説明

マイクロメカニカル可変同調型ファブリー・ペロー干渉計及びその製造方法

本発明は、マイクロメカニカル(MEMS)技術を用いて製造される制御可能なファブリー・ペロー干渉計に関する。先行技術におけるマイクロメカニカル干渉計は、著しく、赤外光の放射が減衰するといった欠点を有する。本発明の解決策において、少なくとも1つのミラーに間隙(104、114)があり、ミラー層の役割を担う。ミラーのその他の層は、多結晶質シリコンで作製され、赤外域において軽微な減衰を有する。また、干渉計の光学領域にある基板に孔(125)または凹部を具備することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファブリー・ペロー干渉計及びファブリー・ペロー干渉計の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、マイクロメカニカル(MEMS)技術を用いて製造される可変ファブリー・ペロー干渉計に関する。本発明の技術分野は、独立請求項の前段部に明記される。
【背景技術】
【0002】
ファブリー・ペロー干渉計は、光学フィルターとして、例えば、分光センサに使用される。ファブリー・ペロー干渉計は、平行ミラーに基づいており、そのためファブリー・ペロー共振器はミラー間の間隙に形成される。ファブリー・ペロー干渉計の透過波長は、ミラー間の距離、すなわち間隙の幅を調整することによって、制御することができる。ファブリー・ペロー干渉計を製造するためにマイクロメカニカル技術を使用することは一般的である。そのような解決策は、例えば、フィンランド特許第95838号明細書に記載されている。
【0003】
マイクロメカニカル干渉計の先行技術における構造は通常、シリコン、及び酸化シリコンまたは窒化シリコンの層を含み、干渉計のミラーは、シリコン層間に酸化シリコン層または窒化シリコン層を有する。可動式ミラーは、初期に2枚のミラー層間に形成されている犠牲層を除去することにより具備される。犠牲層は例えば、二酸化シリコンであり得り、例えば、フッ化水素酸(HF)を用いるエッチングにより除去することができる。エッチング基板が犠牲層に触れるように、可動式ミラーに孔が具備される。可動式ミラーの位置は電極に電圧を印加することにより制御され、ミラー構造に含まれる。
【0004】
マイクロメカニカル製造技術は、干渉計の一連の製造を可能にする。しかし、先行技術におけるマイクロメカニカル干渉計は、可視光及び近赤外線放射の短波長域では、性能が良く、一方、長波長、すなわち赤外線域、特に5μmを超える域では性能が悪い。これは、酸化シリコン及び窒化シリコンがこれら長波長において、相対的に高い減衰を有するという事実に因る。
【0005】
先行技術における干渉計のさらなる不利益は、基板の屈折率を補正するために反射防止被膜の使用が要求されることに関する。通常、波長の限定された範囲内でのみ所望の補正を得ることができ、そのため、干渉計は、幅広い波長域での性能を要求されていない。
【0006】
干渉計の絞りが、基板のミラー側に配置される、材料層を使用することにより具備される場合には、問題も生じ得る。この場合、絞り層により形成される段階によりミラー構造は非対称であり、その結果、ミラー層が直線状でないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術における不利益を避けるまたは減少させることを目的とする。
【0008】
本発明の目的は、ミラーの少なくとも1つの層として、間隙を使用する解決策によって実現される。間隙は、真空であっても、空気、または動作波長域において、透明な他の気体を含んでいてもよい。さらなるミラー層は、好ましくは多結晶質シリコンで作製される。従って、ミラー層の酸化シリコンまたは窒化シリコンの使用を避けるまたは減少させることができる。本発明の解決策を用いて、先行技術に関連した上述の問題を避けることが可能である。
【0009】
基板と、
基板上の第1のミラー構造と、
第2の可動式ミラー構造と、
ここで、第1及び第2のミラー構造は、実質的に平行な第1及び第2のミラーを含む、
第1及び第2のミラー間にあるファブリー・ペロー共振器と、
ミラー間の距離を電気的に制御するための電極とを含み、
少なくとも1つのミラーがミラーの他の2つの層間のミラー層の役割を担う間隙を有することで特徴づけられる、電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【0010】
基板を具備し、
第1のミラーを基板上に具備することと、
第2の可動式ミラー構造を具備することと、
ここで、第1及び第2のミラー構造は実質的に平行な第1及び第2のミラーを含む、
第1及び第2のミラー間にファブリー・ペロー共振器を具備することと、
