説明

ベルト部材の製造方法、及びベルト部材

【課題】金型面の熱転写により周方向の筋目を形成しつつ、筋目の不十分な領域を無くして、クリーニングブレードによるクリーニング性能を安定して高く発揮できるベルト部材を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂材料を厚さ100μm、周長800mmの円筒状に連続押し出し成形してチューブ材を形成する。その後、研磨工程でチューブ材を一方向に一定速度にて回転させつつ、#2000のラッピングテープに摺擦させて外周面に周方向の筋目を形成する。その後、熱転写工程を行って、周方向の筋目に仕上げた金型面に、加熱状態でチューブ材の外周面を押し付けて周方向の筋目を熱転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂材料を用いた無端状のベルト部材の製造方法、詳しくはクリーニングブレードによるベルト部材のクリーニング性能を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写ベルトにトナー像を転写して搬送する画像形成装置が広く用いられている。記録材搬送ベルトを用いてトナー像を記録材に転写する画像形成装置も広く用いられている。
【0003】
これらのベルト部材は、薄い厚みで幅広(支持回転体に沿った方向の長さが大きい)に形成され、複数の支持回転体に掛け渡して支持された状態で高速回転し、長期間にわたって平坦な搬送面を維持する必要がある。
【0004】
このため、ベルト部材は、従来は、機械的強度及び熱的安定性が高い熱硬化性樹脂(例えばポリイミド)を用いて遠心成形法により製造されていた。
【0005】
しかし、製造コスト、リサイクル性等の観点からは、熱可塑性樹脂を用いて円筒状に押し出し成形する方法が好ましく、近年では、必要な機械的性質を備えた熱可塑性樹脂材料や押し出し成形を前提とした製造方法が種々提案されている。
【0006】
特許文献1には、熱可塑性樹脂材料として、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等が提案されている。そして、熱可塑性樹脂材料を円筒状に押し出し成形して所定幅に切り揃えてチューブ材とし、チューブ材を1つずつ、加熱状態の金型の円筒状の内周面に加圧して押し付けることにより、チューブ材の表面に金型面を熱転写している。押し出し成形されたままのチューブ材の表面には、押し出し成形による押し出し軸方向の筋目が形成されている。これによるベルト部材の幅方向の筋目はトナー像の転写ムラの原因となるため、鏡面仕上げした平滑な金型面を熱転写して軸方向の筋目を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−301764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クリーニングブレードを摺擦して転写残トナーや制御用トナー像(カラーパッチ)を除去されるベルト部材の場合、押し出し軸方向の筋目は、クリーニングブレードを振動させるため望ましくない。しかし、平坦平滑な鏡面よりはむしろ回転方向に筋目を形成するように適正な起伏が形成されているほうが、クリーニングブレードによるクリーニング性能が安定することが判明した。後述する実験例によれば、幅方向の表面粗さが十点平均粗さで0.3〜1μm程度となるような周方向の研磨模様がベルト部材に形成されていることが望ましいことが判明した。
【0009】
そこで、特許文献1に示される金型の円筒状の内周面に筋目を形成しておき、筋目が形成された加熱状態の金型面を、熱可塑性樹脂のチューブ材の表面に熱転写する方法が提案された。
【0010】
しかし、周方向の筋目が形成された金型面を熱転写すると、チューブ材の表面の突起や表面に残留した空気塊に起因して、部分的に周方向の筋目が十分に転写されない領域が点在する仕上がりとなった。そして、ベルト部材の表面に周方向の筋目が十分に転写されない領域が点在していると、期待したとおりのクリーニング性能の安定性が得られない結果となった。
【0011】
それに対して、押し出し成形によって製造したチューブ材を、ラッピングテープで周方向に研磨して機械加工的に周方向の筋目を形成する構成により表面の筋目のムラを小さくできる(図4参照)。しかし、この構成では、研磨を行うことで、筋目の両端部が膨れ上がったり、筋目にバリ等が生じたりして、クリーニング性能を十分に安定させることができない。
【0012】
そのため、筋目を形成する研磨工程後に、表面を滑らかにする研磨等を行っても、バリ等を十分に解消することはできない。
【0013】
本発明は、熱可塑性樹脂からなるベルト部材において、表面を研磨するにも関わらず、バリ等による表面の影響が小さいベルト部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のベルト部材の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる筒状のベルト部材を形成する第一工程を有するベルト部材の製造方法において、前記第一工程により形成された前記ベルト部材の外面を研磨する第二工程と、前記第二工程後に前記ベルト部材の外面を加熱する第三工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
熱可塑性樹脂からなるベルト部材において、表面を研磨するにも関わらず、バリ等による表面の影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ベルト部材を使用する画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】材料ペレットの製造装置の説明図である。
