説明

ペルオキシソーム増殖活性化受容体モジュレーター

【課題】PPAR活性を調節することによって脂質及び糖代謝を制御する効果的な薬剤を開発する。
【解決手段】治療を必要とする被検者に、有効量の15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素のモジュレーターを投与することによってペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法。還元酵素の活性を阻害する化合物を同定する方法、及び被検者に有効量の還元酵素阻害剤を投与することによって血糖値を低下させる方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年8月12日に出願された米国仮特許出願第60/707,897号に優先権を主張し、その内容は、本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)は、脂質及び糖代謝を調整する核内受容体のファミリーに属する。3種の哺乳動物のPPAR、即ちPPAR−α、PPAR−γ及びPPAR−δが同定されている。食事性脂肪酸又はそれらの代謝誘導体のいずれかによる活性化で、PPARは、脂質及び糖代謝の変化につながる転写事象のカスケードを引き起こす。例えば、活性化で、脂肪組織において高度に発現されるPPAR−γは、ブドウ糖摂取を促進し、かつ血糖値を低下させる。
【0003】
PPARは、脂質及び糖代謝でのその役割を考えると、疾患、例えばII型糖尿病、肥満、異脂肪血症、冠状動脈性心臓病、炎症性疾患、及び癌の有望な治療標的である。合成PPAR−γアゴニスト、即ちAVANDIA及びACTOSは、II型糖尿病を治療するために使用され、他の合成PPAR−αアゴニスト(即ちFibrate)は、異脂肪血症を治療するために使用されてきた(非特許文献1及び2を参照)。しかしながら、大部分のPPAR療法において有効性は限られており、かつ重大な副作用がある。
【非特許文献1】Lehmann他,J Biol Chem,(1995)270:12953−12956
【非特許文献2】Fruchart他,Curr.Opin.Lipdol.(1999)10:245−257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PPAR活性を調節することによって脂質及び糖代謝を制御する効果的な薬剤を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、PPAR活性を調節することによって、被検者におけるPPARの関連疾患を治療する方法に関する。
【0006】
一態様では、本発明は、15−ケトプロスタグランジンを還元するが、ロイコトリエンB4は還元しない単離ポリペプチドであるPGR3/ZADH2を特徴とする。プロスタグランジン(PG)は、種々の不飽和度の中心環及び側鎖によって特徴づけられる生理的媒体の種類である。15−ケトプロスタグランジンには15−ケトPGE、15−ケトPGE、15−ケトPGE2α、及び15−ケトPGE1αが含まれるが、それらに限定されない。
【0007】
別の態様において、本発明は、上記ポリペプチドに特異的に結合する抗体を特徴とする。この抗体は、ポリクローナルであれモノクローナルであれ、ポリペプチド断片に結合することができる。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、二本鎖リボ核酸(dsRNA)、並びにこのリボ核酸をコードするDNAベクターを特徴とし、15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素活性を有するポリペプチドの発現を阻害する。15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素は、プロスタグランジンのΔ13二重結合を還元することによって13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンへの15−ケトプロスタグランジンの転換に触媒作用を及ぼす酵素を指す。15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素の例には、15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素/ロイコトリエンB4 12−ヒドロキシデヒドロゲナーゼ(PGR/LTB4DH)、亜鉛結合アルコールデヒドロゲナーゼ1(PGR2/ZADH1)、及び亜鉛結合アルコールデヒドロゲナーゼ2(PGR3/ZADH2)が含まれる。dsRNAは、ポリリボヌクレオチドの2本鎖を含む。第1鎖は、15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素をコードする核酸の19〜49個の連続したヌクレオチドと同一である配列を含む。第2鎖は、第1鎖と相補的である。好ましくは、dsRNAの少なくとも一端は、1〜4のヌクレオチドの突出を有する。一実施例において、第1鎖は、配列番号9若しくは配列番号10、又はその断片を含む。15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素は、PGR/LTB4DH、PGR2/ZADH1又はPGR3/ZADH2であってもよい。
【0009】
更に別の態様において、本発明は、II型糖尿病、肥満、異脂肪血症、冠状動脈性心臓病、炎症性疾患、及び癌のようなPPARの関連疾患の治療方法を特徴とする。この方法は、被検者に有効量のPGR3/ZADH2モジュレーターを投与することを含む。PGR3/ZADH2モジュレーターは、PGR3/ZADH2の活性又は発現に影響を及ぼす分子又は分子の複合体を指す。モジュレーターは、15−ケトプロスタグランジンであってもよいし、大分子の阻害剤(例えば上記のdsRNA)又は小分子の阻害剤(例えばテトラヒドロキシフラボン、トリヒドロキシフラボン、2−ヒドロキシ−トリメトキシカルコン、2−ヒドロキシ−ケイ皮酸ベンジル、又はケイ皮酸ベンジルヒドロキシル)のようなPGR3/ZADH2の活性又は発現を抑制する阻害剤であってもよい。小分子阻害剤の例には、下記の化合物1〜49が含まれる。
【0010】
【化1】



【0011】
更に別の態様において、本発明は、PPARの関連疾患を治療する方法を特徴とする。その方法は、その治療を必要とする被検者に有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
【化2】

