説明

ポジ型感放射線性樹脂組成物

【課題】レジストパターンが形成された基板にめっき処理を行うとき、クラックの発生を抑制できるポジ型感放射線性樹脂組成物等を提供する。
【解決手段】式(I)


で表される構造単位を有する重合体、酸発生剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマシン、半導体パッケージ、プリント基板等の製造に有用なポジ型感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン、ガラス等の基板上に金属のパターンを形成する方法は、マイクロマシンの製造、半導体パッケージにおける金、銀、銅、ニッケル、ハンダ等の各種金属バンプの形成、メタルポスト等の接続部および配線パターンの形成、プリント基板における接続部および配線パターンの形成等に有用である。例えば、膜厚1μm以上の感放射線性樹脂のレジストを基板上に形成し、リソグラフィー技術により基板上にレジストパターンを形成し、基板にめっき処理を行った後、レジストパターンを基板から除去することにより基板上にめっきパターンを形成することができる。しかし、レジストパターンが形成された基板にめっき処理を行うとき、レジスト膜の内部応力またはめっきの成長に伴う応力等によりレジストパターンにクラックが発生するという問題がある。
【0003】
フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で重縮合して得られる樹脂にアルケニルエーテルを反応させて得られる重合体等を含有する、膜厚5〜150μmのレジストを形成する化学増幅ポジ型レジスト組成物が知られている(特許文献1)。しかし、特許文献1に具体的に開示されている化学増幅ポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成し、次いでめっき処理するとき、該レジストパターンにおけるクラックの発生を十分に抑制することは難しい。
【特許文献1】特開2006−178423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板上に塗布して形成されるレジストを露光し、露光後に加熱処理を行い、該加熱処理後に現像するとき良好なレジストパターンを形成することができ、かつ、該レジストパターンが形成された該基板にめっき処理を行うとき該レジストパターンにおけるクラックの発生を抑制することができるポジ型感放射線性樹脂組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の脂環式飽和炭化水素基、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、Rは置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の脂環式飽和炭化水素基、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは0〜3の整数を表し、nが2または3であるときRのそれぞれは同一または異なっていてもよい)で表される構造単位を有する重合体と、放射線の照射により酸を発生する化合物と、有機溶剤とを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
(2)式(I)で表される構造単位を有する重合体の重量平均分子量が1000〜100000である(1)記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストを露光する工程と、露光後に加熱処理を行う工程と、該加熱処理後に現像する工程とを含むレジストパターンの形成方法。
(4)ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストの膜厚が1〜150μmである(3)記載のレジストパターンの形成方法。
(5)(3)または(4)に記載の方法により形成されたレジストパターンを有する基板にめっき処理を行う工程と、めっき処理を行った該基板よりレジストを除去する工程とを含むめっきパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、基板上に塗布して形成されるレジストを露光し、露光後に加熱処理を行い、該加熱処理後に現像するとき良好なレジストパターンを形成することができ、かつ、該レジストパターンが形成された該基板にめっき処理を行うとき該レジストパターンにおけるクラックの発生を抑制することができるポジ型感放射線性樹脂組成物等が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、式(I)で表される構造単位を有する重合体を重合体(I)ということもある。
式中の各基の定義において、アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜18のアルキルがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられる。
【0010】
脂環式飽和炭化水素基における脂環式飽和炭化水素としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルカン、炭素数7〜12の橋かけ環式飽和炭化水素、炭素数7〜12のスピロ飽和炭化水素等があげられ、具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ノルボルナン、イソノルボルナン、スピロヘプタン、スピロオクタン等があげられる。
【0011】
アリールとしては、例えば、炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的には、フェニルやナフチル等があげられる。
アラルキルとしては、例えば、炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的には、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
アルキルの置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アルカノイル、メルカプト、オキソ、シアノ、ニトロ、ホルミル、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。アルコキシ、アルキルチオおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分は、それぞれ前記のアルキルと同義である。アリールオキシおよびアリールチオのアリール部分は、それぞれ前記のアリールと同義である。アルカノイルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数2〜7のアルカノイルがあげられ、具体的には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられる。
