説明

プラスチック製容器の製造法

【課題】 プラスチック製容器本体の内面の全面にプラズマを加速度を持って衝突させて、全面に十分なガスバリア性の薄膜を有するプラスチック製容器の製造法を提供する。
【解決手段】 外部電極と内部電極を備え、該外部電極は、プラスチック製容器本体の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室を備え、また、該内部電極は、反応室内に配置され、かつ、内部電極は、複数の原料ガス吹き出し孔を備え、また、内部電極には原料ガス供給管が連設され、更に、反応室には真空源が排気管を介して接続され、外部電極には整合器を介して高周波電源が接続され、内部電極には原料ガス供給管を介して接地され、外部電極の周りには磁石が配置されている高周波ブラズマCVD装置を用いてプラスチック製容器本体の内面に十分なガスバリア性の薄膜を有するプラスチック製容器の製造法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波プラズマCVD装置を用いてなるプラスチック製容器本体の内面に、ガスバリア性薄膜を有し、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に優れたプラスチック製容器の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の物品を充填包装する包装用容器の一つとして、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形法によって成形される種々の形態のプラスチック製容器がある。
これらのプラスチック製容器は、ガラス製容器と比較して、軽量である、割れにくい、安価である、製造が容易であり、且つ、大量生産が可能である、取り扱いが簡便である、その他の種々の利点を有し、今日、種々の物品を充填包装する包装用容器として、不可欠なものとして、多方面に使用されている。
【0003】
しかしながら、上記のプラスチック製容器は、種々の利点を有する反面幾つかの欠点を有する。
その欠点の一つとして、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等のガス透過性が高いということがある。
例えば、ポリエステル系樹脂、或いは、ポリオレフィン系樹脂からなる延伸ブロー成形容器は、大気中のガスが成形容器に浸入、または包装内容物中の成分が容器外に放出され、包装内容物の品質等に大きな影響を与え、その品質を変質、改質し、或いは劣化させ、また、そのシェルフライフの低下等を引き起こすという問題点を有する。
【0004】
また、上記のプラスチック製容器においては、プラスチック組成中に含まれる可塑剤、安定剤、その他の添加剤、或いは、残留モノマー等が溶出し、これらが包装内容物の品質等に影響を与え、その品質を変質、改質させ、もはや、その用をなさないようにしてしまうことになりかねないことがある。
【0005】
ところで、プラスチック製容器における上記のような問題点を改良するものとして、例えば、プラスチック製容器の表面に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、或いは、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等のガスバリア性樹脂を含むガスバリア性樹脂組成物をコーティングしてなるガスバリア性樹脂膜を有するプラスチックプラスチック製容器、或いは、プラスチック製容器本体の表面及び/又は内面に、酸化珪素薄膜をプラズマCVD法により形成してなるプラスチック製容器(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等を参照)が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器において、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂からなるガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器の場合には、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性に関しては所期の効果が奏せられるが、包装用容器として使用後、これをゴミとして廃棄処理する場合、例えば、焼却処理により廃棄処理すると、ガスバリア性薄膜は塩素原子を含有していることから、塩素原子は、例えば、ダイオキシン等の有毒ガス等を発生する原因となり、人体等への影響が懸念されるために、このポリ塩化ビニリデン系樹脂からなるガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器は、廃棄処理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環境適性にも欠けるという問題点を有する。
【0007】
又、上記のガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器において、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器の場合には、絶乾状態においては、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性に関しては所期の効果が奏せられるものの、湿潤状態においては、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性は、著しく低下し、もはや、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア性樹脂膜を有するプラスチック製容器はその使用に耐え得なくなる。
【0008】
更に、上記のプラスチック製容器本体の表面及び/又は内面に、酸化珪素薄膜をプラズマCVD法により形成してなるプラスチック製容器においては、プラスチック製容器本体自身は、例えば、成形時、或いは、包装内容物の充填時等において膨張及び収縮性を有するものであり、他方、酸化珪素薄膜自体は、無機質で、ガラス質のものであり、更に、柔軟性、可撓性等に欠けるものであることから、上記のプラスチック製容器本体の膨張及び収縮等の変化に対し酸化珪素薄膜が追随性に欠け、酸化珪素薄膜に極めて簡単にクラック等を発生する。
而して、酸化珪素薄膜にクラック等が発生すると、もはや、ガスバリア性の機能は喪失され、プラスチック製容器本体の表面及び/又は内面に、酸化珪素薄膜をプラズマCVD法により形成してなるプラスチック製容器は、包装用容器として使用することはできなくなる。
【0009】
また、上記のプラスチック製容器本体の表面側に、酸化珪素薄膜をプラズマCVD法により形成してなるプラスチック製容器においては、その内面側に酸化珪素薄膜を有していないことから、依然として、このプラスチック製容器においては、プラスチック組成中に含まれる可塑剤、安定剤、その他の添加剤、或いは残留モノマー等が溶出し、これらの可塑剤、安定剤、その他の添加剤、或いは残留モノマー等が包装内容物の品質等に影響を及ぼし、その品質を変質、改質させ、このプラスチック製容器は、もはや、その用をなさなくなるということになりかねない。
【0010】
ところで、プラスチック製容器本体の内面の全面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成するも、そのガスバリア性薄膜にクラック等の発生はなく、酸素ガス、水蒸気、炭酸ガス等の透過を阻止するガスバリア性に極めて優れたプラスチックを提供する装置として、図6のような、高周波プラズマCVD装置が提案されている。
【0011】
この高周波プラズマCVD装置は、外部電極12と内部電極16を備える。外部電極は第1外部部分電極12aと第2外部部分電極12bからなり、両外部部分電極12a、12bは合わせられ、互いに電気的に接続され、外部電極12に一体化される、この外部電極12は、内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体1の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室Cを備える(尚、図面においては図示の便宜上反応室Cの主要部とプラスチック製容器本体1の主要部はほぼ同形に描かれている)。
また、内部電極は16が反応室C内に配置され、内部電極16は中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔16aを備え、内部電極16には導電性材料からなる原料ガス供給管17が連設されている。反応室Cには真空源(図示せず)が排気管15を介して接続され、外部電極12には整合器13を介して高周波電源14が接続されている。一方内部電極16は、原料ガス供給管17を介して接地されている。
【0012】
上記の従来の装置において、高周波電流による電極12、16間の放電が利用され、プラズマを発生させ、蒸着層の形成が行われ、図7に示すようなプラスチック製容器本体1の内面に蒸着層からなる薄膜2が形成されたプラスチック製容器Aが得られる。
【0013】
しかしながら、この高周波プラズマCVD装置では、プラスチック製容器本体1の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることができないので、十分なガスバリア性の薄膜を形成することができなかった。
【0014】
【特許文献1】実開平5−35660号公報
【特許文献2】特開2000−43875号公報
【特許文献3】特開2000−117881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、プラスチック製容器本体の内面の全面にプラズマを加速度を持って衝突させて、十分なガスバリア性の薄膜を形成することができる高周波プラズマCVD装置を使用し、その内面に十分なガスバリア性の薄膜を有するプラスチック製容器の製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、外部電極と内部電極を備え、外部電極は内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室を備え、内部電極は反応室内に配置され、そして、内部電極は、中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔を備え、内部電極には導電性材料からなる原料ガス供給管が連設され、原料ガス供給管は、真空源と原料ガス供給源に選択的に接続されるように構成されており、外部電極には整合器を介して高周波電源が接続され、内部電極は原料ガス供給管を介して接地され、内部電極の回転手段を備える高周波プラズマCVD装置を使用し、
先ず、プラスチック製容器本体を囲むように両外部部分電極を合わせ、電気的に接続して外部電極に一体化し、
次に、原料ガス供給管を介して真空ポンプにより、反応室内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させ、
次いで、原動車を駆動させてスプロケットを回転させることにより内部電極を回転させながら、アルゴンまたはヘリウムからなる不活性ガスを原料ガス供給管を通して供給して原料ガス吹き出し孔から吹き出させ、同時に外部電極と内部電極との間に高周波電圧を印加し反応室内に高周波グロー放電を発生させて、回転移動する原料ガス吹き出し孔から噴出させた不活性ガスをプラズマ化させ、
