説明

マスフローコントローラシステム、プラズマ処理装置、流量制御方法、及び半導体装置の製造方法

【課題】装置の小型化と腐食性ガスに対する耐腐食性を兼ね備えたマスフローコントローラシステムを提供する。
【解決手段】実施形態のマスフローコントローラシステム500は、腐食性ガスが導入され、前記腐食性ガスに対する耐腐食性処理が施された第1マスフローコントローラ100と、非腐食性ガスが導入される第2マスフローコントローラ200と、前記第1マスフローコントローラに複数種類の腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第1ガス配管31、32、33と、前記第2マスフローコントローラに複数種類の非腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第2ガス配管34、35、36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、マスフローコントローラシステム、プラズマ処理装置、流量制御方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスで用いるプロセスガスの流量制御においては、複数種類のガスのガスラインをガス種類より少ない数の系統にまとめることにより、流量制御機であるマスフローコントローラを系統毎に設けることが提案されている。
【0003】
しかし、半導体製造プロセスで用いるプロセスガスには腐食性のものがあり、そのような腐食性ガスに対しては、配管、配管内部及びマスフローコントローラ内のガス経路も耐腐食性を備える必要がある。耐腐食性を持たせる手段としては、配管材料の選択、配管内部の加工等があるが、これらの手段も腐食性ガスの種類に依存することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−323464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置の小型化と腐食性ガスに対する耐腐食性を兼ね備えたマスフローコントローラシステム、プラズマ処理装置、流量制御方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のマスフローコントローラシステムは、腐食性ガスが導入され、前記腐食性ガスに対する耐腐食性処理が施された第1マスフローコントローラと、非腐食性ガスが導入される第2マスフローコントローラと、前記第1マスフローコントローラに複数種類の腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第1ガス配管と、前記第2マスフローコントローラに複数種類の非腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第2ガス配管とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかるマスフローコントローラシステムの構成を示す概略図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかるマスフローコントローラシステムを備えたプラズマ処理装置の構成を示す概略図である。
【図3】図3は、チャンバーの構成を詳しく示した図である。
【図4】図4は、第2の実施形態にかかるマスフローコントローラシステムの構成を示す概略図である。
【図5】図5は、第2の実施形態にかかるマスフローコントローラシステムを備えたプラズマ処理装置の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、従来のプラズマ処理装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるマスフローコントローラシステムおよびプラズマ処理装置を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるマスフローコントローラシステム500の構成を示す概略図である。マスフローコントローラシステム500は、例えば、ホストコンピュータ1、ホストコンピュータ1に接続されレシピ(プロセスプログラム)を保持している記憶手段2、ホストコンピュータ1に制御され腐食性ガスの流量を制御する流量制御機100、ホストコンピュータ1に制御され非腐食性ガスの流量を制御する流量制御機200を備える。
【0010】
マスフローコントローラシステム500はさらに、流量制御機100へのCガスの流入を制御するバルブ12、流量制御機100へのCガスの流入を制御するバルブ13、流量制御機100へのCFガスの流入を制御するバルブ14、流量制御機200へのArガスの流入を制御するバルブ15、流量制御機200へのXeガスの流入を制御するバルブ16、流量制御機200へのHeガスの流入を制御するバルブ17を備え、これらのバルブ12〜17はホストコンピュータ1によって制御される。
【0011】
ここで、流量制御機およびそれに接続される配管系は、Cガス、Cガス、CFガスなどのCF(炭素フッ素)系の腐食性ガス用と、Arガス、Xeガス、Heガスなどの不活性ガスを含む非腐食性ガスとは別系統になっている。これは、腐食性ガスに対しては、流量制御機100の配管部材81として高価な材料(例えば、SUS316L)の使用、配管内部82のコーティング(耐腐食メッキなど)、配管内部82の表面研磨、接続部が腐食されないPTFEなどを用いた特別なガスケットやOリング83を配管シール用に備えること等の必要が生ずるためである。すなわち、流量制御機100は腐食性ガスに対する耐腐食性処理が施されている。
