説明

リフロー半田付け装置

【課題】加熱コストを低減することにより、リフロー半田付け装置の消費エネルギーの低減を図り、ランニングコストを低減するとともに、リフロー半田付け装置の立上げ時間を短くすることで、未使用時のリフロー半田付け装置の電源投入をなくし、エネルギーの浪費を少なくすることができ、リフロー半田付けの品質向上を図るリフロー半田付け装置を提供する事を目的とするものである。
【解決手段】クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板4を搬送する搬送部1と、前記配線基板を加熱する加熱部2と、前記加熱部2に不活性ガス19を供給する不活性ガス供給部3とからなるリフロー半田付け装置において、加熱部2にガス燃焼方式を用いたチューブヒータ5を用いる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を加熱し、クリーム半田を溶融し、電子部品の半田付けを行うリフロー半田付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリフロー半田付け装置の断面図を図5に示す。図5において、配線基板31は搬送装置32により加熱部33へと搬送される。加熱部33に搬送された配線基板31は、搬送装置32の上下に設置されたパネルヒータ34により加熱され、配線基板31上のクリーム半田が溶融する。配線基板31を加熱し、クリーム半田を溶融、硬化する際、クリーム半田の品質を安定化するため、加熱部33の加熱手段として、クリーム半田と反応を生じないクリーンな加熱源が必要であり、一般的にパネルヒータ34が用いられる。配線基板31は搬送装置32により加熱部33の出口に搬送され、配線基板31の温度が低下する。配線基板31上のクリーム半田は硬化を始め、配線基板31が加熱部33から搬出されると、配線基板31上のクリーム半田は完全に硬化し、半田付けが終了する。クリーム半田が硬化する際、窒素ガス供給ノズル35から窒素ガスを供給し、低酸素濃度雰囲気中で半田付けを行うことで、配線基板31の半田付け後の無洗浄化が図られている。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2000−133928号公報
【特許文献2】特開平8−116167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、配線基板31の加熱はパネルヒータ34で行うが、パネルヒータ34は電気ヒータであり、エネルギー消費が多く、リフロー半田付け装置の消費エネルギーの大半を占め、ランニングコストが高いという問題があった。また、パネルヒータ34は温度上昇が遅く、加熱部33が所定の温度に到達するまでに長時間必要で、リフロー半田付け装置の電源をONして稼動できるようになるには、数時間必要である。一方、リフロー半田付け作業は、品質を安定させるため、まとめて作業するバッチ式で行われるが、リフロー半田付け装置の立上げには長時間かかるため、リフロー半田付け装置を使用しないときも、リフロー半田付け装置に電源を入れておかなければならず、大量のエネルギーを浪費するという課題も有していた。また、クリーム半田が硬化する際に供給する窒素ガス等の不活性ガスは高価であるという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決しようとするものであり、加熱コストを低減することにより、リフロー半田付け装置の消費エネルギーの低減を図り、ランニングコストを低減するとともに、リフロー半田付け装置の立上げ時間を短くすることで、未使用時のリフロー半田付け装置の電源投入を防止し、エネルギーの浪費を少なくすることができ、リフロー半田付けの品質向上を図るリフロー半田付け装置を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、特に、クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を搬送する搬送部と、前記配線基板を加熱する加熱部と、前記加熱部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部とからなるリフロー半田付け装置において、加熱部にガス燃焼方式を用いたチューブヒータを用いるという構成を有しており、これにより、ヒータのエネルギー源を電気からガスに変更することができ、ガスを加熱部で直接燃焼するのではなく、チューブ内で燃焼するため、リフロー半田付けの品質を低下させることなく、リフロー半田付け装置のランニングコストを低減できるとともに、リフロー半田付け装置の立上げ時間を短縮し、リフロー半田付け装置の未使用時の電源投入をなくし、エネルギーロスの低減を図ることができるという作用効果を有する。