説明

ハイブリッド車両

【課題】ハイブリッド車両において、速度が急減した場合に、蓄電装置の過充電を防止した上で、回転電機の過回転を防止する。
【解決手段】速度急変検出部535で速度急変が検出されたときに、充電電力許容値設定部540において、モータジェネレータMG1の回転速度に応じて、充電電力演算部550により演算される充電電力Pbを制限する充電電力許容値Pinを過変に設定する。そして、充電電力Pbが充電電力許容値Pinに達したときに、トルク指令修正部560にて、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1をモータジェネレータMG1による回生発電が減少するように修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関し、より特定的には、ハイブリッド車両の回転電機の過回転防止制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両の一態様としては、遊星歯車機構の回転要素にエンジン,第1モータジェネレータ,第2モータジェネレータ,出力軸が接続されるとともに、2つのモータジェネレータにインバータを介してバッテリが接続されたものが提案されている。
【0003】
たとえば、特開2004−153946号公報(特許文献1)では、このようなハイブリッド車両において、2つのモータジェネレータのいずれかの回転速度が過回転と判断された場合に、過回転と判断されたモータジェネレータの回転速度が低下するようエンジンの目標回転速度を増減してエンジン動作点を決定し、決定した動作点でエンジンが運転されるようエンジンと2つのモータジェネレータを制御する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−153946号公報
【特許文献2】特開2005−313865号公報
【特許文献3】特開2005−318780号公報
【特許文献4】特開2007−176295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載された駆動系を有するハイブリッド車両においては、急ブレーキ等により第2モータジェネレータの回転速度が急激に減少する場合に、エンジンのイナーシャにより、エンジン回転速度の減少が追従できないため、第1モータジェネレータの回転速度が増加してしまい過回転となってしまう場合がある。またこの過回転を抑制するために、第1モータジェネレータに対して回転速度を低下させる方向のトルクを増加させると、回生発電による蓄電装置への充電電力が増加し、蓄電装置の過充電となってしまう場合がある。そのため、第1モータジェネレータの過回転および蓄電装置の過充電のバランスをとりつつ、両者を抑制することが必要となる。
【0006】
特に、近年、蓄電装置にリチウムイオン電池が採用される場合が増加しつつあるが、リチウムイオン電池の場合、過充電が電池の故障や劣化の原因となりやすいため、さらに厳格な過充電防止が必要とされる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、ハイブリッド車両において、速度が急減した場合に、蓄電装置の過充電を防止した上で回転電機の過回転を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるハイブリッド車両は、車輪と、エンジンと、第1の回転電機と、第2の回転電機と、動力分割機構と、蓄電装置と、制御装置とを備える。エンジンは、車両に与える駆動力を発生する。第1の回転電機は、トルク指令値に従った回生発電を行なう。第2の回転電機は、車輪を駆動するための駆動軸に接続され、力行動作時に車両に与える駆動力を発生するとともに、回生動作時に回生発電を行なうように構成されている。動力分割機構は、第1の回転電機の回転軸に連動する第1の回転要素、エンジンの回転軸に連動する第2の回転要素および駆動軸に連動する第3の回転要素を有する。蓄電装置は、回生発電によって発生した回生電力によって充電される。制御装置は、トルク指令値を生成するとともに、エンジン、第1および第2の回転電機を制御する。また、制御装置は、第1および第2の回転電機の回転速度を検出するように構成された速度検出部と、第2の回転電機の減速度を演算するように構成された減速度演算部と、第1および第2の回転電機の動作状態に基づいて蓄電装置の充電電力を演算するように構成された充電電力演算部と、減速度が所定の値を超える急減速が発生し、かつ第1の回転電機の回転速度が所定の基準値よりも大きくなった速度急変状態を検出するように構成された速度急変検出部と、速度急変状態が検出された場合に、少なくとも第1の回転電機の回転速度に応じて、充電電力許容値を可変に設定するように構成された充電電力許容値設定部と、速度急変状態が検出された場合に、充電電力が充電電力許容値に達すると、第1の回転電機の回転上昇を抑制するように設定されたトルク指令値について、第1の回転電機の回生電力を減少させるようなトルク指令値の修正を開始するトルク指令修正部とを含む。
【0009】
上記のハイブリッド車両によれば、車輪の回転速度(すなわちモータジェネレータMG2の回転速度)が急減速した際に、第1の回転電機であるモータジェネレータMG1の回生トルクによってモータジェネレータMG1の回転速度の上昇が抑制される一方で、モータジェネレータMG1の回転速度に応じて、充電電力を制限する充電電力許容値を過変に設定することができる。そして、モータジェネレータMG1,MG2により発電される充電電力がこの充電電力許容値に達したときに、モータジェネレータMG1のトルク指令値をモータジェネレータMG1による回生発電が減少するように修正することで、モータジェネレータMG1のトルク指令値の修正を開始するタイミングを可変に設定することができる。この結果、急減速発生時のモータジェネレータMG1の回転速度に応じて、モータジェネレータMG1の発電電力および回転速度の増減を制御することができるので、蓄電装置の過充電防止を考慮した上で、モータジェネレータMG1の過回転を抑制することができる。
【0010】
好ましくは、充電電力許容値設定部は、速度急変状態が検出された時点における第1の回転電機の回転速度が低いほど、相対的に早くトルク指令修正部によるトルク指令値の修正が開始されるように、充電電力許容値を設定する。
【0011】
このような構成とすることで、速度急変が発生した時点でのモータジェネレータMG1の回転速度が低い場合には、モータジェネレータMG1の回転速度上限までの余裕代が大きいので、モータジェネレータMG1の回転速度の上昇を伴ったトルク指令値の修正を、相対的に早く開始することにより回生発電を減少させることができ、蓄電装置の過充電防止を優先することができる。一方、モータジェネレータMG1の回転速度が高い場合には、モータジェネレータMG1のトルク指令値の修正を相対的に遅く開始することにより、モータジェネレータMG1の回転速度の上昇を抑制する回生トルクを確保して、モータジェネレータMG1の過回転防止を優先することができる。
【0012】
また好ましくは、トルク指令修正部は、速度急変状態が検出された場合に、充電電力が充電電力許容値に達したときには、第1の回転電機の回転速度が所定の回転速度上限値以下となる範囲で回生電力を減少させるようにトルク指令値を修正する。
【0013】
このような構成とすることで、速度急変が発生した場合に、充電電力が充電電力許容値に達したときには、モータジェネレータMG1の速度上限値以下で運転するので、過回転が防止できる。また、モータジェネレータMG1のトルク指令値の修正(減少)により回生発電を減少することができるので、蓄電装置の過充電が抑制できる。
【0014】
あるいは好ましくは、トルク指令修正部は、減速中の第2の回転電機が停止する時点における第1の回転電機の到達回転速度を予測するとともに、この到達回転速度が回転速度上限値以下となる場合には、回生発電を停止するようにトルク指令値を修正する。
【0015】
このような構成とすることで、モータジェネレータMG1の回生トルクをゼロとしてもモータジェネレータMG1の過回転が発生しないと予測される場合には、モータジェネレータMG1の回生発電を停止することで、蓄電装置の過充電を確実に防止することができる。