【0012】
これに対して、非腐食性ガスを扱う流量制御機200の配管部材は例えばSUS304を用い、ガスケットやOリングは例えばバイトンを用いる。このため、非腐食性ガス用の流量制御機200およびそれに接続される配管系に比べ、腐食性ガス用の流量制御機100およびそれに接続される配管系にはより製造コストがかかっている。
【0013】
図2は、第1の実施形態にかかるマスフローコントローラシステム500を備えたプラズマ処理装置1000の構成を示す概略図である。プラズマ処理装置1000は例えばRIE処理装置、CVD装置などである。プラズマ処理装置1000に導入された半導体基板(ウェハ)を処理して半導体装置を製造することが可能である。
【0014】
プラズマ処理装置1000は、プラズマ処理が実行されるチャンバー20、チャンバー20へのプロセスガスの流量制御を上述したレシピに従って実行するマスフローコントローラシステム500、マスフローコントローラシステム500からのプロセスガスをチャンバー20に導入するプロセスガス配管30、およびマスフローコントローラシステム500に接続されたCガス用配管31、Cガス用配管32、CFガス用配管33、Arガス用配管34、Xeガス用配管35、Heガス用配管36などから構成される。
【0015】
図3は、チャンバー20の構成をさらに詳しく示した図である。チャンバー20は、気密に構成されたたとえばアルミニウム製で形成されており接地されている。チャンバー20内には、処理対象としてのウェハ50を水平に支持するとともに、下部電極として機能する支持テーブル61が設けられている。支持テーブル61の表面上には、図示しないがウェハ50を静電吸着する静電チャック機構など保持機構が設けられている。
【0016】
また、支持テーブル61は、チャンバー20内の水平方向の中央付近に位置するように、チャンバー20の中央付近の底壁から鉛直上方に筒状に突出する支持部62上に支持されている。また、支持テーブル61には、高周波電力を供給する給電線41が接続されており、この給電線41にブロッキングコンデンサ42、整合器43および高周波電源44が接続されている。高周波電源44からは所定の周波数の高周波電力が支持テーブル61に供給される。
【0017】
下部電極として機能する支持テーブル61に対向するように、支持テーブル61の上部に上部電極として機能するシャワーヘッド51が設けられている。シャワーヘッド51は支持テーブル61と平行に対向するように、支持テーブル61から所定の距離を隔てたチャンバー20の上部付近の側壁に固定される。このような構造によって、シャワーヘッド51と支持テーブル61とは、一対の平行平板電極を構成している。また、シャワーヘッド51には、板の厚さ方向を貫通する複数のガス供給路52が設けられている。
【0018】
チャンバー20の上部付近には、プラズマ処理時に使用される処理ガスが供給されるガス供給口53が設けられており、ガス供給口53にはプロセスガス配管30を通じて図1および2に示したマスフローコントローラシステム500が接続されている。チャンバー20の下部にはガス排気口54が設けられており、ガス排気口54には配管を通じて図示しない真空ポンプが接続されている。このような構成により、チャンバー20内においてプラズマ処理が実行される。
【0019】
このように構成されたチャンバー20内におけるプラズマ処理の概要について説明する。まず、支持テーブル61上に処理対象であるウェハ50が載置され、たとえば静電チャック機構によって固定される。ついで、ガス排気口54に接続される図示しない真空ポンプでチャンバー20内が真空引きされる。その後、チャンバー20内が所定の圧力に達すると、図1および2に示したマスフローコントローラシステム500よりプロセスガス配管30を介してプロセスガスがガス供給口53へ供給され、シャワーヘッド51のガス供給路52を介してウェハ50に向けて供給される。チャンバー20内の圧力が所定の圧力に達すると、シャワーヘッド51(上部電極)を接地した状態で、支持テーブル61(下部電極)に高周波電圧を印加して、チャンバー20内にプラズマを生成させる。ここで、下部電極には高周波電圧が印加されているので、プラズマとウェハ50との間に電位勾配が生じ、プラズマガス中のイオンが支持テーブル61へと加速されることになり、エッチング処理が開始される。
【0020】
具体的には、記憶手段2に保持されているレシピ(プロセスプログラム)に従って、チャンバー20内に導入されるプロセスガスがマスフローコントローラシステム500によって制御される。レシピには、時系列的に実行されるステップ毎のガスの種類及びその流量が記述されている。より詳細には、同一ガス種類を流す場合においてもガス流量を時間変化させることがあり得るが、以下では簡単のため、同一のガスを流す場合においてガス流量は一定として説明するがこのようなレシピに限定しなくてもかまわない。
【0021】
