説明

リーク電流モニタ、リーク電流モニタ方法、及び、半導体装置の製造方法

【課題】 リーク電流モニタ、リーク電流モニタ方法、及び、半導体装置の製造方法に関し、複数種類のデバイス特性をできるかぎり同じ構造のモニタで評価する。
【解決手段】 形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置するとともに、前記複数種類のトランジスタの内、設計データにおける設置頻度の比を反映した数のトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリーク電流モニタ、リーク電流モニタ方法、及び、半導体装置の製造方法に関するものであり、例えば、半導体装置の性能を最適化するためのリーク電流のモニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ASIC製品、特に、モバイル系製品では、低消費電力が求められており、その中でも非動作時の電力、即ち、待機電力の低減が重要なファクターになっている。この待機電力はトランジスタのリーク電流が支配的である。
【0003】
ここで、図11を参照して、半導体生産工程を説明する。図11は、従来の半導体生産工程のフローチャートであり、
.まず、予め設定した工程で半導体装置を製造する。
.次いで、半導体ウェーハの状態でのウェーハソート試験を行う。ここでは、冗長試験、ロジック回路やメモリ回路等への環境負荷試験、或いは、周波数/リーク試験を行う。
.半導体ウェーハをチップにダイシングする。
.ダイシングされた良品の半導体チップを選択してパッケージを組み立てる。
.パッケージ状態でのファイナル試験を行う。ここでは、ロジック回路やメモリ回路等への環境負荷試験、或いは、周波数/リーク試験を行う。
.パッケージをボードに実装する。
.ボードを実機に搭載して実機試験を行う。
.パッケージに実装した半導体チップのトランジスタのしきい値電圧Vth等の状態設定を行う。
.以上のステップを経て製品を出荷する。
【0004】
ステップsのリーク電流試験においては、多数個の半導体素子のリーク電流を同時に測定し、同時に測定したリーク電流の和を規格値と比較し、規格値より小さい場合には全てを良品とする。一方、規格値より大きな場合には、各半導体素子のリーク電流を個別に測定して個々に良否を判定することが提案されている。
【0005】
また、複数個のTEG(Test Element Group)チップを用い、メモリセルトランジスタのワード線端子、ビット線端子、ストレージノード端子、基板電極端子のそれぞれを並列接続し、リーク電流を測定することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−158275号公報
【特許文献2】特開2002−110944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の半導体装置の内部回路に使用されているトランジスタ構造としては、孤立パターンやマルチフィンガー等の様々な形態があり、各トランジスタ構造に応じてリーク電流も異なることになる。
【0008】
従来、プロセスモニタに使用されているゲートリークモニタ構造では、活性領域上に面積の大きなベタパターンのゲート電極を設けたフラット構造が主流であり、実際に製品に使用する形状とは異なっている。また、単体トランジスタモニタは、ランダムばらつきが大きいため、チップの待機電流との相関が弱く、プロセス管理には適していないという問題がある。
【0009】
特に、90nm世代以降は、コアトランジスタのゲートリークがチャネルリークと同オーダーになっており、無視することができないが、従来のフラット構造では、実際の回路に使用される構造でのゲートリークをモニタすることはできない。例えば、トランジスタの微細化に伴ってゲート電極のエッジ部の影響が問題になるが、フラット構造ではそのようなエッジ部の影響をモニタすることができない。
【0010】
また、最近のテクノロジは、同一チップ内に機能に応じてしきい値電圧Vthの異なったトランジスタを配置する「マルチVth」が主流であり、複数種類のトランジスタの特性を個別にモニタするためには、領域がその分必要になってしまう。一般に、モニタ構造は、実チップ以外の領域のプロセス管理モニタ配置領域に形成しているが、プロセス管理モニタ配置領域には限りがあるため、様々なモニタを搭載することはできない。
【0011】
