説明

プーリ支持軸受および電磁クラッチのプーリ支持構造

【課題】軸受寿命を長くすることができるプーリ支持軸受を提供する。
【解決手段】プーリ支持軸受11は、金属製であって、内径寸法dが、d≧30mmの内輪12と、金属製であって、外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d≦0.39の外輪13と、金属製であって、内輪軌道面12aおよび外輪軌道面13aの間に配置される複数の玉14と、内輪12および外輪13の間に配置されて、軸受内部空間を密封する密封シール16とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受である。ここで、内輪軌道面12a、外輪軌道面13aおよび玉14の転動面14aには、リン酸金属塩被膜が形成されている。また、軸受内部空間には、グリース組成物17が封入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プーリ支持軸受、特に、電磁クラッチのプーリを支持する軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用空気調和装置等に組み込んで冷媒を圧縮する従来のコンプレッサは、例えば、特開平11−280644号(特許文献1)に記載されている。また、同公報に記載されているコンプレッサは、エンジンの駆動力によって回転軸を回転させるので、エンジンとコンプレッサとの機械的な連結を制御する装置として電磁クラッチが採用されることが多い。
【0003】
電磁クラッチは、転がり軸受によって回転自在に支持され、無端ベルトによってエンジンと接続されているプーリと、プーリの一方側端面と所定の隙間を設けて配置され、コンプレッサの回転軸に固定される磁性環状板と、プーリを挟んで磁性環状板と対向する位置に固定されるソレノイドとを有する。また、プーリを回転自在に支持する転がり軸受としては、深溝玉軸受、3点接触玉軸受、および4点接触玉軸受等が使用されることが多い。
【0004】
上記構成の電磁クラッチは、ソレノイドの非通電時にはプーリと磁性環状板とが離れた状態となってプーリの回転を回転軸に伝達しない。一方、ソレノイドの通電時にはソレノイドの吸着力によって磁性環状板がプーリに当接してプーリの回転を回転軸に伝達する。
【特許文献1】特開平11−280644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の電磁クラッチにおいて、プーリを支持する転がり軸受には、無端ベルトの張力に起因するラジアル荷重やプーリの軸方向中央部を通る仮想線と転がり軸受の軸方向中央部を通る仮想線との距離(以下「オフセット」という)に起因するモーメント荷重が負荷される。特に、近年のコンプレッサの軽量化、コンパクト化や高速化に伴い、電磁クラッチの高速化が進んでいることから、転がり軸受に負荷される荷重も大きくなっている。
【0006】
ここで、単列の深溝玉軸受はモーメント荷重に対する剛性が低い。また、3点接触玉軸受や4点接触玉軸受は、単列の深溝玉軸受よりもモーメント荷重に対する剛性が高いとはいえ、必ずしも十分とは言えない場合がある。この結果、運転時に振動並びに騒音を発生し易くなる他、耐久性確保が難しくなる。また、単列の4点接触玉軸受においては、オフセットが大きくなると接触角の変化およびボールのすべり率が大きくなり、グリース寿命が著しく低下する。そうすると、潤滑不良を引き起こし、軌道面の剥離が発生して、軸受寿命が短くなる恐れがある。
【0007】
また、上記した転がり軸受は、転動時に境界潤滑の状態となって、軌道面や転動面、すなわち、玉と内輪や外輪との摩擦面に、部分的に、または一時的に油膜の存在しない界面潤滑の状態が発生しやすい。ここで、その時の発熱により、さらには金属同士の摺動による摩耗粉の発生によって、グリースなどの潤滑剤が劣化し、十分に軸受寿命を延ばすことができないという問題もある。
【0008】
さらに、上記した転がり軸受を高温下において、高速回転等使用条件が過酷な状況で使用すると、転がり軸受の軌道面に白色組織変化を伴った特異的な剥離が早期に生じ、問題となる。このような特異的な剥離として、水素を要因とする水素脆性による剥離と考えられる。このような剥離は、軸受寿命を短くする恐れがあるため、対策を講じる必要がある。
【0009】
この発明の目的は、軸受寿命を長くすることができるプーリ支持軸受を提供することである。
【0010】
