説明

パターンのムラ欠陥検査方法及び装置

被検査体の表面に形成されたパターンに発生する複数種類のムラ欠陥
を高精度に検出できること。
単位パターン53が規則的に配列されてなる繰り返しパターン51を表面に備えたフォトマスク50に光を照射する光源12と、上記フォトマスクからの散乱光を受光して受光データに変換する受光部13とを有し、この受光データを観察して上記繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を検出するムラ欠陥検査装置10において、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出する波長フィルタ14を有し、この選択して抽出された波長帯の光を用いて上記繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像デバイスにおけるパターンのムラ欠陥を検出し、または映像デバイスのパターンを製造するためのフォトマスクにおけるパターンのムラ欠陥を検出するパターンのムラ欠陥検査方法及びパターンのムラ欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像デバイス及び表示デバイス等の映像デバイス、或いは、それらを製造するためのフォトマスクにおいては、表面に形成されたパターンの検査項目としてムラ欠陥検査がある。ムラ欠陥とは、規則的に配列したパターンに、意図せずに発生した異なる規則性をもつエラーであり、製造工程等において何らかの原因により発生する。
【0003】
撮像デバイスや表示デバイスにおいて、ムラ欠陥が存在すると、感度ムラ及び表示ムラが発生し、デバイス性能の低下につながる恐れがある。撮像デバイスや表示デバイスを製造する際に用いられるフォトマスクにおいても、フォトマスクのパターンにムラ欠陥が発生すると、そのムラ欠陥が映像デバイスのパターンに転写されるため、映像デバイスの性能が低下する恐れがある。
【0004】
従来、上述のような映像デバイスのパターンやフォトマスクのパターンにおけるムラ欠陥は、通常微細な欠陥が規則的に配列していることにより、個々のパターンの形状検査においては検出できない場合が多いものの、領域全体として見たときに、他の部分と異なる状態となってしまうものである。そのため、ムラ欠陥検査は、目視による斜光検査等の外観検査によって主に実施されている。
【0005】
しかしながら、この目視検査は、作業者によって検査結果にばらつきが発生するという問題があるため、例えば、特許文献1のようなムラ欠陥検査装置が提案されている。この特許文献1のムラ欠陥検査装置は、表面にパターンが形成された基板に光を照射し、パターンのエッジ部からの散乱光を、CCDラインセンサで感知することによってムラを検出するものである。
【特許文献1】特開平10−300447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ムラ欠陥には、例えばその発生原因等により、形状や規則性等が異なる様々な種類のムラ欠陥が存在する。しかし、特許文献1のムラ欠陥検査装置を含む従来のムラ欠陥検査装置においては、これら検出を必要とする複数種類のムラ欠陥をそれぞれ高感度に検出できない恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、被検査体の表面に形成されたパターンに発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できるパターンのムラ欠陥検査方法及びパターンのムラ欠陥検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査方法は、単位パターンが規則的に配列されてなる繰り返しパターンを表面に備えた被検査体に光を照射し、この被検査体からの反射光または透過光を受光し、この受光した受光データを観察して上記繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を検出するパターンのムラ欠陥検査方法において、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し、この選択して抽出した波長帯の光を用いて上記繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査方法は、請求項1に記載の発明において、選択して抽出する所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査方法は、請求項1または2に記載の発明において、上記被検査体が映像デバイス、またはこの映像デバイスを製造するためのフォトマスクであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、単位パターンが規則的に配列されてなる繰り返しパターンを表面に備えた被検査体に光を照射する光源と、上記被検査体からの反射光または透過光を受光して受光データとする受光器とを有し、この受光データを観察して上記繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を検出するパターンのムラ欠陥検査装置において、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出する選択抽出手段を有し、この選択して抽出された波長帯の光を用いて上記繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4に記載の発明において、上記選択抽出手段が選択して抽出する所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4または5に記載の発明において、上記選択抽出手段は、光源から照射された光から所望の波長帯の光を選択して抽出し被検査体へ導く波長フィルタであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4または5に記載の発明において、上記選択抽出手段は、被検査体から