[式(I)中、R及びRの各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12の各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、又は、R及びRは、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、又は、R10及びR11は、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、但しR及びRの各々は、独立して、水素、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールである。]
【0012】
式(I)の化合物のサブセットにおいて、R及びRの各々は、独立して、水素、シクロペンチルに融合されたフェニル、又はヘテロアリールによって置換されたフェニルである。式(I)の化合物の他のサブセットにおいて、R及びR12はOHである。
【0013】
用語「アルキル」は、飽和又は不飽和の線形又は分岐炭化水素部分、例えば、−CH、−CH−CH=CH、又は分岐−Cを指す。用語「シクロアルキル」は、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素部分、例えばシクロヘキシル又はシクロヘキセン−3−イルを指す。用語「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1個の環式ヘテロ原子(例えばN、O又はS)を有する飽和又は不飽和の非芳香族環状部分、例えば4−テトラヒドロピラニル又は4−ピラニルを指す。用語「アリール」は、1個以上の芳香環を有する炭化水素部分を指す。アリール部分の例には、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリル及びフェナントリルが含まれる。用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えばN、O又はS)を含む1個以上の芳香環を有する部分を指す。ヘテロアリール部分の例には、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル及びインドリルが含まれる。
【0014】
本明細書において言及されるアルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、他に特定されない限り、置換及び非置換部分の両方を含む。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール上の置換基には、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−C10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C−C10アルキルアミノ、C−C20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C−C10アルキルチオ、アリールチオ、C−C10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アシルアミノ、アミノアシル、アミノチオアシル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、シアノ、ニトロ、アシル、チオアシル、アシルオキシ、カルボキシル及びカルボン酸エステルが含まれるが、それらに限定されない。また、アルキル、アルキレン又はヘテロアルキレン上の置換基には、C−C10アルキル、C−C10アルケニル及びC−C10アルキニルを除き、前述の置換基の全てが含まれる。また、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、互いに融合することができる。
【0015】
更に別の態様において、本発明は、PPARの関連疾患の治療を必要とする被検者に有効量の式(II)の化合物を投与することによって、その関連疾患を治療する方法を特徴とする。
【化3】

[式(II)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10の各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、但しRは、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。]
式(II)の化合物のサブセットにおいて、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10の各々は、独立して、水素又はOHである。
【0016】
更に別の態様において、本発明は、PPARの関連疾患の治療を必要とする被検者に有効量の式(III)の化合物を投与することによって、その関連疾患を治療する方法を特徴とする。
【化4】

[式(III)中、Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、NR、又はSRであり、R、R、R、R及びRの各々は、独立して、水素、ハロ、OR、NR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、但しR、R、R、及びRの各々は、独立して、水素、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである]
式(III)の化合物のサブセットにおいて、Rは、ハロ、OR(Rは、水素又はC−C10アルキルである)、NO、又はC−C10アルキルによって置換されたフェニルであってもよい。式(III)の化合物の他のサブセットにおいて、Rは、OR、NR、又はSR(Rは、フェニルによって置換されたC−C10アルキルであり、フェニルは、CF、F又はOHによって任意に置換され、Rは水素である)であってもよい。式(III)の化合物の更に他のサブセットにおいて、Rは、ヘテロアリール、又はC(O)R(Rは水素又はC−C10アルキルである)によって置換されたC−C10アルキルである。
【0017】
被検者において血糖値を低下させる方法も、本発明の範囲内である。この方法は、被検者に、有効量の上記PGR3/ZADH2阻害剤の1種類を投与することを含む。この阻害剤は、PGR3/ZADH2の活性又は発現を抑制することができる。
【0018】
本発明は更に、PGR3/ZADH2活性を阻害する化合物を同定する方法を特徴とする。阻害とは、PGR3/ZADH2の活性又は発現の抑制を指す。その方法は、PGR3/ZADH2を含む系を準備し、その系に化合物を接触させ、PGR3/ZADH2活性を決定し、得られた活性を化合物が存在しない場合に得られる活性と比較することを含む。実施態様において、系はPGR3/ZADH2を発現する遺伝子を含む細胞であり、活性は遺伝子の発現活性を測定することによって決定される。別の実施態様において、系はPGR3/ZADH2を含む細胞のない溶液であり、活性は無細胞溶液のPGR3/ZADH2の酵素活性を測定することによって決定される。
【0019】
本発明の実施態様の詳細は、下記の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び効果は、説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素ファミリーのメンバーである、15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素3(PGR3/ZADH2)の発見に基づく。PPAR活性の基質及び阻害剤によってその活性を制御することができることが思いがけなくも分かった。これらの基質及び阻害剤は、PPARの関連疾患、例えばII型糖尿病、肥満、異脂肪血症、冠状動脈性心臓病、炎症性疾患、及び癌を治療するために有用である。
【0021】
配列番号1の単離ヒトポリペプチド又は15−ケトプロスタグランジンを還元する機能的な等価物は、本発明の範囲内で考察される。アミノ酸配列(配列番号1)並びにコードしたヌクレオチド配列(配列番号2)を以下に示す。
【0022】
【化5】

【0023】
また、15−ケトプロスタグランジンを還元する単離マウスポリペプチド又は機能的な等価物も本発明の範囲内である。マウスポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号3)並びにコードしたヌクレオチド配列(配列番号4)を以下に示す。
【0024】
配列番号3
【0025】
【化6】

