説明

ムラ検査装置、ムラ検査方法、および、濃淡ムラをコンピュータに検査させるプログラム

【課題】対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査において、エッジ近傍におけるムラ検査の精度を向上する。
【解決手段】基板9に塗布されたレジストの濃淡ムラを検査するムラ検査装置1では、基板9の撮像画像が圧縮された後にローパスフィルタ処理が行われ、さらにハイパスフィルタ部4214によりハイパスフィルタ処理が行われる。ハイパスフィルタ部4214では、ハイパスウィンドウがエッジ近傍に存在する場合には、ハイパスウィンドウが縮小されてフィルタ処理による画素値算出の対象となる注目画素が属する領域以外の領域を避ける。このように、ムラ検査装置1では、ハイパスフィルタ処理に利用される画素群を、ハイパスウィンドウ内の画素、すなわち、実質的に注目画素が属する領域内の画素に制限することにより、エッジ近傍におけるムラ検査の精度を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の濃淡ムラを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置の表示面に使用される様々な部品に対して、全面に亘ってムラが点在する全体ムラや、ムラが部分的に存在する部分ムラ、あるいは、縦または横方向に線状のムラが生じるスジムラ等の検出が検査員の目視により行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、カラーブラウン管用のシャドウマスクの光透過率のムラ検査において、シャドウマスクの一方の主面側から光を照射して他方の主面側から撮像した画像の階調データに対して、メディアンフィルタにより平滑化処理を行って平滑化データを求め、階調データを平滑化データにより除算して算出した規格化データに基づいて検出すべきムラが強調されたシャドウマスクの画像を表示することにより、目視検査の簡略化、および、検査精度の向上を図る技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−5057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、検査対象物の画像から目視に頼らずに自動的にムラを検出することが行われており、濃淡のコントラストが弱い対象物を検査するために、対象物の画像に対するコントラスト強調処理が行われている。ところで、液晶表示装置用のパネルに塗布されたレジストのムラ検査において、1枚の大型のガラス基板に複数枚のパネルが面付けされている場合、各パネルの外周部の電極部のエッジにおいてムラが検出できない線状の領域、あるいは、ムラの検出精度が低下する線状の領域が生じる。このような領域が生じる主要な原因は、コントラスト強調の効果を妨げる低周波の濃度変動を除去するためにコントラスト強調処理の直前に行われるハイパスフィルタ処理であると考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査において、画像中のエッジ近傍におけるムラ検査の精度を向上することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査装置であって、対象物を保持する保持部と、前記対象物の一の主面を撮像する撮像部と、前記撮像部にて取得された対象画像に画像処理を行って処理済画像を生成する画像処理部とを備え、前記画像処理部が、前記対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出するエッジ検出部と、前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行うハイパスフィルタ部と、前記ハイパスフィルタ部により処理された後の前記対象画像のコントラストを強調するコントラスト強調部とを備え、前記ハイパスフィルタ部が、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群を実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査装置であって、前記ハイパスフィルタ部によるハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とするウィンドウ内の全ての画素の画素値に基づいて行われ、前記ウィンドウが前記エッジ近傍に存在する場合に、前記ウィンドウが縮小されて前記注目画素が属する領域以外の領域を前記ウィンドウが避ける。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のムラ検査装置であって、前記ウィンドウが矩形である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のムラ検査装置であって、前記ウィンドウが正方形であって、前記ハイパスフィルタ部が、前記注目画素と前記エッジ中の各画素との間の行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値を求め、前記エッジ中の全画素に関する前記大きい方の値の最小値の2倍より1画素だけ小さい値を、前記ウィンドウの各辺の長さとする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査装置であって、前記ハイパスフィルタ部によるハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とする固定された大きさのウィンドウ内の画素のうち、前記注目画素が属する領域の画素の画素値のみに基づいて行われる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のムラ検査装置であって、前記ウィンドウが矩形である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、前記処理済画像に基づいて演算処理により前記対象物の濃淡ムラの程度を示す値を求めるムラ検出部をさらに備える。
【0013】
請求項8に記載の発明は、対象物から得られた対象画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査方法であって、対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出する工程と、前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行う工程と、前記ハイパスフィルタ処理が行われた後の前記対象画像のコントラストを強調して処理済画像を生成する工程と、前記処理済画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検出する工程とを備え、前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群が実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限される。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のムラ検査方法であって、前記ハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とするウィンドウ内の全ての画素の画素値に基づいて行われ、前記ウィンドウが前記エッジ近傍に存在する場合に、前記ウィンドウが縮小されて前記注目画素が属する領域以外の領域を前記ウィンドウが避ける。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のムラ検査方法であって、前記ウィンドウが矩形である。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のムラ検査方法であって、前記ウィンドウが正方形であって、前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記注目画素と前記エッジ中の各画素との間の行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値が求められ、前記エッジ中の全画素に関する前記大きい方の値の最小値の2倍より1画素だけ小さい値が、前記ウィンドウの各辺の長さとされる。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項8に記載のムラ検査方法であって、前記ハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とする固定された大きさのウィンドウ内の画素のうち、前記注目画素が属する領域の画素の画素値のみに基づいて行われる。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のムラ検査方法であって、前記ウィンドウが矩形である。
