説明

ハイブリッド駆動装置

【課題】専用の駆動機構を設けることなく、車両の動作状態に応じて、回転電機のロータとステータとの軸方向の相対位置を適切に変化させることができるハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】エンジンEに接続された入力部材Iと、車輪に接続された出力部材Oと、ロータRo及びステータStを有し、出力部材Oに駆動力を伝達可能に接続された回転電機MGと、入力部材Iに接続された入力側回転部材10及び出力部材Oに接続された出力側回転部材20を有し、入力側回転部材10と出力側回転部材20との間の変速比を変化させる変速装置TMとを備え、変速装置TMが、変速比の変化に応じて所定方向に移動する変速動作部Mを備え、回転電機MGのロータRo及びステータStのいずれか一方が、変速動作部Mの移動に連動して軸方向に移動するように変速動作部Mに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、ロータ及びステータを有し、前記出力部材に駆動力を伝達可能に接続された回転電機と、前記入力部材に接続された入力側回転部材及び前記出力部材に接続された出力側回転部材を有し、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材との間の変速比を変化させる変速装置と、を備えたハイブリッド駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駆動力源としてエンジンと回転電機とを併用することにより、エンジンの燃費向上及び排出ガスの低減を図ることのできるハイブリッド車両が実用化されている。このようなハイブリッド車両に用いるハイブリッド駆動装置の一例として、例えば、車両の駆動力源としてエンジンの他に一個の回転電機を備え、エンジンの回転を無段変速装置や有段の自動変速装置等の各種の変速装置により変速して車輪に伝達可能に構成するとともに、回転電機の駆動力を車輪に伝達可能に構成したいわゆるパラレルハイブリッド車両の駆動装置が既に知られている。ここで、回転電機は、エンジンと共通の変速装置を介して車輪に接続される構成とされ(例えば、下記特許文献1参照)、或いはエンジンと共通の変速装置を介さずに車輪に接続される構成(例えば、下記特許文献2参照)とされる。
【0003】
これらのパラレルハイブリッド車両の駆動装置では、回転電機は、車速及び変速装置を介する場合には当該変速装置の変速比に比例する速度で回転するため、車両の高速走行時等には、回転電機のロータも高い回転速度で回転することになる。このようなロータの高速回転時に、ステータコイルに生じる逆起電力を低減するために、いわゆる弱め界磁制御が一般的に行われている。但し、この弱め界磁制御は、ステータコイルに供給する電流波形の位相を最適な位相からずらすため、回転電機の効率低下を招くという問題があった。そこで、ロータの高速回転時に、弱め界磁制御を行なうことなくステータコイルに生じる逆起電力を低減するために、ステータに対してロータを軸方向に移動させる駆動機構を備えた回転電機の構成が既に知られている(例えば、下記特許文献3参照)。この回転電機によれば、ロータとステータとの軸方向の相対位置のずれを大きくすることにより、ロータの磁石からの磁束がステータコイルを横切る量を低減できる。従って、ロータの高速回転時にも、弱め界磁制御を行うことなくステータコイルに生じる逆起電力を低減することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−023313公報
【特許文献2】特開2000−220734公報
【特許文献3】特開2008−131790公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような回転電機では、ロータを軸方向に移動させるための油圧シリンダやポンプ等の駆動機構を備える必要がある。また、このような回転電機をハイブリッド車両の駆動装置に用いるためには、ハイブリッド車両の動作状態に応じて前記駆動機構を適切に制御するための制御装置も必要になる。そのため、ハイブリッド駆動装置の部品数が増加してコスト増の要因となるとともに、重量や体積が増加して車両への搭載性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用の駆動機構を設けることなく、車両の動作状態に応じて、回転電機のロータとステータとの軸方向の相対位置を適切に変化させることができるハイブリッド駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る、エンジンに接続された入力部材と、車輪に接続された出力部材と、ロータ及びステータを有し、前記出力部材に駆動力を伝達可能に接続された回転電機と、前記入力部材に接続された入力側回転部材及び前記出力部材に接続された出力側回転部材を有し、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材との間の変速比を変化させる変速装置と、を備えたハイブリッド駆動装置の特徴構成は、前記変速装置が、前記変速比の変化に応じて所定方向に移動する変速動作部を備え、前記回転電機のロータ及びステータのいずれか一方が、前記変速動作部の移動に連動して軸方向に移動するように前記変速動作部に接続された点にある。
【0008】
なお、本願では、「接続」とは、回転の伝達を直接的に行う構造を含むほか、1又は2以上の部材を介して回転の伝達を間接的に行う構造も含む。また、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本願では、「駆動力」はトルクを含む概念として用いている。
【0009】
この特徴構成によれば、変速装置が備える変速動作部に連動させて回転電機のロータ及びステータのいずれか一方を軸方向に移動させることができるので、回転電機のロータ又はステータを軸方向に移動させるための専用の駆動機構を備える必要がない。また、変速装置の変速比の変化に応じて所定方向に移動する変速動作部に連動させて回転電機のロータ及びステータのいずれか一方を軸方向に移動させるので、専用の制御装置を備えることなく、変速装置の変速比として表れる車両の動作状態に応じて適切に、回転電機のロータとステータとの軸方向の相対位置を変化させることができる。
【0010】
ここで、前記変速動作部が、前記入力側回転部材又は前記出力側回転部材と一体的に回転するとともに、その回転軸方向に移動するように構成され、前記回転電機のロータが、前記変速動作部の回転軸と同軸に配置されるとともに、前記変速動作部に固定された構成とすると好適である。
【0011】
この構成によれば、回転電機のロータを変速動作部とともに入力側回転部材と出力側回転部材との間の変速比の変化に応じて軸方向に移動させることができるとともに、変速動作部を介して回転電機から入力側回転部材又は出力側回転部材への駆動力の伝達及び入力側回転部材又は出力側回転部材から回転電機への駆動力の伝達を行うことができる。従って、回転電機のロータを、変速動作部の回転軸と同軸に配置するとともに変速動作部に固定するだけの簡易な構成により、変速装置の変速比の変化に応じて回転電機のロータを軸方向に移動させる構成と、回転電機と入力側回転部材又は出力側回転部材との間で駆動力を伝達可能に接続する構成との双方を同時に実現することができる。
【0012】
また、前記変速比が小さくなるに従って前記回転電機のロータとステータとの軸方向のずれが拡大するように構成されていると好適である。
【0013】
ここで、「変速比」は、前記入力側回転部材から前記出力側回転部材に伝達される回転が減速される比率であり、変速比の値が大きくなるに従って、前記入力側回転部材の回転が大きく減速されて前記出力側回転部材へ伝達される。