そして、プラスチック製容器本体の内面に、上記でプラズマ化した不活性ガスを加速度を持って衝突せしてプラスチック製容器本体の内面に微細な凹凸を形成し、
次に、再度、原料ガス供給管を介して、真空ポンプにより、反応室内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気して、上記と同様に反応室内の真空度を上昇させ、
次いで、プラスチック製容器本体内に、原料ガス供給管を介して、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガス、酸素ガス、および、不活性ガスを使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を、内部電極を回転させることにより回転移動する原料ガス吹き出し孔から反応室内に噴出させ、
更に、外部電極と内部電極との間に高周波電圧を印加し反応室内に高周波グロー放電を発生させ、その高周波グロー放電によって、反応室内に供給された蒸着用原料ガス組成物を気相反応せしめて、プラズマ化した酸化珪素を主体とする反応生成物を生成し、
そして、プラスチック製容器本体の内面に、プラズマ化した酸化珪素を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させ、 しかる後上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管を介しての反応室への蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、
次いで、反応室に大気を導入し、
しかる後、プラスチック製容器本体の内面に、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出すことを特徴とするプラスチック製容器の製造法を要旨とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の高周波プラズマCVD装置において、更に外部電極の周りに磁石が設けられていることを要旨とする。
【0018】
而して、請求項1に記載の発明の高周波ブラズマCVD装置によれば、内部電極の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明の高周波プラズマCVD装置によれば、反応室の内部に磁界を発生させると共に内部電極の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い効率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
【0020】
而して、本発明は、上記のプラスチック製容器に関する課題を解決するもので、高周波プラズマCVD装置を用い、外部電極内に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体を配置し、プラスチック製容器本体内に内部電極を配置し、電極間に高周波電圧を印加し、且つ磁力線、内部電極の回転等によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下で、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解によりプラスチック製容器本体の内面にガスバリア性薄膜を形成してなるプラスチック製容器の製造法を要旨とする。
【0021】
本発明の方法により製造されるプラスチック製容器は、磁力線、内部電極の回転等によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下での、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解により、プラスチック製容器本体の内面に強固に固着したガスバリア性薄膜を有し、高いガスバリア性を有し、且つ薄膜がプラスチック製容器本体の内面に強固に固着し剥離することのないものである。
【発明の効果】
【0022】
以上詳細に説明したように、高周波プラズマCVD装置を使用するプラスチック製容器の製造法によれば、反応室の内部に磁界を発生させることで高密度の良質のプラズマを発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることが可能となり、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
更に、本発明においては、内部電極の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
また、本発明においては、反応室の内部に磁界を発生させると共に内部電極の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い効率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
而して、本発明により製造されるプラスチック製容器は、高周波プラズマCVD装置を用い、外部電極内に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体を配置し、プラスチック製容器本体内に内部電極を配置し、電極間に高周波電圧を印加し、且つ磁力線、内部電極の回転等によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下で、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解によりガスバリア性薄膜を形成してなるプラスチック製容器であり、磁力線、内部電極の回転によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下での、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解により、プラスチック製容器本体の内面に強固に固着したガスバリア性薄膜を有し、高いガスバリア性を有し、且つ薄膜がプラスチック製容器本体の内面に強固に固着し剥離することのない利点を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の高周波プラズマCVD装置を示す。
【0024】
本発明の高周波プラズマCVD装置は、外部電極12と内部電極16を備える。
外部電極12は第1外部部分電極12aと第1外部部分電極に対して着脱自在な第2外部部分電極12bからなり、両外部部分電極12a、12bからなる外部電極12は、互いに電気的に接続され、外部電極12に一体化される。
この外部電極12は、内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体1の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室Cを備える(尚、図面においては図示の便宜上反応室Cの主要部とプラスチック製容器本体1の主要部はほぼ同形に描かれている)。
【0025】
また、内部電極16が反応室C内にその中心部に位置するように配置されている。内部電極16は中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔16aを備え、内部電極16には導電性材料からなる原料ガス供給管17が連設されている。
また、反応室Cには真空源(図示せず)が排気管15を介して接続されている。
【0026】
外部電極12には整合器13を介して高周波電源14が接続されている。一方、内部電極16は、原料ガス供給管17を介して接地されている。
【0027】
また外部電極12の周りには反応室C内に磁界を発生させるための複数の磁石18が配置されている。
【0028】
前記した外部電極12は絶縁板1を介して基盤10により支持されている。
【0029】
内部電極16に連設された原料ガス供給管17には、矢印P2で示すように、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成ガスが供給される。
【0030】
また内部電極16に原料ガス供給管17を経て蒸着用原料ガス組成物が供給されると、内部電極16に設けられている原料ガス吹き出し孔16aから蒸着用原料ガス組成物が吹き出される。
尚、原料ガス吹き出し孔16aは、吹き出した蒸着原料ガス組成物を反応室C内に均一に拡散させるために、内部電極16に複数個設けられていることが望ましい。
【0031】
また、排気管15を介して、矢印P1で示すように、真空源(真空ポンプ)によって反応室C内の空気が排気されるように構成されている。
【0032】
磁石18としては、反応室C内に例えば875G(87.5mT)の磁界を発生させ、高密度の良質のプラズマを発生させることを可能とするばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることが可能とし、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能とする磁石を適用することができる。
【0033】
次に図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について説明する。
【0034】
先ず、プラスチック製容器本体1を囲むように両外部部分電極12a、12bを合わせ、電気的に接続して外部電極12に一体化する。
【0035】
次に、排気管15に接続している真空ポンプ(図示せず)により、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させる。
【0036】
次いで、プラスチック製容器本体1内に、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを原料ガス供給管17から供給して原料ガス吹き出し孔16から吹き出させ、同時に外部電極12と内部電極16間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させると共に磁石18により反応室C内に磁界を発生させる。
原料ガス吹き出し孔16から噴出させた不活性ガスは反応室Cにおいてプラズマ化され、プラスチック製容器本体1の内面に加速度を持って衝突せしめられ、プラスチック製容器本体1の内面に微細な凹凸が形成される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質の不活性ガスのプラズマを発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した不活性ガスを加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面に微細な凹凸を形成することが可能となる。
【0037】
次に、再度、排気管15に接続されている真空ポンプにより、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで、排気して、上記と同様に反応室C内の真空度を上昇させる。
【0038】
次いで、反応室C内に、原料ガス供給管17を介して、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で供給し、更に、外部電極12と内部電極16の間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させると共に磁石18により反応室C内に磁界を発生させる。