【0012】
脂環式飽和炭化水素基、アリールおよびアラルキルの置換基としては、例えば、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アルカノイル、メルカプト、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、アルキル、アルコキシ、アルキルチオおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分、アリールオキシおよびアリールチオのアリール部分、アルカノイルならびにハロゲン原子は、それぞれ前記と同義である。
【0013】
の炭素数は1〜4であるのが好ましい。
は水素原子であるのが好ましい。
nは0または1であるのが好ましく、nが1のときRは炭素数1〜6のアルキルであるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。ここで、炭素数1〜6のアルキルとしては前記にアルキルとしてあげた基のうち炭素数1〜6であるもの等が例示される。
【0014】
重合体(I)は、例えば、式(II)
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を有する重合体[以下、重合体(II)ということもある]と対応するアルケニルエーテル(以下、単にアルケニルエーテルということもある)またはそのハロゲン化水素付加化合物(以下、単にハロゲン化水素付加化合物ということもある)とを反応させることにより得ることができる。ここで、ハロゲンは前記と同義であり、以下も同様である。
【0017】
重合体(II)中のフェノール性ヒドロキシル基と、対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化水素付加化合物の当量比(モル比)は、1:0.03〜1:2であることが好ましい。
反応温度は、0〜150℃であるのが好ましく、さらには0〜100℃であるのが好ましく、さらには0〜50℃であるのがより好ましい。
【0018】
反応の際、酸触媒を使用してもよく、該酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等があげられ、中でもp−トルエンスルホン酸が好ましい。該酸触媒は、2種以上を組み合わせてもよい。該酸触媒の使用量は、特に限定されないが、式(II)の構造単位を有する重合体中のフェノール性ヒドロキシル基に対して、0.0001〜0.5当量(モル比)であるのが好ましく、0.001〜0.1当量(モル比)であるのがより好ましい。
【0019】
また、反応の際に、有機溶剤を使用してもよい。該有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤等があげられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合体(II)は、その多くは市販品として入手可能であるが、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のフェノール類と、例えば、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等)の存在下、重縮合して製造してもよい。前記のフェノール類およびアルデヒド類はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
アルケニルエーテルの具体例としては、例えば、1−メトキシ−2−エチルヘキセン、1−エトキシ−2−エチルヘキセン、1−プロポキシ−2−エチルヘキセン、1−イソプロポキシ−2−エチルヘキセン、1−ブトキシ−2−エチルヘキセン、1−イソブトキシ−2−エチルヘキセン、1−(tert−ブトキシ)−2−エチルヘキセン、1−ペンチルオキシ−2−エチルヘキセン、1−イソペンチルオキシ−2−エチルヘキセン、1−ネオペンチルオキシ−2−エチルヘキセン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−エチルヘキセン、1−ヘキシルオキシ−2−エチルヘキセン、1−イソヘキシルオキシ−2−エチルヘキセン、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−エチルヘキセン、1−ヘプチルオキシ−2−エチルヘキセン、1−オクチルオキシ−2−エチルヘキセン等があげられる。
【0021】
アルケニルエーテルは、公知の方法、例えば国際公開第2006/115265号パンフレットに記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。具体的には、例えば、2−エチルヘキサナールとアルコール類とをp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒存在下、0〜150℃で0.5〜5時間反応させることによりアセタール化合物を得る第1工程と、次いで、該アセタール化合物を有機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等)および有機塩基(例えば、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミン、ピリジン等の複素環化合物等)の存在下、0〜150℃で0.5〜5時間処理してアルケニルエーテルを得る第2工程とを行うことによりアルケニルエーテルを得ることができる。
【0022】
第1工程および第2工程における反応の際、有機溶剤を使用してもよい。該有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤等があげられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
アルコール類としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、tert−ペンチルアルコール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール等があげられる。
