電源コード68が外部電源に接続されているか否かを検出する接続検出センサ69からの接続検出信号,高電圧系電力ライン54aに取り付けられたコンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからの電圧(高電圧系の電圧)VH,電池電圧系電力ライン54bに取り付けられたコンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからの電圧(電池電圧系の電圧)VL,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,電動走行優先モードをキャンセルしてハイブリッド走行優先モードを設定する電動走行優先モードキャンセルスイッチ(以下、EV優先キャンセルSWという)89からのキャンセル信号EVCNなどが入力ポートを介して入力されている。ここで、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードについては後述する。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧コンバータ55への駆動制御信号や、システムメインリレー56やリレー62への駆動信号,AC/DCコンバータ66やDC/DCコンバータ64への駆動制御信号,情報を表示するディスプレイ90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0016】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
【0017】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定した充電ポイントに到達するときにエンジン22の始動については十分に行なうことができる程度にバッテリ50の蓄電割合SOCが低くなるように走行中にバッテリ50の充放電の制御を行ない、自宅や予め設定した充電ポイントで車両をシステム停止した後に充電器60の電源コード68を家庭用電源などの外部電源に接続し、充電器60のAC/DCコンバータ66やDC/DCコンバータ64を制御することによって外部電源からの電力によりバッテリ50を満充電や満充電より低い所定の充電状態とする。
【0018】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド用電子制御ユニット70により、エンジン運転モードによる走行(ハイブリッド走行)に比してモータ運転モードによる走行(電動走行)を優先して走行する電動走行優先モードまたは電動走行に比してハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定して走行する。図2は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、システム起動したときに実行される。
【0019】
走行モード設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたバッテリ50の蓄電割合SOCをバッテリECU52から通信により入力すると共に(ステップS100)、入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを、ある程度の電動走行が可能な蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Sref1(例えば40%や50%など)と比較し(ステップS110)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1以上のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定する(ステップS120)。
【0020】
続いて、バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89からのキャンセル信号EVCNとを入力すると共に(ステップS130)、入力したキャンセル信号EVCNがオンであるかオフであるかを判定し(ステップS140)、キャンセル信号EVCNがオフのときには、バッテリ50の蓄電割合SOCを、閾値Sref1より小さく且つエンジン22の始動を十分に行なうことができる程度の蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Sref2(例えば、20%や30%など)と比較し(ステップS150)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2以上のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定して(ステップS160)、ステップS130に戻る。こうして電動走行優先モードで走行してバッテリ50の蓄電割合SOCが低下して閾値Sref2未満に至ると(ステップS150)、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、バッテリ50の蓄電割合SOCの管理のために用いる目標割合SOC*に予め定めた所定割合Sset(例えば、閾値Sref2やこれより若干高い値など)を設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。こうしてバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shv未満になったことによってハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定したときには、システム停止までハイブリッド走行優先モードを走行モードに継続して設定する。
【0021】
一方、電動走行優先モードを走行モードに設定しているときに運転者によってEV優先キャンセルSW89がオンとされると、ステップS140でキャンセル信号EVCNがオンであると判定され、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定し(ステップS180)、前回に入力したキャンセル信号(前回EVCN)がオンであるかオフであるかを判定し(ステップS190)、前回のキャンセル信号(前回EVCN)がオフであるときには、EV優先キャンセルSW89がオンとなった直後であると判断してステップS130で入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定して(ステップS200)、ステップS130に戻り、ステップS180で前回のキャンセル信号(前回EVCN)がオンであるときには、EV優先キャンセルSW89がオンとなった直後ではないと判断して目標割合SOC*を設定せずにステップS130に戻る。即ち、実施例では、電動走行優先モードを走行モードに設定しているときに運転者によってEV優先キャンセルSW89がオンとされたときには、走行モードをハイブリッド走行優先モードに切り替えたときの蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するのである。その後、運転者によってEVキャンセルSW89がオフとされると、ステップS140でキャンセル信号EVCNがオフであると判定され、上述したように、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2以上のときには電動走行優先モードを走行モードとして設定して(ステップS150,S160)、ステップS130に戻り、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2未満に至ると、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0022】
ステップS110でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1未満のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定することなく、ハイブリッド走行優先モードを走行モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0023】
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードで走行するときの動作について説明する。図3は、電動走行優先モードが走行モードに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、ハイブリッド走行優先モードが走行モードに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行されるハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、まず、電動走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明し、その後、ハイブリッド走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明する。
【0024】
図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG2の回転数Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOCなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG2の回転数Nm2は、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0025】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nr(モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数など)を乗じて走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*を設定する(ステップS310)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。
【0026】