【図3】チューブ材の押し出し成形装置の説明図である。
【図4】チューブ材の研磨装置の説明図である。
【図5】チューブ材に周方向の筋目を熱転写する装置の説明図である。
【図6】チューブ材の研磨工程の後に金型面を熱転写する効果の説明図である。
【図7】チューブ材の表面の顕微鏡写真である。
【図8】記録材搬送ベルトを用いた画像形成装置の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、研磨仕上げしたチューブ材を加熱する限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
製造されたベルト部材は、フルカラー、モノクロ、タンデム型、1ドラム型に限らず、画像形成装置において、トナー像を担持する中間転写ベルト又は記録材を担持搬送する記録材搬送ベルトとして使用できる。
【0019】
ベルト部材の使用例としてトナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、これに必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で使用できる。
【0020】
なお、特許文献1に示される画像加熱装置、画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1はベルト部材を使用する画像形成装置の構成の説明図である。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト50に沿って現像色が異なる画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したタンデム型フルカラープリンタである。
【0023】
画像形成部PYでは、感光ドラム51にイエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト50に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム51にマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト50のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、感光ドラム51、51にそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト50のトナー像に重ねて順次一次転写される。
【0024】
中間転写ベルト50に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2で記録材Pへ一括二次転写される。二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置67で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に外部へ排出される。
【0025】
画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像装置54で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれ感光ドラム51の周囲に、帯電ローラ52、現像装置54、一次転写ローラ55を配置している。
【0026】
感光ドラム51は、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。
【0027】
帯電ローラ52は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて、感光ドラム51の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
【0028】
露光装置53は、画像データを展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム51の表面に画像の静電像を書き込む。
【0029】
現像装置54は、負極性に帯電したトナーを現像スリーブに担持させて感光ドラム51を摺擦し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブに印加して、感光ドラム51の静電像を反転現像する。トナーはポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径が6.2μmである。
【0030】
一次転写ローラ55は、感光ドラム51に支持された中間転写ベルト50に圧接して感光ドラム51と中間転写ベルト50との間にトナー像の一次転写部を形成する。一次転写ローラ55に正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム51に担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト50に一次転写される。
【0031】
画像形成部PY、PM、PC、PKを水平に貫通する態様で、感光ドラム51の上方に、無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト50が配置されている。
【0032】
中間転写ベルト50は、駆動ローラを兼ねた対向ローラ58、テンションローラ59、張架ローラ56に掛け渡して支持され矢印R2方向に120mm/secのプロセススピードで高速回転する。
【0033】