【0026】
配列番号4
【化7】

【0027】
単離ポリペプチドは、天然に結合した分子が実質的にないポリペプチドを指し、即ち、乾燥重量で少なくとも75%(即ち、75%から100%の間のいずれかの数)純度を有する。純度は、いかなる適切な標準的方法、例えばカラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析によって測定される。本発明の単離ポリペプチドは、天然の原料から精製でき、又は組み換えDNA技術若しくは化学的方法によって生成できる。用語「機能的な等価物」は、15−ケトプロスタグランジンを還元する能力を備える配列番号1又は配列番号3のポリペプチドの変異体、例えば、1つ以上の点突発変異、挿入、欠失、切断、又はそれらの組合せを有するタンパク質を指す。一態様において、本発明の単離ポリペプチド又はその機能的な等価物は、配列番号1又は配列番号3と少なくとも80%(例えば、85%、95%、又は100%、或いは80%〜100%)同一である配列を含む。融合タンパク質であってもよい。
【0028】
15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素活性は、13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンへの15−ケトプロスタグランジンの酵素転換を指す。比活性度は以下の通りに決定される。
0.1MのTris−HCl(pH7.4)、0.5mMのNADPH、及び0.57mMの15−ケトPGEを含む反応緩衝液において、37℃で、検定される10μgのタンパク質調合剤をインキュベートする。37℃で10分間、暗所で反応させ、50mMのフタル酸カリウム水素(pH3.0)、及び1%Tween20を含む700μlの緩衝液を添加して終了する。790μMの塩化インドニトロテトラゾリウム、60μMのメト硫酸フェナゼン(phenazene)、及び1%のTween20を含む200μlの発色試薬を使用して、未反応NADPHを酸化する。ELISAプレート読み取り装置を使用して、490nmにおける吸収度を測定する。連続的に希釈した量のNADPHを含む反応緩衝液を使用して、標準曲線を作成する。比活性度が少なくとも90nmol/分mgのタンパク質は、そのポリペプチドが15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素活性を有することを示す。
【0029】
上記のヌクレオチド配列、即ち配列番号2又は配列番号4は、本発明のポリペプチドを発現するために使用できる。ヌクレオチド配列は、DNA分子(例えばcDNA又はゲノムDNA)RNA分子(例えばmRNA)又はDNA類似体若しくはRNA類似体を指す。DNA類似体又はRNA類似体は、ヌクレオチド類似体から合成できる。核酸分子は、一本鎖、又は二本鎖であってもよいが、好ましくは二本鎖である。タンパク質発現のために、核酸を適切な制御配列に操作可能に連結し、発現ベクターを生成することができる。ベクターとは、連結された他の核酸を輸送することができる核酸分子を指し、自律増殖が可能であるか、又は宿主DNAに統合することが可能である。ベクターの例には、プラスミド、コスミド、又はウィルスベクターが含まれる。ベクターは、宿主細胞中の核酸の発現に適した形のヌクレオチド配列を含んでもよい。好ましくは、ベクターは、発現する核酸配列に操作可能に連結した1個以上の制御配列を含む。「制御配列」には、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御要素(例えばポリアデニル化シグナル)が含まれ、ヌクレオチド配列の構成的発現を導く配列、並びに組織特異制御配列及び/又は誘導性配列を含む。発現ベクターの設計は、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどのような因子によって決められる。発現ベクターは、本発明のポリペプチドを生成するために、宿主細胞に導入できる。上記の核酸を含む宿主細胞も、本発明の範囲内であり、例えば、大腸菌細胞、Sf9昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターの使用)、酵母細胞又は哺乳動物細胞が含まれる。例えば、Goeddel,(1990)Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CAを参照。本発明のポリペプチドを生成するために、本発明の核酸によってコードされるポリペプチドを発現する条件下において、培地中で宿主細胞を培養し、培養した細胞又は細胞の媒体からポリペプチドを精製することができる。或いは、ヌクレオチド配列は、例えばT7プロモーター制御配列及びT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写及び翻訳できる。
【0030】
上記ポリペプチドは、動物において抗体を発生させるために使用できる。抗体がポリペプチド断片からも発生することが理解される。動物においてモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体及びその断片を作る方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Harlow and Lane,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照。用語「抗体」には、Fab、F(ab’)、Fv、scFv(単鎖抗体)、及びdAb(ドメイン抗体;Ward,et.al.(1989)Nature,341,544)のような完全分子並びにその断片が含まれる。
【0031】
一般に、本発明のポリペプチドは、KLHのような担体タンパク質に結合でき、アジュバントと混合でき、かつ宿主動物に注入できる。その動物において生成される抗体は、次にペプチドアフィニティクロマトグラフィによって精製できる。一般に用いられる宿主動物には、ウサギ、マウス、モルモット及びラットが含まれる。免疫応答を増加させるために使用可能な種々のアジュバントは、宿主種によって決まり、フロイントアジュバント(完全及び不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、及びジニトロフェノール表面活性物質が含まれる。有用なヒトアジュバントには、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウムパルブムが含まれる。
【0032】
ポリクローナル抗体、抗体分子の異種集団が、免疫化した被検者の血清に存在する。モノクローナル抗体、本発明のポリペプチドに対する抗体の同種集団は、標準ハイブリドーマ技術を使用して調製することができる(例えば、Kohler他(1975)Nature 256,495、Kohler他(1976)Eur J Immunol 6,511、Kohler他(1976)Eur J Immunol 6,292、及びHammerling他(1981)Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.を参照)。特に、モノクローナル抗体は、Kohler他(1975)Nature 256,495及び米国特許第4376110号明細書に記載の技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor他(1983)Immunol Today 4,72;Cole他(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,2026)、及びEBV−ハイブリドーマ技術(Cole他(1983)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)などの、培養中の連続継代細胞系によって抗体分子を生成するいかなる技術によって得られる。かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びそのいずれかのサブクラスを含む、あらゆる免疫グロブリンクラスでもよい。本発明のモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマは、インビトロ又はインビボで培養してよい。インビボにおける高い滴定濃度のモノクローナル抗体の生成は、特に有用な製造方法である。
【0033】
加えて、「キメラ抗体」の生成のために開発された技術を使用することができる。例えばMorrison他(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,6851;Neuberger他(1984)Nature 312,604;及びTakeda他(1984)Nature 314:452を参照。キメラ抗体は、様々な部分が、異なる動物の種に由来する分子であり、例えばマウスモノクローナル抗体及びヒト免疫グロブリン定常領域に由来する可変領域を有する分子である。或いは、単鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4946778号明細書及び米国特許第4704692号明細書)は、単鎖Fv抗体のファージライブラリを生成するのに適している。単鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖断片及び軽鎖断片を連結することによって形成される。更に、抗体断片は、公知の技術によって生成できる。例えばかかる断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成するF(ab’)断片及びF(ab’)のジスルフィド架橋を還元することによって生成するFab断片が含まれるが、それらに限定されない。抗体は、当該技術分野において公知の方法によってヒト化することができる。例えば、所望の結合特性を有するモノクローナル抗体は、商業的にヒト化できる(Scotgene, Scotland;及びOxford Molecular,Palo Alto,Calif.)。また、遺伝子移入動物において発現するような完全なヒト抗体も本発明の特徴である(例えばGreen他(1994)Nature Genetics 7,13;及び米国特許第5545806号明細書及び米国特許第5569825号明細書参照)。
【0034】
また、二本鎖リボ核酸(dsRNA)も本発明の範囲内である。このdsRNAは、PGR3/ZADH2の発現を阻害するために使用できる。このように、被検者にdsRNAを投与することによって、PPARの関連疾患を治療することができる。用語「dsRNA」は、RNA干渉(RNAi)として知られている方法である、標的RNA配列の分解によって遺伝子発現を封じる二本鎖リボ核酸を指す。RNAiは、(線虫、ゼブラフィッシュ及びマウス胚を含む)多種多様な動物モデル、及び(外植されたニワトリ神経細胞及び哺乳動物の細胞培養を含む)他の生物系において、遺伝子発現を封じるために使用されている。国際公開第99/32619号パンフレット、国際公開第00/44914号パンフレット、国際公開第00/44914号パンフレット、国際公開第00/44895号パンフレット、国際公開第00/63364号パンフレット、及び国際公開第01/36646A1号パンフレット参照。
