レイアウト設計方法、および、レイアウト設計プログラム
【課題】チップ面積の増大を抑制しつつ、ダミー配線パターンの配置にかかる工数を低減する。
【解決手段】レイアウト設計方法は、レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線(S1)を行った後、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し(S2)、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し(S3)、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置(S4)する。
【解決手段】レイアウト設計方法は、レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線(S1)を行った後、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し(S2)、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し(S3)、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置(S4)する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、半導体集積回路のレイアウト設計方法、および、レイアウト設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に設計変更があり、配線パターンの配置を変更(配線改版)する場合、配線パターンの配置を変更する配線層を生成するためのマスクを新たに作成する必要がある。マスクの作成にはコストがかかるため、配線パターンの配置の変更が、多数の配線層にわたっている場合、新たに作成するマスクの枚数が多くなり、コストが大幅に増大する。
【0003】
これに対して、半導体集積回路に予めダミー配線パターンを配置しておき、設計変更の際に、このダミー配線パターンを用いるようにすることで、配線パターンの配置を変更する配線層の数を少なく抑える技術がある。ダミー配線パターンは、例えば、専用のセルや、電源配線パターン等の座標を基準にして配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−273847号公報
【特許文献2】特開平6−216247号公報
【特許文献3】特開2000−252360号公報
【特許文献4】特開2008−250490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダミー配線パターンを、専用のセルの座標を基準にして配置する方法では、専用のセルを配置するための領域が必要となり、チップ面積が増大してしまう可能性がある。また、ダミー配線パターンを、電源配線パターンの座標を基準にして配置する方法では、基準点となるポイントの数が膨大であるため、基準点の絞り込みに多くの工数がかかってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一観点によれば、以下のようなレイアウト設計方法が提供される。
このレイアウト設計方法は、レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する。
【発明の効果】
【0007】
開示のレイアウト設計方法、および、レイアウト設計プログラムによれば、チップ面積の増大を抑制しつつ、ダミー配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】第2の実施の形態に係るレイアウト設計装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】配置配線が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの配置手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】ダミー短配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。
【図11】ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。
【図12】ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。
【図13】ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。
【図14】端子の検索ルートの一例を示す図である。
【図15】ダミー配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態に係る配線変更手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】配線変更過程の一例を示す図である。
【図18】配線変更が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、半導体集積回路のレイアウト設計方法に関するものである。
【0010】
図1は、第1の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。図1に示す処理は、レイアウト設計装置によって実行される。
[ステップS1]レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行う。ここで、レイアウト領域は、設計データ上に表現されたチップ領域を示す。このステップでは、複数の機能セルやバルクセルが配置され、さらに、機能セル間を接続する配線が引かれる。
【0011】
ここで、機能セルは所定の機能(例えば、ORゲート、ANDゲート等)を実現するためのセルであり、バルク層(半導体基板、および、半導体基板上に形成されたゲート電極層とを含み、複数のトランジスタが形成される層)と、配線層(例えば、メタル配線層)とを含むセルである。
【0012】
バルクセルは、半導体集積回路の論理変更等を行う際に用いられるセルであり、バルク層を含み、配線層は含んでいないセルである。バルクセルの一例としては、例えば、ゲートアレイがある。
【0013】
[ステップS2]レイアウト設計装置が、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出する。
[ステップS3]レイアウト設計装置が、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索する。
【0014】
[ステップS4]レイアウト設計装置が、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する。
【0015】
このようにして、ダミー配線パターンがレイアウト領域に配置される。
このように、第1の実施の形態では、ダミー配線パターンを配置するための基準点に、バルクセルの座標を用いている。この構成によれば、例えば、ダミー配線パターンを形成するために専用のセルを設ける等の必要がなくなるため、チップ面積の増大を抑制することができる。
【0016】
さらに、基準点となるポイントの数が、バルクセルの数に絞られるため、基準点の設定を簡単に行うことが可能となり、ダミー配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【0017】
また、バルクセルは、通常、他の機能セル等と配線により接続されていないため、周囲に空き配線領域が検出される可能性が高い。一方、例えば、機能セルの周囲には、他の機能セルとの間を接続する配線等が複雑に引かれているため、空き配線領域が検出される可能性は低い。第1の実施の形態では、バルクセルの周囲において空き配線領域を検索しているため、空き配線領域を効率的に発見することができ、その結果、多くのダミー配線パターンを配置することが可能となる。
【0018】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態のレイアウト設計方法をより具体的にした実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0019】
第2の実施の形態のレイアウト設計は、レイアウト設計装置によって行われる。
図2は、第2の実施の形態に係るレイアウト設計装置のハードウェアの一例を示す図である。
【0020】
レイアウト設計装置10は、CPU(Central Processing Unit)11によって装置全体が制御されている。CPU11には、バス18を介してRAM(Random Access Memory)12と複数の周辺機器が接続されている。
【0021】
RAM12は、レイアウト設計装置10の主記憶装置として使用される。RAM12には、CPU11に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM12には、CPU11による処理に必要な各種データが格納される。
【0022】
バス18に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)13、グラフィック処理装置14、入力インタフェース15、光学ドライブ装置16、および通信インタフェース17がある。
【0023】
HDD13は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD13は、レイアウト設計装置10の二次記憶装置として使用される。HDD13には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0024】
グラフィック処理装置14には、モニタ14aが接続されている。グラフィック処理装置14は、CPU11からの命令に従って、画像をモニタ14aの画面に表示させる。モニタ14aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0025】
入力インタフェース15には、キーボード15aとマウス15bとが接続されている。入力インタフェース15は、キーボード15aやマウス15bから送られてくる信号をCPU11に送信する。なお、マウス15bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0026】
光学ドライブ装置16は、レーザ光等を利用して、光ディスク16aに記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク16aは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク16aには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0027】
通信インタフェース17は、ネットワーク19に接続されている。通信インタフェース17は、ネットワーク19を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
以上のようなハードウェアによって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、レイアウト設計装置10の処理機能を、複数のレイアウト設計装置によって実現するようにしてもよい。
【0029】
次に、第2の実施の形態のレイアウト設計の手順について説明する。
図3は、第2の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【0030】