このとき、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物は反応室C内において気相反応せしめられ、プラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物が生成され、この反応生成物は加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面の全面に被着される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質のプラズマ化した反応生成物を発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した反応生成物を加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面にプラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させることが可能となる。
【0039】
上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管17を介しての反応室Cへの蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応室Cに大気を導入する。
しかる後、プラスチック製容器本体1の内面の全面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜2を形成したプラスチック製容器を取り出し、本発明に係るプラスチック製容器を製造することができる。
【0040】
上記において、反応室C内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましい。
【0041】
また、原料である有機珪素化合物等の蒸着用モノマーは、原料揮発供給装置(図示せず)等を用いて揮発せしめられる。そして、揮発せしめられた蒸着用モノマーは、他のガス供給装置(図示せず)から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合され、蒸着用原料ガス組成物が調製される。
そしてこのようにして得られた蒸着用原料ガス組成物は、原料ガス供給管17を介して反応室C内に導入される。
【0042】
この場合において、蒸着用原料ガス組成物等の蒸着用モノマーガスの含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることが望ましく、例えば、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスと酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることが望ましい。
【0043】
また、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物が反応室C内において気相反応せしめられるときの反応室C内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torrに調整することが望ましく、また、ガスバリア性薄膜を形成する時間としては、1〜300秒間位、好ましくは、3〜20秒間位に調整することが望ましい。
【0044】
また、上記の高周波プラズマCVD装置において、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成は、プラスチック製容器本体の内面の全面に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成される。
それ故、形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となる。
従って、酸化珪素等の無機酸化物を主体とする薄膜のガスバリア性は、従来の真空蒸着法によって形成された酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜に比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なガスバリア性を得ることができる。
【0045】
また、本発明においてはSiOX プラズマによりプラスチック製容器本体1の内面が、清浄化され、プラスチック製容器本体1の内面に、極性基やフリーラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜とプラスチック性容器本体1の内面の密着性が高いものとなる利点を有する。
【0046】
更に上記のように酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成時の反応室Cの真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-3Torr位に調整することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、プラスチック製容器本体1の交換時の真空状態設定時間(プラスチック製容器本体1を反応室C内に配置した後所定の真空度に調整するのに要する時間)を短くすることができる。
それ故、安定した真空度を容易に得ることができ、製膜プロセスは安定化される。
【0047】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とする外バリア性薄膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスと酸素ガス等とが化学気相反応し、その反応生成物が、プラスチック製容器本体1の内面の全面に被着し、緻密な、柔軟性に富む薄膜が形成されるものである。
この薄膜は、通常、一般式SiOX (但し、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
【0048】
而して、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜としては、透明性、ガスバリア性の点から、一般式SiOX (但し、Xは、1.3〜1.9の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする薄膜であることが好ましい。
【0049】
上記の一般式中のXの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般に、Xの値が小さくなればガス透過度が小さくなるが、膜自身が黄色を帯び、透明性が悪くなる。
【0050】
また、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原子、及び、炭素原子が、化学結合して含まれる酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜からなる。
【0051】
更に詳しくは、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜は、酸化珪素を主体とし、これに炭素、水素、珪素または酸素の1種、又は、その2種以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類が化学結合等によって含まれる連続薄膜からなることを特徴とする。
【0052】
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、又は、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合がある。
【0053】
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカーボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
【0054】
更に、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に含まれる化合物の種類、量等を変化させることができる。
【0055】
而して、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に含まれる化合物の含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましい。
含有率が0.1%未満であると、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の耐衝撃性、展延性、柔軟性等が不十分となり、曲げ応力を受けることにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いガスバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、ガスバリア性が低下して好ましくない。
【0056】
更に、本発明においては、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜において、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に含まれる化合物の含有量を、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の表面から薄膜の深さ方向に向かって減少させることが好ましい。 このように構成することにより、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の表面においては、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に含まれる化合物により耐衝撃性等が高められ、他方、ガスバリア性薄膜のプラスチック製容器本体の内面との界面においては、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜中に含まれる化合物の含有量が少ないために、プラスチック製容器本体の内面に対するガスバリア性薄膜との密着が強固になる。
【0057】
また、本発明において、上記の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原子、及び炭素原子が化学結合し、更に、炭素原子量が珪素原子量100に対し80〜130%の割合の、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜からなる。
【0058】
更には、本発明において、上記の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜は、少なくとも、珪素原子、酸素原子、及び、炭素原子が、結合し、更に、炭素原子量が珪素原子量100に対し80〜130%の割合であり、且つ、プラスチック製容器本体1の成形直後のプラスチック容器本体の表面積の収縮率3%からプラスチック製容器本体1内に包装内容物充填直後のプラスチック製容器本体1の膨張率5%の収縮及び膨張に追随し得る酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜からなる。
【0059】