二次転写ローラ57は、対向ローラ58に支持された中間転写ベルト50に圧接して、中間転写ベルト50と二次転写ローラ57との間にトナー像の二次転写部T2を形成する。
【0034】
カセット65から1枚ずつ引き出された記録材Pは、レジストローラ66で待機し、中間転写ベルト50のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
【0035】
二次転写部T2は、中間転写ベルト50のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、二次転写ローラ57に正極性の直流電圧を印加することで、中間転写ベルト50から記録材Pへトナー像が二次転写される。
【0036】
ベルトクリーニング装置60は、中間転写ベルト50にクリーニングブレード61を摺擦して、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト50上の転写残トナーをクリーニングする。クリーニングブレード61は、JISアスカ硬度70度のウレタンゴムで形成され厚さ2mmである。クリーニングブレード61は、両端に配置した押圧ばねによって総圧10Nの付勢力で中間転写ベルト50に当接する。
【0037】
<中間転写ベルトの製造方法>
図2は材料ペレットの製造装置の説明図、図3はチューブ材の押し出し成形装置の説明図、図4はチューブ材の研磨装置の説明図、図5チューブ材に周方向の筋目を熱転写する装置の説明図である。
【0038】
熱可塑性樹脂を用いたベルト部材の製造方法としては、円筒成形法やインフレーション法に代表される押し出し熱溶融成形法が知られている。押し出し熱溶融成形法では、連続的に製造することが可能なため、他の製造方法と比較して安価に製造できるという利点がある。しかし、高精度の画像を得るためには、周長精度が悪く、また押し出し方向にダイラインと一般的に呼ばれるスジ状の押し出しムラが発生し易い。更に、押し出し熱溶融成形されたチューブ材の表面の平滑性は、ベルト部材として不十分なため、スジ状の画像ムラ、およびクリーニング不良が発生する可能性が高くなる。
【0039】
そこで、上述したように、特許文献1では、押し出し熱溶融成形法により製造したチューブ材の問題点を改善するために、金型面の熱転写工程を導入している。チューブ材を内型に嵌め込んだ状態で、内型よりも熱膨張率の低い環状の外型に嵌め合わせ、全体を加熱して環状の外型の内周面を熱転写することにより、周長精度や表面性を向上させている。
【0040】
しかし、特許文献1に示される方法では、周長精度を向上させることはできるが、チューブ材を環状の外型に嵌め込む際に入り込む空気の影響を受けて金型面の転写が不十分な部分ができてしまう。チューブ材に偶然発生する点状の突起の周囲でも外型の内周面とチューブ材との間に空隙が形成されて金型面の転写が不十分になる。
【0041】
このため、金型面の転写が不十分な部分で、クリーニング不良等の画像弊害が発生し易くなる。
【0042】
そこで、本実施形態では、熱可塑性樹脂材料を用いて筒状材料の一例であるチューブ材を形成した後、筒状材料の一例であるチューブ材の外周面を周方向の筋目に研磨する研磨工程を設けた。
【0043】
研磨工程の後に熱転写工程を行って、周方向の筋目に仕上げられた加熱状態の金型面に、無端状に成形された熱可塑性樹脂のチューブ材の外周面を押し付けて周方向の筋目を熱転写する。本実施例では、金型面に筋目が設けられているが、金型面が筋目のない面とし、ベルト部材の外面を加熱する構成であってもいい。
【0044】
ベルト部材として使用できる熱可塑性樹脂材料は、押し出し成形が可能な材料であればどのようなものでも使用可能である。例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン等が使用に適する。
【0045】
ベルト部材に導電性を付与する等の目的で、熱可塑性樹脂材料には、有機物または無機物の少なくとも1種の微粉末が配合される。
【0046】
無機物の微粉末としては、カーボンブラック粉末、酸化マグネシウム粉末、フッ化マグネシウム粉末、酸化ケイ素粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニム粉末、酸化チタン粉末等の球状微粒子を使用できる。最終的なベルト部材の表面平滑性を維持するために、配合する微粉末の形状は、球形状が好ましく、粒径は、1.0μm以下が好ましい。
【0047】
添加する微粉末の種類、粒径、及び含有量は、ベルト部材に必要な導電性を付与できれば、特に限定されるものでない。ただし、微粉末の配合量は、基層の耐屈曲性、機械的強度、及び熱伝導率を考慮すると、総合量でベース樹脂に対して5〜40質量%程度、中でも5〜25質量%が好ましい。
【0048】
図2に示すように、熱可塑性樹脂原料のペレットは、導電剤の微粉末とともに、投入口1を通じて二軸混錬押し出し機10のシリンダ2へ供給される。そして、シリンダ2の温度を樹脂原料の融点以上であって熱劣化を起こさない温度以下に保って熱可塑性樹脂原料を混錬し、ノズル3から溶融押し出しする。
【0049】
溶融押し出しされた調製樹脂材料は、いわゆるストランドカット方式でペレットに加工される。円形状のノズル3を通して外径2mmのストランド5を押し出し、冷却水槽4で水により冷却した後、切断器6で長さ約2mmの長さに切断して、2mmサイズの粒状の調製ペレットを製造する。
【0050】
図3に示すように、調製ペレットは、チューブ製造装置11を用いて円筒状に押し出し成形することにより筒状のベルト部材の一例であるチューブ材に加工される。
【0051】
