説明

ポンプ

【課題】モーターが発熱したときに、その発熱を低減することができるポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】モーター4の通電電流値を検出する電流検知手段9と、モーター4の通電をONまたはOFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路2を備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIcとし熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたときにIh≦Icとなるように前記駆動回路2を用いてモーター4の通電をONまたはOFFするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンや給湯機などの家電機器に使用され、能力可変を特徴とするDCブラシレスモーター等を駆動源とするポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、ポンプ用モーターとしてACモーターが利用されていたが、省エネルギー化、小型化、ポンプ性能可変対応等を目的としてDCブラシレスモーターが広く採用されるようになってきた。以下DCブラシレスモーターを用いたポンプについて説明する。
【0003】
図7において1はモーター駆動用電源、2は駆動回路であって、具体的にはFETやトランジスタなどであり、3は駆動回路2のON、OFFを指示する制御回路、4はポンプの動力源としてのモーターであり、具体的にはDCブラシレスモーターである。6はポンプ部で、モーター4に連動した羽根車が内部に設置されている。7は吸込み管でポンプ部6に水を導入する管であり、8は吐出し管で、ポンプ部から水を排出する管である。5は制御回路3にモーターの駆動のきっかけを知らせるセンサーであり、たとえばポンプの吐出し管8に設けられた圧力センサーなどである。
【0004】
このような従来のポンプの動作について説明する。
【0005】
図7において、圧力センサー5の圧力が低下すると、ポンプの吐出し管8が開放されたとして制御回路3は駆動回路2をONし、モーター4を駆動させる。モーター4が駆動することでポンプ部6が吸込み管7から水を吸込み、吐出し管8より水を吐出す。吐出し管8から水が吐出されることで吐出し管8内の圧力が上昇する。吐出し管8内の圧力が所定値で一定になるように、圧力センサー5の信号を管理することで、吐出し管8から排出される水の流量を所定の流量に制御できる。
【特許文献1】特開2001−342989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のポンプでは駆動回路やモーター部での発熱が大きいため、大きな放熱板やファンなどの放熱機構を設ける必要があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、発熱を低減し、且つ十分なポンプ出力性能を持つポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するためにモーターの通電電流値を検出する電流検知手段と、モーターの通電をON・OFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路を備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIc、熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたとき、Ih≦Icとなるように、前記駆動回路によりモーターの通電をON・OFFすることを特徴としたポンプとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、モーターの電流制限を行うことで、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態は、モーターの通電電流値を検出する電流検知手段と、モーターの通電をONまたはOFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路を備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIcとし熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたときにIh≦Icとなるように前記駆動回路を用いてモーターの通電をONまたはOFFするようにしたものである。
【0011】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0012】
また、前記モーターに通電される所定の電流値をIpとしたときに、電流値がIpに達したときに前記駆動回路によりモーターの通電をOFFし、所定の電流値Ipより小さくなったときにモーターの通電をONするようにしてもよい。
【0013】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0014】
また、前記所定の個所とはモーターであり、モーターが熱時のときのモーター電流値をIpmhとしたときに、Ip≦Ipmhとなるように前記所定の電流値Ipを設定してもよい。
【0015】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0016】
また、前記モーターに内蔵されたローターマグネットの着磁が乱れ始めるモーター電流値をIpmとしたときに、Ip≦Ipmとなるように前記所定の電流値Ipを設定してもよい。
【0017】
