説明

パターン形成方法及びパターン形成装置

【課題】基板を加熱しながら基板上に形成されるパターンを目的の位置に精度良く形成す
ることが可能となるパターン形成方法及パターン形成装置を提供する。
【解決手段】焼成前のマザーシート4Mの左上隅にマークを配置形成した。そして、マザ
ーシート4Mを高温(46℃)に加熱されたときのマークを、カメラにて撮影するように
した。そして、高温(46℃)に加熱されたときのマークの画像データと、常温(26℃
)でのマークの画像データとを比較することによってマザーシート4Mの変形度合いを算
出し、その変形度合いに基づいて、高温(46℃)時におけるグリーンシート4Gの変形
度合いを考慮したビットマップデータに補正した。そして、その補正されたビットマップ
データに基づいて内部配線6の配線パターンを形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法及びパターン形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、機能性パターンを形成するために、機能性材料をアセトンなどの溶媒に溶解また
は分散させて液状体に加工し、更に微小な液滴(インク)にして基板上に配置してパター
ニングをする、所謂液滴吐出法(インクジェット法)が知られている(例えば、特許文献
1参照)。
【0003】
この種の液滴吐出法(インクジェット法)においては、基板を加熱しながら液滴(イン
ク)を順次吐出することによって、前記基板上に配置された液滴(インク)の乾燥速度を
速めることで、パターニング速度を向上させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2004−306372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に、溶媒として公知の水系溶媒を使用した場合では、前記溶媒を確実
に蒸発させるために基板温度を46℃程度に加熱させる必要がある。この結果、基板の構
成材料にもよるが、加熱中においては通常は基板が熱膨張をしてしまう。例えば、基板と
してグリーンシートを使用した場合、26℃(常温)から46℃に加熱すると、80μm
程度延びてしまう。
【0005】
この結果、基板を加熱しながらパターンを形成する場合では、膨張した基板上に液滴が
配置されてしまうため、所望の位置にパターンが形成されなくなってしまうという問題が
あった。例えば、予めビアホール等が形成されたグリーンシートに対してパターンをその
ビアホールに接続されるように形成する場合では、グリーンシートの熱膨張によって液滴
の配置位置が大きくずれてしまう。このため、形成されたパターンがビアホールに接続さ
れなくなってしまい、所望の特性の基板が作製されなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、基板を加熱しながら基板
上に形成されるパターンを目的の位置に精度良く形成することが可能となるパターン形成
方法及パターン形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパターン形成方法は、予め記憶されたデータに基づいて機能材料を含む機能液
の液滴を基板に向かって順次吐出して、前記基板の表面にパターンを形成するパターン形
成方法において、前記基板を、その表面温度が前記液滴の吐出時の前記機能液の温度以上
であってかつ前記機能液を構成する組成物の沸点以下の温度に加熱する加熱工程と、加熱
する前の前記基板と、加熱したときの前記基板との比較結果から前記加熱による前記基板
の変形度合いを算出する算出工程と、前記変形度合いに基づいて前記データを補正する補
正工程とを備えた。
【0008】
これによれば、基板は加熱されることから、基板上に着弾した液滴は直ちに乾燥される
。このため、短時間でパターンが形成される。また、加熱によって基板が変形した場合で
あっても、加熱よって生じる基板の変形度合いに応じてデータが補正されていることから
、液滴は所望の位置に着弾する。この結果、パターンを目的の位置に精度良く形成するこ
とが可能となる。
【0009】
このパターン形成方法において、前記算出工程は、前記基板上に予めマークを配置形成
し、前記基板を前記加熱する前の前記マークと、前記基板を加熱したときの前記マークと
のずれ量に基づいて前記基板の変形度合いを算出するようにしてもよい。
【0010】
これによれば、変形度合いを簡単に算出することができる。
このパターン形成方法において、前記基板は、多孔質性基板であってセラミックス粒子
と樹脂とから構成される低温焼成用シートであり、前記機能液は、前記機能材料として金
属材料を分散させた液状体であってもよい。
【0011】
これによれば、基板上に形成される配線パターンを短時間でかつ目的の位置に精度良く
形成することが可能となる。
このパターン形成方法において、前記基板は、回路素子が実装されるとともにその実装
された前記回路素子に対して電気的に接続された配線が形成される回路基板であってもよ
い。
【0012】
これによれば、回路素子が形成された所望の特性を有した回路基板を短時間で形成する
ことができる。
このパターン形成方法において、前記データはビットマップデータであってもよい。
【0013】
これによれば、容易に基板の変形度合いに応じてデータを補正することができる。
このパターン形成方法において、前記算出工程は、前記加熱による前記基板の変形度合