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、チューブヒータのチューブの両端に蓄熱体を備えたバーナーを配置し、その両端に対し交互に燃焼させる方式とするという構成を有しており、これにより、リフロー半田付け装置の消費エネルギーを削減することができ、ランニングコストの低減を図ることができるという効果を有する。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、加熱部でガスを燃焼した際に発生する排気ガスを不活性ガスとして用いるという構成を有しており、これにより、精製した窒素ガス等の不活性ガスの使用量を削減することができ、リフロー半田付け装置のランニングコストの低減を図ることができるとともに、窒素ガスは高価なため、クリーム半田の硬化前にのみ使用していた不活性ガスの供給を、クリーム半田の加熱時にも供給することで、クリーム半田付けの品質を向上することができるという作用効果を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリフロー半田付け装置は、クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を搬送する搬送部と、前記配線基板を加熱する加熱部と、前記加熱部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部とからなるリフロー半田付け装置において、加熱部にガス燃焼方式を用いたチューブヒータを用いるという構成であり、リフロー半田付け品質を低下させることなく、リフロー半田付け装置のランニングコストを低減できるとともに、リフロー半田付け装置の立上げ時間を短縮し、リフロー半田付け装置の未使用時の電源投入をなくし、エネルギーロスの低減を図ることができる。また、チューブヒータのチューブの両端に蓄熱体を備えたバーナーを配置し、その両端に対し交互に燃焼させる方式とするという構成であり、他のガス燃焼方式を用いたチューブヒータよりも消費エネルギーを削減することができ、リフロー半田付け装置のランニングコストを低減できる。また、加熱部でガスを燃焼した際に発生する排気ガスを不活性ガスとして用いるという構成であり、リフロー半田付けの品質を向上することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2および3に記載の発明について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるリフロー半田付け装置の断面図である。
【0013】
図1において、リフロー半田付け装置は、搬送部1、加熱部2、不活性ガス供給部3から構成されている。加熱部2には、搬送部1の上下両側にラジアントチューブヒータ5が配置され、さらに上方には、循環ファン6が取り付けられている。不活性ガス供給部3には、加熱部2の内部に配置され、搬送部1の上下両側に不活性ガス供給ノズル7が取り付けられている。加熱部2の内部は、仕切り板22により区分けされており、加熱部2は、所定の加熱温度設定が可能な複数の槽24で構成されている。図2は、本発明の実施の形態1におけるラジアントチューブヒータの概略図である。ラジアントチューブヒータ5は、チューブの両端に蓄熱体8a、8bを備えたバーナーを配置し、その両端から交互に燃焼させる方式のチューブヒータである。図2において、ラジアントチューブヒータ5は、チューブ16の両端に蓄熱体8a、8bを備えたバーナー25が取り付けられており、蓄熱体8a、8bの先には排気ガス管9および空気供給管10が接合されており、チューブ16の蓄熱体8a、8bの手前にはガス供給管11が接合されている。排気ガス管9、空気供給管10、ガス供給管11は、それぞれ1つの管から枝分かれした構造となっており、枝分かれした排気ガス管9、空気供給管10、ガス供給管11はそれぞれ蓄熱体8a側、8b側につながっている。排気ガス管9、空気供給管10、ガス供給管11の分岐点には三方弁12がそれぞれ取り付けられている。図3は、本発明の実施の形態1における不活性ガス供給部の概略図である。不活性ガス供給部3は不活性ガス製造装置18をはさんで排気ガス管9に接続されている。不活性ガス製造装置18に不活性ガス供給管20が接続されていて、不活性ガス供給管20の先端には不活性ガス供給ノズル7が取り付けられている。図1において、不活性ガス供給ノズル7は、加熱部2の配線基板4の上下に配置されており、加熱部2の複数の槽24のそれぞれに設置されている。