続いて、入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定し(ステップS312)、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*とに基づいて充放電要求パワーPb*を設定し(ステップS314)、設定した充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じてエンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*を設定し(ステップS316)、電力を駆動系のパワーに換算する換算係数kwをバッテリ50の出力制限Woutに乗じて得られる出力制限相当パワー(kw・Wout)をエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS320)。充放電要求パワー設定用マップの一例を図6に示す。充放電要求パワーPb*は、図示するように、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*より大きいときには蓄電割合SOCが大きいほど絶対値が大きくなる傾向に放電用(正の値)のパワーが設定され、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*より小さいときには蓄電割合SOCが小さいほど絶対値が大きくなる傾向に充電用(負の値)のパワーが設定される。このように充放電要求パワーPb*を設定することにより、蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるよう充放電要求パワーPb*を設定することができる。なお、本ルーチンでは、ステップS312の処理でバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するため、充放電要求パワーPb*には値0が設定される。
【0027】
続いて、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS330)、エンジン22が運転停止中であるときには、設定した走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS340)、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS350)、要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS360)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS370)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、モータMG2から駆動軸32に要求トルクTr*を出力して走行することができる。
【0028】
ステップS340で走行用パワーPdrv*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動すべきと判断し、エンジン22を始動する(ステップS380)。そして、エンジン22を始動すると、エンジン要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS400)。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図7に示す。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とは、図示するように、動作ラインとエンジン要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
【0029】
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*と回転数Neとエンジン22の目標トルクTe*とに基づいて式(1)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS410)、要求トルクTr*にモータMG1のトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ30のギヤ比ρで除したものを加えてモータMG2のトルク指令Tm2*を次式(2)により計算し(ステップS420)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。ここで、式(1)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第1項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k2」は積分項のゲインである。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイント(目標運転ポイント)で運転されるようエンジン22の燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの制御を行なう。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22からエンジン要求パワーPe*を出力しながら駆動軸32に要求トルクTr*を出力して走行することができる。
【0030】
Tm1*=k1・(Ne*-Ne)+k2・∫(Ne*-Ne)dt (1)
Tm2*=Tr*+Tm1*/ρ (2)
【0031】
こうしてエンジン22からの動力を用いての走行(ハイブリッド走行)を開始すると、次回にこのルーチンが実行されたときにはステップS330でエンジン22は運転中であると判定されるから、走行用パワーPdrv*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーαを減じた値と比較する(ステップS390)。ここで、所定パワーαは、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができる。走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*(本ルーチンでは値0)を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS400〜S430)、本ルーチンを終了する。一方、走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値未満であると判定されたときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS440)、電動走行によって走行するよう、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータECU40に送信して(ステップS350〜S370)、本ルーチンを終了する。
【0032】
次に、ハイブリッド走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明する。図4のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度Accや車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG2の回転数Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,目標割合SOC*など制御に必要なデータを入力し(ステップS500)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nrを乗じて走行用パワーPdrv*を設定し(ステップS510)、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*とに基づいて充放電要求パワーPb*を設定し(ステップS514)、設定した充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じてエンジン要求パワーPe*を設定する(ステップS516)。これらの処理は、ステップS500の処理で目標割合SOC*を入力する点を除いて、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS300,S310,S314,S316の処理と同様の処理である。目標割合SOC*は、図2の走行モード設定ルーチンのステップS200で設定された値(EV優先キャンセルSW89がオンとされたことによって走行モードを電動走行優先モードからハイブリッド走行優先モードに切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOC)またはステップS220の処理で設定された値(所定割合Sset)を入力するものとした。
【0033】
続いて、エンジン22を効率よく運転することができるパワー領域の下限値として予め設定されたHV優先時判定パワーPhvをエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS520)。ここで、HV優先時判定パワーPhvは、実施例では、電動走行優先モードが走行モードに設定されていて電池温度Tbが常温(例えば20℃や25℃など)のときの出力制限相当パワー(kw・Wout)の下限値(電池温度Tbが常温でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2のときの出力制限相当パワー(kw・Wout)、以下、EV優先時判定下限パワーPevという)よりも小さな値が設定されるものとした。
【0034】
そして、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS530)、エンジン22が運転停止中であるときには、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS540)、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断し、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS350〜S370の処理と同様に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して(ステップS550〜S570)、本ルーチンを終了する。
【0035】
ステップS540でエンジン要求パワーPe*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動すべきと判断し、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS380の処理と同様に、エンジン22を始動する(ステップ480)。そして、エンジン22を始動すると、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS400〜S430の処理と同様に、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS600〜S630)、本ルーチンを終了する。
【0036】
こうしてエンジン22からの動力を用いての走行を開始すると、次回にこのルーチンが実行されたときにはステップS530でエンジン22は運転中であると判定されるから、エンジン要求パワーPe*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーβを減じた値と比較する(ステップS590)。ここで、所定パワーβは、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができ、前述した所定パワーαと同一の値を用いても構わない。エンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS600〜S630)、本ルーチンを終了する。一方、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じて得られる値未満であると判定されたときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS670)、電動走行によって走行するよう、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して(ステップS550〜S570)、本ルーチンを終了する。
