説明

ハイブリッド車両

【課題】電動機でエアコン用コンプレッサを作動している状態から状況に応じて適切に内燃機関を始動可能なハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】電動機で前記内燃機関を始動するともに前記エアコン用コンプレッサを作動可能な車両用駆動装置1を備えたハイブリッド車両であって、第1及び第2クラッチ41、42を切断してエンジン6を停止させた状態で且つモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動している状態からエンジン6を始動する際に、モータ7に対する回転指示制御を継続しながらモータ7の回転エネルギーを利用してエンジン6を始動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン用コンプレッサを備え、電動機で内燃機関を始動するとともにエアコン用コンプレッサを作動可能な車両用駆動装置を備えたハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関と、電動機と、車室内の空調を行なうエアコン用コンプレッサと、を備える車両用駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置200は、図15に示すように、電動機210に接続されるとともに第1断接手段205によって選択的に内燃機関出力軸204と連結される第1入力軸202aと、第2断接手段206によって選択的に内燃機関出力軸204に連結される第2入力軸202bと、被駆動部に動力を出力する出力軸203と、第1入力軸202a上に配置され第1同期装置230、231を介して第1入力軸202aに選択的に連結される複数のギヤよりなる第1ギヤ群と、第2入力軸202b上に配置され第2同期装置216、217を介して第2入力軸202bに選択的に連結される複数のギヤよりなる第2ギヤ群と、出力軸203上に配置され第1ギヤ群のギヤと第2ギヤ群のギヤと噛合する複数のギヤよりなる第3ギヤ群と、を備えたツインクラッチ式変速機構を備え、電動機210に副装置としてのエアコン用コンプレッサ260がエアコン用クラッチ261を介して連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−89594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1には、具体的にどのようにエアコン用コンプレッサ260を制御するのか記載されていない。特に、この電動機210が内燃機関の始動モータとしても機能する場合に、電動機210でエアコン用コンプレッサ260を作動している状態から内燃機関を始動する際、エアコン用コンプレッサ260の非作動時と同じオペレーションをとろうとすると一度エアコン用コンプレッサ260を停止させる必要があり、内燃機関の始動に時間がかかりドライバビリティが悪化するという問題があった。また、一度停止させた電動機を再度駆動すると電力の消費が多くなってしまう。
【0006】
これに対して駆動用の電動機で作動可能な電動エアコン用コンプレッサや内燃機関始動用モータを搭載することも考えられるが、電動機の数が増加するとともにコストが増加することとなる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電動機でエアコン用コンプレッサを作動している状態から状況に応じて適切に内燃機関を始動可能なハイブリッド車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
内燃機関(例えば、後述の実施形態のエンジン6)と、
電動機(例えば、後述の実施形態のモータ7)と、
前記電動機に接続されるとともに第1断接手段(例えば、後述の実施形態の第1クラッチ41)を介して選択的に前記内燃機関に接続される第1入力軸(例えば、後述の実施形態の第1主軸11)と、第2断接手段(例えば、後述の実施形態の第2クラッチ42)を介して選択的に前記内燃機関に接続される第2入力軸(例えば、後述の実施形態の第2中間軸16)と、被駆動部(例えば、後述の実施形態の駆動輪DW,DW)に動力を出力する出力軸(例えば、後述の実施形態のカウンタ軸14)と、前記第1入力軸上に配置され第1同期装置(例えば、後述の実施形態のロック機構61、第1変速用シフター51)を介して前記第1入力軸に選択的に連結される複数のギヤ(例えば、後述の実施形態の遊星歯車機構30、第3速用駆動ギヤ23a、第5速用駆動ギヤ25a)よりなる第1ギヤ群と、前記第2入力軸上に配置され第2同期装置(例えば、後述の実施形態の第2変速用シフター52)を介して前記第2入力軸に選択的に連結される複数のギヤ(例えば、後述の実施形態の第2速用駆動ギヤ22a、第4速用駆動ギヤ24a)よりなる第2ギヤ群と、前記出力軸上に配置され前記第1ギヤ群のギヤと前記第2ギヤ群のギヤとが噛合する複数のギヤ(例えば、後述の実施形態の第1共用従動ギヤ23b、第2共用従動ギヤ24b)よりなる第3ギヤ群と、を備えた変速機構(例えば、後述の実施形態の変速機20)と、
エアコン用クラッチ(例えば、後述の実施形態のエアコン用クラッチ121)を介して前記第1入力軸に連結されるエアコン用コンプレッサ(例えば、後述の実施形態のエアコン用コンプレッサ112)と、を備え、前記電動機で前記内燃機関を始動するともに前記エアコン用コンプレッサを作動可能な車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態の車両用駆動装置1)を備えたハイブリッド車両であって、
前記第1及び第2断接手段を切断して前記内燃機関を停止させた状態で且つ前記電動機で前記エアコン用コンプレッサを作動している状態から前記内燃機関を始動する際に、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記電動機の回転エネルギーを利用して前記内燃機関を始動することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、
複数の内燃機関始動モードを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
車両停止中であって前記電動機の駆動力要求がある場合における前記内燃機関始動モードは、前記第1同期装置を接続可能な回転数まで前記電動機の回転数を下げて前記第1同期装置を接続するステップと、前記電動機の動力を前記出力軸に伝達しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップと、を備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
前記内燃機関及び前記電動機の駆動力要求がない場合における前記内燃機関始動モードは、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、
車両停止中に前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させている状態で発進要求があった場合、前記第2同期装置を接続した後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で発進することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