【0016】
また好ましくは、上記の回転速度上限値は、回転電機の部品保護から機械的に定まる所定の上限回転速度に基づいて設定される。
【0017】
このような構成とすることで、モータジェネレータMG1の各部品に塑性変形が発生しないような所定の上限回転速度以下で、モータジェネレータMG1を運転することができるので、モータジェネレータMG1が過回転となって、機械的な故障を発生させることが防止できる。
【0018】
好ましくは、制御装置は、速度急変が検出された場合に、エンジンへの燃料供給を遮断するように構成された燃料遮断制御部をさらに含む。
【0019】
このような構成とすることで、速度急変が発生した場合に、いわゆるフューエルカット制御を行うことができるので、エンジンが出力するトルクを早く減少させることができる。
【0020】
また好ましくは、ハイブリッド車両は、エンジンの回転軸と動力分割機構との間に設けられ、エンジンから動力分割機構への駆動力の伝達および非伝達を切替可能とするように構成された係合装置をさらに備えている。また、制御装置は、係合装置を制御するように構成された係合装置制御部をさらに含んでいる。そして、係合装置制御部は、燃料遮断制御部によって燃料供給が遮断されているときには、駆動力が非伝達とされるように係合装置を制御する。
【0021】
このような構成とすることで、エンジンと動力分割機構との間に係合装置(クラッチ)を備えるハイブリッド車両において、フューエルカット制御が行われる場合に、クラッチを切離して、エンジンと動力分割機構との間での動力伝達を遮断することができる。これにより、エンジンのイナーシャの影響を除去して、エンジンの回転軸に連動する動力分割機構の第2の回転要素(すなわちキャリア)の回転速度を速やかに低下させることができるので、速度急変発生時にモータジェネレータMG1の速度上昇を確実に防止できる。
【0022】
あるいは好ましくは、速度検出部はエンジンの回転速度をさらに検出し、制御装置は、エンジンの回転速度に基づいてエンジンへの点火を制御するように構成された点火制御部をさらに含む。そして、係合装置制御部は、駆動力が非伝達とされている場合に、点火制御部において点火が停止され、かつエンジンの回転速度が所定のエンジン速度基準値より小さくなったときは、駆動力の伝達が復帰されるように係合装置を制御する。
【0023】
このような構成とすることで、クラッチを切離し後、モータジェネレータMG1が過回転とならない状態となったときに、クラッチの再係合をすることができる。これにより、蓄電装置の過充電およびモータジェネレータMG1の過回転をしない範囲で、減速時にエンジンブレーキによる制動力を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ハイブリッド車両において、速度が急減した場合に、蓄電装置の過充電を防止した上で、回転電機の過回転防止をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態1に従う、ハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図2】本実施の形態1において、速度急変が発生した場合の共線図の変化を説明するための概念図である。
【図3】本実施の形態1における、トルク修正制御の時間的過程を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本実施の形態1における、充電電力許容値Pinを設定するためのマップの一例を示す図である。
【図5】本実施の形態1における、トルク修正制御の詳細を説明するための機能ブロック図である。
【図6】本実施の形態1における、トルク修正制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施の形態2に従う、ハイブリッド車両の全体ブロック図である。
【図8】本実施の形態2における過回転防止制御を適用した場合の、共線図の変化を示す説明する図である。
【図9】本実施の形態2における過回転防止制御を適用した場合の、共線図の変化を示す説明する図である。
【図10】本実施の形態2における、過回転防止制御の時間的過程を説明するためのタイムチャートである。
【図11】本実施の形態2において、クラッチを再係合する場合の条件を説明するための共線図の例である。
【図12】本実施の形態2における、過回転防止制御の詳細を説明するための機能ブロック図である。
【図13】本実施の形態2における、過回転防止制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0027】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態に従う、ハイブリッド車両100の全体ブロック図である。
【0028】
図1を参照して、ハイブリッド車両100は、蓄電装置220と、コンバータ242と、インバータ240と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン120と、動力分割機構200と、出力部材202と、減速機180と、ドライブシャフト400と、車輪160と、回転センサ250,251,252と、ECU(Electronic Control Unit)110とを備える。
【0029】
蓄電装置220は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置220は、たとえば、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池などの二次電池、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子により構成される。蓄電装置220は、コンバータ242に接続され、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するインバータ240に対し直流電力を供給するとともに、モータジェネレータMG1,MG2で発電された電力を蓄電する。
【0030】
また、蓄電装置220は、図示しない電圧センサ、電流センサおよび温度センサにより検出される蓄電装置220の電圧Vb,電流Ibおよび温度TbをECU110に出力する。
【0031】
コンバータ242は、蓄電装置220から出力される直流電力を、ECU110から出力される駆動指令PWC1に従って、インバータ240が必要とする電圧まで昇圧する。また、コンバータ242は、ECU110から出力される駆動指令PWC1に従って、インバータ240からの回生電力を蓄電装置220が充電可能な電圧まで降圧する。
【0032】
インバータ240は、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応するインバータを包括的に同一ブロックで記載したものであり、コンバータ242により昇圧された直流電力を、ECU110から出力される駆動指令PWI1に従って交流電力に変換し、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ240は、ECU110から出力される駆動指令PWI2に従って交流電力に変換し、モータジェネレータMG2を駆動する。さらに、インバータ240は、モータジェネレータMG1,MG2が発電する交流電力を直流電力に変換して回生電力としてコンバータ242に出力する。
【0033】
モータジェネレータMG1,MG2は、インバータ240から供給される交流電力を受けて回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受けて交流電力を発生するとともに、ECU110からの回生トルク指令によって回生制動力を車両に発生する。モータジェネレータMG1,MG2は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータとY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機から成る。
【0034】