ここで、共振器を具備することは、第2のミラー構造を具備する前に第1及び第2のミラー構造間に犠牲層を具備することを含み、第2のミラー構造を具備した後に犠牲層を除去する、
ミラー間の距離を電気的に制御するための電極を具備することとを含み、
間隙が少なくとも1つのミラーで形成され、他の2つのミラー層間のミラー層の役割を担うことで特徴づけられる、制御可能なファブリー・ペロー干渉計の製造方法。
【0011】
本発明の一実施形態において、干渉計の両ミラーは、ミラー層としての役割を担う間隙を有する。本発明の別の実施形態によれば、可動式ミラーにのみ間隙層はある。
【0012】
本発明の一実施形態において、光学絞りは、基板に孔または凹部を形成することにより製造され、ここで、基板は密にドープされ得る。密なドープにより、基板層は放射が衰え、光学絞りの外へ放射が透過することを防止する。光学絞りの外へ放射が透過することを防止するため、基板表面に、金属層のようなさらなる層を具備することも可能である。光学領域の基板にある凹部、また好ましくは孔を具備すること、及び光学絞りを具備することの本特徴はまた、本発明に記載の、ミラー層が間隙を含まないような干渉計においても、独立して適用することができる。
【0013】
本発明の別の実施形態において、基板は導光体で作製され、分離不透明材料層が光学絞りを形成するために使用される。基板が干渉計の光学領域で除去されない場合、通常、光学領域内の基板表面に反射防止体層を具備することが必要である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、間隙の反対側にあるミラー層は、光学領域全体にわたり間隙幅を一定値に保つため、またミラーの機械強度及び剛性を改善するために間隙を介し頸状部に接続される。そのような頸状部は間隙の反対側にある層と同一材料で作製することができる。あるいは、頸状部は頸状部を形成するために犠牲的酸化シリコンを残すことにより、酸化シリコンで作製することができる。頸状部は例えば、ビーム形状を有し得る。頸状部の幅寸法は、頸状部の高さと比較して、好ましくは小さい、または大凡同じ大きさである。頸状部はミラー面に垂直であることが好ましい。
【0015】
本発明のいくつかのさらなる好ましい実施形態は、独立請求項に記載する。
【0016】
既知の解決策に比べ、本発明を用いて、著しい利点を実現することができる。本発明のファブリー・ペロー干渉計では、ミラーに酸化シリコンまたは窒化シリコン層を使用する必要はない。多結晶質シリコン及び空気の両方が赤外域の波長において減衰性が低いため、6〜20μmのような長波長域内でさえ、良い性能を有する干渉計を提供することが可能である。また、短波長域内でも本発明に記載の干渉計を使用することが可能である。
【0017】
また、酸化シリコンを干渉計に使用しない場合、犠牲層のエッチングはミラー層の質を悪化させない。従って、犠牲層をエッチングするため、可動式ミラーに作製される孔の直線状エッジを維持することが可能である。従って、可動式ミラーは、その形状すら維持する。エッチング過程を改善し、HF蒸気エッチングを使用することができる、高密度のエッチング孔を可動式ミラーに含むことも可能である。エッチング孔をミラー全体にわたって分布することが好ましく、ミラーを通して、孔を均等に分布することがより好ましい。
【0018】
HF蒸気エッチングを用いて犠牲層を除去する際、これは、チップを切断した後、またあるいはチップをカプセル化した後にも行うことができる。これは、可動式ミラーを相で解離する必要がなく、それゆえ温度または湿度の変化、汚染などのような環境ストレスに感受性がないため、単に切断する及び被包する手法を許可する。また、可動式ミラーを輸送後に解離することができるため、一般的な輸送方法で干渉計を輸送することが可能である。
【0019】
さらに、エッチング剤がいずれのミラー層にも害がないため、ミラー層の小径孔を高密度にすることが可能である。従って、ミラー表面を高粗度とすることが可能であり、それにより、互いに粘着するミラーの危険が減少する。それら利点の結論として、ファブリー・ペロー干渉計の製造においてより高い生産率を実現することができ、機能的信頼性がより高い干渉計を実現することができる。
【0020】
