説明

プラズマを使用して容器の表面を処理するデバイス

本発明は、容器を搬送するための運動システムと、大気圧で動作する、それぞれ1個ずつ容器を処理するべく設計された複数のプラズマ発生器とを備えた、プラズマを使用して容器の表面を処理するためのデバイスに関する。プラズマ発生器は、処理ガス供給システムと、スイッチとして機能する少なくとも1つのトランジスタもしくはLCアダプタを備えた、電流にパルスを供給するべく設計された電源システムとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを使用して容器の表面を工業生産レートで処理し、例えばプラスチック材料製のボトルに防水処理および殺菌処理を施すためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを使用した容器の表面処理については既に知られており、例えばSIDEL社、TETRAPAK社およびKRONES社などの多くの企業によって提案され、あるいは工業的に使用されている。これらの企業によって提案され、あるいは工業的に使用されているデバイスには、マイクロ波発生器あるいは高周波(HF)発生器によって真空下で生成されるプラズマが利用されている。これらのデバイスおよび方法については、例えば、
(1)SIDEL社が提案し、かつ、工業的に使用している、SIDEL News、le journal des clients、2001年9月、89,9頁の「ACTIS」system
(2)TETRAPAK社が提案し、かつ、工業的に使用している、Tetrapak Business Area Plastics、2001年9月の「GLASKIN」system
(3)KRONES社が提案し、かつ、工業的に使用している、Krones News、2001年9月の「BEST PET」system
などの多くの刊行物に記載されている。
【0003】
これらのデバイスには、プラズマの生成が真空下で実行されるため、真空ポンプおよび気密導管を備えた装置が余儀なくされるという欠点があり、そのためにこれらの設備が高価になり、融通性に欠け、極めて取り扱い難く、また、PETボトルに飲料(ビール、ミネラル・ウォータ、炭酸飲料、牛乳および乳製品)を充填するための工業ラインへの統合が困難である。
【0004】
SIDEL社が提案している、円形コンベヤ・タイプの設備上でボトルを処理する装置の場合、極めて信頼性がなく、かつ、ボトル間で厳密に再現性のある真空を達成することが困難な摩擦シールを設備に設けなければならない。
【0005】
また、容器を処理するサイクルには、真空下で容器をセットする工程が必要であるが、実際問題として処理プロセスにおける時間のロスになっている。
【0006】
上述の欠点は、国際特許出願PCT/IB02/01001に記載されているような空中プラズマを使用して容器の表面を処理する方法によって回避することができるが、従来技術によるこれらの方法あるいは前記国際特許出願の場合、効率良くプラズマ処理するためには、容器の充填に使用される工業設備における適切な生産レートを維持するために必要な継続期間よりはるかに長い処理継続期間が必要である。
【0007】
例えば、国際特許出願PCT/IB02/01001に記載されている方法による空中プラズマを使用してPEボトルに不浸透性処理を施す場合の処理継続期間は30秒程度であり、一方、ボトルを製造し、かつ、充填する設備は、ボトルの生産レートが1時間当たり最大40,000個、つまり1秒当たり約10個のボトル生産レートで動作している。工業生産レートに関する要求事項を満足するためには、同時に300個のボトルを処理し、ボトル1個当たり0.1秒の滞留時間を保証しなければならない。したがって処理デバイスを工業的に使用しなければならない場合、処理デバイスは、容器の山を提供し、容器の処理を同時に実行し、かつ、処理済みの容器を分配しなければならない。同時に処理する容器の数は、スループット(生産性)と個々の容器の処理に要する継続期間の積に等しく、例えば工業スループットが1秒当たりボトル10個であり、処理継続期間が30秒の場合、同時に処理する容器の数は300個である。
【0008】
【非特許文献1】SIDEL News、le journal des clients、2001年9月、89,9頁の「ACTIS」system
【非特許文献2】Tetrapak Business Area Plastics、2001年9月の「GLASKIN」system
【非特許文献3】Krones News、2001年9月の「BEST PET」system
【特許文献1】国際特許出願PCT/IB02/01001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の観点から、本発明の目的は、空中プラズマを使用して例えばボトルなどの容器の表面を工業生産レートで処理するためのデバイスを提供することである。
【0010】
ボトルの表面を処理するための、工業ボトル製造および充填ラインに容易に組み込むことができ、かつ、コンパクトで、信頼性が高く、費用有効性の高いデバイスを提供することは有利である。
【0011】
また、表面をプラズマを使用して処理するための、大気圧下で動作し、ボトルの内部表面の品質の高い処理、詳細には例えばPETボトルの内部の殺菌およびバリア膜の付着を可能にするプラズマを生成するプラズマ発生器を備えたデバイスを提供することは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の空中プラズマを使用して容器の表面を処理するためのデバイスによって達成される。
【0013】
本発明によれば、プラズマを使用して容器の表面を処理するためのデバイスは、容器を搬送するための運動システムと、大気圧で動作する、それぞれ1個ずつ容器を処理するべく設計された複数のプラズマ発生器とを備えている。プラズマ発生器は、処理ガスを供給するためのシステムと、電流を供給するための、該電流をパルスで供給するためのスイッチとして作用する少なくとも1つのトランジスタもしくはLCアダプタを備えたシステムとを備えている。発生器の各々は、容器の直径あるいは幅に近い、もしくは若干大きい直径の列あるいは幅の列として有利に提供されている。
【0014】
電流パルスは、LCアダプタを備えた発生器の電源システム内で中央(共通)電流源によって生成され、導線、例えば同軸線を介して並列に機能している複数のプラズマ発生器に配電される。各発生器のこのLCアダプタにより、放電(プラズマ)によって吸収される電力を中央電流源が生成する電力に調整することができる。つまり負荷インピーダンスを電源インピーダンスに適合させることができる。