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構200を介してエンジン120にも連結される。そして、ECU110によって、エンジン120の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御が実行される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施の形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン120により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を車輪160を駆動する電動機として機能させるものとする。
【0035】
動力分割機構200には、エンジン120の駆動力を、出力部材202を介して車輪160とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。プラネタリーキャリア(C)がエンジン120に、サンギヤ(S)がモータジェネレータMG1に、リングギヤ(R)が出力部材202を介してモータジェネレータMG2に連結される。これにより、エンジン120、モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2のうちのいずれか2つの回転方向および回転速度が決まると、残りの回転方向および回転速度も強制的に決まる。
【0036】
エンジン120およびモータジェネレータMG2により発生された駆動力は、出力部材202、減速機180およびドライブシャフト400を介して、車輪160に伝達される。
【0037】
回転センサ250,251は、モータジェネレータMG1,MG2のそれぞれの回転角度θ1,θ2を検出して、ECU110に出力する。また、回転センサ252は、エンジン120のクランクシャフト(図示しない)の回転速度NEを検出し、ECU110に出力する。
【0038】
ECU110は、蓄電装置220より電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbの入力を受け、蓄電装置の充電状態を示す状態量、たとえば残存容量(SOC(State of Charge)とも称する。)および充電電力制限値Winなどを算出する。ここで、充電電力制限値Winは、過充電を防止するために蓄電装置の充電状態に応じて変化する。
【0039】
特にリチウムイオン電池では、一般的に過充電を継続すると、正極の分解による酸素放出や負極側での金属リチウムの析出が発生する場合があり、電池の故障や劣化の原因につながるおそれがある。そのため、リチウムイオン電池においては、より厳格な過充電防止が必要とされる。
【0040】
ECU110は、コンバータ242を制御するための信号PWC1を生成し、コンバータ242へ出力する。また、ECU110は、インバータ240を駆動するための信号PWI1,PWI2を生成し、その生成した信号PWI1,PWI2をそれぞれインバータ240へ出力する。
【0041】
また、ECU110は、いずれも図示しないブレーキペダルの操作量BP、車速センサにより検知される車速VSおよびアクセルペダルの操作量ACCの入力を受ける。さらに、ECU110は、回転センサ250,252,252から、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2およびエンジン120の回転速度NEの入力を受ける。ECU110は、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2から、モータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2および角速度ω1,ω2を算出する。
【0042】
なお、ECU110は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、記憶装置と、入出力バッファとを含み、各センサの入力や各機器への制御指令の出力を行い、ハイブリッド車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、一部を専用のハードウエア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0043】
また、図1においては、制御装置としてECU110を1つとする構成としているが、ECUの構成はこれに限定されず、ECU110のうちの一部の機能を、別個の制御装置に分割することとしてもよい。
【0044】
図2は、ハイブリッド車両において速度急変が発生した場合の、動力分割機構200の各ギヤ回転速度の変化を説明するための共線図の一例である。
【0045】
図2を参照して、速度急変前の動力分割機構200の状態は図中の直線W10で示される状態であり、サンギヤ,キャリア,リングギヤの各回転速度が、それぞれS1,C1,R1の状態であるとする。
【0046】
この状態から、急ブレーキ等により、車輪160と連動するモータジェネレータMG2、すなわちリングギヤの回転速度が急減し、R1からR2(≒0)に変化したとする。このとき、キャリアに接続されているエンジン120の回転速度も低下するが、エンジン120のイナーシャが大きく、回転速度の低下が遅れてしまうため、仮にエンジン120のトルク出力を停止させても、キャリアの回転速度は図2中のC2までしか低下しない。そうすると、サンギヤ,キャリア,リングギヤの回転速度の関係から、図2中の破線W20で示される状態となる。その結果、サンギヤに接続されたモータジェネレータMG1の回転速度がS2まで上昇してしまい、通常の制御管理上のシステム上限回転速度MRN1maxを超過し、過回転となってしまう場合がある。
【0047】
一方、この過回転を防止するために、モータジェネレータMG1に対する回生トルクを増加させた場合、モータジェネレータMG1による発電電力が増加するため、蓄電装置220の充電状態によっては過充電が発生してしまうおそれがある。
【0048】
そこで、本実施の形態1においては、車両の速度急変が発生した場合に、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が部品保護から機械的に定まる上限回転速度以下となる範囲で、回生発電が減少するようにモータジェネレータMG1のトルク指令値TR1を修正することで、蓄電装置220の過充電を防止しつつ、モータジェネレータMG1の過回転を抑制するトルク修正制御を行なう。
【0049】
なお、ここで、「部品保護から機械的に定まる」上限回転速度とは、たとえばモータジェネレータMG1の各部品に塑性変形が生じない回転速度の上限値に基づいて設定することができる。
【0050】
図3には、上記のトルク修正制御を説明するための、タイムチャートが示される。
図3では、速度急変が発生した場合の、車輪回転速度(∝モータジェネレータMG2の回転速度MRN2)、エンジントルクTRe、エンジン回転速度NE、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1、速度急変フラグFLG、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1、充電電力Pbおよび過充電フラグOCHが示されている。なお、各タイムチャートにおいて、本実施の形態1でのトルク修正制御を適用した場合を実線で示し、比較例として修正開始タイミングを固定としたトルク修正を行なう場合を一点鎖線で示す。なお、図3は、時刻t1より前の状態においては、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1がシステム上限回転速度MRN1maxで運転されていた場合の例を示している。
【0051】
図3を参照して、時刻t1で車輪160のロックが発生し、モータジェネレータMG2の回転速度MRN2が低下する。これに伴って、エンジントルクTReを減少するために、フューエルカット制御により燃料遮断が行なわれたとしても、既に噴射した燃料に対しては、燃料浄化の目的のために点火が行なわれてしまう。そのため、速度急変が発生してもこの噴射済み燃料の燃焼が完了するまでは、エンジントルクTReが出力される。さらに、エンジン120はイナーシャが大きいため、モータジェネレータMG2の回転速度MRN2の低下に追従できず、エンジン120の回転速度NEは緩やかに低下する。