光学絞りを形成するための基板の凹部また好ましくは孔を具備することに関する著しい利点もある。基板が干渉計の光学領域に存在しない場合、基板の屈折率を補正するために、例えば、反射防止層のような材料層を具備する必要はない。このように幅広い波長域内で干渉計が要求される性能を実現することが可能である。また、ミラー間の光学非対称を避けることも可能である。光学領域に基板層がある場合、基板とミラーを適合させるためにミラーと基板の他の層間にある固定式ミラーにさらなる層を含む必要がある。結果として、固定式ミラーと可動式ミラーの光学特性間には相違がある。しかしながら、基板とミラーを適合させるためのさらなる層が要求されないため、光学非対称性は、光学領域の基板が除去される場合、実現する。従って、固定式及び可動式ミラーは、同等であり、同等な光学特性を有することができる。さらなる利点として、基板のミラー側に絞り層が要求されていない場合、対称的なミラー構造を具備することが可能である。このため、ミラー層のより良い直線性を得ることが可能である。さらに、干渉計の光学領域にある基板を除去することにより、干渉計全体の減衰が低下する。光学領域にある基板の除去あるいは、光学絞りを具備するための基板の使用といったそれら利点は、ミラー層としての間隙のない干渉計においても少なくとも部分的に実現することができることに注意されたい
【0021】
本特許出願において、用語「ミラー」は光を反射する層または層一式の構造を意味する。
【0022】
本特許出願において、用語「放射」または「光」は波長の光学域における放射を意味するために使用される。
【0023】
本特許出願において、「犠牲層」は、最終製造物において、少なくとも部分的に除去される材料層を意味する。
【0024】
以下の部分において、添付図面を参照することにより、本発明の好ましい例示的な実施形態をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る例示的なファブリー・ペロー干渉計を図解する断面図である。
【図2】本発明に係る例示的な電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計を図解する上面図である。
【図3】本発明に係る、基板が導光体であり、光学領域に孔のない、別の例示的なファブリー・ペロー干渉計を図解する断面図である。
【図4】本発明に係る、可動式ミラーのみが層を形成する間隙を含む、さらなる例示的なファブリー・ペロー干渉計を図解する断面図である。
【図5】本発明に係る、可動式層の間隙のみが、光学絞り域を覆う、さらなる例示的なファブリー・ペロー干渉計を図解する断面図である。
【図6】可動式ミラーの層にある孔及び頸状部の好ましい位置を図解する図である。
【図7a−e】本発明に係る、例示的なファブリー・ペロー干渉計を製造するための例示的な過程を図解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明に係る例示的なファブリー・ペロー干渉計の断面を図解する。干渉計は例えば、多結晶質シリコン材料の基板130を有し、基板130には干渉計の光学領域に孔125があり、従って、干渉計に光学絞りが具備される。固定式ミラーの反射層は層102〜106により具備され、層102及び106は、多結晶質シリコン製であり、層104は、真空、空気または他の導光性気体を含む間隙である。間隙は、光学領域から酸化シリコン製の犠牲層103を除去することにより形成されている。層106は軽度にドープされた多結晶質シリコンで作製され、固定式ミラーの制御電極としての役割を担う。
【0027】
干渉計は、反射層112〜116を有する第2の、可動式ミラーを有する。層112及び116は、多結晶質シリコン製であり、層114は、真空、空気または他の透明な気体を含む間隙である。間隙は、光学領域から酸化シリコン製の犠牲層113を除去することにより形成されている。層112は、ドープされた多結晶質シリコンで作製され、可動式ミラーの電導性制御電極としての役割を担う。
【0028】
下部固定式ミラーの外部電極は、接続部110aと電気的に接続される。可動式ミラーの電極112は、接続部110bに同一の電位に中央下部電極と接続される。この方法により、可動式ミラーと固定式ミラーの中央部間の電位差を避けることが可能である。電位差が生じる場合、可動式ミラーの中央部の位置にむらのあるオフセットが生じ得る。電気的接続部110a、110bは例えば、アルミニウムで作製される。
【0029】
光学領域全体わたって、間隙の幅を一定に保つためミラー構造の間隙に頸状部105、115がある。頸状部は、機械的に互いに間隙の反対側にある層に接続する。好ましくは、頸状部は、著しい衰退を避けるため、光学領域の1〜10%のような小さな部分のみ覆う。頸状部は、例えば、層と同様に、多結晶質シリコン、または酸化シリコンで作製することができる。シリコン製の頸状部を製造するための1つの例示的な方法は、多結晶質シリコン層を積層する前に酸化シリコン層をパターン化することに因り、そのため、多結晶質シリコン層は酸化シリコン層の開口部を介して接続されるであろう。酸化シリコン製の頸状部を製造するための1つの例示的な方法は、多結晶質シリコン製の層間に犠牲的酸化シリコンを残すことに因る。