【0019】
請求項14に記載の発明は、対象物から得られた対象画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラをコンピュータに検査させるプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出する工程と、前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行う工程と、前記ハイパスフィルタ処理が行われた後の前記対象画像のコントラストを強調して処理済画像を生成する工程と、前記処理済画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検出する工程とを実行させ、前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群が実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、対象画像中のエッジ近傍におけるムラ検査の精度を向上することができる。請求項2および9の発明では、エッジ近傍におけるムラ検査の特性を他の部位と近似させることができる。
【0021】
請求項3、6、10および13の発明では、ウィンドウの設定を簡単に行うことができる。請求項4および11の発明では、注目画素が属する領域以外の領域を容易に避けてウィンドウを設定することができる。
【0022】
請求項5および12の発明では、エッジ近傍におけるムラ検査の精度をより向上することができる。また、ハイパスフィルタ処理を簡素化することができる。請求項7の発明では、エッジの影響を大幅に抑えつつ自動的に濃淡ムラの程度を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ検査装置1の構成を示す図である。ムラ検査装置1は、ガラス基板(以下、単に「基板」という。)9に塗布されたレジストの濃淡ムラ(以下、単に「ムラ」という。)を検査する装置であり、基板9には液晶表示装置用の複数のパネル用のパターンが面付けされている。
【0024】
ムラ検査装置1は、基板9を保持する光透過性のステージ2、ステージ2に保持された薄板状の基板9の図1中に示す(−Z)側の主面である下面に光を照射する光照射部3、基板9の(+Z)側の主面である上面を撮像する撮像部5、および、各種演算処理を行うコンピュータ4を備える。コンピュータ4は、撮像部5を制御するための専用のボードとして設けられた撮像制御部41、CPUやその周辺回路が各種演算処理を行う演算部42、および、メモリや固定ディスク等の各種情報を記憶する記憶部43を備える。記憶部43には、コンピュータ4に設けられた図示省略の読み取り装置を介して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体8から専用のプログラム81が読み出されて記憶され、CPUがプログラム81に従って演算処理を行うことにより、すなわち、コンピュータ4がプログラム81を実行することにより、コンピュータ4がムラ検査を行う。
【0025】
図2は、ステージ2および撮像部5を示す平面図である。撮像部5は、図2中のY方向に千鳥状に配列された複数(本実施の形態では10個)のCCDのラインセンサ51を有するヘッド部52、および、ヘッド部52をY方向に垂直なX方向に移動するヘッド部移動機構53を備え、撮像制御部41(図1参照)によりヘッド部移動機構53が制御されることにより、複数のラインセンサ51が一体的に移動し、ステージ2上に保持された基板9が撮像されて画像が取得される。ムラ検査装置1では、それぞれ5000個の撮像素子を有する10個のラインセンサ51が2mに亘って配列されており、各撮像素子により基板9上の40μm四方の領域が1画素として撮像される。基板9は、約2m四方の正方形であり、撮像部5により50000画素×50000画素の画像が取得される。
【0026】
図2に示すように、基板9には、液晶表示装置用の8つのパネルに対応するパターンが面付けされており、各パターンは、表示に利用される中央の部分(以下、「表示部91」と呼ぶ。)と、その外周に縁状に設けられた電極パターン形成用の電極部92とを有する。表示部91と電極部92とは光透過率が異なるため、基板9の画像では、表示部91に対応する領域、および、これに隣接する電極部92に対応する領域とで互いに濃淡の程度(以下、「濃度」という。)が異なる。同様に、電極部92の外側の周縁部93に対応する領域と電極部92に対応する領域とでも互いに濃度が異なる。
【0027】
図1に示すように、演算部42は、CPUがプログラム81に従って演算処理を実行することにより実現される機能として、撮像部5により取得された画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ。)に対する画像処理を行って処理済画像を生成する画像処理部421、および、処理済画像に基づいて演算処理により基板9のムラの程度を示す値を求めるムラ検出部422を備える。画像処理部421は、撮像画像を圧縮して第1画像を生成する画像圧縮部4211、第1画像に対してローパスフィルタ処理を行って第2画像を生成するローパスフィルタ部4212、濃度が異なる2つの領域の境界(例えば、表示部91と電極部92との境界)であるエッジを検出するエッジ検出部4213、第2画像に対してハイパスフィルタ処理を行って第3画像を生成するハイパスフィルタ部4214、および、第3画像のコントラストを強調して処理済画像を生成するコントラスト強調部4215を備える。
【0028】
図3は、ムラ検査装置1による基板9上のムラ検出動作の流れを示す図である。ムラ検査装置1では、まず、図1に示す光照射部3により、ステージ2に保持された基板9の下面に光が照射される(ステップS11)。続いて、ヘッド部移動機構53により図1中のX方向に移動する複数のラインセンサ51により基板9の上面が撮像され、撮像画像のデータがコンピュータ4の演算部42に送られて画像処理部421により受け付けられる(ステップS12)。撮像画像は高いS/N比(信号/雑音比)にて取得されることが好ましく、必要に応じて、複数のラインセンサ51の撮像素子毎の感度のばらつきに応じた補正が、撮像画像に対して行われてもよい。
【0029】
撮像画像が画像処理部421により受け付けられると、画像圧縮部4211により撮像画像が圧縮されて第1画像が生成される(ステップS13)。ここで、撮像画像において座標(X,Y)に位置する画素の画素値をFXYと表すと、撮像画像をs画素×s画素の範囲を単位として圧縮して生成された第1画像において、座標(x,y)に位置する注目画素の画素値Axyは、数1により求められる。
【0030】
【数1】