したがって、本発明は、複数種類のデバイス特性をできるかぎり同じ構造のモニタで評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示する一観点からは、形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置するとともに、前記複数種類のトランジスタの内、設計データにおける設置頻度の比を反映した数のトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続したことを特徴とするリーク電流モニタが提供される。
【0013】
また、開示する別の観点からは、設計データより互いに形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタの設置頻度を取得する工程と、前記複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置する工程と、前記複数種類のトランジスタの数を前記取得した設置頻度の比を反映した数だけ選択して、全てのトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続する工程と、前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極に対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定する工程とを有することを特徴とするリーク電流モニタ方法が提供される。
【0014】
また、開示するさらに別の観点からは、上述のリーク電流モニタ方法により取得したリーク電流データに基づいて、各半導体チップの動作速度と消費電力とが予め設定した設定値の範囲内になるように、各半導体チップの電源電圧及びバックゲート電圧を設定する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
開示のリーク電流モニタ、リーク電流モニタ方法、及び、半導体装置の製造方法によれば、複数種類のデバイス特性をできるかぎり同じ構造のモニタで評価することが可能になる。また、その結果に基づいて、半導体装置の性能を最適化するように、半導体装置に印加する電源電圧や基板電圧を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の半導体生産工程のフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態のリーク電流モニタの配置状態の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態のリーク電流モニタの概念的構成図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるブロックの概略的構成図である。
【図5】各ブロックの変形例の概略的平面図である。
【図6】モニタ試験における特性抽出項目と端子設定状態の説明図である。
【図7】本発明の実施例1のリーク電流モニタの概略的平面図である。
【図8】本発明の実施例2のリーク電流モニタの概略的平面図である。
【図9】本発明の実施例3のリーク電流モニタの概略的平面図である。
【図10】本発明の実施例4のリーク電流モニタの概略的平面図である。
【図11】従来の半導体生産工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態のリーク電流モニタ方法を用いた半導体生産工程を説明する。図1は本発明の実施の形態の半導体生産工程のフローチャートであり、
.まず、顧客設計データからリーク電流モニタに必要な情報を集めて、リーク電流モニタを設計する。
a.ここでは、顧客設計データを入手して、レイアウトデータ、ネットリストデータより、メインチップ(製品チップ)内に設けられているトランジスタの種類毎の設置率(設置頻度)を算出する。算出した設置率に応じてリークモニタとしているゲートアレイ状に配置した素子の配分、即ち、選択する素子の数を決定する。トランジスタの種類としては、しきい値電圧Vth、ゲート長、ゲート幅、仕様特性におけるリーク電流値、或いは、製品チップ内で最も使用頻度の高いセル或いはマクロセルとする。また、選択するトランジスタの種類数としては、例えば、上位3種類のトランジスタとし、選択する素子の数は、設置率の概数、例えば、百個単位で四捨五入した数値を用いる。
b.次いで、決定した種類毎の素子数の割合に応じてゲートアレイ状に配置した素子に対する配線等を含めたリーク電流モニタを設計する。この場合のリーク電流モニタは製品チップ内に配置しても良いし、或いは、スクライブ領域或いはダイシング領域に配置しても良い。
【0018】
.次いで、設計したリーク電流モニタを含む半導体装置を製造するためのレチクル作成データを作成する。なお、しきい値電流Vthを変更する場合には、チャネルドープにより行う。
.作成したレチクルを用いて半導体装置を製造する。
【0019】