【0035】
本発明のRNAは、当該技術分野において周知の技術によって合成できる。例えば、Caruthers他,1992,Methods in Enzymology 211,3−19,Wincott他,1995,Nucleic Acids Res.23,2677−2684,Wincott他,1997,Methods Mol.Bio.74,59,Brennan他,1998,Biotechnol Bioeng.,61,33−45,及びBrennan,米国特許第6001311号明細書参照。RNAは、発現ベクターから転写され、かつ標準技術を使用して単離できる。本発明のRNA又はベクターは、当該技術分野において同様に周知の方法を使用し、標的細胞に送達され(例えば、Akhtar他,1992,Trends Cell Bio.2,139参照)、リポソーム、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル又は生体接着性微小球体などを使用して、細胞に導入できる。或いは、RNA又はベクターは、直接の注入によって、又は、注入ポンプを使用して局所的に送達される。他のアプローチには、様々な輸送及び担体系の使用、例えば接合体及び生分解性ポリマーを使用することが含まれる。
【0036】
本発明は、PGR3/ZADH2活性又は発現を調節することによってPPARの関連疾患を治療する方法も特徴とする。用語「治療する」は、PPARの関連疾患、かかる疾患の症状、又はかかる疾患の素因を有する被検者に、PPARの関連疾患、その症状又はその素因を治療する、軽減する、変える、影響を及ぼす、改善する、又は予防するなどの治療効果を与える目的で、1個以上の上記のPGR3/ZADH2モジュレーター、即ちPGR3/ZADH2基質及び阻害剤を投与することを指す。「有効量」とは、治療される被検者に治療効果を与えるために必要となる量を指す。「PGR3/ZADH2の基質」には、15−ケトPGE、15−ケトPGE、15−ケトPGE2α、及び15−ケトPGE1α及びその構造類似体が含まれる。
【0037】
PPARの関連疾患(又は障害又は状況)の例には、II型糖尿病、高血糖、低い糖耐性、症候群X、インスリン耐性、肥満、脂質障害、異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症(及びアンギナ、跛行、心臓発作又は脳卒中のような、その後遺症)血管再狭窄、過敏性大腸症候群、炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、骨関節炎、多発性硬化症、喘息、血管炎、虚血/再灌流傷害、凍瘡又は成人呼吸窮迫症候群)、膵炎、神経変性疾患、網膜症、新生物形成状況、癌(例えば、前立腺癌、胃癌、乳癌、膀胱癌、肺癌若しくは大腸癌、又は脂肪肉腫のような脂肪細胞癌)、血管形成、アルツハイマー病、皮膚疾患(例えば、ざ瘡、乾癬、皮膚炎、湿疹又は角化症)高血圧、卵巣アンドロゲン過剰、骨粗鬆症及び骨減少症が含まれる、それらに限定されない。
【0038】
PPARの関連疾患を治療するために、その治療を必要とする被検者に、PGR3/ZADH2モジュレーター及び薬理学的に許容できる体を含む医薬組成物を投与することができる。医薬組成物は、経口で、又は静脈内点滴によって投与され、又は注射され、又は皮下、筋内、クモ膜下腔内、腹膜内、直腸内、膣内、鼻腔内、胃内、気管内、若しくは肺内に移植される。
【0039】
医薬組成物は、例えば1,3−ブタンジオールの溶液のような、非毒性の許容できる希釈剤又は溶媒中の溶液又は懸濁液であってよい。使用される許容できるビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リンガー溶液及び等張食塩液がある。更に、従来、不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体(例えば合成モノ又はジグリセリド)として使用されている。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、特にポリオキシエチル化形態のオリーブ油又はヒマシ油などの天然の薬理学的に許容できる油などは、注射剤の調製において有用である。これらの油剤又は懸濁液は、長鎖アルコールの希釈剤又は分散剤、カルボキシメチルセルロース又は類似の分散助剤を含むこともできる。薬理学的に許容できる固体、液体又は他の剤形の製造において一般に使用される、Tweens又はSpansのような他の一般的に用いられる界面活性剤、又は他の類似の乳化剤、又は生物学的利用能エンハンサーも、製剤の目的で使用される。
【0040】
必要な投与量は、投与経路の選択、製剤の性質、被検者の疾患の性質、被検者の大きさ、体重、表面積、年齢及び性別、投与されている他の薬剤、及び主治医の判断によって決まる。適切な投与量は、0.01〜100.0mg/kgの範囲であってもよい。必要とされる投与量の範囲は、利用可能な組成物の多様性及び様々な投与経路による効率から予想されるべきである。当該技術分野においてよく理解されているように、これらの投与量レベルの範囲は、最適化するための標準経験的ルーチンを使用して調整される。適切な送達ビヒクル(例えば、高分子微粒子又は移植可能装置)内での組成物のカプセル化によって、送達、特に経口送達の効率を上げることができる。
【0041】
上記の医薬組成物は、従来の方法を利用して、異なる投与経路用の剤形、例えば、経口投与のためのカプセル、ゲルシール又は錠剤に調合できる。カプセルは、ゼラチン又はセルロースのような、いかなる標準的な薬理学的に許容できる材料も含んでもよい。錠剤は、固体担体及び潤滑剤を有する組成物の混合物を圧縮することによって、従来の手順に従って調合される。固体担体の例には、澱粉及び砂糖ベントナイトが含まれる。組成物は、結合剤、例えばラクトース又はマンニトール、従来の充填剤及び錠剤化剤を含む硬質なシェル錠剤(shell tablet)、又はカプセルの形で投与されてもよい。医薬組成物は、非経口経路を介して投与される。非経口剤形の例には、活性剤又は他の周知の薬理学的に許容できる賦形剤の水溶液、等張性食塩水、又は5%のブドウ糖が含まれる。シクロデキストリン又は当業者にとって周知の他の可溶化剤は、治療薬の送達のための医薬賦形剤として利用できる。
【0042】
上記の医薬組成物の有効性は、インビトロ及びインビボの両方で評価することができる。簡単に述べると、医薬組成物は、インビトロでPGR3/ZADH2活性又は発現を阻害する能力に関して検査できる。インビボ研究において、医薬組成物を動物(例えばマウスモデル)に注射することができ、その治療的有効性が確認される。結果に基づき、用量の適切な範囲及び投与経路を決定することができる。
【0043】
本発明は更に、PGR3/ZADH2活性又は発現を阻害する化合物を同定する方法を特徴とする。化合物は、例えば、ポリペプチドの三次元配座に従って、コンピュータモデリングプログラムを使用して設計され、当該技術分野において公知の方法を使用して合成される。化合物は、ライブラリスクリーニングによっても同定され、又は従来公知の組合せライブラリ方法において多くのアプローチのいずれかを使用して得られる。好適なライブラリには、ペプチドライブラリ、ペプトイドライブラリ(ペプチドの機能性を有する分子のライブラリであるが、酵素分解に耐性を示す、新規の非ペプチド性バックボーンを有する)、空間的にアドレス指定可能な平行した固相又は溶液相ライブラリ、デコンボリューション又はアフィニティクロマトグラフィ選択によって得られる合成ライブラリ、「ビード対化合物」ライブラリ及び抗体ライブラリが含まれる。例えば、Zuckermann他(1994)J.Med.Chem.37,2678−85、Lam(1997)Anticancer Drug Des.12,145、Lam他(1991)Nature 354,82、Houghten他(1991)Nature 354,84、及びSongyang他(1993)Cell 72,767参照。分子ライブラリを合成する方法の例は、当該技術分野で、例えば、DeWitt他(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6909、Erb他(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,11422、Zuckermann他(1994)J.Med.Chem.37,2678、Cho他(1993)Science 261,1303、Carrell他(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33,2059、Carell他(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33,2061、及びGallop他(1994)J.Med.Chem.37,1233に見出される。化合物ライブラリは、溶液(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13,412−421)、ビード(Lam(1991)Nature 354,82−84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364,555−556)、細菌(米国特許第5223409号明細書)、胞子(米国特許第5223409号明細書)、プラスミド(Cull他(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,1865−1869)、又はファージ(Scott and Smith(1990)Science 249,386−390;Devlin(1990)Science 249,404−406、Cwirla他(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,6378−6382、Felici(1991)J.Mol.Biol.222,301−310、及び米国特許第5223409号明細書)において提示される。
【0044】
下記の具体例は、単に例証として解釈されるべきであり、かついかなる形であれ開示の残りの部分に限定的であるとは解釈されない。当業者は、更に詳述することなく、本明細書の説明に基づき、本発明をその最も完全な範囲で利用することができる。本明細書において引用される全ての文献は、その全体が参考として組み込まれる。
【実施例1】
【0045】
[新規の15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素の同定]