【0014】
この構成によれば、変速装置の変速比が大きいときには、回転電機のロータとステータの軸方向のずれが小さくなり、回転電機が大きい駆動力を出力可能な状態となる。逆に、変速装置の変速比が小さいときには、回転電機のロータとステータの軸方向のずれが大きくなり、ロータの回転によってステータコイルに生じる逆起電力が低減されるので、ロータの高速回転が可能となるとともに、特に高速回転時の回転電機の効率が高まる。ここで、一般的に、変速装置を備える車両において、変速装置の変速比が大きいときは車速が比較的低く、大きい駆動力が要求される状況であり、変速比が小さいときは車速が比較的高く、大きな駆動力は要求されない状況であることが多い。従って、本構成によれば、このような変速装置の変速比として表れる車両の動作状態に応じて、大きい駆動力が要求される状況では回転電機から大きい駆動力を出力可能な状態とすることができ、大きい駆動力が要求されず回転電機が比較的高速回転する状況ではロータの高速回転を可能とするとともに高速回転時の回転電機の効率を高めることができる。従って、車両側からの要求に応じて回転電機から必要な駆動力を出力可能としつつ、高速走行時等のような回転電機の高速回転時の効率も高いハイブリッド駆動装置を実現できる。
【0015】
また、前記変速比が最大の状態で前記回転電機のロータとステータとの軸方向の位置が一致するように構成されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、変速装置の変速比が最大の状態で回転電機が最大のトルクを出力可能となる。従って、変速装置の変速比として表れる車両の動作状態に応じて、最も大きい駆動力が要求される最大変速比の際に、回転電機から最大のトルクを出力でき、車両側からの駆動力の要求に十分に応えることが可能となる。
【0017】
また、前記回転電機が、前記変速装置を介して前記出力部材に駆動力を伝達可能に接続された構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、回転電機の回転を、エンジンの回転と同じく、変速装置により車両の動作状態に応じて選択された変速比で変速して出力部材に伝達することができる。従って、車両の動作状態に応じて回転電機の回転を減速又は増速して出力部材に伝達することが可能となるので、回転電機をより効率的に使用することが可能となる。
【0019】
また、前記変速装置は、前記入力側回転部材としての駆動プーリと、前記出力側回転部材としての従動プーリと、前記駆動プーリが有するV字状溝と前記従動プーリが有するV字状溝とに巻回された伝動ベルトとを備えたベルト式無段変速装置であり、前記変速動作部は、前記駆動プーリ又は前記従動プーリにおける前記V字状溝の溝幅を変化させるための可動シーブであると好適である。
【0020】
この構成によれば、変速装置として広く用いられているベルト式無段変速装置を備える場合に、当該変速装置における入力側回転部材としての駆動プーリ又は出力側回転部材としての従動プーリと一体的に回転するとともに、その回転軸方向に移動する可動シーブを変速動作部とすることになる。従って、回転電機のロータ又はステータを軸方向に移動させるための専用の駆動機構及び専用の制御装置を備えることなく、変速装置の変速比の変化に応じて適切に、回転電機のロータとステータとの軸方向の相対位置を変化させることができる。また、回転電機のロータを、この可動シーブの回転軸と同軸に配置するとともに可動シーブに固定すれば、変速装置の変速比の変化に応じて回転電機のロータを軸方向に移動させる構成と、回転電機から出力部材へ駆動力を伝達可能に接続する構成との双方を同時に実現することができる。更に、回転電機のロータを、駆動プーリの可動シーブに接続すれば、回転電機の回転を変速装置により変速して出力部材に伝達することができるので、回転電機をより効率的に使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
1.第一の実施形態
まず、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの全体の概略構成を示すスケルトン図である。なお、図1には、ハイブリッド駆動装置Hの制御システムの概略構成も示しており、実線の矢印は各種情報の伝達経路を示し、破線の矢印は油圧の供給経路を示している。また、図2及び図3は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの変速装置TM及び回転電機MGの動作状態を説明するための説明図であり、図2は変速装置TMの変速比が大きい状態、図3は変速装置TMの変速比が小さい状態を示している。
【0022】
これらの図に示すように、ハイブリッド駆動装置Hは、駆動力源としてのエンジンEに接続される入力軸Iを備えるとともに、同じく駆動力源として1個の回転電機MGを備えている。これらのエンジンE及び回転電機MGは、いずれも出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続されている。すなわち、このハイブリッド駆動装置Hは、いわゆるパラレルハイブリッド車両の駆動装置として構成されている。また、このハイブリッド駆動装置Hは、変速装置TMとしてベルト式無段変速装置を備えている。この変速装置TMは、変速装置入力軸13が、前後進切替装置50及びトルクコンバータ40を介して入力軸Iに接続されている。また、変速装置出力軸23が、カウンタ減速機構60及び出力用差動歯車装置70を介して出力軸Oに接続されている。出力軸Oは、図示しない車輪に接続されている。また、詳しくは図示しないが、このハイブリッド駆動装置Hの各構成は、ケースCs内に収容されている。本実施形態においては、入力軸Iが本発明における入力部材に相当し、出力軸Oが本発明における出力部材に相当する。
【0023】
そして、本実施形態においては、変速装置TMの駆動プーリ10を構成する駆動側可動シーブ11を変速動作部Mとし、回転電機MGのロータRoが、当該駆動側可動シーブ11と同軸に配置されるとともに、当該駆動側可動シーブ11に固定された構成としている。従って、回転電機MGのロータRoは、変速装置TMの変速比に応じた駆動側可動シーブ11の回転軸方向の移動に連動して軸方向に移動する。また、回転電機MGのロータRoは駆動側可動シーブ11と一体回転するため、駆動側可動シーブ11を介して回転電機MGから駆動プーリ10への駆動力の伝達及び駆動プーリ10から回転電機MGへの駆動力の伝達を行うことができる。このように回転電機MGのロータRoを変速装置TMの駆動プーリ10に接続することにより、回転電機MGが変速装置TMを介して出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続された構成となっている。以下、このハイブリッド駆動装置Hの各部の構成について詳細に説明する。
【0024】
1−1.ハイブリッド駆動装置の全体の駆動伝達系の構成
図1に示すように、入力軸Iは、エンジンEに接続されている。より詳しくは、入力軸Iは、一端部がエンジンEのクランクシャフト等の出力回転軸と一体回転するように接続されている。ここで、エンジンEは、燃料の燃焼により駆動される内燃機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種エンジンを用いることができる。また、入力軸Iの他端部は、トルクコンバータ40に接続されている。
【0025】
