ブレーキ制御装置
【課題】マスタシリンダとは別系統の油圧回路を設けて、緊急時の急昇圧や、ブレーキペダル戻し時の減圧をしているが、マスタシリンダの油圧回路との干渉,圧力制御の煩雑さ,機器構成の複雑化が懸念される。
【解決手段】車両のブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置を備えたブレーキ制御装置は、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする。
【解決手段】車両のブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置を備えたブレーキ制御装置は、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダル(以下、ペダルと略す)の踏力を倍力する倍力装置を備えたブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を減速させる際、運転者は、ペダルを踏むことによって所望の減速度を得る。この時、運転者は、ペダル踏力に応じたペダル反力を受ける。車両をスムーズに減速させるためには、ペダル反力と減速度との微調整が必要であり、減速感に起因する車両の乗り心地の良し悪しは、運転者の技量に依存する。運転者のペダル操作の過不足を補うために、ブレーキ圧を発生させるマスタシリンダと別系統で、ブレーキ圧を増減する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−291778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、マスタシリンダとは別系統の油圧回路を設けて、緊急時の急昇圧や、ブレーキペダル戻し時の減圧をしているが、マスタシリンダの油圧回路との干渉,圧力制御の煩雑さ,機器構成の複雑化が懸念される。また、停止間際のいわゆるカックンブレーキの抑制や、ハイブリッド自動車における回生協調制動時の滑らかな減速に関しては、その実現手段は見当たらない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、カックンブレーキなどの不具合を解消し、停止間際に滑らかに減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする構成とする。
【0007】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、ECUは、車両の速度と、ブレーキペダルのストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定する構成とする。
【0008】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUとブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダとを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、倍力シリンダの指令ゲインを予め定められた値より小さくする構成とする。
【0009】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、駆動輪に電動モータを用いることで回生協調制動が可能なブレーキ制御装置において、回生協調制動の状態において、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カックンブレーキなどの不具合を解消して、停止間際に滑らかに減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ブレーキ制御装置の平面図。
【図2】ブレーキ制御装置の断面図。
【図3】図1の制御フローを示す図。
【図4】ブレーキ力とペダルストロークの関係を示す図。
【図5】低速判別フラグとゆっくり踏み判別フラグを示す図。
【図6】ブレーキ指令ゲインを示す図。
【図7】従来のブレーキ指令ゲイン,減速度,車速を示す図。
【図8】ブレーキ指令ゲインを逓減した場合の、減速度,車速を示す図。
【図9】回生協調制動を行う場合の制御フローを示す図。
【図10】回生協調時のブレーキ指令ゲインを示す図。
【図11】ブレーキバイワイヤのブレーキ制御装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、ブレーキ制御装置の平面図、図2は、ブレーキ制御装置の断面図である。本ブレーキ制御装置は、ブレーキペダル2の踏力を倍力する、マスタシリンダ10を倍力するブレーキ倍力装置を備える。なお、ブレーキ倍力装置は、倍力シリンダ11,ECU16,ストロークセンサ20,車両状態情報取得部30,各通信線(倍力指令信号線17A,車両状態信号線17B,ペダルストローク信号線17C)を含む。
【0014】