導かれた光から所望の波長帯の光を選択し抽出して受光器へ導く波長フィルタであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4または5に記載の発明において、上記選択抽出手段は、受光器にて変換された受光データを解析し、この受光データから所望の波長帯の光に関する受光データを選択して抽出する解析装置であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4または5に記載の発明において、上記選択抽出手段は、複数の波長帯の光のうち所望の波長帯の光を個別に照射する複数の単色光源を備え、これらの単色光源の照射動作が切り替え可能に構成されたものであることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に記載の発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置は、請求項4乃至9のいずれかに記載の発明において、上記被検査体が映像デバイス、またはこの映像デバイスを製造するためのフォトマスクであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るパターンのムラ欠陥検査方法及び装置によれば、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し、この選択して抽出された波長帯の光を観察して繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することから、複数種類のそれぞれのムラ欠陥に対し異なる波長帯の光を用いることによって、それぞれの種類のムラ欠陥を顕在化し際立たせて観察できるので、繰り返しパターンに発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できる。
【0019】
また、本発明に係るパターンのムラ欠陥検査方法及び装置によれば、選択して抽出される所望の波長帯の光が、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であることから、ムラ欠陥を、そのムラ欠陥を検出するに適した波長帯の光で観察し検出できるので、ムラ欠陥をより一層高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1の実施の形態(図1、図2)
図1は、本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第1の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のフォトマスクにおける繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を示し、(A)及び(B)が座標位置変動系のムラ欠陥を、(C)及び(D)が寸法変動系のムラ欠陥をそれぞれ示す図である。
【0021】
この図1に示すムラ欠陥検査装置10は、被検査体としてのフォトマスク50の表面に形成された繰り返しパターン51に発生するムラ欠陥を検出するものであり、ステージ11、光源12、受光部13、及び選択抽出手段としての波長フィルタ14を有して構成される。上記フォトマスク50は、本実施の形態では、映像デバイスの一つである、例えばCCDの受光部を製造するための露光マスクである。
【0022】
ここで、上記映像デバイスとしては、撮像デバイスと表示デバイスが挙げられる。撮像デバイスは、CCD、CMOS、VMIS等の固体撮像装置が代表的なものであり、表示デバイスは、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、LED表示装置、DMD表示装置等が代表的なものである。フォトマスク50は、これらの映像デバイスのいずれかを製造するためのものである。
【0023】
上記フォトマスク50は、ガラス基板等の透明基板52上にクロム膜等の遮光膜が設けられ、この遮光膜が所望の繰り返しパターン51で部分的に除去されたものであり、上記繰り返しパターン51は、単位パターン53が規則的に配列して構成されたものである。
【0024】
このフォトマスク50の製造方法としては、まず、透明基板52上に遮光膜を形成し、この遮光膜上にレジスト膜を形成する。次に、このレジスト膜に描画機における電子線またはレーザのビームを照射して描画を施し、所定のパターンを露光する。次に、描画部と非描画部を選択的に除去してレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングし、この遮光膜に繰り返しパターン51を形成し、最後に、残存レジストを除去してフォトマスク50を製造する。
【0025】
上述の製造工程では、電子線またはレーザのビームの走査により、レジスト膜に直接描画を施す際に、ビームのスキャン幅やビームの径に依存して描画に繋ぎ目が生じ、この繋ぎ目に、描画不良によるエラーが描画単位ごとに周期的に発生することがあり、これが前記ムラ欠陥発生の原因となってしまう。
【0026】
このムラ欠陥の一例を図2に示す。この図2では、ムラ欠陥領域を符号54で示す。図2(A)は、ビームによる描画の繋ぎ目に位置ずれが発生することによって、繰り返しパターン51における単位パターン53の間隔が部分的に異なってしまうことによるムラ欠陥を示す。図2(B)は、同じく、ビームによる描画の繋ぎ目に位置ずれが発生することによって、繰り返しパターン51における単位パターン53の位置が、他の単位パターンに対しずれてしまうことによるムラ欠陥を示す。これらの図2(A)及び2(B)に示すムラ欠陥を座標位置変動系のムラ欠陥と称する。また、図2(C)及び2(D)は、描画機のビーム強度がばらつくこと等によって、繰り返しパターン51の単位パターン53が部分的に細くなったり、太くなるムラ欠陥であり、これらのムラ欠陥を寸法変動系のムラ欠陥と称する。
【0027】