[ステップS11]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行う。ここで、レイアウト領域は、設計データ上に表現されたチップ領域を示す。また、レイアウト領域は、積層した複数の配線層領域(多層配線層領域)を備えている。このステップでは、複数の機能セルや大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、さらに、機能セル間を接続する配線が引かれる。配線は、例えば、アルミ(Al)配線や、銅(Cu)配線等のメタル配線である。
【0031】
ここで、機能セルは所定の機能(例えば、ORゲート、ANDゲート等)を実現するためのセルであり、バルク層(半導体基板、および、半導体基板上に形成されたゲート電極層とを含み、複数のトランジスタが形成される層)と、配線層(例えば、アルミ配線や、銅配線等のメタル配線層)とを含むセルである。
【0032】
バルクセルは、半導体集積回路の論理変更等を行う際に用いられるセルであり、バルク層を含み、配線層は含んでいないセルである。バルクセルの一例としては、例えば、ゲートアレイがある。
【0033】
図4は、配置配線が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。図4では、レイアウト領域100に、複数の機能セルおよび大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、さらに、複数の配線が引かれている。なお、図中のマトリックス状に引かれた点線は、配線の配置位置(配線トラックとも称す)を示す。また、マトリックス状に引かれた点線の間隔は、配線ピッチに相当する。
【0034】
[ステップS12]レイアウト設計装置10が、抽出するバルクセルの大きさを設定する。
[ステップS13]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置されているバルクセルのうち、設定した大きさ以上のバルクセルを抽出する。このように、設定した大きさ以上のバルクセルを選択的に抽出することで、抽出するバルクセルの数を調整することができる。なお、レイアウト領域に配置されているバルクセルを全て抽出する場合には、上記ステップS12を省略してもよい。
【0035】
[ステップS14]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に、ダミー短配線パターンを配置する。
[ステップS15]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置したダミー短配線パターンを接続して処理を終了する。
【0036】
次に、図3に示したステップS14のダミー短配線パターンの配置について、詳細に説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの配置手順の一例を示すフローチャートである。
【0037】
[ステップS21]レイアウト設計装置10が、図3に示したステップS13で抽出したバルクセルの中から1つを選択する。
[ステップS22]レイアウト設計装置10が、選択したバルクセル内に、基準点を設定する。基準点は、例えば、バルクセルの中心座標に一番近い配線トラックの交点に設定する。
【0038】
[ステップS23]レイアウト設計装置10が、空き配線領域を検索する検索方向を選択する。検索方向は、例えば、上下左右の4方向の中から選択する。なお、一連の処理にて一度選択した方向は、選択肢から除外するものとする。
【0039】
なお、各方向の検索時における座標(X,Y)の変化のさせ方は、次の通りである。すなわち、上方向の場合は、X座標は変化させず、Y座標は「+」方向に変化させる。下方向の場合は、X座標は変化させず、Y座標は「−」方向に変化させる。左方向の場合は、X座標は「−」方向に変化させ、Y座標は変化させない。右方向の場合は、X座標は「+」方向に変化させ、Y座標は変化させない。
【0040】
[ステップS24]レイアウト設計装置10が、積層した複数の配線層領域の中から、検索する配線層領域を選択する。なお、ここでは、複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先に選択し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に選択する。
【0041】
[ステップS25]レイアウト設計装置10が、ダミー短配線パターンの配置に必要な配線領域の長さ(L)を算出する。長さ(L)は、例えば、次式で算出する。
L=a+(e1×3)+(e2×2)
ここで、(a)は、基準点からバルクセルの端までの長さを示し、(e1)は、最小間隔エラーの長さを配線ピッチの倍数に切り上げた長さ(最小配線間隔)を示し、(e2)は、最小幅エラーの長さを配線ピッチの倍数に切り上げた長さ(最小配線幅)を示す。
【0042】
なお、ステップS25は、長さ(L)を予め算出している場合には、省略することも可能である。
[ステップS26]レイアウト設計装置10が、基準点を起点として、選択した検索方向に、長さ(L)の空き配線領域があるかどうかを検索する。空き配線領域がある場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS27に進める。空き配線領域がない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS28に進める。
【0043】
[ステップS27]レイアウト設計装置10が、ダミー短配線パターンを、検出した空き配線領域に配置する。ダミー短配線パターンは、例えば、基準点から(a+e1)だけ離れた座標から、(e1+(e2×2))の長さで配置される。
【0044】
[ステップS28]レイアウト設計装置10が、全ての配線層領域を選択したかどうかを判定する。全ての配線層領域を選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS29に進める。全ての配線層領域を選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS24に戻す。
【0045】
[ステップS29]レイアウト設計装置10が、全ての検索方向(上下左右)を選択したかどうかを判定する。全ての検索方向を選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS30に進める。全ての検索方向を選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS23に戻す。
【0046】
[ステップS30]レイアウト設計装置10が、抽出した全てのバルクセルを選択したかどうかを判定する。全てのバルクセルを選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理を終了する。全てのバルクセルを選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS21に戻す。
【0047】
このようにして、ダミー短配線パターンがレイアウト領域に配置される。
図6は、ダミー短配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。図6では、レイアウト領域100に、バルクセル110が配置されている。バルクセル110内には、基準点111が設定されている。
【0048】
さらに、基準点111の下方向における2層目の配線層領域に、ダミー短配線パターン120が配置されている。ダミー短配線パターン120は、基準点111から(a+e1)だけ離れて配置されており、(e1+(e2×2))の長さを有している。
【0049】
さらに、基準点111の右方向における1層目の配線層領域(最下配線層領域)に、ダミー短配線パターン130が配置されている。ダミー短配線パターン130は、基準点111から、(a+e1)だけ離れて配置されており、(e1+(e2×2))の長さを有している。
【0050】
ここで、図中のダミー短配線パターン140は、他のバルクセルを基準にして2層目の配線層領域に配置されたダミー短配線パターンである。
なお、図3,図5に示した処理により設計され、生成された半導体集積回路では、チップ領域に配置された大きさの異なる複数のバルクセルのうち、図3のステップS12で設定した大きさよりも大きいバルクセルに対して選択的に、ダミー短配線パターンが最小配線間隔分だけ離間して配置されることとなる。
【0051】
次に、図3に示したステップS15のダミー短配線パターンの接続について、詳細に説明する。
図7〜図9は、第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
[ステップS41]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置された全てのダミー短配線パターンの両端を、端子に設定する。ここで、レイアウト設計装置10は、全てのダミー短配線パターンに同じ属性を与える。
【0053】
[ステップS42]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置された全てのダミー短配線パターンを抽出する。
[ステップS43]レイアウト設計装置10が、抽出したダミー短配線パターンの中から1つを選択する。
【0054】
[ステップS44]レイアウト設計装置10が、選択したダミー短配線パターンの一方の端子を始点となる端子(L1P1)に決定する。なお、選択したダミー短配線パターンの他方の端子は、終点となる端子(L1P2)に設定される。
【0055】
[ステップS45]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)からの距離が近い端子(L2P1)を検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。なお、検索を開始する傾きと方向は、任意に設定する。
【0056】
[ステップS46]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)と端子(L2P1)とを結んだ直線の傾き(AG1)を算出する。
図10は、ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。図10は、図6に示した例に対応するものであり、ステップS46までの過程を示すものである。
【0057】
図10では、ダミー短配線パターン120の一方の端子121が、始点となる端子(L1P1)に設定され、他方の端子122が、終点となる端子(L1P2)に設定されている。
【0058】
そして、端子121(L1P1)を起点として、端子(L2P1)の検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。また、図中の傾き201は、検索開始傾きを示す。
【0059】
そして、検索の結果、ダミー短配線パターン130の一方の端子131が、端子(L2P1)に設定されている。図中の傾き202は、傾き(AG1)を示す。
[ステップS47]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)と端子(L2P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0060】
ここで、説明中、単にダミー配線パターンと称するときは、ダミー短配線パターンとダミー連結配線パターンの両方が含まれるものとする。
図11、図12は、ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。図11、図12は、図10に示した例に対応するものである。
【0061】