ブレーキ制御装置は、ブレーキ倍力のための液圧を発生させる電動アクチュエータ1,ブレーキペダル2,ブレーキ圧配分装置3,ブレーキ配管4A,4B,5FR,5FL,5RR,5RL、ピストン(プライマリピストン7A,セカンダリピストン7B),タイヤ(キャリパ8CFR,8CFL,8CRR,8CRL、ロータ8BFR,8BFL,8BRR,8BRL、車輪8AFR,8AFL,8ARR,8ARLを含む),リザーバタンク9,ストロークセンサ20,ロッド21,スプリング23、及び、車両状態情報取得部30とからなる。ここで車両状態情報とは、車両速度,アクセルのON/OFFなど制御に必要な情報である。又、電動アクチュエータ1は、車両のブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ10,マスタシリンダ10の上流に設置されブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダ11,ステータ11A,ロータ11B,ロータ11Bに契合された、つまり電動モータの回転軸に契合されたボールネジナット11C,ボールネジナット11Cの回転トルクを直動変換するボールネジシャフト11D,電動モータを制御するECU16、及び、各種の信号線(倍力指令信号線17A,車両状態信号線17B,ペダルストローク信号線17C)とからなる。なお、ボールネジナット11Cとボールネジシャフト11Dでボールネジが構成され、マスタシリンダは、ボールネジシャフト11Dに契合されて、ブレーキ液圧を発生させる。
【0015】
ステータ11A,ロータ11Bは、ボールネジナット11Cに回転トルクを与え、ボールネジシャフト11Dを直動方向に駆動し、マスタシリンダ10を増圧する。増圧された作動油は、ブレーキ配管4A,4Bを介して、ブレーキ圧配分装置3に流入する。ブレーキ圧配分装置3は必要に応じて、前後の左右輪にブレーキ圧を配分する。右前輪を例に取ると、ブレーキ圧配分装置3からブレーキ配管5FRを介して、キャリパ8CFRが増圧され、ロータ8BFRが押圧され、車輪8AFRが制動される。
【0016】
次に、ブレーキ倍力発生の仕組みについて説明する。車体前後方向に延設された倍力シリンダ11内にて、ロータ11Bとボールネジナット11Cが契合され、筐体11Eに対し、図示しない軸受により回転自在に設置されている。ボールネジシャフト11Cは、ECU16の倍力指令に基づいて、ステータ11Aからの電磁力によりロータ11Bとボールネジナット11Cが回転トルクを受け、直動方向に駆動する。
【0017】
ECU16は、倍力指令信号線17Aを介して倍力シリンダ11と、ペダルストローク信号線17Cを介してストロークセンサ20と、車両状態信号線17Bを介して車両状態情報取得部30と、それぞれ接続されている。
【0018】
減速時には、ECU16は、ペダルストローク信号線17Cを介して受信したペダルストローク情報に基づいて、倍力シリンダ11への指令値を算出する。
【0019】
以上のように、運転者がペダル2を踏み込むと、ストロークセンサ20がストロークを検出することで、ボールネジナット11Cが駆動し、ボールネジシャフト11Dが稼動する。従って、ボールネジシャフト11Dに連結したプライマリピストン7Aが変位し、圧力室10Aが増圧される。セカンダリピストン7Bは、スプリング23A,23Bと圧力室10A,10Bの内圧とのバランスにより変位し、圧力室10Bも同様に増圧される。増圧された結果、下流にブレーキ圧が伝達される。
【0020】
図3は、図1の制御フローを示す図、図4は、ブレーキ力とペダルストロークの関係を示す図、図5は、低速判別フラグとゆっくり踏み判別フラグを示す図、図6は、ブレーキ指令ゲインを示す図である。ここで、図5における線ハは車両速度に対する低速判定フラグの設定値、線ニはストローク速度に対するゆっくり踏みフラグの設定値、図6の線ホはペダルストローク速度に対するブレーキ指令ゲインの設定値を示す。予め当該特性をECU16に記憶させておくとよい。
【0021】
まず、ECU16は、検知された又は算出された車両速度(B1)が、所定の速度域か否かを、図5(a)に基づいて判別し(S2:車両速度判定手段)、所定の速度域と判別した場合(S3)、検知された又は算出されたペダルストローク速度(B2)が、所定速度以下か否を、図5(b)に基づいて判別する(S4:ストローク速度判定手段)。ペダルストローク速度が所定の速度以下と判別した場合(S5)、図6に基づいてブレーキ指令ゲインを変更する(S6)。
【0022】
S3で所定の車両速度以上、または、S5で所定のペダルストローク速度以上と判断した場合、ブレーキ指令ゲインは予め定めた指令ゲイン(標準値)を用いる(S7)。
【0023】
以上の通り、ECU16は、車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする。つまり、車両の速度と、ブレーキペダル2のストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定する。
【0024】