.次いで、ウェーハプロセスの最終段階において、作成したリーク電流モニタを用いてモニタ試験を行う。ここでは、冗長試験、ロジック回路やメモリ回路等への環境負荷試験、或いは、周波数/リーク試験を行う。
【0020】
この場合、リーク電流モニタには、動作速度を評価できる回路を搭載することが望ましく、動作周波数の印加電圧依存性を評価することによって、動作速度と消費電力の両方を最適化した状態設定条件を求めることができる。この様な動作速度を評価できる回路としては、ROSC(Ring Oscillator)、メモリセルアレイ、或いは、ラッチアレイ等を用いる。リーク電流の測定に際しては、ゲート端子、ドレイン端子、ソース端子の3端子、より好ましくは、バックゲート端子を含めた4つの端子に独立に電圧を印加し、電圧設定を変更するだけで、「ゲートリーク」、「接合リーク(ゲートエッジ成分)」、「チャネルリーク」、或いは、「トランジスタ特性」を評価することができる。
【0021】
.次いで、半導体ウェーハの状態でのウェーハソート試験を行う。ここでは、冗長試験、ロジック回路やメモリ回路等への環境負荷試験、或いは、周波数/待機電力試験を行う。なお、本発明の実施の形態においては、冗長試験において、Sのモニタ試験の結果に基づいて最適な印加電圧に状態設定を行う。
【0022】
以降は従来の半導体生産工程と同様に、
.半導体ウェーハをチップにダイシングする。
.ダイシングされた良品の半導体チップを選択してパッケージを組み立てる。
.パッケージ状態でのファイナル試験を行う。ここでは、ロジック回路やメモリ回路等への環境負荷試験、或いは、周波数/リーク試験を行う。
.パッケージをボードに実装する。
10.ボードを実機に搭載して実機試験を行う。
11.以上のステップを経て製品を出荷する。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態のリーク電流モニタの配置状態の説明図である。図2(a)は、ダイシングラインの一箇所にリーク電流モニタを配置した場合の概念的平面図である。図に示すように、製品チップ10の間のダイシングラインにリーク電流モニタをリークモニタチップ20として配置する。この場合、リークモニタチップ20は、製品チップ10と同じ設計ルールを用いる。また、製品チップ10の間の他のダイシング領域には、他の電気的特性やプロセスを管理するためのプロセス管理モニタ14を配置する。
【0024】
製品チップ10内には、ASICとして機能を備えたメイン領域11、メイン領域11に配置したトランジスタ等への印加電圧を設定する電圧制御回路12、及び、状態設定レジスタ13を備えている。この場合の状態設定レジスタとしては、例えば、不揮発性メモリ、フューズを用いたレジスタファイル、或いは、OPSR(Operating Status Register)若しくはIC(Inter―Integrated Circuit)等のシステムで使用する初期設定レジスタ等を用いる。
【0025】
上述のリークモニタチップ20を用いたモニタ試験の結果に基づいて、最適な印加電圧設定情報を抽出し、製品チップ10内に配置してある状態設定レジスタ13に情報を書き込んで、電圧制御回路12によりメイン領域11に配置した素子の印加電圧を最適化する。
【0026】
図2(b)は、リーク電流モニタ15を製品チップ領域10に配置した場合の概念的平面図であり、この場合には、製品チップ10の間のダイシング領域には、他の電気的特性やプロセスを管理するためのプロセス管理モニタ14を配置する。
【0027】
いずれの場合も、リークモニタチップ20内に搭載しているトランジスタの各リーク電流をゲート端子、ドレイン端子、ソース端子の3端子、より好ましくは、バックゲート端子を含めた4つの端子に独立に電圧を印加して成分ごとにリーク電流量を測定する。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態のリーク電流モニタの概念的構成図である。まず、トランジスタの種類に応じて複数のブロック21,21,21を設け、各ブロック21,21,21に設けた素子形成領域22,22,22にゲート電極23,23,23を等間隔で配置してゲートアレイ構造を形成する。この時、各ゲートアレイ構造においては、トランジスタの種類に応じて、しきい値電圧Vth、チャネル長、チャネル幅、仕様リーク電流が互いに異なるように形成する。また、各ブロック21,21,21のゲート端子、ドレイン端子、ソース端子及びバックゲート端子は図に示すように共通化する。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態におけるブロックの概略的構成図であり、図4(a)は概略的平面図であり、図4(b)は、図4(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概略的断面図であり、また、図4(c)は図4(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った概略的断面図である。ここでは、一つのブロックのみを図示する。
