説明

ブレーキ装置

【課題】第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60の少なくともいずれか一方に確実に電力を供給する。
【解決手段】主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源を備えたブレーキ装置に係り、特に、電源系統の故障発生時にも所定のブレーキキャリパを動作させることができるブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ装置の従来技術として、車輪の各輪とともに回転するディスクロータと、ディスクロータの近傍に配設されてディスクロータに電気的制動力を付与する電動キャリパと、を設け、この電動キャリパ内のブレーキモータに駆動回路を介してリレーユニットが接続され、このリレーユニットに主バッテリと補助バッテリを接続した構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1によれば、主バッテリに消耗が認められない場合は、主バッテリを駆動回路に導通させ、主バッテリに消耗が認められる場合は、主バッテリに代えて、補助バッテリを駆動回路に導通させることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−171006号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のブレーキ装置は、バッテリの消耗に関しては対応しているが、リレーユニットと駆動回路との間の故障に関しては充分な配慮がなされておらず、この点に関して改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、電源,電源から電力供給を受けるアクチュエータ駆動装置,電源とアクチュエータ駆動装置との間の電源線及び電力供給線のいずれか1つに故障が発生した場合にも、所定のブレーキキャリパを動作させるために必要なブレーキ液または電力を確実に供給できる、信頼性の高いブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0008】
複数の電源から電力を供給されて互いに独立して動作する少なくとも2つ以上のブレーキ系統を備えたブレーキ装置であって、電源とブレーキ系統との間に第1の電力供給遮断手段をそれぞれ備えるとともに、各ブレーキ系統を第2の電力供給遮断手段を介してそれぞれ接続する構成とする。
【0009】
第1の電力供給遮断装置は、例えば実施例として説明する第1及び第3のリレーで構成し、第2の電力供給遮断装置は第2のリレーで構成すると良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定のブレーキキャリパを動作させるために必要なブレーキ液または電力を確実に供給できる、信頼性の高いブレーキ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下で説明する各実施例のブレーキ装置では、以下のような構成を備えている。
(1)複数の電源から電力を供給されて互いに独立して動作する少なくとも2つ以上のブレーキ系統を備えたブレーキ装置であって、電源とブレーキ系統との間に第1の電力供給遮断手段をそれぞれ備えるとともに、各ブレーキ系統を第2の電力供給遮断手段を介してそれぞれを接続する。
(2)(1)に記載のブレーキ装置において、第2の電力供給遮断手段を介して各ブレーキ系統を接続する位置は、第1の電力供給遮断手段の下流側である。
(3)(1)又は(2)に記載のブレーキ装置において、すべての電源が電力を供給できる状態にある場合には、すべての第2の電力供給遮断手段を機能させ、少なくとも1つの電源が電力を供給できない状態になった場合には、その電源から電力を供給されるブレーキ系統につながる第2の電力供給遮断手段のうち、少なくとも1つを機能させない。
(4)(1)又は(2)に記載のブレーキ装置において、すべての電源が電力を供給できる状態にある場合には、すべての第2の電力供給遮断手段を機能させず、少なくとも1つの電源が電力を供給できない状態になった場合には、その電源から電力を供給されるブレーキ系統につながるすべての第2の電力供給遮断手段を機能させる。
(5)第1のアクチュエータ駆動装置を含み、複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪の制動を分担する第1のブレーキ系統と、
第2のアクチュエータ駆動装置を含み、複数の車輪のうち前記第1のブレーキ系統が分担する車輪を除く少なくとも一つの車輪の制動を分担する第2のブレーキ系統と、
主電源から前記第1のブレーキ系統に電力を供給する電源線の途中に設けた第1のリレーと、
主電源から前記第1のリレーを経て前記第2のブレーキ系統に電力を供給する電源線の途中に設けた第2のリレーと、
補助電源と、前記第2のリレーと前記第2のブレーキ系統との間の電源線と、を接続する電源線の途中に設けた第3のリレーと、
前記第1,第2及び第3のリレーの開閉を制御するリレー制御装置と、
を備える。
(6)主電源からの電力を複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪の制動を分担する第1のブレーキ系統に供給する電源線の途中に設けた第1のリレー、
主電源からの電力を前記第1のリレーを介して複数の車輪のうち前記第1のブレーキ系統が分担する車輪を除く少なくとも一つの車輪の制動を分担する第2のブレーキ系統に供給する電源線の途中に設けた第2のリレー、及び
補助電源と、前記第2のリレーと前記第2のブレーキ系統との間の電源線と、を接続する電源線の途中に設けた第3のリレーの開閉を制御するリレー制御装置を備え、
前記リレー制御装置は、
前記主電源,前記補助電源,前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統が正常に動作可能な状態にある場合は、前記第1及び前記第2のリレーを閉じると共に前記第3のリレーを開いて、主電源から前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統に電力を供給し、
前記主電源に異常が発生し前記補助電源,前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統が正常に動作可能な状態にある場合は、前記第1のリレーを開くと共に前記第2及び第3のリレーを閉じて、補助電源から前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統に電力を供給するように、
各リレーを制御する。
【0012】
本発明の第1〜第5の実施形態に係るブレーキ装置について、図面を参照しながら以下説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、図1において、矢印付きの破線は信号線であり、矢印の向きによって信号の流れを表している。
【0014】
図1において、ブレーキ装置1は、主電源10と、補助電源20と、電力供給装置30と、ブレーキ力配分制御装置40と、ブレーキセンサ81と、第1のブレーキ系統70と、第2のブレーキ系統71と、を備えている。
【0015】
主電源10は、主バッテリ11と、オルタネータ12と、を備えている。
【0016】
主バッテリ11は、例えば、エンジンに連結されたオルタネータ12によって充電され、充電された電力を主電源線100を介して電力供給装置30等に供給する。
【0017】
補助電源20は、主電源線100から分岐した電源線21を介して、主電源10から電力の供給を受け、充電された電力を補助電源線101を介して電力供給装置30等に供給する。なお、ダイオード22は、主電源10側から補助電源20側に向かう電流を許容し、補助電源20側から主電源10側に向かう電流を阻止する。
【0018】
なお、主バッテリ11は、ブレーキ装置1以外にも電力を供給する役割を担っているが、補助電源20は、ブレーキ装置1等の特に信頼性が要求される装置に対して電力を供給するために備えられたものである。
【0019】
オルタネータ12は、図示しないエンジンによって発電駆動される。そして、発電された電力は、オルタネータ12内部で直流変換されて主バッテリ11と補助電源20に充電されるとともに、電力供給装置30等に供給される。なお、オルタネータ12に代えて、モータジェネレータ等の電動発電機を接続してもよい。
