説明

ホームオートメーションシステム用コードレス電話機

【課題】 コードレス電話機の子機に家屋内に設置した各種の電子機器のリモコン機能を組み込み、電話回線を介して当該子機のリモコン機能を作動できるようにする。
【解決手段】 親機1と無線で接続される少なくとも1つの子機2aからなるコードレス電話機を備えたホームオートメーションシステム用コードレス電話機であって、子機2aは、発光部53と受光部54を備え、特定の電子機器をリモコン制御するための光データが登録され、該特定の電子機器のリモコン制御機能を有し、親機および/または子機は特定の電話機の電話番号を登録する制御テーブル30、52を備え、制御テーブル30、52に登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、子機は、リモコン制御機能を作動させ、発光部53および/または受光部54から特定の電子機器をリモコン制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外出先から携帯電話などを使用して屋内の電子機器を制御するホームオートメーションシステムに関するものであり、特に、コードレス電話機の子機を用いて予め子機に設定した電子機器の制御を、外出先から携帯電話などの電話機を用いて作動させるようにしたホームオートメーションシステム用コードレス電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの家屋にはマイクロコンピーュタ制御の各種電子機器が設置されるようになってきている。このようなマイクロコンピーュタ制御の各種電子機器としては、例えば、エアコンなどの冷暖房機器、テレビ受像機、浴室などの自動給湯機器、自動温水機器、ソーラ機器などがある。通常これらの各機器にはそれぞれリモートコントロールのための制御ユニットであるいわゆるリモコン制御装置や操作パネルが付属しており、ユーザは各リモコン制御装置や操作パネルを使用してそれぞれの機器の運転操作を行うようにされている。
【0003】
しかしながら、家屋内に設置された上記のような各種電子機器を操作するためには、それぞれのリモコン制御装置や操作パネルをその都度操作する必要があり、そのような操作が煩わしいという不具合を感じているユーザも少なくない。特に、リモコン制御装置は手のひらに乗るような小さなサイズであるため、置き場所を忘れてしまい部屋のなかを探してまわるといったことは多くのユーザが経験するところでもある。
【0004】
また、外出先から家庭内に設置した各種の電子機器の操作を制御したいという要求を持つユーザも少なくない。例えば、勤務先を出る時に、自宅の自動給湯器や冷暖房機器の運転を開始させておけば、帰宅した時には部屋の冷暖房が設定どおりに運転されていたり、直ぐに入浴できる状態にてっていたり利便性が増す。このように家屋内の電子機器を外出先など遠隔操作するシステムとしてホームオートメーションシステムが提案されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1(特開平7−30674号公報)には、屋内に設置した各種の電子機器を集中制御する遠隔制御装置を設置し、電話回線を用いて外部の電話機から遠隔制御装置を操作するようにした技術が開示されている。この特許文献1に開示された遠隔制御装置は、ホームオートメーションの遠隔制御において、従来の制御方法である音声による状態確認等の作業の繁雑さを解決し、複数の機器を短時間で正確に制御することを目的としたものである。この遠隔制御装置は、ホームオートメーションによって制御される各機器の状態を示すデータを受信する機器状態データ受信部と、各機器への制御コマンドを送信する制御コマンド発信部と、前記データを表示する表示部と、前記コマンドを入力する制御コマンド入力部より構成され、外出先の電話機からその起動を制御するようにしたものである。
【0006】
また、家屋内に設置された各種の電子機器のリモコン装置の管理、操作の煩雑さを解消する技術として、例えば、下記の特許文献2(特開平5−327922号公報)には、家屋内に設置されたコードレス電話機に家屋内に設置された各種電子機器のリモート制御機能を組み込み、コードレス電話機を用いて家屋内に設置され各種の電子機器を制御するようにしたコードレス電話機が開示されている。
【0007】
上記特許文献2に開示されたコードレス電話機は、入力部よりリモコン操作したい項目を入力し、入力されたデータは識別部で識別され該当するコードデータを記憶部より読み出し、第1発光部にて赤外線信号に変換し送出する。第2受光部は赤外線信号を受信しデジタル信号に変換し、ホームバスコントロールユニットはこの受信信号に該当する操作項目を機器に指令する。機器は指令に基づき動作を実行すると実行完了の信号を返送する。第2発光部はこの信号を赤外線信号として送出し、第1受光部は赤外線信号を受信し、データに対応する音声合成データメモリ部の音声合成データを取り出し音声合成部で音声合成し、音声出力部は音声信号として出力するように構成されている。
【特許文献1】特開平7−30674号公報(図1、図3、段落[0008]〜[0009])
【特許文献2】特開平5−327922号公報(図1、段落[0007]、[0008])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたホームオートメーションシステムにおいては、家屋内に設置された各種の電子機器を集中制御するための遠隔制御装置を設置する必要があるため、一般家庭では設置コストが高価になるという問題点があった。
【0009】