【0030】
図に示すように、モニタ形成領域に素子分離埋込絶縁膜24を形成して素子形成領域22と基板コンタクト領域25を区画する。素子形成領域22にはゲート絶縁膜26を介してポリシリコンからなるゲート電極23を等間隔で設ける。なお、ゲート電極23の直下のチャネル領域に不純物イオンを注入してチャネルドープ領域27を形成しておき、各ブロック毎にしきい値電圧Vthを変える場合にはドープ量で調整する。
【0031】
次いで、不純物を浅く注入してエクステンション領域28を形成したのち、サイドウォール29を形成し、不純物を深く注入することによって、隣接するトランジスタに共通のソース領域30及びドレイン領域31を交互に形成する。
【0032】
次いで、層間絶縁膜32を形成したのち、各領域に対するビアホールを形成し、このビアホールにバリア膜を介してWで埋め込むことによって、ソース電極33、ドレイン電極34、ゲート引出電極35、基板電極36を形成する。バリア膜としては、例えば、TiN膜を用いる。
【0033】
最後に、各ブロックにおいて選択したトランジスタの数だけソース電極33、ドレイン電極34、ゲート引出電極35、基板電極36を共通接続するソース配線37、ドレイン配線38、ゲート配線39及びバックゲート配線40を形成する。なお、実際に素子を選択した個数だけ接続する場合には、後述するように選択した素子に達するビアを介して接続する。
【0034】
図5は、各ブロックの変形例の概略的平面図であり、各ブロックに設けるトランジスタ数が多い場合に、一つのブロックを複数のサブブロック21S1、21S2に分割した場合を示している。この場合の素子構造及び配線の仕方は図4の場合と実質的に同じである。なお、ここでは、各ゲート電極39を接続するゲート接続局所配線41、各ソース電極を接続するソース接続局所配線42、各ドレイン電極を接続するドレイン接続局所配線43を設けている。
【0035】
図6は、モニタ試験における特性抽出項目と端子設定状態の説明図である。図6に示すように、
MODE.ドレイン端子、ソース端子及びバックゲート端子を接地した状態で、ゲート端子に、例えば、1.2Vの電圧を印加してゲートリークを測定する
MODE.ゲート端子、ドレイン端子及びソース端子を接地した状態で、バックゲート端子に、例えば、1.2Vの電圧を印加して接合リークを測定する
MODE.ゲート端子、ソース端子及びバックゲート端子を接地した状態で、ドレイン端子に、例えば、1.2Vの電圧を印加して基板電位依存性を含むチャネルを測定する。
MODE.ソース端子を接地した状態で、ゲート端子、ドレイン端子及びバックゲート端子に、例えば、1.2Vの電圧を印加して基板電位依存性を含むトランジスタ特性を測定する。
なお、3端子の場合には、MODE、MODE及びMODEの測定が可能であるが、基板電位依存性は測定できない。
【0036】
チャネルリーク電流に関しては、バックゲートバイアスを印加することによってトランジスタのしきい値電圧Vthを変動させることができるため、製品チップ内のトランジスタと同等の特性を有するトランジスタを用いて基板電位依存性を評価することになる。それにより、より最適な印加電圧の状態設定が可能になる。
【0037】
さらに、リークモニタ用のトランジスタを通常のトランジスタとして動作させることにより、動作速度に影響するドレイン電流のゲート−ドレイン間印加電圧依存性或いは基板電位依存性を評価することができる。その評価結果に基づいて、動作速度と待機電流の双方がオプティマムな最適解を抽出して、印加電圧を最適状態設定とすることができる。
【0038】
なお、多数のトランジスタを並列に接続しているので、ソース端子及びドレイン端子に接続される配線或いはビア等の寄生抵抗によるIR(電圧)ドロップの影響により、ドレイン電流を精度良く測定できない場合がある。その対策としては、ドレイン端子及びソース端子でのIRドロップをモニタし、印加電圧を補正するためのセンス端子を別途設ければ良い。
【0039】
このように、本発明の実施の形態においては、リーク電流モニタを製品チップに配置する素子と同じ設計ルールでモニタを形成しているので、リーク電流を精度良く把握することができる。また、リーク電流モニタを顧客設計データにおける素子の配置頻度に応じた数の素子で構成しているので、製品チップの待機電流との相関が強い測定結果を得ることができる。
【実施例1】
【0040】