【0020】
なお、特に断りのないかぎり、主バッテリ11の公称電圧は、例えば、12V,24V,36V、等である。
【0021】
また、主電源10としては、降圧型または昇圧型のDCDCコンバータであってもよく、バッテリに充電された電力または発電機で発電した電力をDCDCコンバータで電圧変換し、これを電力供給装置30等に供給することができる。これにより、電力供給装置
30等に供給される電力がより安定化するため、ブレーキ装置1全体の動作の安定化が図られる。
【0022】
また、補助電源20としては、バッテリ,キャパシタ,コンデンサ、等であり、蓄電性向上のために充放電回路等を備えることができる。
【0023】
また、主電源10と補助電源20との間に定電圧回路,定電流回路、等を備え、これによって補助電源20を充電することができる。これにより、補助電源20の充電電圧または充電電流がより安定化し、補助電源20の充電状態が常に適切な状態に維持されるため、電力供給装置30等に供給される電力がより安定化する。
【0024】
また、補助電源20を電力供給装置30に組み込んで、一体化することができる。これにより、補助電源線101を備える必要がなくなり、その分故障発生確率が低下するため、ブレーキ装置1全体の信頼性が向上する。
【0025】
ブレーキセンサ81は、運転者の要求制動力を検出するセンサであり、例えば、図示しないマスタシリンダ内の液圧を検出する液圧センサ,ブレーキペダル80のストロークを検出するストロークセンサ,ブレーキペダル80の踏力を検出する踏力センサ、等である。
【0026】
なお、ブレーキセンサ81としては、液圧センサ,ストロークセンサ,踏力センサ、等を複数個組み合わせた構成が望ましい。これにより、運転者の要求制動力をより的確に把握することができるため、制動制御のフィーリングを向上させることができる。また、複数個のセンサを組み合わせることで、一つのセンサからの信号が途絶えた場合であっても運転者の制動要求を確実に検出できるため、フェールセーフ性能が向上する。
【0027】
ブレーキ力配分制御装置40は、演算処理回路であり、ブレーキセンサ81からの信号に基づいて運転者の要求制動力を算出し、これに基づいて各輪の制動力配分を決定する。そして、各輪の制動力を制動力指令値に変換して、第1のアクチュエータ駆動装置50及び第2のアクチュエータ駆動装置60に送信する。
【0028】
なお、ブレーキ力配分制御装置40に、車速,車輪速,車両の前後方向加速度,車両の横方向加速度,車両のヨーレート、等を入力し、これらに基づいて制動力配分を決定することができる。これにより、車両の挙動に応じて各輪の制動力をより適切に制御できるようになるため、操舵時や低摩擦路走行時の車両の安定性が向上するとともに、停止距離の短縮化が図られる。
【0029】
ブレーキ力配分制御装置40は、第1の電力供給線102から分岐した電源線112と、第2の電力供給線103から分岐した電源線113の両方を介して、電力供給装置30から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方の電源線からの電力供給が途絶えた場合であっても、他方の電源線から継続して電力が供給されるため、ブレーキ力配分制御装置40は安定して動作することになる。
【0030】
ブレーキ力配分制御装置40には、ブレーキセンサ81の信号,イグニッションスイッチ82の信号が入力されており、これらによってブレーキ力配分制御装置40が起動する。
【0031】
なお、ブレーキ力配分制御装置40にドアセンサ,着座センサ,駐車ブレーキ、等の信号を入力し、これらによって起動させることができる。これにより、運転者がブレーキペダル80やイグニッションスイッチ82を操作する以前にブレーキ力配分制御装置40が起動するため、より安定した制動力を発生させることができる。
【0032】
なお、ブレーキセンサ81の信号と、イグニッションスイッチ82の信号は、電力供給装置30に備わるリレー制御装置31にも入力されている。
【0033】
ブレーキ力配分制御装置40は、第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60と双方向の通信を行っており、制動力指令値,故障情報,車両情報、等を送受信している。
【0034】
第1のブレーキ系統70は、第1のアクチュエータ駆動装置50と、ブレーキキャリパ90a,90bと、を備えている。また、第2のブレーキ系統71は、第2のアクチュエータ駆動装置60と、ブレーキキャリパ90c,90dと、を備えている。
【0035】
なお、第1の実施形態では、ブレーキキャリパ90aは左前輪に、ブレーキキャリパ
90bは右後輪に、ブレーキキャリパ90cは右前輪に、ブレーキキャリパ90dは左後輪に、それぞれ装着されているが、これ以外の場合でも構わない。具体的には、第1のブレーキ系統70で左前輪と右前輪の制動を分担し、第2のブレーキ系統71で左後輪と右後輪の制動を分担する構成を採ってもよい。また、第1のブレーキ系統70で左前輪と左後輪の制動を分担し、第2のブレーキ系統71で右前輪と右後輪の制動を分担する構成を採ってもよい。
【0036】
第1のアクチュエータ駆動装置50及び第2のアクチュエータ駆動装置60は、油圧発生装置であり、ブレーキ力配分制御装置40からの制動力指令値に基づいて油圧を発生する。そして、これを油圧配管91を介してブレーキキャリパ90に供給する。
【0037】
ここで、第1のアクチュエータ駆動装置50について説明する。
【0038】
図2は、第1のアクチュエータ駆動装置50の構成を表すブロック図である。なお、図2において、矢印付きの破線は信号線であり、矢印の向きによって信号の流れを表している。
【0039】
図2において、第1のアクチュエータ駆動装置50は、CPU51と、ソレノイド駆動回路52と、油圧制御弁53と、モータ駆動回路54と、ポンプ駆動モータ55と、油圧ポンプ56と、を備えている。
【0040】
CPU51と、ソレノイド駆動回路52と、モータ駆動回路54は、第1の電力供給線102を介して電力の供給を受けている。CPU51は、ブレーキ力配分制御装置40からの制動力指令値等に基づいて、ソレノイド駆動回路52とモータ駆動回路54に制御信号を送信する。ソレノイド駆動回路52は、CPU51からの制御信号に基づいて、油圧制御弁53を制御する図示しないソレノイドに適切な電力を供給する。モータ駆動回路
54は、CPU51からの制御信号に基づいて、ポンプ駆動モータ55に適切な電力を供給する。油圧ポンプ56は、ポンプ駆動モータ55によって駆動され、高圧のブレーキ液を発生する。油圧制御弁53は、油圧ポンプ56によって作られた高圧のブレーキ液をブレーキキャリパ90a,90b毎に調圧する。調圧されたブレーキ液は、最終的に油圧配管91a,91bを介して各ブレーキキャリパ90a,90bに供給される。
【0041】
なお、第2のアクチュエータ駆動装置60の構成及び動作は、基本的には第1のアクチュエータ駆動装置50と同じである。
【0042】
また、第1のアクチュエータ駆動装置50は、2個のブレーキキャリパ90a,90bに対して、それぞれ異なる圧力のブレーキ液を供給することができる。
【0043】
以上述べた通り、本発明の第1のアクチュエータ駆動装置50は、ブレーキ力配分制御装置40からの制動力指令値等に基づいて、ブレーキ液圧を所定の圧力に調整し、これを各ブレーキキャリパ90a,90bに供給するものである。よって、これと同等の機能を有するのであれば必ずしも図2に示す構成である必要はなく、他の構成を採ることができる。
【0044】
図1において、第1のアクチュエータ駆動装置50は第1の電力供給線102を介して、また第2のアクチュエータ駆動装置60は第2の電力供給線103を介して、それぞれ独立に電力供給装置30から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方の電力供給線からの電力供給が途絶え、これにつながるアクチュエータ駆動装置が停止した場合であっても、もう一方のアクチュエータ駆動装置は継続して電力の供給を受け、動作し続けることができる。これにより、少なくとも2個のブレーキキャリパが制御されるため、運転者の要求に応じて車両を安全に減速させることができる。
【0045】