ブレーキ指令ゲインが標準値の場合、ブレーキ力は図4の線イのようになる。一方、S6でブレーキ指令ゲインを変更した場合、図4の線ロのようになる。すなわち、通常は点BNのようなブレーキ力を発生させるところを、車両が低速かつ、ペダルストローク速度がゆっくりの場合には、点BLのようにブレーキ力を減少させる。
【0025】
また、図5(a)に示すように、低速判定フラグFvは、所定の車両速度Vd以下で「1」となり、Vd以上で「0」となるように設定される。閾値となるVdは、ブレーキの特性によって調整されることが望ましいが、例えば、Vd=1km/h、あるいは、5km/hとして、停車間際の状態を判別するようにするとよい。
【0026】
また、図5(b)に示すように、ゆっくり踏み判定フラグFsは、所定のペダルストローク速度−Sd以上Sd以下のとき「1」となり、それ以外のとき「0」となるように設定される。閾値となるSdは、ブレーキの特性によって調整されることが望ましいが、例えば、Sd=1mm/sec、あるいは、10mm/secとして、停車間際の状態を判別するようにするとよい。
【0027】
次に、S6で用いる、変更用のブレーキ指令ゲインGに関して、図6を用いて説明する。車両速度が所定速度Vd以下、かつ、ペダルストローク速度がSd以下の場合、標準のブレーキ指令ゲインG0から線ホに示すように指令ゲインG0より小さい指令ゲインG1を設定する。ここで、ペダルストローク速度が正の時は踏み込みであり、負の場合は踏み戻しである。実際の運転状況では、停止間際にブレーキペダルを離す場合もあるため、踏み戻し側に関しても、ゲインを設定しておく必要がある。
【0028】
以上説明したブレーキ制御装置による、ブレーキ指令ゲイン,減速度,車速の関係を図7,図8を用いて説明する。
【0029】
図7は、ブレーキ指令ゲインを一定値にした場合(従来のブレーキに相当)を示す。ブレーキ指令ゲインを一定値(G0)にした場合、減速度も一定値(g0)になる(但し、ペダルストロークを一定に維持した場合)。この結果、車速は一定の傾きで減少し、停止に至る。ここで、停止時の減速度に注目すると、g0からゼロに変化する。この減速度の変化分が、いわゆるカックンブレーキとして、乗り心地の悪化を招く。
【0030】
図8は、図3で述べた制御フローに従って停車間際にブレーキ指令ゲインを逓減した場合である。この場合、減速度は、最終的にg1となり、図7の減速度g0よりも小さい値とすることができるため、滑らかな停車を実現することができる。
【0031】
尚、本実施例では、倍力シリンダ11とECU16を別体としているが、これらを一体にしてもよい。この場合、システムの小型化が図られるので車両への搭載性が向上する。
【0032】
以上により、車両速度とペダルストローク速度に基づいて、停車間際の滑らかな制動が実現できるとともに、運転者は適切な減速を体感することができ、安定してブレーキペダルの操作ができる。また、従来は、運転者のブレーキペダル操作速度,ブレーキ力,減速度(減速感)が相互に影響を及ぼしていたが、本実施例では、運転者の技量によらず、快適な停車操作を行うことができる。
【0033】
本実施例が実施されていることを確認するためには、車両速度,ペダルストローク速度,ブレーキ力指令値(あるいは、ブレーキ圧)の履歴を測定し、所定の車両速度およびペダルストローク速度以下で、ブレーキ力指令値(あるいはブレーキ圧)が変化することを測定確認すれば良い。
【0034】
図9は、ハイブリッド車で実施される回生協調制動での制御フローを示す。
【0035】
本実施例では、駆動輪に電動モータを用いて回生協調制動が可能なブレーキ制御装置の制御フローである。
【0036】
ECU16は、予め定めた回生協調フラグ(K1)を参照して、車両が回生協調制動状態か否かを判別し(S12:回生協調判定手段)、回生協調状態と判別した場合(S13)、図10(a)に基づいてブレーキ指令ゲインを変更する(S14)。
【0037】
S13で回生協調でないと判断した場合、ブレーキ指令ゲインは標準値を用いる(S15)。
【0038】
図10(a)は、回生協調時のブレーキ指令ゲインを示し、(b)は、回生制動と摩擦制動の切り替わりを示している。
【0039】
減速開始時は、回生のみで制動力を発生し、このときのブレーキ指令ゲインは−Gとする。これはすなわち、運転者がブレーキペダルを踏んでも、電動式の倍力シリンダ11が、それに対向するペダル反力を発生させることを意味する。
【0040】
回生協調が開始されると、回生の割合が減少し、摩擦制動の割合が増加する。よって、回生協調の区間においては、ブレーキ指令ゲインは線へのように、領域Aから領域Bにかけて徐々に増加させる。領域Bを通過後は、摩擦制動のみとなり、ブレーキ指令ゲインGは、G0(標準値)に設定する。なお、回生協調の開始(領域A)と終了(領域B)の切り替えを滑らかにするために、点線トのように2次曲線で結ぶように設定してもよい。なお、回生制動時と摩擦制動時で、目標ブレーキ力の指令ゲインの符号を反転させている。
【0041】
図11は、ブレーキバイワイヤのブレーキ制御装置の断面図である。
【0042】