【0031】
本実施の形態ではsが4(画素)であるため、第1画像の画素数は12500画素×12500画素となり、第1画像のS/N比は撮像画像の4倍に向上する。
【0032】
第1画像が生成されると、ローパスフィルタ部4212により第1画像に対するローパスフィルタ処理が行われ、第1画像から高周波ノイズの影響が抑制されて平滑化された第2画像が生成される(ステップS14)。ローパスフィルタ処理の演算範囲を決定するウィンドウは、1辺の長さが(2s+1)画素の正方形であり、第2画像において座標(x,y)に位置する注目画素の画素値Lxyは、注目画素近傍の各画素の第1画像における画素値A(数1参照)を用いて、数2により求められる。本実施の形態では、sは1(画素)とされる。
【0033】
【数2】

【0034】
図4は、第2画像における1つのパネルに相当する領域の1つのコーナー近傍を拡大して示す図である。以下の説明では、表示部91および電極部92に対応する画像中の領域も単に「表示部91」および「電極部92」と表現する。図4中においてクロスハッチングを付して示す画素901は、表示部91と電極部92との境界であるエッジ900上の画素であり、以下、「エッジ画素901」という。図4中のエッジ900の右上側にて平行斜線を付して示す画素911は、表示部91上の画素であり、以下、「表示部画素911」という。また、エッジ900を挟んで表示部91とは反対側において異なる平行斜線を付して示す画素921は、電極部92上の画素であり、以下、「電極部画素921」という。図4に示すように、本実施の形態では、エッジ900は2画素分の幅を有するものとする。
【0035】
第2画像が生成されると、図1に示すエッジ検出部4213により、図4に示すエッジ900が検出されて、各エッジ画素901の座標が記憶部43に記憶される(ステップS15)。なお、エッジ検出は、ハイパスフィルタ処理の前であれば、ローパスフィルタ処理の前や解像度圧縮前に行われてもよい。続いて、ハイパスフィルタ部4214により、第2画像に対してハイパスフィルタ処理が行われ、第2画像から後述のコントラスト強調処理の妨げとなる低周波の濃度変動が除去された第3画像が生成される(ステップS16)。ここで、座標(x,y)に位置する注目画素の画素値Hxyは、注目画素近傍の各画素の第2画像における画素値L(数2参照)を用いて、数3にて求められる。
【0036】
【数3】