ブレーキキャリパ90は、図示しない、シリンダ,ピストン,パッド、等から構成されており、第1のアクチュエータ駆動装置50及び第2のアクチュエータ駆動装置60から供給されたブレーキ液によってピストンが駆動され、ピストンに連結されたパッドが、ディスクロータ92に押圧されるものである。
【0046】
ディスクロータ92は、図示しない車輪とともに回転している。そのため、ディスクロータ92に作用した制動トルクは、車輪と路面との間に作用する制動力となる。
【0047】
電力供給装置30は、リレー制御装置31と、第1の電力供給遮断手段としての第1のリレー32及び第3のリレー34と、第2の電力供給遮断手段としての第2のリレー33と、電圧モニタ回路35と、を備えている。
【0048】
電力供給装置30は、主電源線100と補助電源線101を介して、主電源10及び補助電源20から電力の供給を受け、供給された電力を第1の電力供給線102と第2の電力供給線103を介して、第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60,ブレーキ力配分制御装置40、等に供給する。
【0049】
リレー制御装置31は、演算処理回路であり、ブレーキセンサ81の信号,イグニッションスイッチ82の信号,電圧モニタ回路35の信号、等に基づいて第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。
【0050】
リレー制御装置31には、ブレーキセンサ81の信号,イグニッションスイッチ82の信号が入力されており、これらによってリレー制御装置31が起動する。
【0051】
なお、リレー制御装置31にドアセンサ,着座センサ,駐車ブレーキ、等の信号を入力し、これらによって起動させることができる。これにより、運転者がブレーキペダル
80やイグニッションスイッチ82を操作する以前にリレー制御装置31が起動するため、より安定した制動力を発生させることができる。
【0052】
リレー制御装置31は、主電源線100につながる電源線104から分岐した電源線
110と、補助電源線101につながる電源線105から分岐した電源線111の両方を介して、主電源10及び補助電源20から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方の電源線からの電力供給が途絶えた場合であっても、他方の電源線から継続して電力が供給されるため、リレー制御装置31は安定して動作し、第1〜第3のリレー32,
33,34の開閉を制御することができる。
【0053】
なお、ダイオード36は、電源線104側からリレー制御装置31側に向かう電流を許容し、リレー制御装置31側から電源線104側に向かう電流を阻止する。同様に、ダイオード37は、電源線105側からリレー制御装置31側に向かう電流を許容し、リレー制御装置31側から電源線105側に向かう電流を阻止する。これにより、電源線104と電源線105とが電気的に分断されるため、主電源線100または補助電源線101のいずれか一方が故障しても、これが他方に影響を及ぼすことはない。
【0054】
電力供給装置30の内部では、電源線104と電源線106は、第1のリレー32を介して接続されている。また、電源線106から分岐した電源線108と電源線109は、第2のリレー33を介して接続されている。また、電源線105と電源線107は、第3のリレー34を介して接続されている。また、電源線107は、電源線109に接続されている。また、電源線106は、第1の電力供給線102に接続されている。また、電源線109は、第2の電力供給線103に接続されている。以上により、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御することで、主電源10から第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方に電力を供給できるとともに、補助電源20から第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方に電力を供給することができる。
【0055】
第1〜第3のリレー32,33,34は、リレー制御装置31によってそれぞれ独立に接点の開閉が制御される。なお、第1〜第3のリレー32,33,34は、常開リレー、または常閉リレーのいずれであっても構わないが、暗電流に起因する主電源10及び補助電源20の消耗を回避する点では、常開リレーであることが望ましい。また、第1〜第3のリレー32,33,34としては、機械式リレー,半導体リレー、等である。
【0056】
第1のリレー32と第2のリレー33は、正常時、閉じている状態にある。これにより、主電源線100を介して電力供給装置30に供給された電力は、一部が、電源線104,第1のリレー32,電源線106,第1の電力供給線102を介して第1のアクチュエータ駆動装置50等に供給され、一部が、電源線104,第1のリレー32,電源線106,電源線108,第2のリレー33,電源線109,第2の電力供給線103を介して第2のアクチュエータ駆動装置60等に供給される。また、第3のリレー34は、正常時、開いている状態にある。そのため、補助電源線101を介して電力供給装置30に供給された電力は、リレー制御装置31に供給されるのみで、第1のアクチュエータ駆動装置
50及び第2のアクチュエータ駆動装置60等には供給されない。ただし、ブレーキ装置1に何らかの故障が発生した場合には、補助電源線101を介して電力供給装置30に供給された電力は、一部が、電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106,第1の電力供給線102を介して第1のアクチュエータ駆動装置50等に供給され、一部が、電源線105,第3のリレー
34,電源線107,電源線109,第2の電力供給線103を介して第2のアクチュエータ駆動装置60等に供給される。
【0057】
以上述べた通り、本発明の第1の実施形態によるブレーキ装置1によれば、正常時,異常時のいずれの場合においても、主電源10と補助電源20の電力を、ブレーキ力配分制御装置40,第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60、等に供給することができ、ブレーキキャリパ90を確実に動作させることができる。これにより、運転者の要求に応じて車両を安全に減速させられるとともに、車両の安定性を向上させることができる。
【0058】
次に、本発明の実施形態に係るブレーキ装置1に備わるリレー制御装置31の具体的な処理について、図3,図4を参照して説明する。
【0059】
図3は、リレー制御装置31が実行する第1のルーチン(以下、リレー制御ルーチン
R1と称す)のフローチャートである。リレー制御ルーチンR1は、所定の時間間隔で繰り返し起動される。
【0060】
ここで、V1は、電圧モニタ回路35aから得られる電源線104の電圧、すなわち主電源線100の電圧である。また、V2は、電圧モニタ回路35bから得られる電源線
106の電圧、すなわち第1の電力供給線102の電圧である。また、V3は、電圧モニタ回路35cから得られる電源線107の電圧、すなわち第2の電力供給線103の電圧である。また、V4は、電圧モニタ回路35dから得られる電源線105の電圧、すなわち補助電源線101の電圧である。
【0061】
リレー制御ルーチンR1が起動されると、まず、ステップ300の処理が実行される。
【0062】
ステップ300では、V4が所定値V0Aを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ301の処理が実行され、成立しない場合にはステップ302の処理が実行される。
【0063】
ここで、所定値V0Aは、ブレーキ装置1が通常の稼動状態にある場合の補助電源20の電圧よりも低い範囲で任意に設定されている。これにより、補助電源線101に異常が発生したことを検出し、適切な処置を施すことができるため、ブレーキ装置1のフェールセーフ性能が向上する。
【0064】
ステップ301では、補助電源線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、補助電源線異常の警告を発することができる。
【0065】
ステップ302では、V1とV2とV3が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ303の処理が実行され、成立しない場合には今回のルーチンは終了する。
【0066】