いが前記ビットマップデータの1つ分変化した場合、前記ビットマップデータを補正する
ようにしてもよい。
【0014】
これによれば、途中で断線したり、線幅が変化したりすることのないパターンを形成す
ることができる。
このパターン形成方法において、前記補正は、前記基板の縦方向及び前記基板の横方向
に沿って独立して行われるようにしてもよい。
【0015】
これによれば、縦方向と横方向とで変形度合いが異なる基板であっても、パターンを目
的の位置に精度良く形成することが可能となる。
本発明のパターン形成装置は、予め記憶されたデータに基づいて機能材料を含む機能液
の液滴を基板に向かって順次吐出して、前記基板の表面にパターンを形成するパターン形
成装置において、前記基板を、その表面温度が前記液滴の吐出時の前記機能液の温度以上
であってかつ前記機能液を構成する組成物の沸点以下の温度に加熱する加熱手段と、加熱
する前の前記基板と、加熱したときの前記基板との比較結果から前記加熱による前記基板
の変形度合いを算出する算出手段と、前記変形度合いに基づいて前記データを補正する補
正手段と、前記補正されたデータに従って前記液滴を吐出する吐出手段とを備えた。
【0016】
これによれば、基板は加熱されることから、基板上に着弾した液滴は直ちに乾燥される
。このため、短時間でパターンが形成される。また、加熱によって基板が変形した場合で
あっても、加熱よって生じる基板の変形度合いに応じてデータが補正されていることから
、液滴は所望の位置に着弾する。この結果、パターンを目的の位置に精度良く形成するこ
とが可能となる。
【0017】
このパターン形成装置において、前記基板と対向する位置にカメラを備え、前記カメラ
は、加熱したときの前記基板上に配置形成されたマークを撮影し、前記算出手段は、前記
カメラにて撮影された前記マークの、加熱前の前記基板上に配置形成されたマークの配置
位置に対するずれ量に基づいて前記基板の変形度合いを測定してもよい。
【0018】
これによれば、変形度合いを簡単に算出することができる。
このパターン形成装置において、前記機能液は、前記基板上に実装される回路素子に対
して電気的に接続された配線を構成する金属材料が分散された液状体であってもよい。
【0019】
これによれば、回路素子が形成された所望の特性を有した回路基板を短時間で形成する
ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化したパターン形成方法及びパターン形成装置の一実施形態を図面
に従って説明する。
まず、本発明のパターン形成方法及びパターン形成装置を用いて形成された回路モジュ
ール1について説明する。
【0021】
図1において、回路モジュール1には、板状に形成されたLTCC多層基板2と、その
LTCC多層基板2の上側にワイヤーボンディング接続された半導体チップ3とが備えら
れている。
【0022】
LTCC多層基板2は、シート状に形成された複数の回路基板としてのLTCC基板4
の積層体である。各LTCC基板4は、それぞれガラスセラミックス系材料(例えば、ホ
ウケイ酸アルカリ酸化物などのガラス成分とアルミナなどのセラミックス成分の焼結体)
(多孔質性基板)であって、その厚みが数百μmである。
【0023】
各LTCC基板4には、抵抗素子、容量素子、コイル素子などの各種回路素子5と、各
回路素子5を電気的に接続する内部配線6と、スタックビア構造、サーマルビア構造を呈
する所定の孔径(例えば、直径30μm)を有した複数のビアホール7と、該ビアホール
7に充填されたビア配線8と、が形成されている。
【0024】
各内部配線6は、それぞれ機能材料及び金属材料としての銀(Ag)の微粒子が焼結し
た焼結体であって、本発明のパターン形成装置としての液滴吐出装置(インクジェット装
置)を使用して形成される。
【0025】
次に、前記LTCC多層基板2を製造するための液滴吐出装置20について図2〜図8
に従って説明する。図2は、液滴吐出装置20を説明する全体斜視図である。図3及び図
4は、それぞれ、液滴吐出ヘッド30を説明するための図である。
【0026】
本実施形態では、複数のLTCC基板4を切出し可能としたマザーシート4M上に内部
配線6のパターンを形成する場合について説明する。また、以下では説明を簡単にするた
めに、図6に示すように、1枚のマザーシート4M上にマトリクス状に10×10個のL
TCC基板4を形成する場合について説明する。つまり、図6に示すように、1枚のマザ
ーシート4M上に、マトリクス状に10×10個の形成領域Zが配置形成され、その各形
成領域ZにLTCC基板4を構成する内部配線6の配線パターンを形成する場合について
説明する。また、説明の便宜上、マザーシート4Mの縦方向をY矢印方向とし、マザーシ
ート4Mの横方向をX矢印方向と定義する。
【0027】
図2において、液滴吐出装置20は、直方体形状に形成された基台21を有している。
基台21の上面には、その長手方向(Y矢印方向)に沿って延びる一対の案内溝22が形
成されている。案内溝22の上方には該案内溝22に沿ってY矢印方向及び反Y矢印方向
に移動するステージ23が備えられている。ステージ23の上面には載置部24が設けら
れ、マザーシート4Mが載置されるようになっている。つまり、このマザーシート4Mは
、焼成前のLTCC基板4(以下、「グリーンシート4G」という)を10×10(=1