また、上記特許文献2に開示されたコードレス電話機においては、家屋内に設置された各種の電子機器のリモコン機能を当該コードレス電話機に組み込むため、別の遠隔制御装置を設置する必要がなく、コードレス電話機を用いて各種の電子機器を集中制御することができ、ユーザはコードレス電話機だけで各種電子機器のリモート操作が行えるようになる。しかしながら、特許文献2に開示されたコードレス電話機による電子機器制御においては、外出先からコードレス電話機のリモコン機能を制御する技術は開示されておらず、外出先から屋内に設置された各種電子機器を制御することができないという問題点があった。
【0010】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、コードレス電話機の子機に電子機器のリモコン機能を対応づけ、電話回線を介して特定の電話機から、特定の子機に対して着信があった場合に当該着信があった子機のリモコン機能が作動するようになせば、上記の問題点を解消しできることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、コードレス電話機の子機に家屋内に設置した各種の電子機器のリモコン機能を組み込み、電話回線を介して当該子機のリモコン機能を作動することきができるホームオートメーションシステム用コードレス電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、親機と無線で接続される少なくとも1つの子機からなるコードレス電話機を備えたホームオートメーションシステム用コードレス電話機であって、
前記子機は、発光部と受光部を備え、特定の電子機器をリモコン制御するための光データが登録され、該特定の電子機器のリモコン制御機能を有し、
前記親機および/または子機は特定の電話機の電話番号を登録する制御テーブルを備え、
前記制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、前記子機は、リモコン制御機能を作動させ、発光部および/または受光部から前記特定の電子機器をリモコン制御することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるコードレス電話機において、前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と暗証番号と前記暗証番号に対応する子機番号および該子機に対応する電子機器のリモコン機能が登録され、前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該電話機から送信される暗証番号に基づいて、対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるコードレス電話機において、前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と暗証番号と前記暗証番号に対応する子機番号が登録され、前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該電話機から送信される暗証番号に基づいて、対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるコードレス電話機において、前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と前記電話番号に対応する子機番号が登録され、前記各子機のそれぞれの制御テーブルには、当該子機に対応する特定の電子機器のリモコン機能が登録され、
前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、前記親機は、親機の制御テーブルに基づいて対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかるコードレス電話機において、前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記各子機のそれぞれの制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と、当該子機に対応する特定の電子機器のリモコン機能が登録され、
前記親機は、電話機からの着信があった場合、前記複数の子機を一斉に呼び出し、
前記複数の子機は当該子機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該制御テーブルに基づいてリモコン制御機能を作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる発明においては、コードレス電話機の子機は、発光部と受光部を備え、特定の電子機器をリモコン制御するための光データが登録され、該特定の電子機器のリモコン制御機能を有し、前記親機および/または子機は特定の電話機の電話番号を登録する制御テーブルを備え、前記制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、前記子機は、リモコン制御機能を作動させ、発光部および/または受光部から前記特定の電子機器をリモコン制御する。
【0018】
従って、家屋内にホームオートメーションシステムのための集中制御を行う制御ユニットを設置することなく、ユーザはコードレス電話機に登録した特定の電話番号を有する電話機からコードレス電話機に電話をかけるだけで、子機に設定した電子機器をリモコン制御することができるようになる。
【0019】
