パターン測定方法およびパターン測定装置
【課題】薄膜化されたレジストを有する測定パターンの構造をスキャトロメトリ法で測定する場合、構造を十分な測定感度で測定できない部位が生じ、測定パターンの構造を精度良く測定できないことがある。
【解決手段】光源201は、光ビームを測定パターン301に照射するスペクトル測定部204は、光ビームの測定パターン301による反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出する。制御部205は、実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターンの構造を測定する。
【解決手段】光源201は、光ビームを測定パターン301に照射するスペクトル測定部204は、光ビームの測定パターン301による反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出する。制御部205は、実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターンの構造を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャトロメトリ(光波散乱測定)法を用いて、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法およびパターン測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスでは、ゲート配線などの微細なパターンを加工するためのマスク材料としてArF(フッ化アルゴン)レジストが用いられることが多い。しかしながら、ArFレジストには、電子ビームに対するダメージ耐性が低いという問題がある。このため、半導体デバイスの製造工程において、レジストリパターンを含むパターンの構造(寸法や形状)を測定するために、CDSEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)のような2次電子放出型の測定装置が使用されると、ArFレジストにおける電子ビームの入射箇所が縮小し、測定誤差などが生じることがあった。
【0003】
これに対して、レジストに電子ダメージを与えない、光学式のパターン測定方法であるスキャトロメトリ法が注目されている(特許文献1および2参照)。
【0004】
スキャトロメトリ法では、一般的に、測定対象のパターンである測定パターンに対して光ビームが照射され、測定パターンからの反射回折光のスペクトルである実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングが行われることで、測定パターンの構造が測定される。ここで、波形フィッティングとは、測定モデルの可変パラメータを変化させながら、実スペクトルと理論スペクトルとを比較し、実スペクトルと理論スペクトルとが最も精度良く合致するときの可変パラメータを数値計算で求めることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-513509号公報
【特許文献2】特開2006-226994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体デバイスにおいてノードの小型化が進んでおり、それに伴い、レジストマスクの微細化が進んでいる。このとき、リソグラフィーの解像度限界などのために、レジストの薄膜化が必要となる場合がある。
【0007】
薄膜化されたレジストを有する測定パターンの構造をスキャトロメトリ法で測定する場合、構造を十分な測定感度で測定できない部位が生じ、測定パターンの構造を精度良く測定できないことがある。
【0008】
なお、測定パターンの構造の測定精度を向上させるための方法には、理論スペクトルのサンプリング点数である波長分割数を多くする方法がある。しかしながら、波長分割数を多くすると、波形フィッティングの際に構築される、ライブラリと呼ばれる理論スペクトルのデータベースのサイズが計算処理可能な上限値を超えて、測定パターンの構造を計算することができないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるパターン測定方法は、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法であって、光ビームを前記測定パターンに照射し、前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出し、前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する。
【0010】
本発明によるパターン測定装置は、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定装置であって、光ビームを前記測定パターンに照射する光源と、前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部と、前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レジストの塗布、露光および現像後のワード線の構造例を示す図である。
【図2】下層レジスト層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図3】P-SiN層およびP-SiO層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図4】プラズマアッシング後のワード線の構造例を示す図である。
【図5】W/WN/WSiのドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図6】保護膜の成膜後のワード線の構造例を示す図である。
【図7】DOPOS層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図8】パターン測定装置の構成例を示す図である。
【図9】測定モデルの一例を示す図である。
