説明

レーザ光源装置およびそれを用いたモニタ装置ならびに画像表示装置

【課題】波長変換素子を有するレーザ光源が出射するレーザ光のコヒーレンスを低減する。
【解決手段】レーザ光源装置100aは、第1の波長の光W14aを出射する第1のレーザアレイ光源102aと、第1の波長とは異なる第2の波長の光W24を出射する第2のレーザアレイ光源104とを備えている。第1のレーザアレイ光源102aは、第1の原振波長の第1の基本波W11aを発生する第1の基本波レーザアレイ110aと、第1の基本波W11aを波長変換して第1の波長の光W14aを生成する第1の波長変換素子130aと、を有している。第2のレーザアレイ光源104は、第1の原振波長とは異なる第2の原振波長の第2の基本波W21を発生する第2の基本波レーザアレイ110と、第2の基本波W21を波長変換して第2の波長の光W24を生成する第2の波長変換素子130とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、波長変換素子を有するレーザ光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の画像表示装置の照度を高めるため、光源装置としてレーザ光源が用いられることがある。このようなレーザ光源では、より効率の高い長波長のレーザ光源から波長変換素子を用いて可視光のレーザ光を得ることが行われる。
【0003】
【特許文献1】特表2004−503923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように波長変換によって得られた可視光のレーザ光も、放電ランプなどの光源に比べてコヒーレンスが比較的高い。そのため、レーザ光の干渉により、画像表示装置による画像の投写面でスペックルノイズが現れ、投写画像の画質が低下するおそれがある。なお、上述した問題点は、画像表示装置に用いる光源装置に限らず、照明装置など、光源装置を必要とする様々な装置において起こり得る。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、波長変換素子を有するレーザ光源が出射するレーザ光のコヒーレンスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明のレーザ光源装置は、第1の波長の光を出射する第1のレーザアレイ光源と、第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射する第2のレーザアレイ光源と、を備えており、前記第1のレーザアレイ光源は、第1の原振波長の第1の基本波を発生する第1の基本波レーザアレイと、前記第1の基本波を波長変換して第1の波長の光を生成する第1の波長変換素子と、を有し、前記第2のレーザアレイ光源は、前記第1の原振波長とは異なる第2の原振波長の第2の基本波を発生する第2の基本波レーザアレイと、前記第2の基本波を波長変換して第2の波長の光を生成する第2の波長変換素子と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1のレーザアレイ光源が出射するレーザ光の波長とは異なる波長のレーザ光が、第2のレーザアレイ光源が出射される。そのため、レーザ光源装置の出射するレーザ光には、複数の波長のレーザ光が含まれるので、レーザ光源装置の出射するレーザ光のコヒーレンスを低減することができる。
【0008】
前記第1と第2の基本波レーザアレイのそれぞれは、第1の原振波長および第2の原振波長の光を反射して共振器を形成する第1と第2のミラーと、前記第1と第2のミラーの間に設けられた、特定の波長の光を選択的に透過する波長選択素子および特定の波長範囲の利得帯域を有する利得媒体と、を備えており、前記第1の基本波レーザアレイの波長選択素子と前記第2の基本波レーザアレイの波長選択素子は、同一種類の波長選択素子であり、前記第1の基本波レーザアレイの前記波長選択素子は、前記第1の原振波長の光を透過し、前記第1の基本波レーザアレイの前記利得媒体は、前記第1の原振波長でレーザ発振するように利得帯域が設定され、前記第2の基本波レーザアレイの前記波長選択素子は、前記第2の原振波長の光を透過し、前記第2の基本波レーザアレイの前記利得媒体は、前記第2の原振波長でレーザ発振するように利得帯域が設定されているものとしても良い。
【0009】
この構成によれば、第1と第2の基本波レーザアレイのレーザ発振波長を共振器内に設けた波長選択素子により設定することで、第1と第2のレーザアレイ光源が出射するレーザ光の波長を互いに異なるものとすることができる。また、同一種類の波長選択素子を使用することで、使用する波長選択素子の種類の増大を抑制することができる。
【0010】
前記第1と第2の基本波レーザアレイに含まれる前記波長選択素子は、前記第1の原振波長と前記第2の原振波長とのいずれをも選択的に透過する同一の透過特性を有するように構成されているものとしても良い。
【0011】
この構成によれば、基本波レーザアレイの利得帯域を設定することにより、第1の原振波長と第2の原振波長とのいずれかで基本波レーザアレイを発振させることができる。そのため、第1と第2の基本波レーザアレイのそれぞれの波長選択素子の透過波長を互いに異なる波長となるように設定することが省略できる。
【0012】
前記前記第1と第2の基本波レーザアレイに含まれる前記波長選択素子は、前記波長選択素子に入射する入射光の角度によって選択的に透過する波長が変化する同一の透過特性を有するように構成されており、前記第1と第2の基本波レーザアレイの波長選択素子は、前記第1の基本波レーザアレイにおける前記波長選択素子の前記共振器の共振方向に対する角度と、前記第2の基本波レーザアレイにおける前記波長選択素子の前記共振器の共振方向に対する角度と、が異なるように配置されているものとしても良い。
【0013】
この構成によれば、波長選択素子の共振方向に対する角度を調整することにより、第1と第2の基本波レーザアレイのそれぞれの波長選択素子の透過波長を互いに異なる波長とすることができる。
【0014】
前記同一種類の波長選択素子は、前記同一種類の波長選択素子に設けられたアクチュエータにより波長選択素子の波長選択状態を変更することにより選択的に透過する波長が変化するように構成されており、前記第1の基本波レーザアレイの前記波長選択素子と、前記第2の基本波レーザアレイの前記波長選択素子とは、互いに異なる波長選択状態に設定されているものとしても良い。
【0015】
この構成によれば、アクチュエータにより波長選択素子の波長選択状態を調整することにより、第1と第2の基本波レーザアレイのそれぞれの波長選択素子の透過波長を互いに異なる波長とすることができる。
【0016】
前記第1と第2の波長変換素子は、基本波の波長によって波長変換効率が異なる波長変換素子であって、前記第1のレーザアレイ光源の波長変換素子は、前記第1の原振波長における波長変換効率が、前記第2の原振波長における波長変換効率よりも高い波長変換素子であり、前記第2のレーザアレイ光源の波長変換素子は、前記第2の原振波長における波長変換効率が、前記第1の原振波長における波長変換効率よりも高い波長変換素子であるものとしても良い。
【0017】
この構成によれば、第1の原振波長と第2の原振波長とのそれぞれに適した波長変換素子により波長変換が行われる。そのため、第1のレーザアレイ光源の波長変換効率と、第2のレーザアレイ光源の波長変換効率と、の双方をより高くすることができる。
【0018】
前記第1と第2の波長変換素子は、波長変換効率が所定の効率よりも高くなる波長が温度によって変化する同一種類の波長変換素子であって、前記第1のレーザアレイ光源は、前記第1の波長変換素子の温度を前記第1の原振波長における波長変換効率が前記所定の効率よりも高くなるように調整する第1の温度調節部を有し、前記第2のレーザアレイ光源は、前記第2の波長変換素子の温度を前記第2の原振波長における波長変換効率が前記所定の効率よりも高くなるように調整する第2の温度調節部を有するものとしても良い。
【0019】