トルクコンバータ40は、入力軸Iと変速装置TMとの間、本実施形態においては変速装置TMよりも入力軸I側に配置された前後進切替装置50との間に配置され、入力軸Iを介して伝達されるエンジンEの回転及び駆動力を変速装置TM側へ伝達する流体継手である。このトルクコンバータ40は、車両の発進時や加速時に流体を介した回転及び駆動力の伝達を行うことにより、車両の円滑な走行を補助するために設けられている。ここでは、トルクコンバータ40は、入力軸Iと一体回転するように接続されたポンプインペラ41と、中間軸46と一体回転するように接続されたタービンランナ42と、これらの間に設けられ、ワンウェイクラッチを介してケースCsに支持されたステータ43とを備えている。そして、トルクコンバータ40は、内部に充填された作動油を介して、駆動側のポンプインペラ41と従動側のタービンランナ42との間の駆動力の伝達を行う。ポンプインペラ41からタービンランナ42に伝達されたエンジンE(入力軸I)の駆動力は、中間軸46を介して前後進切替装置50へ伝達される。
【0026】
また、トルクコンバータ40は、ポンプインペラ41とタービンランナ42とを選択的に接続するロックアップクラッチ44を備えている。ロックアップクラッチ44を作動させるための油圧は、図1では供給経路の図示は省略しているが、オイルポンプOPから油圧制御装置82を介して供給される。また、トルクコンバータ40は、ロックアップクラッチ44が係合状態であるときに、エンジンEによる入力軸Iの回転方向の振動が中間軸46へ伝達されることを抑制するためのダンパ45を備えている。このダンパ45は、ロックアップクラッチ44と同様に、ポンプインペラ41とタービンランナ42との間を接続する接続部材に設けられている。また、ハイブリッド駆動装置Hは、変速装置TMを含むハイブリッド駆動装置Hの各部へ油圧を供給するためのオイルポンプOPを備えている。ここでは、オイルポンプOPは、ロータがポンプインペラ41と一体回転するように接続されており、入力軸Iと一体回転する構成となっている。
【0027】
前後進切替装置50は、直結クラッチ51と、後進ブレーキ52と、遊星歯車機構53とを備えている。遊星歯車機構53は、中間軸46と同軸に配置されたダブルピニオン型の遊星歯車機構である。すなわち、この遊星歯車機構53は、複数対のピニオンギヤを支持するキャリアcaと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs及びリングギヤrとを回転要素として有している。そして、サンギヤsは、中間軸46と一体回転するように接続されている。リングギヤrは、後述する後進ブレーキ52を介してケースCsに選択的に固定される。キャリアcaは、変速装置TMの変速装置入力軸13と一体回転するように接続されている。この遊星歯車機構53の3つの回転要素を、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、第三回転要素とすると、サンギヤsが第一回転要素、リングギヤrが第二回転要素、キャリアcaが第三回転要素となる。なお、「回転速度の順」は、高速側から低速側に向かう順、又は低速側から高速側に向かう順のいずれかであり、遊星歯車機構53の回転状態によりいずれともなり得るが、いずれの場合にも回転要素の順は変わらない。
【0028】
直結クラッチ51は、遊星歯車機構53が有する3つの回転要素の内の2つが一体回転するように選択的に接続するクラッチであり、この直結クラッチ51を係合状態とすることにより、遊星歯車機構53の全体が一体回転する直結状態となる。本実施形態においては、直結クラッチ51は、遊星歯車機構53のサンギヤsとキャリアcaとを選択的に接続するクラッチとされている。後進ブレーキ52は、遊星歯車機構53が有する3つの回転要素の内、回転速度の順で中間となる第二回転要素をケースCsに選択的に固定するためのブレーキである。本実施形態においては、後進ブレーキ52は、第二回転要素であるリングギヤrをケースCsに選択的に固定するブレーキとされている。この後進ブレーキ52によりリングギヤrをケースCsに固定した状態では、第一回転要素であるサンギヤsの回転は反転されて第三回転要素であるキャリアcaに伝達される。本実施形態においては、直結クラッチ51及び後進ブレーキ52は、いずれも2つの部材間を接触させて摩擦力により係合させる摩擦係合要素であり、油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキを用いることができる。これらを作動させるための油圧は、図1では供給経路の図示は省略しているが、オイルポンプOPから油圧制御装置82を介して供給される。
【0029】
従って、直結クラッチ51を係合状態とし、後進ブレーキ52を開放(係合解除)状態とすると、遊星歯車機構53の全体が一体回転する直結状態となり、中間軸46に伝達されたエンジンE(入力軸I)の回転はそのまま変速装置入力軸13に伝達される。よって、この状態では、前後進切替装置50は、エンジンEの回転をそのまま変速装置TMへ伝達する前進状態となる。また、直結クラッチ51を開放(係合解除)状態とし、後進ブレーキ52を係合状態とすると、中間軸46に伝達されたエンジンE(入力軸I)の回転は遊星歯車機構53により反転されて変速装置入力軸13に伝達される。よって、この状態では、前後進切替装置50は、エンジンEの回転を反転して変速装置TMへ伝達する後進状態となる。また、直結クラッチ51及び後進ブレーキ52の双方を開放(係合解除)状態とすると、サンギヤsとキャリアcaとが互いに自由に回転可能な状態となり、中間軸46と変速装置入力軸13との間での回転の伝達が行われない状態となる。よって、この状態では、前後進切替装置50は、エンジンE(入力軸I)と変速装置TMとの間で回転の伝達が行われないように分離する分離状態となる。すなわち、前後進切替装置50は、直結クラッチ51及び後進ブレーキ52の係合状態を切り替えることにより、入力軸I(エンジンE)の回転をそのまま伝達する前進状態と、回転方向を反転して伝達する後進状態と、伝達しない分離状態とを切り替え可能な構成となっている。
【0030】
変速装置TMは、変速装置入力軸13及びこれと一体回転する駆動プーリ10の回転を変速して従動プーリ20及びこれと一体回転する変速装置出力軸23に伝達する。変速装置入力軸13は、駆動プーリ10から入力軸I側(図1の右側)に延出され、前後進切替装置50を構成する遊星歯車機構53のキャリアcaと一体回転するように接続されている。また、変速装置出力軸23は、従動プーリ20から入力軸I側(図1の右側)に延出されており、当該延出部に変速装置出力ギヤ24が固定されている。また、本実施形態においては、駆動プーリ10の駆動側可動シーブ11と同軸に回転電機MGが配置され、当該回転電機MGの回転及び駆動力が駆動プーリ10に伝達される。なお、変速装置TMの詳細な構成については後述する。そして、変速装置出力軸23の回転は、カウンタ減速機構60及び出力用差動歯車装置70を介して出力軸Oに伝達される。カウンタ減速機構60は、第一カウンタギヤ61、第二カウンタギヤ62、及び第一カウンタギヤ61と第二カウンタギヤ62とを一体回転するように接続するカウンタ軸63を備えている。第一カウンタギヤ61は、変速装置出力軸23に一体回転するように固定された変速装置出力ギヤ24に噛み合っている。この第一カウンタギヤ61は、変速装置出力ギヤ24よりも大径とされている。従って、変速装置出力ギヤ24の回転は減速されて第一カウンタギヤ61に伝達される。一方、第二カウンタギヤ62は、出力用差動歯車装置70の差動入力リングギヤ71に噛み合っている。この第二カウンタギヤ62は、第一カウンタギヤ61よりも小径とされている。従って、第一カウンタギヤ61に伝達された回転は、歯数の上で減速されて第二カウンタギヤ62に伝達される。出力用差動歯車装置70は、差動入力リングギヤ71の回転及び駆動力を左右両側の出力軸Oに分配する。左右の出力軸Oにはそれぞれ図示しない車輪が接続されている。
【0031】