本実施例では、ペダル反力生成機構12が、ブレーキペダルの入力軸であるロッド21Aと連結されており、ECU16からのペダル反力指令を、ペダル反力指令信号線17Dを介して、受け取ることで、ペダル反力を生成する。その他の構成は第一の実施例と同等である。ここでは、ブレーキペダルの入力軸であるロッド21Aが、マスタシリンダ7と機械的に分離されているため、ブレーキ圧変動や、マスタシリンダ側からの振動などが、ペダルに伝わらず、ペダルフィールを良好にできる。また、ペダル反力を自在に制御することで、緊急時の運転者への警報など利便性が向上する。
【0043】
これによりハイブリッド自動車の回生協調制動時に滑らかな減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供できる。
【符号の説明】
【0044】
1 電動アクチュエータ
2 ブレーキペダル
3 ブレーキ圧配分装置
6 ステアリングホイール
7A プライマリピストン
7B セカンダリピストン
9 リザーバタンク
10 マスタシリンダ
11 倍力シリンダ
16 ECU
20 ストロークセンサ
21 ロッド
23 スプリング
30 車両状態情報取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダル(以下、ペダルと略す)の踏力を倍力する倍力装置を備えたブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を減速させる際、運転者は、ペダルを踏むことによって所望の減速度を得る。この時、運転者は、ペダル踏力に応じたペダル反力を受ける。車両をスムーズに減速させるためには、ペダル反力と減速度との微調整が必要であり、減速感に起因する車両の乗り心地の良し悪しは、運転者の技量に依存する。運転者のペダル操作の過不足を補うために、ブレーキ圧を発生させるマスタシリンダと別系統で、ブレーキ圧を増減する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−291778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、マスタシリンダとは別系統の油圧回路を設けて、緊急時の急昇圧や、ブレーキペダル戻し時の減圧をしているが、マスタシリンダの油圧回路との干渉,圧力制御の煩雑さ,機器構成の複雑化が懸念される。また、停止間際のいわゆるカックンブレーキの抑制や、ハイブリッド自動車における回生協調制動時の滑らかな減速に関しては、その実現手段は見当たらない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、カックンブレーキなどの不具合を解消し、停止間際に滑らかに減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする構成とする。
【0007】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、ECUは、車両の速度と、ブレーキペダルのストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定する構成とする。
【0008】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUとブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダとを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、倍力シリンダの指令ゲインを予め定められた値より小さくする構成とする。
【0009】
また、電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、電動モータを制御するECUを備え、マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、駆動輪に電動モータを用いることで回生協調制動が可能なブレーキ制御装置において、回生協調制動の状態において、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カックンブレーキなどの不具合を解消して、停止間際に滑らかに減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ブレーキ制御装置の平面図。
【図2】ブレーキ制御装置の断面図。
【図3】図1の制御フローを示す図。
【図4】ブレーキ力とペダルストロークの関係を示す図。
【図5】低速判別フラグとゆっくり踏み判別フラグを示す図。
【図6】ブレーキ指令ゲインを示す図。
【図7】従来のブレーキ指令ゲイン,減速度,車速を示す図。
【図8】ブレーキ指令ゲインを逓減した場合の、減速度,車速を示す図。
【図9】回生協調制動を行う場合の制御フローを示す図。
【図10】回生協調時のブレーキ指令ゲインを示す図。