この構成によれば、同一種類の波長変換素子を用いることにより、使用する波長変換素子の種類の増大を抑制することができる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、レーザ光源装置、そのレーザ光源装置を利用したモニタ装置や画像表示装置、等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.第8実施例:
I.第9実施例:
J.第10実施例:
K.変形例:
【0022】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例を適用するプロジェクタの概略構成図である。このプロジェクタ500は、赤色光を出射するレーザ光源装置100Rと、緑色光を出射するレーザ光源装置100Gと、青色光を出射するレーザ光源装置100Bと、を備えている。赤色のレーザ光源装置100Rは、赤色のレーザを出射する2つのレーザアレイ光源102R,104Rを積層することにより構成されている。同様に、緑色と青色のレーザ光源装置100G,100Bは、それぞれ、対応する色のレーザアレイ光源102G,104G,102B,104Bを積層することにより構成されている。
【0023】
プロジェクタ500は、各色ごとに、均一化光学系502R,502G,502Bと、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bとを備えている。プロジェクタ500は、また、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bから出射された光を合成するクロスダイクロイックプリズム506と、投写レンズ507と、を備えている。
【0024】
均一化光学系502R,502G,502Bは、各色光を出射するレーザ光源装置100R,100G,100Bから出射された各色のレーザ光LBR,LBG,LBBにより、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bのそれぞれを照明するための光学系である。これらの均一化光学系502R,502G,502Bは、コンピュータ生成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)等のホログラム、あるいはレンズアレイ等により構成されており、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bのそれぞれの照度分布を均一化する。液晶ライトバルブ504R,504G,504Bは、均一化光学系502R,502G,502Bによって照射された各色光のそれぞれをパソコン(図示省略)等から送られてきた画像信号に応じてそれぞれ変調する。
【0025】
各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム506に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。そして、合成された光は投写レンズ507によってスクリーン510上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0026】
なお、これらのレーザ光源装置100R,100G,100B、および、レーザアレイ光源102R,104R,102G,104G,102B,104Bは、ほぼ同様の構成となっている。そのため、以下では、レーザ光源装置100R,100G,100Bを代表するレーザ光源装置100として緑色のレーザ光源装置100Gについて説明する。また、各色のレーザアレイ光源102R,104R,102G,104G,102B,104Bを代表するレーザアレイ光源102,104として緑色のレーザアレイ光源102G,104Gについて説明する。
【0027】
図2(a)は、レーザアレイ光源102の構成を示す斜視図である。なお、レーザアレイ光源104の構成は、レーザアレイ光源102と同じである。レーザアレイ光源102は、垂直共振器型面発光レーザアレイ110(以下、「VCSELアレイ110」とも呼ぶ)と、偏光ビームスプリッタ120と、波長変換素子130と、反射鏡140と、を有している。VCSELアレイ110が搭載されている基板150と、波長変換素子130の温度制御を行うペルチェ素子160とは、それぞれベース190に取り付けられている。
【0028】
VCSELアレイ110は、発光波長が1060nmのレーザ光を図2(a)のx軸の矢印方向(以下、x軸の矢印の方向を「+x」方向、+x方向とは反対の方向を「−x」方向とも呼ぶ、y軸およびz軸についても同様に呼ぶ)に出射するレーザアレイである。図2(b)は、VCSELアレイ110を+x方向から見た様子を示している。VCSELアレイ110は、7つの発光部112と7つのボンディングパッド114とのそれぞれを配線116で接続することにより構成されている。7つのボンディングパッド114のそれぞれに電圧を印加することにより、7つの発光部112からは、レーザ光が+x方向に出射される。なお、図2(b)に示すように、第1実施例のVCSELアレイ110は、発光部112がVCSELアレイ110のほぼ中央に位置している。
【0029】
一般に、VCSELアレイ110の発光部112は、レーザの出射方向(x軸方向)と垂直なy軸・z軸方向に異方性を有していない。そのため、図2(a)の矢印で示すように、VCSELアレイ110の出射ビームW11は、特定方向に偏光することなく、y軸方向の電界成分Eyとz軸方向の電界成分Ezとを有している。
【0030】
VCSELアレイ110の出射ビームW11は、+x方向に進行して偏光ビームスプリッタ120に到達する。偏光ビームスプリッタ120では、出射ビームW11のうちのP偏光成分(すなわち、y軸方向の偏光成分Ey)を選択的に透過する。偏光ビームスプリッタ120を透過したビームW12は、さらに+x方向に進行して、波長変換素子130に到達する。
【0031】
第1実施例では、波長変換素子130として、周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN:Periodically Poled LiNbO3)を使用している。PPLNは、自発分極と反転分極との分極反転周期(ドメインピッチ)の光学長を入射光の波長に整合させることにより、分極方向に平行な電界成分Ezを持つ入射光(「基本波」とも呼ぶ)から2倍の振動数を持つ第2高調波を発生する第2高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子として作用する。なお、波長変換素子130のドメインピッチと屈折率は、波長変換素子130の温度によって変化する。そのため、入射光の波長と、ドメインピッチの光学長との整合状態を維持するため、図2(a)に示すように、波長変換素子130はペルチェ素子160に取り付けられ、波長変換素子130の温度制御が行われる。図2(a)の例では、ペルチェ素子160により、波長変換素子130の温度Tsは60℃となるように設定されている。なお、第1実施例では、波長変換素子130として、PPLNを用いているが、分極反転構造を有する種々の強誘電体材料を波長変換素子として用いることができる。波長変換素子に使用可能な強誘電体材料としては、タンタル酸リチウム(LT:LiTaO3)やチタン酸リン酸カリウム(KTP:KTiOPO4)やニオブ酸カリウム(KN:KNbO3)等を使用することができる。
【0032】
図2(a)の例では、波長変換素子130の分極方向は、ハッチングをかけていない自発分極領域では+y方向を向いており、ハッチングをかけている反転分極領域では−y軸方向を向いている。このように、波長変換素子130の分極方向がy軸に並行となっているため、偏光ビームスプリッタ120を透過したビームW12は、波長が基本波の波長(「原振波長」とも呼ばれる)の1/2の光(第2高調波)に変換される。そして、波長変換された第2高調波と、波長変換されずに波長変換素子130を通過した基本波と、を含むビームW13が波長変換素子130から出射される。図2(a)の例では、基本波W12の波長は、VCSELアレイ110の出射ビームW11の波長の約1060nmであるので、ビームW13には、波長が約530nmの第2高調波と波長が約1060nmの基本波とが含まれている。