【0052】
このため、図2で説明したように、プラネタリーギヤの特性により、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が上昇することになる。
【0053】
このモータジェネレータMG1の回転速度上昇に伴うモータジェネレータMG1により発電される回生発電の増加と、モータジェネレータMG2の速度低下による回生発電の増加により、速度急変が発生する時刻t1から蓄電装置220への充電電力Pbが増加し始める。
【0054】
そして、本実施の形態1のトルク修正制御を適用しない比較例の場合、この充電電力Pbが充電電力制限値Winを超過したタイミングで、過充電防止のために過充電フラグOCHをオンさせて、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1を減少させる(時刻t2)。
【0055】
しかしながら、時刻t2の時点では、モータジェネレータMG2もまだ減速中であるので、充電電力PbはモータジェネレータMG2が停止する時刻t3までは増加し続けてしまい、蓄電装置220の過充電が発生してしまう。
【0056】
その後、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1に対し、充電電力Pbが充電電力制限値Winより小さくなるようなトルク指令値TR1となる時刻t4において、過充電フラグOCHをオフとし、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1の修正を停止する。
【0057】
このような制御においては、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が、上述のシステム上限回転速度MRN1maxよりも大きい、部品保護から機械的に定まる上限回転速度MRN1max#に対してはまだ余裕があるにもかかわらず、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1の増加を過度に抑制するために、蓄電装置220への充電電力Pbが増加してしまうこととなる。
【0058】
このような速度急変状態が発生する頻度は比較的少ないため、本実施の形態1においては、上記のような速度急変発生時に、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1を、システム上限回転速度MRN1maxよりも大きい部品保護から機械的に定まる上限回転速度MRN1max#まで過回転を許容するとともに、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1に応じて、過充電フラグOCHをオンとするタイミング、すなわちモータジェネレータMG1のトルク指令値の修正を開始するタイミングを可変とする。これにより、蓄電装置220への充電電力とモータジェネレータMG1の回転速度のバランスを考慮しながら、蓄電装置220の過充電およびモータジェネレータMG1の過回転を抑制することが図られる。
【0059】
具体的には、図3の時刻t1において、速度急変が発生したときのモータジェネレータMG1の回転速度MRN1に応じて、たとえば図4に示されるようなマップに基づいて充電電力許容値Pinが設定される。なお、充電電力Pbについては負値で表わされており、充電電力許容値Pinは、充電電力制限値Winよりも大きい(絶対値では小さい)値であり、充電電力制限値Winよりも充電電力Pbが制限される値である。
【0060】
この充電電力許容値Pinについては、図4に示されるように、速度急変が発生した時点でのモータジェネレータMG1の回転速度MRN1が低いほど、充電電力許容値Pinが大きく(絶対値では小さく)なるように設定される。すなわち、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が低い場合には、モータジェネレータMG1の回転速度上限までの余裕代が多いので、モータジェネレータMG1の回転速度の上昇を伴ったトルク指令値の修正(回生トルクの減少)を相対的に早く開始することにより発電電力を低下させる。これにより、蓄電装置220の過充電防止を優先することができる。
【0061】
一方、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が高い場合、すなわちモータジェネレータMG1の回転速度上限までの余裕代が少ない場合には、トルク指令値の修正を相対的に遅く開始することにより回生トルクを確保して、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1の上昇を抑制する。これにより、モータジェネレータMG1の過回転防止を優先することができる。
【0062】
再び図3を参照して、図3のタイムチャートに示される充電電力Pbが、充電電力許容値Pinとなった時点(時刻t2’)で、過充電フラグOCHがオンに設定され、比較例に比べて早期にモータジェネレータMG1のトルク指令値TR1の修正が開始される。
【0063】
そして、モータジェネレータMG2が停止する時刻t3において、モータジェネレータMG1の到達回転速度が、部品保護から機械的に定まる上限回転速度MRN1max#以下となる範囲となるように、回生発電を減少させる方向にモータジェネレータMG1のトルク指令値TR1が修正される。
【0064】
そして、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1に対して、修正前のモータジェネレータMG1のトルク指令値TR1によって発生される充電電力Pbが、充電電力制限値Winより大きく(絶対値では小さく)なるトルク指令値になったときに、過充電フラグOCHがオフに設定されてトルク指令値TR1の修正が停止される。なお、時刻t4では、トルク指令値TR1の修正を停止することに伴って、充電電力Pbは充電電力制限値Winを超えない範囲で一旦上昇するが、その後モータジェネレータMG1の回転速度MRN1の低下とともに減少する。
【0065】
このような制御を行うことにより、蓄電装置220の過充電を防止した上で、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が、部品保護から機械的に定まる上限回転速度MRN1max#を超過するような過回転を防止することができる。
【0066】
次に、上記のトルク修正制御の詳細について説明する。
図5には、上記のトルク修正制御を説明するための、ECU110の制御構成を説明する機能ブロック図が示される。図5を始めとして、以下で説明されるブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU110によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0067】
図5を参照して、ECU110は、充電電力制限値演算部500と、減速度演算部510と、速度検出部520と、トルク指令生成部530と、速度急変検出部535と、充電電力許容値設定部540と、充電電力演算部550と、トルク指令修正部560と、インバータ指令生成部590とを含む。さらに、トルク指令修正部560は、過充電判定部570と、トルク指令設定部580とを含む。
【0068】
充電電力制限値演算部500は、蓄電装置220の電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbの入力を受ける。そして、充電電力制限値演算部500は、これらの情報に基づいて充電電力制限値Winを演算し過充電判定部570へ出力する。
【0069】