【図10】全波長領域を使用した波形フィッティングの一例を説明するための図である。
【図11】スキャトロメトリ法によるレジスト層内の測定部位の一例を示す図である。
【図12】全波長領域を使用し、かつ、波長分割数を増加させた波形フィッティングの一例を説明するための図である。
【図13】短波長領域を使用し、かつ、波長分割数を増加させた波形フィッティングの例を示す図である。
【図14】波形フィッティングを2回行うスキャトロメトリ法の一例を説明するための図である。
【図15】波形フィッティングを2回行うスキャトロメトリ法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態として、基板上に形成された測定パターンの構造をスキャトロメトリ法を用いて測定するパターン測定方法について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のパターン測定方法にて構造が測定される測定パターンの縦構造を示す図である。
【0016】
図1に示す測定パターンは、ハードマスクをエッチング加工するためのバイレイヤ(Bi-Layer)レジストの塗布、露光および現像が行われた後のワード線である。図1では、Si基板1の上に、Si0層2、DOPOS(doped polycrystalline silicon)層3、W/WN/WSi層4、P-SiN層5、P-SiO層6、下層レジスト層7、レジスト(PR:Photo Resist)層8が下から順に積層されている。なお、W/WN/WSi層4は、W層、WN層およびWSi層の積層構造体である。また、レジスト層8は、ArFで形成された薄膜である。
【0017】
ここで、ワード線は、DOPOS層3およびW/WN/WSi層4で形成される。しかしながら、以下では、Si0層2、DOPOS層3およびW/WN/WSi層4に加えて、P-SiN層5、P-SiO層6、下層レジスト層7およびレジスト層8を含めたものをワード線と呼ぶ。なお、図1に示すワード線は、PolyMetal-Gate電極として用いられるものである。
【0018】
各層の寸法(膜厚)は、Si0層2「6nm」、DOPOS層3「80nm」、W/WN/WSi層4「70nm」、P-SiN層5「140nm」、P-SiO層6「80nm」、下層レジスト層7「300nm」、レジスト層8「80nm」としている。また、W/WN/WSi層4では、W層「55nm」、WN層「10nm」、WSi層「5nm」としている。
【0019】
以下、図1〜図7を参照しながらワード線の形成工程を説明する。
【0020】
先ず、図1で示したワード線に対して、図2に示すように、レジスト層8をマスクとして下層レジスト層7をドライエッチング法により加工する。続いて、図3に示すように、下層レジスト層7をマスクとしてP-SiN層5およびP-SiO層6をドライエッチング法により加工する。さらに、図4に示すように、プラズマアッシングにより下層レジスト層7を剥離させて除去する。その後、図5に示すように、P-SiN層5およびP-SiO層6をマスクとしてW/WN/WSi層4をドライエッチング法により加工する。このとき、DOPOS層3の表層を10nm程度エッチングするものとする。次に、図6に示すように、ワード線の表面にSiNで形成された保護膜9を成膜する。なお、保護膜9の厚さは14nmとする。そして図7に示すように、DOPOS層3をドライエッチング法により加工する。
【0021】
上記のワード線の形成工程において、図1に示したワード線の構造測定は、ワード線の最終的な寸法を制御する上で重要である。この構造測定に2次電子放出型の測定装置が使用されると、電子ビームの入射箇所にあるレジスト層8が縮小し、測定誤差やワード線の欠陥が生じる可能性がある。そこで、以下では、レジスト層8に電子ダメージを与えない光学式のパターン測定方法であるスキャトロメトリ法を検討する。
【0022】
図8は、本スキャトロメトリ法を用いて測定パターンの構造を測定するパターン測定装置の構成例を示す図である。図8において、パターン測定装置は、光源201と、偏光子202と、検光子203と、スペクトル測定部204と、制御部205とを有する。また、スペクトル測定部204は、分光器204Aおよびディテクターアレイ204Bを有する。
【0023】
なお、パターン測定装置の測定対象である測定パターン301は、スクライブ上の下地各層にパターンのない測定専用パターン(50um口)であるとしている。しかしながら、測定パターン301は、このような測定専用のパターンに限らない。
【0024】
光源201は、光ビームを、偏光子202を介して測定パターン301に照射する。なお、光ビームの全波長領域は、予め定められている。例えば、光源201としてXeランプを使用することができ、この場合、光ビームの全波長領域は250〜750nm程度になる。また、測定パターン上の光ビームのスポット302は、例えば、30umである。
【0025】
測定パターン301に照射された光ビームの測定パターン301による反射屈折光は、検光子203を介して分光器204Aに入射される。
【0026】
分光器204Aは、その入射された反射屈折光を分光してディテクターアレイ204Bに出射する。ディテクターアレイ204Bは、分光器204Aからの各分光光の光強度を検出することで、反射屈折光のスペクトルである実スペクトルを検出する。これにより、分光器204Aおよびディテクターアレイ204Bを有するスペクトル測定部204は、光源201から照射された光ビームの測定パターン301による反射屈折光のスペクトルである実スペクトルを検出することになる。なお、ディテクターアレイ204Bは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどで構成することができる。
【0027】
制御部205は、光源201に光ビームを測定パターン301に照射させる。そして、制御部205は、スペクトル測定部204にて検出された実スペクトルから測定パターンの構造を測定する。
【0028】
以下、制御部205による測定パターンの測定方法を説明する前に、本発明の理解を容易にするために従来のスキャトロメトリ法について説明する。