以上を前提として、次に、図7を参照して、本発明の実施例1のリーク電流モニタを説明する。図7は、本発明の実施例1のリーク電流モニタの概略的平面図であり、ここでは、トランジスタの種類としてしきい値電圧Vthの異なるトランジスタの場合を示す。なお、ここでは、バックゲート配線については、図示を省略する。また、ソース電極同士、ドレイン電極同士、ゲート電極同士を、それぞれソース配線37、ドレイン配線38及びゲート配線39に接続する場合には、ビア44,45,46を介して接続する。
【0041】
3種類のしきい値電圧Vthの異なるトランジスタHVT,SVT,LVTを形成するために、各ブロック21,21,21の素子形成領域22,22,22のチャネルドープ量を調整する。例えば、HVTのしきい値電圧Vth1は、0.4V〜0.5Vとし、SVTのしきい値電圧Vth2は0.25V〜0.35Vとし、LVTのしきい値電圧Vth3は、0.15V〜0.2Vとする。また、素子形成領域22,22,22のサイズは任意であるが、幅は例えば1μm程度とし、長さは設ける素子数に応じて設定する。
【0042】
図においては、設置率が、HVT:SVT:LVT=1:7:2の場合を示しており、実際に選択するトランジスタの数としては、例えば、100個:700個:200個となる。なお、ゲート電極23,23,23のゲート長は、例えば、40nmとする。
【0043】
この実施例1においては、リーク電流モニタとして使用するトランジスタの数を、製品チップに設けられているトランジスタの設置頻度に概数として比例するように選択しているので、製品チップの待機電流と相関の高い結果が得られる。
【0044】
また、モニタを構成する素子構造としては、しきい値電圧Vth以外は同じ構造であるので、モニタの作製が容易になり、且つ、製品チップ内に設ける素子と同じ設計ルールで設計しているので、この点でも製品チップとの相関の高いデータが得られる。
【実施例2】
【0045】
次に、図8を参照して、本発明の実施例2のリーク電流モニタを説明する。図8は、本発明の実施例2のリーク電流モニタの概略的平面図であり、ここでは、トランジスタの種類としてしきい値電圧Vthの代わりにゲート長の異なるトランジスタの場合を示す。なお、ここでも、バックゲート配線については、図示を省略する。また、ソース電極同士、ドレイン電極同士、ゲート電極同士を、それぞれソース配線37、ドレイン配線38及びゲート配線39に接続する場合には、ビア44,45,46を介して接続する。
【0046】
3種類のゲート長の異なるトランジスタLLT,MLT,SLTを形成するために、各ブロック21,21,21の素子形成領域22,22,22に設けるゲート電極23,23,23のゲート長が互いに異なるように設定する。ゲート電極23,23,23のゲート長としては、LLTのゲート長を60nm、MLTのゲート長を50nm、SLTのゲート長を40nmとする。図においては、設置率が、LLT:MLT:SLT=1:7:2の場合を示しており、実際に選択するトランジスタの数としては、例えば、100個:700個:200個となる。
【0047】
この実施例2においても、リーク電流モニタとして使用するトランジスタの数を、製品チップに設けられているトランジスタの設置頻度に概数として比例するように選択しているので、製品チップの待機電流と相関の高い結果が得られる。また、モニタを構成する素子構造としては、しきい値電圧Vth以外は同じ構造であるので、モニタの作製が容易になり、且つ、製品チップ内に設ける素子と同じ設計ルールで設計しているので、この点でも製品チップとの相関の高いデータが得られる。
【実施例3】
【0048】
次に、図9を参照して、本発明の実施例3のリーク電流モニタを説明する。図9は、本発明の実施例3のリーク電流モニタの概略的平面図であり、ここでは、トランジスタの種類としてしきい値電圧Vthの代わりにゲート幅の異なるトランジスタの場合を示す。なお、ここでも、バックゲート配線については、図示を省略する。また、ソース電極同士、ドレイン電極同士、ゲート電極同士を、それぞれソース配線37、ドレイン配線38及びゲート配線39に接続する場合には、ビア44,45,46を介して接続する。
【0049】
3種類のゲート幅の異なるトランジスタLWT,MWT,SWTを形成するために、各ブロック21,21,21の素子形成領域22,22,22の幅を異ならせて設けるゲート電極23,23,23のゲート幅が互いに異なるように設定する。ゲート電極23,23,23のゲート幅としては、LWTのゲート長を1.0μm、MWTのゲート幅を0.7μm、SWTのゲート幅を0.5μmとする。図においては、設置率が、LWT:MWT:SWT=1:7:2の場合を示しており、実際に選択するトランジスタの数としては、例えば、100個:700個:200個となる。
【0050】