而して、本発明において、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜について、例えば、X線電子分光装置(Xray PhotoelectronSpectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Sec−ondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングするなどして分析する方法を利用して、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の分析を行うことにより、上記のような物性を確認することができる。
【0060】
また、本発明において、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましい。而して、1000Å、更には、4000Åよりもガスバリア性薄膜が厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくない。一方100Å、更には50Å未満であると、ガスバリア性の効果を奏することが困難となる。
【0061】
上記の膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
【0062】
また、上記の酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の膜厚を変更することは、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜の堆積加速度(単位時間当たりの薄膜の成長膜厚)を大きくすること、即ち、モノマーガスと酸素ガス量を大きくする方法や、蒸着時間を多くする等によって行うことができる。
【0063】
次に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロシロキサン、その他を使用することができる。
【0064】
上記した有機珪素化合物の中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料して使用することが、その取り扱い性、形成された連続薄膜の特性等から、特に、好ましい。
【0065】
また、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0066】
更に、本発明において、上記のような有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス等を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物には、その他に、例えば、炭素原子を供給する供給源として、例えば、メタンガス、プロパンガス、二酸化炭素、アセチレンガスその他のガスを添加することができる。
而して、これらを添加することにより、無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜に柔軟性を付与することができる。
【0067】
上記のように、図1に示す高周波プラズマCVD装置を使用して製造した本発明に係るプラスチック製容器は、プラスチック製容器本体1の内面の全面に、無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を設けた構成を有する。
【0068】
次に本発明に係るプラスチック製容器を構成するプラスチック本体1としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル又はポリメタクリル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはリサイクルポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、その他の樹脂の1種乃至2種以上を成形樹脂原料として使用し、これらの樹脂を、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、キャスト成形、熱成形、その他の成形法により成形してなるボトル状、カップ状、碗状、その他の形状の成形容器を使用することができる。
【0069】
而して、本発明に係るプラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体としては、液体飲料、調味料、酒、ビール、その他の液状物の充填包装に適しているポリエステル系樹脂によるブロー成形容器、或いはポリエチレン系樹脂或いはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂からなるブロー成形容器等を使用することが望ましい。
【0070】
上記のプラスチック製容器においては酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜が容器内面の全面に被着されている。
これに代えて容器内面の全面に、例えば、原料ガスとしてアセチレンを含み、且つ不活性ガスとしてアルゴンを含む原料ガス組成物を用いダイヤモンドライクカーボン膜を形成してもよい。
【0071】
次に、実施例を挙げて、図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0072】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形材料として使用し、先ず、常法に従って、これを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形して、大きさ500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを製造した。
【0073】
次に、上記の製造したポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを図1に示す高周波プラズマCVD装置に装着し、次いで、反応室内を真空ポンプにより、真空度0.06Torr(8.0Pa)まで下げた。
【0074】
次に、ブロー成形ボトルの内面の前処理として、アルゴンガスを使用し、これを反応室内に供給し、且つ外部電極の周囲に配置した磁石により反応室内に875Gの磁界を形成した状態の下に電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加してプラズマを発生させ、その状態を約20秒間保持した。
【0075】
この前処理を行うことにより、ブロー成形ボトルの内面の表面が凹凸状を呈すると共にブロー成形ボトルの内面の水分含有率が低下した。
【0076】
次に、再度、真空ポンプにより、反応室内を真空度0.06Torrまで減圧させ、且つ外部電極の周囲に配置した磁石により反応室内に875Gの磁界を形成した状態の下に電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給した。
【0077】
次いで、原料ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマを発生させた状態の下に約30秒間保持して、ブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0078】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.025cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【実施例2】
【0079】
実施例1と同様にして、但し原料ガスとして組成物としてアセチレン:酸素ガス:アルゴン=2:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給し、プラスチック製容器の内面に厚さ1200Åのダイヤモンドライクカーボンの蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0080】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.021cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【0081】
比較例1
実施例1と同様にして、但し磁石による反応室内への磁界の形成は行わずにブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0082】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.047cc/pkg・atm・dayであり、ガスバリア性は実施例1、2のプラスチック製容器に比較して劣ることがわかった。
【0083】
比較例2
実施例2と同様にして、但し磁石による反応室内への磁界の形成は行わずにブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åのダイヤモンドライクカーボンの蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0084】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.041cc/pkg・atm・dayであり、ガスバリア性は実施例1、2のプラスチック製容器に比較して劣ることがわかった。
【0085】
次に図2に示す、図1に示す高周波プラズマCVD装置とは別の構成の本発明に係る高周波プラズマCVD装置について説明する。
【0086】
この図2に示す高周波プラズマCVD装置は、外部電極12と内部電極16を備える。 外部電極12は第1外部部分電極12aと第1外部部分電極に対して着脱自在な第2外部部分電極12bからなり、両外部部分電極12a、12bからなる外部電極12は、互いに電気的に接続され、外部電極12に一体化され、外部電極12は支持装置(図示せず)に支持されている。
この外部電極12は、内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体1の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室Cを備える(尚、図面においては図示の便宜上反応室Cの主要部とプラスチック製容器本体1の主要部はほぼ同形に描かれている)。
【0087】
また、内部電極16が反応室C内にその中心部に位置するように配置されている。
内部電極16は中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔16aを備え、内部電極16には導電性材料からなる原料ガス供給管19が連設されている。
原料ガス供給管19は、真空源(図示せず)と原料ガス供給源(図示せず)に切り替えにより選択的に接続されるように構成されている。
【0088】
外部電極12には整合器13を介して高周波電源14が接続されている。
また、内部電極16は原料ガス供給管19を介して接地されている。
【0089】
更に内部電極16に連設された原料ガス供給管19はマンドレル状に形成され、この原料ガス供給管19には内部電極16の回転手段が固定されている。
この回転手段は、Oリング取付け部22a、このOリング取付け部22aと一体の、原料ガス供給管19に固着される第1のリング22及び第2のリング25、両リング22、25の間に設けられた、両リング22、25と一体のスプロケット24と、スプロケット24と係合するチェーン26と、チェーン26を駆動する原動車(図示せず)とからなる。