【0033】
ビームW13は、さらにx軸方向に進行して反射鏡140に到達する。反射鏡140は、約1060nmの波長の光を選択的に反射する反射鏡である。ビームW13に含まれる第2高調波は、反射鏡140を透過して、基本波をほとんど含まないビームW14(出射ビーム)がレーザアレイ光源102から出射される。一方、ビームW13に含まれる基本波は反射鏡140で反射され、波長変換素子130と偏光ビームスプリッタ120とを通して、VCSELアレイ110に戻される。VCSELアレイ110では、戻された基本波によりVCSELアレイ110の利得媒体である活性層が励起され、ビームW11を生成するためのエネルギーに使用される。なお、反射鏡140のように、特定の波長の光を選択的に反射する反射鏡は、例えば、誘電体薄膜(TiO層やSiO層など)を複数積層した光学多層膜で形成することができる。
【0034】
図3(a)は、図2(a)に示すレーザアレイ光源102と、レーザアレイ光源102と同一構成のレーザアレイ光源104と、をy軸方向に隣接して配置することにより形成されたレーザ光源装置100を示している。なお、これらのレーザアレイ光源102,104は、別個のユニットであるので、「レーザアレイ光源ユニット」ともいうことができる。図3(a)は、レーザアレイ光源102,104のパッケージ170が図示されている。図3(b)は、このように形成されたレーザ光源装置100から出射するビームW14,W24の出射位置と、レーザアレイ光源102,104のパッケージ170との位置関係を示している。なお、本明細書において、図3(b)に示すように、ビームW14,ビームW24のそれぞれが出射する領域をレーザ光出射領域とも呼ぶ。これらのレーザ光出射領域は、VCSELアレイ110の発光部がz軸方向に配列しているため、z軸方向の長さがy軸方向の長さよりも長くなっている。
【0035】
ペルチェ素子160の厚さは、通常、VCSELアレイ110のy軸方向の長さや波長変換素子130の厚さよりも厚くなる。そのため、図3(b)に示すように、ビームW14,W24の出射位置は、それぞれのパッケージ170のy軸方向の中心からオフセットしている。具体的には、第1のレーザアレイ光源102では、出射ビームW14とパッケージ170の+y方向側(すなわち、ベース190側)の面との距離Yaは、出射ビームW14とパッケージ170の−y方向側(レーザアレイ光源の隣接方向側)の面との距離Ybよりも小さくなっている。また、第2のレーザアレイ光源104では、出射ビームW24とパッケージ170の−y方向側(すなわち、ベース190側)の面との距離Yaは、出射ビームW24とパッケージ170の−y方向側(レーザアレイ光源の隣接方向側)の面との距離Ybよりも小さくなっている。
【0036】
第1実施例では、図3(a)に示すように、第1のレーザアレイ光源102をベース190が−y方向側となるように配置し、第2のレーザアレイ光源104をベース190が+y方向側となるように配置している。そのため、第1のレーザアレイ光源102の出射ビームW14と、第2のレーザアレイ光源の出射ビームW24と、の間の距離は、これらのレーザアレイ光源102,104のパッケージ170のy軸方向の長さYpよりも短くなる。このように、第1のレーザアレイ光源102の出射ビームW14と第2のレーザアレイ光源104の出射ビームW24との距離を短くすることにより、均一化光学系502G(図1)の大きさを小さくすることができる。また、均一化光学系502Gを小さくすることにより、均一化光学系502Gから液晶ライトバルブ504G(図1)への光の入射角をより小さくすることができる。そのため、入射角の増大により液晶ライトバルブ504Gの変調光のコントラスト低下をより抑制することができる。
【0037】
また、第1のレーザアレイ光源102の出射ビームW14と、第2のレーザアレイ光源104の出射ビームW24とは、いずれもy軸方向に偏光している。そのため、偏光板や偏光ビームスプリッタ等の偏光方向をそろえるための偏光制御素子を省略しても、液晶ライトバルブ504Gによる光の変調を行うことができる。
【0038】
このように、第1実施例では、2つのレーザアレイ光源102,104を、それぞれの出射ビームW14,W24に近い側の面が隣接するように配置することにより、出射ビームW14,W24間の距離を短縮している。このように、出射ビームW14,W24間の距離を小さくすることにより、均一化光学系502Gをより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504Gの変調光のコントラストをより高くすることができる。
【0039】
また、第1実施例では、第1のレーザアレイ光源102の出射ビームW14と、第2のレーザアレイ光源104の出射ビームW24と、の偏光方向がそろっている。そのため、出射ビームW14,W24の偏光方向をそろえる偏光制御素子を省略することができるので、プロジェクタ500(図1)をより小型化するとともに、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0040】
B.第2実施例:
図4(a)は、第2実施例におけるレーザ光源装置100aの構成を示す構成図である。第2実施例のレーザ光源装置100aは、第1のレーザアレイ光源102aの構成が変更されている点で、図3(a)に示す第1実施例のレーザ光源装置100と異なっている。具体的には、VCSELアレイ110aおよび波長変換素子130aが、第1実施例のVCSELアレイ110および波長変換素子130と異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。図4(b)は、第2実施例のレーザ光源装置100aから出射するビームW14a,W24の出射位置と、レーザアレイ光源102a,104のパッケージ170との位置関係を示している。出射ビームW14が出射ビームW14aに置き換えられている他は、図3(b)に示す第1実施例と同じである。
【0041】
第2実施例の第1のレーザアレイ光源102aでは、VCSELアレイ110aは、発光波長が約1056nmとなっている点で、発光波長が約1060nmの第1実施例のVCSELアレイ110と異なっている。図5は、このように発光波長の異なるVCSELアレイ110,110aを取得する様子を示している。図5(a)および図5(b)は、VCSELアレイを切り出す前のエピタキシャルウェハ(エピウェハ)EW1,EW2を示している。これらのエピウェハEW1,EW2は、それぞれ異なるバッチで製造されている。
【0042】
通常、エピウェハEW1,EW2では、VCSELアレイを構成するブラッグ反射層や垂直共振器層の厚さが、外周部と中心部とで異なっている。そのため、VCSELアレイの発光波長は、これらの厚さの面内分布に従って、エピウェハEW1,EW2の外周部と中心部とで異なっている。また、ブラッグ反射層や垂直共振器層の厚さは、エピウェハの製造バッチごとに変動する。そのため、同様な場所からVCSELアレイを取り出しても、エピウェハの製造バッチごとに、VCSELアレイの発光波長は変動する。なお、このような発光波長の変動は、VCSELアレイに限らず、レーザアレイ素子全般において発生する。例えば、端面発光型のレーザアレイ素子では、混晶比等の活性層の組成の変動により発光波長が変動する。
【0043】
第2実施例では、エピウェハEW1は、まず、エピウェハEW1の中心部の領域RC1と、エピウェハEW1の外周部の領域RT1,RB1,RR1,RL1に分割される。そこで、外周部の領域RT1,RB1,RR1,RL1から得られたVCSELアレイを第1の群とし、中心部の領域RC1から得られたVCSELアレイを第2の群とすることにより、発光波長の異なるVCSELアレイの群を得ることができる。同様に、エピウェハEW2の中心部の領域RC2から得られたVCSELアレイを第3の群とし、エピウェハEW2の外周部の領域RT2,RB2,RR2,RL2から得られたVCSELアレイを第4の群とすることにより、発光波長の異なるVCSELアレイを得ることができる。