00)個切り出ことができる。そして、載置部24は、載置された状態のマザーシート4
Mをステージ23に対して位置決め固定して、マザーシート4MをY矢印方向及び反Y矢
印方向に搬送する。
【0028】
ステージ23の上面には、加熱手段としてのラバーヒータHが埋設されている。載置部
24に載置されたマザーシート4Mは、ラバーヒータHにて所定の温度に加熱される。本
実施形態では、46℃に加熱されるようになっている。
【0029】
また、基台21には、その搬送方向と直交する方向(X矢印方向)に跨ぐ門型のガイド
部材25が架設されている。ガイド部材25の上側には、インクタンク26が配設されて
いる。インクタンク26は、機能液としての金属インクFを貯留して、貯留する金属イン
クFを液滴吐出ヘッド30に所定の圧力で供給する。
【0030】
金属インクFは、例えば、粒径が数nmの銀(Ag)の微粒子を水系溶媒に分散させた
水系金属インクである。金属インクFの液滴Fbは、加熱されると溶媒或いは分散媒の一
部が蒸発してその表面の外形を増粘させる。
【0031】
ガイド部材25には、そのX矢印方向略全幅に渡って、X矢印方向に延びる上下一対の
ガイドレール28が形成されている。上下一対のガイドレール28には、キャリッジ29
が取り付けられている。キャリッジ29は、ガイドレール28に案内されてX矢印方向及
び反X矢印方向に移動する。
【0032】
キャリッジ29には、吐出手段としての液滴吐出ヘッド(以下、単に「吐出ヘッド」と
いう)30及びカメラKが配設されている。
図3及び図4は、それぞれ吐出ヘッド30をマザーシート4M側(下側)から見た図で
ある。
【0033】
図3において、吐出ヘッド30は、X矢印方向に沿って15個の吐出ヘッド対H1,H
2,H3,…,H15を併設している。各吐出ヘッド対H1〜H15は、第1の吐出ヘッ
ドHaと、該第1の吐出ヘッドHaに対してY矢印方向に併設された第2の吐出ヘッドH
bとを備えている。各吐出ヘッドHa,Hbのノズルプレート31は、一対のノズル列N
Lを備えている。図4に示すように、各ノズル列NLには、X矢印方向に沿って複数のノ
ズルNが等ピッチで配置形成されている。本実施形態では、各ノズル列NLに200個の
ノズルNが40μmのピッチで配置形成されている。
【0034】
また、各吐出ヘッドHa,Hbにおいては、一方のノズル列NLの各ノズルNが他方の
ノズル列NLの各ノズルNに対してX矢印方向に沿って半ピッチずれて配置されている。
従って、各吐出ヘッドHa,Hbにおいては、一方のノズル列NLの各ノズルNの中間位
置に他方のノズル列NLの各ノズルNが位置することとなる。つまり、一方のノズル列N
Lの各ノズルNが他方のノズル列NLの各ノズルNの間を補間している。尚、本実施形態
においては、各ノズル列NLでは各ノズルNが40μmのピッチで配置形成されているこ
とから、各吐出ヘッドHa,Hbでは、ノズルNがX矢印方向に沿って20μmのピッチ
で配置されることとなる。従って、各吐出ヘッドHa,Hbでは、X矢印方向に沿って2
×200=400個のノズルNが20μmの等ピッチで配置されている。
【0035】
また、第1の吐出ヘッドHaの各ノズル列NLは、第2の吐出ヘッドHbの各ノズル列
NLとX矢印方向に沿って半ピッチずれて配置されている。従って、第1の吐出ヘッドH
aに配置形成される各ノズルNの中間位置に第2の吐出ヘッドHbに配置形成されるノズ
ルNが位置することとなる。つまり、第1の吐出ヘッドHaの各ノズル列NLの各ノズル
Nが第2の吐出ヘッドHbのノズル列NLの各ノズルNの間を補間している。尚、本実施
形態においては、各吐出ヘッドHa,Hbのノズル列NLは20μmのピッチで配置され
ていることから、各吐出ヘッド対H1〜H15では、ノズルNがX矢印方向に沿って10
μmのピッチで配置されることとなる。従って、各吐出ヘッド対H1〜H15では、X矢
印方向に沿って2×400=800個のノズルNが10μmの等ピッチで配置されている

【0036】
そして、図3に示すように、各ノズルNがX矢印方向に沿って等間隔に連続して配置さ
れるように各吐出ヘッド対H1〜H15はその一部が互いに重なり合って階段状に連結さ
れている。従って、前記のように吐出ヘッド対H1〜H15を配置することによって、全
体として、15×800=1.2×10個のノズルNがX矢印方向に沿って10μmの
等ピッチで配置されている。
【0037】
図5は、吐出ヘッド30の第1の吐出ヘッドHaの内部構成を説明するための要部断面
図である。尚、第2の吐出ヘッドHbについては、第1の吐出ヘッドHaと同じ構成であ
ることから、その詳細な説明を省略する。
【0038】
図5において、各吐出ヘッドHaは、その上側に供給チューブ30Tが連結されている
。供給チューブ30Tは、Z矢印方向に延びるように配設されて、インクタンク26から
の金属インクFを吐出ヘッド30に供給する。
【0039】
ノズルNの上側には、供給チューブ30Tに連通するキャビティ32が形成されている
。キャビティ32は、供給チューブ30Tからの金属インクFを収容して、対応するノズ
ルNに金属インクFを供給する。キャビティ32の上側には、上下方向に振動してキャビ
ティ32内の容積を拡大及び縮小する振動板33が貼り付けられている。振動板33の上
側には、ノズルNに対応する圧電素子PZが配設されている。圧電素子PZは、上下方向
に収縮及び伸張して振動板33を上下方向に振動させる。上下方向に振動する振動板33