ニュートラル状態で車両走行中に前記内燃機関の駆動力要求がある場合であって、前記内燃機関の駆動力要求が前記電動機が連結された前記第1入力軸に配置された前記第1ギヤ群のギヤを介する駆動力要求である場合における前記内燃機関始動モードは、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記電動機の回転数を前記第1同期装置が接続可能な回転数にして前記第1同期装置を接続するステップと、前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップと、を備え、
前記内燃機関を始動後、そのまま前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
ニュートラル状態で車両走行中に前記内燃機関の駆動力要求がある場合であって、前記内燃機関の駆動力要求が前記電動機が連結されていない前記第2入力軸に配置された前記第2ギヤ群のギヤを介する駆動力要求である場合における前記内燃機関始動モードは、前記第2同期装置を接続するとともに前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
前記車両用駆動装置が前輪と後輪のいずれか一方を駆動するために搭載され、
他の電動機が前輪と後輪の他方を駆動するために搭載され、
前記他の電動機により走行中であって、要求駆動力が前記他の電動機の最大駆動力以下且つ要求電力が蓄電装置の出力上限より大きい場合における前記内燃機関始動モードは、 前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させてシリーズ走行することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、
前記車両用駆動装置が前輪と後輪のいずれか一方を駆動するために搭載され、
他の電動機が前輪と後輪の他方を駆動するために搭載され、
前記他の電動機により走行中であって、要求駆動力が前記他の電動機の最大駆動力より大きい場合における前記内燃機関始動モードは、前記第2同期装置を接続するとともに前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で走行するか又はパラレル走行することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項3〜9のいずれかに記載の発明の構成に加えて、
前記内燃機関を始動するステップの前に、前記エアコン用クラッチを開放することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1のハイブリッド車両によれば、第1及び第2断接手段を切断して内燃機関を停止させた状態で且つ電動機によりエアコン用コンプレッサの作動している状態から内燃機関を始動する際に、電動機に対する回転指示制御を継続しながら電動機の回転エネルギーを利用して内燃機関を始動することにより、電動機を一旦停止させてから内燃機関を始動する場合に比べて一度エアコン用コンプレッサを停止させる必要がないため、内燃機関の始動時間を短縮することができ、これによりドライバビリティを向上させることができる。また、電動機の回転エネルギーを利用することにより電動機の消費電力も低減させることができる。
【0019】
また、請求項2のハイブリッド車両によれば、複数の内燃機関始動モードの中から最適な始動モードを選択することができる。
【0020】
また、請求項3のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態からEV発進、内燃機関の始動、内燃機関走行へとスムーズに移行することができる。
【0021】
また、請求項4のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態から内燃機関の始動、内燃機関による電動機の発電へとスムーズに移行することができる。
【0022】
また、請求項5のハイブリッド車両によれば、停車中に電動機で発電している状態から早期に車両の発進を行うことができる。
【0023】
また、請求項6のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態から内燃機関の始動、内燃機関による第1ギヤ群を介する走行にスムーズに移行することができる。
【0024】
また、請求項7のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態から内燃機関の始動、内燃機関による第2ギヤ群を介する走行にスムーズに移行することができる。
【0025】
また、請求項8のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態から内燃機関の始動、シリーズ走行にスムーズに移行することができる。
【0026】
また、請求項9のハイブリッド車両によれば、電動機によるエアコン用コンプレッサの作動状態から内燃機関の始動、内燃機関走行又はパラレル走行にスムーズに移行することができる。
【0027】
また、請求項10のハイブリッド車両によれば、エアコン用クラッチを開放することで負荷を低減することができ、エンジン始動のためのトルクを確保しやすくエンジン始動を短時間で行うことができる。また、モータの体格を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態のハイブリッド車両の車両用駆動装置を示す断面図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の概略構成図である。
【図3】図2の車両用駆動装置をさらに簡略化した概略構成図である。
【図4】始動モード選定処理の制御フローを示すフロー図である。
【図5】第1エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図6】第2エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図7】第2エンジン始動モードからの発進を説明する説明図である。
【図8】第3エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図9】第4エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図10】ハイブリッド四輪駆動車の車両用駆動装置の始動モード選定処理の制御フローを示すフロー図である。
【図11】駆動力と電力との関係を説明する説明図である。
【図12】第5エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図13】駆動力と電力との関係を説明する説明図である。
【図14】第6エンジン始動モードを説明する説明図である。
【図15】特許文献1の車両用駆動装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のハイブリッド車両に搭載される車両用駆動装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両用駆動装置1は、図1及び図2に示すように、車両(図示せず)の駆動軸9,9を介して駆動輪DW,DW(被駆動部)を駆動するためのものであり、駆動源である内燃機関(以下「エンジン」という)6と、電動機(以下「モータ」という)7と、動力を駆動輪DW,DWに伝達するための変速機20と、を備えている。
【0030】
エンジン6は、例えばガソリンエンジン又はディーゼルエンジンであり、このエンジン6のクランク軸6aには、変速機20の第1クラッチ41(第1断接手段)と第2クラッチ42(第2断接手段)が接続されている。
【0031】