さて、図1に示すムラ欠陥検査装置10における前記ステージ11は、フォトマスク50を載置する台である。また、前記光源12は、ステージ11の一方側上方に配置されて、フォトマスク50の表面の繰り返しパターン51へ斜め上方から光を照射するものである。この実施形態では、光源12は、白色光などのように、広い範囲に複数の波長を含む光を照射するものであり、例えばハロゲンランプが用いられる。
【0028】
前記受光部13は、ステージ11の他方側上方に配置されて、フォトマスク50の繰り返しパターン51から反射された反射光、特に、繰り返しパターン51のエッジ部にて散乱された散乱光を受光して受光データに変換するものである、例えば、この受光部13は、CCDラインセンサまたはCCDエリアセンサ等の撮像センサが用いられる。受光部13により変換された受光データにおいては、フォトマスク50の繰り返しパターン51にムラ欠陥が生じていると、受光データの規則性に乱れが生じる。従って、この受光データを観察することにより、ムラ欠陥が検出可能となる。
【0029】
前記波長フィルタ14は、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出するものである。即ち、この波長フィルタ14は、複数の波長帯の光を個別に抽出可能な1枚の波長フィルタ、或いは特定の波長帯の光のみを抽出可能な1枚の波長フィルタを複数枚用意したものである。この波長フィルタ14により、光源12から照射された光から所望の波長帯の光が一または複数選択して抽出され、それぞれの波長帯の光が個別にフォトマスク50の繰り返しパターン51へ照射される。
【0030】
この波長フィルタ14により選択され抽出された複数の波長帯の光のそれぞれは、フォトマスク50の繰り返しパターン51により反射(散乱)され、受光部13を経て受光データに変換される。これらの受光データを観察することにより、異なる波長帯の光で上記繰り返しパターン51のムラ欠陥を観察することが可能となる。
【0031】
ところで、フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生するムラ欠陥は、前述のように、繰り返しパターン51の製造工程等に起因して複数種類存在する。これら各種類のムラ欠陥は、ムラ欠陥検査装置10において、観察する光の波長帯により見え方が異なり、ムラ欠陥の種類ごとに、高感度に観察または検出され得る波長帯の光が存在する。従って、波長フィルタ14により選択して抽出される所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であり、例えば青色光(440〜500nm付近の光)、緑色光(500〜570nm付近の光)、赤色光(620〜700nm付近の光)であり、或いはレーザ光のような単色光であってもよい。即ち、青色光は、図2(A)及び(B)に示す座標位置変動系のムラ欠陥を高感度に検出可能とし、緑色光は、図2(C)及び(D)に示す寸法変動系のムラ欠陥を高感度に検出可能とする。これにより、ムラ欠陥の種類に適した波長帯の光で当該ムラ欠陥を高感度に検出することが可能となる。
【0032】
次に、ムラ欠陥検査装置10を用いたフォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥の検出方法を説明する。
光源12から照射された複数の波長帯の光を波長フィルタ14が、一または複数の所望の波長帯の光に選択して抽出する。例えば、波長フィルタ14は、光源12から照射された光を青色光と緑色光に個別に選択して抽出する。
【0033】
この波長フィルタ14により選択され抽出された所望の波長帯の複数の光は、それぞれ、フォトマスク50における繰り返しパターン51にて反射され、特に、繰り返しパターン51のエッジ部にて散乱された散乱光が、受光部13に受光されて受光データに変換される。これらの受光データを観察して繰り返しパターン51に存在するムラ欠陥を検出する。
【0034】
繰り返しパターン51に、図2(A)及び(B)に示す座標位置変動系のムラ欠陥が存在する場合には、このムラ欠陥は、波長フィルタ14により選択して抽出された緑色光を用いて観察される場合に比べ、この波長フィルタ14により選択して抽出された青色光を用いて観察される場合の方が、際立って高感度に観察される。従って、この青色光を用いて、座標位置変動系のムラ欠陥を高精度に検出することとができる。
【0035】
また、繰り返しパターン51に、図2(C)及び(D)に示す寸法変動系のムラ欠陥が存在する場合には、このムラ欠陥は、波長フィルタ14により選択して抽出された青色光を用いて観察される場合に比べ、この波長フィルタ14により選択して抽出された緑色光を用いて観察される場合の方が、際立って高感度に観察される。従って、この緑色光を用いて、寸法変動系のムラ欠陥を高精度に検出することとができる。
【0036】
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば次の効果(1)及び(2)を奏する。
【0037】
(1)波長フィルタ14が、光源12から照射された複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し、この選択して抽出された波長帯の光を受光部13が受光データに変換し、この受光データを個別に観察することにより、フォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出することから、複数種類のそれぞれのムラ欠陥に対し異なる波長帯の光を用いることによって、それぞれの種類のムラ欠陥を顕在化し際立たせて観察できるので、フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できる。
【0038】
例えば、上述のように、波長フィルタ14により選択して抽出された青色光と緑色光の、異なる2つの波長帯の光を用いて、フォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出することにより、座標位置変動系と寸法変動系のように異なる種類のムラ欠陥をそれぞれ高精度に検出できる。
【0039】