Oリング取付け部22aにはOリング21が取付けられている。
また、Oリング取付け部22aの内側はプラスチック製容器本体1の口部の先端外側に接し、それによってプラスチック製容器本体1との位置関係が保たれる。
【0090】
また、プラスチック製容器本体1の口部の周囲には金属体20aと絶縁体20bとからなるボトル固定ジグ20が取り付けられ、それによってプラスチック製容器本体1が回転しないように構成されている。
このボトル固定ジグ19に対してOリング21が密接され、それによって反応室C内の真空状態が保持されるように構成されている。
また、第2のリング25側には軸受け27を介してスリップリング26が設けられている。
【0091】
上記のように、図2に示す高周波プラズマCVD装置は内部電極16が回転駆動されるように構成されているもので内部電極16が回転するため原料ガスが全周にわたり均一に供給することが可能であること、及びプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突させ蒸着の効率をあげることを特色とする。
【0092】
次に図2に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について説明する。
【0093】
先ず、プラスチック製容器本体1を囲むように両外部部分電極12a、12bを合わせ、電気的に接続して外部電極12に一体化する。
【0094】
次に、原料ガス供給管19を介して真空ポンプ(図示せず)により、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させる。
【0095】
次いで、反応室C内に、原動車を駆動させてスプロケット23を回転させることにより内部電極16を回転させながらアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを原料ガス供給管19を通して供給して原料ガス吹き出し孔16から吹き出させ、同時に外部電極12と内部電極16間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
回転移動する原料ガス吹き出し孔16から噴出させた不活性ガスは、プラズマ化されて、反応室C内に全周にわたってむらなく供給され、内部電極16が回転することにより、プラスチック製容器本体1の内面に加速度を持って衝突せしめられ、プラスチック製容器本体1の内面に効率よく微細な凹凸が形成される。
【0096】
次に、再度、原料ガス供給管19を介して、真空ポンプにより、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで、排気して、上記と同様に反応室C内の真空度を上昇させる。
【0097】
次いで、プラスチック製容器本体1内に、原料ガス供給管19を介して、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で回転移動する原料ガス吹き出し孔16から反応室C内に噴出させ、更に、外部電極12と内部電極16の間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
このとき、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物は反応室C内において気相反応せしめられ、プラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物が生成され、この反応生成物は加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突せしめられ、被着される。
そのとき、内部電極16が回転することによりプラズマに運動エネルギーが付与され、それによって反応生成物の生成の効率化が図られ、且つプラズマは加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突せしめられ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面にプラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させることが可能となる。
【0098】
上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管19を介しての反応室Cへの蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応室Cに大気を導入する。しかる後、ブロー成形ボトルの口部の一部領域を残して、プラスチック製容器本体1の内面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出し、本発明に係るプラスチック製容器を製造することができる。
この容器においては容器本体の口部の一部にガスバリア性薄膜で被覆されていない領域が存在するが、口部にガスバリア性のキャップを冠着することによりガスバリア性の包装容器を構成することができる。
【0099】
その他の条件、即ち、反応室C内の減圧、有機珪素化合物等の蒸着用原料ガスの調製、蒸着用原料組成物中の有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスの含有量、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、プラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体、ダイヤモンドライクカーボン膜の生成等に関しては、図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法に関する説明の中で述べた通りである。
【0100】
次に、実施例を挙げて、図2に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について更に詳しく説明する。
【実施例3】
【0101】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形材料として使用し、先ず、常法に従って、これを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形して、大きさ500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを製造した。
【0102】
次に、上記の製造したポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを図2に示す高周波プラズマCVD装置に装着し、次いで、反応室内を真空ポンプにより、真空度0.06Torr(8.0Pa)まで下げた。
【0103】
次に、ブロー成形ボトルの内面の前処理として、アルゴンガスを使用し、これを反応室内に供給し、且つ内部電極を回転させながら電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加してプラズマを発生させ、その状態を約20秒間保持した。
【0104】
この前処理を行うことにより、ブロー成形ボトルの内面の表面が均一に凹凸状を呈すると共にブロー成形ボトルの内面の水分含有率が低下した。
【0105】
次に、再度、真空ポンプにより、反応室内を真空度0.06Torrまで減圧させ、内部電極を回転させながら高周波電圧を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給した。
【0106】
次いで、原料ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマを発生させた状態の下に約30秒間保持して、ブロー成形ボトルの口部の一部領域を残して、ブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0107】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、その口部の周囲を金属で被覆し、ガスバリア性薄膜のない部分にガスバリア性を付与した状態で、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.025cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【0108】
次に図3に示す、図1に示す高周波プラズマCVD装置及び図2に示す高周波プラズマCVD装置とは別の構成の高周波プラズマCVD装置について説明する。
【0109】
この図3に示す高周波プラズマCVD装置は、外部電極12と内部電極16を備える。 外部電極12は第1外部部分電極12aと第1外部部分電極に対して着脱自在な第2外部部分電極12bからなり、両外部部分電極12a、12bからなる外部電極12は、互いに電気的に接続され、外部電極12に一体化され、外部電極12は支持装置(図示せず)に支持されている。
この外部電極12は、内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体1の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室Cを備える(尚、図面においては図示の便宜上反応室Cの主要部とプラスチック製容器本体1の主要部はほぼ同形に描かれている)。
【0110】
また、内部電極16が反応室C内にその中心部に位置するように配置されている。
内部電極16は中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔16aを備え、内部電極16には導電性材料からなる原料ガス供給管17が連設されている。
原料ガス供給管17は、原料ガス供給源(図示せず)に接続されている。
また、反応室Cには真空源(図示せず)が排気管15を介して接続されている。
【0111】
外部電極12には整合器13を介して高周波電源14が接続されている。
また、内部電極16は原料ガス供給管17を介して接地されている。
【0112】
更に高周波プラズマCVD装置には、プラスチック製容器本体1の回転手段が設けられている。
この回転手段は、Oリング取付け部28a、このOリング取付け部28aと一体の、原料ガス供給管17に固着される第1のリング28及び第2のリング31、両リング28、31の間に設けられた、両リング28、31と一体のスプロケット29と、スプロケット29と係合するチェーン30と、チェーン30を駆動する原動車(図示せず)とからなる。
Oリング取付け部28aにはOリング21が取付けられている。
また、Oリング取付け部28aの内側にはプラスチック製容器本体1の口部の先端外側を把持する部分が設けられている。
【0113】
また、第2のリングには円筒部31aが連設され、この円筒部31aは原料ガス供給管17に固着される。
また、この円筒部には、軸受け27を介してスリップリング32が設けられている。
【0114】
上記のように、図3に示す高周波プラズマCVD装置はプラスチック製容器本体1が回転駆動されるように構成されているもので、プラスチック製容器本体1が回転するため原料ガスが全周にわたり均一に供給することが可能であること、及びプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突させ蒸着の効率をあげることを特色とする。