モータ7は、例えば3相ブラシレスDCモータであり、ステータ71と、このステータ71に対向するように配置されたロータ72とを有し、ロータ72が変速機20の一部を構成する遊星歯車機構30のリングギヤ35の外周側に配置され、遊星歯車機構30のサンギヤ32に連結されている。これにより、ロータ72は、遊星歯車機構30のサンギヤ32と一体に回転するように構成されている。
【0032】
変速機20は、前述した第1クラッチ41と第2クラッチ42と、遊星歯車機構30と、後述する複数の変速ギヤ群を備えた、いわゆるツインクラッチ式変速機である。
【0033】
より具体的に、変速機20は、エンジン6のクランク軸6aと同軸(回転軸線A1)上に配置された第1主軸11(第1入力軸)と、第2主軸12と、連結軸13と、回転軸線A1と平行に配置された回転軸線B1を中心として回転自在なカウンタ軸14(出力軸)と、回転軸線A1と平行に配置された回転軸線C1を中心として回転自在な第1中間軸15と、回転軸線A1と平行に配置された回転軸線D1を中心として回転自在な第2中間軸16(第2入力軸)と、回転軸線A1と平行に配置された回転軸線E1を中心として回転自在なリバース軸17を備えている。
【0034】
第1主軸11には、エンジン6側に第1クラッチ41が接続され、エンジン6側とは反対側に遊星歯車機構30のサンギヤ32とモータ7のロータ72が取り付けられている。
【0035】
ここで、遊星歯車機構30は、サンギヤ32と、このサンギヤ32と同軸上に配置され、かつ、このサンギヤ32の周囲を取り囲むように配置されたリングギヤ35と、サンギヤ32とリングギヤ35に噛合されたプラネタリギヤ34と、このプラネタリギヤ34を自転可能、かつ、公転可能に支持するキャリア36とを有して、サンギヤ32とリングギヤ35とキャリア36が、相互に差動回転自在に構成されている。従って、第1主軸11は、第1クラッチ41によって選択的にエンジン6のクランク軸6aと連結されるとともにモータ7と直結され、エンジン6及び/又はモータ7の動力がサンギヤ32に伝達されるように構成されている。また、リングギヤ35には、同期機構(シンクロナイザー機構)を有しリングギヤ35の回転を停止(ロック)可能に構成されたロック機構61(第1同期装置)が設けられている。なお、ロック機構61の代わりにブレーキ機構を用いてもよい。
【0036】
第2主軸12は、第1主軸11より短く中空に構成されており、第1主軸11のエンジン6側の周囲を覆うように相対回転自在に配置されている。また、第2主軸12には、エンジン6側に第2クラッチ42が接続され、エンジン6側とは反対側にアイドル駆動ギヤ27aが一体に取り付けられている。従って、第2主軸12は、第2クラッチ42によって選択的にエンジン6のクランク軸6aと連結され、エンジン6の動力がアイドル駆動ギヤ27aへ伝達されるように構成されている。
【0037】
連結軸13は、第1主軸11より短く中空に構成されており、第1主軸11のエンジン6側とは反対側の周囲を覆うように相対回転自在に配置されている。また、連結軸13には、エンジン6側に第3速用駆動ギヤ23aが一体に取り付けられ、エンジン6側とは反対側に遊星歯車機構30のキャリア36が一体に取り付けられている。従って、プラネタリギヤ34の公転により連結軸13に取り付けられたキャリア36と第3速用駆動ギヤ23aが一体に回転するように構成されている。
【0038】
さらに、第1主軸11には、連結軸13に取り付けられた第3速用駆動ギヤ23aと第2主軸12に取り付けられたアイドル駆動ギヤ27aとの間に、第1主軸11と相対回転自在に第5速用駆動ギヤ25aが設けられるとともに第1主軸11と一体に回転するリバース従動ギヤ28bが取り付けられている。さらに第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aとの間には、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23a又は第5速用駆動ギヤ25aとを連結又は開放する第1変速用シフター51(第1同期装置)が設けられている。そして、第1変速用シフター51が第3速用接続位置でインギヤするときには、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23aが連結して一体に回転し、第5速用接続位置でインギヤするときには、第1主軸11と第5速用駆動ギヤ25aが一体に回転し、第1変速用シフター51がニュートラル位置にあるときには、第1主軸11は第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aに対し相対回転する。
【0039】
なお、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23aが一体に回転するとき、第1主軸11に取り付けられたサンギヤ32と第3速用駆動ギヤ23aに連結軸13を介して連結されたキャリア36が一体に回転するとともに、リングギヤ35も一体に回転し、遊星歯車機構30が一体となる。これにより、後述する第3速用の第3伝達経路が確立され、第3速走行がなされる。また、第1変速用シフター51がニュートラル位置にあって前述のロック機構61でリングギヤ35がロックされると後述する第1伝達経路が確立され、サンギヤ32の回転が減速されてキャリア36に伝達されて第1速走行がなされる。
【0040】
第1中間軸15には、第2主軸12に取り付けられたアイドル駆動ギヤ27aと噛合する第1アイドル従動ギヤ27bが一体に取り付けられている。
【0041】
第2中間軸16には、第1中間軸15に取り付けられた第1アイドル従動ギヤ27bと噛合する第2アイドル従動ギヤ27cが一体に取り付けられている。第2アイドル従動ギヤ27cは、前述したアイドル駆動ギヤ27aと第1アイドル従動ギヤ27bとともに第1アイドルギヤ列27Aを構成している。また、第2中間軸16には、第1主軸11周りに設けられた第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aと対応する位置にそれぞれ第2中間軸16と相対回転可能な第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aとが設けられている。さらに第2中間軸16には、第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aとの間に、第2中間軸16と第2速用駆動ギヤ22a又は第4速用駆動ギヤ24aとを連結又は開放する第2変速用シフター52が設けられている。そして、第2変速用シフター52が第2速用接続位置でインギヤするときには、第2中間軸16と第2速用駆動ギヤ22aとが一体に回転し、第2変速用シフター52が第4速用接続位置でインギヤするときには、第2中間軸16と第4速用駆動ギヤ24aとが一体に回転し、第2変速用シフター52がニュートラル位置にあるときには、第2中間軸16は第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aに対し相対回転する。
【0042】
カウンタ軸14には、エンジン6側とは反対側から順に第1共用従動ギヤ23bと、第2共用従動ギヤ24bと、パーキングギヤ21と、ファイナルギヤ26aとが一体に取り付けられている。
ここで、第1共用従動ギヤ23bは、連結軸13に取り付けられた第3速用駆動ギヤ23aと噛合して第3速用駆動ギヤ23aと共に第3速用ギヤ対23を構成し、第2中間軸16に設けられた第2速用駆動ギヤ22aと噛合して第2速用駆動ギヤ22aと共に第2速用ギヤ対22を構成する。