チューブ製造装置11は、ホッパ20、一軸スクリュー押し出し機21、ギアポンプ22、環状金型23、冷却装置24、引き取り駆動部25、および切断機26から構成される。
【0052】
ホッパ20に上述の調整ペレットを投入して加熱溶融し、一軸スクリュー一軸スクリュー押し出し機21で溶融押し出しする。溶融押し出しされた調整樹脂材料は、ギアポンプ22を用いて定量吐出させながら環状金型23を通じてらせん状に溶融押し出しさせて連続チューブ状に成形した。
【0053】
環状金型23の周りにはバンドヒータを巻きつけて温度調整した。環状金型23は、ウェルドライン等の発生を考慮してスパイラル状に押し出しを行うスパイラルダイスを用いた。
【0054】
押し出された円筒状のチューブ材31は、所定の厚みで押し出しが行われるように速度調整された引き取り駆動部25を用いて、円筒形状を維持したまま引き取って冷却装置24に導かれる。このとき、チューブ材31に引き出し方向の筋目であるダイライン31aが形成される場合がある。
【0055】
冷却装置24を用いて冷却固化されたチューブ材31は、切断機26を用いて所定長さに切断して、筒状のベルト部材の材料となるチューブ材31に加工される。このようにして、チューブ材31が形成される(第一工程)。
【0056】
図4に示すように、この後、研磨装置12を用いてチューブ材31の外周面を研磨する(第二工程)。
【0057】
チューブ材31は、ともにステンレスの金属パイプ材を用いた支持回転体の一例であるテンションローラ33と対向ローラ32とに掛け渡して張架される。
【0058】
テンションローラ33は、エアシリンダ33aを用いてチューブ材31に所定の張力を設定可能であるとともに、張力を解除してチューブ材31の着脱を可能にする。
【0059】
対向ローラ32は、不図示の駆動機構に連結された駆動ローラを兼ねており、チューブ材31を回転駆動して一方向に一定速度で移動させるとともに、チューブ材31を内側から支持してチューブ材31の外周面をラッピングテープ34に当接させる。
【0060】
バックアップローラ35は、両方の軸端に配置したエアシリンダ35aによる押圧力でラッピングテープ34を、対向ローラ32に支持されたチューブ材31へ一様に押し当てる。チューブ材31を回転させながら、チューブ材31の回転方向と逆になるように、ラッピングテープ34を供給ロール34aから巻き取りロール34bへ巻き取らせた。このようにして、チューブ材31の外周面をラッピングテープ34で研磨して、チューブ材31の外周面に周方向の筋目を形成した。
【0061】
図5に示すように、この後(第二工程後)に、熱転写表面仕上げ装置13を用いてチューブ材41の外周面に金型面を熱転写した(第三工程)。
【0062】
外周面を研磨したチューブ材41は、円筒形の内型42の外周面に装着して円筒形の外型43に挿入して、内型42の外周面と外型43の内周面との間に挟み込んだ。
【0063】
外型43は、厚さ2mmのステンレス筒材であり、外型43の内周面全体に、研磨加工による周方向の筋目が仕上げられている。
【0064】
外型43の内周面の十点平均粗さRzは、幅方向が0.5μm、周方向が0.2μmである。
【0065】
内型42は、アルミニウム筒の外周面にエア溜まり42aを形成した内型コア420の上に、金属シート円筒部材の一例である厚さ0.1mmのステンレス製の内型チューブ421を被せて組み立てられている。エア溜まり42aを密封するように、内型コア420の両端部にシリコンゴムのOリング422が配置されて、金属シート円筒部材の一例である内型チューブ421との間の隙間を封止している。
【0066】
内型コア420と内型チューブ421との間のエア溜まり42aに、コック44を通じて0.5MPaの圧縮空気が導入される。これにより、内型チューブ421の内周面全体が内型チューブ421に接触して一様に流体加圧されて外側へ膨らみ、チューブ材41の外周面全体が外型43の内周面全体に同時に押し付けられて密着して加圧される。
【0067】
この状態で、外型43の外周面をハロゲンランプヒータで所定温度で所定時間加熱して加熱終了後に室温まで冷却した。これにより、前工程の研磨によるチューブ材の外周面の筋目は、外型43の内周面に押し潰されて、外型43の内周面全体に準備された周方向の筋目が代わりに熱転写される。
【0068】
加熱時間は、金型面への接触を逃れたチューブ材の表面部分において前工程の研磨によるチューブ材の表面のささくれが解消されて起伏のエッジの荒れ状態が少しなまる程度の時間に設定している。温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、前工程の研磨による筋目が損なわれるため、好ましくない。加熱時間は、外型43の厚みにも依存するが、5秒以上で良好な結果が得られた。
【0069】
冷却終了後にコック44を開いて、内型チューブ421と内型コア420との間のエア溜まり42aにある圧縮空気を排出して、内型チューブ421とともにチューブ材41を縮径させて、外型43から抜き出した。
【0070】
<実施例1>
熱可塑性樹脂材料として、ポリエーテルエーテルケトン(Victrex社製、商品名「ビクトレックスPEEK450P」を85.0重量%を使用した。
【0071】
無機物の微粉末として、導電性カーボンブラック(アセチレンブラック、電気化学工業社製、商品名「デンカブラック」)を15.0重量%を使用した。
【0072】
図2に示す二軸混錬押し出し機10は、シリンダ2の温度を340〜400℃に保った。
【0073】
図3に示す一軸スクリュー押し出し機21の温度設定は、340〜400℃とし、環状金型23は、395℃に温度調整した。切断機26は、引き出し長さ400mmごとに樹脂チューブを切断して、周長800mm、幅400mm、厚み約100μmのチューブ材を得た。