ここで、所定値V0Mは、電力供給装置30,ブレーキ力配分制御装置40,第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60の、それぞれの最低動作電圧の最大値よりも高く、かつブレーキ装置1が通常の稼動状態にある場合の主電源10の電圧よりも低い範囲で任意に設定されている。これにより、主電源線100に異常が発生して、これらの電圧が低下しても、電力供給装置30、またはブレーキ配分力制御装置40、または第1のアクチュエータ駆動装置50、または第2のアクチュエータ駆動装置60の動作が停止する以前に異常を検出し、適切な処置を施すことができるため、ブレーキ装置1のフェールセーフ性能が向上する。
【0067】
ステップ303では、第2のリレー33を開く処理と、第3のリレー34を閉じる処理が実行される。これにより、主電源10から、主電源線100,電源線104,第1のリレー32,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、補助電源20から、補助電源線
101,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、主電源線100,第1の電力供給線102のいずれかが故障の場合には、後者の体制によって第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。一方、第2の電力供給線103が故障の場合には、前者の体制によって第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bを動作させることができる。
【0068】
なお、特に断りのないかぎり、主電源線100の故障には主電源10の故障を含み、補助電源線101の故障には補助電源20の故障を含み、第1の電力供給線102の故障には第1のアクチュエータ駆動装置50の故障を含み、第2の電力供給線103の故障には第2のアクチュエータ駆動装置60の故障を含む。
【0069】
ステップ304では、V1とV2が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ307の処理が実行され、成立しない場合にはステップ305の処理が実行される。
【0070】
ステップ305では、第3のリレー34を開く処理が実行される。ステップ305に至るのは、第2の電力供給線103に故障が発生した場合であるため、上記の処理によって、第2の電力供給線103及び第2のアクチュエータ駆動装置60への電力供給を遮断することができる。
【0071】
ステップ306では、ステップ305での処理を受けて、第2の電力供給線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第2の電力供給線異常の警告を発することができる。
【0072】
ステップ307では、第1のリレー32を開く処理が実行される。ステップ307に至るのは、第1の電力供給線102に故障が発生した場合であることが考えられるため、上記の処理によって、第1の電力供給線102及び第1のアクチュエータ駆動装置50への電力供給を遮断することができる。
【0073】
ステップ308では、V1が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ310の処理が実行され、成立しない場合にはステップ309の処理が実行される。
【0074】
ステップ309に至るのは、第1の電力供給線102に故障が発生した場合であるため、ステップ309では、第1の電力供給線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第1の電力供給線異常の警告を発することができる。
【0075】
ステップ310では、第2のリレー33を閉じる処理が実行される。これにより、補助電源20から、補助電源線101,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、補助電源20から、補助電源線101,電源線105,第3のリレー34,電源線
107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0076】
ステップ310に至るのは、主電源線100に故障が発生した場合であるため、ステップ311では、主電源線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、主電源線異常の警告を発することができる。
【0077】
なお、リレー制御ルーチンにおける、主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103の故障とは、例えば接地であり、これに起因する電圧の低下である。
【0078】
以上述べた通り、本発明の第1の実施形態によるブレーキ装置1によれば、主電源10,補助電源20,主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障部位に応じて第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御するため、少なくとも一つのブレーキ系統に電力を供給することができ、それらのブレーキキャリパ90を動作させることができる。
【0079】
すなわち、リレー制御ルーチンR1は、故障した部位を特定し、それに応じて適切な処置を施すことを目的としているため、同等の処置を施せるのであれば必ずしも図3に示すフローチャートに従う必要はなく、適宜最適な構成を採ることができる。
【0080】
図4は、リレー制御装置31が実行する第2のルーチン(以下、リレー制御ルーチン
R2と称す)のフローチャートである。リレー制御ルーチンR2は、所定の時間間隔で繰り返し起動される。
【0081】
リレー制御ルーチンR2が起動されると、まず、ステップ400の処理が実行される。
【0082】
ステップ400では、V2がLOレベルであるか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ401の処理が実行され、成立しない場合にはステップ403の処理が実行される。
【0083】
ステップ401では、第3のリレー34を閉じる処理が実行される。これにより、補助電源20から、補助電源線101,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、補助電源20から、補助電源線101,電源線105,第3のリレー34,電源線
107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,
90dを動作させることができる。
【0084】
ステップ401に至るのは、第1のリレー32に、例えば接点の常開故障が発生した場合であるため、ステップ402では、第1のリレー異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第1のリレー異常の警告を発することができる。
【0085】
ステップ403では、V3がLOレベルであるか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ404の処理が実行され、成立しない場合には今回のルーチンは終了する。
【0086】
ステップ404では、第3のリレー34を閉じる処理が実行される。これにより、主電源10から、主電源線100,電源線104,第1のリレー32,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、補助電源20から、補助電源線101,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0087】
ステップ404に至るのは、第2のリレー33に、例えば接点の常開故障が発生した場合であるため、ステップ405では、第2のリレー異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第2のリレー異常の警告を発することができる。
【0088】
以上述べた通り、本発明の第1の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障部位に応じて第3のリレー34の開閉を制御するため、第1のブレーキ系統
70と第2のブレーキ系統71の両方に電力を供給することができ、それらのブレーキキャリパ90を動作させることができる。