【0029】
従来のスキャトロメトリ法では、上述したように、実スペクトルと、予め用意された測定モデルから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングが行われることで、測定パターンの構造が数値計算される。ここで、波形フィッティングとは、測定モデルの可変パラメータを変化させながら、実スペクトルと理論スペクトルとを比較し、実スペクトルと理論スペクトルとが最も精度良く合致するときの可変パラメータを数値計算で求めることである。
【0030】
測定パターンが図1に示したワード線の場合、測定モデルとしては、例えば、図8に示す測定モデルが使用される。図9において、測定モデルでは、Si基板101、Si0層102、DOPOS層103、W/WN/WSi層104、P-SiN層105、P-SiO層106、下層レジスト層107、レジスト層108が下から順に積層されている。
【0031】
図9に示す測定モデルでは、図中の矢印で示された、P-SiN層105、P-SiO層106、下層レジスト層107およびレジスト層108の膜厚と、レジスト層108の上下方向における中央部分の幅と、レジスト層108の側壁角度とが可変パラメータとなる。
【0032】
従来のスキャトロメトリ法では、図1に示すワード線からの反射回折光の実スペクトルS1と、図9で示した測定モデルから算出される理論スペクトルS2との波形フィッティングが、実スペクトルの全波長領域について1回だけ行われ、図10で示すように理論スペクトル(可変パラメータ)が数値計算で算出される。
【0033】
なお、図10において、横軸は波長を示し、縦軸は光強度を示す。実線は実スペクトルを示す。また、丸印は理論スペクトルのサンプリング点である波長分割数を示し、その丸印の数は、理論スペクトルのサンプリング点数となる。なお、実スペクトルは、ワード線に照射される光ビームの偏向方向に応じて異なり、図10では、互いに異なる2つの偏向方向αおよびβについての実スペクトルS1および理論スペクトルS2が示されている。
【0034】
上記のスキャトロメトリ法では、ワード線の任意の部位が同程度の測定感度で測定できるわけではなく、レジスト層8が薄膜であることに起因して、測定感度の高い部位と低い部位とが生じる。例えば、図11に示すように、レジスト層8の上下方向における中央部(Middle部)の幅Lに対する測定感度は高いが、レジスト層8の側壁角度mに対する測定感度は低い。このため、理論スペクトルの波長分割数が、レジスト層8が薄膜でないときと同程度の場合、側壁角度mの誤差が大きくなり、レジスト層8の下底部(Bottom部)の幅nや上底部(Top部)の幅oを精度良く測定することができない。
【0035】
側壁角度mに対する測定感度を向上させるための方法として、図12に示すように、実スペクトルの全波長領域において、理論スペクトルの波長分割数を増加させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、レジスト層8の下地層(Si基板1〜下層レジスト層7)が積層構造であるために、測定モデルの可変パラメータが多く、波形フィッティングの際に構築される、ライブラリと呼ばれる理論スペクトルのデータベースのサイズが計算処理可能な上限値を超えて、測定パターンの構造を計算することができないことがある。このため、単純に波長分割数を多くすることができない。
【0036】
そこで、図13に示すように、光ビームの全波長領域のうち、レジスト層8に対して感度の有する波長領域(例えば、短波長領域250nm〜500nm)であるレジスト感度波長領域以外の波長領域(例えば、長波長領域500nm〜750nm)をカットし、そのレジスト感度波長領域内の波長分割数を増加させる方法が考えられる。
【0037】
上記の方法では、ライブラリサイズの増大を抑えることができる。しかしながら、この方法では、下地層の各層(以下、下地各層と称する)の膜厚に対して感度を有する波長領域(主に長波長領域)がカットされるため、下地各層の膜厚の測定精度が低下する。このため、下地各層の膜厚の測定エラー成分がレジストリパターンの測定値に影響を与え、レジストパターンの測定精度の低下を招く要因となる。
【0038】
以上のことを鑑みて、本実施形態では、波形フィッティングを複数ステップ行うことで測定パターンの構造を計算するスキャトロメトリ法およびパターン測定装置を提案する。
【0039】
本パターン測定装置では、制御部205は、ディテクターアレイ204Bにて検出された実スペクトルと、測定モデルから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターン301の構造を示す可変パラメータを測定する。このとき、制御部205は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う。
【0040】
また、各波形フィッティングにおいて、制御部205は、測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する。このため、各波形フィッティングにおける波長領域は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。より具体的には、各波形フィッティングにおける波長領域は、その波形フィッティングにて測定される部位の構造に対して感度のある波長領域を含むように定められる。
【0041】
さらに、各波形フィッティングで使用される理論スペクトルの波長分割数は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。より具体的には、波形フィッティングにて測定される部位の構造に対する測定感度が低いほど、その波形フィッティングにおける波長分割数を多くする。
【0042】
以下では、具体例として、波形フィッティングが2回連続して行われる場合について説明する。
【0043】