【0044】
図5(c)は、発光波長に対する得られたVCSELアレイの数を示す度数分布グラフである。図5(c)の例では、第1のエピウェハEW1の中心部の領域RC1から得られた第1の群では、発光波長が約1056nmのVCSELアレイが最も多くなっている。一方、第1のエピウェハEW1の外周部の領域RT1,RB1,RR1,RL1から得られた第2の群では、発光波長が約1060nmのVCSELアレイが最も多くなっている。また、第2のエピウェハEW2の中心部RC2から得られた第3の群のVCSELアレイでは、発光波長が約1060nmのVCSELアレイが最も多くなっている。一方、第2のエピウェハEW2の外周部の領域RT2,RB2,RR2,RL2から得られた第4の群では、発光波長が約1064nmのVCSELアレイが最も多くなっている。
【0045】
このように、発光波長が異なるVCSELアレイを複数のグループに分類することにより、所望の発光波長で発光するVCSELアレイを取得することができる。図4(a)の例では、このように得られた、発光波長が約1056nmのVCSELアレイ110aと、発光波長が約1060nmのVCSELアレイ110と、を用いて第1のレーザアレイ光源102aおよび第2のレーザアレイ光源104が形成される。
【0046】
第1のレーザアレイ光源102aでは、基本波W11a,W12aの波長は約1056nmとなっている。そのため、第1のレーザアレイ光源102aの波長変換素子130aは、基本波W11a,W12aの波長と整合するように、ドメインピッチlcaが第2のレーザアレイ104の波長変換素子130のドメインピッチlcよりも短くされている。そのため、波長変換素子130aでは、波長が約1056nmの基本波W12aから、波長が約528nmの第2高調波が生成される。そして、波長が約528nmのビームW14aが、第1のレーザアレイ光源102aから出射する。
【0047】
一般に、端面発光型のレーザアレイでは、発光部が光学的に分離されていないため、個々の発光部から出射される複数本のレーザ光の位相が整合してコヒーレンスが高くなる。同様に、VCSELアレイにおいても、プロトン注入で絶縁部を形成して作成されるVCSELアレイ等のように、VCSELアレイの発光部が光学的に分離されていない場合、その出射光の位相が整合しコヒーレンスが高くなる。これに対し、第2実施例では、出射ビームW14a,W24の波長が異なる2つのレーザアレイ光源102a,104を用いてレーザ光源装置100aを構成している。そのため、プロジェクタ500(図1)によりスクリーン510に投写される光線は、異なる波長の光が混合した状態となり単一波長の光よりもコヒーレンスが低下する。このように、スクリーン510に投射される光線のコヒーレンスを低下させることにより、スクリーン510上でのスペックルノイズの発生を抑制することができる。
【0048】
また、第2実施例は、第1実施例と同様に出射ビームW14a,W24の距離を短くすることができるので、第1実施例と同様に、均一化光学系502G(図1)をより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504G(図1)の変調光のコントラストをより高くすることができる。また、出射ビームW14a,W24の偏光方向がそろっているので、偏光制御素子を省略し、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0049】
なお、第2実施例では、第1のレーザアレイ光源102aのVCSELアレイ110aの発光波長を約1056nmとし、第2のレーザアレイ光源104のVCSELアレイ110の発光波長を約1060nmとしているが、これらのVCSELアレイ110,110aの発光波長の組合せはこの限りでない。例えば、VCSELアレイ110の発光波長を約1064nmとしVCSELアレイ110aの発光波長を約1060nmとしても良く、VCSELアレイ110の発光波長を約1064nmとしVCSELアレイ110aの発光波長を約1056nmとしても良い。一般に、VCSELアレイ110,110aの発光波長の差は、実験などで求められた所定の波長差(例えば、4nm)以上であればよい。この場合、波長変換素子130,130aのドメインピッチは、VCSELアレイ110,110aの発光波長に併せて適宜変更される。具体的には、VCSELアレイを発光波長を所定の波長差ごとに分類し、分類されたグループの波長範囲で波長変換効率が最大となる(このような波長は、「最適変換波長」と呼ばれる)複数のグループの波長変換素子が準備される。そして、使用するVCSELアレイの発光波長のグループごとに、対応する最適変換波長のグループの波長変換素子を用いることによりVCSELアレイの発光波長に適した波長変換素子が選択される。
【0050】
C.第3実施例:
図6(a)は、第3実施例におけるレーザ光源装置100bの構成を示す構成図である。第3実施例のレーザ光源装置100bは、第1のレーザアレイ光源102bの波長が第2のレーザアレイ光源104の波長変換素子130と同一種類の波長変換素子130に変更されている点と、第1のレーザアレイ光源102bの波長変換素子130の温度Tsが20℃に設定されている点で、図4(a)に示す第2実施例のレーザ光源装置100aと異なっている。他の点は、第2実施例と同じである。
【0051】
上述のように、波長変換素子130のドメインピッチの光学長は、波長変換素子130の温度によって変動する。第3実施例のようにPPLNを使用した場合、波長変換素子の最適変換波長は、温度が1℃上昇するごとに、約0.1nm長くなる。そのため、第1のレーザアレイ光源102bの波長変換素子130の温度Tsを、第2のレーザアレイ光源104の波長変換素子130の温度(60℃)よりも40℃低い20℃に設定することにより、最適変換波長を4nm短くすることができる。そして、第1のレーザアレイ光源102bの波長変換素子130の最適変換波長を4nm短くすることにより、発光波長が約1056nmの基本波W11a,W12aは、波長が約528nmの第2高調波に変換され、第1のレーザアレイ光源102bから出射する。
【0052】
このように、第3実施例では、波長変換素子130の温度Tsを変えて、発光波長の異なるVCSELアレイ110,110aの発光波長のそれぞれに最適変換波長を合わせている。そのため、単一種類の波長変換素子130で波長の異なる第2高調波W14a,W24を出射するレーザ光源装置100bを構成することができる。この場合、所定の温度範囲(例えば、20℃〜100℃)の中心温度(60℃)において、最適変換波長がVCSELアレイの発光波長の変動範囲の中心波長(例えば、1060nm)となるような波長変換素子130が準備される。ここで、所定の温度範囲は、例えば、レーザ光源装置100bの動作温度に基づいて設定される。
【0053】
第3実施例は、第2実施例と同様に、スペックルノイズを低減するとともに、出射ビームW14a,W24の距離を短くすることができる。そのため、均一化光学系502G(図1)をより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504G(図1)の変調光のコントラストをより高くすることができる。また、出射ビームW14a,W24の偏光方向がそろっているので、偏光制御素子を省略し、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0054】
第3実施例は、レーザ光源装置100bに使用される波長変換素子の種類を減らすことができる点で、第2実施例よりも好ましい。一方、第2実施例は、第1のレーザアレイ光源102aと第2のレーザアレイ光源104のそれぞれの波長変換素子の温度を同じ温度とすることができる。そのため、ペルチェ素子160による温度調整がより容易となる点で、第1実施例よりも好ましい。
【0055】
D.第4実施例:
図7は、第4実施例におけるレーザ光源装置100cの構成を示す構成図である。第4実施例のレーザ光源装置100cは、基本波の光源として端面発光型のレーザアレイ素子210a,210bを用いている点と、基本波の発光波長を調整するための外部共振器を有している点で、図4に示す第2実施例のレーザ光源装置100aと異なっている。
【0056】
第4実施例のレーザ光源装置100cは、第2実施例のレーザ光源装置100aと同様に、2つのレーザアレイ光源202,204をベース290側と反対側の面が隣接するように配置している。また、これらの2つのレーザアレイ光源202,204は、出射ビームW32,W42の波長が互いに異なる波長となるように設定されている。
【0057】
レーザアレイ光源202は、レーザアレイ素子210aと、モードロッカ220と、コリメートレンズ214と、波長変換素子230aと、反射鏡240と、を備えている。レーザアレイ素子210aは、端面発光型のレーザアレイ素子であり、複数のレーザビームを出射する発光部がz軸方向に配列されている。レーザアレイ素子210aは、ヒートシンク212を介して、ベース290に取り付けられている。コリメートレンズ214は、レーザアレイ素子210aから+x方向に出射したレーザビームを平行光線に変換する。
【0058】
コリメートレンズ214の+x方向には、波長変換素子230aと、反射鏡240とが設けられている。波長変換素子230aは、第2実施例と同様に、基本波の2倍の振動数を有する第2高調波発生素子である。波長変換素子230aは、ベース290に設けられたペルチェ素子260に取り付けられている。図7の例では、波長変換素子230aのドメインピッチlcaは、波長変換素子230aの温度が60℃における最適変換波長が1056nmとなるように調整されている。反射鏡240は、約1060nmの波長の光を選択的に反射する反射鏡である。
【0059】
モードロッカ220は、2つのコリメートレンズ222,226と、波長選択素子224と、反射鏡228と、を有している。コリメートレンズ222は、レーザアレイ素子210aから出射したレーザビームを平行光線に変換する。波長選択素子224は、平行光線のうち、特定の波長の光を選択的に透過する光学素子である。このような光学素子としては、エタロンや、光学多層膜などが使用される。コリメートレンズ226の−x方向の焦点位置には、反射鏡228が設けられている。この反射鏡228は、約1060nmの波長の光をほぼ100%反射する。反射鏡228としては、光学多層膜で形成された反射鏡を用いることができる。また、約1060nmの波長の光の反射率を十分高くすることができれば、アルミ板などの金属製の反射鏡や、ガラスなどの誘電体に金属を蒸着した反射鏡を用いることができる。
【0060】
レーザアレイ光源202に設けられた2つの反射鏡228,240は、共振器を構成する。この共振器の光軸上には、波長選択素子224が設けられている。そのため、2つの反射鏡228,240で構成される共振器では、波長選択素子224が選択的に透過する光の波長(透過波長)で共振が発生する。そして、2つの反射鏡228,240の間に設けられたレーザアレイ素子210aは、その共振波長での利得が十分高い場合には、共振波長でレーザ発振する。図7の例では、レーザアレイ光源202の共振波長は、波長変換素子230aの最適変換波長である1056nmに設定されている。そのため、レーザアレイ素子210aは、1056nmでレーザ発振する。
【0061】
図8(a)は、第1のレーザアレイ光源202において、レーザアレイ素子210aが共振波長1056nmで発振する様子を示すグラフである。図8(a)の横軸は波長を表している。図8(a)の左の縦軸は、レーザアレイ素子210aの相対利得を表している。ここで、相対利得とは、利得の最大値を1としたレーザアレイ素子210aの利得である。図8(a)の右の縦軸は、波長選択素子224の第1のレーザアレイ光源における入射角θ1での透過率を表している。図8(a)に示すように、レーザアレイ素子210aは、波長選択素子224の透過率のピーク(1056nm)において、十分な利得を有している。そのため、レーザアレイ素子210aは、波長選択素子224の透過率のピーク、すなわち、レーザアレイ光源202の共振波長の1056nmで発振する。
【0062】
レーザ発振することによりレーザアレイ素子210aから出射した波長が1056nmの基本波W31は、波長変換素子230aにおいて、波長が528nmの第2高調波に変換される。なお、端面発光型のレーザアレイ素子210aは、偏光方向がジャンクション面に平行な方向(z軸方向)となる。そのため、第4実施例の波長変換素子230aは、分極方向がz軸方向の波長変換素子が使用される。波長変換素子230aによって生成された第2高調波W32は、反射鏡240を透過して、レーザアレイ光源202から出射する。
【0063】
第2のレーザアレイ光源204は、共振器の光軸方向(「共振方向」と呼ばれる)に対す波長選択素子224の角度が異なっている点と、レーザアレイ素子210aがレーザアレイ素子210bに置き換えられている点と、で第1のレーザアレイ光源202と異なっている。他の点は、第1のレーザアレイ光源202と同じである。
【0064】
このように、共振方向に対する波長選択素子224の角度を変化させると、波長選択素子224の透過波長が変化する。エタロンや光学多層膜などの波長選択素子224は、入射角が大きくなると透過波長が短くなり、入射角が小さくなると透過波長が長くなる。第2のレーザアレイ光源204では、波長選択素子224への入射角θ2が第1のレーザアレイ光源202での入射角θ1よりも小さくなっている。そのため、第2のレーザアレイ光源204の共振波長は、第1のレーザアレイ光源202の共振波長よりも長くなっている。図7の例では、第2のレーザアレイ光源204の共振波長は波長変換素子230bの最適変換波長である1064nmに設定されている。
【0065】
図8(b)は、第2のレーザアレイ光源204において、レーザアレイ素子210bが共振波長1064nmで発振する様子を示すグラフである。図8(b)の横軸は波長を表している。図8(a)の左の縦軸は、レーザアレイ素子210bの相対利得を表し、右の縦軸は、波長選択素子224の第2のレーザアレイ光源における入射角θ2での透過率を表している。図8(b)に示すように、レーザアレイ素子210bは、波長選択素子224の透過率のピーク(1064nm)において、十分な利得を有している。そのため、第1のレーザアレイ光源202の場合と同様に、レーザアレイ素子210bは、波長選択素子224の透過率のピークの1064nmで発振する。
【0066】
レーザ発振することによりレーザアレイ素子210bから出射した波長が1064nmの基本波W41は、波長変換素子230bにおいて、波長が532nmの第2高調波に変換される。そして、波長変換素子230bによって生成された第2高調波W42は、反射鏡240を透過して、レーザアレイ光源202から出射する。
【0067】
このように、第4実施例においても、異なる波長のビームW32,W42がレーザ光源装置100cから出射する。そのため、第2実施例と同様に、スペックルノイズを低減することが可能となる。また、第4実施例においても、第1と第2のレーザアレイ光源202,204は、ベース290と反対側のパッケージ270の側面が隣接されて配置されている。そのため、出射ビームW32,W42の距離を短くすることができ、均一化光学系502G(図1)をより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504G(図1)の変調光のコントラストをより高くすることができる。また、出射ビームW32,W42の偏光方向がそろっているので、偏光制御素子を省略し、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0068】
E.第5実施例:
図9(a)は、第5実施例におけるレーザ光源装置100dの構成を示す構成図である。第5実施例におけるレーザ光源装置100dは、波長選択素子224に換えて透過波長が可変に構成されたエタロン300が使用されている点で、第4実施例のレーザ光源装置と異なっている。なお、図9(a)では、レーザ光源装置100dのレーザアレイ素子210a,210bよりも+x方向の図示を省略している。