【0089】
すなわち、リレー制御ルーチンR2は、故障した部位を特定し、それに応じて適切な処置を施すことを目的としているため、同等の処置を施せるのであれば必ずしも図4に示すフローチャートに従う必要はなく、適宜最適な構成を採ることができる。
【0090】
図5は、リレー制御ルーチンR1及びリレー制御ルーチンR2に基づいて決定された、故障部位及び故障モードに対する、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉状態、第1のアクチュエータ駆動装置50及び第2のアクチュエータ駆動装置60への電力供給の有無を纏めた図表である。
【0091】
このように、本発明の第1の実施形態によるブレーキ装置1によれば、主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。これにより、第1のアクチュエータ駆動装置
50,第2のアクチュエータ駆動装置60の少なくともいずれか一方に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者及び乗員の安全を確保することができる。
【0092】
なお、第1の実施形態では、図示しないエンジンを始動する際に、第1のリレー32を開いて、第3のリレー34を閉じることができる。これにより、主バッテリ11に接続された図示しない始動機でエンジンを始動している最中にも、始動に伴う主バッテリ11の電圧降下の影響を受けることなく、補助電源20によって、第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60,ブレーキ力配分制御装置40に所定の電圧を印加することができる。これにより、エンジンを始動している最中にも、制動力を確保することができる。
【0093】
なお、図1に示すような、第1〜第3のリレー32,33,34が接続される構成においては、これらの開閉状態を検知,検証するために次のような手法を用いることができる。
【0094】
すなわち、主電源線100の電圧を低下させた場合にV1〜V4のうちV1のみがLOレベルになる。また、補助電源線101の電圧を低下場合にV1〜V4のうちV4のみがLOレベルになる。また、第1の電力供給線102の電圧を低下させた場合にV1〜V4のうちV2のみがLOレベルになる。また、第2の電力供給線103の電圧を低下させた場合にV1〜V4のうちV3のみがLOレベルになることで、リレー制御ルーチンR1に従って第1〜第3のリレー32,33,34の開閉が制御されていると判断することができる。
【0095】
また、第1のリレー32の接点を開いた場合にV2とV3とV4の電位がほぼ等しくなる。また、第2のリレー33の接点を開いた場合にV3とV4の電位がほぼ等しくなることで、リレー制御ルーチンR2に従って第3のリレー34の開閉が制御されていると判断することができる。
【0096】
このような検証手法を用いることによって、図1〜図5に示す本発明の第1の実施形態の構成と制御ルーチンを容易に検認することができる。
【実施例2】
【0097】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0098】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、主電源10に代えて第1のバッテリ
13を備えている点,補助電源20に代えて第2のバッテリ14を備えている点,主電源線100に代えて第1の電源線120を備えている点,補助電源線101に代えて第2の電源線121を備えている点,オルタネータ12を電源線23を介して第1のバッテリ
13に接続している点,オルタネータ12を電源線24を介して第2のバッテリ14に接続している点、である。
【0099】
なお、ダイオード25は、オルタネータ12側から第1のバッテリ13側に向かう電流を許容し、第1のバッテリ13側からオルタネータ12側に向かう電流を阻止する。同様に、ダイオード26は、オルタネータ12側から第2のバッテリ14側に向かう電流を許容し、第2のバッテリ14側からオルタネータ12側に向かう電流を阻止する。
【0100】
他の異なる点は、第2のリレー33が正常時に開いている状態にある点,第3のリレー34が正常時に閉じている状態にある点、である。これにより、第1の電源線120を介して電力供給装置30に供給された電力は、電源線104,第1のリレー32,電源線
106,第1の電力供給線102を介して第1のアクチュエータ駆動装置50等に供給される。また、第2の電源線121を介して電力供給装置30に供給された電力は、電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2の電力供給線103を介して第2のアクチュエータ駆動装置60等に供給される。ただし、ブレーキ装置1に何らかの故障が発生した場合には、第1の電源線120を介して電力供給装置30に供給された電力は、電源線104,第1のリレー32,電源線106,電源線108,第2のリレー33,電源線109,第2の電力供給線103を介して第2のアクチュエータ駆動装置60等にも供給される。また、第2の電源線121を介して電力供給装置30に供給された電力は、電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106,第1の電力供給線102を介して第1のアクチュエータ駆動装置50等にも供給される。
【0101】
以上述べた通り、本発明の第2の実施形態によるブレーキ装置1によれば、正常時,異常時のいずれの場合においても、第1のバッテリ13と第2のバッテリ14の電力を、ブレーキ力配分制御装置40,第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60、等に供給することができ、ブレーキキャリパ90を確実に動作させることができる。これにより、運転者の要求に応じて車両を安全に減速させられるとともに、車両の安定性を向上させることができる。
【0102】
なお、第2の実施形態では、正常時、第1のバッテリ13と第2のバッテリ14の両方から電力供給装置30等に電力が供給されるため、第1のバッテリ13と第2のバッテリ14の容量を、第1の実施形態における主バッテリ11の容量に比べて小さくできるという効果がある。
【0103】
次に、第2の実施形態におけるリレー制御ルーチンR1について、図7を参照して説明する。
【0104】
図7は、リレー制御ルーチンR1のフローチャートである。リレー制御ルーチンR1は、所定の時間間隔で繰り返し起動される。
【0105】
リレー制御ルーチンR1が起動されると、まず、ステップ500の処理が実行される。
【0106】
ステップ500では、V1とV2が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ501の処理が実行され、成立しない場合にはステップ506の処理が実行される。
【0107】
ステップ501では、第1のリレー32を開く処理が実行される。ステップ501に至るのは、第1の電力供給線102に故障が発生した場合であることが考えられるため、上記の処理によって、第1の電力供給線102及び第1のアクチュエータ駆動装置50への電力供給を遮断することができる。
【0108】
ステップ502では、V1が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ504の処理が実行され、成立しない場合にはステップ503の処理が実行される。
【0109】
ステップ503に至るのは、第1の電力供給線102に故障が発生した場合であるため、ステップ503では、第1の電力供給線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第1の電力供給線異常の警告を発することができる。
【0110】
ステップ504では、第2のリレー33を閉じる処理が実行される。これにより、第2のバッテリ14から、第2の電源線121,電源線105,第3のリレー34,電源線
107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、第2のバッテリ14から、第2の電源線121,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0111】