GenBankアクセス番号NM146090及びBC033780の遺伝子のコード領域に対応する全長のcDNA配列は、それぞれ、マウスPGR3/ZADH2及びヒトPGR3/ZADH2と呼ばれる。マウスPGR3/ZADH2 cDNAを、PCRによって3T3−L1脂肪細胞から抽出したmRNAを使用して調製し、T4 DNAリガーゼ(Promega)によってpGEM−T easy vector(Promega)にライゲートした。マウス及びヒトPGR3/ZADH2を得るためのフォワード/リバースプライマの配列を下記に示す。
マウス:
フォワード5’−ATTGGATCCCAAATGCTGAGGCTGGCGGCC−3’(配列番号5)
リバース5’−ACGATGAATTCACAGCTTACTGCTGACAG−3’(配列番号6)
ヒト:
フォワード5’−CGCGGATCCTTATGCTGCGGCTGGTGCCCAC−3’(配列番号7)
リバース5’−CCGGAATTCTTACAGCTTACTGTTGACAGAGTG−3’(配列番号8)
【0046】
ヒトPGR3/ZADH2(配列番号1)及びマウス配列番号3であると推定されたアミノ酸配列を上記に示す。マウスPGR3/ZADH2は、ヒトZADH1(GenBank受入番号NM152444)に相同であることが発見されたが、有意な類似性ではなかった。
【0047】
3T3−L1細胞中での脂肪生成の間、PGR3/ZADH2の発現は、増加し、脂肪生成の誘導後3日目に最も増加したことが観察された。この時点で、脂質滴が、脂肪細胞において広範囲に蓄積することが観察された。最大限のPGR3/ZADH2タンパク質レベルは、完全に分化した脂肪細胞において検出された。PPAR−γが、脂肪生成の初期の段階で著しく誘導されることも発見された。
【0048】
PGR3/ZADH2の組織分布も解明され、PGR3/ZADH2は脂肪組織において高度に発現していた。大網脂肪中のPGR3/ZADH2 mRNAの量は、同種接合体及び異種接合体の両方のdB/dBマウスにおいて、野生型マウスより著しく高かった。
【0049】
ヒト及びマウス両方のPGR3/ZADH2タンパク質は、標準的手順によるGST融合タンパク質として、大腸菌において組み換えによって発現させた。このように得られた組換えPGR3/ZADH2タンパク質を使用して、基質特異性及び酵素反応速度を測定した。
【0050】
酵素活性は、以下の通りに測定した。
0.1MのTris−HCl(pH7.4)、0.5mMのNADPH及び0.57mMの15−ケトPGEを含む反応緩衝液において、37℃で10μgの組換えマウス又はヒトPGR3/ZADH2タンパク質をインキュベートした。37℃で10分間、暗所で反応させ、50mMのフタル酸カリウム水素(pH3.0)、及び1%のTween 20を含む700μlの緩衝液を添加して終了した。790μMの塩化インドニトロテトラゾリウム、60μMのメト硫酸フェナゼン(phenazene)及び1%のTween 20を含む、200μlの発色試薬を添加して、未反応NADPHを酸化した。ELISAプレート読み取り装置を使用して490nmにおける吸収度を測定した。連続的に希釈した量のNADPHを含む反応緩衝液を使用して、標準曲線を作成した。
【0051】
PGR3/ZADH2の基質特異性は、15−ケトPGEを、6つのプロスタグランジンの基質の各々、3つの下流代謝物質の各々、又はロイコトリエンB4と置き換えたことを除き、この直前に記載した手順を使用して決定した。15−ケトPGE、15−ケトPGF1α、及び15−ケトPGF2αは、PGR−3と特異的に反応した。対照的に、6−ケトPGF1α、PGF2β、11b−PGF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケトPGF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケトPGD、13,14−ジヒドロ−15−ケトPGE又はロイコトリエンB4からは、比活性度が検出されなかった。
【0052】
内在性ヒトPPAR−α及びPPAR−γを発現したヒトHep3B細胞におけるPPAR−γの転写の調整に与える、PGR−3/ZADH2発現の影響も調査した。Hep3B細胞のPGR3/ZADH2の過剰発現は、PPARを介した転写活性化を抑制することを発見した。PPAR−γアゴニスト、即ちBRL49653によってHep3B細胞が刺激された後でさえ、転写活性化を抑制した。同じような結果を3T3−L1細胞からも得た。
【実施例2】
【0053】
[プロスタグランジン]
脂肪細胞中のPPAR−γ活性に対するプロスタグランジンの影響を調査した。細胞分化を誘発する培地による処理後、14μM 15−ケトPGE、13,14−ジヒドロ−15−ケトPGE、15−ケトPGF2α、13,14−ジヒドロ−15−ケトPGF、又は4.5μMのBRL49653、PPAR−γアゴニストによって、脂肪生成中の2〜4日目に3T3−L1細胞を処理した。Forman他,Cell(1995)83:803−812を参照。6日目、脂質滴の凝集体を観察するためにオイルレッドOによって着色した。15−ケトPGEは、BRL49653と類似のレベルで、効果的に脂肪生成を強化した。3T3−L1細胞を2日間誘発して分化した後に、レポーター遺伝子によってトランスフェクトした。15−ケトPGE及び15−ケトPGF2αの両方は、内因性PPAR活性を著しく促進させた。対照的に、対応する下流の代謝物質、即ち13,14−ジヒドロ−15−ケトPGE及び13,14−ジヒドロ−15−ケトPGF2αは、PPAR活性を増加させることができなかった。
【0054】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子を、酵母GAL4 DNA結合ドメインに融合したPPAR−α、PPAR−γ又はPPAR−δのリガンド結合ドメインと共に、3T3−L1細胞にトランスフェクトした。15−ケトPGE及び15−ケトPGF2αは、PPAR−γ、及び少量のPPAR−αを活性化した。
【0055】
脂肪生成特異的なPPAR−γ標的遺伝子、即ちIRS−1及びIRS−2のタンパク質発現を誘導する15−ケトPGEの能力も検査した。3T3−L1細胞における実質的な量のPPAR−γ1及びPPAR−γ2タンパク質は、インスリン及びデキサメタゾンで処理したときには検出されたが、メチルイソブチルキサンチン(MIX)で処理したときには検出されなかった。15−ケトPGE、並びにインスリン及びデキサメタゾンを有するMIXの添加は、PPAR−γ1及びPPAR−γ2発現を著しく促進した。15−ケトPGE及びBRL49653は、MIXが存在しなくても、脂肪細胞の特異マーカー、aP2の発現を強力に誘発した。インスリン及びデキサメタゾンの存在下では、IRS−2発現はBRL49653処理によって劇的に増加した。15−ケトPGEは、MIXと類似のレベルまで発現を促進させた。インスリン/デキサメタゾン、又はMIXは、IRS−1発現を誘発した。15−ケトPGE及びBRL49653を含むPPAR−γリガンドは、IRS−1タンパク質の量を増加させなかった。
【実施例3】
【0056】
[PGR3/ZADH2小分子阻害剤]
組換えヒトPGR3/ZADH2タンパク質を発現させ、その酵素活性を検査した。マウスPGR3/ZADH2と同様に、組換えヒトPGR3/ZADH2は、15−ケト−プロスタグランジン−Δ13−還元酵素活性、及び15−ケトプロスタグランジンの13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンへの触媒転換を有していた。
【0057】
化合物1〜49を、PGR3/ZADH2活性の阻害効果に関して検査した。これらの化合物は市販され(例えば、Sigma−Aldrich、St.Louis、MOから)、当該技術分野において公知の方法から調製してもよい。阻害アッセイを上記の手順に従って実行した。様々な濃度のPGR3/ZADH2阻害剤を、反応混合物に添加し、37℃で2時間インキュベートした。
【0058】
より具体的には、50μMの化合物8、12、13、及び27、及び25μMのトリフルオロベンジル−2−ケイ皮酸ヒドロキシ(化合物22)を、PGR3/ZADH2酵素反応系に添加し、15−ケトPGEを還元する酵素の能力を測定した。結果は、下記の表1及び表2に要約した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
表1及び表2に示すように、PGR3/ZADH2の15−ケトプロスタグランジン−Δ13−還元酵素活性は、上記5種類の化合物によって阻害された。更に、化合物1〜7、9〜11、14〜26及び28−49が、50μMの濃度で活性を20%以上阻害することが判明した。
【実施例4】
【0062】
[インスリン感受性に対するPGR3/ZADH2阻害剤の影響]
インスリン感受性に対する上記2つのPGR3/ZADH2阻害剤、即ち化合物12及び化合物28の影響を以下の通りに検査した。
上記と同様に3T3−L1細胞を誘発して分化した。Fingar他(Endocrinology 134:728−735)に記載された方法に従って2−デオキシD−[H]ブドウ糖摂取量を測定することにより、ブドウ糖輸送アッセイを行った。1.67μMの阻害剤又は45nMのPPAR−γアゴニスト、即ちAVANDIAを細胞に添加した。
【0063】
10μM サイトカラシン−Bを使用して、ブドウ糖摂取バックグラウンドレベルを測定した。100nMのインスリンを使用して、ブドウ糖摂取を刺激した。分化した3T3−L1細胞中におけるインスリン処理のみにおいて、ブドウ糖摂取レベルが10倍以上増加した。これら2つのPGR3/ZADH2阻害剤のうちいずれかの存在下で、ブドウ糖摂取レベルは30倍増加した。ブドウ糖摂取を促進するこれらの阻害剤の能力がAVANDIAの能力と同程度であることが判明した。
【0064】
dB/dBマウスにおける血糖の減少に対するPGR3/ZADH2阻害剤の影響を検査した。雌のdB/dBマウス(生後10〜11週間のC57BLKS/J−m+/+Lepdb、The Jackson Laboratory)を4匹/ケージで収容した。10匹のマウスに、5mg/kgのトリフルオロベンジル2−ケイ皮酸ヒドロキシ(化合物22)、PGR3阻害剤(マウス1〜6)又はプラセボ(マウス7〜10、体液に対する最終濃度:PBS中で0.2%のDMSO/0.7%のエタノール)を、1日2回、7日間に亘り、腹膜内注射した。マウスの眼窩後洞からの血液試料を、最初の注入前及び最後の注入18時間後に得た。血液試料の血糖値を、電極タイプ血糖メーター(HORIBA、AntSense II、Japan)で測定した。結果を下記の表3に要約した。最後の列は、(B.G..before−B.G..after)/B.G..beforeX100%で表される阻害%を示す。結果は、PGR−3阻害剤がマウスの血糖値を著しく低下させたことを示唆する。
【0065】
【表3】