【0069】
図9(b)は、このような波長可変エタロン300の構成を示す構成図である。波長可変エタロン300は、2つの反射鏡310,320と、反射鏡310,320のそれぞれの外周部に取り付けられた静電アクチュエータ332,334と、電源装置340と、を有している。反射鏡310,320の対向する面312,322には、アルミ等の金属を蒸着することにより反射率が高められている。一方、これらの面312,322とは反対側の面314,324には、反射率を低減するための反射防止膜が設けられている。なお、反射防止膜としては、光学多層膜が使用される。
【0070】
対向面312,322の距離dは、静電アクチュエータ332,334間に印加する電圧を電源装置340で調整することにより調整される。そして、対向面312,322の距離dを調整することにより、透過波長λを調整することができる。図9の例では、距離dを調整することにより、第1のレーザアレイ光源202の波長可変エタロン300の透過波長λを1056nmとし、第2のレーザアレイ光源204の波長可変エタロン300の透過波長λを1064nmとしている。そのため、第1のレーザアレイ光源202のレーザアレイ素子210aは1056nmで発振し、第2のレーザアレイ光源204のレーザアレイ素子210bは、1064nmで発振する。そして、第4実施例と同様に、これらの発振波長の第2高調波(528nm、532nm)が、レーザ光源装置100dから出射される。
【0071】
このように、第5実施例においても、第4実施例と同様に異なる波長の光がレーザ光源装置100dから出射するので、スペックルノイズを低減することが可能となる。また、出射ビームの距離を短くすることができるので、均一化光学系502G(図1)をより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504G(図1)の変調光のコントラストをより高くすることができる。また、出射ビームの偏光方向がそろっているので、偏光制御素子を省略し、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、第5実施例は、波長可変エタロン300の反射鏡310,320の間隔を静電アクチュエータで調整する構成となっているが、波長可変エタロンは、反射鏡310,320の間隔が調整可能であれば他の構成とすることも可能である。例えば、静電アクチュエータに換えて、ピエゾ素子を用いて反射鏡310,320の間隔を調整するものとしても良い。但し、波長可変エタロンの消費電力をより低減できる点で、静電アクチュエータを用いるのがより好ましい。
【0073】
F.第6実施例:
図10は、第6実施例におけるレーザ光源装置100eの構成を示す構成図である。第6実施例のレーザ光源装置100eは、波長選択素子224が波長選択素子224bに置き換えられている点で、図7に示す第4実施例のレーザ光源装置100cと異なっている。他の点は、第4実施例のレーザ光源装置100cと同じである。
【0074】
第6実施例の波長選択素子224bは、波長が1056nmと1064nmの光を透過するエタロンである。一般に、エタロンの透過波長λの間隔Δλは、エタロンの光学的な厚さを適宜調整することにより設定することができる。そこで、第6実施例の波長選択素子224bでは、波長間隔Δλが8nmとなるようにエタロンの厚さが調整されている。
【0075】
図11は、このように透過波長λが1056nmと1064nmに設定された波長選択素子224bを用いたレーザアレイ光源202b,204bで、レーザアレイ素子210a,210bがレーザ発振する様子を示すグラフである。図11(a)および図11(b)の横軸は波長を表している。図11(a)および図11(b)の左の縦軸はレーザアレイ素子210aの相対利得を表し、図11(a)および図11(b)の右の縦軸は、波長選択素子224bの垂直入射光の透過率を表している。
【0076】
図11(a)および図11(b)に示すように、波長選択素子224bは、波長1056nmと、1064nmでの透過率がほぼ100%となっている。そして、図11(a)に示すように、レーザアレイ素子210aは、波長選択素子224bの透過率の第1のピーク(1056nm)において、十分な利得を有している。一方、レーザアレイ素子210aは、波長選択素子224bの透過率の第2のピーク(1064nm)での利得が十分でない。そのため、第1のレーザアレイ光源202bのレーザアレイ素子210aは波長選択素子224bの透過率の第1のピーク(1056nm)で発振する。これに対し、図11(b)に示すように、レーザアレイ素子210bは、波長選択素子224bの透過率の第1のピーク(1056nm)の利得は十分でなく、第2のピーク(1064nm)での利得が十分高くなっている。そのため、第2のレーザアレイ光源204bのレーザアレイ素子210bは、波長選択素子224bの透過率の第2のピーク(1064nm)で発振する。このように、第1のレーザアレイ光源202bではレーザアレイ素子210aは1056nmで発振し、第2のレーザアレイ光源204bではレーザアレイ素子210bは1064nmで発振する。そのため、レーザ光源装置100eからは、これらの発振波長の第2高調波(528nm、532nm)が出射する。
【0077】
このように、第6実施例においても、第4実施例と同様に、異なる波長のビームW32,W42がレーザ光源装置100eから出射するので、スペックルノイズを低減することが可能となる。また、出射ビームの距離を短くすることができるので、均一化光学系502G(図1)をより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504G(図1)の変調光のコントラストをより高くすることができる。また、出射ビームの偏光方向がそろっているので、偏光制御素子を省略し、偏光制御素子による光量の低下を抑制することができる。
【0078】
なお、第6実施例は、波長変換素子224bの角度などの調整を行うことなく、2つのレーザアレイ光源202b,204bを複数の波長で共振させることができる点で、第4および第5実施例よりも好ましい。一方、第4および第5実施例は、共振波長を任意の波長に設定できる点で、第6実施例よりも好ましい。
【0079】
G.第7実施例:
図12は、第7実施例におけるレーザ光源装置100fの構成を示す構成図である。第7実施例のレーザ光源装置100fは、第1実施例のレーザ光源装置100に集光光学系400を設けた構成となっている。
【0080】
集光光学系400は、2つのレンズ410,420を有している。これらのレンズ410,420は、いずれも2つの円柱面を有する棒状のレンズである。2つのレーザアレイ光源102,104から出射したビームW14,W24は、第1のレンズ410においてそれぞれ+y方向と、ーy方向に屈折される。そして、屈折した2つのビームW15,W25は、第2のレンズ420により+x方向に進行するビームW16,W26に戻される。このように、2つのレンズ410,420で構成された集光光学系400をレーザアレイ光源102,104の出射ビームW14,W24の光路上に配置することにより、レーザ光源装置100fから出射されるビームW16,W26の距離を短くすることができる。
【0081】
第7実施例では、このように、ビームW16,W26の距離を小さくすることにより、プロジェクタ500(図1)の均一化光学系502Gをより小型化するとともに、液晶ライトバルブ504Gの変調光のコントラストをより高くすることができる。
【0082】
H.第8実施例:
図13は、第8実施例におけるレーザ光源装置100gの構成を示す構成図である。第8実施例のレーザ光源装置100gは、集光光学系400に換えて正四角柱の集光ブロック430が使用されている点で、図12に示す第7実施例のレーザ光源装置100fと異なっている。他の点は、第7実施例のレーザ光源装置100fと同じである。
【0083】