図11に示す例では、ダミー短配線パターン120の端子121(L1P1)と、ダミー短配線パターン130の端子131(L2P1)とは、左右方向に延在するダミー連結配線パターン150、および、上下方向に延在するダミー連結配線パターン160によって接続されている。ダミー連結配線パターン150は、3層目の配線層領域に配置され、ダミー連結配線パターン160は、4層目の配線層領域に配置されている。なお、各ダミー配線パターンは、コンタクトパターンを介して接続されている。
【0062】
また、図12に示す例では、ダミー短配線パターン120の端子121(L1P1)と、ダミー短配線パターン130の端子131(L2P1)とは、上下方向に延在するダミー連結配線パターン170、および、左右方向に延在するダミー連結配線パターン180によって接続されている。ダミー連結配線パターン170は、4層目の配線層領域に配置され、ダミー連結配線パターン180は、3層目の配線層領域に配置されている。なお、各ダミー配線パターンは、コンタクトパターンを介して接続されている。
【0063】
[ステップS48]レイアウト設計装置10が、端子(L2P1)を設定したダミー短配線パターンの他方の端子を、始点となる端子(L2P2)に決定する。
[ステップS49]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)からの距離が近い端子(L3P1)を検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。検索を開始する傾きは、傾き(AG1)とし、時計回りに検索する。
【0064】
[ステップS50]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)と端子(L3P1)とを結んだ直線の傾き(AG2)を算出する。
図13は、ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。図13は、図12に示した例に対応するものであり、ステップS50までの過程を示すものである。
【0065】
図13では、ダミー短配線パターン130の他方の端子132が、始点となる端子(L2P2)に設定されている。
そして、端子132(L2P2)を起点として、端子(L3P1)の検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。また、傾き202(AG1)が、検索開始傾きとなる。
【0066】
そして、検索の結果、ダミー短配線パターン140の一方の端子141が、端子(L3P1)に設定されている。図中の傾き203は、傾き(AG2)を示す。なお、ダミー短配線パターン140の他方の端子142は、次に始点となる端子(L3P2)に設定されている。
【0067】
図14は、端子の検索ルートの一例を示す図である。図14は、図13に示した例に対応するものであり、端子(L3P1)を検索する際の検索ルート210を示したものである。
【0068】
検索ルート210は、図13の多段形状の四角枠で示された検索範囲200に沿って、傾き202(AG1)を起点として時計回りに設定されている。また、検索ルート210は、検索範囲200の1段分を一周すると、1つ外側の段に移動する。
【0069】
[ステップS51]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)と端子(L3P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0070】
[ステップS52]レイアウト設計装置10が、端子を検索する方向が決まっているかどうかを判定する。検索方向が決まっている場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS54に進める。検索方向が決まっていない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS53に進める。
【0071】
[ステップS53]レイアウト設計装置10が、傾き(AG1)と傾き(AG2)とを比較し、比較結果に基づいて検索方向を決定する。具体的には、傾き(AG2)が傾き(AG1)に対して時計回り側180°以内である場合には、検索方向を時計回りとし、それ以外の場合には、検索方向を反時計回りとする。
【0072】
[ステップS54]レイアウト設計装置10が、傾き(AG2)を傾き(AGn−1)に設定する。
[ステップS55]レイアウト設計装置10が、前段で結線したダミー短配線パターンの他方の端子を、始点となる端子(LnP2)に決定する。
【0073】
[ステップS56]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)からの距離が近い端子(Ln’P1)を検索する。検索方向は、先に決定した時計回り、または、反時計回りとする。
【0074】
[ステップS57]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)と端子(Ln’P1)とを結んだ直線の傾き(AGn)を算出する。
[ステップS58]レイアウト設計装置10が、傾き(AGn)と傾き(AGn−1)との検索方向における差分となる傾き(AGx)を算出する。
【0075】
[ステップS59]レイアウト設計装置10が、傾き(AGx)が、90°以内であるかどうかを判定する。90°以内である場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS61に進める。90°以内ではない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS60に進める。
【0076】
[ステップS60]レイアウト設計装置10が、傾き(AGn)を傾き(AGn−1)に設定する。
[ステップS61]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)と端子(Ln’P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0077】
[ステップS62]レイアウト設計装置10が、終点である端子(L1P2)まで結線が完了したかどうかを判定する。結線が完了している場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS63に進める。結線が完了していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS55に戻す。
【0078】
[ステップS63]レイアウト設計装置10が、抽出した全てのダミー短配線パターンを結線したかどうかを判定する。全てのダミー短配線パターンを結線した場合、レイアウト設計装置10は、処理を終了する。全てのダミー短配線パターンを結線していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS43に戻す。
【0079】
このようにして、ダミー短配線パターンの結線が行われる。なお、その後、論理検証や物理検証が行われる。ここで、結線されたダミー短配線パターンおよびダミー連結配線パターンの結線体は、ループ状に形成されている。
【0080】
図15は、ダミー配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
図15(A)、(B)に示す例では、レイアウト領域100に、複数のダミー短配線パターンと複数のダミー連結配線パターンとが結線された結線体190,191が、それぞれ、ループ状に配置されている。
【0081】
次に、図3に示した処理により設計されたレイアウトに対して、設計変更に伴い、ダミー配線パターンを用いて配線を変更(新規配線追加、または、既存配線接続経路変更等)する方法について説明する。
【0082】
図16は、第2の実施の形態に係る配線変更手順の一例を示すフローチャートである。
[ステップS71]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域から接続元のセル端子(C1)および接続先のセル端子(C2)を抽出する。なお、接続先のセル端子(C2)が複数ある場合には、複数のセル端子(C2)の座標を平均した中間座標(Ca)を算出する。
【0083】
[ステップS72]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)とセル端子(C2)または中間座標(Ca)とを結んだ直線の傾き(CAG1)、および、セル端子(C1)とセル端子(C2)または中間座標(Ca)との距離(CDS1)を算出する。
【0084】
[ステップS73]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)からの距離が近いダミー配線パターンを検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。なお、検索範囲は、セル端子(C1)から距離(CDS1)までとする。検索を開始する傾きと方向は、任意に設定する。
【0085】
ここで、最下配線層領域を最優先に検索し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に検索する。なお、使用できる配線層が限定されている場合には、限定された配線層まで検索する。
【0086】
また、セル端子(C1)から同じ距離で、複数のダミー配線パターンが検出された場合には、セル端子(C2)または中間座標(Ca)により近い方を検出する。
図17は、配線変更過程の一例を示す図である。図17は、ステップS73までの過程を示すものである。
【0087】
図17では、レイアウト領域100に、バルクセル310,320と、複数のダミー配線パターンがループ状に結線された結線体300とが配置されている。そして、バルクセル310のセル端子311がセル端子(C1)として抽出され、バルクセル320のセル端子321がセル端子(C2)として抽出されている。
【0088】
そして、セル端子311(C1)を起点として、距離が近いダミー配線パターンの検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。
【0089】
そして、検索の結果、結線体300に含まれる1層目の配線層領域に配置されたダミー短配線パターン330が距離が近いダミー配線パターンとして検出されている。図中の傾き301は、傾き(CAG1)を示す。
【0090】
[ステップS74]レイアウト設計装置10が、検出したダミー配線パターンを切断する。これにより、切断したダミー配線パターンを含む結線体がループ状ではなくなるため、結線体を配線として機能させることが可能となる。
【0091】
[ステップS75]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)と切断したダミー配線パターンとを配線パターンを用いて結線して処理を終了する。結線には、最下配線層領域を最優先に使用し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。ここで、結線したダミー配線パターンが含まれる結線体には、結線に用いられた配線パターンと同じNET名が付けられる。
【0092】
図18は、配線変更が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。図18は、図17に対応するものである。
図18では、セル端子311(C1)から距離が近いダミー配線パターンとして検出されたダミー短配線パターン330が切断されて、ダミー短配線パターン330aおよびダミー短配線パターン330bに分割されている。これにより、ダミー短配線パターン330を含んでいたループ状の結線体300が、結線体300aと結線体300bとに分断され、それぞれ配線として機能するようになる。
【0093】