【0015】
放電のための電流パルスは、インタラプタ・トランジスタを備えた発生器の電源システム内で生成されるか、あるいは各発生器内で個々に制御される。したがってこれらの発生器は、並列に配列された発生器に電力を配電している中央電源を使用する際に必要な特殊な手段を講じる必要なく電力回路網あるいは他の何らかの外部電気エネルギー源に接続することができる。
【0016】
発生器の電源システムは、電流パルスの前縁の大きさおよび勾配、パルス持続期間および周波数を制御するべく設計された制御ユニットを備えることができ、あるいは該制御ユニットに接続することができる。したがって電流パルスの持続期間および繰返し周波数は、小型かつ低コストのトランジスタ発生器を使用して調整され、かつ、制御される。LCアダプタ・バージョンでは、アダプタも同じく小型で、かつ、低コストであり、複数のプラズマ発生器を備えた、並列に配置された複数の容器を個々の発生器を使用して個々に処理するための処理デバイスの提供を可能にしている。
【0017】
本発明による発生器を使用することにより、熱力学的状態および化学的平衡状態から移行した条件の下に、大気圧でプラズマを発生させることができ、また、電流パルスおよびその周波数、詳細には2つのパルス間の経過時間の特性を調整し、かつ、制御することにより、所望の処理品質を達成するべく、プラズマの励起された粒子、原子、分子、基およびクラスタの化学作用を変化させることができる。
【0018】
小型の電流パルス発生器は、強制状態条件下、つまり、発生器のエレメントがその能力を超えたエネルギー・レジームで、かつ、非静止熱状態下での発生を強制される条件下で機能することができる。強制状態条件下では、電流パルスと電流パルスの間に、発生器のエレメントを冷却させる必要があることが分かっており、そのために比較的長い中断によって電流パルスの間隔を隔てることができ、それにより後続するパルスが立ち上がる前に冷却することができる。したがってこれらのパルス発生器の熱伝達レジームは、非定常状態に存在している。
【0019】
図を参照して以下で説明する本発明による運動システムの他の実施形態によれば、対応するプラズマ発生器の真下への容器の正確で信頼性の高い迅速な搬送および位置決めが保証される。
【0020】
本発明の他の目的および有利な特徴については、特許請求の範囲、本発明の実施形態についての以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図、より詳細には図1から8を参照すると、例えばPETボトルの内部表面の殺菌および内部表面へのバリア膜の付着など、空中プラズマを使用して容器の表面を処理するためのデバイスは、処理中の容器を搬送し、かつ、位置決めするための運動システム2および複数のプラズマ発生器4を備えている。プラズマ発生器4の各々は、1個の容器に対してすべての処理サイクル(例えば洗浄、活性化、膜の付着および殺菌)を一度で実行するべく設計されており、運動システム内もしくは運動システムに沿って配列された複数の発生器は、複数の容器の同時処理を可能にしている。発生器の各々は、放電(プラズマ)を生成するための処理ガス供給システムおよび電源システムを備えている。
【0022】
したがって本発明によるデバイスの場合、容器を製造し、かつ、充填するための工業ラインの生産性に合致することができるよう、同時に処理するボトルの数と同じ数のプラズマ発生器が提供される。例えば、空中プラズマによるボトル表面の処理サイクルが30秒間継続し、工業ラインのボトル生産レートが1秒当たり10個であると仮定すると、同時にプラズマ処理を実行しなければならないボトルの数は300個である。一般的な工業生産レートに匹敵するためには、プラズマ処理デバイスは、例えば10個と100個の間のボトルを同時に処理しなければならないため、複数のデバイスを並列に配列し、同時処理操作の数を増やすことができる。また、複数の処理デバイスを使用することにより、例えばデバイスが故障した場合および/または操作の保全を実行する必要が生じた場合に、確実に生産レートを維持することができる。
【0023】
極めて多数の容器を同時に処理する観点からすると、本発明によるデバイスの重要な利点は、大気圧で動作する本発明によるプラズマ発生器が小型であり、かつ、構造が比較的単純であるため、比較的コンパクトな運動システムに組み込むことができることである。また、好ましい実施形態では、プラズマ発生器は、例えば国際出願PCT/IB02/01001に記載されている条件を満足するべく、前縁が極めて急峻な高周波数もしくは単極性パルスによってプラズマを生成するように構築されている。これらの条件は、大気圧での容器表面の極めて良好な処理を保証し、とりわけ部分的な真空下で実行されるプラズマ処理に関わる問題を回避している。
【0024】
以下で様々な実施形態に関連してより詳細に説明するように、小型化が可能であり、かつ、必要なプラズマ・パルスを発生することができる、大きく2種類の発生器が存在しており、発生器の各々に提供された制御ユニットによって制御される電源を個々に備え、かつ、パルスを生成するためのインタラプタ・トランジスタを備えた発生器であるか、あるいは放電インピーダンスを高周波インピーダンスおよび高電圧電源インピーダンスに適合させるためのLCアダプタを個々に備えた、単一電源ブロックから並列に電力が供給されるプラズマ発生器のいずれかである。
【0025】
プラズマ発生器は、様々な運動システムを備えることができ、また、様々な運動システムに使用することができる。以下、図1乃至図8を参照して説明する。
【0026】
図1を参照すると、容器3を処理するためのデバイス1は、第1の実施形態による、ボトルを製造あるいは装荷するステーション6とボトルに充填するためのステーション8の間に配置された運動システム2を備えている。運動システム2は円形コンベヤ10を備えており、円形コンベヤ10の上に複数のプラズマ発生器4が取り付けられている。星形車輪12aによって容器3がコンベヤ14aからプラズマ発生器の真下に配置され、星形車輪12bによって容器3がプラズマ発生器からコンベヤ14bへ搬出される。図1に示すデバイスの場合、容器の処理は、容器(例えばボトル)が円形コンベヤ上を移動している間に実行される。容器は、パレットから、あるいは例えばPETボトルもしくはガラス・ボトル3の製造に使用されるブロー成形マシンから、コンベヤ14aおよび星形車輪12aを介して供給される。ボトルが円形コンベヤ上の所定の位置であるプラズマ発生器4の真下に保持されると、直ちに処理が開始される。図には、容器内の空気をアルゴン流もしくは窒素流で追い出すセクタ(a)、容器を処理する(バリア膜を付着させる)セクタ(b)、および残留ガスを空気流によって容器から追い出すセクタ(c)の3つの異なる処理セクタが示されている。容器は、星形車輪12bによって円形コンベヤから搬出される。コンベヤ14bは、ボトルを充填ステーション8へ給送している。バリア膜の付着を目的とした処理が実行されるだけではなく、同時に殺菌処理が施されるため、容器を再汚染する危険を制限するためには、充填ステーション8までの移動距離を最短にしなければならない。従来の手段を講じることによって容器の再汚染を確実に防止し、かつ、確実に無菌状態に維持することができる。