【実施例5】
【0066】
[干渉RNA]
RNA干渉(RNAi)アプローチを使用して3T3−L1前脂肪細胞(Pre−apocytes)中のPGR3/ZADH2発現を封じた。PGR3/ZADH2を標的とする干渉RNA(iRNA)をコードするベクターを生成するために、標準方法を使用して、5’−GAT CCG TGC CAC GTT ATC GGA ACC TTC AAG AGA GGT TCC GAT AAC GTG GCA CTT TTT TGG AAA−3’(配列番号9;フォワードプライマー)及びAGC TTT TCC AAA AAA GTG CCA CGT TAT CGG AAC CTC TCT TGA AGG TTC CGA TAA CGT GGC ACG−3’(配列番号10;リバースプライマ)を含むオリゴヌクレオチドを合成した。次にそのオリゴヌクレオチドをアニールし、線状のsiRNA発現ベクター、pSilencerTM neo(カタログ番号5764、Ambion)に組み込んだ。その後、このsiRNA発現ベクターを、エレクトロポーレーションによって3T3−L1前脂肪細胞に導入した。安定してトランスフェクトされたクローンを、G418選択によって単離した。次に特許請求の範囲のPGR3/ZADH2のmRNAレベルを標準RT−PCRによって検査した。PGR3/ZADH2のmRNA転写レベルが抑制されることが判明した。
【0067】
PPRE−レポーターに基づくアッセイは、Forman他, Cell (1995)83:803−812に記載されている方法に従って上記のクローンを使用して行った。PPAR−γの転写活性がこれらのクローンにおいて増加することが判明した。これらの結果は、RNA干渉によってPGR3/ZADH2発現を封じて、PPAR−γ活性を調節することができ、かつこれによりPPARの関連疾患を治療することができることを示す。
【0068】
[他の実施態様]
本願明細書において開示される特徴の全ては、いかなるように組み合わせることができる。本願明細書において開示される各特徴は、同一、等価、類似の目的を果たすその他の特徴と置き換えられる。このように、明確な別段の記載がない限り、開示された各特徴は、包括的な一連の等価又は類似の特徴の例に過ぎない。
【0069】
前記説明から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に確認することができ、かつその趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途及び条件に適応させるために、本発明の種々の変更及び修正を行なうことができる。このように、他の実施態様も、本願特許請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1若しくは配列番号3の配列又はその機能的な等価物を含む単離ポリペプチドであって、前記ポリペプチドは15−ケトプロスタグランジンを還元する単離ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の単離ポリペプチドにおいて、配列番号1又は配列番号3と少なくとも80%同一である配列を含む単離ポリペプチド。
【請求項3】
請求項2に記載の単離ポリペプチドにおいて、配列番号1又は配列番号3と少なくとも90%同一である配列を含む単離ポリペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載の単離ポリペプチドにおいて、前記ポリペプチドは配列番号1又は配列番号3である単離ポリペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載の単離ポリペプチドにおいて、前記15−ケトプロスタグランジンは、15−ケトPGE、15−ケトPGE、15−ケトPGE2α、又は15−ケトPGE1αである単離ポリペプチド。
【請求項6】
請求項5に記載の単離ポリペプチドにおいて、前記15−ケトプロスタグランジンは、15−ケトPGEである単離ポリペプチド。
【請求項7】
抗体であって、請求項1に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項8】
請求項7に記載の抗体において、前記抗体は、モノクローナル抗体である抗体。
【請求項9】
請求項7に記載の抗体において、前記ポリペプチドは、配列番号1である抗体。
【請求項10】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする被検者に、有効量のPGR3/ZADH2のモジュレーターを投与することを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記モジュレーターは、15−ケトプロスタグランジンである方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記15−ケトプロスタグランジンは、15−ケトPGE、15−ケトPGE、15−ケトPGE2α、又は15−ケトPGE1αである方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記15−ケトプロスタグランジンは、15−ケトPGEである方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法において、前記モジュレーターは、PGR3/ZADH2阻害剤である方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記阻害剤は二本鎖リボ核酸であり、該二本鎖リボ核酸はポリリボヌクレオチドの第1鎖及びポリリボヌクレオチドの第2鎖を含み、該第1鎖は、PGR3/ZADH2をコードする核酸の19〜49個の連続したヌクレオチドと同一な配列であり、該第2鎖は該第1鎖と相補的である方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、前記阻害剤は、テトラヒドロキシフラボン、トリヒドロキシフラボン、2−ヒドロキシ−トリメトキシカルコン、若しくは2−ヒドロキシ−ケイ皮酸ベンジル、又はこれらの誘導体である方法。
【請求項17】
前記阻害剤は、以下の化合物1〜49のいずれかである請求項14に記載の方法。
【化1】