ステップ504に至るのは、第1の電源線120に故障が発生した場合であるため、ステップ505では、第1の電源線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第1の電源線異常の警告を発することができる。
【0112】
ステップ506では、V3とV4が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ507の処理が実行され、成立しない場合には今回のルーチンは終了する。
【0113】
ステップ507では、第3のリレー34を開く処理が実行される。ステップ507に至るのは、第2の電力供給線103に故障が発生した場合であることが考えられるため、上記の処理によって、第2の電力供給線103及び第2のアクチュエータ駆動装置60への電力供給を遮断することができる。
【0114】
ステップ508では、V4が所定値V0Mを下回るか否かが判断され、これが成立する場合にはステップ510の処理が実行され、成立しない場合にはステップ509の処理が実行される。
【0115】
ステップ509に至るのは、第2の電力供給線103に故障が発生した場合であるため、ステップ509では、第2の電力供給線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより、今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第2の電力供給線異常の警告を発することができる。
【0116】
ステップ510では、第2のリレー33を閉じる処理が実行される。これにより、第1のバッテリ13から、第1の電源線120,電源線104,第1のリレー32,電源線
106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、第1のバッテリ13から、第1の電源線120,電源線104,第1のリレー32,電源線106,電源線108,第2のリレー33,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0117】
ステップ510に至るのは、第2の電源線121に故障が発生した場合であるため、ステップ511では、第2の電源線異常フラグをオンにする処理が実行される。これにより今回のルーチンは終了する。なお、電力供給装置30は、フラグのオンに基づいて、第2の電源線異常の警告を発することができる。
【0118】
以上述べた通り、本発明の第2の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1のバッテリ13,第2のバッテリ14,第1の電源線120,第2の電源線121,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60のいずれか一つの故障に対して、これらの発生を検出するとともに、故障部位に応じて第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御するため、少なくとも一つのブレーキ系統に電力を供給することができ、それらのブレーキキャリパ
90を動作させることができる。
【0119】
すなわち、リレー制御ルーチンR1は、故障した部位を特定し、それに応じて適切な処置を施すことを目的としているため、同等の処置を施せるのであれば必ずしも図7に示すフローチャートに従う必要はなく、適宜最適な構成を採ることができる。
【0120】
次に、第2の実施形態におけるリレー制御ルーチンR2について、図4を参照して説明する。
【0121】
第2の実施形態におけるリレー制御ルーチンR2が、図4に示す第1の実施形態におけるリレー制御ルーチンR2と異なる点は、ステップ401において第3のリレー34に代えて第2のリレー33を閉じる処理が実行される点、である。これにより、第2のバッテリ14から、第2の電源線121,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109,第2のリレー33,電源線108,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、第2のバッテリ14から、第2の電源線121,電源線105,第3のリレー34,電源線107,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統
70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0122】
他の異なる点は、ステップ404において第3のリレー34に代えて第2のリレー33を閉じる処理が実行される点、である。これにより、第1のバッテリ13から、第1の電源線120,電源線104,第1のリレー32,電源線106を介して第1のアクチュエータ駆動装置50とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。また、第1のバッテリ13から、第1の電源線120,電源線104,第1のリレー32,電源線106,電源線108,第2のリレー33,電源線109を介して第2のアクチュエータ駆動装置60とブレーキ力配分制御装置40に電力が供給される体制が作られる。これにより、第1のブレーキ系統70のブレーキキャリパ90a,90bと、第2のブレーキ系統71のブレーキキャリパ90c,90dを動作させることができる。
【0123】
なお、ステップ405では、第3のリレー異常フラグをオンにする処理が実行される。
【0124】
図8は、リレー制御ルーチンR1及びリレー制御ルーチンR2に基づいて決定された、故障部位及び故障モードに対する、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉状態,第1のアクチュエータ駆動装置50及び第2のアクチュエータ駆動装置60への電力供給の有無を纏めた図表である。
【0125】
このように、本発明の第2の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1の電源線
120,第2の電源線121,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第3のリレー34のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。これにより、第1のアクチュエータ駆動装置50,第2のアクチュエータ駆動装置60の少なくともいずれか一方に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者及び乗員の安全を確保することができる。
【実施例3】
【0126】
図9は、本発明の第3の実施形態に係るブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0127】
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1のアクチュエータ駆動装置50と第2のアクチュエータ駆動装置60に代えて第3のアクチュエータ駆動装置200を備えている点,第1の電力供給線102と第2の電力供給線103が第3のアクチュエータ駆動装置200に接続されている点、である。
【0128】
なお、第3の実施形態では、第1の実施形態に比べてアクチュエータ駆動装置の数を減らせられるとともに、その分故障モードの数が少なくなるという効果がある。
【0129】
また、第3の実施形態では、電力供給装置30と第3のアクチュエータ駆動装置200を一体化することができる。これにより、第1の電力供給線102と第2の電力供給線
103を備える必要がなくなり、その分故障発生確率が低下するため、ブレーキ装置1全体の信頼性が向上する。
【0130】
図9において、第3のアクチュエータ駆動装置200は、油圧発生装置であり、ブレーキ力配分制御装置40からの制動力指令値に基づいて油圧を発生する。そして、これを油圧配管91を介してブレーキキャリパ90に供給する。
【0131】
ここで、第3のアクチュエータ駆動装置200について説明する。
【0132】
図10は、第3のアクチュエータ駆動装置200の構成を表すブロック図である。
【0133】
なお、図2に示す第1のアクチュエータ駆動装置50と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0134】