【0037】
以上、駆動制御について説明した。上述したように、電動走行優先モードが走行モードに設定されているときには、基本的には、走行用パワーPdrv*が出力制限相当パワー(kw・Wout)以下のときには電動走行によって走行し、走行用パワーPdrv*が出力制限相当パワー(kw・Wout)より大きいときには走行用パワーPdrv*に等しいエンジン要求パワーPe*をエンジン22から出力して走行するハイブリッド走行によって走行する。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCを小さくする。また、ハイブリッド走行優先モードが走行モードに設定されているときには、基本的には、バッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*とするための充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じて得られるエンジン要求パワーPe*がEV優先時判定下限パワーPevよりも小さなHV優先時判定パワーPhv以下のときには電動走行によって走行し、エンジン要求パワーPe*がHV優先時判定パワーPhvより大きいときにはエンジン要求パワーPe*をエンジン22から出力してバッテリ50の充放電を伴って走行するハイブリッド走行によって走行する。これにより、ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50の充放電が行なわれる。
【0038】
図8は、バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89の状態と走行モードとエンジン22の回転数Neとの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。図から分かるように、電動走行優先モードで走行している最中にEV優先キャンセルスイッチ89がオンとされると(時刻t1)、走行モードをハイブリッド走行優先モードに切り替えると共にそのときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定し、ハイブリッド走行によって走行するときにバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようにバッテリ50を充放電しながら走行する。そして、その後に、EV優先キャンセルSW89がオフとされると(時刻t2)、走行モードを電動走行優先モードに切り替えて走行し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2未満に至ると(時刻t3)、走行モードを優先モードに切り替えると共に所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定し、ハイブリッド走行によって走行するときにバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50を充放電しながら走行する。
【0039】
次に、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードで走行するときにディスプレイ90に情報を表示する動作について説明する。図9は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。表示制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、電動走行によって走行しているときに値0が設定されると共にハイブリッド走行によって走行しているときに値1が設定されるハイブリッド走行フラグFhvを入力すると共に(ステップS700)、入力したハイブリッド走行フラグFhvの値を調べ(ステップS710)、ハイブリッド走行フラグFhvが値0のとき、即ち、電動走行によって走行しているときには、図10に例示するように、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92をディスプレイ90に表示出力して(ステップS720)、本ルーチンを終了する。一方、ハイブリッド走行フラグFhvが値1のとき、即ち、ハイブリッド走行によって走行しているときには、図11に例示するように、蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とを共にディスプレイ90に表示出力して(ステップS730)、本ルーチンを終了する。なお、目標割合情報94は、図11の例では、図形(三角形)で表示するものとしたが、文字(例えば、「蓄電割合の目標値は60%です。」など)や記号などで表示するものとしてもよい。実施例では、上述したように、ハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するが、運転者のアクセル操作や車両の走行状態などによってはバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*に対して一時的に比較的大きく増加したり減少したりすることがある。このため、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものでは(図10参照)、運転者は、目標割合SOC*を把握することができず、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50が充放電されているときでもその様子を把握することが困難である。実施例では、この点を改善するために、ハイブリッド走行によって走行するときに、図11に例示するように、蓄電割合情報92に加えて目標割合情報94もディスプレイ90に表示するものとした。これにより、蓄電割合SOCに加えて目標割合SOC*も運転者が把握できるようにすることができ、バッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。特に、電動走行優先モードで走行している最中に運転者がEV優先キャンセルSW89がオンとしたときには、運転者が、バッテリ50の蓄電割合SOCを比較的低下させやすい電動走行優先モードでの走行ではなくバッテリ50の蓄電割合SOCをそれほど低下させずに走行可能なハイブリッド走行優先モードでの走行を所望していると考えられるため、蓄電割合情報92に加えて目標割合情報94もディスプレイ90に表示してバッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることの意義が大きい。なお、エンジン22を運転停止して電動走行によって走行しているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようにバッテリ50を充放電させることはできないため、実施例では、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものとした。
【0040】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示するから、蓄電割合情報92と目標割合情報94とを運転者が把握できるようにすることによってバッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行しているときには、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものとしたが、ハイブリッド走行優先モードで電動走行によって走行するときには、図2の走行モード設定ルーチンのステップS200またはステップS220で設定された値を目標割合情報94としてディスプレイ90に表示するものとしてもよい。なお、電動走行優先モードで電動走行するときについては、そもそも電動走行優先モードが一般に次回のシステム停止までにバッテリ50の蓄電割合SOCを減少させることを目的とするモードであり、目標割合SOC*が一定値とはならないため(図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS312の処理参照)、目標割合情報94をディスプレイ90に表示する必要はないと考えられる。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードで走行しているときには、エンジン22が運転中であるか否かに拘わらずにそのとき(図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンの実行時)のバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしたが、エンジン22を始動するときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードで走行している最中にEV優先キャンセルSW89がオンとされて走行モードを電動走行優先モードに切り替えたときには、走行モードを切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしたが、走行モードを切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOCと予め定められた上限値Slim(例えば、60%や70%,80%など)とのうち小さい方を目標割合SOC*に設定するものとしてもよい。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、EV優先キャンセルSW89を備えるものとしたが、こうしたスイッチを備えないものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動輪39a,39bに連結された駆動軸32に出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸32が接続された車軸(駆動輪39a,39bに接続された車軸)とは異なる車軸(図12における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0046】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、ディスプレイ90が「表示手段」に相当し、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンや図4のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信すると共に受信した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からモータのトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると共に受信したトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示する図9の表示制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「表示制御手段」に相当する。