【図11】ブレーキバイワイヤのブレーキ制御装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、ブレーキ制御装置の平面図、図2は、ブレーキ制御装置の断面図である。本ブレーキ制御装置は、ブレーキペダル2の踏力を倍力する、マスタシリンダ10を倍力するブレーキ倍力装置を備える。なお、ブレーキ倍力装置は、倍力シリンダ11,ECU16,ストロークセンサ20,車両状態情報取得部30,各通信線(倍力指令信号線17A,車両状態信号線17B,ペダルストローク信号線17C)を含む。
【0014】
ブレーキ制御装置は、ブレーキ倍力のための液圧を発生させる電動アクチュエータ1,ブレーキペダル2,ブレーキ圧配分装置3,ブレーキ配管4A,4B,5FR,5FL,5RR,5RL、ピストン(プライマリピストン7A,セカンダリピストン7B),タイヤ(キャリパ8CFR,8CFL,8CRR,8CRL、ロータ8BFR,8BFL,8BRR,8BRL、車輪8AFR,8AFL,8ARR,8ARLを含む),リザーバタンク9,ストロークセンサ20,ロッド21,スプリング23、及び、車両状態情報取得部30とからなる。ここで車両状態情報とは、車両速度,アクセルのON/OFFなど制御に必要な情報である。又、電動アクチュエータ1は、車両のブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ10,マスタシリンダ10の上流に設置されブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダ11,ステータ11A,ロータ11B,ロータ11Bに契合された、つまり電動モータの回転軸に契合されたボールネジナット11C,ボールネジナット11Cの回転トルクを直動変換するボールネジシャフト11D,電動モータを制御するECU16、及び、各種の信号線(倍力指令信号線17A,車両状態信号線17B,ペダルストローク信号線17C)とからなる。なお、ボールネジナット11Cとボールネジシャフト11Dでボールネジが構成され、マスタシリンダは、ボールネジシャフト11Dに契合されて、ブレーキ液圧を発生させる。
【0015】
ステータ11A,ロータ11Bは、ボールネジナット11Cに回転トルクを与え、ボールネジシャフト11Dを直動方向に駆動し、マスタシリンダ10を増圧する。増圧された作動油は、ブレーキ配管4A,4Bを介して、ブレーキ圧配分装置3に流入する。ブレーキ圧配分装置3は必要に応じて、前後の左右輪にブレーキ圧を配分する。右前輪を例に取ると、ブレーキ圧配分装置3からブレーキ配管5FRを介して、キャリパ8CFRが増圧され、ロータ8BFRが押圧され、車輪8AFRが制動される。
【0016】
次に、ブレーキ倍力発生の仕組みについて説明する。車体前後方向に延設された倍力シリンダ11内にて、ロータ11Bとボールネジナット11Cが契合され、筐体11Eに対し、図示しない軸受により回転自在に設置されている。ボールネジシャフト11Cは、ECU16の倍力指令に基づいて、ステータ11Aからの電磁力によりロータ11Bとボールネジナット11Cが回転トルクを受け、直動方向に駆動する。
【0017】
ECU16は、倍力指令信号線17Aを介して倍力シリンダ11と、ペダルストローク信号線17Cを介してストロークセンサ20と、車両状態信号線17Bを介して車両状態情報取得部30と、それぞれ接続されている。
【0018】
減速時には、ECU16は、ペダルストローク信号線17Cを介して受信したペダルストローク情報に基づいて、倍力シリンダ11への指令値を算出する。
【0019】
以上のように、運転者がペダル2を踏み込むと、ストロークセンサ20がストロークを検出することで、ボールネジナット11Cが駆動し、ボールネジシャフト11Dが稼動する。従って、ボールネジシャフト11Dに連結したプライマリピストン7Aが変位し、圧力室10Aが増圧される。セカンダリピストン7Bは、スプリング23A,23Bと圧力室10A,10Bの内圧とのバランスにより変位し、圧力室10Bも同様に増圧される。増圧された結果、下流にブレーキ圧が伝達される。
【0020】
図3は、図1の制御フローを示す図、図4は、ブレーキ力とペダルストロークの関係を示す図、図5は、低速判別フラグとゆっくり踏み判別フラグを示す図、図6は、ブレーキ指令ゲインを示す図である。ここで、図5における線ハは車両速度に対する低速判定フラグの設定値、線ニはストローク速度に対するゆっくり踏みフラグの設定値、図6の線ホはペダルストローク速度に対するブレーキ指令ゲインの設定値を示す。予め当該特性をECU16に記憶させておくとよい。
【0021】
まず、ECU16は、検知された又は算出された車両速度(B1)が、所定の速度域か否かを、図5(a)に基づいて判別し(S2:車両速度判定手段)、所定の速度域と判別した場合(S3)、検知された又は算出されたペダルストローク速度(B2)が、所定速度以下か否を、図5(b)に基づいて判別する(S4:ストローク速度判定手段)。ペダルストローク速度が所定の速度以下と判別した場合(S5)、図6に基づいてブレーキ指令ゲインを変更する(S6)。