第2共用従動ギヤ24bは、第1主軸11に設けられた第5速用駆動ギヤ25aと噛合して第5速用駆動ギヤ25aと共に第5速用ギヤ対25を構成し、第2中間軸16に設けられた第4速用駆動ギヤ24aと噛合して第4速用駆動ギヤ24aと共に第4速用ギヤ対24を構成する。
ファイナルギヤ26aは差動ギヤ機構8と噛合して、差動ギヤ機構8は、駆動軸9,9を介して駆動輪DW,DWに連結されている。従って、カウンタ軸14に伝達された動力はファイナルギヤ26aから差動ギヤ機構8、駆動軸9,9、駆動輪DW,DWへと出力される。
【0043】
リバース軸17には、第1中間軸15に取り付けられた第1アイドル従動ギヤ27bと噛合する第3アイドル従動ギヤ27dが一体に取り付けられている。第3アイドル従動ギヤ27dは、前述したアイドル駆動ギヤ27aと第1アイドル従動ギヤ27bとともに第2アイドルギヤ列27Bを構成している。また、リバース軸17には、第1主軸11に取り付けられた後進用従動ギヤ28bと噛合する後進用駆動ギヤ28aがリバース軸17と相対回転自在に設けられている。後進用駆動ギヤ28aは、後進用従動ギヤ28bとともに後進用ギヤ列28を構成している。さらに後進用駆動ギヤ28aのエンジン6側とは反対側にリバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとを連結又は開放する後進用シフター53が設けられている。そして、後進用シフター53が後進用接続位置でインギヤするときには、リバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとが一体に回転し、後進用シフター53がニュートラル位置にあるときには、リバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとが相対回転する。
【0044】
なお、第1変速用シフター51、第2変速用シフター52、後進用シフター53は、接続する軸とギヤの回転数を一致させる同期機構(シンクロナイザー機構)を有するクラッチ機構を用いている。
【0045】
このように構成された変速機20は、2つの変速軸の一方の変速軸である第1主軸11上に遊星歯車機構30、第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aからなる奇数段ギヤ群(第1ギヤ群)が設けられ、2つの変速軸の他方の変速軸である第2中間軸16上に第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aからなる偶数段ギヤ群(第2ギヤ群)が設けられる。
【0046】
また、車両用駆動装置1には、さらにエアコン用コンプレッサ112とオイルポンプ122とが設けられ、オイルポンプ122は、回転軸線A1〜E1と平行に配置されたオイルポンプ用補機軸19上にオイルポンプ用補機軸19と一体回転可能に取り付けられている。オイルポンプ用補機軸19には、後進用駆動ギヤ28aと噛合するオイルポンプ用従動ギヤ28cと、エアコン用駆動ギヤ29aとが一体回転可能に取り付けられて、第1主軸11を回転させるエンジン6及び/又はモータ7の動力が伝達される。また、エアコン用コンプレッサ112は、回転軸線A1〜E1と平行に配置されたエアコン用補機軸18上にエアコン用クラッチ121を介して設けられている。エアコン用補機軸18には、エアコン用駆動ギヤ29aからチェーン29cを介して動力が伝達されるエアコン用従動ギヤ29bがエアコン用補機軸18と一体回転可能に取り付けられて、オイルポンプ用補機軸19からエンジン6及び/又はモータ7の動力がエアコン用駆動ギヤ29a、チェーン29c及びエアコン用従動ギヤ29bで構成されるエアコン用伝達機構29を介して伝達される。なお、エアコン用コンプレッサ112は、不図示のエアコン作動用ソレノイドによりエアコン用クラッチ121を断接することで、動力の伝達が遮断することができるように構成される。
【0047】
以上の構成により、本実施形態の車両用駆動装置1は、以下の第1〜第5の伝達経路を有している。
(1)第1伝達経路は、エンジン6のクランク軸6aが、第1主軸11、遊星歯車機構30、連結軸13、第3速用ギヤ対23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。ここで、遊星歯車機構30の減速比は、第1伝達経路を介して駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクが第1速相当となるように設定されている。即ち、遊星歯車機構30の減速比と第3速用ギヤ対23の減速比をかけ合わせた減速比が第1速相当となるように設定されている。
【0048】
(2)第2伝達経路は、エンジン6のクランク軸6aが、第2主軸12、第1アイドルギヤ列27A(アイドル駆動ギヤ27a、第1アイドル従動ギヤ27b、第2アイドル従動ギヤ27c)、第2中間軸16、第2速用ギヤ対22(第2速用駆動ギヤ22a、第1共用従動ギヤ23b)又は第4速用ギヤ対24(第4速用駆動ギヤ24a、第2共用従動ギヤ24b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。
【0049】
(3)第3伝達経路は、エンジン6のクランク軸6aが、第1主軸11、第3速用ギヤ対23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)又は第5速用ギヤ対25(第5速用駆動ギヤ25a、第2共用従動ギヤ24b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、遊星歯車機構30を介さずに、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。
【0050】
(4)第4伝達経路は、モータ7が、遊星歯車機構30又は第3速用ギヤ対23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)又は第5速用ギヤ対25(第5速用駆動ギヤ25a、第2共用従動ギヤ24b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。
【0051】
(5)第5伝達経路は、エンジン6のクランク軸6aが、第2主軸12、第2アイドルギヤ列27B(アイドル駆動ギヤ27a、第1アイドル従動ギヤ27b、第3アイドル従動ギヤ27d)、リバース軸17、後進用ギヤ列28(後進用駆動ギヤ28a、後進用従動ギヤ28b)、遊星歯車機構30、連結軸13、第3速用ギヤ対23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。
【0052】
また、本実施形態の車両用駆動装置1において、モータ7は、車両全体の各種制御をする制御装置を介してバッテリ3に接続され、バッテリ3からの電力供給と、バッテリ3へのエネルギー回生が制御装置を介して行われるようになっている。即ち、モータ7は、バッテリ3から制御装置を介して供給された電力によって駆動され、また、減速走行時における駆動輪DW,DWの回転やエンジン6の動力により回生発電を行って、バッテリ3の充電(エネルギー回収)を行うことが可能である。さらに、制御装置は、加速要求、制動要求、エンジン回転数、モータ回転数、モータ温度、第1,第2主軸11、12の回転数、カウンタ軸14等の回転数、車速、シフトポジション、SOC(State of Charge)などが入力される一方、エンジン6を制御する信号、モータ7を制御する信号、バッテリ3における発電状態・充電状態・放電状態などを示す信号、第1,第2変速シフター51、52、後進用シフター53を制御する信号、ロック機構61の接続(ロック)と開放(ニュートラル)を制御する信号などが出力される。