【0037】
数3は、ハイパスフィルタ処理の演算範囲を決定するウィンドウ(以下、「ハイパスウィンドウ」という。)として、注目画素を中心とする各辺の長さが(2s+1)画素の正方形のウィンドウが用いられる場合を示しており、本実施の形態では、sは可変とされ、最大で12(画素)とされる。
【0038】
図5は、ステップS16におけるハイパスフィルタ処理の流れを示す図である。ハイパスフィルタ部4214(図1参照)では、まず、1回のハイパスフィルタ処理の演算により値が求められる最初の注目画素が適宜選択され、注目画素の座標、および、記憶部43に記憶されたエッジ画素901の座標から、注目画素と各エッジ画素901との間の行方向(図4中の水平方向)の距離、および、列方向(図4中の垂直方向)の距離が求められ、各エッジ画素901について上記行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値が求められる(ステップS161)。そして、全エッジ画素901に関する当該大きい方の値の最小値が、注目画素とエッジ900との間の距離の最小値dとして、注目画素に関連づけられる。
【0039】
ハイパスフィルタ部4214では、注目画素がエッジ900近傍に存在しているか否かが確認され(ステップS162)、注目画素に関連づけられる最小値dが13(画素)以上である場合にはエッジ900から十分に離れていると判断され、sが最大値である12(画素)とされてハイパスウィンドウが所定の最大サイズ(すなわち、25画素四方)に設定される(ステップS163)。
【0040】
また、注目画素の最小値dが13画素未満である場合には、注目画素がエッジ900近傍に存在していると判断されて、sが(d−1)とされてハイパスウィンドウが縮小される(ステップS164)。このとき、縮小されたハイパスウィンドウはエッジ900に接する。なぜなら、仮に他のエッジ画素901がハイパスウィンドウ内に存在するとすれば、注目画素と当該他のエッジ画素901との間の行方向および列方向の距離のうち大きい方の値は、必ず最小値dより小さくなるため、さらにハイパスウィンドウが縮小されるからである。
【0041】
図6は、図4と同様に、第2画像における1つのパネルに相当する領域のコーナー近傍を拡大して示す図であり、各表示部画素911中の数値は、各表示部画素911とエッジ900との間の最小値dを示す。例えば、図6中に符号911aを付す表示部画素が注目画素である場合、注目画素911aと各エッジ画素901との間の行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値は常に2画素以上であるため、最小値dは2画素となり、sは1(画素)となる。そして、図6中に太線にて示すハイパスウィンドウ4214aの各辺の長さは、3画素(すなわち、(2s+1)画素とされ、最小値dを用いて表すと、(2d−1)画素)とされる。
【0042】
このように、ハイパスフィルタ部4214では、各辺の長さが(2s+1)画素である正方形のハイパスウィンドウ4214aが設定され、ハイパスウィンドウ4214aがエッジ900から十分に離れている場合には、ハイパスウィンドウ4214aは所定の最大サイズに固定され、エッジ900近傍に存在する場合には、ハイパスウィンドウ4214aが縮小されて注目画素911aが属する領域である表示部91以外の領域(すなわち、図6中ではエッジ900および電極部92)を避ける。
【0043】
その結果、ハイパスウィンドウ4214a内の全ての画素が、注目画素911aが属する領域内の画素である表示部画素911となり、その状態で、ハイパスウィンドウ4214a内の全ての画素の画素値に基づいてハイパスフィルタ処理が行われて第3画像における注目画素911aの画素値Hxy(数3参照)が求められる(ステップS165)。そして、注目画素を次の画素へと切り替えつつ順次ハイパスフィルタ処理が行われることにより第3画像が生成される(ステップS166,S167)。なお、注目画素911aがエッジ900上にある場合にはハイパスフィルタ処理は行われず、Hxyは1とされる。
【0044】
ハイパスフィルタ処理が完了すると、コントラスト強調部4215により第3画像に対してコントラスト強調処理が行われて処理済画像が生成され、処理済画像のデータが記憶部43に記憶される(図3:ステップS17)。処理済画像において座標(x,y)に位置する注目画素の画素値Exyは、第3画像における注目画素の画素値Hxy、コントラスト強調比r、および、背景値bを用いて、数4にて求められる。本実施の形態では、rは0.01,0.02,0.05または0.1とされる。
【0045】
【数4】