図14に示すように、第1ステップでは、制御部205は、実スペクトルの全波長領域について波形フィッティングを行うことで、下地各層の膜厚を算出する。そして第2ステップでは、制御部205は、実スペクトルの全波長領域のうち、レジスト層8の構造に対して測定感度の高いレジスト感度波長領域(短波長領域250nm〜500nm)以外の波長領域(長波長領域500nm〜750nm)をカットし、理論スペクトルにおけるレジスト感度波長領域内の波長分割数を増加させる。このとき、第2ステップでは、測定モデルの下地各層の膜厚に対応する可変パラメータが、第1ステップで算出された下地各層の膜厚値に固定され、その後、波形フッティングが行われる。これにより、可変パラメータを全て算出することができるので、ワード線の構造を測定することができる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【0045】
このように本実施形態によるパターン測定装置は、光ビームを測定パターン(301)に照射する光源(201)と、光ビームの測定パターン(301)による反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部(204)と、実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターンの構造を測定する制御部(205)とを有して構成される。
【0046】
また、制御部(205)は、各波形フィッティングにおいて、測定パターン(301)内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する。
【0047】
また、各波形フィッティングを行う波長領域は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。
【0048】
また、各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。
【0049】
また、制御部(205)は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う。
【0050】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】
本実施形態では、波形フィッティングが2回連続して行われる場合について、各波形フィッティングにおける波長領域の別の例を説明する。
【0052】
図15に示すように、第1ステップでは、制御部205は、下地各層の膜厚に対して測定感度の高い波長領域(具体的には、長波長領域500nm〜750nm)のみを使用して波形フィッティングを行い、下地各層の膜厚を求める。そして、第2ステップでは、制御部205は、第1の実施形態と同様に、レジスト感度波長領域のみを使用して波形フィッティングを行う、レジスト層8の構造(膜厚、中央部の幅、側壁角度)を求める。
【0053】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【0054】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1、101 Si基板
2、102 SiO層
3、103 DOPOS層
4、104 W/WN/WSi層
5、105 P−SiN層
6、106 P−SiO層
7、107 下層レジスト層
8、108 レジスト層
201 光源
202 偏光子
203 検光子
204 スペクトル測定部
204A 分光器
204B ディテクターアレイ
205 制御部
301 測定パターン
302 光ビームのスポット
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャトロメトリ(光波散乱測定)法を用いて、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法およびパターン測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスでは、ゲート配線などの微細なパターンを加工するためのマスク材料としてArF(フッ化アルゴン)レジストが用いられることが多い。しかしながら、ArFレジストには、電子ビームに対するダメージ耐性が低いという問題がある。このため、半導体デバイスの製造工程において、レジストリパターンを含むパターンの構造(寸法や形状)を測定するために、CDSEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)のような2次電子放出型の測定装置が使用されると、ArFレジストにおける電子ビームの入射箇所が縮小し、測定誤差などが生じることがあった。
【0003】
これに対して、レジストに電子ダメージを与えない、光学式のパターン測定方法であるスキャトロメトリ法が注目されている(特許文献1および2参照)。
【0004】
スキャトロメトリ法では、一般的に、測定対象のパターンである測定パターンに対して光ビームが照射され、測定パターンからの反射回折光のスペクトルである実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングが行われることで、測定パターンの構造が測定される。ここで、波形フィッティングとは、測定モデルの可変パラメータを変化させながら、実スペクトルと理論スペクトルとを比較し、実スペクトルと理論スペクトルとが最も精度良く合致するときの可変パラメータを数値計算で求めることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-513509号公報
【特許文献2】特開2006-226994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体デバイスにおいてノードの小型化が進んでおり、それに伴い、レジストマスクの微細化が進んでいる。このとき、リソグラフィーの解像度限界などのために、レジストの薄膜化が必要となる場合がある。
【0007】
薄膜化されたレジストを有する測定パターンの構造をスキャトロメトリ法で測定する場合、構造を十分な測定感度で測定できない部位が生じ、測定パターンの構造を精度良く測定できないことがある。
【0008】