【0053】
このように構成された車両用駆動装置1は、第1及び第2クラッチ41、42の断接を制御するとともに第1変速用シフター51、第2変速用シフター52および後進用シフター53の接続位置を制御することにより、エンジン6で第1〜第5速走行および後進走行を行うことができる。
【0054】
第1速走行は、第1クラッチ41を締結しロック機構61をロックすることで第1伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。第2速走行は、第2クラッチ42を締結して第2変速用シフター52を第2速用接続位置でインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達され、第3速走行は、第1クラッチ41を締結して第1変速用シフター51を第3速用接続位置でインギヤすることで第3伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。
【0055】
また、第4速走行は、第2変速用シフター52を第4速用接続位置でインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達され、第5速走行は、第1変速用シフター51を第5速用接続位置でインギヤすることで第3伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。さらに、第2クラッチ42を締結して後進用シフター53を接続することで、第5伝達経路を介して後進走行がなされる。
【0056】
また、エンジン走行中にロック機構61をロックしたり、第1及び第2変速用シフター51、52をプレシフトすることでモータ7でアシストしたり回生したり、さらにアイドリング中であってもエンジン6をモータ7で始動したりバッテリ3を充電することもできる。さらに、第1及び第2クラッチ41、42を切断してモータ7でEV走行を行うこともできる。EV走行の走行モードとしては、第1及び第2クラッチ41、42を切断して、ロック機構61をロックすることで第4伝達経路を介して走行する第1速EVモードと、第1変速用シフター51を第3速用接続位置でインギヤすることで第4伝達経路を介して走行する第3速EVモードと、第1変速用シフター51を第5速用接続位置でインギヤすることで第4伝達経路を介して走行する第5速EVモードとが存在する。
【0057】
また、エアコン用コンプレッサ112は第1主軸11に連結されているため、奇数段ギヤで走行中は第1主軸11が必然的に回転するためエアコン用コンプレッサ112を作動させることができるが、偶数段ギヤで走行中にエアコン用コンプレッサ112を駆動させるためには、(i)奇数段ギヤをニュートラルにするとともにモータ7で第1主軸11を回転させるか、(ii)ロック機構61又は第1変速用シフター51をプレシフトして第1主軸11を回転させるか、又は(iii)ロック機構61又は第1変速用シフター51をニュートラルにするとともに第1クラッチ41を締結して第1主軸11をエンジン6で回転させることができる。従って、エアコンの作動要求があると、停車中であっても、奇数段ギヤで走行中であっても、偶数段ギヤで走行中であっても、エアコン用クラッチ121を締結してエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。
【0058】
ここで、車両の停止中や慣性で走行中にエアコン用コンプレッサ112を作動させるには、SOCに余裕があれば全てのクラッチやシフターをニュートラルにしてカウンタ軸14への動力を伝達させない状態でモータ7を駆動することにより第1主軸11を回転させてエアコン用コンプレッサ112を作動させる。これにより、エンジン6を停止したままモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させることができるので、燃費を向上させることができる。
そして、以下、このエンジン停止中にモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させた状況からエンジン6を始動する際の制御について説明する。
【0059】
図3は、図2の車両用駆動装置1をより簡略化した概略構成図である。図3中、「Eng」はエンジン6、A/Cはエアコン用コンプレッサ112、Motはモータ7、DWは駆動輪DW,DW、SYN1は、ロック機構61と第1変速用シフター51を含めた第1同期装置であり、SYN2は、第2変速用シフター52を意味する第2同期装置であり、SYN1を接続することで第1入力軸である第1主軸11とカウンタ軸14とが連結され、SYN2を接続することで第2入力軸である第2中間軸16とカウンタ軸14とが連結される。
【0060】
以下、図4を参照してエンジン6の停止中にエアコン用クラッチ121を締結してモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態からエンジン6を始動する始動モード選定処理について説明する。
先ずエンジン始動要求があると、アクセルペダルの踏み込み量等から駆動力要求の有無、即ち要求駆動力がゼロであるか否かを検出し(ステップS11)、要求駆動力がゼロであれば第2エンジン始動モードでエンジン6を始動し、要求駆動力がゼロでなければ続いて車速を検出する(ステップS12)。その結果、車速がゼロであれば第1エンジン始動モードでエンジン6を始動し、車速がゼロでなければ選択されるギヤ段を検出し(ステップS13)、選択されるギヤ段が奇数段ギヤであれば第3エンジン始動モードでエンジン6を始動し、選択されるギヤ段が偶数段ギヤであれば第4エンジン始動モードでエンジン6を始動する。
【0061】
第1エンジン始動モードは、図5(a)の車両停止中であってモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態でモータ7の駆動力要求がある場合、例えば、停車中にドライバによりアクセルペダルが踏まれた場合である。
【0062】
この第1始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放する(図5(b))。なお、エアコン用クラッチ121は必ずしも開放する必要はないが、エアコン用クラッチ121を開放することで負荷を低減することができ、発進のためのトルクを確保しやすく発進を短時間で行うことができる。また、モータの体格を小さくすることができる。なお、このことは後述の実施例においても同様である。
【0063】
続いて、SYN1を接続するため回転数指示制御によりモータ7の回転数をSYN1を接続可能な回転数まで下げて、SYN1が接続可能となったときSYN1を接続する(図5(c))。これにより、第1主軸11とカウンタ軸14とが連結されモータトルクが駆動輪DWに伝達される状況となる。そして、この状態でモータ7を駆動することにより、モータトルクが図5(d)の矢印で示すように、モータ7から第1主軸11を介してカウンタ軸14に伝達されEV発進がなされる(図5(d))。このようにモータ7を停止させずにモータ7の回転エネルギーを利用してSYN1を接続することにより、モータ7を停止させる場合に比べて早期にEV発進を行うことができ、モータ7の消費電力を抑制することができる。なお、回転数指示制御は、トルクマップによる回転数制御を含むものである。
【0064】