請求項2ないし請求項5にかかる発明においては、コードレス電話機の複数の子機にそれぞれ特定の電子機器のリモコン制御機能を設定し、親機および/または子機は特定の電話機の電話番号を登録する制御テーブルを備え、前記制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該当する子機が選択され、該子機に設定したリモコン制御機能を作動させ、発光部および/または受光部から前記特定の電子機器をリモコン制御する。
【0020】
従って、家屋内にホームオートメーションシステムのための集中制御を行う制御ユニットを設置することなく、コードレス電話機に登録した特定の電話番号を有する電話機からコードレス電話機に電話をかけるだけで、1つの子機を呼び出し、当該子機に設定した電子機器をリモコン制御することができるようになる。例えば、ユーザはコードレス電話機への電話番号登録により、ユーザの携帯電話から子機の1つを動作させ、勤務先の携帯電話や固定電話から他の固定電話を動作させ、それぞれ所望の電子機器のリモコン制御を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの構成を示すシステム構成図である。図2は、図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機の外観を示す図である。図3は、図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機(親機)1の要部構成を示すブロック図である。図4は、本発明の実施例1にかかる親機1の制御テーブルのデータ構成を示す図である。図5は、本発明の実施例にかかる子機1(図1の2a)ないし子機3(図1の2c)の要部構成を示すブロック図である。図6は、子機にリモコン機能を設定する動作手順を示すフローチャートである。図7は、本発明の実施例1かかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの動作手順を示すフローチャートである。図8は、本発明にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの具体的な設置例を示す図である。図9は、本発明の実施例2にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。図10は、本発明の実施例3にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。図11は、本発明の実施例4にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムは、携帯電話4や図示しない固定電話と公衆電話回線網3を介して接続されるコードレス電話機(親機)1と、コードレス電話機(親機)1(以下、単に親機1と称する)と無線を介して接続される1または複数のコードレス電話機の子機2a(子機1)ないし子機2c(子機3)とを備えて構成されている。以下の説明において、子機2aないし子機2cを単に子機1ないし子機3と称する。
【0023】
子機1ないし子機3は、後述するように、それぞれ赤外線の発光部と受光部とを備え、家屋内に設置された各電子機器のリモコン信号の受発光を行うことができ、例えば、子機1はエアコン5のリモコン装置として機能が設定され、子機2は浴室の給湯、暖房などの制御パネルのリモコン装置としての機能が設定され、子機3はテレビ/ビデオ機器のリモコン装置としての機能が設定されている。各子機1〜子機3のリモコン機能の設定は、例えば、各電子機器に付属したリモコン装置を一度操作し、この操作過程でリモコン装置と電子機器との間で送受信される信号を、リモコン機能を設定したい子機にモニターさせて簡単に設定することができるようにしている。
【0024】
コードレス電話機の親機1には、後述するように、子機1ないし子機3に設定したリモコン機能を操作するために公衆電話回線網3を介して携帯電話4などから着信する外線信号を処理して各子機1なしい子機3を作動させるための制御機能が設定されており、特定の電話機(発呼電話機の電話番号)からの着信を検出して特定の子機1ないし子機3を選択的に作動させて子機1ないし子機3に設定されたリモコン機能を用いて対応する電子機器のリモコン制御を行うように構成されている。図2は、図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機の外観を示す図であり、例えば、子機1(子機2a)、子機2(子機2b)を1階に設置してエアコンと浴室のリモコン装置として外部から携帯電話4により操作し、子機3(子機2c)を2階に設置しテレビ/ビデオのリモコン装置として外部から携帯電話4により操作するように構成することができる。
【0025】
図3は、図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機(親機)1の要部構成を示すブロック図である。図3において、11は着信検出回路で、電話回線Lに接続され、着信信号をパルス信号に波形整形して出力するものである。12は発呼者番号検出回路であり、電話局より電話回線を介して発呼者の電話番号(発呼者番号)を検出する。検出する電話番号は市外局番と市内局番と加入者番号からなり、必ず市外局番を含んでいる。13はネットワーク回路であり、電話回線に接続され回線の解放・閉結を行う。14は発呼時のダイヤル発信回路である。
【0026】