速度検出部520は、回転センサ250,251より、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2の入力を受ける。さらに速度検出部520は、回転センサ252よりエンジン120の回転速度NEの入力を受ける。そして速度検出部520はモータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2よりモータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2をそれぞれ算出し、減速度演算部510、速度急変検出部535、充電電力許容値設定部540、充電電力演算部550およびトルク指令設定部580へ出力する。
【0070】
減速度演算部510は、一定期間内のモータジェネレータMG2の回転速度MRN2の減少量に基づいて減速度βを演算し、速度急変検出部535へ出力する。なお、減速度βについては、ドライブシャフト400の回転速度によって車速VSが検出される場合には、車速VSの減少量に基づいて演算してもよい。
【0071】
トルク指令生成部530は、車速VSおよび図示しないアクセルペダルの操作量ACCの入力を受けて、ハイブリッド車両100のトータル要求パワーを演算するとともに、モータジェネレータMG1,MG2に対するトルク指令値TR1,TR2を生成して、充電電力演算部550およびトルク指令設定部580へ出力する。
【0072】
速度急変検出部535は、減速度演算部510から入力される減速度βと速度検出部520から入力されるモータジェネレータMG1の回転速度MRN1に基づいて、減速度が所定値を超える急減速が発生したことに伴って、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が極端に上昇したか否かを検出し速度急変フラグFLGを設定する。そして、速度急変検出部535は、この速度急変フラグFLGを充電電力許容値設定部540および過充電判定部570に出力する。
【0073】
充電電力許容値設定部540は速度急変フラグFLGとモータジェネレータMG1の回転速度MRN1の入力を受け、たとえば上述のような図4に示すマップに基づいて充電電力許容値Pinを可変に設定する。そして、充電電力許容値設定部540は、設定した充電電力許容値Pinを過充電判定部570に出力する。
【0074】
充電電力演算部550は、モータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2と、トルク指令値TR1,TR2の入力を受ける。そして、モータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2から各速度ω1,ω2を算出するとともに、これらの情報に基づいて充電電力Pbを演算する。そして演算された充電電力Pbを、過充電判定部570に出力する。
【0075】
過充電判定部570は充電電力Pb、充電電力許容値Pin、速度急変フラグFLGおよび充電電力制限値Winの入力を受ける。そして、速度急変フラグFLGの状態に基づいて、充電電力Pbと充電電力許容値Pinおよび充電電力制限値Winとを比較することにより過充電が発生するか否かを判定して過充電フラグOCHを設定する。具体的には、充電電力Pbが充電電力許容値Pinを超えた時点で過充電フラグOCHをオンに設定するとともに、過充電フラグOCHをオンに設定した後に、充電電力Pbが充電電力制限値Winを超えなくなった時点で過充電フラグOCHをオフに設定する。そして、この過充電フラグOCHを、トルク指令設定部580へ出力する。
【0076】
トルク指令設定部580は過充電フラグOCH、モータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2およびトルク指令値TR1,TR2の入力を受ける。そして、トルク指令設定部580は、過充電フラグOCHがオフ、すなわち過充電が発生していない場合には、入力されたトルク指令値TR1,TR2を、インバータ240の最終トルク指令値TR1#,TR2#として設定し、インバータ指令生成部590へ出力する。
【0077】
また、トルク指令設定部580は、過充電フラグOCHがオン、すなわち過充電が発生すると判定された場合には、減速中のモータジェネレータMG2が停止すると予測される時点でのモータジェネレータMG1の到達回転速度を予測し、その到達回転速度が部品保護から機械的に定まる上限回転速度MRN1max#を超過しない範囲で、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1を現在値よりも低下させるように修正する。そして、トルク指令値TR1の修正後の値およびモータジェネレータMG2のトルク指令値TR2を、インバータ240への最終トルク指令値TR1#,TR2#にそれぞれ設定し、インバータ指令生成部590へ出力する。
【0078】
インバータ指令生成部590は、トルク指令設定部580からのトルク指令値TR1#,TR2#に基づいて、インバータ240を駆動するPWM信号PWI1,PWI2を生成し、インバータ240へ出力する。
【0079】
図6には、ECU110による、トルク修正制御の処理の詳細を説明するためのフローチャートが示される。図6および以降に説明する図13に示すフローチャートは、ECU110に予め格納されたプログラムを所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
【0080】
図6を参照して、ECU110は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)700にて、回転センサ250,251,252から入力される情報に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジンの回転速度MRN1,MRN2およびNEを検出する。そして、ECU110は、次にS710にて、モータジェネレータMG2の回転速度MRN2に基づいて、一定期間内の減速量を検出することにより減速度βを演算する。
【0081】
そして、ECU110は、S720にて、蓄電装置220から入力される蓄電装置220の電圧Vb、電流Ibおよび温度Tbに基づいて、充電電力制限値Winを演算する。
【0082】
次にECU110は、S730にて、車速VS、図示しないアクセルペダルの操作量ACCに基づいて、ハイブリッド車両100のトータル要求パワーを演算するとともに、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン120の各回転速度に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2に対するトルク指令値TR1,TR2を生成する。
【0083】
そして、ECU110は、S740にて、上記で生成したトルク指令値TR1,TR2とモータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2から求められる角速度ω1,ω2に基づいて、各トルク指令値と角速度との積の総和により蓄電装置220への充電電力Pbを演算する。
【0084】
そして、S750にて、ECU110は、減速度βとモータジェネレータMG1の回転速度MRN1に基づいて、速度急変が発生しているか否かを検出して、速度急変フラグFLGを設定する。具体的には、減速度βが予め定められた所定の基準値を超えており、かつモータジェネレータMG1の回転速度MRN1が所定の管理上限値MRN1maxより大きくなった場合に、速度急変が発生したと判断して速度急変フラグFLGをオンに設定する。また、上記条件が不成立となった場合に、速度急変フラグFLGをオフに設定する。
【0085】
S760以降の説明については、図3のタイムチャートとともに、時刻(T)の経過に沿って説明を行なう。
【0086】
(i)時刻t1より前(T<t1)
図3および図6を参照して、速度急変が発生する前である時刻t1より前においては、速度急変が発生していない(速度急変フラグFLGがオフ)ので、S760がNOと判定されて、処理がS820に進められる。
【0087】
そして、ECU110は、S820にて、充電電力Pbが充電電力制限値Win以上か(絶対値としては以下か)否か、すなわち充電電力Pbが充電電力制限値Winに達しているか否かを判定する。
【0088】