続いて、EV走行中にモータ7の回転数がエンジン6の始動回転数以上となった状態で第1クラッチ41を締結することにより、図5(e)の矢印で示すようにモータトルクがカウンタ軸14に伝達されるとともにエンジン6にも伝達され、エンジン6を始動することができる(図5(e))。このとき、モータトルクを第1クラッチ41の締結のためのクラッチトルク分増やすことで、駆動輪DWに第1クラッチ41の締結に伴う引き込みトルクが作用するのを抑制することができ、ドライバビリティが悪化するのを防止することができる。
【0065】
そしてエンジン6の始動後は、図5(f)の矢印で示すようにエンジントルクが駆動輪DWに伝達される。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することでエンジントルクがエアコン用コンプレッサ112にも伝達され、エアコン用コンプレッサ112を作動させることができる(図5(f))。このとき、モータ7はゼロトルク制御により空転させてもよく、モータ7を駆動してエンジン6をアシストしたり回生して発電してもよい。特に、エンジントルクをBSFCのボトムトレースさせるとともにモータトルクによりエンジン6をアシスト又は回生することにより、エンジン6を効率のよい領域で運転させることができ燃費を向上させることができる。なお、エアコン用クラッチ121は、要求冷却性能に応じて開放・締結を繰り返すPWM制御により制御してもよく、他の制御方法によって制御してもよい。
【0066】
第2エンジン始動モードは、図6(a)の車両停止中であってモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態からモータ7の駆動力要求がない場合であり、図6(a)の状態からエンジン6を始動してモータ7の発電を求められた場合の始動モードである。例えば、モータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動している状況でバッテリ3のSOCが減少した場合である。
【0067】
この第2エンジン始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放するとともに第1クラッチ41を締結する(図6(b))。このとき、モータ7への回転数指示制御を継続し、モータ7の回転数をエンジン6の始動回転数以上として第1クラッチ41を締結することにより、図6(b)の矢印で示すようにモータトルクがエンジン6に伝達され、エンジン6を始動することができる。そして、エンジン6の始動後は、モータ7を回生させることで、図6(c)の矢印で示すようにエンジントルクがモータ7に伝達され、モータ7で発電することができる(図6(c))。この場合も同様に、モータ7を停止させずにモータ7の回転エネルギーを利用してエンジン6を始動することにより、モータ7を停止させる場合に比べて早期にエンジン始動を行うことができ、モータ7の消費電力の抑制にも寄与する。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することによりエンジン6でモータ7を回生させながらエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。
【0068】
その後、発進要求があった場合には、例えば図7に示すように、先ずSYN2を接続して、第2中間軸16とカウンタ軸14とを連結する(図7(a))。続いて第1クラッチ41と第2クラッチ42をつなぎかえる、即ち第1クラッチ41を開放し第2クラッチ42を締結することにより、エンジン6と第1主軸11との連結が遮断され、エンジン6と第2中間軸16とが連結される。これにより、図7(b)の矢印で示すようにエンジントルクがカウンタ軸14に伝達され車両を発進させることができる。従って、モータ7を発電させていたエンジン6のエネルギーをそのまま走行用に使用することができる。また、第1クラッチ41と第2クラッチ42をつなぎかえることだけで車両を発進させることができるので、第1主軸11を介して発進する場合に比べて応答性がよい。さらに、回生させていたモータ7を駆動することにより、エアコン用コンプレッサ112を作動させることができるので、モータ7の回転エネルギーをそのまま利用することができる。なお、第1クラッチ41と第2クラッチ42をつなぎかえずに、第1クラッチ41を締結したままさらに第2クラッチ42を締結してもよい。これにより、エンジン6でエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。
【0069】
第3エンジン始動モードは、図8(a)の車両走行中であってモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態からエンジン6による奇数段ギヤでの駆動力要求がある場合であり、例えば、慣性で車両が走行している場合や四輪駆動で他の駆動源で走行中に、ドライバによりアクセルペダルが踏まれた場合やヨーコントロール制御などのスリップ防止機能からの要求がある場合などである。
【0070】
この第3始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放する(図8(b))。 続いて、SYN1を接続するためモータ7の回転数をSYN1を接続可能な回転数となるように回転数指示制御によりカウンタ軸14との回転数合わせを行ない、SYN1が接続可能となったときSYN1を接続する(図8(c))。これにより、第1主軸11とカウンタ軸14とが連結されモータトルクが駆動輪DWに伝達される状況となる。このようにモータ7を停止させずにモータ7への回転指示制御を継続しながら、モータ7の回転エネルギーを利用してSYN1を接続することにより、モータ7を停止させる場合に比べて早期にエンジン始動を行うことができ、モータ7の消費電力の抑制にも寄与する。続いて、モータ7の回転数がエンジン6の始動回転数以上となった状態で第1クラッチ41を締結することにより、図8(d)の矢印で示すようにモータトルクがカウンタ軸14に伝達されるとともにエンジン6にも伝達され、エンジン6を始動することができる(図8(d))。このとき、モータトルクを第1クラッチ41の締結のためのクラッチトルク分増やすことで、駆動輪DWに第1クラッチ41の締結に伴う引き込みトルクが作用するのを抑制することができ、ドライバビリティが悪化するのを防止することができる。
【0071】
そしてエンジン6の始動後は、図8(e)の矢印で示すようにエンジントルクが駆動輪DWに伝達される。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することでエンジントルクがエアコン用コンプレッサ112にも伝達され、エアコン用コンプレッサ112を作動させることができる(図8(e))。このとき、図5(f)の場合と同様に、モータ7はゼロトルク制御により空転させてもよく、モータ7を駆動してエンジン6をアシストしたり回生して発電してもよい。
【0072】
第4エンジン始動モードは、図9(a)の車両走行中であってモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態からエンジン6による偶数段ギヤでの駆動力要求がある場合であり、例えば、慣性で車両が走行している場合や四輪駆動で他の駆動源で走行中に、ドライバによりアクセルペダルが踏まれた場合やヨーコントロール制御などのスリップ防止機能からの要求がある場合などである。
【0073】
この第4始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放するとともに、第1クラッチ41を締結し且つSYN2を接続する(図9(b))。このとき、モータ7への回転数指示制御を継続し、モータ7の回転数をエンジン6の始動回転数以上として第1クラッチ41を締結することにより、図9(b)の矢印で示すようにモータトルクがエンジン6に伝達され、エンジン6を始動することができる。