ここで、図1に示したマスフローコントローラシステム500が備える流量制御機100の構成をさらに詳しく説明する。流量制御機100へ、ホストコンピュータ1によってバルブ12〜14のいずれかが「開」となるよう制御されると、Cガス用配管31、Cガス用配管32、またはCFガス用配管33のうちのいずれかから一種類のガスが流入する。流入したガスは流量センサー側とバイパス側に分流し、一定の割合の流量がセンサー7を経由する。ガスがセンサー7に流れ込むと上流側と下流側の抵抗体に温度差が生じ、熱バランスが崩れセンサーの温度分布に変化が生じる。これをブリッジ回路6がとらえ、増幅回路5により増幅して流量出力信号(流量信号電圧値)として出力する。
【0022】
ここで、上記流量出力信号は、流すガスの種類の質量、比熱等の物性に依存して、流量制御機100への流量が同じであってもガスごとの熱の奪われ方が違うので異なった値を表示する。従って、適切に流量制御を実行するためにはガスごとの流量換算が必要となり、増幅回路5の出力信号をガス種類に依存する補正係数(CF:コンバージョンファクタ、以下単にCFと略す)で補正回路4により補正する必要がある。各ガス種に対応した所定の定数である補正係数は、例えば流量制御機100内の補正係数記憶素子3に保持されている。ここでは、Cガス、Cガス、及びCFガスのガス毎のCF(コンバージョンファクタ)がそれぞれ保持されている。
【0023】
流量制御機100がNガスで校正されている場合は、他のガスのガス流量は以下の式で計算できる。例えば、Cガスを例にとると、補正回路4は以下の式で補正する。
【0024】
ガスの実流量=(増幅回路5の流量出力信号)×(CガスのCF/NガスのCF)
【0025】
ガスのCFが1となるようにして他のガスのCFを算出しておいた場合は、単に以下のような式(1)で補正ができる。
【0026】
ガスの実流量=(増幅回路5の流量出力信号)×(CガスのCF) 式(1)
【0027】
補正回路4からの補正後の流量出力信号値と流量設定器8で設定されている当該ガスに対する所望の流量である流量設定信号値とを比較制御回路9で比較して、それらが合致するようにアクチュエーター10を操作しバルブ11により流量を制御する。
【0028】
非腐食性ガス用の流量制御機200内の構成も、基本的には流量制御機100と同様であるので図1では記載を省略してある。しかし、流量制御機200はArガス、Xeガス、Heガスなどの不活性ガスを含む非腐食性ガスを流すので、流量制御機200内および周辺の配管は、腐食性ガス用の流量制御機100およびそれに接続される配管系のような耐腐食性は不要である。また、流量制御機200内の補正係数記憶素子にはArガス、Xeガス、およびHeガスのCFが保持されている。また、以下の議論では、流量制御機100、200ともにNガスのCFが1であるとして他のガスのCFを定めているとする。
【0029】
以下、プラズマ処理装置1000のレシピに従ったRIE処理の流れを説明する。具体的には、ホストコンピュータ1が記憶手段2に保持されているレシピに従って、レシピのステップ毎にガスをチャンバー20に流す。例えば、レシピのあるステップにおいてCガスを所定の流量、所定の時間チャンバー20に流すと指示されていた場合、ホストコンピュータ1は、流量制御機100の補正係数記憶素子3からCガスのCFを読み取って補正回路4にセットする。補正回路4は上記した式(1)に従ってCガスの実流量を算出する。さらにホストコンピュータ1はレシピに記載された上記所定の流量を流量設定器8に設定する。同時に、ホストコンピュータ1はバルブ12を全開にし、比較制御回路9で補正回路4からの実流量と合致するようにバルブ11にフィードバック制御をかける。この制御を上記所定の時間実行する。
【0030】
そして、上記ステップが終了すると次のステップの指示に従い、上記同様な制御を繰り返す。次のステップで流すガスがArガスなどの非腐食性ガスである場合は、流量制御機200に対して上記同様な制御を行う。このようにして、チャンバー20におけるRIE処理に必要な種類のガスを定められた順番に、所望の量、所望の時間、マスフローコントローラシステム500は流すことができる。
【0031】
本実施形態においては、プロセスレシピ(プロセスプログラム)における各ステップでガスが切り替わる際に、補正係数記憶素子3に保持されたガス種に対応したCFを読み取って補正回路4で用いる補正係数(CF)を自動的に変更する。なお、本実施形態においては、ガス種に対応したCFを保持する補正係数記憶素子3は、流量制御機100および200に備えられているとして説明したが、記憶手段2に全てのガス種のCFを保持しておくようにしてもよいし、他の場所に備えた記憶手段に保持するようにしてもかまわない。
【0032】
本実施形態においては、腐食性ガスに対する耐腐食性を維持しつつ、流量制御機を腐食性ガス、非腐食性ガス用にそれぞれ備えるだけでよい。従って、図6に示す従来のプラズマ処理装置のようにガスボックス内にガス種毎に設けていた流量制御機の数を、大幅に削減することができる。また、ガスボックスを小型化することができるので、省スペース化によりチャンバー20の近くにガスボックスを配置することが可能になる。このことによりガスボックスからチャンバー20までの配管を短くすることができ、プロセス処理もより安定し、残留ガスをパージするためのコストの低減及び時間の短縮が可能となりプラズマ処理装置の生産性も向上する。