時刻t1より前においては、充電電力Pbは充電電力制限値Winには達していないので、S820がYESと判定されて、処理がS840に進められる。
【0089】
そして、ECU110は、S840にて過充電フラグOCHをオフに設定する(すでにオフの場合はオフの状態を継続する)とともに、S850にてS730で生成されたトルク指令値TR1,TR2を、インバータ240への最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定する。その後、ECU110は、S810でインバータ240の駆動指令PWI1,PWI2を生成して出力する。
【0090】
(ii)時刻t1〜時刻t2’まで(t1≦T<t2’)
この場合は、速度急変が開始されているため、S760がYESと判定されて、処理がS770に進められる。
【0091】
S770では、ECU110は、速度急変が最初に検出された時点(時刻t1)でのモータジェネレータMG1の回転速度に応じて、たとえば図4に示されるマップにより充電電力許容値Pinを可変に設定する。なお、充電電力許容値Pinについては、予め定められた所定の演算式によって設定することとしてもよい。
【0092】
次に、ECU110は、S780にて、充電電力Pbが充電電力許容値Pinよりも小さい(絶対値では大きい)か否か、すなわち充電電力Pbが充電電力許容値Pinを超過しているか否かを判定する。
【0093】
時刻t1〜時刻t2’までの間は、まだ充電電力Pbは充電電力許容値Pinに達していないので、S780がNOと判定されて、処理がS840に進められる。以降は、(i)の場合と同様である。
【0094】
(iii)時刻t2’〜時刻t3まで(t2’≦T<t3)
この状態においても、速度急変が検出されているため、S760がYESと判定される。そして、処理がS770に進められて、(ii)同様に充電電力許容値Pinが設定される。
【0095】
この場合は、充電電力Pbが充電電力許容値Pinを超過しており、このままでは過充電が発生するおそれがあるので、S780がYESと判定され、その後、過充電フラグOCHがオンに設定される(S790)。なお、ここでの充電電力PbはS730で算出したトルク指令値TR1,TR2により演算される計算上の電力であり、図3の充電電力のタイムチャートにおいては、一点鎖線で示される値となる。
【0096】
そして、ECU110は、S800にて、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が、部品保護から機械的に定まる所定の上限回転速度MRN1max#以下となる範囲において、実際の充電電力が充電電力許容値Pinを超えないように、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1を修正する。
【0097】
具体的には、モータジェネレータMG1,MG2により発電される電力の総和から、本制御を行わない場合(比較例)に比べてモータジェネレータMG1およびエンジン120の回転速度を上昇させるために必要とされる電力を差し引いた電力が、充電電力許容値Pinより小さくなるように、トルク指令値TR1が修正される。このとき、減速中のモータジェネレータMG2が停止する時点でのモータジェネレータMG1の到達回転速度が、速度急変が発生した時点でのモータジェネレータMG1,MG2およびエンジン120の回転速度より予測され、その到達回転速度が上記の上限回転速度MRN1max#を超えないようにトルク指令値が設定される。なお、上記のトルク指令値については、制御周期毎に逐次計算を行ってもよいし、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1および充電電力許容値Pinなどからマップにより設定してもよい。
【0098】
また、たとえば、比較的低速走行時に急ブレーキにより急減速したような場合では、速度急変が発生したときのモータジェネレータMG1,MG2およびエンジン120の回転速度の状態によっては、モータジェネレータMG1の到達回転速度が上限回転速度MRN1max#を超過するおそれがない場合がある。そのような場合には、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1を最大限上昇させて蓄電装置220の過充電を優先して防止すべく、モータジェネレータMG1による回生発電を停止させるようにトルク指令値TR1を修正してもよい。
【0099】
その後、ECU110は、モータジェネレータMG1の修正後のトルク指令値とモータジェネレータMG2のトルク指令値TR2をインバータ240への最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定する。そして、S810にてインバータ240への駆動指令PWI1、PWI2が生成されて、インバータ240に出力される。
【0100】
(iv)時刻t3〜時刻t4まで(t3≦T<t4)
時刻t3において、車輪160が停止し、回転速度(すなわち、モータジェネレータMG2の回転速度MRN2)がゼロとなるため、時刻t3以降では、S750において速度急変は検出されず、S760がNOと判定される。
【0101】
しかしながら、モータジェネレータMG1の回転速度MRN1が、上限回転速度MRN1max#付近まで上昇しており、トルク指令値の修正を停止してしまうと、充電電力Pbが充電電力制限値Winを超過して過充電となってしまう可能性がある。そのため、ECU110は、S820にて、充電電力Pbと充電電力制限値Winとを比較し、充電電力Pbが充電電力制限値Winを超過しないか否かを判定する。
【0102】
時刻t3〜時刻t4までの間では、充電電力Pbが充電電力制限値Winを超過しているため、S820ではNOと判定されて処理がS830に進められる。
【0103】
S830では、過充電フラグOCHがオン継続中であるか否か、すなわち現在トルク指令修正実行中であるか否かが判定される。時刻t3〜時刻t4までの状態では、まだ過充電フラグOCHがオンのままであるので、S830がYESと判定され、処理がS790に進められる。以降は、(iii)での説明と同様である。
【0104】
(v)時刻t4以降(t4≦T)
時刻t4においても、モータジェネレータMG2はすでに停止中であるので、S760がNOと判定される。そして、時刻t4の時点で充電電力Pbが充電電力制限値Win以上(絶対値では以下)となっているため、S820がYESと判定されて、処理がS840に進められる。
【0105】
S840では過充電フラグOCHがオフに設定され、トルク指令値TR1の修正が停止される。そして、ECU110は、S730で生成したトルク指令値TR1,TR2を最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定して(S850)、インバータ240への駆動指令PWI1,PWI1を出力する(S810)。
【0106】
なお、S830がNOと判定される場合は、速度急変フラグFLGおよび過充電フラグOCHがともにオフ状態で、充電電力Pbが充電電力制限値Winを超過する場合である。この場合は、減速の度合いが緩やかなのでモータジェネレータMG1の回転速度MRN1の上昇度合いも小さく、さらに充電電力Pbの超過量も少なく継続時間も短いと考えられる。そのため、上記のトルク修正制御は適用せず、通常の制御通りにS730で生成したトルク指令値TR1,TR2を用いて制御を行う。
【0107】
上記のような処理を行なうことで、急減速が発生した際のモータジェネレータMG1の回転速度に応じて、モータジェネレータMG1の発電電力および回転速度の増減を制御することができるので、蓄電装置220の過充電を防止した上で、モータジェネレータMG1の過回転を抑制することができる。
【0108】
[実施の形態2]
実施の形態2においては、実施の形態1の構成に加えて、エンジン120と動力分割機構200との間に動力の伝達/非伝達を切替可能な係合装置が設けられているハイブリッド車両における、モータジェネレータMG1の過回転防止制御について説明する。
【0109】