これにより、ローターマグネットの着磁の乱れを防ぐことができる。
【0018】
また、所定の個所の発熱を検出する温度検知手段を有し、所定の個所が冷時のモーターの所定の電流値Ip=Ipcとし所定の個所が熱時のモーターの所定の電流値Ip=Iphとしたときに、Iph≦Ipcとしてもよい。
【0019】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0020】
また、所定の個所の発熱を検出する温度検知手段を有し、前記温度検知手段により検出された温度と前記電流検知手段により検出された電流値により前記駆動回路のスイッチングを判断する制御回路を備え、前記制御回路により前記駆動回路のスイッチングのデューティ比を増減してもよい。
【0021】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0022】
また、モーターの通電電流値を検出する電流検知手段と、モーターの通電をON・OFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路と、所定の個所の発熱を検出する温度検知手段と、モーター駆動用電源としてのスイッチング電源を有し、前記温度検知手段により検出された温度と前記電流検知手段により検出された電流値により前記スイッチング電源の出力電圧を制御する制御回路とを備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIcとし、熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたときに、Ih≦Icとなるように前記制御回路により前記スイッチング電源の出力電圧を増減してもよい。
【0023】
これにより、モーターや駆動回路の発熱を低減し、且つモーター冷時や短時間でのポンプ性能を大きく引き出すことができる。
【0024】
そして、所定の個所がモーターまたはモーターの駆動回路とすることで、モーターまたは駆動回路の発熱を低減するとともに、モーターまたは駆動回路が冷時のときや短時間においてポンプの性能を大きく向上させることができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図1から図6を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0026】
(実施例1)
本発明の実施例1について説明する。図1は本発明の実施例1におけるポンプの制御回路を示すブロック図、図2は本発明の実施例1における所定のモーターの電流値Ipと熱時のモーター電流波形、および冷時のモーター電流波形との関係に対する、駆動回路のスイッチングタイミング波形を表す特性図である。
【0027】
図1において、4はポンプ駆動動力としてのモーターであり具体的にはDCブラシレスモーターである。1はモーター駆動用電源であり、通常は交流を整流ダイオードにて直流に変換したものである。2はモーター駆動用電源1の電圧をスイッチングによりON、OFFし、モーター4に通電する駆動回路であり、トランジスタやFETなどを用いる。9は電流検知手段であり、シャント抵抗やカレントトランスにより電流値を電圧に変換したものなどを利用する。3は電流検知手段9により検出されたモーター電流値をもとに、駆動回路2のスイッチングのタイミングを判断、命令する制御回路である。
【0028】
このような回路構成を持つポンプの制御について、以下図1、図2を用いて説明する。
【0029】
モーター4の巻き線、ステーターとローターマグネット間のエアギャップ、およびローターマグネットにおける磁路のインダクダンスをL、モーター駆動電源1の電圧をV、モーター巻き線の通電時間をtとすると、モーター電流値はI=V/L×tとなり、モーター4が冷時である場合、モーター4の電流値は冷時のモーター電流波形11となるが、モーターが熱時である場合、ローターマグネットの磁力が低下し、磁路のインダクタンスが小さくなるため、モーター電流値は熱時のモーター電流波形10となる。よって、駆動回路のスイッチングタイミング波形15に示すように、同じ時間駆動回路をONすると、熱時のほうが電流の傾きが大きいために、電流のピーク値も高くなる。つまりモーター4が発熱し、ローターマグネットの温度が高くなるにつれてモーター電流値Iもそのピーク値が高くなってしまう。
【0030】
ここで、モーター電流値Iのピーク値の上限を所定の電流値Ipとし、モーター電流値Iの値が所定の電流値Ipを超える場合には駆動回路2をOFFするようにすると、モーター4が熱時では電流Iの傾きが大きいため、駆動回路2は早めにOFFすることになり、結果モーター4の実効電流値も小さくなる。
【0031】
つまり熱時のモーター電流実効値をIh、冷時のモーター電流実効値をIcとすると、Ih≦Icとなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0032】
また、ポンプの初期性能を考えた場合、モーター4が冷時であればしばらくモーター電流を大きめに流してもモーター4の温度はすぐには上昇せず、且つポンプの初期性能も向上する。よってモーター4が熱時且つ無制御時のモーター電流ピーク値をIpmh13とした時、
Ip≦Ipmh
とすることで、モーター4が熱時となるまではモーター電流に制限がかからないためポンプ性能を最大限引き出し、且つモーター4が熱時にはモーター電流実効値を下げ、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0033】