【0047】
ここで、本発明の「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関からの動力を用いて発電可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、発電機や電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「表示手段」としては、ディスプレイ90に限定されるものではなく、情報を表示可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、ハイブリッド走行によって走行するとき、二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「表示制御手段」としては、ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示するものに限定されるものではなく、蓄電割合を示す情報と目標割合を示す情報とが表示されるよう表示手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0048】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0049】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、54a 高電圧系電力ライン、54b 電池電圧系電力ライン、55 昇圧コンバータ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 充電器、62 リレー、64 DC/DCコンバータ、66 AC/DCコンバータ、68 電源コード、69 接続検出センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 EV優先キャンセルスイッチ、90 ディスプレイ、MG1,MG2 モータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、走行用の動力を出力可能な内燃機関と、内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、発電機および電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と内燃機関から出力される動力と電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンと、第1のモータジェネレータと、エンジンと第1のモータジェネレータと車輪とに接続された動力分割機構と、車輪に接続された第2のモータジェネレータと、第1のモータジェネレータや第2のモータジェネレータと電力をやりとりする蓄電装置と、情報を表示する表示部とを備え、エンジンに燃料を供給する燃料タンクの燃料残量と蓄電装置の蓄電残量とを表示部に表示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、燃料残量と蓄電残量とのうちしきい値以下に低下したものに対応する表示のみを点滅させることにより、その旨を運転者に報知(警告)している。なお、このハイブリッド自動車では、エンジンを動作させて走行するHVモードで走行するときには、エンジンの動力を用いて発電を行なうことにより、蓄電装置のSOCが規定値に近づくよう蓄電装置の充放電を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−247081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のハイブリッド自動車では、蓄電装置の現在の蓄電残量については運転者が把握することができるものの、蓄電装置の蓄電残量が目標残量(例えば、上述の規定値など)に近づくよう蓄電残量を管理しているときのその管理の様子については運転者が把握することができない、という課題があった。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、二次電池の蓄電割合の管理の様子を運転者が把握できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、前記電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車であって、
情報を表示可能な表示手段と、
前記ハイブリッド走行によって走行するとき、前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
前記蓄電割合を示す情報と前記目標割合を示す情報とが表示されるよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、内燃機関から出力される動力と電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御し、蓄電割合を示す情報と目標割合を示す情報とが表示されるよう表示手段を制御する。したがって、蓄電割合に加えて目標割合も運転者が把握できるようにすることによって二次電池の蓄電割合の管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【0009】
こうした発明のハイブリッド自動車において、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動時に前記蓄電割合が第1所定割合以上のときには走行に伴って前記蓄電割合が前記第1の所定割合より小さな第2の所定割合未満に至るまでは前記ハイブリッド走行よりも前記電動走行を優先して走行する電動走行優先モードを走行モードに設定し、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しないときには前記電動走行よりも前記ハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する走行モード設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記蓄電割合が前記第2の所定割合未満に至ったことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記第2の所定割合以上で前記第1の所定割合より小さな第3の所定割合を前記目標割合に設定する手段である、ものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記ハイブリッド走行優先モードの設定であるハイブリッド設定と該ハイブリッド設定の解除とを指示するハイブリッド設定スイッチを備え、前記走行モード設定手段は、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しているときに前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたときには、前記ハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する手段であり、前記制御手段は、前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときの前記蓄電割合を前記目標割合に設定する手段である、ものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】ハイブリッド用電子制御ユニット70により電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】ハイブリッド用電子制御ユニット70によりハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。
【図8】バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89の状態と走行モードとエンジン22の回転数Neとの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。
【図9】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図10】ディスプレイ90に情報を表示する様子の一例を示す説明図である。
【図11】ディスプレイ90に情報を表示する様子の一例を示す説明図である。
【図12】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号(例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなど)を入力すると共にエンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号(例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流など)を入力すると共にインバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50と、バッテリ50を管理するのに必要な信号(例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからの端子間電圧Vbやバッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなど)を入力するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、インバータ41,42が接続された電力ライン(以下、高電圧系電力ラインという)54aとシステムメインリレー56を介してバッテリ50が接続された電力ライン(以下、電池電圧系電力ラインという)54bとに接続されて電池電圧系電力ライン54bの電力を昇圧して高電圧系電力ライン54aに供給したり高電圧系電力ライン54aの電力を降圧して電池電圧系電力ライン54bに供給したりする昇圧コンバータ55と、電池電圧系電力ライン54bに取り付けられて家庭用電源などの外部電源からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50を充電可能な充電器60と、車両全体をコントロールする制御するハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。
【0013】