本実施形態においては、ハイブリッド駆動装置Hは、トルクコンバータ40、前後進切替装置50、変速装置TMの変速装置入力軸13及び駆動プーリ10、並びに回転電機MGが、互いに入力軸Iと同軸の第一軸上に配置されている。また、変速装置TMの変速装置出力軸23及び従動プーリ20、並びに変速装置出力ギヤ24は、第一軸と平行な第二軸上に配置されている。更に、カウンタ減速機構60は第一軸と平行な第三軸上に配置され、出力用差動歯車装置70及び出力軸Oは第一軸と平行な第四軸上に配置されている。従って、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hは、互いに平行な4つの軸上に各部が配置された4軸構成となっている。
【0032】
1−2.変速装置の構成
変速装置TMは、入力軸Iに接続された入力側回転部材(本実施形態では駆動プーリ10)と出力軸Oに接続された出力側回転部材(本実施形態では従動プーリ20)との間の変速比を変化させるための機構を備え、入力軸Iの回転を適宜の変速比で変速して出力軸Oへ伝達する装置である。なお、入力軸Iの回転は、上記のとおり、トルクコンバータ40及び前後進切替装置50を介して変速装置TMの変速装置入力軸13に伝達される。また、変速装置TMは、変速比の変化に応じて所定方向に移動する変速動作部Mを備えている。本実施形態においては、変速装置TMを、入力側回転部材としての駆動プーリ10と、出力側回転部材としての従動プーリ20と、駆動プーリ10が有するV字状溝と従動プーリ20が有するV字状溝とに巻回された伝動ベルト30とを備えたベルト式無段変速装置としている。そして、この変速装置TMは、駆動プーリ10及び従動プーリ20のそれぞれが有するV字状溝の溝幅W1、W2を変化させることにより、各プーリ10、20の伝動ベルト30が巻回される有効径を変化させて変速比を無段階に変化させることが可能に構成されている。また、本例では、このような変速装置TMの構造を利用し、駆動プーリ10におけるV字状溝の溝幅を変化させるための駆動側可動シーブ11を、変速比に応じて移動する変速動作部Mとしている。
【0033】
駆動プーリ10は、変速装置入力軸13と一体的に回転する駆動側可動シーブ11及び駆動側固定シーブ12を有して構成されている。図示は省略するが、変速装置入力軸13は、軸受を介してケースCsに回転自在に支持されている。駆動側可動シーブ11及び駆動側固定シーブ12は、変速装置入力軸13上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。本実施形態においては、駆動側可動シーブ11は、駆動側固定シーブ12に対して入力軸Iとは反対側(図1の左側)に配置されている。このような駆動側可動シーブ11と駆動側固定シーブ12との間の対向する円錐面間に駆動プーリ10のV字状溝が形成される。ここで、駆動側固定シーブ12は、変速装置入力軸13に一体的に固定されている。一方、駆動側可動シーブ11は、その回転軸である変速装置入力軸13の軸方向に移動可能に構成されている。駆動プーリ10は、駆動側可動シーブ11を軸方向に移動させるための駆動機構として、駆動側可動シーブ11の背面に、油圧が供給される油圧室83を備えている。そして、駆動側可動シーブ11を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である駆動プーリ幅W1を変化させる。駆動側可動シーブ11を作動させるための油圧は、オイルポンプOPから油圧制御装置82を介して供給される。
【0034】
従動プーリ20は、変速装置出力軸23と一体的に回転する従動側可動シーブ21及び従動側固定シーブ22を有して構成されている。図示は省略するが、変速装置出力軸23は、軸受を介してケースCsに回転自在に支持されている。従動側可動シーブ21及び従動側固定シーブ22は、変速装置出力軸23上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。本実施形態においては、従動側可動シーブ21は、従動側固定シーブ22に対して入力軸I側(図1の右側)に配置されている。このような従動側可動シーブ21と従動側固定シーブ22との間の対向する円錐面間に従動プーリ20のV字状溝が形成される。ここで、従動側固定シーブ22は、変速装置出力軸23に一体的に固定されている。一方、従動側可動シーブ21は、その回転軸である変速装置出力軸23の軸方向に移動可能に構成されている。従動プーリ20は、従動側可動シーブ21を軸方向に移動させるための駆動機構として、従動側可動シーブ21の背面に、油圧が供給される油圧室84を備えている。そして、従動側可動シーブ21を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である従動プーリ幅W2を変化させる。従動側可動シーブ21を作動させるための油圧は、オイルポンプOPから油圧制御装置82を介して供給される。
【0035】
変速装置TMは、駆動プーリ10の駆動側可動シーブ11を軸方向に移動させて駆動プーリ幅W1を変化させるとともに、従動プーリ20の従動側可動シーブ21を軸方向に移動させて従動プーリ幅W2を変化させることにより、変速比を変化させる。ここで、駆動プーリ10及び従動プーリ20のそれぞれについて、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22から離れる側へ移動させればプーリ幅W1、W2は広くなり、当該プーリ幅W1、W2が広くなれば伝動ベルト30が巻回される有効径は小さくなる。逆に、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22に近づく側へ移動させればプーリ幅W1、W2は狭くなり、当該プーリ幅W1、W2が狭くなれば有効径は大きくなる。なお、各プーリ10、20の有効径は、伝動ベルト30が各プーリ10、20のV字状溝に接触する位置の径である。そして、駆動プーリ10の有効径を小さくして従動プーリ20の有効径を大きくすれば、変速比(減速比)が大きくなり、駆動プーリ10から従動プーリ20に伝達される回転が減速される割合が大きくなる(増速される割合が小さくなる)。逆に、駆動プーリ10の有効径を大きくして従動プーリ20の有効径を小さくすれば、変速比(減速比)が小さくなり、駆動プーリ10から従動プーリ20に伝達される回転が減速される割合が小さくなる(増速される割合が大きくなる)。
【0036】
図2には、駆動プーリ10の駆動プーリ幅W1を最大幅W1(max)とし、従動プーリ20の従動プーリ幅W2を最小幅W2(min)とした状態の例を示している。この状態では、変速装置TMの変速比が最大となり、駆動プーリ10から従動プーリ20に伝達される回転が大きく減速される。また、図3には、駆動プーリ10の駆動プーリ幅W1を最小幅W1(min)とし、従動プーリ20の従動プーリ幅W2を最大幅W2(max)とした状態の例を示している。この状態では、変速装置TMの変速比が最小となり、駆動プーリ10から従動プーリ20に伝達される回転が大きく増速される。
【0037】
変速装置TMの変速比は、車速とアクセル開度とに応じて決定される。ここで、車速は、車速センサ85により検出される。図1に示すように、本例では、車速センサ85は、変速装置出力軸23の回転速度を検出する回転速度センサとされている。なお、車速センサ85による回転速度の検出位置は、変速装置出力軸23から出力軸Oまでのいずれの位置であってもよく、検出した回転速度に当該検出位置から車輪までの変速比(減速比)を乗算することにより車速を求めることができる。また、アクセル開度は、図示しないアクセル操作検出センサにより検出される。このアクセル操作検出センサは、車両の運転者によるアクセルペダルの操作量を検出するためのセンサである。本実施形態においては、ハイブリッド駆動装置Hの制御ユニット81が、所定の変速制御マップを参照し、各センサにより検出された車速及びアクセル開度に応じ、必要な回転速度及び駆動力で出力軸Oを回転駆動することができる変速比を決定する。また、制御ユニット81は、決定した変速比に応じた指令信号を油圧制御装置82へ出力する。これにより、油圧制御装置82は駆動プーリ10の油圧室83及び従動プーリ20の油圧室84のそれぞれの油圧を制御し、駆動プーリ幅W1及び従動プーリ幅W2を制御する。これにより、変速装置TMは、制御ユニット81により決定した変速比を得る。