【0027】
また、このデバイスは、あらゆる残留ガスを追い出し、かつ、容器を冷却する役割を果たす換気システム15を備えることもできる。
【0028】
プラズマ発生器の各々は、ガスを供給するためのシステムおよび図8乃至14eに示す実施形態のうちの1つに関連して説明するように構築することができるプロセス制御ユニットを備えた、あるいはプロセス制御ユニットに接続された、電力を供給するためのシステムを備えている。また、発生器の各々は、容器を回転させるための機構を備えることができ、あるいは機構に接続することができる。
【0029】
図1の場合、容器の処理は、円形コンベヤによって支えられた容器が移動している間に実行される。この場合、摩擦接合を介してキャリア・ガスが供給され、電気摩擦接触を介して電力が供給される(図1には図示せず)が、容器の表面全体にわたる一様な処理を保証するための手段、例えば国際出願PCT/IB02/01001に記載されている実施形態のいくつかの中で提案されているような手段を講じる場合、容器を回転させるためのデバイスは省略することができる。
【0030】
図2は、プラズマ処理デバイス1の他の実施形態を示したもので、1つの容器グループに対して「バッチ」でプラズマ処理が実行されている。この実施形態の場合、容器3は、容器3が静止状態にある間に処理されるため、摩擦接合および電気摩擦接触を提供する必要はない。コンベヤ14aから供給される容器は、蓄積チャンバ18に蓄積され、蓄積チャンバ18から処理ゾーン20へ搬送される。容器は、処理ゾーンでボトル毎に複数のプラズマ発生器4によって同時に処理される。容器は、次に分配チャンバ22に入り、コンベヤに戻る。摩擦による電気接触を保証するためのエレメントを必要としないため、この構造は有利である。
【0031】
図3は、図2に示すデバイスの横断面図を示したものである。容器、例えばPETボトルは、コンベヤ14aを介して生産ラインから供給される。容器は蓄積チャンバ18(図3には図示せず)に入り、コンベヤ22aによって処理ゾーン20に供給される。容器は、処理ゾーンで、容器の口と接触するキャップ26を備えたプラズマ発生器4のうちの1つの真下にある回転機構24の上に取り付けられる。容器の口とキャップの接触圧は、例えばばね28によって提供される。管状電極(図3には図示されていないが、図8乃至14eに関連してより詳細に説明する)を介して、ガス混合物であっても良い処理ガスがキャップに供給される。管状電極は、プラズマ発生器のボディ32内に配置されている電源システム30から処理すべき容器への電流の通路を保証している。プラズマ発生器は、電源システム30の他に、ガス分配器34として提供されている、主として管、電気弁および蒸発器(図3には図示せず)からなるガス給送システムを備えている。電力源およびガス分配器は、同じくプラズマ発生器のボディ内に取り付けられている制御ユニットすなわちマイクロコントローラ36によって制御されている。ガスの入口38および電力の入力部40は、プラズマ発生器の上部部分に設けられている。回転機構24は、処理中の容器の回転を保証するための電動機を備えることができる。
【0032】
また、デバイスは、容器のための換気システムを備えることも可能であり、それによりあらゆる残留ガスの排気および処理中の容器の冷却を保証することができる。
【0033】
処理が終了した容器は、コンベヤ22b上で検索され、出口チャンバ18b(図2参照)を介して、充填ステーションに向かうコンベヤ14bに給送される。
【0034】
図4は、本発明の一バージョンを示したもので、軸44の周りにピボットする案内手段を備えた運動システムの装荷機構42aによって処理ゾーン20に容器3が給送されている。
【0035】
このバージョンでは、行46aから46bに対して連続的に処理が実行される。運動システムの1つの行に容器3が装荷されると、直ちにプラズマ表面処理が開始される。この行の容器の処理が進行している間に他の行に容器が装荷される。1つの行の処理が終了すると、装荷操作に使用される操作と同様の搬出機構42bによって直ちに容器が搬出される。2つの移行ゾーン48が、正確で、かつ、円滑な容器の移動を保証している。このデバイスによれば、図3のデバイスと比較すると、容器を蓄積するためのチャンバおよび容器を搬出するためのチャンバが不要である、という利点が提供され、したがって図1および2のシステムと比較するとデバイスが小型になっている。
【0036】
図5は、複数行のボトルの装荷と搬出を同時に保証する運動システムを備えた、プラズマを使用して容器の表面を処理するための本発明によるデバイスを示したものである。このデバイスには、図8および9に示すようなプラズマ発生器を使用することができる。水(もしくは何らかの他の冷媒)、処理ガスおよび電力を供給するシステムは、処理中の行46の真上および真下に配置されている。2台のコンベヤ22aおよび22bが、この行46に平行に取り付けられ、また、これらのコンベヤに沿って、コンベヤ14aから処理ゾーン20に到着するボトル3の位置決めと、処理ゾーンから搬出コンベヤ22bへのボトルの搬出を同時に保証する装荷デバイス42aおよび搬出デバイス42bが提供されている。
【0037】
この設備は、次のように機能している。ボトルがコンベヤ14aを介して到着し、まとめて密に詰め込まれる。まとめて密に詰め込まれたボトルは、停止手段50で停止し、圧縮空気システム52によって互いに分離され、行46としてまとめて水平方向Hに処理ゾーン20へ搬送される。処理ゾーン20でボトルが電極54aと54bの間の真下および真上から取り出される。吸引ユニット52が容器を解放し、初期の位置42aに戻る。次に容器の内部表面のプラズマ処理が開始される。この間に上で説明した操作が装荷コンベヤに対して繰り返される。したがって可能な限り速く、かつ、時間を何らロスすることなく後続するボトルを処理ゾーンに給送することができる。
【0038】