【0115】
次に図3に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について説明する。
【0116】
先ず、プラスチック製容器本体1を囲むように両外部部分電極12a、12bを合わせ、電気的に接続して外部電極12に一体化する。
【0117】
次に、原料ガス供給管17を介して真空ポンプ(図示せず)により、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させる。
【0118】
次いで、反応室C内に、原動車を駆動させてスプロケット23を回転させることによりプラスチック製容器本体1を回転させながらアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを原料ガス供給管17を通して供給して原料ガス吹き出し孔16から吹き出させ、同時に外部電極12と内部電極16間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
原料ガス吹き出し孔16から噴出させた不活性ガスは、プラズマ化されて、反応室C内に全周にわたってむらなく供給され、プラスチック製容器本体1が回転することにより、プラスチック製容器本体1の内面に加速度を持って衝突せしめられ、プラスチック製容器本体1の内面に効率よく微細な凹凸が形成される。
【0119】
次に、再度、原料ガス供給管17を介して、真空ポンプにより、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで、排気して、上記と同様に反応室C内の真空度を上昇させる。
【0120】
次いで、プラスチック製容器本体1内に、原料ガス供給管17を介して、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で原料ガス吹き出し孔16から反応室C内に噴出させ、更に、外部電極12と内部電極16の間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
このとき、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物は反応室C内において気相反応せしめられ、プラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物が生成され、この反応生成物は加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突せしめられ、被着される。
そのとき、プラスチック製容器本体1が回転することによりプラズマに運動エネルギーが付与され、それによって反応生成物の生成の効率化が図られ、且つプラズマは加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突せしめられ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面にプラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させることが可能となる。
【0121】
上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管17を介しての反応室Cへの蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応室Cに大気を導入する。
しかる後、プラスチック製容器本体の内面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出し、本発明に係るプラスチック製容器を製造することができる。
この容器においては容器本体の口部の一部にガスバリア性薄膜で被覆されていない領域が存在するが、口部にガスバリア性のキャップを冠着することによりガスバリア性の包装容器を構成することができる。
【0122】
その他の条件、即ち、反応室C内の減圧、有機珪素化合物等の蒸着用原料ガスの調製、蒸着用原料組成物中の有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスの含有量、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、プラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体、ダイヤモンドライクカーボン膜の生成等に関しては、図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法に関する説明の中で述べた通りである。
【0123】
次に、実施例を挙げて、図3に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について更に詳しく説明する。
【実施例4】
【0124】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形材料として使用し、先ず、常法に従って、これを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形して、大きさ500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを製造した。
【0125】
次に、上記の製造したポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを図3に示す高周波プラズマCVD装置に装着し、次いで、反応室内を真空ポンプにより、真空度0.06Torr(8.0Pa)まで下げた。
【0126】
次に、ブロー成形ボトルの内面の前処理として、アルゴンガスを使用し、これを反応室内に供給し、且つポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを回転させながら電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加してプラズマを発生させ、その状態を約20秒間保持した。
【0127】
この前処理を行うことにより、ブロー成形ボトルの内面の表面が均一に凹凸状を呈すると共にブロー成形ボトルの内面の水分含有率が低下した。
【0128】
次に、再度、真空ポンプにより、反応室内を真空度0.06Torrまで減圧させ、内部電極を回転させながら高周波電圧を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給した。
【0129】
次いで、原料ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマを発生させた状態の下に約30秒間保持して、ブロー成形ボトルの口部の一部領域を残して、ブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0130】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、その口部の周囲を金属で被覆し、ガスバリア性薄膜のない部分にガスバリア性を付与した状態で、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.025cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【0131】
次に、図4に示す本発明に係る高周波プラズマCVD装置について説明する。
【0132】
この高周波プラズマCVD装置は、図2に示す高周波プラズマCVD装置の外部電極12の周囲に磁石18を設けたもので、その他の構成は図2に示す高周波プラズマCVDの構成と同一のものである。
【0133】
磁石18としては、反応室C内に例えば875G(87.5mT)の磁界を発生させ、高密度の良質のプラズマを発生させることを可能とするばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることが可能とし、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能とする磁石を適用することができる。
【0134】
その他の構成に関しては、図2に示す高周波プラズマCVDの構成と同一であるので説明は省略する。
【0135】
上記のように、図4に示す高周波プラズマCVD装置は、磁石18により反応室C内に例えば875G(87.5mT)の磁界を発生させ、高密度の良質のプラズマを発生させることを可能とするばかりでなく、内部電極16が回転駆動されるように構成されているもので、内部電極16が回転するため原料ガスが全周にわたり均一に供給することが可能であること、及びプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突させ蒸着の効率をあげることを特色とする。
【0136】
次に図4に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について説明する。
【0137】
先ず、プラスチック製容器本体1を囲むように両外部部分電極12a、12bを合わせ、電気的に接続して外部電極12に一体化する。
【0138】
次に、原料ガス供給管19を介して真空ポンプ(図示せず)により、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させる。
【0139】
次いで、反応室C内に、原動車を駆動させてスプロケット23を回転させることにより内部電極16を回転させながらアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを原料ガス供給管19を通して供給して原料ガス吹き出し孔16から吹き出させ、同時に外部電極12と内部電極16間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させると共に磁石18により反応室C内に磁界を発生させる。
回転移動する原料ガス吹き出し孔16から噴出させた不活性ガスは、プラズマ化されて、反応室C内に全周にわたってむらなく供給され、内部電極16が回転することにより、プラスチック製容器本体1の内面に加速度を持って衝突せしめられ、プラスチック製容器本体1の内面に効率よく微細な凹凸が形成される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質の不活性ガスのプラズマを発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した不活性ガスを加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面に微細な凹凸を形成することが可能となる。
【0140】
次に、再度、原料ガス供給管19を介して、真空ポンプにより、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで、排気して、上記と同様に反応室C内の真空度を上昇させる。
【0141】
次いで、プラスチック製容器本体1内に、原料ガス供給管19を介して、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で回転移動する原料ガス吹き出し孔16から反応室C内に噴出させ、更に、外部電極12と内部電極16の間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