なお、測定パターンの構造の測定精度を向上させるための方法には、理論スペクトルのサンプリング点数である波長分割数を多くする方法がある。しかしながら、波長分割数を多くすると、波形フィッティングの際に構築される、ライブラリと呼ばれる理論スペクトルのデータベースのサイズが計算処理可能な上限値を超えて、測定パターンの構造を計算することができないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるパターン測定方法は、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法であって、光ビームを前記測定パターンに照射し、前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出し、前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する。
【0010】
本発明によるパターン測定装置は、基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定装置であって、光ビームを前記測定パターンに照射する光源と、前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部と、前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レジストの塗布、露光および現像後のワード線の構造例を示す図である。
【図2】下層レジスト層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図3】P-SiN層およびP-SiO層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図4】プラズマアッシング後のワード線の構造例を示す図である。
【図5】W/WN/WSiのドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図6】保護膜の成膜後のワード線の構造例を示す図である。
【図7】DOPOS層のドライエッチ後のワード線の構造例を示す図である。
【図8】パターン測定装置の構成例を示す図である。
【図9】測定モデルの一例を示す図である。
【図10】全波長領域を使用した波形フィッティングの一例を説明するための図である。
【図11】スキャトロメトリ法によるレジスト層内の測定部位の一例を示す図である。
【図12】全波長領域を使用し、かつ、波長分割数を増加させた波形フィッティングの一例を説明するための図である。
【図13】短波長領域を使用し、かつ、波長分割数を増加させた波形フィッティングの例を示す図である。
【図14】波形フィッティングを2回行うスキャトロメトリ法の一例を説明するための図である。
【図15】波形フィッティングを2回行うスキャトロメトリ法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態として、基板上に形成された測定パターンの構造をスキャトロメトリ法を用いて測定するパターン測定方法について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のパターン測定方法にて構造が測定される測定パターンの縦構造を示す図である。
【0016】
図1に示す測定パターンは、ハードマスクをエッチング加工するためのバイレイヤ(Bi-Layer)レジストの塗布、露光および現像が行われた後のワード線である。図1では、Si基板1の上に、Si0層2、DOPOS(doped polycrystalline silicon)層3、W/WN/WSi層4、P-SiN層5、P-SiO層6、下層レジスト層7、レジスト(PR:Photo Resist)層8が下から順に積層されている。なお、W/WN/WSi層4は、W層、WN層およびWSi層の積層構造体である。また、レジスト層8は、ArFで形成された薄膜である。
【0017】
ここで、ワード線は、DOPOS層3およびW/WN/WSi層4で形成される。しかしながら、以下では、Si0層2、DOPOS層3およびW/WN/WSi層4に加えて、P-SiN層5、P-SiO層6、下層レジスト層7およびレジスト層8を含めたものをワード線と呼ぶ。なお、図1に示すワード線は、PolyMetal-Gate電極として用いられるものである。
【0018】
各層の寸法(膜厚)は、Si0層2「6nm」、DOPOS層3「80nm」、W/WN/WSi層4「70nm」、P-SiN層5「140nm」、P-SiO層6「80nm」、下層レジスト層7「300nm」、レジスト層8「80nm」としている。また、W/WN/WSi層4では、W層「55nm」、WN層「10nm」、WSi層「5nm」としている。
【0019】
以下、図1〜図7を参照しながらワード線の形成工程を説明する。
【0020】
先ず、図1で示したワード線に対して、図2に示すように、レジスト層8をマスクとして下層レジスト層7をドライエッチング法により加工する。続いて、図3に示すように、下層レジスト層7をマスクとしてP-SiN層5およびP-SiO層6をドライエッチング法により加工する。さらに、図4に示すように、プラズマアッシングにより下層レジスト層7を剥離させて除去する。その後、図5に示すように、P-SiN層5およびP-SiO層6をマスクとしてW/WN/WSi層4をドライエッチング法により加工する。このとき、DOPOS層3の表層を10nm程度エッチングするものとする。次に、図6に示すように、ワード線の表面にSiNで形成された保護膜9を成膜する。なお、保護膜9の厚さは14nmとする。そして図7に示すように、DOPOS層3をドライエッチング法により加工する。
【0021】
上記のワード線の形成工程において、図1に示したワード線の構造測定は、ワード線の最終的な寸法を制御する上で重要である。この構造測定に2次電子放出型の測定装置が使用されると、電子ビームの入射箇所にあるレジスト層8が縮小し、測定誤差やワード線の欠陥が生じる可能性がある。そこで、以下では、レジスト層8に電子ダメージを与えない光学式のパターン測定方法であるスキャトロメトリ法を検討する。
【0022】