【0046】
図7は、撮像画像の一部を示す図である。図7中のエッジ900の左側の領域は電極部92を示し、右側の領域は表示部91を示す。また、電極部92および表示部91に付す平行斜線の間隔の違いは両領域の濃度の違いを示し、間隔が狭い電極部92の濃度が表示部91よりも高いことを示す。
【0047】
図8は、図7に示す撮像画像に対して上述の画像処理が行われて生成された処理済画像の一部を示す図である。図8に示すように、処理済画像では、例えば、撮像画像では確認困難な水平なスジムラ95が強調される。図9は、エッジ900近傍においてもハイパスウィンドウ4214aの大きさを固定したまま、ハイパスウィンドウ4214a内の全ての画素に基づいてハイパスフィルタ処理を行った場合の処理済画像を比較例として示す図である。
【0048】
比較例では、エッジ900近傍の画素に対して、濃度が大きく異なる2つの領域(すなわち、図7中の表示部91および電極部92)の双方の画素の画素値に基づいてハイパスフィルタ処理が行われるため、図9に示すように、水平なスジムラ95を確認することはできるが、画素値が飽和した領域(すなわち、コントラスト強調処理により画素値が計算上0未満または最大値以上となる領域)94がエッジ900近傍に生成されてしまう。以下、画素値の飽和によりムラの検出ができない領域94を、「ムラ検出不能領域」という。このようなムラ検出不能領域94が生じる原因は、エッジ900の両側の画素を用いてハイパスフィルタ処理を行うため、エッジ900を横切る方向に関する画素値の変動が強調されるためである。
【0049】
一方、ムラ検査装置1では、大きさが可変であるハイパスウィンドウ4214aを用いることにより、エッジ900を挟んで注目画素とは反対側の領域に存在する画素の画素値を用いずにハイパスフィルタ処理を行うため、図8に示すように、比較例に比べてエッジ900(図8に示す処理済画像中では明確なエッジとしては認識されないため、二点鎖線にて示す。)近傍においてムラ検出不能領域94(図8中にて破線にて挟まれる領域)を縮小することができ、エッジ900近傍におけるムラ検査の精度を向上することができる。
【0050】
コントラスト強調処理が完了すると、図1に示すムラ検出部422により処理済画像のデータに対して演算処理が行われ、基板9の全面に亘ってムラが点在する全体ムラ、基板9上の一部に部分的にムラが存在する部分ムラ、および、行方向または列方向に線状のムラが生じるスジムラの各種ムラについてムラの程度(いわゆる、ムラ強度)が定量化され、ムラの程度を示す値である評価値が算出される(ステップS18)。以下、各種ムラについての評価値の求め方について説明する。
【0051】
全体ムラの評価値が求められる際には、まず、ムラ検出部422により、処理済画像中に所定の大きさにて並べられた正方形の評価領域のそれぞれに対してFFT(高速フーリエ変換)が行われ、数5に示すようにスペクトルFuvが求められる。ここで、kは、対象とされる評価領域が、処理済画像における全評価領域のうちk番目の評価領域であることを示す添え字であり、(xk0,yk0)および(xk1,yk1)は、k番目の評価領域を規定する頂点の画素の座標である。また、sは、数6に示すように、評価領域の1辺の長さであり、本実施の形態では、sは64(画素)または128(画素)とされる。
【0052】
【数5】

【0053】
【数6】

【0054】
そして、スペクトルFuvのうち、低周波の所定の周波数帯域のパワーが数7に示すように積算され、k番目の評価領域についての全体ムラの評価値Pが求められる。ここで、λおよびλはそれぞれ、積算範囲の周波数の下限および上限である。以上の処理により、ムラ検出部422では、処理済画像の各評価領域について順次、評価値Pが求められる。
【0055】
【数7】

【0056】
また、全体ムラの評価値として、処理済画像の各評価領域の画素値の標準偏差が用いられてもよい。この場合、k番目の評価領域の評価値Pは、ムラ検出部422により数8により求められる。ここで、評価領域の大きさおよび形状は数5および数6の場合と同様であるものとし、パラメータk、(xk0,yk0)および(xk1,yk1)を同様に数8にて用いているが、評価領域の形状は正方形には限定されず、矩形や円等の他の形状とされてもよい(以下の他の評価値の説明においても適宜、これらのパラメータを利用する。)。nは、数9に示すように、k番目の評価領域の画素数を示す。
【0057】
【数8】

【0058】
【数9】

【0059】
部分ムラについては、例えば、ムラ検出部422により、処理済画像の全画素の画素値の平均値(以下、「全画素平均値」という。)AVEが数10に示す演算により求められ、当該平均値から所定値だけ大きい(または、小さい)閾値により全画素が2値化された上で、所定の大きさ以上の連結領域(すなわち、同じ値を有する複数の画素が連結している領域)の個数が部分ムラの評価値として算出される。ここで、(wid+1)および(hei+1)は、処理済画像の行方向および列方向の画素数であり、本実施の形態では、上述のように、双方とも12500(画素)となる。
【0060】
【数10】

【0061】
また、部分ムラの評価値として、全体ムラの評価値算出時の評価領域より小さい正方形(または矩形)の評価領域毎に画素値の平均値が求められ、評価領域の平均値の標準偏差が求められてもよい。あるいは、各評価領域内のエッジの数が部分ムラの評価値とされてもよい。
【0062】
スジムラの評価値が求められる際には、まず、ムラ検出部422により、処理済画像に対してローパスフィルタ処理が行われて第4画像が生成される。ローパスフィルタのウィンドウは、1辺の長さが(2s+1)画素の正方形であり、第4画像において座標(x,y)に位置する注目画素の画素値Lxyは、注目画素近傍の各画素の処理済画像における画素値E(数4参照)を用いて、数11により求められる。本実施の形態では、sは1(画素)とされる。
【0063】
【数11】

【0064】
そして、ムラ検出部422により、全体ムラの評価値算出と同様に規定される正方形の評価領域について、数12に示すように、各行についてそれぞれ求められた行方向の投影値のうちの最大値が、行方向のスジムラ(いわゆる、水平ムラ)の評価値Phlとして算出される。ここで、評価領域の何行目かを示す添え字Yは、yk0〜yk1の値を取る。また、bは数4と同様に背景値である。
【0065】
【数12】