処理が終了すると、続いて処理ゾーンから処理済みボトルが搬出される。この時、吸引ユニットが搬出機構側からボトルに向かって移動し、ボトルが電極54a、54bから解放され、続いて吸引ユニットによってボトルが搬出機構22bに向かって移動する。吸引ユニットからボトルが解放されると、充填ステーションに向かって処理デバイスから離れる。
【0039】
例えば1時間当たりK=10,800個のボトル、つまり1秒当たり3個のボトルを処理しなければならないと仮定し、また、処理時間を例えばT=30秒と仮定し、ボトルの置換えに必要な時間(装荷+搬出)τが例えば3秒であり、ボトルの直径dが例えば0.06mであり、また、個々のボトルに必要な空間の長さlが例えば0.1m/ボトルであると、この設備の空間の数は、
N=(T+τ).Kであり、この例では、
N=(30+3).3〜200
である。この設備の長さは、
L=N.lであり、この例では、
L=100.0 . 0.1=10m
である。この設備の幅は、
B=2a+b+2c
である。aはゾーン4および5の幅(〜0.3m)であり、bはゾーン1の幅である。また、cはコンベヤの幅(〜0.1m)である。この例では、Bは、〜0.9mである。
【0040】
コンベヤに沿ったボトルの速度は、
W=N.d/T+τ=K.d
より速い速度でなければならず、この例では、W=0.18m/秒である。
【0041】
給送コンベヤ上のボトルの分離に必要な時間は処理時間の中に含まれているため、設備の生産性は、その分離時間には左右されないが、分離時間の長さは、td≦T−L/Wの関係を満足しなければならない。
【0042】
速度Wは、必要に応じて変更することができる。この構成の利点は、設備が小型であり、ボトルを搬送するラインに設置することができることである。
【0043】
上で説明したデバイスの欠点は、ボトルを分離し、かつ、移動させるための機構がかさ張る(≧10m)ことである。また、PETボトルが極めて軽く、横運動を受けるとバランスを失うことがあることである。
【0044】
図6は、ボトル3を連続的に装荷し、かつ、連続的に搬出する直線型設備を略図で示したものである。
【0045】
プラズマ発生器は一列に並んでおり(行46)、装荷コンベヤ22aおよび搬出コンベヤ22bは、この行の両側に配列されている。処理ゾーン20における行46に対応するボトルの位置決め、および処理ゾーンからのボトルの搬出は、ロボット56を制御することによって連続的に個別に実行される。
【0046】
この設備は、次のように機能している。ボトル3が装荷コンベヤ22aから連続的に到着し、停止手段50に接触することによって装荷コンベヤ上で互いに密に詰め込まれる。装荷ロボット56aは、行46に平行に、例えば右から左へ向かって移動し、その吸引ユニットを使用してコンベヤ上のボトルを保持し、保持したボトルを最も近くの処理位置に配置する(空になった装荷コンベヤ22a上の空間は、他のボトルによって直ちに占有される)。次にロボットが180°回転し、ボトルを処理ゾーンに正確に配置する。上部電極および下部電極がボトルをつかみ、吸引ユニットがボトルを解放すると、ロボットが移動して同じ操作が実行され、プラズマ発生器4の真下の隣接する処理位置が装填される。ロボットが1つの方向における行46の末端に到達すると、速やかに元の位置に復帰し、上で説明したプロセスが繰り返される。
【0047】
ボトルの搬出は、ロボット56bによって対称的に実行される。ロボット56bは、その吸引ユニットを使用して処理済みのボトルを保持し、保持した処理済みのボトルを搬出コンベヤ22bに載せる。
【0048】
ロボットがラインの末端に到達すると、速やかに元の位置に復帰する。ボトルは、運動システムの高速コンベヤ、例えば空気コンベヤによって搬送される。
【0049】
システムを適切に機能させるための満足すべき条件は、W.Δt≧2d−lである。Δtは、隣接する2つの処理ゾーンにおける搬出と搬出の間の経過時間である。この場合、ライン全体の幅は不変である。コンパクトで、自由度の数が多く、かつ、高い精度で動作するロボットを使用することが有利である。この実施形態の利点は、ボトルを分離するためのシステムを必要としないことであり、装荷デバイスおよび搬出デバイスに必要なスペースは極わずかである。
【0050】
図7aおよび7bは、本発明による、ボトルを搬送するための空気コンベヤを有する運動システムを備えたデバイスの他の実施形態を示したものである。この実施形態では、処理ラインは、ボトルを製造し、かつ、充填するラインのための空気コンベヤと一致している。したがってデバイスは、ボトルを製造し、かつ、充填するラインの空気コンベヤの上に取り付けられており、プラズマによる表面処理は処理ゾーン20で実行され、ボトルの装荷/搬出は、付属部分22aおよび22bの中で実行されている。プラズマ処理ゾーンの主要部分は、電極54a、54b、個々のボトル3の真上に配置されたプラズマ発生器4、およびボトルを処理ゾーンへ移動させ、かつ、位置決めするための機構を備えている。
このデバイスは、以下に示すように機能している。
【0051】
従来の空気コンベヤの場合と同様、ボトルの首64を支持するためのレールとして機能している空気圧搬送通路62に沿ったダクト60から供給される加圧空気によってボトルが押される。ボトル・カウンタによって、処理ステーションの数つまりプラズマ発生器4の数に対応する必要な数のボトルの入場が許可される。正確に位置決めされた停止手段によって正確な位置でボトルが停止し、分離/位置決め手段によって個々のプラズマ発生器4の真下にボトルが配置される。他の分離手段、例えばスクリュー・コンベヤすなわち円錐歯を備えたコーム、さらにはボトルの存在を示すフォトダイオードからの信号によって逐次起動される停止手段を使用することも可能である。ボトル位置決め機構によってボトルがプラズマ発生器の電極54aおよび54bの軸に沿って正確に配置される。処理ゾーン20内の気送管を形成している壁61は、ボトル3へのアクセスを提供するべく移動させることができる。上部電極54aは下に向かって移動し、下部電極54bは上に向かって移動する。下部電極54bは、ボトルをフリクション・シューを介して回転させるための機構を備えている。ボトルの首64は、ボトルが回転している間、上部電極のハウジングの下部部分66の上をスライドする。下部電極の上に取り付けられたばね(図示せず)が、一方ではボトルと下部電極の間に摩擦が生じないことを保証し、他方では上部電極のハウジング(ハウジングは例えばテフロン(登録商標)でできている)とボトルの首の間の適切な摩擦を保証するために必要な圧力を付与している。処理ガスとして使用するガス混合物がボトルに充填されると、プラズマによる表面処理が開始される。