図7には、実施の形態2に従う、ハイブリッド車両100の全体ブロック図が示される。図7は、図1で示した全体ブロック図のエンジン120と動力分割機構200との間にクラッチ230が追加されている構成となっている。以下の説明においては、図1と重複する部分についての説明は繰り返さない。
【0110】
図7を参照して、エンジン120の出力軸はクラッチ230を介して、動力分割機構200のキャリアに接続される。そして、クラッチ230は、ECU110からのクラッチ切離しフラグCLに従って係合または切離しが制御される。これにより、エンジン120と動力分割機構200との間で、動力の伝達/非伝達を切替えることが可能となる。
【0111】
次に、図8および図9の共線図を用いて、本実施の形態2による過回転防止制御の概要を示す。
【0112】
図8には、急減速前の状態の共線図が示されており、エンジン120はクラッチ230を介して動力分割機構200のキャリアと接続されている。図8においては、クラッチ230は係合状態であり、エンジン120とキャリアの回転速度は同じである。
【0113】
この状態から、図9の直線W40のように急減速が発生して、リングギア(モータジェネレータMG2)の回転速度が低下した場合、ECU110はエンジン120の燃料を遮断するフューエルカット制御を行うとともに、クラッチ切離しフラグCLをオンに設定して出力することでクラッチの切離しを行なう。
【0114】
そうすると、急減速発生時にすでに噴射済みであった燃料に点火することによって発生するエンジン120の駆動力が、動力分割機構200に伝達されなくなるとともに、エンジン120のイナーシャの影響がなくなるため、モータジェネレータMG2の速度低下に追従してキャリアの回転速度が低下する。これによって、モータジェネレータMG1の回転速度も速やかに低下することになる。
【0115】
したがって、図2のようなエンジン120の回転速度の低下が遅れることによって、モータジェネレータMG1の回転速度が上昇することを確実に防止することができ、モータジェネレータMG1の過回転および蓄電装置220の過充電を防止することができる。
【0116】
図10は、本実施の形態2の制御の概要を説明するためのタイムチャートである。図10には、クラッチ切離しフラグCL、フューエルカットフラグFCFLG、燃料噴射信号および点火信号の時間変化が示されている。
【0117】
図10を参照して、速度急変が発生した時刻t10において、ECU110によりフューエルカットフラグFCFLGがオンされ、フューエルカット制御が開始される。しかし、すでに噴射済みの燃料については、未燃焼のまま大気中に放出するとエミッションの悪化という問題が発生するため、燃料浄化のために点火される。これによりフューエルカット制御中であったとしてもエンジンに駆動力が発生してしまう。そうすると、図2同様に、エンジン120の回転速度の低下が遅れてしまうために、モータジェネレータMG1の回転速度が増加する。
【0118】
そのため、フューエルカットフラグFCFLGがオンとなるタイミング(時刻t10)で、クラッチ切離しフラグCLをオンに設定してクラッチ230の切離しを行なう。これにより、エンジン120により出力される駆動力が非伝達となるので、動力分割機構200のキャリアへの影響がなくなり、モータジェネレータMG2の回転速度低下に追従してキャリアの回転速度も低下する。
【0119】
そして、噴射済みの燃料への点火が完了し、図11の共線図に示すように、エンジン120の回転速度が、クラッチ230を係合してもモータジェネレータMG1の回転速度が所定のシステム上限回転速度MRN1maxを超えない所定のエンジン回転速度基準値NE#まで低下した時点(図10の時刻t20)で、クラッチ切離しフラグCLをオフに設定してクラッチ230を再係合する。このようにすることで、モータジェネレータMG1の過回転を防止した上で、減速時のエンジンブレーキによる制動力を得ることが可能となる。
【0120】
次に、図12の機能ブロック図を用いて、上記の過回転防止制御の詳細について説明する。図12は、実施の形態1で示した図3の機能ブロック図に、エンジン点火制御部600、燃料遮断制御部610およびクラッチ制御部620が追加されたものとなっている。なお、図3と重複する機能ブロックについての説明は繰り返さない。
【0121】
燃料遮断制御部610は、速度急変検出部535から速度急変フラグFLGの入力を受ける。そして、速度急変の発生が検出された(すなわち、速度急変フラグFLGがオンの)場合は、フューエルカット制御を行うとともに、クラッチ制御部620にフューエルカットフラグFCFLGを出力する。
【0122】
エンジン点火制御部600は、エンジン120内への燃料噴射の情報とエンジン回転速度NEに基づいて、点火プラグ(図示しない)への点火信号を出力するとともに、点火信号の状態を表わす点火状態信号SPKをクラッチ制御部620へ出力する。
【0123】
クラッチ制御部620は、上記のフューエルカットフラグFCFLG、点火状態信号SPKおよびエンジン回転速度NEに基づいて、クラッチ切離しフラグCLのオン/オフを制御するとともに、クラッチ切離しフラグCLをクラッチ230およびトルク指令設定部580に出力する。クラッチ230は、クラッチ切離しフラグCLがオフの場合に係合し、クラッチ切離しフラグCLがオンの場合に切離しが行なわれる。
【0124】
トルク指令設定部580は、クラッチ230のクラッチ切離しフラグCLがオフの場合は、実施の形態1と同様に、過充電フラグOCHに基づいてトルク指令値を修正し、修正後のトルク指令値をインバータ指令生成部590への最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定して出力する。
【0125】
一方、クラッチ切離しフラグCLがオンの場合には、クラッチ230の切離しによりモータジェネレータMG1の過回転が発生しないので、トルク指令設定部580は、トルク指令生成部530で生成したトルク指令値TR1,TR2をインバータ指令生成部590への最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定して出力する。
【0126】
図13には、ECU110による上記過回転防止制御の処理を説明するためのフローチャートが示される。図13は、実施の形態1で説明した図6のフローチャートに、ステップS761−S765(破線部)が追加されたものとなっている。なお、図6と重複するステップについての説明は繰り返さない。
【0127】
図13を参照して、S760にて速度急変フラグFLGがオンの場合(S760にてYES)は、S761にて、燃料遮断制御部610においてフューエルカット制御が行われているか否か(フューエルカットフラグFCFLGがオンか否か)が判定される。
【0128】
フューエルカット制御実施中でない場合(S761にてNO)は、次にS764に処理が進められ、クラッチ制御部620においてクラッチ230が係合状態となるようにクラッチ切離し信号CLがオフの状態とされる。そして、実施の形態1同様にS770以降の処理が実行される。
【0129】
フューエルカット制御実施中の場合(S761にてYES)は、S762にて、次に噴射済み燃料に対しての点火が完了しているか否かが判定される。
【0130】
そして、エンジン120への点火が完了していない場合(S762にてNO)は、エンジン120で発生されるトルクを動力分割機構200へ伝達しないようにするために、クラッチ制御部620においてクラッチ切離し信号CLがオンにされ、S765にて、クラッチ230の切離しが行なわれる。
【0131】
その後、処理がS840に進められ、過充電フラグOCHをオフにするとともに、S730にて生成したモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値TR1,TR2を、インバータ指令生成部590への最終トルク指令値TR1#,TR2#に設定する(S850)。そして、S810にてインバータ駆動指令PWI1,PWI2が生成されて、インバータ240に出力される。
【0132】
一方、エンジン120への点火が完了している場合(S762にてYES)は、次にS763にて、エンジン120の回転速度NEが、所定のエンジン回転速度基準値NE#より小さいか否かが判定される。
【0133】