【0074】
続いて、第1クラッチ41と第2クラッチ42をつなぎかえる、即ち第1クラッチ41を開放し第2クラッチ42を締結することにより、エンジン6と第2中間軸16が連結される。これにより、図9(c)の矢印で示すようにエンジントルクをカウンタ軸14に伝達して車両を走行させることができる。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することでモータトルクがエアコン用コンプレッサ112にも伝達され、エアコン用コンプレッサ112を作動させることができ(図9(c))、エンジン始動時のモータ7の回転エネルギーを利用してエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。なお、第1クラッチ41と第2クラッチ42をつなぎかえずに、第1クラッチ41を締結したままさらに第2クラッチ42を締結してもよい。これにより、エンジン6でエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。
【0075】
なお、上記図4〜図9に示した始動モード選定処理については、車両用駆動装置1を前輪用又は後輪用にのみ配置し他の駆動源を搭載していない2輪駆動ハイブリッド車であっても、車両用駆動装置1を前輪用と後輪用の一方に配置し、他方に別の駆動源を搭載した4輪駆動ハイブリッド車であっても適用することができる。続いて、車両用駆動装置1を前輪用に配置し、後輪用に別の駆動源としてRrモータを搭載した4輪駆動ハイブリッド車特有の制御について説明する。
【0076】
以下、図10を参照してRrモータで走行中において、車両用駆動装置1のエアコン用クラッチ121を締結してモータ7でエアコン用コンプレッサ112を作動させている状態(図12(a)、図14(a))からエンジン6を始動する始動モード選定処理について説明する。
先ずエンジン始動要求があると、アクセルペダルの踏み込み量等から駆動力要求がRrモータの最大駆動力(RrモータMax駆動力)より大きいか否かを検出し(ステップS21)、駆動力要求がRrモータの最大駆動力(RrモータMax駆動力)より大きくない、即ち要求駆動力がRrモータの最大駆動力以下であれば第5エンジン始動モードでエンジン6を始動し、要求駆動力がRrモータの最大駆動力より大きければ第6エンジン始動モードでエンジン6を始動する。
【0077】
第5エンジン始動モードは、図11に示すようにRrモータで走行中にバッテリ3の出力(BATT出力上限)が低下し、要求駆動力はRrモータの最大駆動力(RrモータMAX駆動力)より小さいもののバッテリ3の要求電力が必要な状況で、シリーズEV走行を要求された場合である。
【0078】
この第5エンジン始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放するとともに第1クラッチ41を締結する(図12(b))。このとき、モータ7への回転数指示制御を継続し、モータ7の回転数をエンジン6の始動回転数以上として第1クラッチ41を締結することにより、図12(b)の矢印で示すようにモータトルクがエンジン6に伝達され、エンジン6を始動することができる。そして、エンジン6の始動後は、モータ7を回生させることで、図12(c)の矢印で示すようにエンジントルクがモータ7に伝達され、モータ7で発電することができる(図6(c))。そして、モータ7で発電した電力でRrモータを駆動してシリーズEV走行をすることができる。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することによりエンジン6でモータ7を回生させながらエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。このように、モータ7を停止させずにモータ7への回転指示制御を継続しながら、モータ7の回転エネルギーを利用してエンジン6を始動することにより、モータ7を停止させる場合に比べて早期にエンジン始動を行うことができる。
【0079】
第6エンジン始動モードは、図13に示すようにRrモータで走行中に要求駆動力がRrモータの最大駆動力(RrモータMAX駆動力)を超えたためRrモータだけでは要求駆動力をだせない状況で、パラレル走行を要求された場合である。
【0080】
この第6始動モードは、先ず、エアコン用クラッチ121を開放するとともに、第1クラッチ41を締結し且つSYN2を接続する(図14(b))。このとき、モータ7への回転数指示制御を継続し、モータ7の回転数をエンジン6の始動回転数以上として第1クラッチ41を締結することにより、図14(b)の矢印で示すようにモータトルクがエンジン6に伝達され、エンジン6を始動することができる。
【0081】
続いて、第1クラッチ41に加えて第2クラッチ42を締結することにより、エンジン6と第2中間軸16とが連結される。これにより、図14(c)の矢印で示すようにエンジントルクをカウンタ軸14に伝達して車両を走行させることができる。そして、図13に示すようにバッテリ3の出力上限が減少している状況であれば、エンジン6の始動後は、モータ7を回生させることで、図14(c)の矢印で示すようにエンジントルクがモータ7に伝達され、モータ7で発電することができる(図14(c))。そして、モータ7で発電した電力でRrモータを駆動してシリーズ・パラレル走行をしてもよい。また、再びエアコン用クラッチ121を締結することによりエンジン6でモータ7を回生させながらエアコン用コンプレッサ112を作動させることができる。なお、図14はパラレル走行を例示したが、Rrモータの駆動を停止しエンジン走行に移行してもよい。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1及び第2クラッチ41、42を切断してエンジン6を停止させた状態で且つモータ7で前記エアコン用コンプレッサ112を作動している状態からエンジン6を始動する際に、モータ7に対する回転指示制御を継続しながらモータ7の回転エネルギーを利用してエンジン6を始動するので、モータ7を一旦停止させてからエンジン6を始動する場合に比べて一度エアコン用コンプレッサ112を停止させる必要がないため、エンジン6の始動時間を短縮することができ、これによりドライバビリティを向上させることができる。また、モータ7の回転エネルギーを利用することによりモータ7の消費電力も低減させることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、複数の内燃機関始動モードを備え、状況に応じて複数の内燃機関始動モードの中から最適な始動モードを選択することができる。
【0084】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、車両用駆動装置1は、ツインクラッチ式変速機のモータ7が接続された入力軸である第1主軸11に奇数段ギヤを配置し、モータ7が接続されていない入力軸である第2中間軸16に偶数段ギヤを配置したが、これに限定されず、モータ7が接続された入力軸である第1主軸11に偶数段ギヤを配置し、モータ7が接続されていない入力軸である第2中間軸16に奇数段ギヤを配置してもよい。
【0085】
また、奇数段の変速段として第1速用駆動ギヤとしての遊星歯車機構30と、第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aに加えて、第7、9・・速用駆動ギヤを、偶数段の変速段として第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aに加えて、第6、8・・速用駆動ギヤを設けてもよい。