【0052】
この間、気送管61を構成している移動可能な2つの部分が、ボトル処理中における電界の配電線に対するあらゆる妨害およびあらゆる影響を回避する方法で互いに遠ざかる方向に移動する。電極に電力が供給され、膜を付着させるプロセスが開始される。一定の期間Tが経過するとプロセスが終了し、上で説明したすべての操作が反対方向に実行される。空気流によってボトルがフラッシングされ、電極から解放され、空気流によって搬出される。
【0053】
この実施形態の利点は、
−小型であること
−単純であること
−ボトルを供給し、かつ、搬出する速度が速いこと
−ボトルが落下し得ないこと
−容積および形状が異なるボトルに対する設備の適合性が良好であること
である。
【0054】
設備の長さLは、生産レートN、個々のボトルに対する処理サイクルの継続期間Tおよびプラズマ発生器の幅lによって決まる。
【0055】
10,000ボトル/時間、T=30秒、l=0.1mの場合、得られる値Lは10mである。設備の横方向の寸法Bは、処理ゾーンを形成している発生器の行数で決まり、1行乃至2行の場合、Bは0.5mである。ボトルの装荷継続期間および搬出継続期間はボトルの平均移動速度で決まり、例えば10m/秒程度である。したがって装荷および搬出の総継続期間がτ=2秒を超えることはない。
【0056】
処理ゾーン内への運動線に沿った複数の発生器のコンパクトな設置を可能にするためには、プラズマ発生器4の一般的な形状は、図8に示すような単一ブロック列であるか、あるいは図7aもしくは図9に示すような複数のブロックであることが有利であり、また、プラズマ発生器の幅は、ボトルの直径あるいは容器の幅lに近いか、あるいはそれより若干大きいことが有利である。一例として、容積が0.7lで、図8に示す形状を有するPETボトルを処理する場合、本発明によるプラズマ発生器は、幅lが約80mm、高さHが約500mmで構築することができる。図8に示す実施例では、容器3は、所定の位置におけるボトルの保持を可能にし、かつ、ベルヌーイ効果によってボトルの傾斜を防止する空気導管57を備えた回転機構24の下部回転サポート55によって支持されている。このバージョンでは、列として提供されているプラズマ発生器は、図3に関連して既に説明したすべてのエレメントを備えており、同じ参照数表示が使用されている。また、図8には、国際出願PCT/IB02/01001に記載されているように、分岐したフィラメント59網の形態で生成される放電が示されている。
【0057】
図7aを参照すると、プラズマ発生器は、電気パルスを配電するためのブロック30(電源システム)、ガスを分配するためのブロック(ガス供給システム)および制御ユニット36からなる複数のブロックを備えている。
【0058】
図7aに示す電力配電ブロック30では、正極性および負極性の直流高電圧(例えば+20kVおよび−20kV)を得るべく、整流器33によって最初に電源網(380V/220V、50Hz)からの交流が整流され、次に、高周波インタラプタ・トランジスタ31によって電流がパルスに変換されている。
【0059】
ガス分配ブロック34にはマニホルド37が含まれており、複数のガス成分が電気弁39を介してマニホルド37に供給されている。アルゴンなどのキャリア・ガスによって有機金属化合物の蒸気をマニホルドに供給することも可能である。
上で言及したブロックは、制御ユニット36によって起動され、かつ、制御されている。
【0060】
ガス供給システム34は小型化され、ガスの流量に対する空間(管、弁)の容積Vの比率に対応する、電気弁39が動作を開始する時点と容器の充填が開始される時点の間の経過時間Δが、第1の操作(例えばアルゴンもしくは窒素を使用した容器のフラッシング)の継続期間と静止状態(つまり流量が静止している状態)の継続期間の間の差より短くなる方法で、処理すべき容器から最短距離の位置に配置されている。
【0061】
このデバイス、詳細には上で説明したデバイスの運動システムと共に使用することができ、かつ、小型で合理的に低コストであるという基準を満足するプラズマ発生器に関しては、本発明のフレームワークの中で3つのタイプのプラズマ発生器が提案されている。提案されている3つのタイプは、国際出願PCT/IB02/01001に記載されている発明の中で記述されている、極めて品質の高いプラズマ処理の極めて有効で、かつ、大気圧下での実行を可能にする基準に合致する放電を生成することができることに留意されたい。この点に関して、本発明の目的は、とりわけ、上で言及した国際出願の中に記述されている有利な基準を満足する電気パルスを使用して放電を生成することである。
【0062】
本発明に使用することができる3つのタイプのプラズマ発生器は、要するに次の3つである。
【0063】
1.直流をHFパルスに変換するための半導体キーを使用し、かつ、放電を生成することによって、個々の高周波(HF)発生器から処理すべき容器の各々に個々に放電を供給するプラズマ発生器。
【0064】
2.放電を生成するためのトランジスタを使用することによって、高周波電流を発生する個々の発生器から処理すべき容器の各々に個々に放電を供給するプラズマ発生器。
【0065】
3.放電を生成する複数のプラズマ発生器に供給する中央高周波高出力電流源から、実質的に同じパラメータの電気パルスで並列に放電を供給するプラズマ発生器。
【0066】
本発明によるプラズマ発生器は、工業的に許容可能なコストおよび大きさのデバイスを提供している点で、嵩張り、かつ、複数のボトルに個別に電力を提供するには不適切な二極管を使用した従来の高周波発生器とは異なっている。本発明のフレームワークの中で提案されている発生器のタイプは、プラズマ発生器の小型化だけでなく、国際出願PCT/IB02/01001に記述されている基準を満足する前縁、持続期間および周波数を有する電流パルスを使用した放電の生成を可能にしている。
【0067】
最初に、上で言及した第1のタイプのプラズマ発生器について調査する。
第1のタイプのプラズマ発生器には、負荷(プラズマ放電)が動的負荷である場合の周波数の安定性を保証する外部励起スキームに従って高周波電界トランジスタが使用されている。
【0068】
従来の発生器スキームの場合、トランジスタの寄生容量の望ましくない効果(ミラーの容量効果)のため、動作範囲における時間が長くなり、そのためにこのような発生器の動作周波数は、150〜200kHzを超えていない。
【0069】