【請求項18】
請求項14に記載の方法において、前記阻害剤は抗体である方法。
【請求項19】
請求項10に記載の方法において、前記ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患は、II型糖尿病、肥満、異脂肪血症、冠状動脈性心臓病、炎症性疾患、又は癌である方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患は、II型糖尿病、肥満、異脂肪血症、又は冠状動脈性心臓病である方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患は、II型糖尿病である方法。
【請求項22】
被検者において血糖値を低下させる方法であって、前記被検者に有効量のPGR3/ZADH2の阻害剤を投与することを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記阻害剤は、テトラヒドロキシフラボン、トリヒドロキシフラボン、2−ヒドロキシ−トリメトキシカルコン、又は2−ヒドロキシ−ケイ皮酸ベンジルである方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記阻害剤は、二本鎖リボ核酸、又は前記化合物1〜49であり、該二本鎖リボ核酸はポリリボヌクレオチドの第1鎖及びポリリボヌクレオチドの第2鎖を含み、該第1鎖はPGR3/ZADH2をコードする核酸の19〜49個の連続したヌクレオチドと同一な配列であり、該第2鎖は該第1鎖と相補的である方法。
【請求項25】
PGR3/ZADH2の活性を阻害する化合物を同定する方法であって、
PGR3/ZADH2を含む系を用意し、
化合物を前記系と接触させ、
PGR3/ZADH2の活性を決定し、
前記活性を、前記化合物が存在しないことを除き同じ手順で得られる活性と比較することを含む方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記系は、PGR3/ZADH2を発現する遺伝子を含む細胞であり、前記活性は、前記遺伝子の発現活性を測定することによって決定される方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、前記系は、PGR3/ZADH2を含む無細胞溶液であり、前記活性は、PGR3/ZADH2の酵素活性を測定することによって決定される方法。
【請求項28】
PGR3/ZADH2の発現を阻害する二本鎖リボ核酸であって、
ポリリボヌクレオチドの第1鎖及びポリリボヌクレオチドの第2鎖を含み、
前記第1鎖は、PGR3/ZADH2をコードする核酸の19〜49個の連続したヌクレオチドと同一な配列であり、
前記第2鎖は、前記第1鎖と相補的である二本鎖リボ核酸。
【請求項29】
請求項28に記載の二本鎖リボ核酸において、前記第1鎖は、配列番号9若しくは配列番号10、又はこれらの断片を含む二本鎖リボ核酸。
【請求項30】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする被検者に、有効量の式(I)の化合物を投与することを含む方法。
【化2】