【0024】
アルコール類の使用量は、2−エチルヘキサナールに対して1〜10当量(モル比)であるのが好ましい。酸性触媒の使用量は、2−エチルヘキサナールに対して0.0001〜0.2当量(モル比)であるのが好ましい。第1工程において、反応後に該アセタール化合物を有機合成化学で通常用いられる方法(各種クロマトグラフィー法、蒸留法等)で精製してもよい。
【0025】
有機酸の使用量は、該アセタール化合物に対して0.0001〜0.2当量(モル比)であるのが好ましい。有機塩基の使用量は、該アセタール化合物に対して0.00005〜0.2当量(モル比)であるのが好ましい。第2工程において、反応後にアルケニルエーテルを有機合成化学で通常用いられる方法(各種クロマトグラフィー法、蒸留法等)で精製してもよい。
【0026】
ハロゲン化水素付加化合物としては、前記で例示されたアルケニルエーテルの2重結合の1位にハロゲンが付加し、2位に水素原子が付加したもの等があげられる。
ハロゲン化水素付加化合物は、公知の方法、例えば国際公開第2005/023880号パンフレットに記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。具体的には、例えば、アルケニルエーテルとガス状のハロゲン化水素とを0〜20℃で0.5〜5時間反応させることによりハロゲン化水素付加化合物を得ることができる。ここで、アルケニルエーテルは前記と同義である。ハロゲン化水素としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等があげられ、中でも塩化水素が好ましい。ハロゲン化水素の使用量は、アルケニルエーテルに対して0.8〜10当量(モル比)であるのが好ましい。反応の際に、有機溶剤を使用してもよい。該有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤等があげられる。得られたハロゲン化水素付加化合物は有機合成化学で通常用いられる方法(各種クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等)で精製してもよい。
【0027】
式(I)で表される構造単位を有する重合体の重量平均分子量は、1000〜100000であるのが好ましく、1000〜50000であるのがより好ましい。
放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤ということもある)としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノ型光酸発生剤、イミド型光酸発生剤、ベンゾインスルホネート型光酸発生剤、ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤、スルホン型光酸発生剤、グリオキシム誘導体型光酸発生剤等があげられ、中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノ型光酸発生剤またはイミド型光酸発生剤等が好ましい。放射線としては、例えば、電子線、極紫外線、遠紫外線、近紫外線(i線等)、可視光(g線、h線等)、遠赤外線等があげられる。放射線の照射により酸を発生する化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートの塩である。スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等があげられる。スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。
【0029】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートの塩である。ヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等があげられる。ここで、スルホネートとしては前記にスルホネートとしてあげた基が例示される。
【0030】
スルホニルジアゾメタンとしては、例えば、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、(4−メチルフェニル)スルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブチルカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、(2−ナフチルスルホニル)ベンゾイルジアゾメタン、(4−メチルフェニルスルホニル)−(2−ナフトイル)ジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブトキシカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン、スルホニルカルボニルジアゾメタン等があげられる。
【0031】
N−スルホニルオキシイミノ型光酸発生剤としては、例えば、[5−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン]−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(CGI−1397)、(5−カンファースルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(9−カンファースルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)ベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル等があげられる。
【0032】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、例えば、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とスルホネートの組み合わせからなる化合物等があげられる。ここで、スルホネートとしては前記にスルホネートとしてあげた基が例示される。
【0033】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等があげられる。
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ピロガロール、フルオログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等のヒドロキシの全てをスルホネートで置換した化合物等があげられる。ここで、スルホネートとしては前記にスルホネートとしてあげた基が例示される。