【0022】
S3で所定の車両速度以上、または、S5で所定のペダルストローク速度以上と判断した場合、ブレーキ指令ゲインは予め定めた指令ゲイン(標準値)を用いる(S7)。
【0023】
以上の通り、ECU16は、車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にする。つまり、車両の速度と、ブレーキペダル2のストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定する。
【0024】
ブレーキ指令ゲインが標準値の場合、ブレーキ力は図4の線イのようになる。一方、S6でブレーキ指令ゲインを変更した場合、図4の線ロのようになる。すなわち、通常は点BNのようなブレーキ力を発生させるところを、車両が低速かつ、ペダルストローク速度がゆっくりの場合には、点BLのようにブレーキ力を減少させる。
【0025】
また、図5(a)に示すように、低速判定フラグFvは、所定の車両速度Vd以下で「1」となり、Vd以上で「0」となるように設定される。閾値となるVdは、ブレーキの特性によって調整されることが望ましいが、例えば、Vd=1km/h、あるいは、5km/hとして、停車間際の状態を判別するようにするとよい。
【0026】
また、図5(b)に示すように、ゆっくり踏み判定フラグFsは、所定のペダルストローク速度−Sd以上Sd以下のとき「1」となり、それ以外のとき「0」となるように設定される。閾値となるSdは、ブレーキの特性によって調整されることが望ましいが、例えば、Sd=1mm/sec、あるいは、10mm/secとして、停車間際の状態を判別するようにするとよい。
【0027】
次に、S6で用いる、変更用のブレーキ指令ゲインGに関して、図6を用いて説明する。車両速度が所定速度Vd以下、かつ、ペダルストローク速度がSd以下の場合、標準のブレーキ指令ゲインG0から線ホに示すように指令ゲインG0より小さい指令ゲインG1を設定する。ここで、ペダルストローク速度が正の時は踏み込みであり、負の場合は踏み戻しである。実際の運転状況では、停止間際にブレーキペダルを離す場合もあるため、踏み戻し側に関しても、ゲインを設定しておく必要がある。
【0028】
以上説明したブレーキ制御装置による、ブレーキ指令ゲイン,減速度,車速の関係を図7,図8を用いて説明する。
【0029】
図7は、ブレーキ指令ゲインを一定値にした場合(従来のブレーキに相当)を示す。ブレーキ指令ゲインを一定値(G0)にした場合、減速度も一定値(g0)になる(但し、ペダルストロークを一定に維持した場合)。この結果、車速は一定の傾きで減少し、停止に至る。ここで、停止時の減速度に注目すると、g0からゼロに変化する。この減速度の変化分が、いわゆるカックンブレーキとして、乗り心地の悪化を招く。
【0030】
図8は、図3で述べた制御フローに従って停車間際にブレーキ指令ゲインを逓減した場合である。この場合、減速度は、最終的にg1となり、図7の減速度g0よりも小さい値とすることができるため、滑らかな停車を実現することができる。
【0031】
尚、本実施例では、倍力シリンダ11とECU16を別体としているが、これらを一体にしてもよい。この場合、システムの小型化が図られるので車両への搭載性が向上する。
【0032】
以上により、車両速度とペダルストローク速度に基づいて、停車間際の滑らかな制動が実現できるとともに、運転者は適切な減速を体感することができ、安定してブレーキペダルの操作ができる。また、従来は、運転者のブレーキペダル操作速度,ブレーキ力,減速度(減速感)が相互に影響を及ぼしていたが、本実施例では、運転者の技量によらず、快適な停車操作を行うことができる。
【0033】
本実施例が実施されていることを確認するためには、車両速度,ペダルストローク速度,ブレーキ力指令値(あるいは、ブレーキ圧)の履歴を測定し、所定の車両速度およびペダルストローク速度以下で、ブレーキ力指令値(あるいはブレーキ圧)が変化することを測定確認すれば良い。
【0034】
図9は、ハイブリッド車で実施される回生協調制動での制御フローを示す。
【0035】
本実施例では、駆動輪に電動モータを用いて回生協調制動が可能なブレーキ制御装置の制御フローである。
【0036】
ECU16は、予め定めた回生協調フラグ(K1)を参照して、車両が回生協調制動状態か否かを判別し(S12:回生協調判定手段)、回生協調状態と判別した場合(S13)、図10(a)に基づいてブレーキ指令ゲインを変更する(S14)。
【0037】
S13で回生協調でないと判断した場合、ブレーキ指令ゲインは標準値を用いる(S15)。
【0038】
図10(a)は、回生協調時のブレーキ指令ゲインを示し、(b)は、回生制動と摩擦制動の切り替わりを示している。
【0039】
減速開始時は、回生のみで制動力を発生し、このときのブレーキ指令ゲインは−Gとする。これはすなわち、運転者がブレーキペダルを踏んでも、電動式の倍力シリンダ11が、それに対向するペダル反力を発生させることを意味する。
【0040】