図8は、本スキャトロメトリ法を用いて測定パターンの構造を測定するパターン測定装置の構成例を示す図である。図8において、パターン測定装置は、光源201と、偏光子202と、検光子203と、スペクトル測定部204と、制御部205とを有する。また、スペクトル測定部204は、分光器204Aおよびディテクターアレイ204Bを有する。
【0023】
なお、パターン測定装置の測定対象である測定パターン301は、スクライブ上の下地各層にパターンのない測定専用パターン(50um口)であるとしている。しかしながら、測定パターン301は、このような測定専用のパターンに限らない。
【0024】
光源201は、光ビームを、偏光子202を介して測定パターン301に照射する。なお、光ビームの全波長領域は、予め定められている。例えば、光源201としてXeランプを使用することができ、この場合、光ビームの全波長領域は250〜750nm程度になる。また、測定パターン上の光ビームのスポット302は、例えば、30umである。
【0025】
測定パターン301に照射された光ビームの測定パターン301による反射屈折光は、検光子203を介して分光器204Aに入射される。
【0026】
分光器204Aは、その入射された反射屈折光を分光してディテクターアレイ204Bに出射する。ディテクターアレイ204Bは、分光器204Aからの各分光光の光強度を検出することで、反射屈折光のスペクトルである実スペクトルを検出する。これにより、分光器204Aおよびディテクターアレイ204Bを有するスペクトル測定部204は、光源201から照射された光ビームの測定パターン301による反射屈折光のスペクトルである実スペクトルを検出することになる。なお、ディテクターアレイ204Bは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどで構成することができる。
【0027】
制御部205は、光源201に光ビームを測定パターン301に照射させる。そして、制御部205は、スペクトル測定部204にて検出された実スペクトルから測定パターンの構造を測定する。
【0028】
以下、制御部205による測定パターンの測定方法を説明する前に、本発明の理解を容易にするために従来のスキャトロメトリ法について説明する。
【0029】
従来のスキャトロメトリ法では、上述したように、実スペクトルと、予め用意された測定モデルから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングが行われることで、測定パターンの構造が数値計算される。ここで、波形フィッティングとは、測定モデルの可変パラメータを変化させながら、実スペクトルと理論スペクトルとを比較し、実スペクトルと理論スペクトルとが最も精度良く合致するときの可変パラメータを数値計算で求めることである。
【0030】
測定パターンが図1に示したワード線の場合、測定モデルとしては、例えば、図8に示す測定モデルが使用される。図9において、測定モデルでは、Si基板101、Si0層102、DOPOS層103、W/WN/WSi層104、P-SiN層105、P-SiO層106、下層レジスト層107、レジスト層108が下から順に積層されている。
【0031】
図9に示す測定モデルでは、図中の矢印で示された、P-SiN層105、P-SiO層106、下層レジスト層107およびレジスト層108の膜厚と、レジスト層108の上下方向における中央部分の幅と、レジスト層108の側壁角度とが可変パラメータとなる。
【0032】
従来のスキャトロメトリ法では、図1に示すワード線からの反射回折光の実スペクトルS1と、図9で示した測定モデルから算出される理論スペクトルS2との波形フィッティングが、実スペクトルの全波長領域について1回だけ行われ、図10で示すように理論スペクトル(可変パラメータ)が数値計算で算出される。
【0033】
なお、図10において、横軸は波長を示し、縦軸は光強度を示す。実線は実スペクトルを示す。また、丸印は理論スペクトルのサンプリング点である波長分割数を示し、その丸印の数は、理論スペクトルのサンプリング点数となる。なお、実スペクトルは、ワード線に照射される光ビームの偏向方向に応じて異なり、図10では、互いに異なる2つの偏向方向αおよびβについての実スペクトルS1および理論スペクトルS2が示されている。
【0034】
上記のスキャトロメトリ法では、ワード線の任意の部位が同程度の測定感度で測定できるわけではなく、レジスト層8が薄膜であることに起因して、測定感度の高い部位と低い部位とが生じる。例えば、図11に示すように、レジスト層8の上下方向における中央部(Middle部)の幅Lに対する測定感度は高いが、レジスト層8の側壁角度mに対する測定感度は低い。このため、理論スペクトルの波長分割数が、レジスト層8が薄膜でないときと同程度の場合、側壁角度mの誤差が大きくなり、レジスト層8の下底部(Bottom部)の幅nや上底部(Top部)の幅oを精度良く測定することができない。
【0035】
側壁角度mに対する測定感度を向上させるための方法として、図12に示すように、実スペクトルの全波長領域において、理論スペクトルの波長分割数を増加させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、レジスト層8の下地層(Si基板1〜下層レジスト層7)が積層構造であるために、測定モデルの可変パラメータが多く、波形フィッティングの際に構築される、ライブラリと呼ばれる理論スペクトルのデータベースのサイズが計算処理可能な上限値を超えて、測定パターンの構造を計算することができないことがある。このため、単純に波長分割数を多くすることができない。
【0036】
そこで、図13に示すように、光ビームの全波長領域のうち、レジスト層8に対して感度の有する波長領域(例えば、短波長領域250nm〜500nm)であるレジスト感度波長領域以外の波長領域(例えば、長波長領域500nm〜750nm)をカットし、そのレジスト感度波長領域内の波長分割数を増加させる方法が考えられる。
【0037】