また、この発明の他の目的は、寿命の長い電磁クラッチのプーリ支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るプーリ支持軸受は、プーリの内径面に嵌合して、プーリを回転自在に支持する。また、プーリ支持軸受は、金属製であって、外径面に複列の内輪軌道面を有し、内径寸法dが、d≧30mmの内輪と、金属製であって、内径面の内輪軌道面に対面する位置に複列の外輪軌道面を有し、外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d≦0.39の外輪と、金属製であって、内輪軌道面および外輪軌道面の間に配置される複数の玉と、内輪および外輪の間に配置されて、軸受内部空間を密封する密封部材とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受である。ここで、内輪軌道面、外輪軌道面および玉の転動面には、リン酸金属塩被膜が形成されている。また、軸受内部空間には、グリース組成物が封入されており、グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物である。添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選択された少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、アルミニウム系添加剤の配合比率は、ベースグリース100重量部に対して0.05〜100重量部である。
【0012】
上記構成とすることにより、接触角の変化および玉のすべり率を小さくしてグリース寿命の低下を防止することができる。また、外輪や内輪、玉の摩擦面に油膜が途切れるような境界潤滑の場合でも、金属同士が接触することはなく、金属摩耗粉が発生する恐れはない。また、水素脆性による剥離も低減することができる。したがって、軸受寿命を長くすることができる。
【0013】
好ましくは、内輪、外輪および玉は、リン酸トリエステル溶液中に浸漬されて、その表面にリン酸金属塩被膜が形成される。こうすることにより、容易に、内輪、外輪および玉の摩擦面に、リン酸金属塩被膜を形成することができる。
【0014】
この発明に係る電磁クラッチのプーリ支持構造は、プーリと、プーリの軸方向一方側に配置されて、回転軸に固定連結される磁性環状板と、プーリの他方側の磁性環状板に対面する位置に固定されるソレノイドと、プーリを回転自在に支持するプーリ支持軸受とを備える。プーリ支持軸受は、金属製であって、外径面に複列の内輪軌道面を有し、内径寸法dが、d≧30mmの内輪と、金属製であって、内径面の内輪軌道面に対面する位置に複列の外輪軌道面を有し、外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d≦0.39の外輪と、金属製であって、内輪軌道面および外輪軌道面の間に配置される複数の玉と、内輪および外輪の間に配置されて、軸受内部空間を密封する密封部材とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受である。ここで、内輪軌道面、外輪軌道面および玉の転動面には、リン酸金属塩被膜が形成されている。また、軸受内部空間には、グリース組成物が封入されており、グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物である。添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選択された少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、アルミニウム系添加剤の配合比率は、ベースグリース100重量部に対して0.05〜100重量部である。
【0015】
上記構成のプーリ支持軸受を採用することにより、軌道面の剥離を低減することができるため、寿命を長くした電磁クラッチを得ることができる。
【0016】
好ましくは、プーリの軸方向中央部を通る仮想線と、プーリ支持軸受の軸方向中央部を通る仮想線との距離δは、δ≦4mmを満たす。オフセットをこの範囲内に設定することにより、プーリ支持軸受の寿命を長くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、接触角の変化および玉のすべり率を小さくしてグリース寿命の低下を防止することができる。また、外輪や内輪、玉の摩擦面に油膜が途切れるような境界潤滑の場合でも、金属同士が接触することはなく、金属摩耗粉が発生する恐れはない。また、水素脆性による剥離も低減することができる。したがって、軸受寿命を長くすることができる。
【0018】
また、このようなプーリ支持軸受を備える電磁クラッチのプーリ支持構造は、軌道面の剥離を低減することができるため、寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図4を参照して、この発明の一実施形態に係るプーリ支持軸受を説明する。なお、図1はプーリ支持軸受11を示す図、図2はプーリ支持軸受11を採用したコンプレッサ21を示す図、図3および図4は電磁クラッチ32の部分拡大図である。なお、図2〜図4中のプーリ支持軸受11は、簡略化して示している。