【0034】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネート等があげられる。ここで、スルホネートとしては前記にスルホネートとしてあげた基が例示される。またベンジル上のニトロ基をトリフルオロメチルで置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0035】
スルホン型光酸発生剤としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等があげられる。
【0036】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤としては、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等があげられる。
【0037】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物中における光酸発生剤の含有量は、重合体(I)100重量部に対して0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.3〜10重量部であるのがより好ましい。光酸発生剤は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、光増感剤、例えば、アントラセン類、アントラキノン類、クマリン類、ピロメテン類等の色素を含有していてもよい。
【0038】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に含有される有機溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルメチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン)、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルエチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン)等の直鎖または分枝状のエーテル類、ジオキサン等の環状エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、β−メトキシイソ酪酸メチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤等があげられる。これらの中では、重合体(I)の溶解性、安全性が優れているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物中における該有機溶剤の含有量は、20〜80重量%であるのが好ましい。
【0039】
さらに本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、酢酸フェニルセロソルブ等の高沸点溶剤を含有していてもよい。
【0040】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、塩基性化合物を含有していてもよい。該ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジスト中に存在する塩基性化合物は、露光により発生した酸が未露光部へ拡散することを抑制する。よって、該組成物に塩基性化合物を添加することにより、露光後に加熱処理を行い該加熱処理後に現像して形成されるレジストパターンの解像度を向上させることができる。本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における塩基性化合物の含有量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましく、0.01〜2重量部であるのがより好ましい。
【0041】
塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、第一級、第二級または第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等があげられる。塩基性化合物は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
第一級の脂肪族アミン類としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等があげられる。
【0043】
第二級の脂肪族アミン類としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン等があげられる。
【0044】
第三級の脂肪族アミン類としては、例えば、トリス(2−メトキシエチル)アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等があげられる。
【0045】
混成アミン類としては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等があげられる。
芳香族アミン類および複素環アミン類としては、例えば、アニリン誘導体[例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン等]、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体[例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、2−ヒドロキシピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等]、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等があげられる。
【0046】
カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸またはアミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等があげられる。
【0047】
スルホニル基を有する含窒素化合物としては、例えば、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等があげられる。
ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物およびアルコール性含窒素化合物としては、例えば、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−キヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等があげられる。
【0048】
アミド誘導体としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等があげられる。
イミド誘導体としては、例えば、フタルイミド、スクシンイミド、マレイミド等があげられる。
【0049】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、塗布性を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(いずれもジェムコ社製)、メガファックF171、F172、F173(いずれもDIC社製)、フロラードFC430、FC431、ノベックFC−4430(いずれも住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004,KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(いずれも旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(いずれも信越化学工業社製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(いずれも共栄社化学社製)等があげられる。これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部であるのがより好ましい。
【0050】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、解像度をより向上させるために、溶解阻止剤を含有していてもよい。
溶解阻止剤としては、分子内にフェノール性ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の該フェノール性ヒドロキシル基の水素原子がtert−ブチル、tert−ブトキシカルボニル、ブトキシカルボニルメチル、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、エトキシエチル、エトキシプロピル等の酸不安定基により全体として平均10〜100モル%の割合で置換された化合物が好ましい。前記の化合物の重量平均分子量は、100〜1,000であるのが好ましく、150〜800であるのがより好ましい。本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における溶解阻止剤の含有量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜50重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましい。これらの溶解阻止剤は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
溶解阻止剤としては、例えば、ビス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、トリス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、トリス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]エタン等があげられる。
【0052】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、ハレーションの防止等を目的として、紫外線吸収剤、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン、1,7−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、5−ヒドロキシ−4−(4−メトキシフェニルアゾ)−3−メチル−1−フェニルピラゾール等を含有していてもよい。これらの紫外線吸収剤は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における紫外線吸収剤の含有量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.01〜1重量部であるのがより好ましい。
【0053】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に他の樹脂、改質材または可塑剤を含有させることにより、該ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストの可撓性を向上させることができる。
他の樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する単量体の単独重合体または共重合体、多酸塩基と多塩基酸の縮合反応によって得られるポリエステル樹脂、フェノールまたはクレゾールとアルデヒドとの縮合反応によって得られるフェノール樹脂、ポリオールとイソシアナートから得られるポリウレタン樹脂、環状または非環状アルキル基をもつエポキシ樹脂およびその誘導体等があげられる。これらの樹脂は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの樹脂の重量平均分子量は、1,000〜1,000,000であるのが好ましく、3,000〜600,000であるのがより好ましい。
【0054】
改質材としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブタジエンポリオール、α−ヒドロキシエチル−ω−ヒドロキシメチルポリ(1−エトキシエチレン)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエン系ジカルボン酸等が挙げられる。これらのオリゴマーは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの樹脂の重量平均分子量は、300〜30,000であるのが好ましく、500〜10,000であるのがより好ましい。
【0055】