(2)波長フィルタ14が選択して抽出する所望の波長帯の光が、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光(例えば、座標位置変動系のムラ欠陥に対しては青色光、寸法変動系のムラ欠陥に対しては緑色光)であることから、ムラ欠陥を、そのムラ欠陥を検出するに適した波長帯の光で観察し検出できるので、ムラ欠陥をより一層高精度に検出することができる。
【0040】
[B]第2の実施の形態(図3)
図3は、本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第2の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様な部分は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0041】
この第2の実施の形態のムラ欠陥検査装置20は、第1の実施の形態において、光源12から照射された光から所望の波長帯の光を選択して抽出する波長フィルタ14の代わりに、フォトマスク50の繰り返しパターン51にて散乱した散乱光から、所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し受光部13へ導く、波長フィルタ14と同様な構造の波長フィルタ21を選択抽出手段として備えたものである。
【0042】
このムラ欠陥検査装置20においても、波長フィルタ21が、複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し、これにより、異なる波長帯の光で繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出できるので、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様に、フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できる。
例えば、波長フィルタ21により選択して抽出された青色光と緑色光の、異なる2つの波長帯の光を用いて、フォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出することにより、座標位置変動系と寸法変動系のように異なる種類のムラ欠陥をそれぞれ高精度に検出できる。
【0043】
また、このムラ欠陥検査装置20においても、波長フィルタ21により選択して抽出される所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光(例えば、座標位置変動系のムラ欠陥に対しては青色光、寸法変動系のムラ欠陥に対しては緑色光)であることから、前記第1の実施の形態の効果(2)と同様に、ムラ欠陥を、そのムラ欠陥を検出するに適した波長帯の光で観察し検出できるので、ムラ欠陥をより一層高精度に検出することができる。
【0044】
[C]第3の実施の形態(図4)
図4は、本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第3の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。この第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様な部分は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0045】
この第3の実施の形態のムラ欠陥検査装置30は、第1及び第2の実施の形態のような波長フィルタ14及び波長フィルタ21を用いず、受光部13が受光して変換した受光データを解析し、この解析した受光データから所望の波長帯の光に関する受光データを一または複数選択して抽出する解析装置を、選択抽出手段として備えたものである。この解析装置は、例えば、受光部13が受光して変換した光源12の白色光の受光データを解析し、青色光に関する受光データ、緑色光に関する受光データ、赤色光に関する受光データを一または複数個別に選択して抽出する。
【0046】
このムラ欠陥検査装置30においても、解析装置31が、複数の波長帯の光に関する受光データから、所望の波長帯の光に関する受光データを一または複数選択して抽出し、これにより、異なる波長帯の光に関する受光データ(例えば、青色光に関する受光データ、緑色光に関する受光データ)で繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出できるので、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様に、フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できる。
例えば、解析装置31により選択して抽出された青色光と緑色光の、異なる2つの波長帯の光に関する受光データを用いて、フォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出することにより、座標位置変動系と寸法変動系のように異なる種類のムラ欠陥をそれぞれ高精度に検出できる。
【0047】
また、このムラ欠陥検査装置30においても、解析装置31により選択して抽出される所望の波長帯の光に関する受光データは、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光に関する受光データ(例えば、座標位置変動系のムラ欠陥に対しては青色光に関する受光データ、寸法変動系のムラ欠陥に対しては緑色光に関する受光データ)であることから、前記第1の実施の形態の効果(2)と同様に、ムラ欠陥を、そのムラ欠陥を検出するに適した波長帯の光で観察し検出できるので、ムラ欠陥をより一層高精度に検出することができる。
【0048】
[D] 第4の実施の形態(図5)