第3のアクチュエータ駆動装置200が第1のアクチュエータ駆動装置50と異なる点は、ソレノイド駆動回路52と油圧制御弁53がそれぞれ2個備わっている点,CPU51とモータ駆動回路54が第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方から電力の供給を受けている点、である。
【0135】
なお、CPU51とモータ駆動回路54は、第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方から電力の供給を受けているため、いずれか一方の電力供給線からの電力供給が途絶えた場合であっても、動作し続けることができる。
【0136】
また、ソレノイド駆動回路52aは第1の電力供給線102を介して、またソレノイド駆動回路52bは第2の電力供給線103を介して、それぞれ独立に電力供給装置30から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方の電力供給線からの電力供給が途絶え、これにつながるソレノイド駆動回路52が停止した場合であっても、もう一方のソレノイド駆動回路52は継続して電力の供給を受け、動作し続けることができる。これにより、少なくとも2個のブレーキキャリパ90が制御されるため、運転者の要求に応じて車両を安全に減速させることができる。
【0137】
本発明の第3の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1の実施形態と同様に、主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。これにより、第3のアクチュエータ駆動装置200に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者及び乗員の安全を確保することができる。
【実施例4】
【0138】
図11は、本発明の第4の実施形態に係るブレーキ装置1の全体構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0139】
第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1のアクチュエータ駆動装置50と第2のアクチュエータ駆動装置60に代えて第4のアクチュエータ駆動装置210と第5のアクチュエータ駆動装置220を備えている点,第1の電力供給線102と第2の電力供給線103が第4のアクチュエータ駆動装置210に接続されている点,主電源線100から分岐した電源線114が第5のアクチュエータ駆動装置220aに接続されている点,補助電源線101から分岐した電源線115が第5のアクチュエータ駆動装置220bに接続されている点,ブレーキキャリパ90c,90dが電動キャリパである点、である。
【0140】
なお、第4の実施形態では、4個のブレーキキャリパ90のうちの2個が電動キャリパであるため、その分油圧配管の設置長さを短くできるという効果がある。
【0141】
また、第4の実施形態では、電力供給装置30と第4のアクチュエータ駆動装置210を一体化することができる。これにより、第1の電力供給線102と第2の電力供給線
103を備える必要がなくなり、その分故障発生確率が低下するため、ブレーキ装置1全体の信頼性が向上する。
【0142】
図11において、第4のアクチュエータ駆動装置210は、油圧発生装置であり、ブレーキ力配分制御装置40からの制動力指令値に基づいて油圧を発生する。そして、これを油圧配管91a,91bを介してブレーキキャリパ90a,90bに供給する。
【0143】
ここで、第4のアクチュエータ駆動装置210について説明する。
【0144】
図12は、第4のアクチュエータ駆動装置210の構成を表すブロック図である。
【0145】
なお、図2に示す第1のアクチュエータ駆動装置50と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0146】
第4のアクチュエータ駆動装置210が第1のアクチュエータ駆動装置50と異なる点は、ソレノイド駆動回路52と油圧制御弁53がそれぞれ2個備わっている点,CPU51とモータ駆動回路54が第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方から電力の供給を受けている点、である。
【0147】
なお、CPU51とモータ駆動回路54は、第1の電力供給線102と第2の電力供給線103の両方から電力の供給を受けているため、いずれか一方の電力供給線からの電力供給が途絶えた場合であっても、動作し続けることができる。
【0148】
また、ソレノイド駆動回路52aは第1の電力供給線102を介して、またソレノイド駆動回路52bは第2の電力供給線103を介して、それぞれ独立に電力供給装置30から電力の供給を受けている。そのため、いずれか一方の電力供給線からの電力供給が途絶え、これにつながるソレノイド駆動回路52が停止した場合であっても、もう一方のソレノイド駆動回路52は継続して電力の供給を受け、動作し続けることができる。これにより、少なくとも1個のブレーキキャリパ90が制御されるため、運転者の要求に応じて車両を安全に減速させることができる。
【0149】
図11において、第5のアクチュエータ駆動装置220は、モータ駆動回路であり、ブレーキキャリパ90c,90dとは、3相電源線230a,230bによって接続されている。
【0150】
電動キャリパであるブレーキキャリパ90c,90dは、例えば、図示しない、モータ,モータのトルクをピストンの推力に変換する変換機構,ピストン,パッド、等から構成されている。
【0151】
ブレーキキャリパ90c,90dは、第5のアクチュエータ駆動装置220から供給された3相電力によってモータが回転駆動され、発生したトルクが変換機構によって推力に変換され、推力によってピストンが駆動され、ピストンに連結されたパッドがディスクロータ92に押圧されるものである。
【0152】
なお、第5のアクチュエータ駆動装置220への電力の供給は、必ずしも図11に従う必要はなく、これ以外の場合でも構わない。
【0153】
本発明の第4の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1の実施形態と同様に、主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。これにより、第4のアクチュエータ駆動装置210に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者及び乗員の安全を確保することができる。
【実施例5】
【0154】
図13は、本発明の第5の実施形態に係るブレーキ装置1の全体構成を示す図である。
【0155】
なお、第1の実施形態と同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。
【0156】
第5の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1のアクチュエータ駆動装置50と第2のアクチュエータ駆動装置60に代えて第5のアクチュエータ駆動装置220を備えている点,第1の電力供給線102a,102bが第5のアクチュエータ駆動装置220a,220bに接続されている点,第2の電力供給線103a,103bが第5のアクチュエータ駆動装置220c,220dに接続されている点,ブレーキキャリパ90が電動キャリパである点、である。
【0157】
なお、第5の実施形態では、4個のブレーキキャリパ90のすべてが電動キャリパであるため、油圧及び油圧配管を不要にできるという効果がある。
【0158】
図13において、第5のアクチュエータ駆動装置220は、モータ駆動回路であり、ブレーキキャリパ90とは、3相電源線によって接続されている。
【0159】
電動キャリパであるブレーキキャリパ90は、例えば、図示しない、モータ,モータのトルクをピストンの推力に変換する変換機構,ピストン,パッド、等から構成されている。
【0160】
ブレーキキャリパ90は、第5のアクチュエータ駆動装置220から供給された3相電力によってモータが回転駆動され、発生したトルクが変換機構によって推力に変換され、推力によってピストンが駆動され、ピストンに連結されたパッドがディスクロータ92に押圧されるものである。
【0161】