そして、切断されたダミー短配線パターン330bとセル端子311(C1)とが配線パターン341〜343を介して接続されている。配線パターン341,343は、上下方向に延在し、2層目の配線層領域に配置されている。配線パターン342は、左右方向に延在し、1層目の配線層領域に配置されている。
【0094】
そして、配線パターン341〜343および結線体300bには、同じNET名が付けられる。すなわち、配線パターン341〜343および結線体300bは、半導体集積回路の一部となる配線(実配線)となる。
【0095】
このようにして、ダミー配線パターンを用いた配線の変更が行われる。なお、その後、論理検証や物理検証が行われる。
以上、説明してきたように、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンを配置するための基準点に、バルクセルの座標を用いている(図5のステップS22,S27)。この構成によれば、例えば、ダミー短配線パターンを形成するために専用のセルを設ける等の必要がなくなるため、チップ面積の増大を抑制することができる。
【0096】
さらに、基準点となるポイントの数が、バルクセルの数に絞られるため、基準点の設定を簡単に行うことが可能となり、ダミー短配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【0097】
また、バルクセルは、通常、他の機能セル等と配線により接続されていないため、周囲に空き配線領域が検出される可能性が高い。一方、例えば、機能セルの周囲には、他の機能セルとの間を接続する配線等が複雑に引かれているため、空き配線領域が検出される可能性は低い(例えば、図4を参照)。
【0098】
第2の実施の形態では、バルクセルの周囲において空き配線領域を検索しているため、空き配線領域を効率的に発見することができ、その結果、多くのダミー配線パターンを配置することが可能となる。
【0099】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンをレイアウト領域に配置する際、レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー短配線パターンを配置する(図5のステップS24)。
【0100】
この構成によれば、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンとバルクセル等の端子とを接続する際に用いる配線パターンまたはコンタクトパターンを、最下配線層領域により近い配線層領域を用いて配置させることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、配線が変更される配線層の数を抑制することできる。
【0101】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー連結配線パターンをレイアウト領域に配置する際、レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する(図7のステップS47、図8のステップS51、および、図9のステップS61)。
【0102】
この構成によれば、最下配線層領域により近い配線層領域に、配線スペースを確保することができ、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンとバルクセル等の端子とを接続する際に用いる配線パターンまたはコンタクトパターンを、最下配線層領域により近い配線層領域を用いて配置させることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、配線が変更される配線層の数をさらに抑制することできる。
【0103】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体がループ状に形成されている(例えば、図15を参照)。
この構成によれば、ダミー短配線パターンの一方の端子を結線の始点とし、同じダミー短配線パターンの他方の端子を結線の終点とすることができる。すなわち、結線の始点が決まれば自動的に終点を定めることができる。これにより、結線の終点を設定する工数を削減することが可能となる。
【0104】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している(例えば、図6を参照)。
この構成によれば、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンを分割した場合、分割されたダミー短配線パターンの間隔を、最小配線間隔以上にすることができ、さらに、分割されたそれぞれのダミー短配線パターンの幅を、最小配線幅以上にすることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、デザインルールに違反することなく、配線変更を行うことが可能となる。
【0105】
さらに、第2の実施の形態では、レイアウト領域に配置されたバルクセルを抽出する際、バルクセルの大きさに基づいて抽出するバルクセルを選択する(図3のステップS12,S13)。
【0106】
この構成によれば、抽出するバルクセルの数を容易に調整することができる。すなわち、抽出したバルクセルの座標を基準にして配置するダミー短配線パターンの数を容易に調整することが可能となる。
【0107】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、レイアウト設計装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0108】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0109】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0110】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0111】
以上説明した第1および第2の実施の形態を含む実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) レイアウト設計装置が、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とするレイアウト設計方法。
【0112】
(付記2) 前記ダミー配線パターン配置工程において配置されるダミー配線パターンは、前記半導体集積回路に設計変更があり、配線を変更する際に、前記半導体集積回路の一部として用いられる、
ことを特徴とする付記1記載のレイアウト設計方法。
【0113】
(付記3) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とする付記1または2記載のレイアウト設計方法。
【0114】
(付記4) 前記レイアウト設計装置が、
前記検出した空き配線領域に配置したダミー配線パターンと連結するダミー連結配線パターンを、前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載のレイアウト設計方法。
【0115】
(付記5) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する、
ことを特徴とする付記4記載のレイアウト設計方法。
【0116】
(付記6) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
ダミー配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体が、ループ状になるように、ダミー連結配線パターンを前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする付記4または5記載のレイアウト設計方法。
【0117】
(付記7) 前記ダミー配線パターン配置工程で配置されるダミー配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか1つに記載レイアウト設計方法。
【0118】
(付記8) 前記レイアウト設計装置が、
前記バルクセル抽出工程において、バルクセルの大きさに基づいて抽出するバルクセルを選択する、
ことを特徴とする付記1〜7のいずれか1つに記載のレイアウト設計方法。
【0119】
(付記9) コンピュータに、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
処理を実行させることを特徴とするレイアウト設計プログラム。
【0120】
(付記10) チップ領域に配置されたバルクセルと、
前記チップ領域において、前記バルクセルから最小配線間隔分だけ離間して配置されたダミー配線パターンと、
を有することを特徴とする半導体集積回路。
【0121】
(付記11) 前記ダミー配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している、
ことを特徴とする付記10記載の半導体集積回路。
【0122】
(付記12) 前記チップ領域に配置され、前記ダミー配線パターンと連結されたダミー連結配線パターンをさらに有し、
前記ダミー連結配線パターンは、前記ダミー配線パターンよりも上層の配線層に配置されている、
ことを特徴とする付記10または11記載の半導体集積回路。
【0123】
(付記13) 前記ダミー配線パターンと前記ダミー連結配線パターンとの結線体は、ループ状に形成されている、
ことを特徴とする付記10〜12のいずれか1つに記載の半導体集積回路。
【0124】
(付記14) 前記チップ領域には大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、
前記複数のバルクセルのうち、所定の大きさよりも大きいバルクセルに対して選択的に、ダミー配線パターンが最小配線間隔分だけ離間して配置されている、
ことを特徴とする付記10〜13のいずれか1つに記載の半導体集積回路。
【符号の説明】
【0125】
100 レイアウト領域
110,310,320 バルクセル
111 基準点
120,130,140,330,330a,330b ダミー短配線パターン
121,122,131,132,141,142 端子
150,160,170,180 ダミー連結配線パターン
190,191,300,300a,300b 結線体
200 検索範囲
201,202,203,301 傾き
210 検索ルート
311,321 セル端子
341〜343 配線パターン
【技術分野】
【0001】
本件は、半導体集積回路のレイアウト設計方法、および、レイアウト設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に設計変更があり、配線パターンの配置を変更(配線改版)する場合、配線パターンの配置を変更する配線層を生成するためのマスクを新たに作成する必要がある。マスクの作成にはコストがかかるため、配線パターンの配置の変更が、多数の配線層にわたっている場合、新たに作成するマスクの枚数が多くなり、コストが大幅に増大する。
【0003】
これに対して、半導体集積回路に予めダミー配線パターンを配置しておき、設計変更の際に、このダミー配線パターンを用いるようにすることで、配線パターンの配置を変更する配線層の数を少なく抑える技術がある。ダミー配線パターンは、例えば、専用のセルや、電源配線パターン等の座標を基準にして配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−273847号公報
【特許文献2】特開平6−216247号公報
【特許文献3】特開2000−252360号公報