図12を参照すると、本発明は、1MHzと100MHzの間の周波数を得るために、提案されているプラズマ発生器が電界トランジスタを備えており、「ミラー」容量の影響がC回路によって補償される点で知られている構造とは異なっている。この補償には、トランジスタTのゲートへの、変圧器Tから上で言及した(振幅−位相)回路を介して出力される電圧の一部の伝達が利用されている。トランジスタTのゲートで、伝達された電圧の一部が同相で制御電圧に加えられ、それにより入力パルスの開始時および終了時における、ゲートの容量を再充電する電流の二次微分が増加し、かつ、トランジスタのなだれ状態が条件付けされる。このような条件の下に、トランジスタのスイッチング時間が実質的に短縮され、かつ、周波数が高くなり、それにより書類PCT/IB02/01001に記載されているプラズマ生成の要求事項、詳細にはパルス前縁の1μsec未満の持続期間に関連する要求事項を満足している。
【0070】
例えば図11に示すように電界トランジスタを並列に取り付ける場合、この原理を使用することができる。この場合、電界トランジスタの数は、必要な出力電力によって決まる。
【0071】
周波数を自動的に調整するための従来のシステムを使用して、プラズマ発生器の安定した機能を保証し、かつ、例えばプラズマ発生器の特定のエレメントの加熱によって生じる周波数の振動を防止することができる。
【0072】
[実施例1.1]
空中プラズマ放電をPETボトル内におけるフィラメント網の形態で生成するための発生器が構築された。個々のボトルに対する発生器のパラメータは以下の通りである。
発生器の周波数:880kHz
1パルス当たりの電力出力:6kW
寸法:直径:70mm
高さ:400mm
電源:300V(直流)
【0073】
回路には、並列に取り付けられた6個の2SK2611タイプのトランジスタおよびドライバTLP250(東芝製)(図12のD)が利用されている。
【0074】
図9に示す第2のタイプの高周波発生器は、高電圧高速スイッチング・トランジスタをベースにしており、小型で、二極管および共振輪郭が存在していない点で従来の発生器とは異なっている。
【0075】
放電電極を例えば直流の高電圧源の正極および負極に接続することによって高電圧/高周波数を得ている。
【0076】
接続部の周波数および電圧の変調はコンピュータによって制御されており、1MHzと100MHzの間の周波数を得ることができる。
【0077】
インタラプタ・トランジスタ(すなわちスイッチング・トランジスタ)31は、処理すべき容器、例えばPETボトルの真上に置かれている。
【0078】
インタラプタ・トランジスタは、外部高電圧二極源およびコンピュータに接続された制御ユニット36に接続されている。
【0079】
2つのトランジスタTおよびTに基づくブリッジ・スキームを使用する場合、外部単極高電圧電流源を使用することができる。
【0080】
高速高電圧インタラプタ・トランジスタ31は、一方が、外部二極高電圧電流源の極に接続された2つの端子55aおよび55bを介して、容器3(例えばPETボトル)に電流が流入する電極54aに接続され、もう一方が端子57を介して制御ユニット36に接続されている。
【0081】
[実施例2.1]
図10を参照すると、HTS 301−03−GSMタイプ(Behlke社製)の高電圧/高速インタラプタ・トランジスタ31を使用した、PETボトル内部の分岐網の形態でパルス放電を生成するための発生器が構築されている。
【0082】
インタラプタは、RC回路(R、C、R、C)を介して高電圧二極源59(−12kV、+12kV、25kW)から電力が供給されている。
【0083】
管状金属電極54aは、プラスチック容器3の首64の近傍に配置されている。ヘキサメチルジシロキサン蒸気を含有した発生器ガスが電極を介して導入されている。交番する高電圧の周波数およびその変調は、コンピュータ70によって出力される制御パルスによって決定されている。分岐網の形態の放電は、この方法で容器の内部表面に沿って生成され、不浸透性SiO膜が形成される。酸素に対するBIF(バリア不浸透係数)は60である。
【0084】
使用されているインタラプタ・トランジスタ31は、図11に示すように高電圧電界トランジスタをベースとしており、高電圧電流源に直列に接続され、該高電圧電流源から電力が供給されている。このデバイスは、前縁がナノ秒程度のパルスを引き渡すことができる高電圧光電子セパレータを使用している点で従来のデバイスとは異なっている。
このインタラプタは、以下のように機能している。
【0085】
トランジスタのスイッチ・オンおよびスイッチ・オフは、一次巻線が直列に接続された変圧器92上の電源91(〜50kHz)から電力が供給されているドライバ90によって実行される。変圧器92はフェライト・コアを有しており、絶縁樹脂中に浸されている。半導体ブリッジ93によって二次巻線の交番電圧が整流され、ドライバ90に引き渡される。パルス発生器94によってパルス・パケットが生成され、高電圧光対95を介してドライバに導かれる。光ファイバによってフォトダイオード上の半導体レーザの光パルスを送信することも可能である。
【0086】
図13は、上で言及した第3のタイプによるプラズマ発生器、つまり電流の分配およびガスの混合が中央で実行されるタイプのプラズマ発生器を備えたデバイスを示したものである。
【0087】
プラズマ処理サイクルは、中央制御ユニット136によって制御され、かつ、コンピュータ70によって記録される。コンピュータは、マイクロコントローラ236が使用するプログラム(ソフトウェア)を画定している。マイクロコントローラ236は、プログラムされている電流源130の機能をライン72を介して自動的に制御し、プログラムされているガス混合器134の機能をそれぞれ制御電気弁139の前後のライン74および76を介して自動的に制御し、プログラムされている蒸発器78の機能を戻り「温度」信号79に基づいて自動的に制御し、また、プログラムされている回転モータ80の機能をライン82を介して自動的に制御している。ガス混合物は、マニホルド137を介してプラズマ発生器4のセットに供給される。
【0088】
単一の発生器から、特別な手段を講じることなく、そのパラメータの挙動が時間の経過に対して実質的に非線形である複数の放電(200〜300)を同時に発生させることは困難である。
【0089】
本発明による第3のタイプの発生器の場合、従来の高周波電流源を使用することができ、また、適切な信号を三極管のゲートに送信している従来の方法を使用して高周波信号を変調することができる(つまり、時間の経過に対して所与の形状および所与の大きさを有するパルスを得ることができる)。本発明によれば、容器内の放電は、処理すべき容器の真上に、処理すべき容器にもたらされるHFラインの誘導損失および容量損失を実質的に無視することができるだけの距離を隔てて配置されたプラズマ発生器内に設けられた、例えば図14a乃至14eに示すような個々のLCアダプタを介して供給される。列の直径は、容器、例えばPETボトルの直径(70mm)を超えることはない。