15はハンドセットであり、スピーカ16とマイクロホン17を有している。18は受信回路であり、アンテナ19を介して子機2からの信号を受信する。20は送信回路であり、ネットワーク回路14の出力信号をアンテナ19を介して子機2へ発信する。21はPLL回路であり、受信回路18と送信回路20の送受信周波数を変える。22は切替回路であり、ネットワーク回路13への接続をハンドセット15側あるいは受信回路18/送信回路20側に切替える。
【0027】
23はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、各部動作を制御するプログラムを記憶したROM24に基づき各部を制御する。尚、ROM24には、制御回路23が通話時間の計時、通話料金の算出を行えるプログラムも書き込まれている。25はRAMであり、制御回路23の動作に必要な情報を記憶する。26はベルであり、着信時に呼出音を出力する。27は緑色と赤色のバックライトを切り替え可能な液晶の表示手段であり、電話番号等を表示する。28は入力手段であり、電話番号入力を行うテンキー281及び通話時間、通話料金の表示をするか否かを選択する選択キー282を有する。29はハンドセット15のオンフック、オフフックを検出するスイッチである。
【0028】
30は制御テーブルであり、リモコン機能が設定された子機1ないし子機3に対して公衆電話回線網3を介して特定の電話番号を有する電話機から着信があった場合に、対応する子機にリモコン機能を作動させるための制御信号を送信するためのテーブルである。本実施例においては、例えば、本実施例1において、親機1の制御テーブルは、図4に示すように発呼側電話番号と暗証番号と対応子機およびリモコン制御機能を対応付けした制御テーブルである。すなわち、図4の制御テーブルに示すように、親機1は公衆電話回線網3を介して特定の電話機から、暗証番号を伴う着信があった場合に、発呼側電話番号と暗証番号に応じて対応する子機1ないし子機3を選択して暗証番号で対応づけられたリモコン制御のための制御信号を子機1ないし子機3に送信し、子機1ないし子機3をリモコン装置として作動させる。
【0029】
例えば、図4において電話番号が090−0001−1234の電話から暗証番号「1234」を伴う着信があった場合、親機1は、子機1を選択し、エアコンの電源をオンする制御信号を子機1に送信する。親機1から制御信号を受信した子機1は、後述するようにエアコン5に対して後述する発光部から電源をオンするための送信を行う。従ってユーザは外出先などから特定の電子機器をリモコン操作する場合には、自分が所有する携帯電話などの電話番号と暗証番号とそれにより作動させる子機の情報を予め親機1の制御テーブル30に登録しておく。
【0030】
図5は、子機1(図1の2a)の要部構成を示すブロック図である。子機2(図1の2b)、子機3(図1の2c)も図5と同様の構成を有している。図5において、31は受信回路であり、アンテナ32を介して親機1からの信号を受信する。33は送信回路であり、入力信号を、アンテナ32を介して親機1へ発信する。34はPLL回路であり、受信回路31と送信回路33の送受信周波数を変える。35はスピーカであり、増幅回路36で増幅された受信回路31の電気信号を音声に変換する。37はマイクロホンであり、音声を電気信号に変換する。38は増幅回路であり、マイクロホン37の出力を増幅して送信回路33に出力する。
【0031】
39はマイクロプロセッサからなる制御回路であり、各部動作を制御するプログラムを記憶したROM40に基づき各部を制御する。41はRAMであり、制御回路39の動作に必要な情報を記憶する。42はベルであり、着信時に呼出音を出力する。43は緑色と赤色のバックライトを切替え可能な液晶の表示手段であり、電話番号、通話時間、通話料金等を表示する。44は入力手段であり、通話を開始するための通話キー441、通話を終了するための切キー442、ダイヤル番号を入力するためのテンキー443を有する。また、表示手段43には、親機1の録音手段30に記録された用件メッセージの有無、その再生の有無が後述のような処理手順で表示される。この処理手順は、制御回路39に蓄積されたプログラム制御により実行される。
【0032】
子機2aは、発光部53と受光部54を備えており、設定された電子機器へのリモコン制御のための信号を送受信するように構成されている。子機2aへのリモコン機能の設定は、先に説明したように、電子機器に付属したリモコン装置を一度操作し、この操作過程でリモコン装置と電子機器との間で送受信される信号を、リモコン機能を設定したい子機にモニターさせて簡単に設定するようになっている。
【0033】
例えば、図6のフローチャートにあるように、電子機器に付属したリモコン装置を作動させ、ステップS10の処理において制御回路39はリモコン装置と電子機器の間の光を受光部54で受光し、ステップS11の処理において受光した光のデータをRAM41などのメモリに記憶する。受光できなかった場合は、ステップS14の処理において中止操作があるかを判定し、中止操作がなければ、ステップS10の処理に戻り、中止操作があれば処理を終了する。次いで、制御回路39はユーザからの電話番号(ユーザがリモコン機能を作動させる電話機の電話番号)の入力があるか、ステップS12の処理において判断する。電話番号入力があれば、ステップ13の処理において、光データと電話番号の対応をRAM41などのメモリに記憶する。この対応関係を親機1に設定する必要があれば、親機1にその内容を送信する。ステップS12で電話番号の入力がなければ、ステップS15の処理において中止操作があるかを判定し、中止操作がなければ、ステップS12の処理に戻り、中止操作があれば処理を終了する。もちろんこの設定は、図6のような処理によらず、上記特許文献2に開示されたコードレス電話機のように親機1の入力手段28から所定の入力をすることにより設定するように構成してもよい。