エンジンECU24は、エンジン22を駆動制御するだけでなく、クランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数即ちエンジン22の回転数Neを演算したりしている。また、モータECU40は、インバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御するだけでなく、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算したりしている。バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50に蓄えられている蓄電量の全容量(蓄電容量)に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cにより検出された電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0014】
充電器60は、リレー62を介して電池電圧系電力ライン54bに接続されており、電源コード68を介して供給される外部電源からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ66と、AC/DCコンバータ66からの直流電力の電圧を変換して電池電圧系電力ライン54bに供給するDC/DCコンバータ64と、を備える。
【0015】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、電源コード68が外部電源に接続されているか否かを検出する接続検出センサ69からの接続検出信号,高電圧系電力ライン54aに取り付けられたコンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからの電圧(高電圧系の電圧)VH,電池電圧系電力ライン54bに取り付けられたコンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからの電圧(電池電圧系の電圧)VL,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,電動走行優先モードをキャンセルしてハイブリッド走行優先モードを設定する電動走行優先モードキャンセルスイッチ(以下、EV優先キャンセルSWという)89からのキャンセル信号EVCNなどが入力ポートを介して入力されている。ここで、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードについては後述する。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧コンバータ55への駆動制御信号や、システムメインリレー56やリレー62への駆動信号,AC/DCコンバータ66やDC/DCコンバータ64への駆動制御信号,情報を表示するディスプレイ90への表示信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0016】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
【0017】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定した充電ポイントに到達するときにエンジン22の始動については十分に行なうことができる程度にバッテリ50の蓄電割合SOCが低くなるように走行中にバッテリ50の充放電の制御を行ない、自宅や予め設定した充電ポイントで車両をシステム停止した後に充電器60の電源コード68を家庭用電源などの外部電源に接続し、充電器60のAC/DCコンバータ66やDC/DCコンバータ64を制御することによって外部電源からの電力によりバッテリ50を満充電や満充電より低い所定の充電状態とする。
【0018】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド用電子制御ユニット70により、エンジン運転モードによる走行(ハイブリッド走行)に比してモータ運転モードによる走行(電動走行)を優先して走行する電動走行優先モードまたは電動走行に比してハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定して走行する。図2は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、システム起動したときに実行される。
【0019】
走行モード設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたバッテリ50の蓄電割合SOCをバッテリECU52から通信により入力すると共に(ステップS100)、入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを、ある程度の電動走行が可能な蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Sref1(例えば40%や50%など)と比較し(ステップS110)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1以上のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定する(ステップS120)。
【0020】
続いて、バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89からのキャンセル信号EVCNとを入力すると共に(ステップS130)、入力したキャンセル信号EVCNがオンであるかオフであるかを判定し(ステップS140)、キャンセル信号EVCNがオフのときには、バッテリ50の蓄電割合SOCを、閾値Sref1より小さく且つエンジン22の始動を十分に行なうことができる程度の蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Sref2(例えば、20%や30%など)と比較し(ステップS150)、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2以上のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定して(ステップS160)、ステップS130に戻る。こうして電動走行優先モードで走行してバッテリ50の蓄電割合SOCが低下して閾値Sref2未満に至ると(ステップS150)、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、バッテリ50の蓄電割合SOCの管理のために用いる目標割合SOC*に予め定めた所定割合Sset(例えば、閾値Sref2やこれより若干高い値など)を設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。こうしてバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shv未満になったことによってハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定したときには、システム停止までハイブリッド走行優先モードを走行モードに継続して設定する。
【0021】
一方、電動走行優先モードを走行モードに設定しているときに運転者によってEV優先キャンセルSW89がオンとされると、ステップS140でキャンセル信号EVCNがオンであると判定され、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定し(ステップS180)、前回に入力したキャンセル信号(前回EVCN)がオンであるかオフであるかを判定し(ステップS190)、前回のキャンセル信号(前回EVCN)がオフであるときには、EV優先キャンセルSW89がオンとなった直後であると判断してステップS130で入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定して(ステップS200)、ステップS130に戻り、ステップS180で前回のキャンセル信号(前回EVCN)がオンであるときには、EV優先キャンセルSW89がオンとなった直後ではないと判断して目標割合SOC*を設定せずにステップS130に戻る。即ち、実施例では、電動走行優先モードを走行モードに設定しているときに運転者によってEV優先キャンセルSW89がオンとされたときには、走行モードをハイブリッド走行優先モードに切り替えたときの蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するのである。その後、運転者によってEVキャンセルSW89がオフとされると、ステップS140でキャンセル信号EVCNがオフであると判定され、上述したように、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2以上のときには電動走行優先モードを走行モードとして設定して(ステップS150,S160)、ステップS130に戻り、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2未満に至ると、ハイブリッド走行優先モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0022】
ステップS110でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref1未満のときには、電動走行優先モードを走行モードに設定することなく、ハイブリッド走行優先モードを走行モードを走行モードに設定すると共に(ステップS210)、所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。
【0023】
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードで走行するときの動作について説明する。図3は、電動走行優先モードが走行モードに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、ハイブリッド走行優先モードが走行モードに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行されるハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、まず、電動走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明し、その後、ハイブリッド走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明する。
【0024】