【0074】
図4に示す研磨装置12は、チューブ材31を800mm/secの回転速度で回転させながら、ラッピングテープ34を20mm/minの速度で供給ロール34aから巻き取りロール34bへ巻き取った。
【0075】
ラッピングテープ34は、住友スリーエム社のロール状のラッピングテープ#2000を使用した。バックアップローラ35は、JISアスカ硬度が50°のウレタンゴムの弾性層を表面に配置した外径30mm、長さ350mmのローラである。バックアップローラ35は、総圧50Nの押圧力でラッピングテープ34に押し当てた。
【0076】
チューブ材31の外周面にラッピングテープ34を2分間こすりつけて周方向の筋目を形成した。
【0077】
研磨装置12を用いて研磨する前と、研磨した後とに、チューブ材31の外周面の表面粗さをJIS‘94 B0601に規定される方法により測定した。測定に使用した表面粗さ計は、株式会社小坂研究所のサーフコーダSE3500である。検出器の触針は、先端rが2μmのダイアモンドで測定力0.75mN、触針の送り速さは1mm/secである。評価項目は、十点平均粗さRzである。
【0078】
研磨する前のチューブ材の外周面の十点平均粗さRzは、幅方向が1.0μm、周方向が1.0μmであった。
【0079】
研磨した後のチューブ材の外周面の十点平均粗さRzは、幅方向が0.5μm、周方向が0.2μmであった。
【0080】
図5に示す熱転写表面仕上げ装置13では、外型43の外周面を350℃まで加熱してその状態を20秒間維持し、加熱終了後に室温まで冷却した。
【0081】
熱転写を終えて冷却した長さ400mmのチューブ材41の幅を350mmに切り揃え、内周面の両端部に蛇行防止リブを両面テープで取り付けて、図1に示す中間転写ベルト50を完成させた。
【0082】
中間転写ベルト50の表面状態を観察し、中間転写ベルト50の外周面の十点平均粗さRzを測定した。
【0083】
中間転写ベルト50は、外観において、外型43の内周面が熱転写された外周面に、チューブ材41が外型43に密着できなかった部分が点在して観察された。完全に外型43の内周面が熱転写されていない部分が軽微に確認された。
【0084】
密着できなかった部分は、チューブ材41が外型43に密着した際に空気を巻き込んだ部分、もしくは、チューブ材41の表面に形成されたブツと呼ばれる0.1〜0.2mmの突起物を中心とした部分である。ブツと呼ばれる突起物は、図3に示す一軸スクリュー押し出し機21で押し出した連続チューブの状態で観察されており、局所的な原料の混合ムラ、環状金型23の温度ムラが原因と考えられている。ブツと呼ばれる突起物が外型43の内周面とチューブ材41の密着を妨げると考えられている。
【0085】
しかし、完全に密着して金型面が熱転写された領域も、金型面が熱転写されないで研磨面が残った部分も、十点平均粗さRzを測定したところ、周方向に直角な幅方向が0.5μm、周方向が0.2μmとなっていた。そして、このような周方向に十点平均粗さRzが低くなるような筋目を中間転写ベルト50の表面に形成することにより、図1に示す画像形成装置100のクリーニングブレード61に対して良好な走行性が得られた。
【0086】
図1に示すように、このようにして製造した中間転写ベルト50を画像形成装置に装着してベルトクリーニング装置60によるクリーニング性能の確認実験を行った。その結果、金型面が熱転写された領域と同様に、面転写部、面転写不良部のどちらにおいても、トナーのクリーニング性能は良好であり、転写残トナーは、すべてクリーニングブレード61により、中間転写ベルト50から除去されていた。
【0087】
表1に示すように、上述した実施例1から各種条件を少しずつ変化させて実施例2、実施例3、比較例1〜4の中間転写ベルトを製造して、実施例1と同様な実装実験と評価とを行った
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示すように、実施例2、実施例3では、クリーニングブレードによる良好なクリーニング性能が確認されたが、比較例1〜4ではクリーニング性能に種々の問題があることが確認された。
【0090】
<実施例2、実施例3>
実施例2の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12で用いるラッピングテープの番手が、実施例1よりも細かく#3000である。また、これに合わせて、図5に示す熱転写表面仕上げ装置13の外型43の内周面は、周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.3μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して金型面の熱転写を行った。
【0091】
表1に示すように、実施例2の中間転写ベルトにおける金型面が熱転写されないで研磨面が残った部分の十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向が0.5μm、周方向が0.2μmであった。
【0092】
実施例3の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12で用いるラッピングテープの番手が、実施例1よりも粗く#1500である。また、これに合わせて、図5に示す熱転写表面仕上げ装置13の外型43の内周面は、幅方向の十点平均粗さRzが1.0μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して金型面の熱転写を行った。
【0093】