【0020】
まず、図2を参照して、コンプレッサ21は、ケーシング22と、回転軸29と、斜板30と、ピストン31と、電磁クラッチ32とを備える。このコンプレッサ21は、自動車用空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍機等に組み込まれる。
【0021】
ケーシング22は、低圧室26および高圧室27を有するヘッドケース23と、ピストン31が往復運動する複数のシリンダ28を有するシリンダケース24と、斜板30を収容する斜板ケース25とをボルト(図示省略)によって固定している。
【0022】
低圧室26は、ヘッドケース23に設けられた吸入ポート(図示省略)と、各シリンダ28に連通する吸入孔26aと、吸入孔26aから冷媒蒸気の逆流を防止する弁26bとを有する。また、吸入ポートは蒸気圧縮式冷凍機を構成するエバポレータ(図示省略)の出口に連通する。そして、吸入ポートから吸入した冷媒蒸気を吸入孔26aを通じてシリンダ28に供給する。
【0023】
一方、高圧室27は、ヘッドケース23に設けられた吐出ポート(図示省略)と、シリンダ28に連通する吐出口27aと、吐出口27aから冷媒蒸気の逆流を防止する弁27bとを有する。また、吐出ポートは蒸気圧縮式冷凍機を構成するコンデンサ(図示省略)の入り口に連通する。そして、ピストン31によって圧縮されたシリンダ28内部の冷媒蒸気が吐出口27aを通じて高圧室27に供給される。
【0024】
回転軸29は、ケーシング22および電磁クラッチ32に連通し、ラジアル針状ころ軸受29aおよびスラスト針状ころ軸受29bによって、シリンダケース24および斜板ケース25の2箇所で回転自在に支持されている。また、斜板ケース25の内部で斜板30を保持している。
【0025】
斜板30は、回転軸29の回転軸線に直交する平面に対して所定角度傾いた状態で回転軸29に固定連結されている。また、その円周上の複数箇所にはピストン31がスライディングシュー30aによって連結されている。
【0026】
ピストン31は、斜板30に連結されており、回転軸29の回転に伴って、シリンダ28の内部を軸線方向(図2中の左右方向)に往復運動する。また、シリンダ28とピストン31と囲まれる領域には、冷媒蒸気を圧縮する圧縮室28aが形成されている。
【0027】
電磁クラッチ32は、プーリ33と、ソレノイド34と、磁性環状板35と、プーリ支持軸受11とを有する。
【0028】
プーリ33は、外径面に無端ベルト33aを保持する溝33bと、一方側端面にソレノイド34を収容する凹部33cとを有し、プーリ支持軸受11によってケーシング22に回転自在に支持されている。
【0029】
ソレノイド34は、凹部33cの内部に所定の隙間を設けた状態で配置されており、ケーシング22に固定されている。磁性環状板35は、磁性材料によって形成された円環形状の部材であって、プーリ33を挟んでソレノイド34と対面するように配置されている。また、板ばね35aによって回転軸29に固定されている。この板ばね35aは、磁性環状板35をプーリ33から遠ざける方向に付勢する。
【0030】
次に図1を参照して、プーリ支持軸受11は、外径面に複列の内輪軌道面12aを有する内輪12と、内径面の内輪軌道面12aに対面する位置に複列の外輪軌道面13aを有する外輪13と、内輪軌道面12aおよび外輪軌道面13aの間に配置される複数の玉14と、隣接する玉14の間隔を保持する保持器15と、軸受内部空間(「内輪12の外径面と外輪13の内径面との間の空間」を指す)を密封する密封部材としての密封シール16とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受である。なお、プーリ支持軸受11の内部には、グリース組成物17が封入されている。また、内輪12、外輪13および玉14は、いずれも金属製である。
【0031】
また、このプーリ支持軸受11は、内輪12の内径寸法dがd≧30mm、外輪13の外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d2≦0.39の範囲内に設定されている。なお、この実施形態においては、内輪12と外輪13との軸方向寸法は同一である。
【0032】
ここで、内輪軌道面12aを含む内輪12の表面、外輪軌道面13aを含む外輪13の表面および玉14の転動面14aを含む玉14の表面には、リン酸金属塩被膜が形成されている。内輪12等の表面に、リン酸金属塩被膜を形成する方法について簡単に説明する。まず、リン酸トリクレシル((CHO)PO)のようなリン酸トリエステル((RO)P=O)の溶液を準備する。なお、式中、Rはアリール基、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基を表す。この溶液に、上記した内輪12等を浸漬する。このようにして、内輪12等とリン酸トリエステルを反応させて、その表面にリン酸金属塩被膜を形成する。