【0033】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態にかかるマスフローコントローラシステム600の構成を示す概略図である。マスフローコントローラシステム600は、例えば、ホストコンピュータ1、ホストコンピュータ1に接続されレシピ(プロセスプログラム)を保持している記憶手段2、ホストコンピュータ1に制御されCF(炭素フッ素)系腐食性ガスの流量を制御する流量制御機100、ホストコンピュータ1に制御され腐食性のハロゲンガスの流量を制御する流量制御機110、ホストコンピュータ1に制御され非腐食性の不活性ガスの流量を制御する流量制御機200、ホストコンピュータ1に制御され非腐食性一般ガスの流量を制御する流量制御機210を備える。
【0034】
マスフローコントローラシステム600はさらに、流量制御機100へのCガスの流入を制御するバルブ12、流量制御機100へのCガスの流入を制御するバルブ13、流量制御機100へのCFガスの流入を制御するバルブ14、流量制御機110へのClガスの流入を制御するバルブ61、流量制御機110へのBrガスの流入を制御するバルブ62、流量制御機200へのArガスの流入を制御するバルブ15、流量制御機200へのXeガスの流入を制御するバルブ16、流量制御機210へのNガスの流入を制御するバルブ63、流量制御機210へのOガスの流入を制御するバルブ64、流量制御機210へのHガスの流入を制御するバルブ65を備え、これらのバルブ12〜16、61〜65はホストコンピュータ1によって制御される。
【0035】
ここで、流量制御機およびそれに接続される配管系は、Cガス、Cガス、CFガスなどのCF(炭素フッ素)系の腐食性ガス用と、Clガス、Brガスなどの腐食性のハロゲンガス用と、Arガス、Xeガスなどの非腐食性の不活性ガスと、Nガス、Oガス、Hガスなどの非腐食性一般ガスとは別系統になっている。これは、腐食性ガスに対しては、高価な材料の保護膜による配管内部のコーティング、配管内部の表面研磨、接続部が腐食されない特別なOリングを配管シール用に備えることがCF(炭素フッ素)系、ハロゲン系それぞれに応じて別個に備える必要が生ずるためである。すなわち、流量制御機100、110およびそれに接続された配管系は腐食性ガスに対する耐腐食性処理が施されており、CF(炭素フッ素)系、ハロゲン系それぞれに応じた耐腐食性処理が施されている。このため、第1の実施形態で述べたように非腐食性ガス用の流量制御機200、210およびそれに接続される配管系に比べ、腐食性ガス用の流量制御機100、110およびそれに接続される配管系にはより製造コストがかかっている。
【0036】
また、本実施形態においては、例として、非腐食性ガスを不活性ガスと非腐食性一般ガスとで別系統にしたが、非腐食性一般ガスとしたHガスについては、爆発性があるため気密性を高めるためにさらに別系統にしてもよい。
【0037】
図5は、第2の実施形態にかかるマスフローコントローラシステム600を備えたプラズマ処理装置2000の構成を示す概略図である。プラズマ処理装置2000は例えばRIE処理装置、CVD装置などである。プラズマ処理装置2000に導入された半導体基板(ウェハ)を処理して半導体装置を製造することが可能である。
【0038】
プラズマ処理装置2000は、プラズマ処理が実行されるチャンバー20、チャンバー20へのプロセスガスの流量制御を上述したレシピに従って実行するマスフローコントローラシステム600、マスフローコントローラシステム600からのプロセスガスをチャンバー20に導入するプロセスガス配管30、およびマスフローコントローラシステム600に接続されたCガス用配管31、Cガス用配管32、CFガス用配管33、Clガス用配管71、Brガス用配管72、Arガス用配管34、Xeガス用配管35、Nガス用配管73、Oガス用配管74、Hガス用配管75などから構成される。
【0039】
チャンバー20の構成の構成は図3と同様であり、記憶手段2に保持されているレシピ(プロセスプログラム)に従って、チャンバー20内に導入されるプロセスガスがマスフローコントローラシステム600によって制御されRIE処理が実行される手順も、ガスのカテゴリーに応じてマスフローコントローラが増えた以外は第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態においても、ガス種に対応したCFを保持する補正係数記憶素子3は、流量制御機100、110、200および210にそれぞれガスのカテゴリー毎に備えられていてもよいし、記憶手段2に全てのガス種のCFを保持しておくようにしてもよい。また、他の場所に備えた記憶手段に保持するようにしてもかまわない。
【0041】
本実施形態においても、耐腐食性を維持しつつ、流量制御機を腐食性ガス、非腐食性ガス等用にそれぞれ備えるだけでよく、従来のプラズマ処理装置に比べ流量制御機の数を大幅に削減することができる。さらに、炭素フッ素系ガスとハロゲンガスの腐食性の違いに応じた最適な耐腐食性材料の選択なども可能となり、さらにコスト低減が図れる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 ホストコンピュータ、2 記憶手段、3 補正係数記憶素子、4 補正回路、5 増幅回路、6 ブリッジ回路、7 センサー、8 流量設定器、9 比較制御回路、10 アクチュエーター、11 バルブ、12〜17 バルブ、20 チャンバー、31〜36 配管、100、200 流量制御機、500、600 マスフローコントローラシステム、1000、2000 プラズマ処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性ガスが導入され、前記腐食性ガスに対する耐腐食性処理が施された第1マスフローコントローラと、