【0030】
ミラーの間隙幅の値は、好ましくはλ/4であり、ここでλは干渉計通過帯域の中央波長である。また、他のミラー層の光学的厚さは好ましくは、λ/4である。しかしながら、代替え的に、間隙幅/光学的厚さは、λ/4の倍数であり得る。
【0031】
干渉計の共振器は、犠牲酸化シリコン層が除去された空間123により形成される。犠牲層は、例えば、第2のミラー構造の孔151を介して蒸気HFによりエッチングされる。このように第2のミラーは、可動式になるであろう。酸化シリコン層は、干渉計の光学領域から除去されるが、酸化シリコン層のエッジ111からは除去されない。可動式上部ミラー及び下部固定式ミラーのエッジ間に残る酸化シリコン層は、可動式上部ミラーの支持体としての役割を担う。酸化シリコンは、直線状及び均一な位置で可動式ミラーを保つ。従って、酸化シリコン層を可動式層の支持体としても使用することが好ましいが、代わりに、可動式ミラーのエッジの上部に、及びエッジを超えて支持層を塗布することにより、可動式ミラーに支持体を具備することも可能である。そのような支持体は例えば、アルミニウムで作製される。
【0032】
例えば、アルミニウムまたは干渉計の動作域内で放射を透過しない他のいくつかの材料製の任意のパターン化層124があり得る。この層の目的は、絞り外への放射の透過を妨げることである。
【0033】
図2は、本発明に係る例示的な、電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計20の上面図を図解する。上部及び下部ミラーの電極のための接触部110a及び110bは、干渉計の角に設置される。光学領域/絞り261は円形であり、上部の第2のミラーは、犠牲層を除去するために使用されている小孔(図示せず)と共に具備される。好ましくは、孔は、第2のミラーの光学領域に平等に分散する。各孔の直径は例えば、100nm〜5μmであり得る。孔は、第2のミラーの光学領域の0.01%〜5%の領域を覆い得る。そのような孔は、主に反射ミラーとして機能し、従って、干渉計の性能に実質的効果を持たない。
【0034】
図3は、本発明に係る干渉計の別の実施形態を図解する。本実施形態において、基板は、均一であり、放射は基板を通過する。従って、干渉計の動作波長域で基板を透過しなければならない。絞りは、例えば、アルミニウムまたは、干渉計の動作域内に放射を透過しない複数の他の材料製のパターン化層124により形成される。層126は、反射防止膜としての役割を担う。
【0035】
図4は、本発明に係る干渉計のさらなる実施形態を図解する。本実施形態において、可動式ミラーは、1つの層として間隙を有するが、固定式下部ミラーは、酸化シリコンで作製される中間層103を有する。
【0036】
図5は、本発明に係る干渉計のまたさらなる実施形態を図解する。可動式ミラーが絞り領域内にのみ間隙を有し、そのため、ミラーは絞り領域外に酸化シリコン層を有する点を除いて、図4の実施形態に類似している。
【0037】
図6は、可動式ミラーの層における、孔61と頸状部62の好ましい相対位置を図解する。好ましくは、孔は、図6に記載のように、六角グリッド内に配置される。
【0038】
図7a、7b、7c、7d、及び7eは、本発明に係る、図1及び2の干渉計のような、電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計を製造するための、例示的な方法のフローチャートを図解する。製造過程はウエハ基板を具備することで開始する(71)。基板は、例えば、単結晶質シリコンまたは溶融シリカであり得る。次に、第1固定式ミラー構造の層を基板上に具備する。酸化シリコン層は、LTO(低温酸化)積層により、基板上に積層される(72)。次に、多結晶質シリコンを積層し(73)、電導領域を得るため、イオン注入およびアニーリングを行う(74)。次の層が、低応力PECVD TEOS積層により積層され(75)、その後パターン化される(76)。次に多結晶質シリコン層が積層され(77)、伝導領域をイオン注入及びアニーリングによって形成する(78)。その後、ポリシリコンはパターン化される(79)。このように、固定式ミラーのための層が、製造されている。
【0039】
ファブリー・ペロー共振器を形成するための犠牲層は、PECVD TEPOSにより積層され(80)、層がパターン化される(81)。次に、可動式ミラーのための層が製造される。多結晶質シリコンの層が積層され(82)、伝導領域がイオン注入及びアニーリングによって形成され(83)、そして層がパターン化される(84)。次に、層が、PECVD TEOS積層を用いて、作製され(85)、酸化TEOSがパターン化される(86)。多結晶質シリコンの層は、LPCVD積層を用いて、形成され(87)、酸化層がウェットエッチングされる(88)。このように、可動式ミラーのための層が製造されている。