は、金属インクFを所定のサイズの液滴Fbに形成し、対応するノズルNから吐出させる
。吐出された液滴Fbは、対応するノズルNの反Z矢印方向に飛行して、マザーシート4
Mの描画平面(パターン形成面4Ma)上に配置形成された前記各形成領域Z内の所定の
位置に着弾する。
【0040】
そして、各形成領域Z内に着弾した金属インクFは、前述したように、加熱されると溶
媒或いは分散媒の一部が蒸発してその表面の外形が増粘し、その外縁の増粘した金属イン
クFは、マザーシート4Mの面方向に沿う自身の濡れ広がりを停止して局在する。そして
、各形成領域Z内に着弾して局在した各金属インクFは、複数連なって繋がるようにして
配置されることで、例えば、図6に示すような、3本のライン状の内部配線6の配線パタ
ーンを形成する。
【0041】
図2に示すように、カメラKは、キャリッジ29上であって前記吐出ヘッド30に隣接
した位置に設けられている。カメラKは、載置部24に載置されたマザーシート4Mのパ
ターン形成面4Ma上を撮影可能となるように設けられている。詳しくは、図7に示すよ
うに、焼成前のマザーシート4Mには、その左上隅にマークMが形成されている。このマ
ークMは、常温(26℃)時の焼成前のマザーシート4Mに対して該マザーシート4Mの
パターン形成面4Ma上の各形成領域Z以外の領域にて密着するようにして形成されたも
のである。本実施形態のマークMは、格子形状を成している。そして、カメラKは、マー
クMの様子を撮影し、その撮影されたマークMの画像データを後記する制御装置50に出
力する。
【0042】
次に、前記液滴吐出装置20の電気的構成について図8に従って説明する。
図8に示すように、液滴吐出装置20は、制御装置50を備えている。制御装置50に
は、各種操作スイッチとディスプレイを有した入出力装置51が接続されている。入出力
装置51は、液滴吐出装置20が実行する各種処理の処理状況を表示したり、内部配線6
を形成するためのデータとしてのビットマップデータBDを制御装置50に入力したりす
る。
【0043】
ビットマップデータBDは、各ビットの値(「0」(Lレベル)或いは「1」(Hレベ
ル))に応じた各圧電素子PZのオン或いはオフを規定したデータである。詳しくは、本
実施形態のマザーシート4Mのパターン形成面4Maは、Y矢印方向に沿って1.2×1
、X矢印方向に沿って1.2×10にそれぞれ等分されることで、(1.2×10
)×(1.2×10)個の微小な四角形状の領域R(図6参照)に仮想的に区画形成
する。そして、ビットマップデータBDは、吐出ヘッド30(各ノズルN)が通過するマ
ザーシート4M上の対応する各領域Rにそれぞれ液滴Fbを吐出するか否かを規定したデ
ータである。
【0044】
つまり、前記吐出ヘッド対H1〜H15は、前記したように、全体として15×800
=1.2×10個のノズルNがX矢印方向に沿って配置されている。そして、ビットマ
ップデータBDは、マザーシート4Mが常温(26℃)であるとき、各ノズルNが、その
各形成領域Zに対向した位置に至ったタイミングで各圧電素子PZのオン或いはオフさせ
るためのデータであり、(1.2×10)×(1.2×10)のデータ数を有してい
る。
【0045】
制御装置50は、算出手段としてのCPU50A、ROM50B、RAM50C等を備
えている。ROM50Bには、各種駆動制御プログラム及びデータ補正プログラムが格納
されている。駆動制御プログラムは、ステージ23やキャリッジ29の往復動処理、ラバ
ーヒータHの加熱制御処理、カメラKの駆動制御処理及び圧電素子PZの駆動制御処理等
を実行させるためのプログラムである。RAM50Cには、ビットマップデータBD、及
び、予めマザーシート4Mが常温(26℃)であるときのマークMの画像データが格納さ
れる。
【0046】
データ補正プログラムは、マザーシート4Mの熱変形度合いに応じて、RAM50Cに
記憶されたビットマップデータBDをX矢印方向及びY矢印方向の成分にそれぞれ独立し
て補正するためのデータである。詳しくは、載置部24に載置されたマザーシート4Mは
、ラバーヒータHによって加熱されるが、このときの加熱温度に応じた大きさで膨張する
。データ補正プログラムは、この加熱によるマザーシート4Mの膨張度合いに基づいてビ
ットマップデータBDを、マザーシート4Mが加熱終了して常温(26℃)に戻った後の
、つまり、元のサイズに収縮したときのマザーシート4Mの各形成領域Z内に、予め内部
配線6が配置形成されるべき位置に液滴Fbが着弾されるように、X矢印方向の成分及び
Y矢印方向の成分毎にビットマップデータBDを補正するためのものである。
【0047】
本実施形態のデータ補正プログラムは、加熱によって常温(26℃)に比べてマザーシ
ート4Mが、ノズルNの1個分(10μm)ずれたところで、ビットマップデータBDに
1ドットだけ挿入するようにして補正するプログラムである。従って、例えば、Y矢印方
向に沿って領域Rが1個分(10μm)繰り上がってずれた場合では、ビットマップデー
タBDは、1列分余計に液滴Fbを吐出するビットマップデータBDに補正される。
【0048】
CPU50Aは、ROM50Bに格納された各種プログラムに従ってステージ23やキ
ャリッジ29の往復動処理、ラバーヒータHの加熱制御処理、カメラKの駆動制御処理及
び圧電素子PZの駆動制御処理等を実行する。
【0049】
また、CPU50Aは、カメラKからマザーシート4Mが高温(46℃)となったとき