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート等のフタル酸系可塑剤 、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸系可塑剤、コハク酸、2,4−ジエチルグルタル酸等の多塩基酸エステル等が挙げられる。これらの可塑剤は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0056】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における他の樹脂や改質材または可塑剤の含有量は重合体(I)100重量部に対してそれぞれ0.1〜50重量部であるのが好ましく、それぞれ0.5〜30重量部であるのがより好ましい。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、保存安定剤、消泡剤等を含有していてもよい。
【0057】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物をレジストパターンの形成等に使用する場合、該組成物をそのまま用いてもよく、該組成物をフィルム状にしたもの、該組成物をペースト状にしたもの等を用いてもよい。
本発明のレジストパターンの形成方法は、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストを露光する工程と、露光後に加熱処理を行う工程と、該加熱処理後に現像する工程とを含む。
【0058】
基板は、めっき処理ができる材料からなる基板、めっき処理ができる材料からなるシード膜と、基材との積層体である基板等が好ましい。めっき処理ができる材料としては、例えば、ニッケル、スズ、亜鉛、金、銀、銅等があげられる。これらの中でも、ニッケルおよび銅が好ましい。
基材としては、例えば、ガラス、シリコン、酸化膜塗布ガラス[ITO(インジウムチタニウムオキサイド)塗布ガラス等]、金属類(アルミニウム、金、銀、銅、鉄、真ニッケル、スズ、亜鉛、鍮板、ブリキ板等)、プラスチック(ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル=ブタジエン=スチレン共重合体樹脂、ポリイミド、塩化ビニル、ポリスチレン等)、磁器、陶器、セラミック等があげられる。
【0059】
めっき処理ができる材料からなるシード膜と、基材との積層体である基板は、例えば、板状の基材の一方の表面上にスパッタリング等によりシード膜を形成する方法等により得ることができる。
ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布してレジストを形成する方法としては、例えば、スピンコーター、スリットコーター等を用いて該組成物を基板上に塗布した後60〜140℃で加熱乾燥(プリベーク)する方法等があげられる。該レジストの膜厚は1〜150μmであるのが好ましい。
【0060】
次いで、所望のパターンを有するマスクを介して基板上に形成されたレジストを露光する。露光に使用する光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、EUV(Extreme−ultra Violet)エキシマレーザー、DUV(Deep−ultra Violet)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等があげられる。
【0061】
露光後に、例えば、基板を60〜140℃で加熱処理(ポストエクスポージャ−ベーク)した後、アルカリ現像液で現像する方法等により現像し、基板上にレジストパターンが形成される。ここで、マスクを通じて露光された箇所では基板が露出した状態であり、マスクにより遮光された箇所ではレジストが残存している。
アルカリ現像液で現像する方法としては、例えば、基板上にアルカリ現像液をカーテンフロー方式等により塗布する方法、基板をアルカリ水溶液に浸漬する方法等があげられる。現像した後、基板を水等で洗浄してもよい。
【0062】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン、ピロール、ピペリジン等を水に溶解して得られるアルカリ水溶液等が使用される。また該現像液は、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。
【0063】
本発明のめっきパターンの形成方法は、前記の方法により形成されたレジストパターンを有する基板にめっき処理を行う工程と、めっき処理を行った該基板よりレジストを除去する工程とを含む。
レジストパターンを有する基板にめっき処理を行うことにより、基板が露出している箇所に金属膜を形成させる。該金属膜の膜厚はレジストパターンの膜厚の3分の2以下であるのが好ましい。
【0064】
金属膜の金属としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、金、銀、白金族金属等があげられ、これらの中でも、銅、ニッケルおよび金が好ましく、銅およびニッケルがより好ましい。
めっき処理を行う前に、トリクロロエチレン等の有機溶剤、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液、硫酸、塩酸、フッ酸等の酸等を用いて基板を洗浄してもよい。
【0065】
めっき処理としては、例えば、電気めっき、置換めっき、無電解めっき等があげられる。電気めっきは、めっき浴中に含まれる金属イオンを電気で還元して金属膜を形成させる方法である。置換めっきは、めっき浴中に含まれる金属イオンよりイオン化傾向の大きい金属をめっき浴に挿入し、イオン化傾向の差によりめっき浴中に含まれる金属イオンを還元して金属膜を形成させる方法である。無電解めっきは、めっき浴中の金属イオンを還元剤によって還元して金属膜を形成させる方法である。これらの中でも、10μm以上の金属膜が形成できる等の理由より、電気めっきが好ましい。
【0066】
電気めっきでニッケルの金属膜を形成させる場合に使用するめっき浴としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケルおよびホウ素を主成分とするニッケルめっき浴(ワット浴)、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケルおよびホウ素を主成分とするスルファミン酸塩浴等があげられる。前記のいずれのめっき浴においても、pH2.5〜5.0で行うことが好ましい。ワット浴の場合は40〜65℃で行うことが好ましく、スルファミン酸塩浴の場合は25〜65℃で行うことが好ましい。ワット浴の場合では2〜4A/dmの電流密度で行うことが好ましく、スルファミン酸塩浴の場合では2〜90A/dmの電流密度で行うことが好ましい。