【特許文献4】特開2008−250490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダミー配線パターンを、専用のセルの座標を基準にして配置する方法では、専用のセルを配置するための領域が必要となり、チップ面積が増大してしまう可能性がある。また、ダミー配線パターンを、電源配線パターンの座標を基準にして配置する方法では、基準点となるポイントの数が膨大であるため、基準点の絞り込みに多くの工数がかかってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一観点によれば、以下のようなレイアウト設計方法が提供される。
このレイアウト設計方法は、レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する。
【発明の効果】
【0007】
開示のレイアウト設計方法、および、レイアウト設計プログラムによれば、チップ面積の増大を抑制しつつ、ダミー配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】第2の実施の形態に係るレイアウト設計装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】配置配線が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの配置手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】ダミー短配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。
【図11】ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。
【図12】ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。
【図13】ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。
【図14】端子の検索ルートの一例を示す図である。
【図15】ダミー配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態に係る配線変更手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】配線変更過程の一例を示す図である。
【図18】配線変更が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は、半導体集積回路のレイアウト設計方法に関するものである。
【0010】
図1は、第1の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。図1に示す処理は、レイアウト設計装置によって実行される。
[ステップS1]レイアウト設計装置が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行う。ここで、レイアウト領域は、設計データ上に表現されたチップ領域を示す。このステップでは、複数の機能セルやバルクセルが配置され、さらに、機能セル間を接続する配線が引かれる。
【0011】
ここで、機能セルは所定の機能(例えば、ORゲート、ANDゲート等)を実現するためのセルであり、バルク層(半導体基板、および、半導体基板上に形成されたゲート電極層とを含み、複数のトランジスタが形成される層)と、配線層(例えば、メタル配線層)とを含むセルである。
【0012】
バルクセルは、半導体集積回路の論理変更等を行う際に用いられるセルであり、バルク層を含み、配線層は含んでいないセルである。バルクセルの一例としては、例えば、ゲートアレイがある。
【0013】
[ステップS2]レイアウト設計装置が、レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出する。
[ステップS3]レイアウト設計装置が、レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索する。
【0014】
[ステップS4]レイアウト設計装置が、検索の結果、所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する。
【0015】
このようにして、ダミー配線パターンがレイアウト領域に配置される。
このように、第1の実施の形態では、ダミー配線パターンを配置するための基準点に、バルクセルの座標を用いている。この構成によれば、例えば、ダミー配線パターンを形成するために専用のセルを設ける等の必要がなくなるため、チップ面積の増大を抑制することができる。
【0016】
さらに、基準点となるポイントの数が、バルクセルの数に絞られるため、基準点の設定を簡単に行うことが可能となり、ダミー配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【0017】
また、バルクセルは、通常、他の機能セル等と配線により接続されていないため、周囲に空き配線領域が検出される可能性が高い。一方、例えば、機能セルの周囲には、他の機能セルとの間を接続する配線等が複雑に引かれているため、空き配線領域が検出される可能性は低い。第1の実施の形態では、バルクセルの周囲において空き配線領域を検索しているため、空き配線領域を効率的に発見することができ、その結果、多くのダミー配線パターンを配置することが可能となる。
【0018】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態のレイアウト設計方法をより具体的にした実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0019】
第2の実施の形態のレイアウト設計は、レイアウト設計装置によって行われる。
図2は、第2の実施の形態に係るレイアウト設計装置のハードウェアの一例を示す図である。
【0020】
レイアウト設計装置10は、CPU(Central Processing Unit)11によって装置全体が制御されている。CPU11には、バス18を介してRAM(Random Access Memory)12と複数の周辺機器が接続されている。
【0021】
RAM12は、レイアウト設計装置10の主記憶装置として使用される。RAM12には、CPU11に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM12には、CPU11による処理に必要な各種データが格納される。
【0022】
バス18に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)13、グラフィック処理装置14、入力インタフェース15、光学ドライブ装置16、および通信インタフェース17がある。
【0023】
HDD13は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD13は、レイアウト設計装置10の二次記憶装置として使用される。HDD13には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0024】
グラフィック処理装置14には、モニタ14aが接続されている。グラフィック処理装置14は、CPU11からの命令に従って、画像をモニタ14aの画面に表示させる。モニタ14aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0025】
入力インタフェース15には、キーボード15aとマウス15bとが接続されている。入力インタフェース15は、キーボード15aやマウス15bから送られてくる信号をCPU11に送信する。なお、マウス15bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0026】
光学ドライブ装置16は、レーザ光等を利用して、光ディスク16aに記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク16aは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク16aには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0027】
通信インタフェース17は、ネットワーク19に接続されている。通信インタフェース17は、ネットワーク19を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
以上のようなハードウェアによって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、レイアウト設計装置10の処理機能を、複数のレイアウト設計装置によって実現するようにしてもよい。
【0029】
次に、第2の実施の形態のレイアウト設計の手順について説明する。
図3は、第2の実施の形態に係るレイアウト設計手順の一例を示すフローチャートである。
【0030】
[ステップS11]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行う。ここで、レイアウト領域は、設計データ上に表現されたチップ領域を示す。また、レイアウト領域は、積層した複数の配線層領域(多層配線層領域)を備えている。このステップでは、複数の機能セルや大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、さらに、機能セル間を接続する配線が引かれる。配線は、例えば、アルミ(Al)配線や、銅(Cu)配線等のメタル配線である。
【0031】
ここで、機能セルは所定の機能(例えば、ORゲート、ANDゲート等)を実現するためのセルであり、バルク層(半導体基板、および、半導体基板上に形成されたゲート電極層とを含み、複数のトランジスタが形成される層)と、配線層(例えば、アルミ配線や、銅配線等のメタル配線層)とを含むセルである。
【0032】
バルクセルは、半導体集積回路の論理変更等を行う際に用いられるセルであり、バルク層を含み、配線層は含んでいないセルである。バルクセルの一例としては、例えば、ゲートアレイがある。
【0033】
図4は、配置配線が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。図4では、レイアウト領域100に、複数の機能セルおよび大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、さらに、複数の配線が引かれている。なお、図中のマトリックス状に引かれた点線は、配線の配置位置(配線トラックとも称す)を示す。また、マトリックス状に引かれた点線の間隔は、配線ピッチに相当する。
【0034】
[ステップS12]レイアウト設計装置10が、抽出するバルクセルの大きさを設定する。
[ステップS13]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置されているバルクセルのうち、設定した大きさ以上のバルクセルを抽出する。このように、設定した大きさ以上のバルクセルを選択的に抽出することで、抽出するバルクセルの数を調整することができる。なお、レイアウト領域に配置されているバルクセルを全て抽出する場合には、上記ステップS12を省略してもよい。
【0035】
[ステップS14]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に、ダミー短配線パターンを配置する。
[ステップS15]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置したダミー短配線パターンを接続して処理を終了する。
【0036】
次に、図3に示したステップS14のダミー短配線パターンの配置について、詳細に説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの配置手順の一例を示すフローチャートである。