【0014】
次に本発明の実施の具体的な動作について説明する。図1において、配線基板4は搬送部1により搬送され、加熱部2の入口21までくる。加熱部2に入った配線基板4は、上下に設置されたラジアントチューブヒータ5により加熱される。加熱部2の槽24は、それぞれ温度設定できるようになっており、循環ファン6により、ラジアントチューブヒータ5の輻射熱を攪拌することで、各区画の温度分布の均一化を図ることができる。加熱部2の各槽24に設けられた不活性ガス供給ノズル7から不活性ガス19を供給することで、配線基板4に塗布されたクリーム半田の酸化等の品質低下を防止する。加熱部2の各槽で所定の温度に加熱された配線基板4のクリーム半田は溶融、硬化し、加熱部2の出口23から配線基板4が搬出されリフロー半田付けが終了する。図4(a)は、時刻t1でのラジアントチューブヒータの動作模式図である。排気ガス管9の三方弁12は蓄熱体8b側が開き、蓄熱体8a側が閉じている。空気供給管10およびガス供給管11の三方弁12はどちらも蓄熱体8a側が開き、蓄熱体8b側が閉じている。空気14、ガス15が蓄熱体8a側から供給され、点火装置(図示せず)によりガス15が燃焼し、燃焼ガス17が発生する。燃焼後の排気ガス13は蓄熱体8bに移動し、蓄熱体8bを通過して、排気ガス管9を通って、開いた排気ガス管9の三方弁12から排出される。蓄熱体8bを排気ガス13が通過する際、蓄熱体8bは排気ガス13により加熱される。図4(b)は、時刻t1から数十秒後のラジアントチューブヒータの動作模式図である。排気ガス管9の三方弁12は蓄熱体8a側が開き、蓄熱体8b側が閉じている。空気供給管10およびガス供給管11の三方弁12はどちらも蓄熱体8b側が開き、蓄熱体8a側が閉じている。空気14、ガス15が蓄熱体8b側から供給され、点火装置(図示せず)によりガス15が燃焼し、燃焼ガス17が発生する。燃焼後の排気ガス13は蓄熱体8aに移動し、蓄熱体8aを通過して、排気ガス管9を通って、開いた排気ガス管9の三方弁12から排出される。蓄熱体8aを排気ガス13が通過する際、蓄熱体8aは排気ガス13により加熱され、ガス15が燃焼するのに使用される空気14は、加熱された蓄熱体8bを通過する際、加熱される。数十秒ごとに排気ガス管9、空気供給管10およびガス供給管11の三方弁12が交互に切り替えられ、図4(a)と図4(b)の状態が交互に繰り返される。加熱部2の各槽24の温度は、空気供給管10の三方弁12およびガス供給管11の三方弁12の開閉により供給される空気14およびガス15の量を変えることで変更可能である。加熱部2にラジアントチューブヒータ5を用いているため、排気ガス13、空気14、ガス15は、密閉されたラジアントチューブヒータ5内を移動する。そのため、加熱部2に排気ガス13、空気14、ガス15が排出されることはなく、排気ガス13、空気14、ガス15が配線基板4上のクリーム半田と反応することによる半田付け品質の低下を防止することができる。加熱部2のエネルギー源はガス15であるため電気ヒータよりもコストを低減することができる。また、空気14は蓄熱体8aまたは蓄熱体8bにより加熱されるため、空気14がラジアントチューブ16内に供給された際に、空気14によるラジアントチューブ16の温度低下を防止することができ、リフロー半田付け装置の消費エネルギーを削減することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。リフロー半田付け装置の運転開始とともに、ガス15の燃焼が始まり、1000℃以上の燃焼ガス17が得られ、加熱部2は所定の温度まで急速に昇温される。そのため、リフロー半田付け作業を行うときだけ、リフロー半田付け装置を運転すればよく、リフロー半田付け作業がないときは、リフロー半田付け装置を停止することができ、リフロー半田付け装置のエネルギーの浪費を防止することができる。
【0015】