本発明の第5の実施形態によるブレーキ装置1によれば、第1の実施形態と同様に、主電源線100,補助電源線101,第1の電力供給線102,第2の電力供給線103,第1のリレー32,第2のリレー33のいずれか一つの故障が発生した場合に、故障部位を切り離す、あるいは故障部位と故障していない部位とを分断する、あるいは故障部位への電力供給を遮断する、あるいは電力供給できなくなった部位に電力を供給するように、第1〜第3のリレー32,33,34の開閉を制御する。これにより、第5のアクチュエータ駆動装置220に確実に電力が供給されるため、車両を所定の減速度で停止させることができ、運転者及び乗員の安全を確保することができる。
【0162】
以上、本発明の実施形態を図面に従って説明したが、これらはあくまでも一つの実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における第1のアクチュエータ駆動装置の構成を表すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるリレー制御装置が実行する第1のルーチンのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるリレー制御装置が実行する第2のルーチンのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態において、故障部位及び故障モードに対する、第1〜第3のリレーの開閉状態,第1のアクチュエータ駆動装置及び第2のアクチュエータ駆動装置への電力供給の有無を纏めた図表である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるリレー制御装置が実行する第1のルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態において、故障部位及び故障モードに対する、第1〜第3のリレーの開閉状態,第1のアクチュエータ駆動装置及び第2のアクチュエータ駆動装置への電力供給の有無を纏めた図表である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における第3のアクチュエータ駆動装置の構成を表すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係るブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における第4のアクチュエータ駆動装置の構成を表すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係るブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0164】
1…ブレーキ装置、10…主電源、11…主バッテリ、12…オルタネータ、13…第1のバッテリ、14…第2のバッテリ、20…補助電源、21…電源線、22…ダイオード、23,24,100〜115…電源線、25,26…ダイオード、30…電力供給装置、31…リレー制御装置、32…第1のリレー、33…第2のリレー、34…第3のリレー、35…電圧モニタ回路、36,37…ダイオード、40…ブレーキ力配分制御装置、50…第1のアクチュエータ駆動装置、51…CPU、52…ソレノイド駆動回路、
53…油圧制御弁、54…モータ駆動回路、55…ポンプ駆動モータ、56…油圧ポンプ、60…第2のアクチュエータ駆動装置、70…第1のブレーキ系統、71…第2のブレーキ系統、80…ブレーキペダル、81…ブレーキセンサ、82…イグニッションスイッチ、90…ブレーキキャリパ、91…油圧配管、92…ディスクロータ、120…第1の電源線、121…第2の電源線、200…第3のアクチュエータ駆動装置、210…第4のアクチュエータ駆動装置、220…第5のアクチュエータ駆動装置、230…3相電源線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源から電力を供給されて互いに独立して動作する少なくとも2つ以上のブレーキ系統を備えたブレーキ装置であって、電源とブレーキ系統との間に第1の電力供給遮断手段をそれぞれ備えるとともに、各ブレーキ系統を第2の電力供給遮断手段を介してそれぞれ接続したことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ装置において、第2の電力供給遮断手段を介して各ブレーキ系統を接続する位置は、第1の電力供給遮断手段の下流側であることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブレーキ装置において、すべての電源が電力を供給できる状態にある場合には、すべての第2の電力供給遮断手段を機能させ、少なくとも1つの電源が電力を供給できない状態になった場合には、その電源から電力を供給されるブレーキ系統につながる第2の電力供給遮断手段のうち、少なくとも1つを機能させないことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のブレーキ装置において、すべての電源が電力を供給できる状態にある場合には、すべての第2の電力供給遮断手段を機能させず、少なくとも1つの電源が電力を供給できない状態になった場合には、その電源から電力を供給されるブレーキ系統につながるすべての第2の電力供給遮断手段を機能させることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項5】
第1のアクチュエータ駆動装置を含み、複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪の制動を分担する第1のブレーキ系統と、
第2のアクチュエータ駆動装置を含み、複数の車輪のうち前記第1のブレーキ系統が分担する車輪を除く少なくとも一つの車輪の制動を分担する第2のブレーキ系統と、
主電源から前記第1のブレーキ系統に電力を供給する電源線の途中に設けた第1のリレーと、
主電源から前記第1のリレーを経て前記第2のブレーキ系統に電力を供給する電源線の途中に設けた第2のリレーと、
補助電源と、前記第2のリレーと前記第2のブレーキ系統との間の電源線と、を接続する電源線の途中に設けた第3のリレーと、
前記第1,第2及び第3のリレーの開閉を制御するリレー制御装置と、
を備えたことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項6】
主電源からの電力を複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪の制動を分担する第1のブレーキ系統に供給する電源線の途中に設けた第1のリレー、
主電源からの電力を前記第1のリレーを介して複数の車輪のうち前記第1のブレーキ系統が分担する車輪を除く少なくとも一つの車輪の制動を分担する第2のブレーキ系統に供給する電源線の途中に設けた第2のリレー、及び
補助電源と、前記第2のリレーと前記第2のブレーキ系統との間の電源線と、を接続する電源線の途中に設けた第3のリレー
の開閉を制御するリレー制御装置を備え、
前記リレー制御装置は、
前記主電源,前記補助電源,前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統が正常に動作可能な状態にある場合は、前記第1及び前記第2のリレーを閉じると共に前記第3のリレーを開いて、主電源から前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統に電力を供給し、
前記主電源に異常が発生し前記補助電源,前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統が正常に動作可能な状態にある場合は、前記第1のリレーを開くと共に前記第2及び第3のリレーを閉じて、補助電源から前記第1のブレーキ系統及び前記第2のブレーキ系統に電力を供給するように、
各リレーを制御することを特徴とするブレーキ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−253834(P2007−253834A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81903(P2006−81903)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】