上記の方法では、ライブラリサイズの増大を抑えることができる。しかしながら、この方法では、下地層の各層(以下、下地各層と称する)の膜厚に対して感度を有する波長領域(主に長波長領域)がカットされるため、下地各層の膜厚の測定精度が低下する。このため、下地各層の膜厚の測定エラー成分がレジストリパターンの測定値に影響を与え、レジストパターンの測定精度の低下を招く要因となる。
【0038】
以上のことを鑑みて、本実施形態では、波形フィッティングを複数ステップ行うことで測定パターンの構造を計算するスキャトロメトリ法およびパターン測定装置を提案する。
【0039】
本パターン測定装置では、制御部205は、ディテクターアレイ204Bにて検出された実スペクトルと、測定モデルから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターン301の構造を示す可変パラメータを測定する。このとき、制御部205は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う。
【0040】
また、各波形フィッティングにおいて、制御部205は、測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する。このため、各波形フィッティングにおける波長領域は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。より具体的には、各波形フィッティングにおける波長領域は、その波形フィッティングにて測定される部位の構造に対して感度のある波長領域を含むように定められる。
【0041】
さらに、各波形フィッティングで使用される理論スペクトルの波長分割数は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。より具体的には、波形フィッティングにて測定される部位の構造に対する測定感度が低いほど、その波形フィッティングにおける波長分割数を多くする。
【0042】
以下では、具体例として、波形フィッティングが2回連続して行われる場合について説明する。
【0043】
図14に示すように、第1ステップでは、制御部205は、実スペクトルの全波長領域について波形フィッティングを行うことで、下地各層の膜厚を算出する。そして第2ステップでは、制御部205は、実スペクトルの全波長領域のうち、レジスト層8の構造に対して測定感度の高いレジスト感度波長領域(短波長領域250nm〜500nm)以外の波長領域(長波長領域500nm〜750nm)をカットし、理論スペクトルにおけるレジスト感度波長領域内の波長分割数を増加させる。このとき、第2ステップでは、測定モデルの下地各層の膜厚に対応する可変パラメータが、第1ステップで算出された下地各層の膜厚値に固定され、その後、波形フッティングが行われる。これにより、可変パラメータを全て算出することができるので、ワード線の構造を測定することができる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【0045】
このように本実施形態によるパターン測定装置は、光ビームを測定パターン(301)に照射する光源(201)と、光ビームの測定パターン(301)による反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部(204)と、実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、その実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、測定パターンの構造を測定する制御部(205)とを有して構成される。
【0046】
また、制御部(205)は、各波形フィッティングにおいて、測定パターン(301)内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する。
【0047】
また、各波形フィッティングを行う波長領域は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。
【0048】
また、各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、その波形フィッティングにて構造が測定される部位に応じて定められる。
【0049】
また、制御部(205)は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う。
【0050】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】
本実施形態では、波形フィッティングが2回連続して行われる場合について、各波形フィッティングにおける波長領域の別の例を説明する。
【0052】
図15に示すように、第1ステップでは、制御部205は、下地各層の膜厚に対して測定感度の高い波長領域(具体的には、長波長領域500nm〜750nm)のみを使用して波形フィッティングを行い、下地各層の膜厚を求める。そして、第2ステップでは、制御部205は、第1の実施形態と同様に、レジスト感度波長領域のみを使用して波形フィッティングを行う、レジスト層8の構造(膜厚、中央部の幅、側壁角度)を求める。
【0053】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、実スペクトルと理論スペクトルとの波形フィッティングが複数の波長領域のそれぞれについて行われるので、測定感度の低い部位に応じた波長領域内の波長分割数のみを多くするだけで、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。したがって、ライブラリのサイズを計算処理可能な上限値より小さくしつつ、パターンの構造を精度良く測定することが可能になる。
【0054】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1、101 Si基板
2、102 SiO層
3、103 DOPOS層
4、104 W/WN/WSi層
5、105 P−SiN層
6、106 P−SiO層
7、107 下層レジスト層
8、108 レジスト層