【0038】
図4は、制御ユニット81が参照する変速制御マップの一例を示す図である。この図に示される折れ線は、同じ変速比とされる車速とアクセル開度との関係を表す等変速比線である。本実施形態においては、変速装置TMは無段変速装置であるので、実際の変速制御マップには、非常に多くの等変速比線が設定されることになり、図示の例はその一部を示したものである。この図に示すように、制御ユニット81は、車速が低くなるに従って大きい変速比を選択し、車速が高くなるに従って小さい変速比を選択する。また、制御ユニット81は、一部の最小アクセル開度に近い領域及び最大アクセル開度に近い領域を除き、アクセル開度が大きくなるに従って大きい変速比を選択し、アクセル開度が小さくなるに従って小さい変速比を選択する。
【0039】
従って、制御ユニット81は、アクセル開度が大きく、大きな駆動力を出力軸Oに伝達することが要求される状況では変速比を大きくし、アクセル開度が小さく、大きな駆動力を出力軸Oに伝達することが要求されない状況では変速比を小さくする。これにより、変速装置TMは、エンジンEから伝達される駆動力を必要に応じて増幅又は減衰して出力軸Oへ伝達する。また、制御ユニット81は、車速が高く出力軸Oの回転速度が高い状況では変速比を小さくしてエンジンE(入力軸I)の回転速度を相対的に低く抑え、車速が低く出力軸Oの回転速度が低い状況では変速比を大きくしてエンジンE(入力軸I)の回転速度を相対的に高くする。これにより、変速装置TMは、出力軸Oに回転速度の変化に対するエンジンEの回転速度の変化を相対的に小さくし、エンジンEを効率的に動作させる。
【0040】
1−3.回転電機の構成
回転電機MGは、ケースCsに固定されたステータStと、このステータStの径方向内側に駆動プーリ10とともに回転自在に支持されたロータRoとを有している。この回転電機MGは、車両の駆動力源として用いられるものであり、出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続されている。ここでは、回転電機MGは交流電動機であり、図示は省略するが、インバータを介してバッテリやキャパシタ等の蓄電装置に電気的に接続されている。この回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能との双方を果すことが可能とされている。
【0041】
回転電機MGは、モータとして機能する場合には、蓄電装置に充電された電力の供給を受けて力行し、エンジンEの駆動力を補助する。具体的には、回転電機MGは、車両の加速時に力行し、正方向の駆動力(トルク)を出力軸Oに伝達することにより、エンジンEの駆動力を補助するアシストモータとして機能する。一方、回転電機MGは、ジェネレータとして機能する場合には、発電した電力を車両の補機等の各部に供給し、或いは発電した電力を蓄電装置に供給して充電する。具体的には、回転電機MGは、車両の減速時に回生し、負方向の駆動力(トルク)を出力軸Oに伝達することにより、車両の制動力を発生させるとともに、発電した電力を蓄電装置に供給して充電する。また、回転電機MGは、車両がほぼ一定の車速で巡航している際には、小さい負荷で発電して補機等の各部に電力を供給するとともに、蓄電装置の充電量が少ない場合には蓄電装置への充電も行う。このような回転電機MGの動作は、制御ユニット81からの制御指令に従ってインバータを介して行われる。
【0042】
上記のとおり、本実施形態においては、変速装置TMの駆動プーリ10を構成する駆動側可動シーブ11を変速動作部Mとし、回転電機MGのロータRoが当該駆動側可動シーブ11の移動に連動して軸方向に移動するように、ロータRoを当該駆動側可動シーブ11に接続している。具体的には、回転電機MGのロータRoは、駆動側可動シーブ11と同軸に配置されるとともに、当該駆動側可動シーブ11に固定されている。ところで、この駆動側可動シーブ11は、変速装置入力軸13及び駆動プーリ10を構成する駆動側固定シーブ12と一体的に回転する。従って、回転電機MGのロータRoは、駆動プーリ10とともに変速装置入力軸13を回転軸としてケースCsに回転自在に支持されるとともに、駆動プーリ10と一体的に回転するように接続される。これにより、回転電機MGは、変速装置TMを介するとともに、カウンタ減速機構60及び出力用差動歯車装置70を介して出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続される。また、駆動側可動シーブ11は、変速装置入力軸13の軸方向に移動可能に構成されている。従って、回転電機MGは、駆動側可動シーブ11の軸方向の移動に連動してロータRoが軸方向に移動するように構成されている。一方、回転電機MGのステータStは、ケースCsに固定されているため、軸方向を含むいずれの方向にも移動しない。従って、ロータRoとステータStの軸方向の相対位置は、ロータRoの軸方向の移動によって変化する。言い換えれば、ロータRoとステータStとの軸方向の相対位置は、変速動作部Mとしての駆動側可動シーブ11の軸方向の移動に連動して変化する。
【0043】
上記のように、回転電機MGのロータRoを駆動側可動シーブ11に固定したことにより、回転電機MGのロータRoは、駆動側可動シーブ11とともに変速装置TMの変速比の変化に応じて軸方向に移動する。そこで、本実施形態においては、変速装置TMの変速比との関係で、当該変速比が小さくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大するように構成している。具体的には、図2に示すように、変速装置TMの変速比が最大の状態で、すなわち、駆動プーリ10の駆動プーリ幅W1が最大となる位置に駆動側可動シーブ11がある状態で、回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致する(ずれがない状態となる)ように、ロータRoを駆動側可動シーブ11に固定している。このように構成すれば、変速装置TMの変速比が最大のときにロータRoとステータStとの軸方向のずれが最も少なく(ずれがなく)、変速比が小さくなるに従って、図3に示すようにロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大する。なお、本実施形態においては、駆動プーリ幅W1が最大となる状態でロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致するように設定されているため、変速装置TMの変速比が小さくなるに従って駆動プーリ幅W1が縮小し、ロータRoがステータStに対して軸方向に入力軸I側に移動してずれが拡大する構成となっている。
【0044】