この実施例3においても、リーク電流モニタとして使用するトランジスタの数を、製品チップに設けられているトランジスタの設置頻度に概数として比例するように選択しているので、製品チップの待機電流と相関の高い結果が得られる。また、モニタを構成する素子構造としては、しきい値電圧Vth以外は同じ構造であるので、モニタの作製が容易になり、且つ、製品チップ内に設ける素子と同じ設計ルールで設計しているので、この点でも製品チップとの相関の高いデータが得られる。
【実施例4】
【0051】
次に、図10を参照して、本発明の実施例4のリーク電流モニタを説明する。図10は、本発明の実施例4のリーク電流モニタの概略的平面図であり、ここでは、トランジスタの種類としてしきい値電圧Vthの代わりに仕様リーク電流の異なるトランジスタの場合を示す。なお、ここでも、バックゲート配線については、図示を省略する。また、ソース電極同士、ドレイン電極同士、ゲート電極同士を、それぞれソース配線37、ドレイン配線38及びゲート配線39に接続する場合には、ビア44,45,46を介して接続する。
【0052】
この場合には、顧客設計データから設計値としてのリーク電流、即ち、仕様リーク電流を取り出し、各ブロック21,21,21の素子形成領域22,22,22に使用リーク電流の逆数の概数に比例する数のトランジスタをそれぞれ配置する。なお、この場合には、各ブロック21,21,21に設けるトランジスタは同じ構造ではなく、仕様リーク電流が製品チップ内のトランジスタと同じになる素子を設ける。ここでは、リーク電流の比が14:7:4の場合を示しており、したがって、設置する素子の数としては、リーク大:リーク中:リーク小=2:4:7となる。
【0053】
このようにリーク電流モニタを構成することにより、各ブロックにおけるトータルのリーク電流が同等になるので、このトータルのリーク電流を測定することでトランジスタ特性の変動をモニタすることができる。それによって、プロセス管理が容易になる。
【0054】
ここで、実施例1乃至実施例4を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置するとともに、前記複数種類のトランジスタの内、設計データにおける設置頻度の比を反映した数のトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続したことを特徴とするリーク電流モニタ。
(付記2) 前記各異なった領域にバックゲート電極を有していることを特徴とする付記1に記載のリーク電流モニタ。
(付記3) 付記1または付記2に記載のリーク電流モニタをスクライブ領域に設けたことを特徴とする半導体ウェーハ。
(付記4) 設計データより互いに形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタの設置頻度を取得する工程と、
前記複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置する工程と、
前記複数種類のトランジスタの数を前記取得した設置頻度の比を反映した数だけ選択して、全てのトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続する工程と、
前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極に対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定する工程と
を有することを特徴とするリーク電流モニタ方法。
(付記5) 前記各異なった領域にバックゲート電極を設け、前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極、及び、前記バックゲートに対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定することを特徴とする付記4に記載のリーク電流モニタ方法。
(付記6) 前記設置頻度が、しきい電圧が異なるトランジスタの設置頻度であることを特徴とする付記4または付記5に記載のリーク電流モニタ方法。
(付記7) 前記設置頻度が、ゲート長が異なるトランジスタの設置頻度であることを特徴とする付記4または5に記載のリーク電流モニタ方法。
(付記8) 前記設置頻度が、ゲート幅が異なるトランジスタの設置頻度であることを特徴とする付記4または5に記載のリーク電流モニタ方法。
(付記9) 設計データより仕様リーク電流が互いに異なる複数種類のトランジスタを複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置する工程と、