【0066】
同様に、数13に示すように、評価領域の各列についてそれぞれ求められた列方向の投影値のうちの最大値が、列方向のスジムラ(いわゆる、垂直ムラ)の評価値Pvlとして算出される。ここで、評価領域の何列目かを示す添え字Xは、xk0〜xk1の値を取る。
【0067】
【数13】

【0068】
また、スジムラの他の評価値として、検出すべきスジムラと平行な方向に長い矩形の評価領域における画素値の平均値が求められ、評価領域の平均値の標準偏差が用いられてもよい。
【0069】
ムラ検出部422では、上述のように算出された各種ムラに対する基板9の評価値と、記憶部43に予め記憶されている各種ムラに関する閾値とが比較され、いずれかの評価値が対応する閾値を超えた場合に、当該評価値に対応する種類のムラが検出される(ステップS19)。
【0070】
以上に説明したように、ムラ検査装置1では、ハイパスフィルタ部4214が、第3画像中の一の注目画素(すなわち、処理済画像を生成する際の演算対象とされる画素)の画素値を求める際に、図6に示す第2画像中において演算に利用される画素群を、ハイパスウィンドウ4214a内の画素、すなわち、注目画素911aが属する領域である表示部91内の表示部画素911に実質的に制限することにより、エッジ900近傍におけるムラ検査の精度を向上することができる。
【0071】
また、エッジ900近傍においてハイパスウィンドウ4214aが縮小されて、注目画素911aが属する領域以外の領域を避けることにより、エッジ900近傍においても、注目画素911aがハイパスフィルタ処理に利用される複数の画素のほぼ中心に位置するため、エッジ900近傍におけるムラ検査の特性を、エッジ900から十分離れた領域におけるムラ検査の特性と近似させることができる。さらには、ハイパスウィンドウ4214aを正方形とし、各辺の長さを、注目画素911aとエッジ画素901との間の行方向および列方向の距離のうち大きい方の値の最小値の2倍より1画素だけ小さくすることにより、注目画素911aが属する領域以外の領域を容易に避けてハイパスウィンドウ4214aを設定することができる。
【0072】
さらに、ムラ検査装置1では、ムラ検出部422による演算処理により、エッジ900の影響を大幅に抑えつつ自動的に基板9のムラの程度を示す評価値を取得することができる。
【0073】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るムラ検査装置について説明する。第2の実施の形態に係るムラ検査装置の装置構成は、図1に示すムラ検査装置1と同様であり、以下、各構成要素に同符号を付す。また、第2の実施の形態におけるムラ検出動作も、ハイパスフィルタ部4214によるハイパスフィルタ処理の方法が異なることを除き、第1の実施の形態と同様である。
【0074】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置によりムラ検査が行われる際には、まず、図1に示す光照射部3により基板9に光が照射され(図3:ステップS11)、撮像部5により取得された撮像画像のデータが画像処理部421により受け付けられる(ステップS12)。続いて、画像圧縮部4211により撮像画像が圧縮されて第1画像が生成され(ステップS13)、ローパスフィルタ部4212によりローパスフィルタ処理が行われて第2画像が生成される(ステップS14)。次に、エッジ検出部4213によりエッジ900が検出されて、各エッジ画素901の座標が記憶部43に記憶された後、ハイパスフィルタ部4214により第2画像に対するハイパスフィルタ処理が行われて第3画像が生成される(ステップS15,S16)。これらの処理は第1の実施の形態の場合と同様である。
【0075】
図10は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置によるハイパスフィルタ処理の流れを示す図である。図11は、図4と同様に、第2画像における1つの表示部91のコーナー近傍を拡大して示す図である。ハイパスフィルタ部4214では、まず、ハイパスフィルタ処理の範囲を決定するために、注目画素911aを中心とする正方形のハイパスウィンドウ4214a(図11中に太い破線にて示す。)が設定される(ステップS161a)。ハイパスウィンドウ4214aの大きさは固定されており、各辺の長さは第1の実施の形態における最大サイズのハイパスウィンドウ4214aと同様に25画素(すなわち、各辺の長さを(2s+1)画素とした場合、sが12(画素)となる。)とされるが、図11では、図示の都合上、7画素として描いている。
【0076】
ハイパスウィンドウ4214aが設定されると、注目画素911aおよびエッジ画素901の座標に基づいて、ハイパスウィンドウ4214a内の画素のうち、注目画素911aが属する領域である表示部91内の画素(すなわち、表示部画素911)であって、エッジ900に妨げられずに注目画素911aと連結している画素群により形成される領域(図11中に太い実線にて示す領域であり、以下、「連結領域」という。)4214bが特定される。そして、ハイパスフィルタ部4214により、数14に示すように、第2画像の連結領域4214b内の画素の画素値L(数2参照)のみに基づいてハイパスフィルタ処理が行われ、第3画像における注目画素911aの画素値Hxyが求められる(ステップS162a)。ここで、mxyは、連結領域4214b内の画素数である。
【0077】
【数14】