【0033】
ここで、リン酸トリエステルは、式で表される有機リン酸化合物であって、このものは、可塑剤等として市販の工業用材料を用いることができる。なお、取扱い性の観点から、必要に応じて、有機溶剤で希釈して用いてもよい。また、反応速度を速めるためには、加温して反応させればよく、例えば、60℃で1〜2時間浸漬すれば、所望のリン酸金属塩被膜を得ることができる。
【0034】
こうすることにより、内輪12の内輪軌道面12a、外輪13の外輪軌道面13aおよび玉14の転動面14a、すなわち、内輪12や外輪13と玉14との摩擦面に、リン酸金属塩被膜を形成することができる。そうすると、油膜が途切れるような境界潤滑の場合においても、金属同士が接触せず、金属摩耗粉の発生を防止することができる。したがって、軌道面の剥離等を低減し、軸受寿命を長くすることができる。
【0035】
次に、図2、図3および図4を参照して、上記構成のコンプレッサ21の動作を説明する。まず、無端ベルト33aはエンジン(図示省略)によって回転駆動される駆動プーリ(図示省略)に掛け渡されている。そのため、プーリ33は、エンジンの回転に伴って回転する。
【0036】
図3を参照して、ソレノイド34の非通電時には、プーリ33と磁性環状板35との間には隙間が形成されている。その結果、プーリ33の回転は回転軸29に伝達されない。一方、図4を参照して、ソレノイド34の通電時には、ソレノイド34の吸着力によって磁性環状板35が板ばね35aに逆らってプーリ33に当接する。その結果、プーリ33の回転が磁性環状板35を介して回転軸29に伝達される。なお、図3および図4の斜線部分は回転部分を指す。
【0037】
回転軸29が回転すると、斜板30に取り付けられたピストン31がシリンダ28の内部を往復運動する。ピストン31が圧縮室28aの容積を大きくする方向(図2中の左方向)に移動すると、弁26bが開放されて冷媒蒸気が低圧室26から吸入孔26aを通って圧縮室28aに移動する。このとき、弁27bは閉鎖されて高圧室27内の冷媒蒸気が圧縮室28aに逆流するのを防止している。
【0038】
次に、ピストン31が圧縮室28aの容積を小さくする方向(図2中の右方向)に移動すると、ピストン31が圧縮室28a内の冷媒蒸気を圧縮すると共に、弁27bが開放されて圧縮された冷媒蒸気が吐出口27aを通って高圧室27に移動する。このとき、弁26bは閉鎖されて圧縮室28a内の冷媒蒸気が低圧室26に逆流するのを防止している。
【0039】
上記構成とすることにより、エンジンの駆動力を利用して冷媒蒸気を圧縮することが可能となる。ここで、電磁クラッチ32は、無端ベルト33aとプーリ33との間での滑りを防止して確実に動力伝達を行うために、無端ベルト33aの張力を大きくしている。そのため、プーリ33を支持するプーリ支持軸受11には、無端ベルト33aの張力に起因するラジアル荷重やオフセットに起因するモーメント荷重が負荷される。そこで、プーリ支持軸受11を図1に示すような寸法関係の複列のアンギュラ玉軸受とすることによって、プーリ33から負荷される荷重を適切に支持することができる。
【0040】
ここで、回転軸29の回転数はプーリ33の外径寸法に依存するので、コンプレッサ21に必要な回転数を確保する観点からプーリ33の外径寸法を自由に設定することはできない。また、プーリ33の内径寸法はプーリ33の強度等を考慮して決定されるので、外径寸法が決まれば自ずと内径寸法も決まる。
【0041】
その結果、プーリ支持軸受11は、設計時においてケーシング22に嵌合する内輪12の内径寸法より、プーリ33に嵌め込まれる外輪13の外径寸法の制約が大きい。そこで、制約の大きい外輪13の外径寸法dと軸方向寸法lとの関係を最適化することにより、軸受機能を最大限に発揮させることができる。
【0042】
次に、プーリ支持軸受11の内部に封入されているグリース組成物17について説明する。グリース組成物17は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物である。添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選択された少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有する。
【0043】