エンジン120の回転速度NEが所定のエンジン回転速度基準値NE#以上の場合(S763にてNO)は、この状態でクラッチ230を係合すると、モータジェネレータMG1が過回転となってしまうため、処理がS765に進められ、クラッチ230の切離しが行なわれる。なお、すでにクラッチ230が切離されている場合は、切離された状態が継続される。
【0134】
一方、エンジン120の回転速度NEが所定のエンジン回転速度基準値NE#より小さい場合(S763にてYES)は、処理がS764に進められ、クラッチ制御部620においてクラッチ切離し信号CLがオフの状態とされてクラッチ230が再度係合される。そして、その後S770以降の処理が実行される。
【0135】
上記のような処理に従って制御することにより、急減速が発生した際に、エンジン120が動力分割機構200から切離されるため、モータジェネレータMG1の過回転を確実に防止することができる。また、モータジェネレータMG1の回転速度の上昇が抑制されるので、蓄電装置220の過充電についても防止することができる。
【0136】
なお、上記の実施の形態2においては、フューエルカット制御時には、クラッチ230の切離しを優先的に実行する処理手順としたが、実施の形態1で説明したトルク修正制御を優先的に実行し、モータジェネレータMG1の回転速度および蓄電装置220の充電状態によって、過回転または過充電が避けられない場合の処置としてクラッチ230を切離すような制御としてもよい。
【0137】
なお、本実施の形態において、モータジェネレータMG1,MG2は、本発明における「第1の回転電機」および「第2の回転電機」にそれぞれ対応する。ECU110は、本発明における「制御装置」に対応する。さらに、クラッチ230およびクラッチ制御部620は、本発明における「係合装置」および「係合装置制御部」にそれぞれ対応する。
【0138】
なお、上述した機能ブロック図およびフローチャートについては、記載したすべての機能ブロックおよびステップを備えることは必須ではなく、必要に応じて一部の機能ブロック、ステップを省略することが可能であることを、確認的に述べておく。
【0139】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0140】
100 ハイブリッド車両、110 ECU、120 エンジン、160 車輪、180 減速機、200 動力分割機構、202 出力部材、220 蓄電装置、230 クラッチ、240 インバータ、242 コンバータ、250,251,252 回転センサ、400 ドライブシャフト、500 充電電力制限値演算部、510 減速度演算部、520 速度検出部、530 トルク指令生成部、535 速度急変検出部、540 充電電力許容値設定部、550 充電電力演算部、560 トルク指令修正部、570 過充電判定部、580 トルク指令設定部、590 インバータ指令生成部、600 エンジン点火制御部、610 燃料遮断制御部、620 クラッチ制御部、MG1,MG2 モータジェネレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車両に与える駆動力を発生するためのエンジンと、
トルク指令値に従った回生発電を行なうための第1の回転電機と、
前記車輪を駆動するための駆動軸に接続され、力行動作時に前記車両に与える駆動力を発生するとともに、回生動作時に回生発電を行なうように構成された第2の回転電機と、
前記第1の回転電機の回転軸に連動する第1の回転要素、前記エンジンの回転軸に連動する第2の回転要素および前記駆動軸に連動する第3の回転要素を有する動力分割機構と、
前記回生発電による回生電力によって充電されるように構成された蓄電装置と、
前記トルク指令値を設定するとともに、前記エンジンおよび前記第1および第2の回転電機を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1および第2の回転電機の回転速度を検出するように構成された速度検出部と、
前記第2の回転電機の減速度を演算するように構成された減速度演算部と、
前記第1および第2の回転電機の動作状態に基づいて、前記蓄電装置の充電電力を演算するように構成された充電電力演算部と、
前記減速度が所定の値を超える急減速が発生し、かつ前記第1の回転電機の回転速度が所定の基準値よりも大きくなった速度急変状態を検出するように構成された速度急変検出部と、
前記速度急変状態が検出された場合に、少なくとも前記第1の回転電機の回転速度に応じて、充電電力許容値を可変に設定するように構成された充電電力許容値設定部と、
前記速度急変状態が検出された場合に、前記充電電力が前記充電電力許容値に達すると、前記第1の回転電機の回転上昇を抑制するように設定された前記トルク指令値について、前記第1の回転電機の前記回生電力を減少させるような前記トルク指令値の修正を開始するトルク指令修正部とを含む、ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記充電電力許容値設定部は、前記速度急変状態が検出された時点における前記第1の回転電機の回転速度が低いほど、相対的に早く前記トルク指令修正部による前記トルク指令値の修正が開始されるように、前記充電電力許容値を設定する、請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記トルク指令修正部は、前記速度急変状態が検出された場合に、前記充電電力が前記充電電力許容値に達したときには、前記第1の回転電機の回転速度が所定の回転速度上限値以下となる範囲で前記回生電力を減少させるように前記トルク指令値を修正する、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記トルク指令修正部は、減速中の前記第2の回転電機が停止すると予測される時点における前記第1の回転電機の到達回転速度を予測するとともに、予測された前記到達回転速度が前記回転速度上限値以下となる場合には、前記回生発電を停止するように前記トルク指令値を修正する、請求項3に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記回転速度上限値は、前記回転電機の部品保護から機械的に定まる所定の上限回転速度に基づいて設定される、請求項3または請求項4に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記速度急変が検出された場合に、前記エンジンへの燃料供給を遮断するように構成された燃料遮断制御部をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
前記エンジンの回転軸と前記動力分割機構との間に設けられ、前記エンジンから前記動力分割機構への前記駆動力の伝達および非伝達を切替可能とするように構成された係合装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記係合装置を制御するように構成された係合装置制御部をさらに含み、
前記係合装置制御部は、前記燃料遮断制御部によって前記燃料供給が遮断されているときには、前記駆動力が非伝達とされるように前記係合装置を制御する、請求項6に記載のハイブリッド車両。
【請求項8】
前記速度検出部は、前記エンジンの回転速度をさらに検出し、
前記制御装置は、
前記エンジンの回転速度に基づいて、前記エンジンへの点火を制御するように構成された点火制御部をさらに含み、
前記係合装置制御部は、前記駆動力が非伝達とされている場合に、前記点火制御部において前記点火が停止され、かつ前記エンジンの回転速度が所定のエンジン速度基準値より小さくなったときは、前記駆動力の伝達が復帰されるように前記係合装置を制御する、請求項7に記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−195312(P2010−195312A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44591(P2009−44591)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】