【0078】
そして、第2画像の各画素について順次ハイパスフィルタ処理が行われて第3画像が生成される(ステップS163a,S164a)。なお、注目画素911aがエッジ900上にある場合にはハイパスフィルタ処理は行われず、Hxyは1とされる。
【0079】
ハイパスフィルタ処理が完了すると、コントラスト強調部4215により第3画像に対してコントラスト強調処理が行われて処理済画像が生成され、処理済画像のデータが記憶部43に記憶される(図3:ステップS17)。続いて、ムラ検出部422により処理済画像のデータに対して演算処理が行われ、既述のように、基板9の全体ムラ、部分ムラおよびスジムラの評価値が算出される(ステップS18)。そして、各種ムラに対する基板9の評価値と、記憶部43に予め記憶されている各種ムラに関する閾値とが比較され、いずれかの評価値が対応する閾値を超えた場合に、当該評価値に対応する種類のムラが検出される(ステップS19)。
【0080】
図12は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置により画像処理が行われて生成された処理済画像の一部を示す図である。図12に示すように、第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、スジムラ95に関するムラ検出不能領域94(図12中にて破線にて挟まれる領域)をエッジ900に対応する領域(すなわち、図11の例の場合は2画素分の幅の領域)にまで縮小することができる。
【0081】
以上に説明したように、第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、エッジ900に隣接する注目画素911aについても、注目画素911a近傍の多くの画素に基づいてハイパスフィルタ処理を行うことができるため、エッジ900近傍におけるムラ検査の精度をより向上することができる。また、ハイパスウィンドウ4214aの大きさを固定することにより、ハイパスフィルタ処理を簡素化することができる。
【0082】
第2の実施の形態に係るムラ検査装置では、第1の実施の形態と同様に、ハイパスフィルタ部4214が、第3画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、図11に示す第2画像中において演算に利用される画素群を、連結領域4214b内の画素、すなわち、実質的に注目画素911aが属する領域である表示部91内の画素に制限することにより、エッジ900近傍におけるムラ検査の精度を向上することができる。また、ムラ検出部422による演算処理により、エッジ900の影響を大幅に抑えつつ自動的に基板9のムラの程度を示す評価値を取得することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0084】
例えば、撮像部5では、ラインセンサ51に代えて2次元CCDセンサが撮像子として設けられてもよい。また、上記実施の形態では、光照射部3による光の照射が基板9を挟んで撮像部5と反対側から行われ、基板9を透過した光が撮像部5に入射するが、光の照射が撮像部5と同じ側から行われ、基板9にて反射した光が撮像部5に入射する構造とされてもよい。なお、基板9の撮像に十分な明るさの他の光源(例えば、ムラ検査を行う現場の通常の照明)が存在する場合には、光照射部3は省略されてもよい。
【0085】
注目画素911aは、ハイパスウィンドウ4214aのほぼ中心とされるのであれば、ハイパスウィンドウ4214aの各辺の画素数は偶数であってもよい。また、ハイパスウィンドウ4214aは、必ずしも正方形には限定されず、矩形や円等の他の形状であってもよいが、ハイパスウィンドウ4214aの設定を簡単に行うことができるという点では、矩形とされることが好ましい。
【0086】
ハイパスフィルタ部4214では、ハイパスウィンドウ4214aを大きくしても処理速度を一定に保つことができるという観点からは、ハイパスフィルタ処理として数3に示すような全平均処理が行われることが好ましいが、他の様々な処理、例えば、加重平均処理やメディアンフィルタ処理が行われてもよい。また、第2画像をフーリエ変換する等して周波数空間に移し、低周波成分のパワーを削除した後、再度画像データに逆変換することにより第3画像が生成されてもよい。
【0087】
画像処理部421による画像処理では、ハイパスフィルタ処理の前に撮像画像に対する圧縮処理およびローパスフィルタ処理が行われているが、撮像画像のS/N比が高い場合や高周波ノイズの影響が小さい場合には、これらの処理は省略されてもよい。逆に、各ステップの間に適宜、他の処理が挿入されてもよい。
【0088】
上記実施の形態に係るムラ検査装置は、例えば、カラーブラウン管用のシャドウマスクのように多数の透孔が配列形成された透孔板の光透過率のムラ検査等、様々な他の対象物の様々なムラ検査に利用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態に係るムラ検査装置の構成を示す図である。
【図2】ステージおよび撮像部を示す平面図である。
【図3】ムラ検出動作の流れを示す図である。
【図4】第2画像の一部を拡大して示す図である。
【図5】ハイパスフィルタ処理の流れを示す図である。
【図6】第2画像の一部を拡大して示す図である。
【図7】撮像画像の一部を示す図である。
【図8】処理済画像の一部を示す図である。
【図9】比較例の処理済画像の一部を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係るムラ検査装置によるハイパスフィルタ処理の流れを示す図である。
【図11】第2画像の一部を拡大して示す図である。
【図12】処理済画像の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 ムラ検査装置
2 ステージ
4 コンピュータ
5 撮像部
9 基板
91 表示部
92 電極部
95 スジムラ
421 画像処理部
422 ムラ検出部
900 エッジ
911 表示部画素
911a 注目画素
4213 エッジ検出部
4214 ハイパスフィルタ部
4214a ハイパスウィンドウ
4215 コントラスト強調部
S11〜S19,S161〜S167,S161a〜S164a ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査装置であって、
対象物を保持する保持部と、
前記対象物の一の主面を撮像する撮像部と、
前記撮像部にて取得された対象画像に画像処理を行って処理済画像を生成する画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部が、
前記対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出するエッジ検出部と、
前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行うハイパスフィルタ部と、