回生協調が開始されると、回生の割合が減少し、摩擦制動の割合が増加する。よって、回生協調の区間においては、ブレーキ指令ゲインは線へのように、領域Aから領域Bにかけて徐々に増加させる。領域Bを通過後は、摩擦制動のみとなり、ブレーキ指令ゲインGは、G0(標準値)に設定する。なお、回生協調の開始(領域A)と終了(領域B)の切り替えを滑らかにするために、点線トのように2次曲線で結ぶように設定してもよい。なお、回生制動時と摩擦制動時で、目標ブレーキ力の指令ゲインの符号を反転させている。
【0041】
図11は、ブレーキバイワイヤのブレーキ制御装置の断面図である。
【0042】
本実施例では、ペダル反力生成機構12が、ブレーキペダルの入力軸であるロッド21Aと連結されており、ECU16からのペダル反力指令を、ペダル反力指令信号線17Dを介して、受け取ることで、ペダル反力を生成する。その他の構成は第一の実施例と同等である。ここでは、ブレーキペダルの入力軸であるロッド21Aが、マスタシリンダ7と機械的に分離されているため、ブレーキ圧変動や、マスタシリンダ側からの振動などが、ペダルに伝わらず、ペダルフィールを良好にできる。また、ペダル反力を自在に制御することで、緊急時の運転者への警報など利便性が向上する。
【0043】
これによりハイブリッド自動車の回生協調制動時に滑らかな減速が実現可能なブレーキ制御装置を提供できる。
【符号の説明】
【0044】
1 電動アクチュエータ
2 ブレーキペダル
3 ブレーキ圧配分装置
6 ステアリングホイール
7A プライマリピストン
7B セカンダリピストン
9 リザーバタンク
10 マスタシリンダ
11 倍力シリンダ
16 ECU
20 ストロークセンサ
21 ロッド
23 スプリング
30 車両状態情報取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
前記ECUは、車両の速度と、ブレーキペダルのストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のブレーキ制御装置において、
前記ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
検知された車両速度が所定の値以下か否か判定する車両速度判定手段と、
検知されたブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下か否か判定するストローク速度判定手段と、を有し、
前記車両速度判定手段で、検知された車両速度が所定の値以下との判定で、且つ前記ストローク速度判定手段で、検知されたストローク速度が所定の値以下との判定の場合、目標ブレーキ力の指令ゲインを予め定めた指令ゲインに設定し、
前記車両速度判定手段で、検知された車両速度が所定の値より大きいとの判定、又は前記ストローク速度判定手段で、検知されたストローク速度が所定の値より大きいとの判定の場合、目標ブレーキ力の指令ゲインを前記予め定めた指令ゲインより小さい値に設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUとブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダとを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
前記ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、前記倍力シリンダの指令ゲインを予め定められた値より小さくすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項6】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
駆動輪に電動モータを用いることで回生協調制動が可能なブレーキ制御装置において、
回生協調制動の状態において、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項6記載のブレーキ制御装置において、
回生制動時と、摩擦制動時で、目標ブレーキ力の指令ゲインの符号を反転させることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項8】
請求項6記載のブレーキ制御装置において、
予め定めた回生協調フラグに基づいて、車両が回生協調制動の状態か否かを判定する回生協調判定手段を有し、
前記回生協調判定手段にて、車両が回生協調制動の状態では無い場合は、目標ブレーキ力の指令ゲインを予め定めた指令ゲインに設定し、
前記回生協調判定手段にて、車両が回生協調制動の状態である場合は、目標ブレーキ力の指令ゲインを前記予め定めた指令ゲインから可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルの入力軸と前記マスタシリンダは、機械的に分離されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項10】