ところで、回転電機MGは、ロータRoとステータStとの軸方向のずれがない状態で、本来の性能上の最大のトルクを出力可能となる。そして、ロータRoとステータStとの軸方向のずれが大きくなるに従って、回転電機MGが出力可能なトルクは小さくなる。但し、ロータRoとステータStとの軸方向のずれが大きくなるに従って、ステータStのコイルとの間で影響を与えあうロータRoの磁石の量が少なくなる。すなわち、ロータRoとステータStとの軸方向のずれを大きくすることにより、当該ずれに相当する分だけロータRo及びステータStの軸方向の長さが短縮されたのと同様の状態とすることができる。これにより、変速比が小さいときには、あたかも小型の回転電機MGを駆動するのと同様の状態とすることができるので、ロータRoが回転することによりステータStのコイルに生じる逆起電力を小さくすることができる。よって、ロータの高速回転が可能となるとともに、特に高速回転時における電力の損失を抑制し、同じ仕事をさせるために必要な電力を少なくすることができる。従って、必要なトルクが比較的小さい状況で駆動する際の回転電機MGの効率を高めることができる。
【0045】
図5及び図6は、回転電機MGが出力可能なトルクと回転速度との関係を表した相関図であり、図5は、回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致した(ずれがない)状態での相関図、図6は、回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大した状態での相関図である。これらの図中に95〜97%として示された曲線は、回転電機MGの効率が等しい領域を表す等効率線である。ここで、回転電機MGの効率は、回転電機MGに供給する電力に対してロータRoの回転として出力される仕事の割合として表される。また、これらの図中の領域A1は、変速装置TMの変速比が比較的大きい状態で使用される頻度が高い回転電機MGの動作領域の概略を示し、変速装置TMの変速比が比較的小さい状態で使用される頻度が高い回転電機MGの動作領域の概略を示している。
【0046】
一般的に、変速装置TMを備える車両において、変速装置TMの変速比が大きいときは、車速が比較的低く、大きい駆動力が要求される状態であることが多い。従って、図5に領域A1として示されるように、回転電機MGも、回転速度が比較的低い状態で大きい駆動力を出力することが要求される。本実施形態の構成によれば、上記のとおり、変速装置TMの変速比が大きくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが縮小し、変速装置TMの変速比が最大の状態で回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致するように、ロータRoが駆動側可動シーブ11に接続されている。これにより、回転電機MGは、変速装置TMの変速比が大きくなるに従って大きい駆動力を出力可能な状態となり、変速装置TMの変速比が最大の状態で回転電機が最大の駆動力を出力可能な状態となる。従って、変速装置TMの変速比として表れる車両の動作状態に応じて、大きい駆動力が要求されることが多い状況では回転電機MGから大きな駆動力を出力することができる。
【0047】
一方、変速装置TMを備える車両において、変速装置TMの変速比が小さいときは、車速が比較的高く、大きい駆動力が要求されない状態であることが多い。従って、図5及び図6に領域A2として示されるように、回転電機MGも、比較的小さい駆動力を出力しつつ比較的高い回転速度で回転することが要求される。本実施形態の構成によれば、上記のとおり、変速装置TMの変速比が小さくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大するように、ロータRoが駆動側可動シーブ11に接続されている。これにより、回転電機MGは、変速装置TMの変速比が小さくなるに従ってステータStのコイルとの間で影響を与えあうロータRoの磁石の量が少なくなり、ロータRoの回転によりステータStのコイルに生じる逆起電力を低減することができる。従って、変速装置TMの変速比として表れる車両の動作状態、すなわちロータRoの高速回転が求められることが多い状況に応じて、当該ロータRoの高速回転時における回転電機MGの効率を高めることができる。図5に破線で示される領域A2は、図6に示される領域A2と対応している。図5及び図6に示されるように、ロータRoとステータStとの軸方向のずれを拡大させた状態では、ロータRoとステータStとの軸方向の位置を一致させたままの状態に比べて、出力トルクが比較的小さい状態で回転電機MGを使用した際の効率が比較的高くなっている。なお、図6に示すように、ロータRoとステータStとの軸方向のずれを拡大させた状態では、回転電機MGが高いトルクを出力できなくなっているが、一般的に、変速装置TMの変速比が小さい状態で回転電機MGに対して大きな駆動力が要求されることはほとんどないため問題はない。
【0048】
以上のとおり、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hでは、変速装置TMの変速比として表れる車両の動作状態に応じて、大きい駆動力が要求される状況では回転電機MGから大きい駆動力を出力可能な状態とすることができ、大きい駆動力が要求されず回転電機MGが比較的高速回転する状況ではロータRoの高速回転を可能とするとともに高速回転時の回転電機MGの効率を高めることができる。従って、車両側からの要求に応じて回転電機MGから必要な駆動力を出力可能としつつ、高速走行時等のような回転電機MGの高速回転時の効率も高めることができる。
【0049】
また、本実施形態においては、回転電機MGのロータRoが駆動プーリ10と一体的に回転するように接続されていることにより、回転電機MGは、変速装置TMを介して出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続されている。この構成によれば、回転電機MGの回転を、エンジンE(入力軸I)の回転と同じく、変速装置TMにより車両の動作状態に応じて選択された変速比で変速して出力軸Oに伝達することができる。従って、車両の動作状態に応じて回転電機MGの回転を減速又は増速して出力軸Oに伝達することが可能となるので、出力軸Oに回転速度の変化に対する回転電機MGの回転速度の変化を相対的に小さくし、回転電機MGをより効率的に使用することが可能となっている。
【0050】
2.第二の実施形態
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。図7は、この第二の実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの全体の概略構成を示すスケルトン図である。図示の方法は図1と同様である。また、図8及び図9は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hの変速装置TM及び回転電機MGの動作を説明するための説明図であり、図8は変速装置TMの変速比が大きい状態、図9は変速装置TMの変速比が小さい状態を示している。この図に示すように、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hでは、変速装置TMの従動プーリ20を構成する従動側可動シーブ21を変速動作部Mとし、回転電機MGのロータRoが、当該従動側可動シーブ21と同軸に配置されるとともに、当該従動側可動シーブ21に固定された構成としている点で、上記第一の実施形態と相違している。以下では、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hについて、上記第一の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
【0051】