[式中、R及びRの各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12の各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、又は、R及びRは、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、又は、R10及びR11は、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、
但しR及びRの各々は、独立して、水素、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである]
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、R及びRの各々は、独立して、水素、シクロペンチルに融合されたフェニル、又はヘテロアリールで置換されたフェニルである方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、R及びR12の各々は、OHである方法。
【請求項33】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする被検者に、有効量の式(II)の化合物を投与することを含む方法。
【化3】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10の各々は、独立して、水素、ハロ、OR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、
但しRは、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである]
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10の各々は、独立して、水素又はOHである方法。
【請求項35】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする被検者に、有効量の式(III)の化合物を投与することを含む方法。
【化4】

[式中、Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、NR、又はSRであり、
、R、R、R及びRの各々は、独立して、水素、ハロ、OR、NR、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
但しR、R、R及びRの各々は、独立して、水素、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである]
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、Rは、ハロ、OR、NO、又はC−C10アルキルで置換されたフェニルであり、Rは、水素又はC−C10アルキルである方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法において、Rは、OR、NR又はSRであり、Rは、フェニルで置換されたC−C10アルキルであり、該フェニルは、CF、F又はOHで任意に置換され、RはHである方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法において、Rは、ヘテロアリール又はC(O)Rで置換されたC−C10アルキルであり、Rは、水素又はC−C10アルキルである方法。
【請求項39】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体の関連疾患を治療する方法であって、該治療を必要とする被検者に
【化5】

からなる群から選択される有効量の化合物を投与することを含む方法。

【公開番号】特開2007−61093(P2007−61093A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−218187(P2006−218187)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(503183260)アブゲノミクス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】