【0034】
本実施例にかかるホームオートメーションシステムは、以上のように構成されたものであり、ユーザは、特定の電子機器をリモコン制御したい場合、親機1の制御テーブル30に登録設定した電話機から親機1に発呼し、暗証番号をメッセージとして送信する。親機1は公衆電話回線網3から着信があると、まず発呼側の電話番号データを受信し、そのデータを一時記憶する。次に親機1は回線を自動接続し、発呼側に暗証番号の入力を促すメッセージを送信する。発呼側が暗証番号を入力すると、親機1は発呼側が入力した暗証番号を受信し、制御テーブル30に登録設定された暗証番号との一致をみる。制御テーブル30に設定登録された暗証番号と一致すれば、親機1は対応する子機1ないし子機3に制御信号を送出する。制御信号を受信した子機1ないし子機3は、対応する電子機器に対してリモコン制御信号を送信する。
【0035】
図7に示すフローチャートを参照して本発明の実施例1にかかるコードレス電話機の動作手順について更に説明する。ステップS20の処理において、親機1は公衆電話回線網3から着信があるとステップS21の処理において回線を接続する。着信がなければステップS20の処理を繰り返す。次いで、親機1の制御回路23は、発呼側電話機の電話番号が制御テーブル(図4参照)に登録された電話番号かを判定する。登録された電話番号でなければ、通常の通話の着信でありステップS26の処理に進み呼び出し音を鳴動させ、ステップS27の処理において通話接続を行い、ステップS28の処理において通話が終了すると回線を切断して処理を終了する。
【0036】
一方、ステップS22の処理において制御テーブルに登録された電話番号である場合は、制御回路23は、ステップS23の処理において発呼側に暗証番号の入力を求めるメッセージを送信し、ステップS24の処理において発呼側から暗証番号を受信すると、ステップS25の処理において、図4の制御テーブルを参照して、登録電話番号、暗証番号と対応する子機にリモコン機能の作動指示信号を送信する。動作指示を受けた子機は、発光部53から電子機器に対して設定されたリモコン制御のための光信号を送信し、該当する電子機器を制御する。
【0037】
図8は、本発明にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの具体的な設置例を示す図であり、家屋の1階にエアコン5が、2階にビデオデッキ7が設置され、子機1(2a)にエアコン5のリモコン機能を設定し、子機3(2c)にビデオデッキのリモコン機能を設定し、制御テーブルが図4に示す内容に設定されている。このように構成すれば、ユーザが自分の携帯電話から親機に発呼し、登録した暗証番号を入力すれば、子機1を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができる。また、ユーザが会社のデスクの電話機から親機に発呼し、登録した暗証番号を入力すれば、子機3を使用してビデオデッキの電源をオン・オフ制御することができる。
【実施例2】
【0038】
図9は、本発明の実施例2にかかるホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。実施例2のホームオートメーションシステムにおける機器構成は、実施例1における機器構成と同様である。実施例1においては親機1の制御テーブルに制御のためのデータ(発呼側電話番号、暗証番号、対応子機/リモコン制御機能)全てを記録したものであるが、実施例2においては、図9に示すように親機1の制御テーブルには発呼側電話番号と暗証番号と対応子機のデータを記憶し、各子機2aないし2cの制御テーブルに該当子機が対応する電子機器、例えば、図9においては、子機1にエアコン、子機2に浴室、子機3にテレビ/ビデオのリモコン制御機能を設定したものである。
【0039】
この実施例2においては、実施例1の手順と異なり、親機1は、暗証番号を受信すると、回線を一旦切り離した後に、発呼側電話番号及び暗証番号に対応する子機を呼び出す。この場合、親機1から子機へは、通常の通話呼び出しとは異なるリモコン機能作動のための無線信号を送信することにより、子機が通常の通話着信に対してリモコン機能を作動させないようにする。子機側は、リモコン機能作動のための無線信号を受信すると子機側に記憶されているリモコン機能を作動し、対応する電子機器の制御を行う。なお、親機1から子機に送信するリモコン機能作動のための無線信号は、制御チャンネル上で親機1から子機に対してリモコン機能作動のための無線信号を1回送信すればよい。
【0040】
このように構成すれば、実施例1と同様に、ユーザが自分の携帯電話から親機に発呼し、登録した暗証番号を入力すれば、子機1を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御し、または、子機2を使用して浴室の制御をすることができる。また、ユーザが会社のデスクの電話機から親機に発呼し、登録した暗証番号を入力すれば、子機3を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができる。
【実施例3】
【0041】