このとき、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物は反応室C内において気相反応せしめられ、プラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物が生成され、この反応生成物は加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突せしめられ、被着される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質のプラズマ化した反応生成物を発生させることが可能となるばかりでなく、内部電極16が回転することによりプラズマに運動エネルギーが付与され、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した反応生成物を加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面にプラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させることが可能となる。
【0142】
上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管19を介しての反応室Cへの蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応室Cに大気を導入する。
しかる後、プラスチック製容器本体の内面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出し、本発明に係るプラスチック製容器を製造することができる。
この容器においては容器本体の口部の一部にガスバリア性薄膜で被覆されていない領域が存在するが、口部にガスバリア性のキャップを冠着することによりガスバリア性の包装容器を構成することができる。
【0143】
その他の条件、即ち、反応室C内の減圧、有機珪素化合物等の蒸着用原料ガスの調製、蒸着用原料組成物中の有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスの含有量、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、プラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体、ダイヤモンドライクカーボン膜の生成等に関しては、図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法に関する説明の中で述べた通りである。
【0144】
次に、実施例を挙げて、図4に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について更に詳しく説明する。
【実施例5】
【0145】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形材料として使用し、先ず、常法に従って、これを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形して、大きさ500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを製造した。
【0146】
次に、上記の製造したポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを図4に示す高周波プラズマCVD装置に装着し、次いで、反応室内を真空ポンプにより、真空度0.06Torr(8.0Pa)まで下げた。
【0147】
次に、ブロー成形ボトルの内面の前処理として、アルゴンガスを使用し、これを反応室内に供給し、且つ反応室の内部に磁石により磁界を発生させると共に内部電極を回転させながら電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加してプラズマを発生させ、その状態を約20秒間保持した。
【0148】
この前処理を行うことにより、ブロー成形ボトルの内面の表面が均一に凹凸状を呈すると共にブロー成形ボトルの内面の水分含有率が低下した。
【0149】
次に、再度、真空ポンプにより、反応室内を真空度0.06Torrまで減圧させ、内部電極を回転させながら高周波電圧を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給した。
【0150】
次いで、原料ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマを発生させた状態の下に約30秒間保持して、ブロー成形ボトルの口部の一部領域を残して、ブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0151】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、その口部の周囲を金属で被覆し、ガスバリア性薄膜のない部分にガスバリア性を付与した状態で、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.021cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【0152】
次に、図5に示す本発明に係る高周波プラズマCVD装置について説明する。
【0153】
この高周波プラズマCVD装置は、図3に示す高周波プラズマCVD装置の外部電極12の周囲に磁石18を設けたもので、その他の構成は図3に示す高周波プラズマCVDの構成と同一のものである。
【0154】
磁石18としては、反応室C内に例えば875G(87.5mT)の磁界を発生させ、高密度の良質のプラズマを発生させることを可能とするばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることが可能とし、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能とする磁石を適用することができる。
【0155】
その他の構成に関しては、図3に示す高周波プラズマCVDの構成と同一であるので説明は省略する。
【0156】
上記のように、図5に示す高周波プラズマCVD装置は、磁石18により反応室C内に例えば875G(87.5mT)の磁界を発生させ、高密度の良質のプラズマを発生させることを可能とするばかりでなく、プラスチック製容器本体1が回転駆動されるように構成されているもので、プラスチック製容器本体1が回転するため原料ガスが全周にわたり均一に供給することが可能であること、及びプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体1の内面に衝突させ蒸着の効率をあげることを特色とする。
【0157】
次に図5に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について説明する。
【0158】
先ず、プラスチック製容器本体1を囲むように両外部部分電極12a、12bを合わせ、電気的に接続して外部電極12に一体化する。
【0159】
次に、排気管15を介して真空ポンプ(図示せず)により、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させる。
【0160】
次いで、反応室C内に、原動車を駆動させてスプロケット29を回転させることによりプラスチック製容器本体1を回転させながらアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを原料ガス供給管17を通して供給して原料ガス吹き出し孔16から吹き出させ、同時に外部電極12と内部電極16間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させると共に磁石18により反応室C内に磁界を発生させる。
回転移動する原料ガス吹き出し孔16から噴出させた不活性ガスは、プラズマ化されて、反応室C内に供給され、且つプラスチック製容器本体1を回転することにより、プラスチック製容器本体1の内面に周方向にむらなく衝突せしめられ、プラスチック製容器本体1の内面に効率よく微細な凹凸が形成される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質の不活性ガスのプラズマを発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した不活性ガスを加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面に微細な凹凸を形成することが可能となる。
【0161】
次に、再度、排気管15を介して、真空ポンプにより、反応室C内をプラズマ発生可能な圧力になるまで、排気して、上記と同様に反応室C内の真空度を上昇させる。
【0162】
次いで、プラスチック製容器本体1内に、原料ガス供給管17を介して、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス、その他を使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を適当な流量で回転移動する原料ガス吹き出し孔16から反応室C内に噴出させ、更に、反応室内に磁石18により磁界を発生させた状態下に外部電極12と内部電極16の間に高周波電圧を印加し反応室C内に高周波グロー放電を発生させる。
このとき、高周波グロー放電によって、反応室C内に供給された蒸着用原料ガス組成物は反応室C内において気相反応せしめられ、プラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物が生成され、この反応生成物は加速度を持って回転するプラスチック製容器本体1の内面に衝突せしめられ、被着される。
そのとき、反応室Cの内部に磁石18により磁界を発生させることで高密度の良質のプラズマ化した反応生成物を発生させることが可能となるばかりでなく、内部電極16が回転することによりプラズマに運動エネルギーが付与され、プラスチック製容器本体の内面にプラズマ化した反応生成物を加速度を持って衝突させ、効率よくプラスチック製容器本体1の内面にプラズマ化した酸化珪素等の無機酸化物を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させることが可能となる。
【0163】
上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管19を介しての反応室Cへの蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、次いで、反応室Cに大気を導入する。
しかる後、プラスチック製容器本体の内面に、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出し、本発明に係るプラスチック製容器を製造することができる。
この容器においては容器本体の口部の一部にガスバリア性薄膜で被覆されていない領域が存在するが、口部にガスバリア性のキャップを冠着することによりガスバリア性の包装容器を構成することができる。
【0164】