【0037】
[ステップS21]レイアウト設計装置10が、図3に示したステップS13で抽出したバルクセルの中から1つを選択する。
[ステップS22]レイアウト設計装置10が、選択したバルクセル内に、基準点を設定する。基準点は、例えば、バルクセルの中心座標に一番近い配線トラックの交点に設定する。
【0038】
[ステップS23]レイアウト設計装置10が、空き配線領域を検索する検索方向を選択する。検索方向は、例えば、上下左右の4方向の中から選択する。なお、一連の処理にて一度選択した方向は、選択肢から除外するものとする。
【0039】
なお、各方向の検索時における座標(X,Y)の変化のさせ方は、次の通りである。すなわち、上方向の場合は、X座標は変化させず、Y座標は「+」方向に変化させる。下方向の場合は、X座標は変化させず、Y座標は「−」方向に変化させる。左方向の場合は、X座標は「−」方向に変化させ、Y座標は変化させない。右方向の場合は、X座標は「+」方向に変化させ、Y座標は変化させない。
【0040】
[ステップS24]レイアウト設計装置10が、積層した複数の配線層領域の中から、検索する配線層領域を選択する。なお、ここでは、複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先に選択し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に選択する。
【0041】
[ステップS25]レイアウト設計装置10が、ダミー短配線パターンの配置に必要な配線領域の長さ(L)を算出する。長さ(L)は、例えば、次式で算出する。
L=a+(e1×3)+(e2×2)
ここで、(a)は、基準点からバルクセルの端までの長さを示し、(e1)は、最小間隔エラーの長さを配線ピッチの倍数に切り上げた長さ(最小配線間隔)を示し、(e2)は、最小幅エラーの長さを配線ピッチの倍数に切り上げた長さ(最小配線幅)を示す。
【0042】
なお、ステップS25は、長さ(L)を予め算出している場合には、省略することも可能である。
[ステップS26]レイアウト設計装置10が、基準点を起点として、選択した検索方向に、長さ(L)の空き配線領域があるかどうかを検索する。空き配線領域がある場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS27に進める。空き配線領域がない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS28に進める。
【0043】
[ステップS27]レイアウト設計装置10が、ダミー短配線パターンを、検出した空き配線領域に配置する。ダミー短配線パターンは、例えば、基準点から(a+e1)だけ離れた座標から、(e1+(e2×2))の長さで配置される。
【0044】
[ステップS28]レイアウト設計装置10が、全ての配線層領域を選択したかどうかを判定する。全ての配線層領域を選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS29に進める。全ての配線層領域を選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS24に戻す。
【0045】
[ステップS29]レイアウト設計装置10が、全ての検索方向(上下左右)を選択したかどうかを判定する。全ての検索方向を選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS30に進める。全ての検索方向を選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS23に戻す。
【0046】
[ステップS30]レイアウト設計装置10が、抽出した全てのバルクセルを選択したかどうかを判定する。全てのバルクセルを選択した場合、レイアウト設計装置10は、処理を終了する。全てのバルクセルを選択していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS21に戻す。
【0047】
このようにして、ダミー短配線パターンがレイアウト領域に配置される。
図6は、ダミー短配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。図6では、レイアウト領域100に、バルクセル110が配置されている。バルクセル110内には、基準点111が設定されている。
【0048】
さらに、基準点111の下方向における2層目の配線層領域に、ダミー短配線パターン120が配置されている。ダミー短配線パターン120は、基準点111から(a+e1)だけ離れて配置されており、(e1+(e2×2))の長さを有している。
【0049】
さらに、基準点111の右方向における1層目の配線層領域(最下配線層領域)に、ダミー短配線パターン130が配置されている。ダミー短配線パターン130は、基準点111から、(a+e1)だけ離れて配置されており、(e1+(e2×2))の長さを有している。
【0050】
ここで、図中のダミー短配線パターン140は、他のバルクセルを基準にして2層目の配線層領域に配置されたダミー短配線パターンである。
なお、図3,図5に示した処理により設計され、生成された半導体集積回路では、チップ領域に配置された大きさの異なる複数のバルクセルのうち、図3のステップS12で設定した大きさよりも大きいバルクセルに対して選択的に、ダミー短配線パターンが最小配線間隔分だけ離間して配置されることとなる。
【0051】
次に、図3に示したステップS15のダミー短配線パターンの接続について、詳細に説明する。
図7〜図9は、第2の実施の形態に係るダミー短配線パターンの接続手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
[ステップS41]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置された全てのダミー短配線パターンの両端を、端子に設定する。ここで、レイアウト設計装置10は、全てのダミー短配線パターンに同じ属性を与える。
【0053】
[ステップS42]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域に配置された全てのダミー短配線パターンを抽出する。
[ステップS43]レイアウト設計装置10が、抽出したダミー短配線パターンの中から1つを選択する。
【0054】
[ステップS44]レイアウト設計装置10が、選択したダミー短配線パターンの一方の端子を始点となる端子(L1P1)に決定する。なお、選択したダミー短配線パターンの他方の端子は、終点となる端子(L1P2)に設定される。
【0055】
[ステップS45]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)からの距離が近い端子(L2P1)を検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。なお、検索を開始する傾きと方向は、任意に設定する。
【0056】
[ステップS46]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)と端子(L2P1)とを結んだ直線の傾き(AG1)を算出する。
図10は、ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。図10は、図6に示した例に対応するものであり、ステップS46までの過程を示すものである。
【0057】
図10では、ダミー短配線パターン120の一方の端子121が、始点となる端子(L1P1)に設定され、他方の端子122が、終点となる端子(L1P2)に設定されている。
【0058】
そして、端子121(L1P1)を起点として、端子(L2P1)の検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。また、図中の傾き201は、検索開始傾きを示す。
【0059】
そして、検索の結果、ダミー短配線パターン130の一方の端子131が、端子(L2P1)に設定されている。図中の傾き202は、傾き(AG1)を示す。
[ステップS47]レイアウト設計装置10が、端子(L1P1)と端子(L2P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0060】
ここで、説明中、単にダミー配線パターンと称するときは、ダミー短配線パターンとダミー連結配線パターンの両方が含まれるものとする。
図11、図12は、ダミー短配線パターンの結線の一例を示す図である。図11、図12は、図10に示した例に対応するものである。
【0061】
図11に示す例では、ダミー短配線パターン120の端子121(L1P1)と、ダミー短配線パターン130の端子131(L2P1)とは、左右方向に延在するダミー連結配線パターン150、および、上下方向に延在するダミー連結配線パターン160によって接続されている。ダミー連結配線パターン150は、3層目の配線層領域に配置され、ダミー連結配線パターン160は、4層目の配線層領域に配置されている。なお、各ダミー配線パターンは、コンタクトパターンを介して接続されている。
【0062】
また、図12に示す例では、ダミー短配線パターン120の端子121(L1P1)と、ダミー短配線パターン130の端子131(L2P1)とは、上下方向に延在するダミー連結配線パターン170、および、左右方向に延在するダミー連結配線パターン180によって接続されている。ダミー連結配線パターン170は、4層目の配線層領域に配置され、ダミー連結配線パターン180は、3層目の配線層領域に配置されている。なお、各ダミー配線パターンは、コンタクトパターンを介して接続されている。
【0063】
[ステップS48]レイアウト設計装置10が、端子(L2P1)を設定したダミー短配線パターンの他方の端子を、始点となる端子(L2P2)に決定する。
[ステップS49]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)からの距離が近い端子(L3P1)を検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。検索を開始する傾きは、傾き(AG1)とし、時計回りに検索する。
【0064】
[ステップS50]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)と端子(L3P1)とを結んだ直線の傾き(AG2)を算出する。
図13は、ダミー短配線パターンの結線過程の一例を示す図である。図13は、図12に示した例に対応するものであり、ステップS50までの過程を示すものである。
【0065】
図13では、ダミー短配線パターン130の他方の端子132が、始点となる端子(L2P2)に設定されている。
そして、端子132(L2P2)を起点として、端子(L3P1)の検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。また、傾き202(AG1)が、検索開始傾きとなる。
【0066】
そして、検索の結果、ダミー短配線パターン140の一方の端子141が、端子(L3P1)に設定されている。図中の傾き203は、傾き(AG2)を示す。なお、ダミー短配線パターン140の他方の端子142は、次に始点となる端子(L3P2)に設定されている。
【0067】
図14は、端子の検索ルートの一例を示す図である。図14は、図13に示した例に対応するものであり、端子(L3P1)を検索する際の検索ルート210を示したものである。
【0068】