201 光源
202 偏光子
203 検光子
204 スペクトル測定部
204A 分光器
204B ディテクターアレイ
205 制御部
301 測定パターン
302 光ビームのスポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法であって、
光ビームを前記測定パターンに照射し、
前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出し、
前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する、パターン測定方法。
【請求項2】
各波形フィッティングにおいて、前記測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する、請求項1に記載のパターン測定方法。
【請求項3】
各波形フィッティングにおける波長領域は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項2に記載のパターン測定方法。
【請求項4】
各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項2または3に記載のパターン測定方法。
【請求項5】
各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う、請求項2ないし4のいずれか1項に記載のパターン測定方法。
【請求項6】
基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定装置であって、
光ビームを前記測定パターンに照射する光源と、
前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部と、
前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する制御部と、を有するパターン測定装置。
【請求項7】
前記制御部は、各波形フィッティングにおいて、前記測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する、請求項6に記載のパターン測定装置。
【請求項8】
各波形フィッティングにおける波長領域は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項7に記載のパターン測定装置。
【請求項9】
各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項7または8に記載のパターン測定装置。
【請求項10】
前記制御部は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う、請求項7ないし9のいずれか1項に記載のパターン測定装置。
【請求項1】
基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定方法であって、
光ビームを前記測定パターンに照射し、
前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出し、
前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する、パターン測定方法。
【請求項2】
各波形フィッティングにおいて、前記測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する、請求項1に記載のパターン測定方法。
【請求項3】
各波形フィッティングにおける波長領域は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項2に記載のパターン測定方法。
【請求項4】
各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項2または3に記載のパターン測定方法。
【請求項5】
各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う、請求項2ないし4のいずれか1項に記載のパターン測定方法。
【請求項6】
基板上に形成された測定パターンの構造を測定するパターン測定装置であって、
光ビームを前記測定パターンに照射する光源と、
前記光ビームの前記測定パターンによる反射回折光のスペクトルである実スペクトルを検出するスペクトル測定部と、
前記実スペクトルと、予め用意されたモデルパターンから算出される理論スペクトルとの波形フィッティングを、当該実スペクトル内の複数の波長領域のそれぞれについて行い、前記測定パターンの構造を測定する制御部と、を有するパターン測定装置。
【請求項7】
前記制御部は、各波形フィッティングにおいて、前記測定パターン内のそれぞれ異なる部位の構造を測定する、請求項6に記載のパターン測定装置。
【請求項8】
各波形フィッティングにおける波長領域は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項7に記載のパターン測定装置。
【請求項9】
各波形フィッティングで使用される理論スペクトルのサンプリング点数は、当該波形フィッティングにて前記構造が測定される部位に応じて定められる、請求項7または8に記載のパターン測定装置。
【請求項10】
前記制御部は、各波形フィッティングのうちの所定の波形フィッティングで測定された部位の構造を用いて、他の波形フィッティングを行う、請求項7ないし9のいずれか1項に記載のパターン測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−18097(P2012−18097A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156161(P2010−156161)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
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