その他の条件、即ち、反応室C内の減圧、有機珪素化合物等の蒸着用原料ガスの調製、蒸着用原料組成物中の有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスの含有量、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜の形成、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜、酸化珪素等の無機酸化物を主体とするガスバリア性薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、プラスチック製容器を構成するプラスチック製容器本体、ダイヤモンドライクカーボン膜の生成等に関しては、図1に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法に関する説明の中で述べた通りである。
【0165】
次に、実施例を挙げて、図5に示す本発明の高周波プラズマCVD装置を使用して、本発明に係るプラスチック製容器を製造する方法について更に詳しく説明する。
【実施例6】
【0166】
ポリエチレンテレフタレート樹脂を成形材料として使用し、先ず、常法に従って、これを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形して、大きさ500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを製造した。
【0167】
次に、上記の製造したポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形ボトルを図5に示す高周波プラズマCVD装置に装着し、次いで、反応室内を真空ポンプにより、真空度0.06Torr(8.0Pa)まで下げた。
【0168】
次に、ブロー成形ボトルの内面の前処理として、アルゴンガスを使用し、これを反応室内に供給し、且つ反応室の内部に磁石により磁界を発生させると共にポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形容器を回転させながら電極間に13.56MHz、300Wの高周波電圧を印加してプラズマを発生させ、その状態を約20秒間保持した。
【0169】
この前処理を行うことにより、ブロー成形ボトルの内面の表面が均一に凹凸状を呈すると共にブロー成形ボトルの内面の水分含有率が低下した。
【0170】
次に、再度、真空ポンプにより、反応室内を真空度0.06Torrまで減圧させ、ポリエチレンテレフタレート樹脂製ブロー成形容器を回転させながら高周波電圧を印加し、次いで、ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:アルゴンガス=1:3:3(slm)からなる原料ガス組成物を、ガス流量を35ml/minに調製しながら供給した。
【0171】
次いで、原料ガスのプラズマを発生させながら、そのプラズマを発生させた状態の下に約30秒間保持して、ブロー成形ボトルの口部の一部領域を残して、ブロー成形ボトルの内面に、厚さ約1200Åの酸化珪素を主体とする蒸着膜からなるガスバリア性薄膜を形成して、本発明に係るプラスチック製容器を製造した。
【0172】
その後、成形後に残留する内部応力の影響により収縮したプラスチック製容器について、その口部の周囲を金属で被覆し、ガスバリア性薄膜のない部分にガスバリア性を付与した状態で、温度23℃、湿度90%RHの条件下に、米国、モコン(MOCON)社製の測定機[機種名、オクストラン(OXTRAN)]を用いて酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過透過度は0.021cc/pkg・atm・dayであり、プラスチック製容器は高いガスバリア性を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0173】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、反応室の内部に磁界を発生させることで高密度の良質のプラズマを発生させることが可能となるばかりでなく、プラスチック製容器本体の内面にプラズマを加速度を持って衝突させることが可能となり、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
また、本発明によれば、内部電極の回転または外部電極内に配置されたプラスチック製容器本体の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
更に、本発明によれば、反応室の内部に磁界を発生させると共に内部電極の回転または外部電極内に配置されたプラスチック製容器本体の回転手段により、高密度のプラズマを更に高い効率でプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、より高いガスバリア性を有し、しかもプラスチック製容器本体の内面に強固に被着した薄膜を形成することが可能となる。
そして、本発明の方法により製造されるプラスチック製容器は、高周波プラズマCVD装置を用い、外部電極内に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体を配置し、プラスチック製容器本体内に内部電極を配置し、電極間に高周波電圧を印加し、且つ磁力線及び又は内部電極もしくはプラスチック製容器本体の回転によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下で、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解によりガスバリア性薄膜を形成してなるプラスチック製容器であり、磁力線及び/又は内部電極もしくはプラスチック製容器本体の回転によりプラズマを加速度を持ってプラスチック製容器本体の内面に衝突させ、減圧下での、反応室内の反応性ガスの高周波グロー放電分解により、プラスチック製容器本体の内面に強固に固着したガスバリア性薄膜を有し、高いガスバリア性を有し、且つ薄膜がプラスチック製容器本体の内面に強固に固着し剥離することのない利点を有するものである。
よって、本発明は、種々の物品を充填包装すに包装容器として、その利用性が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の高周波ラベルCVD装置の第1の実施の形態の略断面図である。
【図2】本発明の高周波ラベルCVD装置の第2の実施の形態の略断面図である。
【図3】本発明の高周波ラベルCVD装置の第3の実施の形態の略断面図である。
【図4】本発明の高周波ラベルCVD装置の第4の実施の形態の略断面図である。
【図5】本発明の高周波ラベルCVD装置の第1の実施の形態の略断面図である。
【図6】従来の高周波ラベルCVD装置の略断面図である。
【図7】図6に示す従来の装置を用いてなるプラスチック製容器の断面図である。
【符号の説明】
【0175】
1 プラスチック容器本体
2 ガスバリア性薄膜
A プラスチック性容器
10 基盤
11 絶縁板
12a 第1外部部分電極
12b 第2外部部分電極
12 外部電極
13 整合器
14 高周波電源
15 排気管
16 内部電極
16a 原料ガス吹き出し孔
17 原料ガス供給管
18 磁石
C 反応室
19 原料ガス供給管
20a 金属体
20b 絶縁体20b
20 ボトル固定ジグ
21 Oリング
22a Oリング取付け部
22 第1のリング
23 スプロケット
24 チェーン
25 第2のリング
26 スリップリング
27 軸受け
28a Oリング取付け部
28 第1のリング
29 スプロケット
30 チェーン
31 第2のリング
31a 筒状部
32 スリップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極と内部電極を備え、外部電極は内面に薄膜を被着させるべきプラスチック製容器本体の主要部よりやや大きめの相似形の空間を有する反応室を備え、内部電極は反応室内に配置され、そして、内部電極は、中空体からなり、且つ複数の原料ガス吹き出し孔を備え、内部電極には導電性材料からなる原料ガス供給管が連設され、原料ガス供給管は、真空源と原料ガス供給源に選択的に接続されるように構成されており、外部電極には整合器を介して高周波電源が接続され、内部電極は原料ガス供給管を介して接地され、内部電極の回転手段を備える高周波プラズマCVD装置を使用し、
先ず、プラスチック製容器本体を囲むように両外部部分電極を合わせ、電気的に接続して外部電極に一体化し、
次に、原料ガス供給管を介して真空ポンプにより、反応室内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気し、真空度を上昇させ、
次いで、原動車を駆動させてスプロケットを回転させることにより内部電極を回転させながら、アルゴンまたはヘリウムからなる不活性ガスを原料ガス供給管を通して供給して原料ガス吹き出し孔から吹き出させ、同時に外部電極と内部電極との間に高周波電圧を印加し反応室内に高周波グロー放電を発生させて、回転移動する原料ガス吹き出し孔から噴出させた不活性ガスをプラズマ化させ、
そして、プラスチック製容器本体の内面に、上記でプラズマ化した不活性ガスを加速度を持って衝突せしてプラスチック製容器本体の内面に微細な凹凸を形成し、
次に、再度、原料ガス供給管を介して、真空ポンプにより、反応室内をプラズマ発生可能な圧力になるまで排気して、上記と同様に反応室内の真空度を上昇させ、
次いで、プラスチック製容器本体内に、原料ガス供給管を介して、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガス、酸素ガス、および、不活性ガスを使用して調製した蒸着用原料ガス組成物を、内部電極を回転させることにより回転移動する原料ガス吹き出し孔から反応室内に噴出させ、
更に、外部電極と内部電極との間に高周波電圧を印加し反応室内に高周波グロー放電を発生させ、その高周波グロー放電によって、反応室内に供給された蒸着用原料ガス組成物を気相反応せしめて、プラズマ化した酸化珪素を主体とする反応生成物を生成し、
そして、プラスチック製容器本体の内面に、プラズマ化した酸化珪素を主体とする反応生成物からなるガスバリア性薄膜を被着させ、 しかる後上記のガスバリア性薄膜を形成するに十分な時間を経た後、原料ガス供給管を介しての反応室への蒸着用原料ガス組成物の供給を停止し、
次いで、反応室に大気を導入し、
しかる後、プラスチック製容器本体の内面に、酸化珪素を主体とするガスバリア性薄膜を形成したプラスチック製容器を取り出すことを特徴とするプラスチック製容器の製造法。
【請求項2】
外部電極の周囲に磁石を備えることを特徴とする上記の請求項1に記載するプラスチック製容器の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−79298(P2009−79298A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279182(P2008−279182)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【分割の表示】特願2002−334878(P2002−334878)の分割
【原出願日】平成14年11月19日(2002.11.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】