【0090】
LCアダプタは、同軸ケーブル81によってプラズマ発生器に接続されている。技術要求事項に応じて、1つまたは2つの輪郭を有するLCアダプタを使用することができる。
【0091】
[実施例3.1]
平均出力が2.4kWで、パルス出力が42kWの高周波発生器(13.56MHz)が使用された。0.5lのPETボトルにバリア膜を形成するために必要な出力は、P(平均)=0.4kWおよびP(パルス)=7kWであった。放電の数は6個であり、LCアダプタの数も6個であった。出力インダクタンスLを自動変換する、輪郭が1つのアダプタが使用された。図14aは、このアダプタの回路図を示したものである。
【0092】
このアダプタのパラメータは、
C=250pF;L=0.5μH
である。
【0093】
調整は、巻線Lの接触点を変化させることによって実行される(この調整は、所与の負荷R、例えばボトルに対して一度実行される)。
【0094】
[実施例3.2]
平均出力が40kWで、パルス出力が700kWの高周波発生器(13.56MHz)が使用された。0.5lのPETボトルにバリア膜を形成するために必要な出力は、P(平均)=0.4kWおよびP(パルス)=7kWであった。選択された負荷(この場合、0.5lのPETボトル)の数は100個であり、LCアダプタの数も100個であった。ここで使用された輪郭が2つのアダプタ・デバイスの特徴は、輪郭が1つのアダプタと比較すると、発生器に対する負荷の影響が小さいことである。図14bは、このLCアダプタを略図で示したものである。
【0095】
このアダプタのパラメータは、
=250pF;L=0.5μH
=85pF;L=0.8μH
である。
【0096】
負荷Rによる調整がインダクタンスLおよびLを変化させることによって実行された。キャパシタンスCおよびCは一定であり、その大きさは可変真空キャパシタンス未満であった。
【0097】
100個の負荷用に100個のアダプタを備えたこのような発生器を使用して、100個のPETボトルを同時に処理することができる。
【0098】
[実施例3.3]
分岐したフィラメントで表面放電を生成するべく高周波パルス発生器が使用された。高周波発生器からアダプタを介して電力が供給される。図14cに示す共振並列回路システムがデバイスに使用されている点で既存のデバイスとは異なっている。
【0099】
コンデンサC(=100pF)は分離コンデンサであり、コンデンサC(=30〜100pF)は調整コンデンサである。使用したインダクタンスはL(=0.5μH)であった。このデバイスは、1つの工程への適合を可能にしている。放電に使用されるエネルギーの4倍乃至5倍にもなる既存のシステムと比較すると損失が減少している。
【0100】
[実施例3.4]
アダプタのない従来の高周波発生器である高周波パルス発生器が使用され、独立して励起された。自動変換デバイスおよび変換デバイスは、図14dおよび14eに示すように設計された。
【0101】
これらの解決法は、アダプタ内で生じる損失を除去する利点を有しており、多数の同じ負荷の接続を可能にしている。この実施例では4つのパルス放電が同時に実行され、その平均出力は0.3kWであった。変換係数は、1.1〜1.3であった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による空中プラズマを使用して容器の表面、詳細にはボトルの表面を処理するためのデバイス、詳細には運動システムを示す簡易平面図である。
【図2】本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの他の実施形態、詳細には運動システムを示す簡易平面図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿って取った、本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの簡易横断面図である。
【図4】本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの他の実施形態、詳細には運動システムを示す簡易平面図である。
【図5a】本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの他の実施形態、より詳細には運動システムを示す簡易平面図である。
【図5b】図5aに示すデバイスの一部を示す側面図である。
【図6】本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの他の実施形態、より詳細には運動システムを示す簡易平面図である。
【図7a】本発明による空中プラズマを使用してボトルの表面を処理するためのデバイスの他の実施形態の簡易斜視図である。
【図7b】処理中のプラズマ発生器の一部およびボトルの一部を示す簡易横断面図である。
【図8】本発明による処理中のプラズマ発生器の実施形態およびボトルの実施形態を示す簡易図である。
【図9】本発明によるデバイスのトランジスタ・プラズマ発生器の他の実施形態の機能を示す図である。
【図10】本発明の他のバージョンによるトランジスタ発生器の電源を示す簡易図である。
【図11】本発明の他のバージョンによる発生器の高電圧光セパレータを備えた電源の回路図である。
【図12】本発明の他のバージョンによる、電界トランジスタの使用をベースとした発生器の電源の回路図である。
【図13】中央電源ブロックから複数のプラズマ発生器に電力を供給する電源を備えた、本発明によるデバイスの実施形態の略図である。
【図14a】複数の発生器が中央電源ブロック、例えば図13に示す中央電源ブロックに接続された場合における、LCアダプタを備えたプラズマ発生器の電源の他のバージョンの回路図である。
【図14b】複数の発生器が中央電源ブロック、例えば図13に示す中央電源ブロックに接続された場合における、LCアダプタを備えたプラズマ発生器の電源の他のバージョンの回路図である。
【図14c】複数の発生器が中央電源ブロック、例えば図13に示す中央電源ブロックに接続された場合における、LCアダプタを備えたプラズマ発生器の電源の他のバージョンの回路図である。
【図14d】複数の発生器が中央電源ブロック、例えば図13に示す中央電源ブロックに接続された場合における、LCアダプタを備えたプラズマ発生器の電源の他のバージョンの回路図である。