表1に示すように、実施例3の中間転写ベルトにおける金型面が熱転写されないで研磨面が残った部分の十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向が1.0μm、周方向が0.3μmであった。
【0094】
<比較例1、比較例2>
比較例1の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12で用いるラッピングテープの番手が、実施例2よりも細かく#6000である。また、これに合わせて、図5に示す熱転写表面仕上げ装置13の外型43の内周面は、幅方向の十点平均粗さRzが0.2μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して金型面の熱転写を行った。
【0095】
表1に示すように、比較例1の中間転写ベルトにおける金型面が熱転写されないで研磨面が残った部分の十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向が0.2μm、周方向が0.2μmであった。
【0096】
比較例2の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12で用いるラッピングテープの番手が、実施例3よりも粗い#1200である。また、これに合わせて、図5に示す熱転写表面仕上げ装置13の外型43の内周面は、周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが1.2μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して金型面の熱転写を行った。
【0097】
表1に示すように、比較例2の中間転写ベルトにおける金型面が熱転写されないで研磨面が残った部分の十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向が1.2μm、周方向が0.3μmであった。
【0098】
実施例1〜実施例3、比較例1、2の評価結果から、周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.3〜1.0μmであれば、実施例1と同様に良好なクリーニング性能を確保できることが判る。
【0099】
周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.3μm未満のときには、鏡面の場合と同様に、クリーニングブレード61と中間転写ベルトとの密着性が上がることで、クリーニングブレード61の先端がめくれる現象が発生すると考えられる。また、周方向の十点平均粗さRzが1.0μmより大きいときは、クリーニングブレード61と中間転写ベルトとの表面に空隙が生じて、トナー粒子がすり抜け易くなると考えられる。
【0100】
<比較例3>
比較例3の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12を用いた研磨工程を省略している。図5に示す熱転写表面仕上げ装置13の外型43の内周面は、実施例1と同様に周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.5μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して金型面の熱転写を行った。
【0101】
比較例3の中間転写ベルトの外観には、金型面が熱転写された領域中に、金型面が熱転写されなかった領域が点在していた。
【0102】
表1に示すように、比較例3の中間転写ベルトにおける金型面が熱転写された部分の十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向が0.5μm、周方向が0.2μmであった。一方、金型面が熱転写されなかった部分の十点平均粗さRzは、幅方向が0.7μm、周方向が0.7μmであった。このように、外観と同様に表面状態に差異があることが確認された。
【0103】
比較例3の中間転写ベルトを実施例1と同様に図1に示す画像形成装置100に実装してクリーニング性能を評価したところ、金型面が熱転写されなかった部分を起点としてクリーニング不良が確認された。
【0104】
これは、周方向の十点平均粗さRzが大きいことから、中間転写ベルトが回転した際にクリーニングブレード61が中間転写ベルトの表面に追従できなかったためと考えられる。クリーニングブレード61がミクロ的に浮いた状態となってその部分にトナー粒子が入り込み、クリーニング不良が発生したと考えられる。
【0105】
<比較例4>
図6はチューブ材の研磨工程の後に金型面を熱転写する効果の説明図、図7はチューブ材の表面の顕微鏡写真である。
【0106】
比較例4の中間転写ベルトは、図4に示す研磨装置12を用いた研磨工程を、図5に示す熱転写表面仕上げ装置13を用いた金型面の熱転写後に実行した。外型43の内周面は、実施例1と同様に、周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.5μmになるように仕上げた。それ以外は実施例1と同様にチューブ材41を作成して、最初に外型43の金型面の熱転写を行い、その後に研磨装置12を用いて実施例1と同様に研磨した。
【0107】
比較例4の中間転写ベルトの外観には、実施例1と等しく#2000のラッピングテープを用いて研磨された周方向の筋目が一様に形成されていた。最終工程に研磨工程を導入したため、中間転写ベルトの外観には金型面が熱転写された領域と金型面が熱転写されなかった領域との差が明確に判らなくなった。十点平均粗さRzは、周方向に直角な幅方向に0.5μm、周方向に0.3μmと、実施例1と同じ数値となった。