また、ローターマグネットに外部から与えられた磁場が、ローターマグネットの減磁曲線上においてクニックポイントを超える大きな磁場であった場合、ローターマグネットの着磁が乱れ、モーター4の振動や、発熱につながる。モーター巻き線の巻き数をN、モーター電流値をIとした場合、ローターマグネットに外部から与えられる磁場Hは、H∝NIとなる。
【0034】
ローターマグネットの着磁が乱れ始めるときのモーター電流ピーク値をIpm12としたとき、
Ip≦Ipm
とすることで、モーター4が熱時になると乱れやすくなっていたローターマグネットの着磁の乱れを防ぐことができる。
【0035】
具体的には電流検知手段9をたとえばシャント抵抗とし、モーター4の電流値を電圧に変換し、制御回路3により、シャント抵抗の両端電圧が所定の値を超えると駆動回路2にOFF命令を出す。
【0036】
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。図5は本発明の実施例2および実施例3におけるポンプの制御回路を示すブロック図であり、図3は本発明の実施例2における熱時の所定のモーターの電流値Iphと熱時のモーター電流波形との関係、及び冷時の所定のモーターの電流値Ipcと冷時のモーター電流波形との関係に対する、駆動回路のスイッチングタイミング波形を表す特性図である。
【0037】
図5において18はモーターに取り付けられた温度検知手段であり、電流検知手段9により検出されたモーター電流値と温度検知手段18により検出されたモーター温度をもとに、制御回路3が駆動回路2のスイッチングのタイミングを判断、命令する。
【0038】
このような回路構成を持つポンプの制御について、以下図3、図5を用いて説明する。
【0039】
モーター4の巻き線、ステーターとローターマグネット間のエアギャップ、およびローターマグネットにおける磁路のインダクダンスをL、モーター駆動電源1の電圧をV、モーター巻き線の通電時間をtとすると、モーター電流I=V/L×tとなり、モーター4が冷時である場合、モーター4の電流値は冷時のモーター電流波形11となるが、モーターが熱時である場合、ローターマグネットの磁力が低下し、磁路のインダクタンスが小さくなるため、モーター電流値は熱時のモーター電流波形10となる。よって、駆動回路のスイッチングタイミング波形15に示すように、同じ時間駆動回路をONすると、熱時のほうが電流の傾きが大きいために、電流のピーク値も高くなる。つまりモーター4が発熱し、ローターマグネットの温度が高くなるにつれてモーター電流値Iもそのピーク値が高くなってしまう。
【0040】
ここで、温度検知手段18により検知されたモーター4の温度が冷時であった場合、モーター電流値Iのピーク値の上限を冷時の所定の電流値Ipc17とし、モーター電流値Iの値が冷時の所定の電流値Ipc17を超える場合には駆動回路2をOFFし、また温度検知手段18により検知されたモーター4の温度が熱時であった場合、モーター電流値Iのピーク値の上限を熱時の所定の電流値Iph16とし、モーター電流値Iの値が熱時の所定の電流値Iph16を超える場合には駆動回路2をOFFする。
【0041】
この時、
Iph≦Ipc
となるよう制御すると、モーター4が冷時のときに比べてモーター4が熱時のほうがモーター電流のピーク値が抑えられ、結果モーター電流実効値もモーター4の発熱時に小さく抑えられ、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0042】
つまり熱時のモーター電流実効値をIh、冷時のモーター電流実効値をIcとすると、Ih≦Icとなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0043】
また、ポンプの初期性能を考えた場合、モーター4が冷時であればしばらくモーター電流を大きめに流してもモーター4の温度はすぐには上昇せず、且つポンプの初期性能も向上する。よってモーター4が熱時且つ無制御時のモーター電流ピーク値をIpmh13とした時、
Iph≦Ipc≦Ipmh
とすることで、モーター4が冷時にはモーター電流に制限がかからないためポンプ性能を最大限引き出し、且つモーター4が熱時にはモーター電流に制限がかかることでモーター電流実効値を下げ、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0044】
また、ローターマグネットに外部から与えられた磁場が、ローターマグネットの減磁曲線上においてクニックポイントを超える大きな磁場であった場合、ローターマグネットの着磁が乱れ、モーター4の振動や、発熱につながる。モーター巻き線の巻き数をN、モーター電流値をIとした場合、ローターマグネットに外部から与えられる磁場Hは、H∝NIとなる。
【0045】
ローターマグネットの着磁が乱れ始めるときのモーター電流ピーク値をIpm12としたとき、
Iph≦Ipc≦Ipm
とすることで、モーター4が熱時になると乱れやすくなっていたローターマグネットの着磁の乱れを防ぐことができる。
【0046】
具体的には電流検知手段9をたとえばシャント抵抗とし、モーター4の電流値を電圧に変換し、制御回路3により、シャント抵抗の両端電圧が所定の値を超えると駆動回路2にOFF命令を出す。
【0047】
また温度検知手段18をモーター4だけでなく駆動回路2につけることで、駆動回路2の温度上昇を抑えることもできる。
【0048】
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。図4は本発明の実施例3における熱時のモーター電流波形と、熱時のスイッチングDuty波形との関係、及び冷時のモーター電流波形と冷時のスイッチにおけるポンプの制御回路を示す特性図である。
【0049】