のマークMの画像データを入力する。すると、CPU50Aは、予めRAM50Cに記憶
されたマザーシート4Mが常温(26℃)であるときのマークMの画像データを読み込む
。そして、CPU50Aは、マザーシート4Mが高温(46℃)となったときのマークM
の画像データと、常温(26℃)であるときのマークMの画像データとを比較することで
、マザーシート4Mの熱変形度合いを算出する。つまり、マザーシート4Mの膨張に伴っ
てマークMは、その形成位置がY矢印方向及びX矢印方向に沿って常温(26℃)である
ときのマークMに対してずれて配置される。CPU50Aは、そのY矢印方向及びX矢印
方向に沿ったずれ量から、加熱時のマザーシート4Mの熱変形度合いを算出する。そして
、CPU50Aは、その算出した熱変形度合いから前記データ補正プログラムに従ってビ
ットマップデータBDを補正する。
【0050】
また、制御装置50には、X軸モータ駆動回路52が接続されている。制御装置50は
、駆動制御信号をX軸モータ駆動回路52に出力する。X軸モータ駆動回路52は、制御
装置50からの駆動制御信号に応答して、キャリッジ29を移動させるためのX軸モータ
MXを正転又は逆転させる。
【0051】
さらに、制御装置50には、Y軸モータ駆動回路53が接続されている。制御装置50
は、駆動制御信号をY軸モータ駆動回路53に出力する。Y軸モータ駆動回路53は、制
御装置50からの駆動制御信号に応答して、ステージ23を移動させるためのY軸モータ
MYを正転又は逆転させる。
【0052】
さらにまた、制御装置50には、ヘッド駆動回路54が接続されている。制御装置50
は、所定の吐出周波数に同期させた吐出タイミング信号LTをヘッド駆動回路54に出力
する。制御装置50は、各圧電素子PZを駆動させるための駆動信号COMを吐出周波数
に同期させてヘッド駆動回路54に出力する。制御装置50は、補正されたビットマップ
データBDを利用して所定の周波数に同期した吐出制御信号SIを生成し、吐出制御信号
SIをヘッド駆動回路54にシリアル転送する。ヘッド駆動回路54は、制御装置50か
らの吐出制御信号SIを各圧電素子PZに対応させて順次シリアル/パラレル変換する。
また、ヘッド駆動回路54は、制御装置50からの吐出タイミング信号LTを受けるたび
に、シリアル/パラレル変換した吐出制御信号SIをラッチし、吐出制御信号SIによっ
て選択される圧電素子PZにそれぞれ駆動信号COMを供給する。
【0053】
制御装置50は、ラバーヒータ駆動回路55が接続されている。制御装置50は、駆動
制御信号をラバーヒータ駆動回路55に出力する。ラバーヒータ駆動回路55は、制御装
置50からの駆動制御信号に応答して、ラバーヒータHを駆動してステージ23に載置さ
れたマザーシート4Mを予め定めた温度になるように加熱制御する。本実施形態では、マ
ザーシート4Mの温度を、吐出ヘッド30から吐出される時の金属インクFの温度以上か
つ金属インクFに含まれる機能性材料の沸点未満(液体組成中の最も沸点の低い温度未満
)の温度となるように制御されており、例えば46℃である。
【0054】
制御装置50には、カメラ駆動回路56が接続されている。制御装置50は、カメラ駆
動回路56に駆動制御信号を出力する。詳しくは、制御装置50は、載置部24上に載置
されたマザーシート4Mが高温(46℃)になると、該マザーシート4M上に配置形成さ
れたマークMを撮影する旨の駆動信号を出力する。すると、カメラKは、このタイミング
で駆動することによってマークMを撮影し、その画像データを制御装置50へ出力する。
【0055】
次に、前記液滴吐出装置20を使用してマザーシート4Mに内部配線6を形成する方法
について図2及び図9に従って説明する。
まず、図2に示すように、パターン形成面4Maが上側(Z矢印方向側)を向くように
マザーシート4Mをステージ23に載置する。このとき、ステージ23は、マザーシート
4Mをキャリッジ29よりも反Y矢印方向側に配置する。また、このときのステージ23
は常温(26℃)となるように設定されている。また、このマザーシート4Mは、焼成前
のものであって、予めビアホール7及びビア配線8が形成されている。
【0056】
この状態から、ビットマップデータBDが入出力装置51から制御装置50に入力され
る。つまり、このときに入力されるビットマップデータBDは、マザーシート4Mが常温
時(26℃時)であると想定した場合における液滴Fbの吐出を規定するデータである。
そして、ビットマップデータBDはRAM50Cに格納される。
【0057】
その後、制御装置50は、ラバーヒータ駆動回路55を介してステージ23に設けたラ
バーヒータHを駆動してステージ23に載置されたマザーシート4Mが高温(46℃)に
なるように加熱制御する(加熱工程)。この結果、マザーシート4Mは、膨張し始める。
その後、暫くして、ラバーヒータHの加熱によってマザーシート4Mが高温(46℃)に
なると、マザーシート4Mは、常温(26℃)におけるグリーンシート4Gに比べて所定
量だけ熱変形(熱膨張)した状態となる。すると、この状態で、制御装置50は、カメラ
駆動回路56を介してカメラKを駆動してマザーシート4Mの左上隅に配置形成された前
記マークMの様子を撮影する。この結果、制御装置50には、高温(46℃)時のマーク
Mの画像データが入力される。
【0058】
すると、制御装置50のCPU50Aは、前記した加熱によるマザーシート4Mの変形