アルミニウム化合物としては、炭酸アルミニウム、硫化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、臭化アルミニウム、よう化アルミニウム、酸化アルミニウムおよびその水和物、水酸化アルミニウム、セレン化アルミニウム、テルル化アルミニウム、りん酸アルミニウム、りん化アルミニウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸マグネシウム、セレン酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ジルコン酸アルミニウム等の無機アルミニウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム等の有機アルミニウムが挙げられる。これらアルミニウム系添加剤は、1種類または2種類を混合して、グリースに添加してもよい。特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いアルミニウム粉末である。
【0044】
アルミニウム系添加剤の配合割合は、ベースグリース100重量部に対して、0.05〜10重量部である。すなわち、アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末のみである場合、ベースグリース100重量部に対してアルミニウム粉末を0.05〜10重量部、アルミニウム系添加剤がアルミニウム化合物のみである場合、ベースグリース100重量部に対してアルミニウム化合物を0.05〜10重量部、アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末とアルミニウム化合物とである場合、ベースグリース100重量部に対して、アルミニウム粉末とアルミニウム化合物とを合わせて0.05〜10重量部配合する。
【0045】
アルミニウム系添加剤の配合割合がこの配合範囲未満であると、水素脆性による軌道面での剥離を効果的に防止できない。また、上記範囲を超えても、剥離防止効果がそれ以上に向上しない。
【0046】
ここで、基油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高精製度鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリーαーオレフィン油、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、りん酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの中で、耐熱性と潤滑性に優れたアルキルジフェニルエーテル油、または、ポリーαーオレフィン油を用いることが好ましい。
【0047】
また、増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。
【0048】
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残すことは好ましくないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは、略当量となるように配合することが好ましい。
【0049】
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデジルアミン、アテアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア系化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0050】
基油にウレア系化合物等の増ちょう剤を配合して、上記アルミニウム系添加剤等を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア系化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
【0051】
ベースグリース100重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1〜40重量部、好ましくは、3〜25重量部配合される。増ちょう剤の含有量が1重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40重量部を超えると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
【0052】
また、アルミニウム系添加剤とともに、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が上げられる。これらを単独または2種類以上組合わせて添加できる。
【0053】
以上より、上記した構成のプーリ支持軸受、すなわち、プーリ支持軸受の構成部材が上記した寸法関係を有し、内輪軌道面、外輪軌道面および玉の転動面にリン酸金属塩被膜が形成され、内部に封入されるグリース組成物が、上記構成となっているプーリ支持軸受は、接触角の変化および玉のすべり率を小さくしてグリース寿命の低下を防止することができる。そうすると、潤滑不良を抑制して、軌道面の剥離を低減することができる。また、境界潤滑環境下においても、金属摩耗粉の発生を防止することができ、軌道面の剥離を低減することができる。さらに、水素脆性による剥離も低減することができる。したがって、軸受寿命を長くすることができる。