【0108】
しかし、比較例3の中間転写ベルトを実施例1と同様に図1に示す画像形成装置100に実装してクリーニング性能を評価したところ、クリーニング不良が発生した。クリーニングブレード61の先端には、中間転写ベルトの材料の破片の付着が認められ、クリーニングブレード61の先端には欠けが観察された。
【0109】
また、中間転写ベルトの表面を電子顕微鏡を用いて観察したところ、中間転写ベルトの表面に形成された研磨の筋目に沿って研磨による軽微なバリ、ささくれが発生していることが確認された。これにより、中間転写ベルトの表面に形成されたバリ、ささくれがクリーニングブレード61と接触して、クリーニングブレードの欠けが発生し、クリーニング不良を発生させたと考えられる。
【0110】
なお、実施例1の中間転写ベルトについても同様に電子顕微鏡を用いて観察したところ、バリ、ささくれは存在しなかった。
【0111】
図6の(a)に示すように、実施例1の研磨工程では、チューブ材31にラッピングテープによるバリ、ささくれが形成される。しかし、その後、図6の(b)に示すように、最終工程で熱転写工程を行って熱をかけたために、樹脂のバリ、ささくれが溶けて、クリーニングブレード61への影響が少なくなったと考えられる。
【0112】
図7の(a)に示すように、研磨前のチューブ材の表面には目立った筋目が無く、引き出し方向である幅方向のダイラインがところどころ観察される。
【0113】
図7の(b)に示すように、熱転写工程で金型面が熱転写された面には、チューブ材の表面にバリ、ささくれの無い筋目が形成されている。
【0114】
図7の(c)に示すように、研磨工程を経ていないチューブ材31の場合(比較例3)、熱転写工程で金型面が熱転写されなかった面には、(b)に示すような筋目が形成されていない。
【0115】
図7の(d)に示すように、研磨工程のみを行ったチューブ材31の表面には、バリ、ささくれが目立つ研磨の筋目が形成されている。しかし、熱転写工程を実施することで、金型面が転写されなかった部分では、加熱によって研磨の筋目のバリ、ささくれが解消される結果、ほぼ(b)に示すようなエッジのなだらかな筋目が形成されることが観察された。
【0116】
<実施例5>
図8は記録材搬送ベルトを用いた画像形成装置の構成の説明図である。
【0117】
図8に示すように、画像形成装置200は、感光ドラム71に形成されたトナー像を記録材搬送ベルト70に担持された記録材Pに転写する高速モノクロプリンタである。
【0118】
感光ドラム71は、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。
【0119】
コロナ帯電器72は、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム71に照射して、感光ドラム71の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
【0120】
露光装置73は、画像データを展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム71の表面に画像の静電像を書き込む。
【0121】
現像装置74は、負極性に帯電したトナーを現像スリーブに担持させて感光ドラム71を摺擦し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブに印加して、感光ドラム71の静電像を反転現像する。
【0122】
転写ローラ75は、記録材搬送ベルト70を押圧して感光ドラム71に接触させ、記録材搬送ベルト71に担持された記録材Pに対するトナー像の転写部を形成する。転写ローラ75に正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム71に担持された負極性のトナー像が記録材搬送ベルト50に担持された記録材Pへ転写される。
【0123】
トナー像を転写された記録材Pは記録材搬送ベルト70によって定着装置79に搬送され、定着装置79で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着される。
【0124】
ベルトクリーニング装置77は、記録材搬送ベルト70にクリーニングブレード78を摺擦させて、記録材搬送ベルト70に付着したトナーや制御用トナー像(カラーパッチ)を除去する。記録材Pから記録材搬送ベルト70へ付着した紙粉、感光ドラム71に記録材搬送ベルト70が直接接触して付着させた感光ドラム71のかぶりトナーを摺擦除去する。クリーニングブレード78は、JISアスカ度70度のポリウレタンによる厚さ2mmのものである。
【0125】
画像形成装置200において、実施例1〜3、比較例1〜4で形成した中間転写ベルトを記録材搬送ベルト70として実装し、クリーニングブレード78によるクリーニング性能を評価した。
【0126】
【表2】

【0127】
表2に示すように、実施例1〜実施例3では、記録材搬送ベルト70の周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.3〜1.0μmであって、クリーニングブレード78による良好なクリーニング性能が確認された。比較例1、2では、記録材搬送ベルト70の周方向に直角な幅方向の十点平均粗さRzが0.3〜1.0μmを外れて、クリーニングブレード78によるクリーニング性能が悪化した。
【0128】
また、研磨工程を省略した比較例3では、金型面が熱転写されなかった部分を基点とするクリーニング不良が発生した。研磨工程を熱転写工程の後に行った比較例4では、クリーニングブレード78の先端に欠けが発生した。