上記のとおり、本実施形態においては、ベルト式無段変速装置の構造を利用し、従動プーリ20におけるV字状溝の溝幅を変化させるための従動側可動シーブ21を、変速比に応じて移動する変速動作部Mとしている。そして、回転電機MGのロータRoが当該従動側可動シーブ21の移動に連動して軸方向に移動するように、ロータRoを当該従動側可動シーブ21に接続している。具体的には、回転電機MGのロータRoは、従動側可動シーブ21と同軸に配置されるとともに、当該従動側可動シーブ21に固定されている。ところで、この従動側可動シーブ21は、変速装置出力軸23及び従動プーリ20を構成する従動側固定シーブ22と一体的に回転する。従って、回転電機MGのロータRoは、従動プーリ20とともに変速装置出力軸23を回転軸としてケースCsに回転自在に支持されるとともに、従動プーリ20と一体的に回転するように接続される。これにより、回転電機MGは、変速装置TMを介さず、カウンタ減速機構60及び出力用差動歯車装置70を介して出力軸Oに伝駆動力を伝達可能に接続される。また、従動側可動シーブ21は、変速装置出力軸23の軸方向に移動可能に構成されている。従って、回転電機MGは、従動側可動シーブ21の軸方向の移動に連動してロータRoが軸方向に移動するように構成されている。一方、回転電機MGのステータStは、ケースCsに固定されているため、軸方向を含むいずれの方向にも移動しない。従って、ロータRoとステータStとの軸方向の相対位置は、変速動作部Mとしての従動側可動シーブ21の軸方向の移動に連動して変化する。
【0052】
上記のように、回転電機MGのロータRoを従動側可動シーブ21に固定したことにより、回転電機MGのロータRoは、従動側可動シーブ21とともに変速装置TMの変速比の変化に応じて軸方向に移動する。そこで、本実施形態においては、変速装置TMの変速比との関係で、当該変速比が小さくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大するように構成している。具体的には、図8に示すように、変速装置TMの変速比が最大の状態で、すなわち、従動プーリ20の従動プーリ幅W2が最小となる位置に従動側可動シーブ21がある状態で、回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致する(ずれがない状態となる)ように、ロータRoを従動側可動シーブ21に固定している。このように構成すれば、変速装置TMの変速比が最大のときにロータRoとステータStとの軸方向のずれが最も少なく(ずれがなく)、変速比が小さくなるに従って、図9に示すようにロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大する。なお、本実施形態においては、従動プーリ幅W2が最小となる状態でロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致するように設定されているため、変速装置TMの変速比が小さくなるに従って従動プーリ幅W2が拡大し、ロータRoがステータStに対して軸方向に入力軸Iとは反対側に移動してずれが拡大する構成となっている。
【0053】
また、回転電機MGのロータRoは従動側可動シーブ21と一体回転するため、従動側可動シーブ21を介して回転電機MGから従動プーリ20への駆動力の伝達及び従動プーリ20から回転電機MGへの駆動力の伝達を行うことができる。本実施形態においては、このように回転電機MGのロータRoを変速装置TMの従動プーリ20に接続することにより、回転電機MGが変速装置TMを介さずに出力軸Oに駆動力を伝達可能に接続された構成となっている。この構成によれば、変速装置TMを介して駆動力を伝達する構成と比べて、回転電機MGから出力軸Oまでの駆動力の伝達経路を短くすることができる。従って、駆動力の伝達経路中における損失を抑制し、その分、動力伝達効率を高めることができる。
【0054】
3.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、入力軸Iがトルクコンバータ40及び前後進切替装置50を介して変速装置TMに接続された構成を例として説明した。しかし、エンジンEの駆動力を用いることなく回転電機MGの駆動力のみによる車両の発進が可能である場合には、トルクコンバータ40は不要である。また、エンジンEを分離して回転電機MGを逆回転させることにより車両の後進が可能である場合には前後進切替装置50は不要である。したがって、ハイブリッド駆動装置Hが、トルクコンバータ40及び前後進切替装置50の一方又は双方を備えない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0055】
すなわち、例えば、ハイブリッド駆動装置Hがトルクコンバータ40及び前後進切替装置50の双方を備えない場合には、入力軸Iは変速装置TMの変速装置入力軸13に接続される。この際、入力軸Iと変速装置入力軸13との間に、回転方向の振動を減衰させるダンパ、及び入力軸Iと変速装置入力軸13とを選択的に接続するクラッチの一方又は双方を設けると好適である。また、ハイブリッド駆動装置Hがトルクコンバータ40を備えない場合には、入力軸Iは前後進切替装置50を介して変速装置入力軸13に接続される。この際、入力軸Iと前後進切替装置50との間に、回転方向の振動を減衰させるダンパを設けると好適である。また、ハイブリッド駆動装置Hが前後進切替装置50を備えない場合には、入力軸Iはトルクコンバータ40を介して変速装置入力軸13に接続される。この際、トルクコンバータ40と変速装置入力軸13との間に、これらの間を選択的に接続するクラッチを設けると好適である。
【0056】
(2)上記の実施形態では、変速装置出力軸23がカウンタ減速機構60を介して出力軸Oに接続された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、カウンタ減速機構60を備えない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0057】
(3)上記の実施形態では、変速動作部Mが入力側回転部材としての駆動プーリ10又は出力側回転部材としての従動プーリ20と一体的に回転するとともに、その回転軸方向に移動するように構成された駆動側可動シーブ11又は従動側可動シーブ21であり、回転電機MGのロータRoが変速動作部Mと同軸に配置されるとともに、当該変速動作部Mに固定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、回転電機MGのロータRoが変速動作部Mの所定方向の移動に連動して軸方向に移動するように当該変速動作部に接続された構成であれば、他の構成とすることも可能である。従って、例えばリンク機構等のような伝達部材を介して変速動作部Mの所定方向の動作が回転電機MGのロータRoに伝達され、それによってロータRoが軸方向に移動するように接続した構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、回転電機MGのロータRoの回転が変速動作部Mに伝達されることは要件とされない。
【0058】
(4)上記の実施形態では、回転電機MGのロータRoが変速動作部M(駆動側可動シーブ11又は従動側可動シーブ21)の移動に連動して軸方向に移動するように当該変速動作部Mに接続された構成を例として説明した。しかし、上述したような本発明による効果は、変速装置の変速比に応じて回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の相対位置を変化させることにより得ることができる。従って、回転電機MGのステータStが、変速動作部Mの移動に連動して軸方向に移動するように当該変速動作部Mに接続された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。ここで、変速動作部Mが、例えば駆動側可動シーブ11又は従動側可動シーブ21等のような回転部材であった場合には、ステータStは、変速動作部Mの軸方向の移動に連動するが、当該変速動作部Mの回転は伝達されないように接続する。一方、変速動作部Mが、変速比の変化に応じて所定方向に移動するだけであって回転しない部材である場合には、ステータStを当該変速動作部Mに固定することができる。この際、回転電機MGのロータRoは、軸方向に移動しないように回転自在に支持されるとともに、出力部材に駆動力を伝達可能に接続される。