度合いを算出し(算出工程)する。続いて、制御装置50のCPU50Aは、ビットマッ
プデータBDを補正して、高温(46℃)時におけるマザーシート4Mの変形度合いを考
慮した補正したビットマップデータBDに補正する(補正工程)。
【0059】
図9は、46℃のときのマザーシート4MのマークMの様子であって、図9において鎖
線は、26℃のときのマザーシート4MのマークMの様子の形成位置を示すものである。
図9に示すように、46℃のときのマークMは、26℃のときのマークMに比べてX矢印
方向及びY矢印方向に沿ってずれて配置される。詳しくは、例えば、本実施形態では、X
矢印方向に沿って領域Rが2個分、また、Y矢印方向に沿って領域Rが2個分だけずれる

【0060】
データ補正プログラムは、前記したように、加熱によって常温(26℃)に比べてマザ
ーシート4Mが、ノズルNの1個分(10μm)ずれたところで、ビットマップデータB
Dに1ドットだけ挿入するようにして補正するプログラムである。従って、本実施形態で
は、Y矢印方向に沿って2回分余計に液滴Fbを吐出し、かつ、X矢印方向に沿って液滴
Fbを吐出するノズルNを1個ずつ増加させる旨のビットマップデータBDに補正する。
【0061】
次に、制御装置50は、X軸モータ駆動回路52を介してX軸モータMXを駆動して吐
出ヘッド30の走査(往動)を開始させる。
制御装置50は、吐出ヘッド30の走査(往動)を開始させると、補正されたビットマ
ップデータBDに基づいて吐出制御信号SIを生成し、駆動信号COMをヘッド駆動回路
54に出力する。そして、ビットマップデータBDによって指定された位置にキャリッジ
29が移動される。即ち、制御装置50は、補正されたビットマップデータBDに基づい
て内部配線6を形成するための領域Rに吐出ヘッド30が位置するたびに、選択されたノ
ズルNから液滴Fbを吐出させる。
【0062】
本実施形態では、加熱によって常温(26℃)に比べてマザーシート4MがX矢印方向
に沿って領域Rが2個分(2×10μm=20μm)、また、Y矢印方向に沿って領域R
が2個分(2×10μm=20μm)だけずれる。従って、補正されたビットマップデー
タBDは、X矢印方向及び反X矢印方向に沿って液滴Fbを吐出する吐出ノズルNを1個
ずつ増加させて液滴Fbを吐出するとともに、Y矢印方向及び反Y矢印方向に沿って液滴
Fbを2回分増加させて液滴Fbを吐出する。
【0063】
従って、高温(46℃)状態であるマザーシート4Mの各形成領域Z内には、予め内部
配線6が配置形成されるべき位置、つまり、その各ビアホール7を連なって繋がるように
液滴Fbからなるパターンが形成される。また、このとき、マザーシート4Mは高温(4
6℃)となっていることからマザーシート4M上に着弾した液滴Fbは加熱される。その
結果、液滴Fb中の溶媒成分が蒸発して直ちに金属粒子が凝集して内部配線6の配線パタ
ーンが形成される。
【0064】
以降、吐出ヘッド30を、X矢印方向及び反X矢印方向及に往復動させるとともに、ス
テージ23をY矢印方向に搬送させ、吐出ヘッド30の往復動中に液滴Fbを、高温(4
6℃)時におけるマザーシート4Mの変形度合いを考慮したビットマップデータBDに基
づくタイミングで吐出させる動作を繰り返す。これによって、マザーシート4M上には、
着弾した液滴Fbによる内部配線6の配線パターンが形成の配線パターンが形成される。
【0065】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、高温(46℃)時におけるマザーシート4Mの変形度合い
を考慮してビットマップデータBDを補正した。そして、その補正されたビットマップデ
ータBDに基づいて内部配線6の配線パターンを形成するようにした。従って、マザーシ
ート4Mがパターン形成時に加熱された場合であっても加熱終了して常温(26℃)に戻
った後の、つまり、膨張した後に元のサイズに収縮したときのマザーシート4Mの各形成
領域Z内に、予め内部配線6が配置形成されるべき位置に液滴Fbが着弾される。この結
果、所望の特性を有したグリーンシート4Gの形成が可能となる。
【0066】
また、内部配線6の配線パターンを目的の位置に形成することができることから、グリ
ーンシート4Gの歩留まりを向上させることができる。
(2)本実施形態によれば、焼成前のマザーシート4Mの左上隅にマークMを配置形成
した。そして、マザーシート4Mを高温(46℃)に加熱されたときのマークMを、キャ
リッジ29に設けられたカメラKにて撮影するようにした。そして、制御装置50のCP
U50Aは、高温(46℃)に加熱されたときのマークMの画像データと、常温(26℃
)でのマークMの画像データとを比較することによってマザーシート4Mの変形度合いを
算出し、その変形度合いに基づいてビットマップデータBDを補正するようにした。
【0067】
従って、マザーシート4M毎にその変形率にばらつきがあったとしても、それぞれの変
形度合いに応じてビットマップデータBDが補正される。この結果、変形率の異なった様
々な種類のマザーシート4Mに対しても内部配線6の配線パターンを目的の位置に形成す
ることができる。
【0068】
(3)本実施形態によれば、ビットマップデータBDを補正する補正プログラムを、加
熱によって常温(26℃)に比べてマザーシート4Mが、ノズルNの1個分(10μm)
ずれたところで、ビットマップデータBDに1ドットだけ挿入するプログラムとした。内