【図14e】複数の発生器が中央電源ブロック、例えば図13に示す中央電源ブロックに接続された場合における、LCアダプタを備えたプラズマ発生器の電源の他のバージョンの回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送するための運動システムと、大気圧で動作する、それぞれ1個ずつ前記容器を処理するように適合された複数のプラズマ発生器とを備えた、プラズマを使用して前記容器の表面を処理するためのデバイスであって、プラズマ発生器の各々が、処理ガス供給システムと、インタラプタとして機能する少なくとも1つのトランジスタもしくはLCアダプタを備えた、電流パルスを供給するべく適合された電源システムとを備えたデバイス。
【請求項2】
プラズマ発生器の各々が、容器の直径あるいは幅に近い直径あるいは幅、もしくは若干大きい直径あるいは幅を有する列として提供されたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電源システムが、電流パルスの振幅、前縁の勾配、周波数および連続する2つのパルス間の経過時間を制御するべく適合された制御ユニットを備える、あるいは該制御ユニットに接続されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プラズマ発生器が、前記運動システムの円形コンベヤ上に並んで配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記運動システムが、前記容器を蓄積するためのゾーンを備え、かつ、複数の発生器が、容器をバッチ処理するべく前記運動システムの上方に配置されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電源システムが電流源を備えたことを特徴とし、かつ、前記ガス供給システムがガス分配器を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電流源、前記ガス分配器および制御ユニットが、個々の容器のプラズマ処理プログラムを個別に決定するマイクロコントローラを備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電流源、前記ガス分配器および前記マイクロコントローラが、同じハウジング内に提供される、あるいは処理すべき前記容器の上方のブロックとして提供されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記容器の装荷をプラズマ処理ゾーン(20)に導くためのピボット・ガイドを備えたことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記処理ゾーンが、前記容器の処理が前記容器の装填中および装填終了後に行毎に実行される方法で容器を複数の行で保管するための行を備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記処理ゾーン(20)の上流側および下流側に、それぞれ前記行の容器を前記処理ゾーンの行に配置し、かつ、前記処理ゾーンから前記容器を搬出するために使用されるコンパートメント化された2つの相補ゾーンを備えたことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項12】
三極管のゲートに送信される信号によって決定される電気パルスを生成する高周波電流発生器を備えた中央電流源を備え、前記LCアダプタを介して、個々の前記容器内のフィラメント網の形態で放電を生成するべく、前記高周波パルスがプラズマ発生器の各々に並列に送信されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスの前記電流源が、プラズマ発生器の各々の個々の高速高電圧インタラプタ・トランジスタに供給する中央高電圧二極直流源を備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスの前記電流源が、2つの高速高電圧インタラプタ・トランジスタからなるブリッジを備えた前記プラズマ発生器に、「フィラメント網」の形態の放電を生成する方法で供給する中央高電圧単極直流源を備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスの前記電流源が、信号がコンピュータによって変調されるCR振幅−位相回路を個々に有する個別の電界トランジスタ・システムを備えた前記プラズマ発生器に供給する中央高電圧直流源を備え、前記個別の電界トランジスタ・システムの各々が、処理すべき前記容器の内部表面上の「フィラメント網」の形態で放電させるべく電流を供給することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
電流パルスを発生する前記回路の高出力エレメントが、非定常熱伝達状態で機能する方法で冷却されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記運動システムが、前記容器が空気流によって移動する空気圧搬送通路(62)を備え、前記容器への発生器電極(54a)のアクセスを可能にするべく、前記空気圧搬送通路を前記デバイスのプラズマ処理ゾーン(20)内で移動させることができることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記制御ユニットが、前記容器のプラズマ処理に使用する処理ガスを構成するガス混合物を形成するためのガス分配部分のプログラムの実行を制御することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図14e】
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【公表番号】特表2006−508704(P2006−508704A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−500312(P2004−500312)
【出願日】平成15年4月24日(2003.4.24)
【国際出願番号】PCT/IB2003/001675
【国際公開番号】WO2003/092039
【国際公開日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【出願人】(503169666)
【Fターム(参考)】