また、図3において、ラジアントチューブヒータ5の排気ガス管9から排出された排気ガス13は、不活性ガス製造装置18により不活性ガス19となる。不活性ガス19は、不活性ガス供給管20から送出され、不活性ガス供給ノズル7から配線基板4に供給される。排気ガス13は、ガス15が空気14と混合して燃焼したあとのガスであり、燃焼時、空気中の酸素が消費され、二酸化炭素、水などの不活性物質に変化するため、排気ガス13の大部分は不活性ガス19となる。排気ガス13中のわずかな酸素および一酸化炭素は、不活性ガス製造装置18により除去するが、空気中に含まれる量に比べて極めて少ないため、容易に酸素および一酸化炭素を除去でき、不活性ガス19を容易に得ることができる。そのため、リフロー半田付け装置のランニングコストの低減を図ることができる。また、安いコストで不活性ガス19を使用することができるため、加熱部2全体に不活性ガス19を供給することができ、リフロー半田付け品質を安定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明にかかるリフロー半田付け装置は、クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を搬送する搬送部と、前記配線基板を加熱する加熱部と、前記加熱部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部からなるリフロー半田付け装置において、加熱部にガス燃焼方式を用いたチューブヒータを用いるという構成であり、リフロー半田付け品質を低下させることなく、リフロー半田付け装置のランニングコストを低減できるとともに、リフロー半田付け装置の使用可能状態までの立上げ時間を短縮し、リフロー半田付け装置の未使用時の電源投入をなくし、エネルギーロスの低減を図ることができる。また、チューブヒータのチューブの両端に蓄熱体を備えたバーナーを配置し、その両端から交互に燃焼させる方式とするという構成であり、他のガス燃焼方式を用いたチューブヒータよりも消費エネルギーを削減することができ、リフロー半田付け装置のランニングコストを低減できる。また、加熱部でガスを燃焼した際に発生する排気ガスを不活性ガスとして用いるという構成であり、リフロー半田付けの品質を向上することができる。また、加熱部で生じる燃焼ガスを不活性ガスとして用いる構成であり、リフロー半田付けの品質を向上することができるという効果を有し、クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を加熱し、クリーム半田を溶融し、半田付けを行うなどの用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1におけるリフロー半田付け装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるラジアントチューブヒータの概略図
【図3】本発明の実施の形態1における不活性ガス供給部の概略図
【図4】(a)時刻t1でのラジアントチューブヒータの動作模式図、(b)時刻t1から数十秒後のラジアントチューブヒータの動作模式図
【図5】従来のリフロー半田付け装置の断面図
【符号の説明】
【0018】
1 搬送部
2 加熱部
3 不活性ガス供給部
4 配線基板
5 ラジアントチューブヒータ
6 循環ファン
7 不活性ガス供給ノズル
8a、8b 蓄熱体
9 排気ガス管
10 空気供給管
11 ガス供給管
12 三方弁
13 排気ガス
14 空気
15 ガス
16 チューブ
17 燃焼ガス
18 不活性ガス製造装置
19 不活性ガス
20 不活性ガス供給管
21 入口
22 仕切り板
23 出口
24 槽
25 バーナー
31 配線基板
32 搬送装置
33 加熱部
34 パネルヒータ
35 窒素ガス供給ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーム半田を介して電子部品を装着した配線基板を搬送する搬送部と、前記配線基板を加熱する加熱部と、前記加熱部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部とからなるリフロー半田付け装置において、加熱部にガス燃焼方式を用いたチューブヒータを用いることを特徴とするリフロー半田付け装置。
【請求項2】
チューブヒータのチューブの両端に蓄熱体を備えたバーナーを配置し、チューブの両端を交互に燃焼させる方式とする請求項1に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項3】
加熱部でガスを燃焼した際に発生する排気ガスを不活性ガスとして用いることを特徴とする請求項1に記載のリフロー半田付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−42070(P2008−42070A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216866(P2006−216866)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】