部配線6の配線パターンが途中で断線したり、内部配線6の線幅が変化したりすることは
ない。
【0069】
(4)本実施形態によれば、ステージ23の載置部24にラバーヒータHを設けた。そ
して、ラバーヒータHを駆動してステージ23に載置されたグリーンシート4Gを、吐出
ヘッド30から吐出される時の金属インクFの温度以上かつ金属インクFに含まれる機能
性材料の沸点未満(液体組成中の最も沸点の低い温度未満)の温度となるように加熱制御
するようにした。従って、グリーンシート4G上に着弾した液滴Fbは加熱され、液滴F
b中の溶媒成分が蒸発して直ちに金属粒子が凝集する。この結果、内部配線6を速やかに
形成することができる。
【0070】
(5)本実施形態によれば、マザーシート4Mの縦方向(Y矢印方向)、横方向(X矢
印方向)毎にそれぞれ独立して膨張度合いを算出するようにした。従って、マザーシート
4Mが、その縦方向と横方向とで変形度合いが異なっても、内部配線6のパターンを目的
の位置に精度良く形成することが可能となる。
【0071】
尚、この発明は、以下のように変更して具体化することもできる。
・上記実施形態では、マザーシート4MにマークMを形成し、そのマークMのずれ量から
マザーシート4Mの膨張度合いを算出するようにしたが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、マザーシート4Mに予め形成された複数のビアホール7の中から特定のビアホ
ール7を選択しその形成位置の偏倚量からグリーンシート4Gの変形度合いを算出するよ
うにしてもよい。このようにすることによって、変形度合いを算出するための特別なマー
ク(目印)を形成する必要が無いことから、簡単にグリーンシート4Gの変形度合いを算
出することができる。
・上記実施形態では、マークMをマザーシート4Mの左上隅に配置形成したが、本発明は
これに限定されるものではなく、マザーシート4M上であって、形成領域Z以外の領域で
あれば、どこに配置形成してもよい。
・上記実施形態では、ビットマップデータBDを補正するようにしたが、本発明はこれに
限定されない。例えば、液滴吐出装置20は、その基台21の案内溝22に沿ってステー
ジ23のY矢印方向及び反Y矢印方向に対する位置を測定するための図示しないエンコー
ダが設けられているが、このエンコーダからの位置信号に基づいて制御装置50が、Y軸
モータ駆動回路53に出力する駆動制御信号を調整(補正)するようにしてもよい。この
ようにすることによって、液滴Fbのマザーシート4Mの縦方向に対する着弾位置が補正
される。
・上記実施形態では、加熱手段としてラバーヒータHを使用したが、本発明はこれに限定
されない。例えば、誘導加熱であってもよい。この場合、誘導加熱を構成する高周波発振
用コイルをステージ23に埋設するようにしてもよい。このようにすることでも上記実施
形態と同様な効果を得ることができる。
・上記実施形態では、内部配線6を構成する機能性材料として銀(Ag)の微粒子に具体
化したが、本発明はこれに限定されない。銀(Ag)以外に、例えば、金(Au)、白金
(Pt)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、
ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、
コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(T
a)、タングステン(W)、インジウム(In)のいずれか1つが利用されていてもよい
し、または、いずれか2以上が組み合わされた合金が利用されていてもよい。但し、銀で
あれば比較的低温で還元されるため、扱いが容易であり、この点で、液滴吐出装置を利用
する場合には、銀(Ag)を含有する機能液を利用することが好ましい。
【0072】
また、金属に代えて、有機化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機化合物は、加熱
による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機化合物としては
、クロロトリエチルホスフィン金、クロロトリメチルホスフィン金、クロロトリフェニル
フォスフィン金、銀2,4−ペンタンヂオナン錯体、銅ヘキサフルオロペンタンジオナシ
クロオクタジエン錯体、等がある。
【0073】
さらに、機能液に含まれる金属の形態は、ナノ粒子に代表される粒子の形態でもよいし
、有機化合物のような化合物の形態であってもよい。
さらにまた、機能液は。金属に代えて、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレ
ンビニレン、ポリ(3,4エチレンジオキシトオフェン)(PEDOT)等の導電性高分
子の可溶性材料を含んでいてもよい。
・上記実施形態では、基板としてグリーンシート4Gに具体化したが本発明の基板はこれ
に限定されるものではなく、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、また
はシリコン基板などが利用されてよい。このようにした場合であっても、上記実施形態で
は説明した効果と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】回路モジュールの側断面図。
【図2】液滴吐出装置の全体斜視図。