図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG2の回転数Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOCなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG2の回転数Nm2は、回転位置検出センサ44により検出されたモータMG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0025】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nr(モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数など)を乗じて走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*を設定する(ステップS310)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。
【0026】
続いて、入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定し(ステップS312)、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*とに基づいて充放電要求パワーPb*を設定し(ステップS314)、設定した充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じてエンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*を設定し(ステップS316)、電力を駆動系のパワーに換算する換算係数kwをバッテリ50の出力制限Woutに乗じて得られる出力制限相当パワー(kw・Wout)をエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS320)。充放電要求パワー設定用マップの一例を図6に示す。充放電要求パワーPb*は、図示するように、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*より大きいときには蓄電割合SOCが大きいほど絶対値が大きくなる傾向に放電用(正の値)のパワーが設定され、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*より小さいときには蓄電割合SOCが小さいほど絶対値が大きくなる傾向に充電用(負の値)のパワーが設定される。このように充放電要求パワーPb*を設定することにより、蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるよう充放電要求パワーPb*を設定することができる。なお、本ルーチンでは、ステップS312の処理でバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するため、充放電要求パワーPb*には値0が設定される。
【0027】
続いて、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS330)、エンジン22が運転停止中であるときには、設定した走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS340)、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS350)、要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS360)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS370)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、モータMG2から駆動軸32に要求トルクTr*を出力して走行することができる。
【0028】
ステップS340で走行用パワーPdrv*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動すべきと判断し、エンジン22を始動する(ステップS380)。そして、エンジン22を始動すると、エンジン要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS400)。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図7に示す。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とは、図示するように、動作ラインとエンジン要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
【0029】
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*と回転数Neとエンジン22の目標トルクTe*とに基づいて式(1)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS410)、要求トルクTr*にモータMG1のトルク指令Tm1*をプラネタリギヤ30のギヤ比ρで除したものを加えてモータMG2のトルク指令Tm2*を次式(2)により計算し(ステップS420)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。ここで、式(1)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第1項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k2」は積分項のゲインである。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイント(目標運転ポイント)で運転されるようエンジン22の燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの制御を行なう。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22からエンジン要求パワーPe*を出力しながら駆動軸32に要求トルクTr*を出力して走行することができる。
【0030】
Tm1*=k1・(Ne*-Ne)+k2・∫(Ne*-Ne)dt (1)
Tm2*=Tr*+Tm1*/ρ (2)
【0031】
こうしてエンジン22からの動力を用いての走行(ハイブリッド走行)を開始すると、次回にこのルーチンが実行されたときにはステップS330でエンジン22は運転中であると判定されるから、走行用パワーPdrv*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーαを減じた値と比較する(ステップS390)。ここで、所定パワーαは、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができる。走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*(本ルーチンでは値0)を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS400〜S430)、本ルーチンを終了する。一方、走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値未満であると判定されたときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS440)、電動走行によって走行するよう、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してモータECU40に送信して(ステップS350〜S370)、本ルーチンを終了する。
【0032】
次に、ハイブリッド走行優先モードで走行するときの駆動制御について説明する。図4のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度Accや車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG2の回転数Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,目標割合SOC*など制御に必要なデータを入力し(ステップS500)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に設定した要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nrを乗じて走行用パワーPdrv*を設定し(ステップS510)、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*とに基づいて充放電要求パワーPb*を設定し(ステップS514)、設定した充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じてエンジン要求パワーPe*を設定する(ステップS516)。これらの処理は、ステップS500の処理で目標割合SOC*を入力する点を除いて、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS300,S310,S314,S316の処理と同様の処理である。目標割合SOC*は、図2の走行モード設定ルーチンのステップS200で設定された値(EV優先キャンセルSW89がオンとされたことによって走行モードを電動走行優先モードからハイブリッド走行優先モードに切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOC)またはステップS220の処理で設定された値(所定割合Sset)を入力するものとした。
【0033】
続いて、エンジン22を効率よく運転することができるパワー領域の下限値として予め設定されたHV優先時判定パワーPhvをエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS520)。ここで、HV優先時判定パワーPhvは、実施例では、電動走行優先モードが走行モードに設定されていて電池温度Tbが常温(例えば20℃や25℃など)のときの出力制限相当パワー(kw・Wout)の下限値(電池温度Tbが常温でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2のときの出力制限相当パワー(kw・Wout)、以下、EV優先時判定下限パワーPevという)よりも小さな値が設定されるものとした。
【0034】
そして、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS530)、エンジン22が運転停止中であるときには、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS540)、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断し、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS350〜S370の処理と同様に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して(ステップS550〜S570)、本ルーチンを終了する。