【0054】
また、上記構成のプーリ支持軸受を採用することにより、軌道面の剥離を低減することができるため、寿命を長くした電磁クラッチを得ることができる。
【0055】
次に、グリース寿命を測定する試験を行った。図5〜図7を参照して、試験方法および試験結果を説明する。なお、図5および図6は試験装置41を示す図、図7は試験結果を示すグラフである。
【0056】
まず、試験装置41は、駆動プーリ42と、無端ベルト43によって駆動プーリ42と連結された従動プーリ44と、駆動プーリ42を回転駆動するモータ45とを備える。また、従動プーリ44を支持する軸受として、図1に示すようなプーリ支持軸受11としての複列アンギュラ玉軸受(以下「本発明品」という)と、比較例としての4点接触単列玉軸受(以下「従来品」という)を使用して試験を行った。
【0057】
試験条件としては、従動プーリ44の回転速度を7000rpm、無端ベルト43の張力等によって軸受に負荷されるラジアル荷重を1470N、オフセット量δを0.5mm、4mmとする。また、試験時における雰囲気および軸受の温度をヒータにより管理している。
【0058】
図7を参照して、従動プーリ44を支持する軸受として本発明品を採用した場合、オフセット量δを4mmとしても500時間以上の軸受寿命を得られることが確認された。一方従来品を使用した場合、オフセット量δが0.5mmであれば350〜520時間程度の軸受寿命を得ることができるが、オフセット量δを4mmとすると試験開始直後に保持器が破損した。これにより、図1に示すようなこの発明の一実施形態に係るプーリ支持軸受11は、プーリに組み込んだ際のオフセット量δがδ≦4mmであれば、長期間にわたって使用可能であることが確認された。
【0059】
また、リン酸金属塩被膜を形成したものと形成していないものについて、試験を行った。実施例1として、リン酸トリクレシル7.36gを2−プロパノールで希釈して、200mlのリン酸トリエステル溶液を調製し、この溶液に軸受5115(NTN社製:スラスト玉軸受、軸受鋼製)の両輪を、溶液温度60℃で2時間浸漬して、表面にリン酸鉄その他のリン酸金属塩被膜を形成した。
【0060】
次に、この軸受の軌道面に市販の鉱油系グリース(日本グリース社製:ニグエースWR−S)を塗布し、以下の試験方法で軸受使用時の油膜の形成状態を調べた。
【0061】
(a)油膜の形成能力試験:実施例1の転がり軸受にスラスト荷重16.4kgを負荷し、1200rpmの速度で60分間回転させた。そして、回転輪に取り付けた回転軸と固定輪との間の電気抵抗(Ω)(以下、軸受内部抵抗という)を経時的に測定し、結果を図8に示した。ここで、軸受内部抵抗は、潤滑グリースの油膜形成能力が高いほど、油膜が厚くなって増加する。
【0062】
比較例1として、リン酸金属塩被膜を形成していない軸受5115を用い、その軌道面に市販の鉱油系グリース(日本グリース社製:ニグエースWR−S)を塗布したものを比較例1とし、このものに対して実施例1と全く同様に油膜の形成能力試験を行い、結果を図8に併記した。
【0063】
図8の結果からも明らかなように、表面にリン酸鉄その他のリン酸金属塩被膜を形成した実施例1は、内部抵抗値(Ω)が45分経過時まで増加し、その後ほぼ一定値を維持しており、潤滑油膜の形成能力は優れていることが判る。これに対して、比較例1は、潤滑油膜の形成能力に劣っていた。
【0064】
実施例2として、リン酸トリクレシル7.36gを2−プロパノールで希釈して200mlのリン酸トリエステルを調製し、この溶液に軸受6204(NTN社製:ラジアル玉軸受(単列深みぞ玉軸受)、軸受鋼製)の両輪および転動体を溶液温度溶液温度60℃で2時間浸漬して、表面にリン酸鉄その他のリン酸金属塩被膜を形成した。
【0065】
次に、この軸受の軌道面に市販の鉱油系グリース(日本グリース社製:ニグエースWR−S)を0.23〜0.25g封入して鉄製の非接触シールを軸受側面に取り付け、以下の試験方法で転がり軸受の寿命を調べた。
【0066】
(b)転がり軸受の寿命測定試験:実施例2を3個用い、これらの内輪に伝道器付きの回転軸を取り付けてスラスト荷重6.8kgfを負荷すると共に、回転を止めた外輪に対してラジアル荷重6.8kgfを負荷し、150℃の雰囲気で毎分10000回転の速度で回転軸を介して内輪を回転した。そして、これら軸受の回転トルクが増大し、回転軸を駆動している電動機の入力電流が制限電流を超過した自転(すなわち、回転トルクが始動トルクの2倍以上となった時)を転がり軸受の寿命(時間)とし、それぞれの結果を図9のグラフに示した。
【0067】
比較例2として、リン酸金属塩被膜を形成していない軸受6204を3個用い、その軌道面に市販の鉱油系グリース(日本グリース社製:ニグエースWR−S)を同量塗布したものを比較例2とし、このものに対して実施例2と全く同様に転がり軸受の寿命測定試験を行い、それぞれの結果を図9中に併記した。