【図3】液滴吐出ヘッドの底面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの構成を説明するための図。
【図5】液滴吐出ヘッドの要部側断面図。
【図6】パターンが形成された後のマザーシート4Mの上面図。
【図7】パターンが形成される前のマザーシート4Mの上面図。
【図8】液滴吐出装置の電気的構成を説明するためのブロック図。
【図9】本発明のパターン形成方法の作用を説明するための図。
【符号の説明】
【0075】
BD…データとしてのビットマップデータ、F…機能液及び液状体としての金属インク
、Fb…液滴、H…加熱手段としてのラバーヒータ、K…メラ、4G…多孔質性基板、低
温焼成用シート、基板及び回路基板としてのグリーンシート、5…回路素子、7…ビアホ
ール、7a…ビアホール、20…パターン形成装置としての液滴吐出装置、50A…算出
手段としてのCPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め記憶されたデータに基づいて機能材料を含む機能液の液滴を基板に向かって順次吐出
して、前記基板の表面にパターンを形成するパターン形成方法において、
前記基板を、その表面温度が前記液滴の吐出時の前記機能液の温度以上であってかつ前
記機能液を構成する組成物の沸点以下の温度に加熱する加熱工程と、
加熱する前の前記基板と、加熱したときの前記基板との比較結果から前記加熱による前
記基板の変形度合いを算出する算出工程と、
前記変形度合いに基づいて前記データを補正する補正工程と
を備えたことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン形成方法において、
前記算出工程は、前記基板上に予めマークを配置形成し、
前記基板を前記加熱する前の前記マークと、前記基板を加熱したときの前記マークとの
ずれ量に基づいて前記基板の変形度合いを算出するようにしたことを特徴とするパターン
形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン形成方法において、
前記基板は、多孔質性基板であってセラミックス粒子と樹脂とから構成される低温焼成
用シートであり、
前記機能液は、前記機能材料として金属材料を分散させた液状体であることを特徴とす
るパターン形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のパターン形成方法において、
前記基板は、回路素子が実装されるとともにその実装された前記回路素子に対して電気
的に接続された配線が形成される回路基板であることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のパターン形成方法において、
前記データはビットマップデータであることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載のパターン形成方法において、
前記算出工程は、前記加熱による前記基板の変形度合いが前記ビットマップデータの1
つ分変化した場合、前記ビットマップデータを補正するようにしたことを特徴とするパタ
ーン形成方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のパターン形成方法において、
前記補正は、前記基板の縦方向及び前記基板の横方向に沿って独立して行われるように
したことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
予め記憶されたデータに基づいて機能材料を含む機能液の液滴を基板に向かって順次吐出
して、前記基板の表面にパターンを形成するパターン形成装置において、
前記基板を、その表面温度が前記液滴の吐出時の前記機能液の温度以上であってかつ前
記機能液を構成する組成物の沸点以下の温度に加熱する加熱手段と、
加熱する前の前記基板と、加熱したときの前記基板との比較結果から前記加熱による前
記基板の変形度合いを算出する算出手段と、
前記変形度合いに基づいて前記データを補正する補正手段と、
前記補正されたデータに従って前記液滴を吐出する吐出手段と
を備えたことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパターン形成装置において、
前記基板と対向する位置にカメラを備え、
前記カメラは、加熱したときの前記基板上に配置形成されたマークを撮影し、
前記算出手段は、前記カメラにて撮影された前記マークの、加熱前の前記基板上に配置
形成されたマークの配置位置に対するずれ量に基づいて前記基板の変形度合いを測定する
ことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一つに記載のパターン形成装置において、
前記機能液は、前記基板上に実装される回路素子に対して電気的に接続された配線を構
成する金属材料が分散された液状体であることを特徴とするパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−135600(P2008−135600A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321259(P2006−321259)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】