【0040】
アルミニウムを用いた硬化は、スパッタリング及びパターン化により、接続部のために行われる(89)。次に、酸化シリコン層が干渉計の背面側で、積層、パターン化される(90)。シリコンのICPエッチングにより、孔/凹部が、基板に作製される(91)。最後に干渉計のチップを立方体に切り、犠牲層を蒸気エッチングする(92)。
【0041】
本発明は、付属の実施形態の参照と共に記載される。しかしながら、本発明は、それらにのみ限定されることはなく、本発明の思想及び付属の特許請求の範囲内で創造可能な全ての実施形態を含むことは明らかである。
【0042】
例えば、複数の材料、寸法、及び形状が本発明の実施のための実施例として言及されている。しかしながら、構造の詳細、または製造の段階と同様に、寸法、形状、及び材料を特定の要求による各実施のために変更、最適化することができることは明らかである。
【0043】
上述のように、アルミニウムの使用を、電極配線及び接続部を形成する伝導材料として記載した。しかし、銅のような、伝導材料の他の代替物を使用することも多分に可能であることに注意しなければならない。また、単結晶性シリコンは、基板のための例示的に好ましい材料として言及されている。しかし、他の代替材料を使用することも当然可能である。
【0044】
また、光学領域において、少なくとも部分的に基板を除去すること、及び光学絞りを具備するためにそれをできる限り使用することを、独立した発明として、ミラー層として間隙を含まず、全てのミラー層が例えば、積層材料の層である構造に適用することも可能であることにも注意されたい。
【0045】
本発明の干渉計は、いくつかの好ましい応用形を有する。それらは、光学分光計、カラーアナライザー、撮像素子、光学情報通信において、及び、例えば特定の気体または液体の内容物を計測する様々な装置において制御可能なフィルターとして使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の第1のミラー構造と、
第2の可動式ミラー構造と、
ここで、前記第1及び第2のミラー構造は実質的に平行な第1及び第2のミラーを含み、
前記第1及び第2のミラー間のファブリー・ペロー共振器と、
前記ミラー間の距離の電気的制御のための電極とを含む干渉計であって、
少なくとも1つのミラーが、前記ミラーの他の2つの層間の前記ミラー層としての役割を担う間隙を有することを特徴とする電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項2】
前記間隙が、多結晶質シリコンの2つの層間にあることを特徴とする、請求項1に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項3】
前記間隙の反対側にあるミラー層が、間隙幅を光学領域全体にわたって一定の値に保つように、間隙を介して頸状部と接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項4】
前記第2の可動式ミラーが間隙を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項5】
前記第1のミラーが間隙を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項6】
前記間隙の幅が、λ/4であり、λは前記干渉計の通過帯域の中央波長であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項7】
前記ミラーの全ての層の光学的厚さが、λ/4であり、λは前記干渉計の通過帯域の中央波長であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項8】
前記基板が、前記干渉計の前記光学領域に孔または凹部を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項9】
前記基板が、前記干渉計の前記動作波長において、実質的に不透明であり、そのため光学絞りを形成することを特徴とする、請求項8に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項10】
前記基板に被膜があり、被膜は実質的に不透明であり、そのため、光学絞りを形成することを特徴とする、請求項8に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項11】