非腐食性ガスが導入される第2マスフローコントローラと、
前記第1マスフローコントローラに複数種類の腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第1ガス配管と、
前記第2マスフローコントローラに複数種類の非腐食性ガスをそれぞれ供給する複数の第2ガス配管と、
を備えたことを特徴とするマスフローコントローラシステム。
【請求項2】
前記第1ガス配管は耐腐食性が施された
ことを特徴とする請求項1に記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項3】
前記第2ガス配管は耐腐食性が施されていない
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項4】
前記第1マスフローコントローラは、炭素フッ素系ガスが導入されるマスフローコントローラとハロゲンガスが導入されるマスフローコントローラを有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項5】
前記第2マスフローコントローラは、不活性ガスが導入されるマスフローコントローラ
と非腐食性ガスが導入されるマスフローコントローラを有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項6】
前記複数の第1ガス配管は耐腐食性が施され、
前記複数の第2ガス配管は耐腐食性が施されておらず、
前記第1マスフローコントローラは、炭素フッ素系ガスが導入されるマスフローコントローラとハロゲンガスが導入されるマスフローコントローラを有し、
前記第2マスフローコントローラは、不活性ガスが導入されるマスフローコントローラ
と非腐食性ガスが導入されるマスフローコントローラを有し、
前記複数の第1ガス配管は、
前記炭素フッ素系ガスが導入されるマスフローコントローラに炭素フッ素系ガスを供給するガス配管と、
前記ハロゲンガスが導入されるマスフローコントローラにハロゲンガスを供給するガス配管を有し、
前記複数の第2ガス配管は、
前記不活性ガスが導入されるマスフローコントローラに不活性ガスを供給するガス配管と、
前記非腐食性ガスが導入されるマスフローコントローラに非腐食性ガスを供給するガス配管を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項7】
前記マスフローコントローラはそれぞれ、
ガスの入力流量を計測する流量計測手段と、
前記流量計測手段の計測結果を補正係数で補正して出力する補正手段と、
ガス出力流量を調節するバルブと、
前記補正手段の出力値と所定の流量設定値とが一致するように前記バルブを制御するバルブ制御手段とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項8】
前記マスフローコントローラは、
前記補正係数をガス種毎に記憶する記憶手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載のマスフローコントローラシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載のマスフローコントローラシステムから供給されるガスを用いてプラズマ処理を実行するチャンバー
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項7に記載のマスフローコントローラシステムと、
前記補正係数をガス種毎に記憶する記憶手段と、
前記マスフローコントローラシステムから供給されるガスを用いてプラズマ処理を実行するチャンバーと、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項11】
複数のマスフローコントローラを用いて複数の異なるガスの流量を制御する流量制御方法において、
前記複数の異なるガスを腐食性ガスと非腐食性ガスにグループ分けし、このグループ分けに基づいて得られた複数の異なる腐食性ガスを含む第1のガスグループのガスが供給される第1のマスフローコントローラと、前記グループ分けに基づいて得られた複数の異なる非腐食性ガスを含む第2のガスグループのガスが供給される第2のマスフローコントローラとによって複数の異なるガスの流量を制御する
ことを特徴とする流量制御方法。
【請求項12】
請求項9または10に記載のプラズマ処理装置を用いて、前記処理装置内に導入される半導体基板を処理する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−15374(P2012−15374A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151286(P2010−151286)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】