【0129】
すなわち、図1に示す画像形成装置100で評価したのと同様な評価結果が得られた。
【0130】
実施例1〜3のベルト部材は、ポリイミドからなるベルト部材と比較して低コストである。そして、金型面の熱転写が不完全な部分においても、安定した高いクリーニング性能を満足できる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
ベルト部材を用いてトナー像を記録材に転写する画像形成装置。
【符号の説明】
【0132】
1 投入口
2 シリンダ
3 ノズル
4 冷却水槽
5 ストランド
6 切断機
10 二軸混練押し出し機
11 チューブ製造装置
12 研磨装置
13 熱転写表面仕上げ装置
20 ホッパ
21 一軸スクリュー押し出し機
22 ギアポンプ
23 環状金型
24 冷却装置
25 引き取り駆動部
26 切断機
31 チューブ材
32 対向ローラ
33 テンションローラ
34 ラッッピングテープ
35 バックアップローラ
41 チューブ材
42 内型
43 外型
44 コック
50 中間転写ベルト
51 感光ドラム
52 帯電ローラ
53 露光装置
54 現像装置
55 一次転写ローラ
57 二次転写ローラ
58 駆動ローラ
60 ベルトクリーニング装置
61 クリーニングブレード
100 画像形成装置
420 内型コア
421 内型チューブ
422 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる筒状のベルト部材を形成する第一工程を有するベルト部材の製造方法において、
前記第一工程により形成された前記ベルト部材の外面を研磨する第二工程と、前記第二工程後に前記ベルト部材の外面を加熱する第三工程と、を有することを特徴とするベルト部材の製造方法。
【請求項2】
前記第二工程では、前記ベルト部材の周方向に筋目を形成するために前記ベルト部材の外面を研磨することを特徴とする請求項1記載のベルト部材の製造方法。
【請求項3】
前記第三工程では、前記ベルト部材の周方向に筋目を形成する筋目が設けられている金型面に前記ベルト部材の外面を当接させて、前記ベルト部材の外面が加熱されることを特徴とする請求項1又は2記載のベルト部材の製造方法。
【請求項4】
前記第三工程では、金型の円筒状の内周面全体を前記金型面として周方向の筋目に仕上げており、前記筒状のベルト部材の内周面全体に接触する金属シート円筒部材を内側から流体加圧して、前記円筒状の内周面全体へ前記筒状のベルト部材の外周面全体を同時に押し付けることを特徴とする請求項3記載のベルト部材の製造方法。
【請求項5】
前記第二工程は、支持回転体に掛け渡して回転する前記筒状のベルト部材を一方向に一定速度で移動するラッピングテープに当接させる工程であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のベルト部材の製造方法。
【請求項6】
前記第一工程では、熱可塑性樹脂を円筒状に押し出して所定長さに切り揃えることにより前記筒状のベルト部材を形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のベルト部材の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性樹脂からなる筒状のベルト部材を形成する第一工程と、前記第一工程により形成された前記ベルト部材の外面を研磨する第二工程と、前記第二工程後に前記ベルト部材の外面を加熱する第三工程と、により形成されることを特徴とするトナー像を担持するベルト部材。
【請求項8】
熱可塑性樹脂からなる筒状のベルト部材を形成する第一工程と、前記第一工程により形成された前記ベルト部材の外面を研磨する第二工程と、前記第二工程後に前記ベルト部材の外面を加熱する第三工程と、により形成されることを特徴とする記録材を担持搬送するベルト部材。
【請求項9】
前記第二工程では、前記ベルト部材の周方向に筋目を形成するために前記ベルト部材の外面を研磨することを特徴とする請求項7又は8記載のベルト部材。
【請求項10】
前記第三工程では、前記ベルト部材の周方向に筋目を形成する筋目が設けられている金型面に前記ベルト部材の外面を当接させて、前記ベルト部材の外面が加熱されることを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載のベルト部材。
【請求項11】
前記第三工程では、金型の円筒状の内周面全体を前記金型面として周方向の筋目に仕上げており、前記筒状のベルト部材の内周面全体に接触する金属シート円筒部材を内側から流体加圧して、前記円筒状の内周面全体へ前記筒状のベルト部材の外周面全体を同時に押し付けることを特徴とする請求項10記載のベルト部材。
【請求項12】
前記第二工程は、支持回転体に掛け渡して回転する前記筒状のベルト部材を一方向に一定速度で移動するラッピングテープに当接させる工程であることを特徴とする請求項7乃至11いずれか1項記載のベルト部材。
【請求項13】
前記第一工程では、熱可塑性樹脂を円筒状に押し出して所定長さに切り揃えることにより前記筒状のベルト部材を形成することを特徴とする請求項7乃至12いずれか1項記載のベルト部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−191277(P2010−191277A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36686(P2009−36686)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】