図10は、本発明の実施例3にかかるホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。実施例3のホームオートメーションシステムにおける機器構成は、実施例1における機器構成と同様である。実施例1、実施例2においては、子機の選択のため暗証番号を制御テーブルに登録設定したものであるが、実施例3においては、図10に示すように親機1の制御テーブルには発呼側電話番号と対応子機のデータを記憶し、各子機2aないし2cの制御テーブルに該当子機が対応する電子機器、例えば、図10においては、子機1にエアコン、子機2に浴室、子機3にテレビ/ビデオのリモコン制御機能を設定したものである。
【0042】
すなわち、実施例3は、通常のコードレス電話機が持つ子機に一斉呼び出しと個別呼び出しの機能のうち個別呼び出し機能を利用したものである。例えば、通常のコードレス電話では、子機を一斉に呼び出すことも、特定の子機を呼び出すこともできる。この機能を外線からの着信に応用したものである。従って、図10に示すように親機1の制御テーブルに、電話番号(発呼側の電話番号)と子機(子機1〜3)の対応を設定している。その対応付けは、例えば、発呼側のユーザの携帯電話の番号に子機1、会社の携帯電話の番号に子機2、会社のデスクの電話番号に子機3をそれぞれ対応付けている。
【0043】
各子機1〜子機3側には、それぞれ実施例1と同様にして対応する電子機器のリモコン機能が設定されている。図10においては、子機1にエアコン、子機2に浴室、子機3にテレビ/ビデオのリモコン制御機能を設定してある。例えば、ユーザの携帯電話からの着信があると子機1のみを呼び出し、会社の携帯電話からの着信があると子機2のみを呼び出すことができる。呼び出された子機側(例えば子機1)は、呼び出しを受けるとエアコンをオンする。
【0044】
すなわち、実施例3において、親機1は着信を検出すると、発呼側の電話番号を識別し、親機1の制御テーブルに登録した電話番号と一致するかを判定し、対応する子機を呼び出す。親機1から子機への呼び出しは、実施例2と同様に、通常の通話呼び出しとは異なるリモコン機能作動のための無線信号を送信してもよいし、通常の着信における特定子機の呼び出しのための無線信号を送信してもよい。子機側は呼び出し信号を受信すると子機側に設定したリモコン機能を作動させる。
【0045】
このように構成すると、ユーザが自分の携帯電話から親機1に発呼すれば、子機1を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができ、また、会社の携帯電話から親機1に発呼すれば、子機2を使用して浴室の制御をすることができる。また、ユーザが会社のデスクの電話機から親機1に発呼すれば、子機3を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができる。
【実施例4】
【0046】
図11は、本発明の実施例4にかかるホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。実施例4のホームオートメーションシステムにおける機器構成は、実施例1における機器構成と同様である。実施例3においては、親機1から特定の子機を呼び出す機能を使用したが、実施例4においては親機1から複数の子機を一斉に呼び出す一斉呼び出し機能を用いている。
【0047】
すなわち、親機1には制御テーブルを持たず、図11に示すように各子機1〜3の制御テーブルに電話番号(発呼側の電話番号)と、それぞれの子機に設定した電子機器のリモコン機能を設定したものである。発呼側のユーザの携帯電話の番号を子機1の制御テーブルに、会社の携帯電話の番号を子機2の制御テーブルに、会社のデスクの電話番号を子機3の制御テーブルに登録設定、各子機にそれぞれ各電子機器のリモコン制御機能を設定している。すなわち、子機1にはエアコンを、子機2には浴室を、子機3にはテレビ/ビデオを対応付けている。
【0048】
実施例4において、親機1は着信があると子機を一斉呼出します。この場合、子機側が発呼側の電話番号を検出して、検出した電話番号と一致する電話番号がメモリに格納されていれば、メモリに格納されている電話番号に対応する電子機器のリモコン機能を作動させる。すなわち、親機1側は、着信を検出すると、各子機を一斉に呼び出す。子機側は親機1を介して発呼側の電話番号データを受信し、各子機の制御テーブルに登録設定されている電話番号と一致するかを判定し、一致している子機のみ当該子機に設定された電子機器のリモコン機能を作動させる。制御テーブルに登録設定された電話番号と発呼側電話番号が一致しない子機は親機1との通信を終了する。親機1から子機への呼び出しは、実施例3と同様に、通常の通話呼び出しとは異なるリモコン機能作動のための無線信号を送信してもよいし、通常する着信における特定子機の呼び出しのための無線信号を送信してもよい。
【0049】
このように構成すると、ユーザが自分の携帯電話から親機1に発呼すれば、子機1を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができ、また、会社の携帯電話から親機1に発呼すれば、子機2を使用して浴室の制御をすることができる。また、ユーザが会社のデスクの電話機から親機1に発呼すれば、子機3を使用してエアコンの電源をオン・オフ制御することができる。
【0050】
尚、親機が着信に応答した後に暗証番号の入力により子機を制御する第1、第2実施例に対し、実施例3及び実施例4においては、回線を接続しなくとも子機を制御することができる。即ち、回線が接続されない為に電話料金がかからないという顕著な効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、コードレス電話機の子機に家屋内に設置した各種の電子機器のリモコン機能を組み込み、電話回線を介して当該子機のリモコン機能を作動させることができ、各電子機器の制御を集中して行う集中制御ユニットなど特別の機器を設置することなく安価なホームオートメーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機の外観を示す図である。