図5において18はモーターに取り付けられた温度検知手段であり、電流検知手段9により検出されたモーター電流値と温度検知手段18により検出されたモーター温度をもとに、制御回路3が駆動回路2のスイッチングのタイミングを判断、命令する。
【0050】
このような回路構成を持つポンプの制御について、以下、図4、図5を用いて説明する。
【0051】
モーターの巻き線、ステーターとローターマグネット間のエアギャップ、およびローターマグネットにおける磁路のインダクダンスをL、モーター駆動電源1の電圧をV、モーター巻き線の通電時間をtとすると、モーター電流I=V/L×tとなり、モーター4が冷時である場合、モーターの電流値は冷時のモーター電流波形11となるが、モーターが熱時である場合、ローターマグネットの磁力が低下し、磁路のインダクタンスが小さくなるため、モーター電流値は熱時のモーター電流波形10となる。よって、熱時において冷時のスイッチングDuty波形20と同じ時間駆動回路をONすると、熱時のほうが電流の傾きが大きいために、電流のピーク値も高くなる。つまりモーター4が発熱し、ローターマグネットの温度が高くなるにつれてモーター電流値Iもそのピーク値が高くなってしまう。
【0052】
ここで、温度検知手段18により検知されたモーター4の温度が冷時であった場合の駆動回路2のスイッチングタイミングを冷時のスイッチングDuty波形20とし、また温度検知手段18により検知されたモーター4の温度が熱時であった場合の駆動回路2のスイッチングタイミングを熱時のスイッチングDuty波形19とする。
【0053】
この時、熱時のスイッチングDuty波形19のDuty比≦冷時のスイッチングDuty波形20のDuty比となるよう制御すると、モーター4が冷時のときに比べてモーター4が熱時のほうがモーター電流実効値が小さくなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0054】
つまり熱時のモーター電流実効値をIh、冷時のモーター電流実効値をIcとすると、Ih≦Icとなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0055】
また、駆動回路2のスイッチングDuty比を温度検知手段18により検出されるモーター4の温度と連動させて変化させる、つまりモーター4の温度が低いときには駆動回路2のスイッチングDuty比を大きくし、モーター4の温度が徐々に高くなってくると駆動回路2のスイッチングDuty比を徐々に小さくしていくように制御していくことでモーター4の温度上昇を抑えることができる。その逆にモーター4の温度が徐々に下がってくると駆動回路2のスイッチングDuty比を徐々に大きくしていくように制御することでポンプの性能を確保することができる。
【0056】
具体的には電流検知手段9をたとえばシャント抵抗とし、モーター4の電流値を電圧に変換したものをコンデンサ等で平滑し、そのコンデンサ両端電圧をもってモーター4の実効電流値とする。温度検知手段18によりモーター4の温度をモニターしながらモーター4の実効電流値が増減するように、駆動回路2のスイッチングのDuty比を増減させる。
【0057】
また温度検知手段18をモーター4だけでなく駆動回路2につけることで、駆動回路2の温度上昇を抑えることもできる。
【0058】
(実施例4)
本発明の実施例4について説明する。図6は本発明の実施例4におけるポンプの制御回路を示すブロック図である。
【0059】
図6において21はモーター駆動用電源としてのスイッチング電源であり、18はモーターに取り付けられた温度検知手段であり、電流検知手段9により検出されたモーター電流値と温度検知手段18により検出されたモーター温度をもとに、制御回路3が駆動回路2のスイッチングのタイミングを判断、命令し、且つスイッチング電源の出力電圧を増減させる。
【0060】
このような回路構成を持つポンプの制御について、以下、図6を用いて説明する。
【0061】
モーターの巻き線、ステーターとローターマグネット間のエアギャップ、およびローターマグネットにおける磁路のインダクダンスをL、スイッチング電源1の電圧をV、モーター巻き線の通電時間をtとすると、モーター電流I=V/L×tとなる。よってスイッチング電源21の出力電圧値を増減させることでモーター電流値をコントロールすることができる。
【0062】
この時、熱時のスイッチング電源21の出力電圧値≦冷時のスイッチング電源21の出力電圧値となるよう制御すると、モーター4が冷時のときに比べてモーター4が熱時のほうがモーター電流実効値が小さくなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0063】
つまり熱時のモーター電流実効値をIh、冷時のモーター電流実効値をIcとすると、Ih≦Icとなり、モーター4の発熱を抑えることができる。
【0064】
また、スイッチング電源21の出力電圧値を温度検知手段18により検出されるモーター4の温度と連動させて変化させる、つまりモーター4の温度が低いときにはスイッチング電源21の出力電圧値を大きくし、モーター4の温度が徐々に高くなってくるとスイッチング電源21の出力電圧値を徐々に小さくしていくように制御していくことでモーター4の温度上昇を抑えることができる。その逆にモーター4の温度が徐々に下がってくるとスイッチング電源21の出力電圧値を徐々に大きくしていくように制御することでポンプの性能を確保することができる。
【0065】
具体的には電流検知手段9をたとえばシャント抵抗とし、モーター4の電流値を電圧に変換したものをコンデンサ等で平滑し、そのコンデンサ両端電圧をもってモーター4の実効電流値とする。温度検知手段18によりモーター4の温度をモニターしながらモーター4の実効電流値が増減するように、スイッチング電源21の出力電圧値を増減させる。