レーザ光源装置100gの集光ブロック430に入射した2つのレーザアレイ光源102,104の出射ビームW14,W24は、それぞれ、集光ブロック430の−x方向側の面で+y方向と−y方向に屈折される。そして、集光ブロック430の+x方向側の面で+x方向に進行するビームW17,W27に戻される。このように、第8実施例においても、集光ブロック430をレーザアレイ光源102,104の出射ビームW14,W24の光路上に配置することにより、レーザ光源装置100gから出射されるビームW17,W27の距離を短くすることができる。
【0084】
なお、第8実施例では、集光ブロックとして正四角柱のブロック430を使用しているが、集光ブロックとしては、xy辺面での断面形状が平行四辺形であれば、任意の集光ブロックを利用することができる。この場合、集光ブロックの配置は、集光ブロックの形状に応じて適宜設定される。
【0085】
I.第9実施例:
図14は、第9実施例におけるレーザ光源装置100hの構成を示す構成図である。第9実施例のレーザ光源装置100hは、正四角柱の集光ブロック440が第1のレーザアレイ光源102の出射ビームW14の光路上に配置されている点で、図13に示す第8実施例のレーザ光源装置100gと異なっている。他の点は、第8実施例のレーザ光源装置100gと同じである。
【0086】
レーザ光源装置100hの集光ブロック440に入射したレーザアレイ光源102の出射ビームW14は、集光ブロック440の−x方向側の面で+y方向に屈折される。そして、集光ブロック440の+x方向側の面で+x方向に進行するビームW18に戻される。このように、第9実施例においても、集光ブロック440をレーザアレイ光源102の出射ビームW14の光路上に配置することにより、レーザ光源装置100hから出射されるビームW18,W24の距離を短くすることができる。
【0087】
J.第10実施例:
図15は、本発明のレーザ光源装置を適用したモニタ装置の概略構成図である。このモニタ装置600は、装置本体610と、光伝送部620と、を備えている。装置本体610は、第1の実施例におけるレーザ光源装置100(図3)を備えている。また、装置本体610は、集光レンズ612と、カメラ614と、を備えている。
【0088】
光伝送部620は、光を送る側のライトガイド622と、光を受ける側のライトガイド624と、を備えている。各ライトガイド622,624は、多数本の光ファイバを束ねたものであり、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド622の入射側には、2つのレーザアレイ光源102,104からなるレーザ光源装置100と、集光レンズ612が配置されている。ライトガイド622の出射側には拡散板626が配置されている。光を受ける側のライトガイド624の入射側には結像レンズ628が配置されている。
【0089】
レーザ光源装置100から出射されたレーザ光は、集光レンズ612で集められ、ライトガイド622を伝って拡散板626により拡散されて被写体を照射する。そして、被写体からの反射光は、結像レンズ628に入射して、ライトガイド624を伝ってカメラ614に送られる。このようにして、レーザ光源装置100により出射したレーザ光によって被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像を、カメラ614で撮像することができる。
【0090】
このようにモニタ装置600に適用した場合、レーザアレイ光源102,104からそれぞれ出射されるビームW14,W24の距離が小さくなるので、集光レンズ612をより小さくすることができる。また、ライトガイド622への入射角を小さくすることができるので、ライトガイド622の開口数(NA)が小さい場合でも、より確実にレーザ光を被写体側に伝達することができる。なお、モニタ装置600において、レーザ光源装置100に代えて、上述したレーザ光源装置100a〜100hのいずれかを備えるようにしてもよい。
【0091】
K.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0092】
K1.変形例1:
上記各実施例では、本発明のレーザ光源装置を構成するレーザアレイ光源は波長変換素子を有しているが、レーザアレイ光源は必ずしも波長変換素子を有するものでなくても良い。一般に、レーザアレイ光源がレーザが出射される領域(レーザ光出射領域)が長方向と短方向とを有しており、レーザ光出射領域がレーザアレイ光源の短方向の中心からオフセットしているレーザアレイ光源であれば、本発明を適用することができる。
【0093】
本発明は、例えば、図16に示すようにVCSELアレイ710単体にも適用することができる。この場合、VCSELアレイ710単体が、本発明のレーザアレイ光源ユニットに相当する。図16(a)に示すVCSELアレイ710は、VCSELアレイ710の+y方向側に7つの発光部712が設けられ、1つのボンディングパッド714が−y方向側に設けられている。そして、発光部712のそれぞれは、配線716によりボンディングパッド714に接続されている。このように発光部712が、VCSELアレイ710の中心からずれている場合、図16(b)に示すように、発光部712に近い側でVCSELアレイ710を隣接して配置することで、2つのVCSELアレイ710がそれぞれ出射するレーザ光の距離を小さくすることができる。
【0094】
また、図16(b)に示すように、2つのVCSELアレイ710を配置することにより、これらのVCSELアレイ710から出射されたレーザ光を、単一の波長変換素子に導入することができる。そして、単一の波長変換素子により、2つのVCSELアレイ710から出射した光を波長変換することができる。
【0095】
K2.変形例2:
上記各実施例では、2つのレーザアレイ光源は、パッケージどうしがy軸方向の面で接触するように配置されている。但し、パッケージのy軸方向にコネクタ等の接続部が設けられている場合、2つのレーザアレイ光源は、コネクタとは反対側が隣接するように配置される。コネクタのy軸方向の長さは、通常、パッケージに対するレーザ光出射領域の位置のズレよりも大きい。そこで、コネクタとは反対側が隣接するようにレーザアレイ光源を配置することにより、レーザ光出射領域は、コネクタを含むレーザアレイ光源ユニットの中心からレーザアレイ光源ユニットの隣接方向にオフセットする。そのため、2つのレーザアレイ光源のそれぞれから出射するビーム間の距離を短縮することができる。
【0096】
K3.変形例3:
上記各実施例では、レーザ光源装置の出射ビームの偏光方向が特定の方向となるようにレーザアレイ光源を配置しているが、レーザ光源装置の出射ビームの偏光方向は特定の方向となっていなくても良い。例えば、図16の変形例で示すように、VCSELアレイ710単体を配置したレーザ光源装置のように、レーザ光源装置が特定の偏光成分を有しないビームを出射するものとしても良い。但し、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bのようにレーザ光源装置で照明される装置が、特定の偏光方向の光を利用する装置である場合、レーザ光源装置の出射ビームの偏光方向が特定の方向となるようにするのが好ましい。
【0097】
K4.変形例4:
上記各実施例では、レーザ光源装置100〜100hが備えるレーザアレイ光源は、一次元のアレイ構造を有するものとしたが、二次元のアレイ構造を有するものであってもよい。この場合、レーザアレイ光源のレーザ光出射領域が長方向と短方向とを有していれば、上記各実施例のようにレーザアレイ光源を配置することにより、個々のレーザアレイ光源から出射するビーム間の距離を短縮することができる。
【0098】
K5.変形例5:
上記第2ないし第11実施例では、2つのレーザアレイ光源のそれぞれから出射されるビーム間の距離を短縮するように2つのレーザアレイ光源を配置しているが、2以上のレーザアレイ光源を任意の形態で配置することも可能である。また、レーザアレイ光源のレーザ光出射領域の形状や、レーザ光出射領域のレーザアレイ光源の外形に対する位置関係も、任意のものとすることができる。一般に、2以上のレーザアレイ光源のうち、少なくとも2つのレーザアレイ光源の出射光の波長が異なっていれば、レーザ光源装置の出射光のコヒーレンスを低減できるので、レーザ光源装置による照明に生じるスペックルノイズを低減することができる。