【0086】
また、カウンタ軸14に取り付けられる従動ギヤを第2速用駆動ギヤ22aと第3速用駆動ギヤ23aと共同して噛合する第1共用従動ギヤ23bと、第4速用駆動ギヤ24aと第5速用駆動ギヤ25aと共同して噛合する第2共用従動ギヤ24bとしたが、これに限らず、それぞれのギヤと噛合する従動ギヤを複数設けてもよい。また、第1速用駆動ギヤとして遊星歯車機構30を例示したが、これに限らず第3速用駆動ギヤ23aなどと同様に第1速用駆動ギヤを設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 車両用駆動装置
3 バッテリ(蓄電装置)
6 エンジン(内燃機関)
7 モータ(電動機)
11 第1主軸(第1の入力軸)
14 カウンタ軸(出力軸)
16 第2中間軸(第2の入力軸)
20 変速機
22a 第2速用駆動ギヤ
23a 第3速用駆動ギヤ
23b 第1共用従動ギヤ
24a 第4速用駆動ギヤ
24b 第2共用従動ギヤ
25a 第5速用駆動ギヤ
30 遊星歯車機構
41 第1クラッチ(第1断接手段)
42 第2クラッチ(第2断接手段)
51 第1変速用シフター(第1同期装置)
52 第2変速用シフター(第2同期装置)
61 ロック機構(第1同期装置)
112 エアコン用コンプレッサ
121 エアコン用クラッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
電動機と、
前記電動機に接続されるとともに第1断接手段を介して選択的に前記内燃機関に接続される第1入力軸と、第2断接手段を介して選択的に前記内燃機関に接続される第2入力軸と、被駆動部に動力を出力する出力軸と、前記第1入力軸上に配置され第1同期装置を介して前記第1入力軸に選択的に連結される複数のギヤよりなる第1ギヤ群と、前記第2入力軸上に配置され第2同期装置を介して前記第2入力軸に選択的に連結される複数のギヤよりなる第2ギヤ群と、前記出力軸上に配置され前記第1ギヤ群のギヤと前記第2ギヤ群のギヤとが噛合する複数のギヤよりなる第3ギヤ群と、を備えた変速機構と、
エアコン用クラッチを介して前記第1入力軸に連結されるエアコン用コンプレッサと、を備え、前記電動機で前記内燃機関を始動するともに前記エアコン用コンプレッサを作動可能な車両用駆動装置を備えたハイブリッド車両であって、
前記第1及び第2断接手段を切断して前記内燃機関を停止させた状態で且つ前記電動機で前記エアコン用コンプレッサを作動している状態から前記内燃機関を始動する際に、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記電動機の回転エネルギーを利用して前記内燃機関を始動することを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
複数の内燃機関始動モードを備えていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
車両停止中であって前記電動機の駆動力要求がある場合における前記内燃機関始動モードは、前記第1同期装置を接続可能な回転数まで前記電動機の回転数を下げて前記第1同期装置を接続するステップと、前記電動機の動力を前記出力軸に伝達しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップと、を備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記内燃機関及び前記電動機の駆動力要求がない場合における前記内燃機関始動モードは、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
車両停止中に前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させている状態で発進要求があった場合、前記第2同期装置を接続した後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で発進することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
ニュートラル状態で車両走行中に前記内燃機関の駆動力要求がある場合であって、前記内燃機関の駆動力要求が前記電動機が連結された前記第1入力軸に配置された前記第1ギヤ群のギヤを介する駆動力要求である場合における前記内燃機関始動モードは、前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記電動機の回転数を前記第1同期装置が接続可能な回転数にして前記第1同期装置を接続するステップと、前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップと、を備え、
前記内燃機関を始動後、そのまま前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
ニュートラル状態で車両走行中に前記内燃機関の駆動力要求がある場合であって、前記内燃機関の駆動力要求が前記電動機が連結されていない前記第2入力軸に配置された前記第2ギヤ群のギヤを介する駆動力要求である場合における前記内燃機関始動モードは、前記第2同期装置を接続するとともに前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で走行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項8】
前記車両用駆動装置が前輪と後輪のいずれか一方を駆動するために搭載され、
他の電動機が前輪と後輪の他方を駆動するために搭載され、
前記他の電動機により走行中であって、要求駆動力が前記他の電動機の最大駆動力以下且つ要求電力が蓄電装置の出力上限より大きい場合における前記内燃機関始動モードは、 前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記内燃機関の動力で前記電動機を発電させてシリーズ走行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項9】
前記車両用駆動装置が前輪と後輪のいずれか一方を駆動するために搭載され、
他の電動機が前輪と後輪の他方を駆動するために搭載され、
前記他の電動機により走行中であって、要求駆動力が前記他の電動機の最大駆動力より大きい場合における前記内燃機関始動モードは、前記第2同期装置を接続するとともに前記電動機に対する回転指示制御を継続しながら前記第1断接手段を締結して前記内燃機関を始動するステップを備え、
前記内燃機関の始動後、前記第1断接手段と前記第2断接手段をつなぎかえるか又は前記第1断接手段に加えて前記第2断接手段を締結することにより前記内燃機関の動力で走行するか又はパラレル走行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項10】
前記内燃機関を始動するステップの前に、前記エアコン用クラッチを開放することを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−230742(P2011−230742A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105478(P2010−105478)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】