前記ハイパスフィルタ部により処理された後の前記対象画像のコントラストを強調するコントラスト強調部と、
を備え、
前記ハイパスフィルタ部が、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群を実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限することを特徴とするムラ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のムラ検査装置であって、
前記ハイパスフィルタ部によるハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とするウィンドウ内の全ての画素の画素値に基づいて行われ、前記ウィンドウが前記エッジ近傍に存在する場合に、前記ウィンドウが縮小されて前記注目画素が属する領域以外の領域を前記ウィンドウが避けることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のムラ検査装置であって、
前記ウィンドウが矩形であることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載のムラ検査装置であって、
前記ウィンドウが正方形であって、前記ハイパスフィルタ部が、前記注目画素と前記エッジ中の各画素との間の行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値を求め、前記エッジ中の全画素に関する前記大きい方の値の最小値の2倍より1画素だけ小さい値を、前記ウィンドウの各辺の長さとすることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載のムラ検査装置であって、
前記ハイパスフィルタ部によるハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とする固定された大きさのウィンドウ内の画素のうち、前記注目画素が属する領域の画素の画素値のみに基づいて行われることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のムラ検査装置であって、
前記ウィンドウが矩形であることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のムラ検査装置であって、
前記処理済画像に基づいて演算処理により前記対象物の濃淡ムラの程度を示す値を求めるムラ検出部をさらに備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項8】
対象物から得られた対象画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検査するムラ検査方法であって、
対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出する工程と、
前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行う工程と、
前記ハイパスフィルタ処理が行われた後の前記対象画像のコントラストを強調して処理済画像を生成する工程と、
前記処理済画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検出する工程と、
を備え、
前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群が実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限されることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載のムラ検査方法であって、
前記ハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とするウィンドウ内の全ての画素の画素値に基づいて行われ、前記ウィンドウが前記エッジ近傍に存在する場合に、前記ウィンドウが縮小されて前記注目画素が属する領域以外の領域を前記ウィンドウが避けることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載のムラ検査方法であって、
前記ウィンドウが矩形であることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項11】
請求項10に記載のムラ検査方法であって、
前記ウィンドウが正方形であって、前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記注目画素と前記エッジ中の各画素との間の行方向および列方向の距離のうちの大きい方の値が求められ、前記エッジ中の全画素に関する前記大きい方の値の最小値の2倍より1画素だけ小さい値が、前記ウィンドウの各辺の長さとされることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項12】
請求項8に記載のムラ検査方法であって、
前記ハイパスフィルタ処理が、前記注目画素をほぼ中心とする固定された大きさのウィンドウ内の画素のうち、前記注目画素が属する領域の画素の画素値のみに基づいて行われることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載のムラ検査方法であって、
前記ウィンドウが矩形であることを特徴とするムラ検査方法。
【請求項14】
対象物から得られた対象画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラをコンピュータに検査させるプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
対象画像において互いに異なる濃度の領域の境界であるエッジを検出する工程と、
前記対象画像にハイパスフィルタ処理を行う工程と、
前記ハイパスフィルタ処理が行われた後の前記対象画像のコントラストを強調して処理済画像を生成する工程と、
前記処理済画像に基づいて前記対象物の濃淡ムラを検出する工程と、
を実行させ、
前記ハイパスフィルタ処理を行う工程において、前記処理済画像中の一の注目画素の画素値を求める際に、前記対象画像中において演算に利用される画素群が実質的に前記注目画素が属する領域の画素に制限されることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−105884(P2006−105884A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295672(P2004−295672)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】