図5は、本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第4の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。この第4の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様な部分は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0049】
この第4の実施の形態のムラ欠陥検査装置40は、第1及び第2の実施の形態のような波長フィルタ14及び波長フィルタ21の代わりに、複数の波長帯の光のうち、所望の波長帯の光をそれぞれ個別に照射する複数の単色光源41、42、…を備え、これらの単色光源41、42、…の照射動作が切替可能に構成された、選択抽出手段としての選択抽出機構43を有するものである。例えば、単色光源41が青色光を、単色光源42が緑色光をそれぞれ照射する。これらの単色光源41、42、…は、レーザ光のような単色光を照射するものであってもよい。
【0050】
このムラ欠陥検査装置40においても、選択抽出機構43における単色光源41、42、…が、複数の波長帯の光のうち所望の波長帯の光を個別に照射し、これらの照射動作が切り替えられることから、単色光源41、42、…から照射される異なる波長帯の光で繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出できるので、前記第1の実施の形態の効果(1)と同様に、フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生する複数種類のムラ欠陥を高精度に検出できる。
例えば、選択抽出機構43により選択して抽出された青色光と緑色光の、異なる2つの波長帯の光を用いて、フォトマスク50における繰り返しパターン51のムラ欠陥を検出することにより、座標位置変動系と寸法変動系のように異なる種類のムラ欠陥をそれぞれ高精度に検出できる。
【0051】
また、このムラ欠陥検査装置40においても、選択抽出機構43における単色光源41、42、…により個別に照射される所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光(例えば、座標位置変動系のムラ欠陥に対しては青色光、寸法変動系のムラ欠陥に対しては緑色光)であることから、前記第1の実施の形態の効果(2)と同様に、ムラ欠陥を、そのムラ欠陥を検出するに適した波長帯の光で観察し検出できるので、ムラ欠陥をより一層高精度に検出することができる。
【実施例】
【0052】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。 本実施例において、被検査体は、CCDの受光部を形成する際に露光マスクとして用いるフォトマスクであり、このフォトマスクに、上記受光部に対応するクロム系遮光膜パターンからなる繰り返しパターンが形成されている。このフォトマスクに形成された繰り返しパターンについて、第3の実施の形態におけるムラ欠陥検査装置30(図4)を用いてムラ欠陥を検出した。
【0053】
図6〜図8は、ムラ欠陥検査装置30の解析装置31が解析した赤色光に関する受光データ、緑色光に関する受光データ、青色光に関する受光データのそれぞれを用いて検出したムラ欠陥の検出結果を、フォトマスクの一部の領域について示すグラフである。ここで、横軸はフォトマスク上における所定方向の距離を示し、縦軸はムラ欠陥の濃度を示す。この縦軸の−5〜5の数値は、ムラ欠陥の濃度について任意に割り振った所定のレベルを示す。
【0054】
本実施例におけるフォトマスクの繰り返しパターンについてのムラ欠陥の検査では、図6に示すように、赤色光に関する受光データを用いた場合にはムラ欠陥は検出されない。しかしながら、図7、図8に示すように、緑色光に関する受光データまたは青色光に関する受光データを用いた場合にはムラ欠陥を検出することができる。特に、緑色光に関する受光データを用いた場合には(図7)ムラ欠陥を高感度に検出することができた。従って、このフォトマスクの繰り返しパターンに発生したムラ欠陥は、寸法変動系のムラ欠陥であると考えられる。
【0055】
尚、上記実施例では、第3の実施の形態におけるムラ欠陥検査装置30を用いたが、それに限定されない。つまり、第1の実施の形態におけるムラ欠陥検査装置10の波長フィルタ14、第2の実施の形態におけるムラ欠陥検査装置20の波長フィルタ21、または第4の実施の形態におけるムラ欠陥検査装置40の選択抽出機構43により、それぞれ選択して抽出される赤色光、緑色光または青色光を用いて、それぞれのムラ欠陥検査装置により上記フォトマスクの繰り返しパターンにおけるムラ欠陥を検出する場合にも、上記実施例と同様な結果が得られる。
【0056】
以上、本発明を上記実施の形態及び上記実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記受光部13は、フォトマスク50における繰り返しパターン51のエッジ部で散乱された光を受光するものを述べたが、このフォトマスク50の繰り返しパターン51間を透過する透過光、特にこの透過光のうち、フォトマスク50のエッジ部で回析された回析光を受光してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では被検査体がフォトマスク50であり、ムラ欠陥検査装置10、20、30、40は、映像デバイスを製造するための上記フォトマスク50の繰り返しパターン51に発生したムラ欠陥を検出ものを述べたが、この被検査体は、撮像デバイスや表示デバイス等の映像デバイスであってもよい。この場合には、ムラ欠陥検査装置10、20、30、40は、撮像デバイスにおける撮像面を形成する画素パターン(具体的には、CCDやCMOS等の受光部を形成する繰り返しパターン)に生じたムラ欠陥、表示デバイスにおける表示面を形成する画素パターン(具体的には、液晶表示パネルの薄膜トランジスタや対向基板、カラーフィルタ等の繰り返しパターン)に生じたムラ欠陥を、それぞれ検出するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第1の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のフォトマスクにおける繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を示し、(A)及び(B)が座標位置変動系のムラ欠陥を、(C)及び(D)が寸法変動系のムラ欠陥をそれぞれ示す図である。