前記複数種類のトランジスタの数を前記仕様リーク電流の逆数の比を反映した数だけ選択して、全てのトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、ドレイン電極同士、及び、バックゲート同士を電気的に共通に接続する工程と、
前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極に対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定する工程と
を有することを特徴とするリーク電流モニタ方法。
(付記10) 設計データより最も設置頻度の高いセル、マクロ、或いは、その一部を選択する工程と、
前記選択したセル、マクロ、或いは、その一部を予め設定した遷移状態になるように結線する工程と、
前記結線したセル、マクロ、或いは、その一部の電源間のリーク電流を測定する工程とを有するリーク電流モニタ方法。
(付記11) 付記2乃至付記10のいずれか1項に記載のリーク電流モニタ方法により取得したリーク電流データに基づいて、各半導体チップの動作速度と消費電力とが予め設定した設定値の範囲内になるように、各半導体チップの電源電圧及びバックゲート電圧を設定する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0055】
10 製品チップ
11 メイン領域
12 電圧制御回路
13 状態設定レジスタ
14 プロセス管理モニタ
15 リーク電流モニタ
20 リークモニタチップ
21,21,21ブロック
21S1、21S2 サブブロック
22,22,22,22素子形成領域
23,23,23,23ゲート電極
24 素子分離埋込絶縁膜
25 基板コンタクト領域
26 ゲート絶縁膜
27 チャネルドープ領域
28 エクステンション領域
29 サイドウォール
30 ソース領域
31 ドレイン領域
32 層間絶縁膜
33 ソース電極
34 ドレイン電極
35 ゲート引出電極
36 基板電極
37 ソース配線
38 ドレイン配線
39 ゲート配線
40 バックゲート配線
41 ゲート接続局所配線
42 ソース接続局所配線
43 ドレイン接続局所配線
44,45,46 ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置するとともに、前記複数種類のトランジスタの内、設計データにおける設置頻度の比を反映した数のトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続したことを特徴とするリーク電流モニタ。
【請求項2】
設計データより互いに形状或いはしきい値電圧の少なくとも一方が異なる複数種類のトランジスタの設置頻度を取得する工程と、
前記複数種類のトランジスタを異なった領域に同じ間隔で配置する工程と、
前記複数種類のトランジスタの数を前記取得した設置頻度の比を反映した数だけ選択して、全てのトランジスタのゲート電極同士、ソース電極同士、及び、ドレイン電極同士を電気的に共通に接続する工程と、
前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極に対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定する工程と
を有することを特徴とするリーク電流モニタ方法。
【請求項3】
前記各異なった領域にバックゲート電極を設け、前記共通接続したゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極、及び、前記バックゲートに対して電圧を印加して、電圧を印加した電極間のリーク電流を測定することを特徴とする請求項2に記載のリーク電流モニタ方法。
【請求項4】
前記設置頻度が、しきい電圧が異なるトランジスタの設置頻度であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のリーク電流モニタ方法。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のリーク電流モニタ方法により取得したリーク電流データに基づいて、各半導体チップの動作速度と消費電力とが予め設定した設定値の範囲内になるように、各半導体チップの電源電圧及びバックゲート電圧を設定する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−243630(P2011−243630A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112110(P2010−112110)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】