検索ルート210は、図13の多段形状の四角枠で示された検索範囲200に沿って、傾き202(AG1)を起点として時計回りに設定されている。また、検索ルート210は、検索範囲200の1段分を一周すると、1つ外側の段に移動する。
【0069】
[ステップS51]レイアウト設計装置10が、端子(L2P2)と端子(L3P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0070】
[ステップS52]レイアウト設計装置10が、端子を検索する方向が決まっているかどうかを判定する。検索方向が決まっている場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS54に進める。検索方向が決まっていない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS53に進める。
【0071】
[ステップS53]レイアウト設計装置10が、傾き(AG1)と傾き(AG2)とを比較し、比較結果に基づいて検索方向を決定する。具体的には、傾き(AG2)が傾き(AG1)に対して時計回り側180°以内である場合には、検索方向を時計回りとし、それ以外の場合には、検索方向を反時計回りとする。
【0072】
[ステップS54]レイアウト設計装置10が、傾き(AG2)を傾き(AGn−1)に設定する。
[ステップS55]レイアウト設計装置10が、前段で結線したダミー短配線パターンの他方の端子を、始点となる端子(LnP2)に決定する。
【0073】
[ステップS56]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)からの距離が近い端子(Ln’P1)を検索する。検索方向は、先に決定した時計回り、または、反時計回りとする。
【0074】
[ステップS57]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)と端子(Ln’P1)とを結んだ直線の傾き(AGn)を算出する。
[ステップS58]レイアウト設計装置10が、傾き(AGn)と傾き(AGn−1)との検索方向における差分となる傾き(AGx)を算出する。
【0075】
[ステップS59]レイアウト設計装置10が、傾き(AGx)が、90°以内であるかどうかを判定する。90°以内である場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS61に進める。90°以内ではない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS60に進める。
【0076】
[ステップS60]レイアウト設計装置10が、傾き(AGn)を傾き(AGn−1)に設定する。
[ステップS61]レイアウト設計装置10が、端子(LnP2)と端子(Ln’P1)とをダミー連結配線パターンを用いて結線する。結線する際は、各配線方向において、最上配線層領域を最優先に使用し、次に、最上配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。
【0077】
[ステップS62]レイアウト設計装置10が、終点である端子(L1P2)まで結線が完了したかどうかを判定する。結線が完了している場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS63に進める。結線が完了していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS55に戻す。
【0078】
[ステップS63]レイアウト設計装置10が、抽出した全てのダミー短配線パターンを結線したかどうかを判定する。全てのダミー短配線パターンを結線した場合、レイアウト設計装置10は、処理を終了する。全てのダミー短配線パターンを結線していない場合、レイアウト設計装置10は、処理をステップS43に戻す。
【0079】
このようにして、ダミー短配線パターンの結線が行われる。なお、その後、論理検証や物理検証が行われる。ここで、結線されたダミー短配線パターンおよびダミー連結配線パターンの結線体は、ループ状に形成されている。
【0080】
図15は、ダミー配線パターンが配置されたレイアウト領域の一例を示す図である。
図15(A)、(B)に示す例では、レイアウト領域100に、複数のダミー短配線パターンと複数のダミー連結配線パターンとが結線された結線体190,191が、それぞれ、ループ状に配置されている。
【0081】
次に、図3に示した処理により設計されたレイアウトに対して、設計変更に伴い、ダミー配線パターンを用いて配線を変更(新規配線追加、または、既存配線接続経路変更等)する方法について説明する。
【0082】
図16は、第2の実施の形態に係る配線変更手順の一例を示すフローチャートである。
[ステップS71]レイアウト設計装置10が、レイアウト領域から接続元のセル端子(C1)および接続先のセル端子(C2)を抽出する。なお、接続先のセル端子(C2)が複数ある場合には、複数のセル端子(C2)の座標を平均した中間座標(Ca)を算出する。
【0083】
[ステップS72]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)とセル端子(C2)または中間座標(Ca)とを結んだ直線の傾き(CAG1)、および、セル端子(C1)とセル端子(C2)または中間座標(Ca)との距離(CDS1)を算出する。
【0084】
[ステップS73]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)からの距離が近いダミー配線パターンを検索する。検索は、例えば、四角形状のリング型の検索範囲を、配線ピッチ間隔で広げることで行われる。なお、検索範囲は、セル端子(C1)から距離(CDS1)までとする。検索を開始する傾きと方向は、任意に設定する。
【0085】
ここで、最下配線層領域を最優先に検索し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に検索する。なお、使用できる配線層が限定されている場合には、限定された配線層まで検索する。
【0086】
また、セル端子(C1)から同じ距離で、複数のダミー配線パターンが検出された場合には、セル端子(C2)または中間座標(Ca)により近い方を検出する。
図17は、配線変更過程の一例を示す図である。図17は、ステップS73までの過程を示すものである。
【0087】
図17では、レイアウト領域100に、バルクセル310,320と、複数のダミー配線パターンがループ状に結線された結線体300とが配置されている。そして、バルクセル310のセル端子311がセル端子(C1)として抽出され、バルクセル320のセル端子321がセル端子(C2)として抽出されている。
【0088】
そして、セル端子311(C1)を起点として、距離が近いダミー配線パターンの検索が行われている。図中の多段形状の四角枠は、配線ピッチ間隔で広げられる検索範囲200を示す。
【0089】
そして、検索の結果、結線体300に含まれる1層目の配線層領域に配置されたダミー短配線パターン330が距離が近いダミー配線パターンとして検出されている。図中の傾き301は、傾き(CAG1)を示す。
【0090】
[ステップS74]レイアウト設計装置10が、検出したダミー配線パターンを切断する。これにより、切断したダミー配線パターンを含む結線体がループ状ではなくなるため、結線体を配線として機能させることが可能となる。
【0091】
[ステップS75]レイアウト設計装置10が、セル端子(C1)と切断したダミー配線パターンとを配線パターンを用いて結線して処理を終了する。結線には、最下配線層領域を最優先に使用し、次に、最下配線層領域により近い配線層領域を優先的に使用する。ここで、結線したダミー配線パターンが含まれる結線体には、結線に用いられた配線パターンと同じNET名が付けられる。
【0092】
図18は、配線変更が行われたレイアウト領域の一例を示す図である。図18は、図17に対応するものである。
図18では、セル端子311(C1)から距離が近いダミー配線パターンとして検出されたダミー短配線パターン330が切断されて、ダミー短配線パターン330aおよびダミー短配線パターン330bに分割されている。これにより、ダミー短配線パターン330を含んでいたループ状の結線体300が、結線体300aと結線体300bとに分断され、それぞれ配線として機能するようになる。
【0093】
そして、切断されたダミー短配線パターン330bとセル端子311(C1)とが配線パターン341〜343を介して接続されている。配線パターン341,343は、上下方向に延在し、2層目の配線層領域に配置されている。配線パターン342は、左右方向に延在し、1層目の配線層領域に配置されている。
【0094】
そして、配線パターン341〜343および結線体300bには、同じNET名が付けられる。すなわち、配線パターン341〜343および結線体300bは、半導体集積回路の一部となる配線(実配線)となる。
【0095】
このようにして、ダミー配線パターンを用いた配線の変更が行われる。なお、その後、論理検証や物理検証が行われる。
以上、説明してきたように、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンを配置するための基準点に、バルクセルの座標を用いている(図5のステップS22,S27)。この構成によれば、例えば、ダミー短配線パターンを形成するために専用のセルを設ける等の必要がなくなるため、チップ面積の増大を抑制することができる。
【0096】
さらに、基準点となるポイントの数が、バルクセルの数に絞られるため、基準点の設定を簡単に行うことが可能となり、ダミー短配線パターンの配置にかかる工数を低減することが可能となる。
【0097】
また、バルクセルは、通常、他の機能セル等と配線により接続されていないため、周囲に空き配線領域が検出される可能性が高い。一方、例えば、機能セルの周囲には、他の機能セルとの間を接続する配線等が複雑に引かれているため、空き配線領域が検出される可能性は低い(例えば、図4を参照)。
【0098】
第2の実施の形態では、バルクセルの周囲において空き配線領域を検索しているため、空き配線領域を効率的に発見することができ、その結果、多くのダミー配線パターンを配置することが可能となる。
【0099】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンをレイアウト領域に配置する際、レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー短配線パターンを配置する(図5のステップS24)。
【0100】
この構成によれば、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンとバルクセル等の端子とを接続する際に用いる配線パターンまたはコンタクトパターンを、最下配線層領域により近い配線層領域を用いて配置させることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、配線が変更される配線層の数を抑制することできる。
【0101】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー連結配線パターンをレイアウト領域に配置する際、レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する(図7のステップS47、図8のステップS51、および、図9のステップS61)。
【0102】
この構成によれば、最下配線層領域により近い配線層領域に、配線スペースを確保することができ、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンとバルクセル等の端子とを接続する際に用いる配線パターンまたはコンタクトパターンを、最下配線層領域により近い配線層領域を用いて配置させることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、配線が変更される配線層の数をさらに抑制することできる。