【0066】
また温度検知手段18をモーター4だけでなく駆動回路2につけることで、駆動回路2の温度上昇を抑えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、DCブラシレスモーターを使用したポンプに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1におけるポンプの制御回路を示すブロック図
【図2】本発明の実施例1における所定のモーターの電流値Ipと熱時のモーター電流波形、および冷時のモーター電流波形との関係に対する、駆動回路のスイッチングタイミング波形を表す特性図
【図3】本発明の実施例2における熱時の所定のモーターの電流値Iphと熱時のモーター電流波形との関係、及び冷時の所定のモーターの電流値Ipcと冷時のモーター電流波形との関係に対する、駆動回路のスイッチングタイミング波形を表す特性図
【図4】本発明の実施例3における熱時のモーター電流波形と、熱時のスイッチングDuty波形との関係、及び冷時のモーター電流波形と冷時のスイッチにおけるポンプの制御回路を示す特性図
【図5】本発明の実施例2および実施例3におけるポンプの制御回路を示すブロック図
【図6】本発明の実施例4におけるポンプの制御回路を示すブロック図
【図7】従来のポンプの制御回路を示すブロック図
【符号の説明】
【0069】
1 モーター駆動用電源
2 駆動回路
3 制御回路
4 モーター
5 圧力センサー
6 ポンプ部
7 吸込み管
8 吐出し管
9 電流検知手段
10 熱時のモーター電流波形
11 冷時のモーター電流波形
12 ローターマグネットの着磁が乱れ始めるモーター電流ピーク値Ipm
13 熱時且つ無制御時の電流値Ipmh
14 所定のモーター電流値Ip
15 駆動回路のスイッチングタイミング波形
16 熱時の所定の電流値Iph
17 冷時の所定の電流値Ipc
18 温度検知手段
19 熱時のスイッチングDuty波形
20 冷時のスイッチングDuty波形
21 スイッチング電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターの通電電流値を検出する電流検知手段と、モーターの通電をONまたはOFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路を備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIcとし熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたときにIh≦Icとなるように前記駆動回路を用いてモーターの通電をONまたはOFFすることを特徴としたポンプ。
【請求項2】
前記モーターに通電される所定の電流値をIpとしたときに、電流値がIpに達したときに前記駆動回路によりモーターの通電をOFFし、所定の電流値Ipより小さくなったときにモーターの通電をONすることを特徴とした請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
前記所定の個所とはモーターであり、モーターが熱時のときのモーター電流値をIpmhとしたときに、Ip≦Ipmhとなるように前記所定の電流値Ipを設定したことを特徴とする請求項1または2記載のポンプ。
【請求項4】
前記モータに内蔵されたローターマグネットの着磁が乱れ始めるモーター電流値をIpmとしたときに、Ip≦Ipmとなるように前記所定の電流値Ipを設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項5】
所定の個所の発熱を検出する温度検知手段を有し、所定の個所が冷時のモーターの所定の電流値Ip=Ipcとし所定の個所が熱時のモーターの所定の電流値Ip=Iphとしたときに、Iph≦Ipcとしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項6】
所定の個所の発熱を検出する温度検知手段を有し、前記温度検知手段により検出された温度と前記電流検知手段により検出された電流値により前記駆動回路のスイッチングを判断する制御回路を備え、前記制御回路により前記駆動回路のスイッチングのデューティ比を増減することを特徴とした請求項1記載のポンプ。
【請求項7】
モーターの通電電流値を検出する電流検知手段と、モーターの通電をON・OFFさせるスイッチング機能を持った駆動回路と、所定の個所の発熱を検出する温度検知手段と、モーター駆動用電源としてのスイッチング電源を有し、前記温度検知手段により検出された温度と前記電流検知手段により検出された電流値により前記スイッチング電源の出力電圧を制御する制御回路とを備え、所定の個所が冷時のときのモーター電流実効値をIcとし、熱時のときのモーター電流実効値をIhとしたときに、Ih≦Icとなるように前記制御回路により前記スイッチング電源の出力電圧を増減することを特徴としたポンプ。
【請求項8】
所定の個所がモーターであることを特徴とした請求項5から7のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項9】
所定の個所がモーターの駆動回路であることを特徴とした請求項5から7のいずれか1項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−220022(P2006−220022A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32565(P2005−32565)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】