【0059】
(5)上記の実施形態では、変速装置TMの変速比が最大の状態で回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致し、変速比が小さくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大するように構成された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、ハイブリッド車両の特性や制御方法によっては、変速動作部Mの変速比が大きくなるに従って回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向のずれが拡大するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、変速装置TMの変速比が最小の状態で回転電機MGのロータRoとステータStとの軸方向の位置が一致するように構成しても好適である。また、変速装置TMの変速比が小さくなるに従ってずれが大きい状態から一旦ずれが縮小した後再度ずれが拡大するように構成し、或いは変速装置TMの変速比が小さくなるに従って一旦ずれが拡大した後次第にずれが縮小するように構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0060】
(6)上記の実施形態では、変速装置TMがベルト式無段変速装置である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、変速装置TMとして、トロイダル式等のような他の無段変速装置を用い、或いは、有段の各種の自動変速装置や手動変速装置を用いることができる。いずれの場合においても、変速比の変化に応じて所定方向に移動する部材を変速動作部Mとし、その移動に連動するように回転電機MGのロータRo又はステータStを接続する。例えば、常時噛み合い式の歯車対を用いた有段の自動変速装置や手動変速装置にも、本発明を適用することが可能である。このような変速装置は、一般的に、エンジン及び入力部材に接続された駆動軸と、出力部材に接続された従動軸と、前記駆動軸を回転軸とする駆動歯車及び前記従動軸を回転軸とする従動歯車により構成され、一方の歯車がその回転軸に対して相対回転可能な遊転歯車である複数の歯車対と、複数の歯車対のそれぞれの前記遊転歯車をその回転軸に選択的に固定する噛み合いクラッチと、この噛み合いクラッチを前記回転軸方向に移動させるシフトフォーク等の駆動部材とを備えている。そこで、前記駆動部材を変速動作部Mとし、回転電機MGのロータRo又はステータStが前記駆動部材の軸方向の移動に連動して軸方向に移動するように当該駆動部材に接続した構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、駆動力源としてエンジンと回転電機とを有するハイブリッド車両に用いられ、変速装置を備えたハイブリッド駆動装置に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の全体を示すスケルトン図
【図2】本発明の第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置における、変速装置の変速比が大きいときの変速装置及び回転電機の状態を示す図
【図3】本発明の第一の実施形態に係るハイブリッド駆動装置における、変速装置の変速比が小さいときの変速装置及び回転電機の状態を示す図
【図4】変速制御マップの一例を示す図
【図5】ロータとステータとの軸方向の位置が一致した状態での回転電機が出力可能なトルクと回転速度との関係を表した相関図
【図6】ロータとステータとの軸方向のずれが拡大した状態での回転電機が出力可能なトルクと回転速度との関係を表した相関図
【図7】本発明の第二の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の全体を示すスケルトン図
【図8】本発明の第二の実施形態に係るハイブリッド駆動装置における、変速装置の変速比が大きいときの変速装置及び回転電機の状態を示す図
【図9】本発明の第二の実施形態に係るハイブリッド駆動装置における、変速装置の変速比が小さいときの変速装置及び回転電機の状態を示す図
【符号の説明】
【0063】
H:ハイブリッド駆動装置
E:エンジン
I:入力軸(入力部材)
O:出力軸(出力部材)
MG:回転電機
Ro:ロータ
St:ステータ
TM:変速装置
M:変速動作部
10:駆動プーリ(入力側回転部材)
11:駆動側可動シーブ
20:従動プーリ(出力側回転部材)
21:従動側可動シーブ
30:伝動ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された入力部材と、
車輪に接続された出力部材と、
ロータ及びステータを有し、前記出力部材に駆動力を伝達可能に接続された回転電機と、
前記入力部材に接続された入力側回転部材及び前記出力部材に接続された出力側回転部材を有し、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材との間の変速比を変化させる変速装置と、を備えたハイブリッド駆動装置であって、
前記変速装置が、前記変速比の変化に応じて所定方向に移動する変速動作部を備え、
前記回転電機のロータ及びステータのいずれか一方が、前記変速動作部の移動に連動して軸方向に移動するように前記変速動作部に接続されたハイブリッド駆動装置。
【請求項2】
前記変速動作部が、前記入力側回転部材又は前記出力側回転部材と一体的に回転するとともに、その回転軸方向に移動するように構成され、
前記回転電機のロータが、前記変速動作部の回転軸と同軸に配置されるとともに、前記変速動作部に固定された請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項3】
前記変速比が小さくなるに従って前記回転電機のロータとステータとの軸方向のずれが拡大するように構成された請求項1又は2に記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項4】
前記変速比が最大の状態で前記回転電機のロータとステータとの軸方向の位置が一致するように構成された請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項5】
前記回転電機が、前記変速装置を介して前記出力部材に駆動力を伝達可能に接続された請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項6】
前記変速装置は、前記入力側回転部材としての駆動プーリと、前記出力側回転部材としての従動プーリと、前記駆動プーリが有するV字状溝と前記従動プーリが有するV字状溝とに巻回された伝動ベルトとを備えたベルト式無段変速装置であり、
前記変速動作部は、前記駆動プーリ又は前記従動プーリにおける前記V字状溝の溝幅を変化させるための可動シーブである請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89634(P2010−89634A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261503(P2008−261503)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】