【0067】
電気めっきで銅の金属膜を形成させる場合に使用するめっき浴としては、例えば、硫酸銅および硫酸を主成分とする硫酸銅めっき浴、シアン化第一銅およびシアン化ソーダを主成分とするシアン化銅めっき浴、ピロリン酸銅およびピロリン酸カリを主成分とするピロリン酸銅めっき浴等があげられる。硫酸銅めっき浴は15〜35℃で行うことが好ましく、シアン化銅めっき浴またはピロリン酸銅めっき浴は40〜65℃で行うことが好ましい。シアン化銅めっき浴はpH11〜13で行うことが好ましく、ピロリン酸銅めっき浴はpH8.0〜9.0で行うことが好ましい。硫酸銅めっき浴は1〜6A/dmの電流密度で行うことが好ましく、シアン化銅めっき浴は1〜4A/dmの電流密度で行うことが好ましく、ピロリン酸銅めっき浴は1〜3A/dmの電流密度で行うことが好ましい。
【0068】
基板にめっき処理を行った後、該基板よりレジストを除去することにより、めっきパターンを得ることができる。
基板よりレジストを除去する方法としては、化学的または物理的手法が使用でき、具体的には、酸素プラズマ等の反応性イオンによりレジストをエッチングする方法、有機溶剤(例えば、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、アセトン等)によりレジストを溶解または剥離する方法等が挙げられる。
【0069】
本発明のめっきパターンの形成方法は、マイクロマシンの製造、半導体パッケージにおける金、銀、銅、ニッケル、ハンダ等の各種金属バンプの形成、メタルポスト等の接続部および配線パターンの形成、プリント基板における接続部および配線パターンの形成等に有用である。
以下、参考例、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【0070】
樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
(GPC条件)
カラム: TSKgel G4000H、TSKgel G2000HおよびTSKgel GMH[いずれも東ソー(株)製]を直列につないだ。
【0071】
カラム保持温度: 40℃
移動相: テトラヒドロフラン(流速1.0ml/分)
検出器: RI
標準物質: ポリスチレン
(参考例1)クレゾールノボラック樹脂(P−1a)の製造
攪拌機、温度計、冷却管および分水器を備えた2Lの四つ口フラスコに、m−クレゾール605g、p−クレゾール259g、37%ホルマリン水溶液186gおよびシュウ酸0.8gを仕込み、4時間還流させた。180℃、常圧下で2時間攪拌し、さらに200℃、9.3×10Paの減圧下で1時間攪拌することにより水および未反応モノマーを留去して重量平均分子量(ポリスチレン換算)4550のクレゾールノボラック樹脂(P−1a)330gを得た。
【0072】
(参考例2)樹脂(P−2)の製造
メタノール72.4gおよびp−トルエンスルホン酸1水和物3mgの混合物に2−エチルヘキサナール145.2gを滴下し、室温で2時間反応させた後、反応液を4.0×10Paの減圧下で蒸留して2−エチルヘキサナールジメチルアセタール112.0gを得た。
【0073】
2-エチルヘキサナールジメチルアセタール112.0g、p−トルエンスルホン酸1水和物7.3gおよびトリエチルアミン3.5gを90℃で2時間反応させた後、反応液を4.0×10Paの減圧下で蒸留して1−メトキシ−2−エチルヘキセン30.2gを得た。
樹脂(P−1a)50.0gをメチルイソブチルケトン200mlに溶解し、塩化水素ガスをバブリングしながら、1−メトキシ−2−エチルヘキセン13.8gを室温で滴下し、さらに室温で2時間反応させた。反応液に窒素ガスを20分間バブリングした後、トリエチルアミン11.7gを添加して中和し、水洗後、溶剤を留去した。残渣をジエチルエーテル2L中に滴下し、沈殿した固体を濾取し、乾燥して樹脂(P−2)50.2gを得た。
【0074】
(参考例3)樹脂(P−3)の製造
イソブタノール150.7gおよびp−トルエンスルホン酸1水和物3mgの混合物に2−エチルヘキサナール145.2gを滴下し、室温で2時間反応させた後、反応液を4.0×10Paの減圧下で蒸留して2−エチルヘキサナールジイソブチルアセタール131.0gを得た。
【0075】
2−エチルヘキサナールジイソブチルアセタール131.0g、p−トルエンスルホン酸1水和物5.8gおよびトリエチルアミン2.8gを110℃で2時間反応させた後、反応液を4.0×10Paの減圧下で蒸留して1−イソブトキシ−2−エチルヘキセン29.5gを得た。
樹脂(P−1a)50.0gをイソブチルメチルケトン200mlに溶解し、塩化水素ガスをバブリングしながら、1−イソブトキシ−2−エチルヘキセン15.1gを室温で滴下し、さらに室温で2時間反応させた。反応液に窒素ガスを20分間バブリングした後、トリエチルアミン12.4gを添加して中和し、水洗後、溶剤を留去した。残渣をジエチルエーテル2L中に滴下し、沈殿した固体を濾取し、乾燥して樹脂(P−3)49.1gを得た。
【0076】
(参考例4)樹脂(P−4)の製造
1−プロポキシ−2−メチルプロペンを国際公開第2006/115265号パンフレットに記載の方法に準じて製造して得た。
重量平均分子量(ポリスチレン換算)4500のクレゾールノボラック樹脂(P−1b)を参考例1に記載の方法に準じて製造して得た。
【0077】
樹脂(P−1b)50.0gをイソブチルメチルケトン200mlに溶解し、塩化水素ガスをバブリングしながら、1−プロポキシ−2−メチルプロペン11.4gを室温で滴下し、さらに室温で2時間反応させた。反応液に窒素ガスを20分間バブリングした後、トリエチルアミン12.1gを添加して中和し、水洗後、溶剤を留去した。残渣をジエチルエーテル2L中に滴下し、沈殿した固体を濾取し、乾燥して樹脂(P−4)41.0gを得た。
【0078】
(ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製)
光酸発生剤として、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル(みどり化学社製PAI−101)を用いた。
有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(協和発酵ケミカル社製)を用いた。
【0079】