【0103】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体がループ状に形成されている(例えば、図15を参照)。
この構成によれば、ダミー短配線パターンの一方の端子を結線の始点とし、同じダミー短配線パターンの他方の端子を結線の終点とすることができる。すなわち、結線の始点が決まれば自動的に終点を定めることができる。これにより、結線の終点を設定する工数を削減することが可能となる。
【0104】
さらに、第2の実施の形態では、ダミー短配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している(例えば、図6を参照)。
この構成によれば、配線変更に伴い、ダミー短配線パターンを分割した場合、分割されたダミー短配線パターンの間隔を、最小配線間隔以上にすることができ、さらに、分割されたそれぞれのダミー短配線パターンの幅を、最小配線幅以上にすることが可能となる(例えば、図18を参照)。これにより、デザインルールに違反することなく、配線変更を行うことが可能となる。
【0105】
さらに、第2の実施の形態では、レイアウト領域に配置されたバルクセルを抽出する際、バルクセルの大きさに基づいて抽出するバルクセルを選択する(図3のステップS12,S13)。
【0106】
この構成によれば、抽出するバルクセルの数を容易に調整することができる。すなわち、抽出したバルクセルの座標を基準にして配置するダミー短配線パターンの数を容易に調整することが可能となる。
【0107】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、レイアウト設計装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0108】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0109】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0110】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0111】
以上説明した第1および第2の実施の形態を含む実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) レイアウト設計装置が、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とするレイアウト設計方法。
【0112】
(付記2) 前記ダミー配線パターン配置工程において配置されるダミー配線パターンは、前記半導体集積回路に設計変更があり、配線を変更する際に、前記半導体集積回路の一部として用いられる、
ことを特徴とする付記1記載のレイアウト設計方法。
【0113】
(付記3) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とする付記1または2記載のレイアウト設計方法。
【0114】
(付記4) 前記レイアウト設計装置が、
前記検出した空き配線領域に配置したダミー配線パターンと連結するダミー連結配線パターンを、前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載のレイアウト設計方法。
【0115】
(付記5) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する、
ことを特徴とする付記4記載のレイアウト設計方法。
【0116】
(付記6) 前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
ダミー配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体が、ループ状になるように、ダミー連結配線パターンを前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする付記4または5記載のレイアウト設計方法。
【0117】
(付記7) 前記ダミー配線パターン配置工程で配置されるダミー配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか1つに記載レイアウト設計方法。
【0118】
(付記8) 前記レイアウト設計装置が、
前記バルクセル抽出工程において、バルクセルの大きさに基づいて抽出するバルクセルを選択する、
ことを特徴とする付記1〜7のいずれか1つに記載のレイアウト設計方法。
【0119】
(付記9) コンピュータに、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
処理を実行させることを特徴とするレイアウト設計プログラム。
【0120】
(付記10) チップ領域に配置されたバルクセルと、
前記チップ領域において、前記バルクセルから最小配線間隔分だけ離間して配置されたダミー配線パターンと、
を有することを特徴とする半導体集積回路。
【0121】
(付記11) 前記ダミー配線パターンは、最小配線間隔と最小配線幅の2倍の長さとを足した長さを有している、
ことを特徴とする付記10記載の半導体集積回路。
【0122】
(付記12) 前記チップ領域に配置され、前記ダミー配線パターンと連結されたダミー連結配線パターンをさらに有し、
前記ダミー連結配線パターンは、前記ダミー配線パターンよりも上層の配線層に配置されている、
ことを特徴とする付記10または11記載の半導体集積回路。
【0123】
(付記13) 前記ダミー配線パターンと前記ダミー連結配線パターンとの結線体は、ループ状に形成されている、
ことを特徴とする付記10〜12のいずれか1つに記載の半導体集積回路。
【0124】
(付記14) 前記チップ領域には大きさの異なる複数のバルクセルが配置され、
前記複数のバルクセルのうち、所定の大きさよりも大きいバルクセルに対して選択的に、ダミー配線パターンが最小配線間隔分だけ離間して配置されている、
ことを特徴とする付記10〜13のいずれか1つに記載の半導体集積回路。
【符号の説明】
【0125】
100 レイアウト領域
110,310,320 バルクセル
111 基準点
120,130,140,330,330a,330b ダミー短配線パターン
121,122,131,132,141,142 端子
150,160,170,180 ダミー連結配線パターン
190,191,300,300a,300b 結線体
200 検索範囲
201,202,203,301 傾き
210 検索ルート
311,321 セル端子
341〜343 配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアウト設計装置が、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とするレイアウト設計方法。
【請求項2】
前記ダミー配線パターン配置工程において配置されるダミー配線パターンは、前記半導体集積回路に設計変更があり、配線を変更する際に、前記半導体集積回路の一部として用いられる、
ことを特徴とする請求項1記載のレイアウト設計方法。
【請求項3】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のレイアウト設計方法。
【請求項4】
前記レイアウト設計装置が、
前記検出した空き配線領域に配置したダミー配線パターンと連結するダミー連結配線パターンを、前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレイアウト設計方法。
【請求項5】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する、
ことを特徴とする請求項4記載のレイアウト設計方法。
【請求項6】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
ダミー配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体が、ループ状になるように、ダミー連結配線パターンを前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする請求項4または5記載のレイアウト設計方法。
【請求項7】
コンピュータに、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
処理を実行させることを特徴とするレイアウト設計プログラム。
【請求項1】
レイアウト設計装置が、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とするレイアウト設計方法。
【請求項2】
前記ダミー配線パターン配置工程において配置されるダミー配線パターンは、前記半導体集積回路に設計変更があり、配線を変更する際に、前記半導体集積回路の一部として用いられる、
ことを特徴とする請求項1記載のレイアウト設計方法。
【請求項3】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最下配線層領域を最優先とし、次に最下配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー配線パターンを配置する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のレイアウト設計方法。
【請求項4】
前記レイアウト設計装置が、
前記検出した空き配線領域に配置したダミー配線パターンと連結するダミー連結配線パターンを、前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレイアウト設計方法。
【請求項5】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
前記レイアウト領域が備える複数の配線層領域のうち、最上配線層領域を最優先とし、次に最上配線層領域により近い配線層領域を優先して、ダミー連結配線パターンを配置する、
ことを特徴とする請求項4記載のレイアウト設計方法。
【請求項6】
前記レイアウト設計装置が、
前記ダミー連結配線パターン配置工程において、
ダミー配線パターンとダミー連結配線パターンとの結線体が、ループ状になるように、ダミー連結配線パターンを前記レイアウト領域に配置する、
ことを特徴とする請求項4または5記載のレイアウト設計方法。
【請求項7】
コンピュータに、
レイアウト領域に対して、半導体集積回路の配置配線を行った後、
前記レイアウト領域に配置されているバルクセルを抽出し、
前記レイアウト領域において、抽出したバルクセルの周囲に、所定の大きさを備える空き配線領域が存在するかどうかを検索し、
検索の結果、前記所定の大きさを備える空き配線領域を検出した場合、抽出したバルクセルの座標を基準にして、前記検出した空き配線領域にダミー配線パターンを配置する、
処理を実行させることを特徴とするレイアウト設計プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−243791(P2012−243791A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109216(P2011−109216)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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