【0068】
図9の結果からも明らかなように、軸受の内輪、外輪および転動体の表面にリン酸金属塩被膜を形成した実施例2は、同部品の表面にリン酸金属塩被膜を有しない比較例2よりも、5から10倍の軸受の寿命(時間)を示した。
【0069】
次に、上記したグリース組成物の実施例を示す。表1に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製商品名のミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
【0070】
MDIを溶解した溶液を攪拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100〜120℃で30分間攪拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
【0071】
これにアルミニウム系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに100〜120℃で10分間攪拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。
【0072】
表1において、基油として用いた合成炭化水素油は、40℃における動粘度30mm/secの新日鉄化学社製商品名のシンフルード601を、アルキルジフェニルエーテル油は40℃における動粘度97mm/secの松村石油社製商品名のモレスコハイルーブLB100を、それぞれ用いた。また、酸化防止剤は、住友化学社製ヒンダードフェノールを用いた。
【0073】
得られたグリース組成物の急加減速試験を行った。試験方法および試験条件を以下に示す。また、結果を表1に示す。
【0074】
<急加減速試験>
電装補機の一例であるオルタネータを模擬し、回転軸を支持する内輪回転の転がり軸受に上記グリース組成物を封入し、急加減速試験を行った。急加減速試験条件は、回転軸先端に取り付けたプーリに対する負荷荷重を1960N、回転速度は0〜18000rpmで運転条件を設定し、さらに、試験軸受内に0.1Aの電流が流れる状態で試験を実施した。そして、軸受内に異常剥離が発生し、振動検出器の振動が設定値以上になって発電機が停止する時間(剥離発生寿命時間、h)を計測した。なお、試験は、500時間で打ち切った。
【0075】
比較例3〜5
実施例3に準じる方法で、表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整し、さらに添加剤を配合してグリース組成物を得た。得られたグリース組成物を実施例3と同様の試験を行って評価した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示すように、各実施例では、急加減速試験は全て400時間以上(剥離発生寿命時間)の優れた結果を示した。これは、アルミニウム系添加剤を所定割合で添加したことにより転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を効果的に防止できたためであると考えられる。
【0078】
なお、上記の実施形態におけるプーリ支持軸受11は、隣接する玉14の間隔を保持する保持器15を有する例を示したが、これに限ることなく、保持器15を省略した総ころ軸受であってもよい。
【0079】
また、上記の実施形態における電磁クラッチ32は、エンジンとコンプレッサ21との機械的な連結を制御するために用いられた例を示したが、これに限ることなく、任意の用途に用いることができる。さらに、上記の実施形態におけるプーリ支持軸受11は、電磁クラッチ32のプーリ33を支持するために用いられた例を示したが、これに限ることなく、無段変速機(CVT)等の任意の用途に用いることができる。
【0080】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
この発明は、電磁クラッチ等のプーリを支持する軸受に有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の一実施形態に係るプーリ支持軸受を示す図である。
【図2】図1に示すプーリ支持軸受を採用したコンプレッサを示す図である。
【図3】図2に示す電磁クラッチの非伝達状態を示す図である。
【図4】図2に示す電磁クラッチの伝達状態を示す図である。
【図5】この発明の効果を確認するための試験装置を示す図である。
【図6】図5に示す試験装置の従動プーリの部分拡大図である。
【図7】効果確認試験の結果を示す図である。
【図8】実施例1と比較例1の油膜の形成能力試験の結果を表し、経過時間と電気抵抗値との関係を示す図である。