界面活性剤としてノベックFC−4430(住友スリーエム社製;フッ素系ポリマー85〜95重量%,ポリエーテル樹脂5〜10重量%,1−メチル−2−ピロリジノン1〜2重量%,トルエン1重量%未満)を用いた。
塩基性化合物として、トリス(2−メトキシエチル)アミンを用いた。
【実施例1】
【0080】
樹脂(P−2)、光酸発生剤、有機溶剤、界面活性剤および塩基性化合物を表1に記載の割合で混合し、粘稠液用濾紙で濾過して組成物1を調製した。
【実施例2】
【0081】
樹脂(P−3)、光酸発生剤、有機溶剤、界面活性剤および塩基性化合物を表1に記載の割合で混合し、粘稠液用濾紙で濾過して組成物2を調製した。
(比較例1)樹脂(P−4)、光酸発生剤、有機溶剤界面活性剤および塩基性化合物を表1に記載の割合で混合し、粘稠液用濾紙で濾過して組成物3を調製した。
(感度の測定)
レジストの膜厚は、表面粗さ測定機(小坂研究所社製)で測定した。
【0082】
ニッケルのシード膜を有する2インチのシリコンウェハーに、組成物1〜3のそれぞれをスピンコーターで塗布し、ホットプレート(110℃)でプリベークを5分間行い、試料とした。試料としては、レジストの膜厚が50μmであるものおよび100μmであるものを作製した。
露光装置としてズース・マイクロテック社製マスクアライナMA−4を用い、それぞれの試料に露光量を変えてi線(365nm光)を照射した。露光後、ホットプレート(95℃)でポストエクスポージャ−ベークを5分間行った後、2.38%のTMAH水溶液で現像(25℃、10分間)し、純水で洗浄して、乾燥した。現像後の露光部位の膜厚が0になったときの露光量を感度とした。
【0083】
組成物1〜3の感度を表2(レジストの膜厚が50μmの場合)および表3(レジストの膜厚が100μmの場合)に示す。
(めっきパターンの形成)
【実施例3】
【0084】
組成物1および2を用いて試料を作製し、L/S(ラインアンドスペース)が20μmであるマスクを介して用いた試料の感度と同じ露光量で露光する以外は前記の感度の測定で行った方法と同様な方法で、試料の露光、ポストエクスポージャ−ベーク、現像、洗浄および乾燥を順次行い、レジストライン(レジストパターンの凸部)とスペース部分(レジストパターンの凹部)とが基板上に形成されたレジストパターンを得た。
【0085】
めっき浴としてスルファミン酸塩浴を用い、該基板を40℃の該めっき浴に浸漬し、電流密度5A/dmで5時間電気めっきを行って、レジストパターンのスペース部分の基板上に膜厚30μmのニッケル膜を形成させた。アセトンに室温で浸漬してレジストラインを溶解または剥離し、基板上にめっきパターンを得た。
(比較例2)組成物1または2の代わりに組成物3を用いる以外は実施例3と同様に試料の作製、露光、ポストエクスポージャ−ベーク、現像、洗浄、乾燥、めっき処理およびレジストラインの除去を順次行った。
【0086】
(レジストパターンの評価)
実施例3および比較例2で得たレジストパターンの前面および断面を、光学顕微鏡およびSEM(走査電子顕微鏡)を用いて観察した。表1および表2中、「○」はレジストラインの断面形状が矩形であり、スペース部分における基板上に残膜が見られなかったことを表し、「×」はそれ以外の場合(例えば、レジストラインが基板よりはがれていた場合、スペース部分において基板上に残膜が見られた場合、膨潤や膜減りによりレジストラインの形状がくずれていた場合等)であることを表す。
【0087】
組成物1〜3のレジストパターンの評価を表2(レジストの膜厚が50μmの場合)および表3(レジストの膜厚が100μmの場合)に示す。
(めっき処理中のクラックの発生)
実施例3および比較例2におけるめっき処理前後においてレジストパターンを光学顕微鏡で観察した。表1および表2中、「○」はめっき処理後にレジストラインにクラックが生じていないことを表し、「×」はめっき処理後にレジストラインにクラックが生じたことを表す。
【0088】
組成物1〜3のクラックの発生の評価を表2(レジストの膜厚が50μmの場合)および表3(レジストの膜厚が100μmの場合)に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明により、基板上に塗布して形成されるレジストを露光し、露光後に加熱処理を行い、該加熱処理後に現像するとき良好なレジストパターンを形成することができ、かつ、該レジストパターンが形成された該基板にめっき処理を行うとき該レジストパターンにおけるクラックの発生を抑制することができるポジ型感放射線性樹脂組成物等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の脂環式飽和炭化水素基、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、Rは置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の脂環式飽和炭化水素基、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは0〜3の整数を表し、nが2または3であるときRのそれぞれは同一または異なっていてもよい)で表される構造単位を有する重合体と、放射線の照射により酸を発生する化合物と、有機溶剤とを含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
式(I)で表される構造単位を有する重合体の重量平均分子量が1000〜100000である請求項1記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストを露光する工程と、露光後に加熱処理を行う工程と、該加熱処理後に現像する工程とを含むレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
ポジ型感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成されるレジストの膜厚が1〜150μmである請求項3記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法により形成されたレジストパターンを有する基板にめっき処理を行う工程と、めっき処理を行った該基板よりレジストを除去する工程とを含むめっきパターンの形成方法。


【公開番号】特開2010−91691(P2010−91691A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260227(P2008−260227)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】