【0035】
ステップS540でエンジン要求パワーPe*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動すべきと判断し、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS380の処理と同様に、エンジン22を始動する(ステップ480)。そして、エンジン22を始動すると、図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS400〜S430の処理と同様に、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS600〜S630)、本ルーチンを終了する。
【0036】
こうしてエンジン22からの動力を用いての走行を開始すると、次回にこのルーチンが実行されたときにはステップS530でエンジン22は運転中であると判定されるから、エンジン要求パワーPe*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーβを減じた値と比較する(ステップS590)。ここで、所定パワーβは、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができ、前述した所定パワーαと同一の値を用いても構わない。エンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*を減じて得られるエンジン要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されて走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS600〜S630)、本ルーチンを終了する。一方、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じて得られる値未満であると判定されたときには、エンジン22の運転を停止し(ステップS670)、電動走行によって走行するよう、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信して(ステップS550〜S570)、本ルーチンを終了する。
【0037】
以上、駆動制御について説明した。上述したように、電動走行優先モードが走行モードに設定されているときには、基本的には、走行用パワーPdrv*が出力制限相当パワー(kw・Wout)以下のときには電動走行によって走行し、走行用パワーPdrv*が出力制限相当パワー(kw・Wout)より大きいときには走行用パワーPdrv*に等しいエンジン要求パワーPe*をエンジン22から出力して走行するハイブリッド走行によって走行する。これにより、バッテリ50の蓄電割合SOCを小さくする。また、ハイブリッド走行優先モードが走行モードに設定されているときには、基本的には、バッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*とするための充放電要求パワーPb*を走行用パワーPdrv*から減じて得られるエンジン要求パワーPe*がEV優先時判定下限パワーPevよりも小さなHV優先時判定パワーPhv以下のときには電動走行によって走行し、エンジン要求パワーPe*がHV優先時判定パワーPhvより大きいときにはエンジン要求パワーPe*をエンジン22から出力してバッテリ50の充放電を伴って走行するハイブリッド走行によって走行する。これにより、ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50の充放電が行なわれる。
【0038】
図8は、バッテリ50の蓄電割合SOCとEV優先キャンセルSW89の状態と走行モードとエンジン22の回転数Neとの時間変化の様子を模式的に示す説明図である。図から分かるように、電動走行優先モードで走行している最中にEV優先キャンセルスイッチ89がオンとされると(時刻t1)、走行モードをハイブリッド走行優先モードに切り替えると共にそのときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定し、ハイブリッド走行によって走行するときにバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようにバッテリ50を充放電しながら走行する。そして、その後に、EV優先キャンセルSW89がオフとされると(時刻t2)、走行モードを電動走行優先モードに切り替えて走行し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref2未満に至ると(時刻t3)、走行モードを優先モードに切り替えると共に所定割合Ssetを目標割合SOC*に設定し、ハイブリッド走行によって走行するときにバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50を充放電しながら走行する。
【0039】
次に、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードで走行するときにディスプレイ90に情報を表示する動作について説明する。図9は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される表示制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。表示制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、電動走行によって走行しているときに値0が設定されると共にハイブリッド走行によって走行しているときに値1が設定されるハイブリッド走行フラグFhvを入力すると共に(ステップS700)、入力したハイブリッド走行フラグFhvの値を調べ(ステップS710)、ハイブリッド走行フラグFhvが値0のとき、即ち、電動走行によって走行しているときには、図10に例示するように、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92をディスプレイ90に表示出力して(ステップS720)、本ルーチンを終了する。一方、ハイブリッド走行フラグFhvが値1のとき、即ち、ハイブリッド走行によって走行しているときには、図11に例示するように、蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とを共にディスプレイ90に表示出力して(ステップS730)、本ルーチンを終了する。なお、目標割合情報94は、図11の例では、図形(三角形)で表示するものとしたが、文字(例えば、「蓄電割合の目標値は60%です。」など)や記号などで表示するものとしてもよい。実施例では、上述したように、ハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するが、運転者のアクセル操作や車両の走行状態などによってはバッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*に対して一時的に比較的大きく増加したり減少したりすることがある。このため、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものでは(図10参照)、運転者は、目標割合SOC*を把握することができず、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようバッテリ50が充放電されているときでもその様子を把握することが困難である。実施例では、この点を改善するために、ハイブリッド走行によって走行するときに、図11に例示するように、蓄電割合情報92に加えて目標割合情報94もディスプレイ90に表示するものとした。これにより、蓄電割合SOCに加えて目標割合SOC*も運転者が把握できるようにすることができ、バッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。特に、電動走行優先モードで走行している最中に運転者がEV優先キャンセルSW89がオンとしたときには、運転者が、バッテリ50の蓄電割合SOCを比較的低下させやすい電動走行優先モードでの走行ではなくバッテリ50の蓄電割合SOCをそれほど低下させずに走行可能なハイブリッド走行優先モードでの走行を所望していると考えられるため、蓄電割合情報92に加えて目標割合情報94もディスプレイ90に表示してバッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることの意義が大きい。なお、エンジン22を運転停止して電動走行によって走行しているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となるようにバッテリ50を充放電させることはできないため、実施例では、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものとした。
【0040】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示するから、蓄電割合情報92と目標割合情報94とを運転者が把握できるようにすることによってバッテリ50の蓄電割合SOCの管理の様子を運転者が把握できるようにすることができる。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行しているときには、目標割合情報94をディスプレイ90に表示しないものとしたが、ハイブリッド走行優先モードで電動走行によって走行するときには、図2の走行モード設定ルーチンのステップS200またはステップS220で設定された値を目標割合情報94としてディスプレイ90に表示するものとしてもよい。なお、電動走行優先モードで電動走行するときについては、そもそも電動走行優先モードが一般に次回のシステム停止までにバッテリ50の蓄電割合SOCを減少させることを目的とするモードであり、目標割合SOC*が一定値とはならないため(図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS312の処理参照)、目標割合情報94をディスプレイ90に表示する必要はないと考えられる。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードで走行しているときには、エンジン22が運転中であるか否かに拘わらずにそのとき(図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンの実行時)のバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしたが、エンジン22を始動するときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしてもよい。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、電動走行優先モードで走行している最中にEV優先キャンセルSW89がオンとされて走行モードを電動走行優先モードに切り替えたときには、走行モードを切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOCを目標割合SOC*に設定するものとしたが、走行モードを切り替えたときのバッテリ50の蓄電割合SOCと予め定められた上限値Slim(例えば、60%や70%,80%など)とのうち小さい方を目標割合SOC*に設定するものとしてもよい。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、EV優先キャンセルSW89を備えるものとしたが、こうしたスイッチを備えないものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動輪39a,39bに連結された駆動軸32に出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸32が接続された車軸(駆動輪39a,39bに接続された車軸)とは異なる車軸(図12における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0046】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、ディスプレイ90が「表示手段」に相当し、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図3の電動走行優先モード駆動制御ルーチンや図4のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信すると共に受信した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からモータのトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると共に受信したトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示する図9の表示制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「表示制御手段」に相当する。
【0047】
ここで、本発明の「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関からの動力を用いて発電可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、発電機や電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「表示手段」としては、ディスプレイ90に限定されるものではなく、情報を表示可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、エンジン22から出力される動力とモータMG2から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行によって走行するときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが目標割合SOC*となると共に要求トルクTr*によって走行するようエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、ハイブリッド走行によって走行するとき、二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「表示制御手段」としては、ハイブリッド走行によって走行するときに、バッテリ50の蓄電割合SOCを示す蓄電割合情報92と目標割合SOC*を示す目標割合情報94とをディスプレイ90に表示するものに限定されるものではなく、蓄電割合を示す情報と目標割合を示す情報とが表示されるよう表示手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0048】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0049】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、54a 高電圧系電力ライン、54b 電池電圧系電力ライン、55 昇圧コンバータ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、60 充電器、62 リレー、64 DC/DCコンバータ、66 AC/DCコンバータ、68 電源コード、69 接続検出センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 EV優先キャンセルスイッチ、90 ディスプレイ、MG1,MG2 モータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、前記電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車であって、
情報を表示可能な表示手段と、
前記ハイブリッド走行によって走行するとき、前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
前記蓄電割合を示す情報と前記目標割合を示す情報とが表示されるよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、
システム起動時に前記蓄電割合が第1所定割合以上のときには走行に伴って前記蓄電割合が前記第1の所定割合より小さな第2の所定割合未満に至るまでは前記ハイブリッド走行よりも前記電動走行を優先して走行する電動走行優先モードを走行モードに設定し、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しないときには前記電動走行よりも前記ハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する走行モード設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記蓄電割合が前記第2の所定割合未満に至ったことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記第2の所定割合以上で前記第1の所定割合より小さな第3の所定割合を前記目標割合に設定する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
前記ハイブリッド走行優先モードの設定であるハイブリッド設定と該ハイブリッド設定の解除とを指示するハイブリッド設定スイッチを備え、
前記走行モード設定手段は、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しているときに前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたときには、前記ハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する手段であり、
前記制御手段は、前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときの前記蓄電割合を前記目標割合に設定する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項1】
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関からの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備え、前記電動機から出力される動力だけを用いて走行する電動走行と前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車であって、
情報を表示可能な表示手段と、
前記ハイブリッド走行によって走行するとき、前記二次電池に蓄えられている蓄電量の全容量に対する割合である蓄電割合が目標割合となると共に走行に要求される要求トルクによって走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
前記蓄電割合を示す情報と前記目標割合を示す情報とが表示されるよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えるハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、
システム起動時に前記蓄電割合が第1所定割合以上のときには走行に伴って前記蓄電割合が前記第1の所定割合より小さな第2の所定割合未満に至るまでは前記ハイブリッド走行よりも前記電動走行を優先して走行する電動走行優先モードを走行モードに設定し、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しないときには前記電動走行よりも前記ハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する走行モード設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記蓄電割合が前記第2の所定割合未満に至ったことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記第2の所定割合以上で前記第1の所定割合より小さな第3の所定割合を前記目標割合に設定する手段である、
ハイブリッド自動車。
【請求項3】
請求項2記載のハイブリッド自動車であって、
前記ハイブリッド走行優先モードの設定であるハイブリッド設定と該ハイブリッド設定の解除とを指示するハイブリッド設定スイッチを備え、
前記走行モード設定手段は、前記電動走行優先モードを前記走行モードに設定しているときに前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたときには、前記ハイブリッド走行優先モードを前記走行モードに設定する手段であり、
前記制御手段は、前記ハイブリッド設定スイッチにより前記ハイブリッド設定が指示されたことによって前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときには、前記走行モード設定手段により前記ハイブリッド走行優先モードが前記走行モードに設定されたときの前記蓄電割合を前記目標割合に設定する手段である、
ハイブリッド自動車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−106672(P2012−106672A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258079(P2010−258079)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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