【図3】本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第2の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第3の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るパターンのムラ欠陥検査装置における第4の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
【図6】実施例において、赤色光を用いて検出したムラ欠陥の検出結果を示すグラフである。
【図7】実施例において、緑色光を用いて検出したムラ欠陥の検出結果を示すグラフである。
【図8】実施例において、青色光を用いて検出したムラ欠陥の検出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
10 ムラ欠陥検査装置(パターンのムラ欠陥検査装置)
12 光源
13 受光部
14 波長フィルタ(選択抽出手段)
20 ムラ欠陥検査装置(パターンのムラ欠陥検査装置)
21 波長フィルタ(選択抽出手段)
30 ムラ欠陥検査装置(パターンのムラ欠陥検査装置)
31 解析装置(選択抽出手段)
40 ムラ欠陥検査装置(パターンのムラ欠陥検査装置)
41、42、… 単色光源
43 選択抽出機構(選択抽出手段)
50 フォトマスク(被検査体)
51 繰り返しパターン
53 単位パターン
54 ムラ欠陥領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位パターンが規則的に配列されてなる繰り返しパターンを表面に備えた被検査体に光を照射し、この被検査体からの反射光または透過光を受光し、この受光した受光データを観察して上記繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を検出するパターンのムラ欠陥検査方法において、
複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出し、この選択して抽出した波長帯の光を用いて上記繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することを特徴とするパターンのムラ欠陥検査方法。
【請求項2】
選択して抽出する所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であることを特徴とする請求項1に記載のパターンのムラ欠陥検査方法。
【請求項3】
上記被検査体が映像デバイス、またはこの映像デバイスを製造するためのフォトマスクであることを特徴とする請求項1または2に記載のパターンのムラ欠陥検査方法。
【請求項4】
単位パターンが規則的に配列されてなる繰り返しパターンを表面に備えた被検査体に光を照射する光源と、上記被検査体からの反射光または透過光を受光して受光データとする受光器とを有し、この受光データを観察して上記繰り返しパターンに発生したムラ欠陥を検出するパターンのムラ欠陥検査装置において、
複数の波長帯の光から所望の波長帯の光を一または複数選択して抽出する選択抽出手段を有し、この選択して抽出された波長帯の光を用いて上記繰り返しパターンのムラ欠陥を検出することを特徴とするパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項5】
上記選択抽出手段が選択して抽出する所望の波長帯の光は、検査を必要とする種類のムラ欠陥を高感度に検出し得る波長帯の光であることを特徴とする請求項4に記載のパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項6】
上記選択抽出手段は、光源から照射された光から所望の波長帯の光を選択して抽出し被検査体へ導く波長フィルタであることを特徴とする請求項4または5に記載のパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項7】
上記選択抽出手段は、被検査体から導かれた光から所望の波長帯の光を選択し抽出して受光器へ導く波長フィルタであることを特徴とする請求項4または5に記載のパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項8】
上記選択抽出手段は、受光器にて変換された受光データを解析し、この受光データから所望の波長帯の光に関する受光データを選択して抽出する解析装置であることを特徴とする請求項4または5に記載のパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項9】
上記選択抽出手段は、複数の波長帯の光のうち所望の波長帯の光を個別に照射する複数の単色光源を備え、これらの単色光源の照射動作が切り替え可能に構成されたものであることを特徴とする請求項4または5に記載のパターンのムラ欠陥検査装置。
【請求項10】
上記被検査体が映像デバイス、またはこの映像デバイスを製造するためのフォトマスクであることを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載のパターンのムラ欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/050132
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515624(P2005−515624)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017078
【国際出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】