請求項9記載のブレーキ制御装置において、
前記ECUからペダル反力指令が入力され、前記ペダル反力指令に基づいてペダル反力を生成するペダル反力生成機構を有し、
前記ペダル反力生成機構は、ブレーキペダルの入力軸と連結されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項1】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
車両の速度が所定の値以下、且つ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
前記ECUは、車両の速度と、ブレーキペダルのストローク速度に基づいて、目標ブレーキ力の指令ゲインを決定することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のブレーキ制御装置において、
前記ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
検知された車両速度が所定の値以下か否か判定する車両速度判定手段と、
検知されたブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下か否か判定するストローク速度判定手段と、を有し、
前記車両速度判定手段で、検知された車両速度が所定の値以下との判定で、且つ前記ストローク速度判定手段で、検知されたストローク速度が所定の値以下との判定の場合、目標ブレーキ力の指令ゲインを予め定めた指令ゲインに設定し、
前記車両速度判定手段で、検知された車両速度が所定の値より大きいとの判定、又は前記ストローク速度判定手段で、検知されたストローク速度が所定の値より大きいとの判定の場合、目標ブレーキ力の指令ゲインを前記予め定めた指令ゲインより小さい値に設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUとブレーキ倍力を発生する電動式の倍力シリンダとを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
前記ECUは、車両の速度が所定の値以下、かつ、ブレーキペダルのストローク速度が所定の値以下のときに、前記倍力シリンダの指令ゲインを予め定められた値より小さくすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項6】
電動モータの回転軸に契合されたボールネジナットと、
前記ボールネジナットの回転トルクを直動変換するボールネジシャフトと、
前記ボールネジシャフトに契合され、ブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、
電動モータを制御するECUを備え、前記マスタシリンダを倍力するブレーキ倍力装置と、を有し、
駆動輪に電動モータを用いることで回生協調制動が可能なブレーキ制御装置において、
回生協調制動の状態において、目標ブレーキ力の指令ゲインを可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項6記載のブレーキ制御装置において、
回生制動時と、摩擦制動時で、目標ブレーキ力の指令ゲインの符号を反転させることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項8】
請求項6記載のブレーキ制御装置において、
予め定めた回生協調フラグに基づいて、車両が回生協調制動の状態か否かを判定する回生協調判定手段を有し、
前記回生協調判定手段にて、車両が回生協調制動の状態では無い場合は、目標ブレーキ力の指令ゲインを予め定めた指令ゲインに設定し、
前記回生協調判定手段にて、車両が回生協調制動の状態である場合は、目標ブレーキ力の指令ゲインを前記予め定めた指令ゲインから可変にすることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
ブレーキペダルの入力軸と前記マスタシリンダは、機械的に分離されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項10】
請求項9記載のブレーキ制御装置において、
前記ECUからペダル反力指令が入力され、前記ペダル反力指令に基づいてペダル反力を生成するペダル反力生成機構を有し、
前記ペダル反力生成機構は、ブレーキペダルの入力軸と連結されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−93435(P2011−93435A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249644(P2009−249644)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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