前記基板が前記干渉計の前記動作波長域において、透明材料製であり、前記干渉計が光学絞りを形成するために分離層を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項12】
前記間隙が、真空を有するまたは、前記間隙が空気または前記干渉計の前記動作波長域において透明な他の気体を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項13】
前記干渉計のミラーが、好ましくは前記ミラー全体にわたって配置される、エッチング孔を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気的可変同調型ファブリー・ペロー干渉計。
【請求項14】
基板を具備することと、
前記基板に第1のミラーを具備することと、
第2の可動式ミラー構造を具備することと、
ここで、前記第1及び第2のミラー構造は実質的に平行な第1及び第2のミラーを有する、
前記第1及び第2のミラー間にファブリー・ペロー共振器を具備することと、
ここで、前記共振器を具備することは、前記第2のミラー構造を具備する前に、前記第1及び第2のミラー構造間に犠牲層を具備することを含み、前記犠牲層は、前記第2のミラー構造が具備された後に除去される、
前記ミラー間の距離を電気的に制御するための電極を具備することとを含む方法であって、
間隙が、前記ミラーの他の2つの層間の前記ミラーの層としての役割を担い、少なくとも1つのミラーに形成されることを特徴とする、制御可能なファブリー・ペロー干渉計を製造する方法。
【請求項15】
前記ミラーが多結晶質シリコンの少なくとも2つの層で作製され、前記間隙が、多結晶質シリコン製の該2つの層間に形成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
頸状部が、光学領域全体にわたって前記間隙の幅を一定値に保つように、前記間隙の反対側にあるミラー層間に、前記間隙を介して、形成されることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
間隙が前記第2の可動式ミラー内に作製されることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
間隙が、前記第2の可動式ミラー内に作製されることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記間隙が、λ/4の幅を有するように形成され、λは前記干渉計の通過帯域の中央波長であることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ミラーの全ての層が、λ/4の光学的厚さを有して形成され、λは前記干渉計通過帯域の中央波長であることを特徴とする、請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記間隙は、真空を有するように、また空気または前記干渉計の動作波長において透明な他の気体を含むよう作製されることを特徴とする、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
孔または凹部が、光学絞りを形成するために、前記干渉計の光学領域にある前記基板に作製されることを特徴とする、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
孔または凹部が、前記干渉計の前記光学領域にある前記基板に作製され、光学絞りを形成するために、不透明材料層が前記基板上に具備されることを特徴とする、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
エッチング孔が、ミラーを介して作製され、好ましくは、前記エッチング孔は、前記ミラー全体にわたって配置されることを特徴とする、請求項14〜23のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図7d】
image rotate

【図7e】
image rotate


【公表番号】特表2013−506154(P2013−506154A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530300(P2012−530300)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050739
【国際公開番号】WO2011/036346
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(511255971)テクノロジアン タトキマスケスクス ヴィーティーティー (6)
【Fターム(参考)】