【図9】実施例2と比較例2の寿命時間を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
11 プーリ支持軸受、12 内輪、12a 内輪軌道面、13 外輪、13a 外輪軌道面、14 玉、14a 転動面、15 保持器、16 密封シール、17 グリース組成物、21 コンプレッサ、22 ケーシング、23 ヘッドケース、24 シリンダケース、25 斜板ケース、26 低圧室、26a 吸入孔、26b,27b 弁、27 高圧室、27a 吐出口、28 シリンダ、28a 圧縮室、29 回転軸、29a ラジアル針状ころ軸受、29b スラスト針状ころ軸受、30 斜板、30a スライディングシュー、31 ピストン、32 電磁クラッチ、33 プーリ、33a,43 無端ベルト、33b 溝、33c 凹部、34 ソレノイド、35 磁性環状板、35a 板ばね、41 試験装置、42 駆動プーリ、44 従動プーリ、45 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プーリの内径面に嵌合して、プーリを回転自在に支持するプーリ支持軸受であって、
前記プーリ支持軸受は、
金属製であって、外径面に複列の内輪軌道面を有し、内径寸法dが、d≧30mmの内輪と、
金属製であって、内径面の前記内輪軌道面に対面する位置に複列の外輪軌道面を有し、外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d≦0.39の外輪と、
金属製であって、前記内輪軌道面および前記外輪軌道面の間に配置される複数の玉と、
前記内輪および前記外輪の間に配置されて、軸受内部空間を密封する密封部材とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受であり、
前記内輪軌道面、前記外輪軌道面および前記玉の転動面には、リン酸金属塩被膜が形成されており、
前記軸受内部空間には、グリース組成物が封入されており、
前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であって、
前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選択された少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、
前記アルミニウム系添加剤の配合比率は、ベースグリース100重量部に対して0.05〜100重量部である、プーリ支持軸受。
【請求項2】
前記内輪、前記外輪および前記玉は、リン酸トリエステル溶液中に浸漬されて、その表面に前記リン酸金属塩被膜が形成される、請求項1に記載のプーリ支持軸受。
【請求項3】
プーリと、
前記プーリの軸方向一方側に配置されて、回転軸に固定連結される磁性環状板と、
前記プーリの他方側の前記磁性環状板に対面する位置に固定されるソレノイドと、
前記プーリを回転自在に支持するプーリ支持軸受とを備え、
前記プーリ支持軸受は、
金属製であって、外径面に複列の内輪軌道面を有し、内径寸法dが、d≧30mmの内輪と、
金属製であって、内径面の前記内輪軌道面に対面する位置に複列の外輪軌道面を有し、外径寸法dが45mm≦d≦65mm、軸方向寸法lがl<18mm、0.19≦l/d≦0.39の外輪と、
金属製であって、前記内輪軌道面および前記外輪軌道面の間に配置される複数の玉と、
前記内輪および前記外輪の間に配置されて、軸受内部空間を密封する密封部材とを備える密封型複列アンギュラ玉軸受であり、
前記内輪軌道面、前記外輪軌道面および前記玉の転動面には、リン酸金属塩被膜が形成されており、
前記軸受内部空間には、グリース組成物が封入されており、
前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であって、
前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選択された少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、
前記アルミニウム系添加剤の配合比率は、ベースグリース100重量部に対して0.05〜100重量部である、電磁クラッチのプーリ支持構造。
【請求項4】
前記プーリの軸方向中央部を通る仮想線と、前記プーリ支持軸受の軸方向中央部を通る仮想線との距離δは、
δ≦4mmを満たす、請求項3に記載の電磁クラッチのプーリ支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−163998(P2008−163998A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352461(P2006−352461)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】