【図3】図1のホームオートメーションシステムにおけるコードレス電話機(親機)1の要部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1にかかる親機1の制御テーブルのデータ構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例にかかる子機1(図1の2a)ないし子機3(図1の2c)の要部構成を示すブロック図である。
【図6】子機にリモコン機能を設定する動作手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかるホームオートメーションシステムの具体的な設置例を示す図である。
【図9】本発明の実施例2にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例3にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例4にかかるコードレス電話機を用いたホームオートメーションシステムを説明するための制御テーブルのデータ構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・コードレス電話機(親機)
2a、2b、2c・・・子機1〜子機3
3・・・・公衆電話回線網
4・・・・携帯電話
5・・・・エアコン
6・・・・浴室
7・・・・テレビ
30・・・制御テーブル
52・・・制御テーブル
53・・・発光部
54・・・受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と無線で接続される少なくとも1つの子機からなるコードレス電話機を備えたホームオートメーションシステム用コードレス電話機であって、
前記子機は、発光部と受光部を備え、特定の電子機器をリモコン制御するための光データが登録され、該特定の電子機器のリモコン制御機能を有し、
前記親機および/または子機は特定の電話機の電話番号を登録する制御テーブルを備え、
前記制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、前記子機は、リモコン制御機能を作動させ、発光部および/または受光部から前記特定の電子機器をリモコン制御することを特徴とするホームオートメーションシステム用コードレス電話機。
【請求項2】
前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と暗証番号と前記暗証番号に対応する子機番号および該子機に対応する電子機器のリモコン機能が登録され、前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該電話機から送信される暗証番号に基づいて、対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする請求項1に記載のホームオートメーションシステム用コードレス電話機。
【請求項3】
前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と暗証番号と前記暗証番号に対応する子機番号が登録され、前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該電話機から送信される暗証番号に基づいて、対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする請求項1に記載のホームオートメーションシステム用コードレス電話機。
【請求項4】
前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記親機の制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と前記電話番号に対応する子機番号が登録され、前記各子機のそれぞれの制御テーブルには、当該子機に対応する特定の電子機器のリモコン機能が登録され、
前記親機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、前記親機は、親機の制御テーブルに基づいて対応する子機を選択し、選択された子機のリモコン制御機能を作動させることを特徴とする請求項1に記載のホームオートメーションシステム用コードレス電話機。
【請求項5】
前記コードレス電話機は複数の子機を備え、前記各子機のそれぞれの制御テーブルには、特定の電話機の電話番号と、当該子機に対応する特定の電子機器のリモコン機能が登録され、
前記親機は、電話機からの着信があった場合、前記複数の子機を一斉に呼び出し、
前記複数の子機は当該子機の制御テーブルに登録された電話番号を持つ電話機から着信があった場合、該制御テーブルに基づいてリモコン制御機能を作動させることを特徴とする請求項1に記載のホームオートメーションシステム用コードレス電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−222890(P2006−222890A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36584(P2005−36584)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】