【0099】
K6.変形例6:
上記第7ないし第9実施例では、集光光学系400,430,440を第1実施例のレーザアレイ光源100に付加しているが、これらの集光光学系400,430,440を第2ないし第8実施例のレーザアレイ光源100a〜100eに付加するものとしても良い。
【0100】
K7.変形例7:
上記各実施例では、プロジェクタ500における光変調手段としては、液晶ライトバルブを用いるものであったが、液晶ライトバルブに限らず、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス:Texas Instruments社の商標)など、他の任意の変調手段を用いる構成であってもよい。また、上記各実施例におけるレーザ光源装置100〜100hは、プロジェクタ500(図1)およびモニタ装置600(図15)以外にも、照明装置など、光源を必要とする任意の装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1実施例を適用するプロジェクタの概略構成図。
【図2】レーザアレイ光源102の構成を示す説明図。
【図3】第1実施例におけるレーザ光源装置100の構成を示す説明図。
【図4】第2実施例におけるレーザ光源装置100aの構成を示す説明図。
【図5】発光波長の異なるVCSELアレイを取得する様子を示す説明図。
【図6】第3実施例におけるレーザ光源装置100bの構成を示す説明図。
【図7】第4実施例におけるレーザ光源装置100cの構成を示す構成図。
【図8】第4実施例において、レーザアレイ光源202,204の共振波長でレーザアレイ素子210a,210bが発振する様子を示すグラフ。
【図9】第5実施例におけるレーザ光源装置100dの構成を示す説明図。
【図10】第6実施例におけるレーザ光源装置100eの構成を示す構成図。
【図11】レーザアレイ素子210a,210bがレーザ発振する様子を示すグラフ。
【図12】第7実施例におけるレーザ光源装置100fの構成を示す構成図。
【図13】第8実施例におけるレーザ光源装置100gの構成を示す構成図。
【図14】第9実施例におけるレーザ光源装置100hの構成を示す構成図。
【図15】本発明のレーザ光源装置を適用したモニタ装置の概略構成図。
【図16】本発明をVCSELアレイ710単体に適用した変形例。
【符号の説明】
【0102】
100R,100G,100B...レーザ光源装置
102R,102G,102B...レーザアレイ光源
104R,104G,104B...レーザアレイ光源
100,100a〜100h...レーザ光源装置
102,102a,102b,104...レーザアレイ光源
110,110a...VCSELアレイ
112...発光部
114...ボンディングパッド
116...配線
120...偏光ビームスプリッタ
130,130a...波長変換素子
140...反射鏡
150...基板
160...ペルチェ素子
170...パッケージ
190...ベース
202,204,202b,204b...レーザアレイ光源
210a,210b...レーザアレイ素子
212...ヒートシンク
214...コリメートレンズ
220...モードロッカ
222,226...コリメートレンズ
224,224b...波長選択素子
228,240...反射鏡
230a,230b...波長変換素子
240...反射鏡
260...ペルチェ素子
270...パッケージ
290...ベース
300...波長可変エタロン
310,320...反射鏡
332,334...静電アクチュエータ
340...電源装置
400...集光光学系
410,420...レンズ
430,440...集光ブロック
500...プロジェクタ
502R,502G,502B...均一化光学系
504R,504G,504B...液晶ライトバルブ
506...クロスダイクロイックプリズム
507...投写レンズ
510...スクリーン
600...モニタ装置
610...装置本体
612...集光レンズ
614...カメラ
620...光伝送部
622,624...ライトガイド
626...拡散板
628...結像レンズ
710...VCSELアレイ
712...発光部
714...ボンディングパッド
716...配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源装置であって、
第1の波長の光を出射する第1のレーザアレイ光源と、
第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射する第2のレーザアレイ光源と、
を備えており、
前記第1のレーザアレイ光源は、
第1の原振波長の第1の基本波を発生する第1の基本波レーザアレイと、
前記第1の基本波を波長変換して第1の波長の光を生成する第1の波長変換素子と、
を有し、
前記第2のレーザアレイ光源は、
前記第1の原振波長とは異なる第2の原振波長の第2の基本波を発生する第2の基本波レーザアレイと、
前記第2の基本波を波長変換して第2の波長の光を生成する第2の波長変換素子と、
を有する、
レーザ光源装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザ光源装置であって、
前記第1と第2の基本波レーザアレイのそれぞれは、
第1の原振波長および第2の原振波長の光を反射して共振器を形成する第1と第2のミラーと、
前記第1と第2のミラーの間に設けられた、特定の波長の光を選択的に透過する波長選択素子および特定の波長範囲の利得帯域を有する利得媒体と、
を備えており、
前記第1の基本波レーザアレイの波長選択素子と前記第2の基本波レーザアレイの波長選択素子は、同一種類の波長選択素子であり、
前記第1の基本波レーザアレイの前記波長選択素子は、前記第1の原振波長の光を透過し、
前記第1の基本波レーザアレイの前記利得媒体は、前記第1の原振波長でレーザ発振するように利得帯域が設定され、
前記第2の基本波レーザアレイの前記波長選択素子は、前記第2の原振波長の光を透過し、
前記第2の基本波レーザアレイの前記利得媒体は、前記第2の原振波長でレーザ発振するように利得帯域が設定されている、
レーザ光源装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザ光源装置であって、
前記第1と第2の基本波レーザアレイに含まれる前記波長選択素子は、前記第1の原振波長と前記第2の原振波長とのいずれをも選択的に透過する同一の透過特性を有するように構成されている、
レーザ光源装置。
【請求項4】
請求項2記載のレーザ光源装置であって、
前記第1と第2の基本波レーザアレイに含まれる前記波長選択素子は、前記波長選択素子に入射する入射光の角度によって選択的に透過する波長が変化する同一の透過特性を有するように構成されており、
前記第1と第2の基本波レーザアレイの波長選択素子は、前記第1の基本波レーザアレイにおける前記波長選択素子の前記共振器の共振方向に対する角度と、前記第2の基本波レーザアレイにおける前記波長選択素子の前記共振器の共振方向に対する角度と、が異なるように配置されている、
レーザ光源装置。
【請求項5】
請求項2記載のレーザ光源装置であって、
前記同一種類の波長選択素子は、前記同一種類の波長選択素子に設けられたアクチュエータにより波長選択素子の波長選択状態を変更することにより選択的に透過する波長が変化するように構成されており、
前記第1の基本波レーザアレイの前記波長選択素子と、前記第2の基本波レーザアレイの前記波長選択素子とは、互いに異なる波長選択状態に設定されている、
レーザ光源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか記載のレーザ光源装置であって、
前記第1と第2の波長変換素子は、基本波の波長によって波長変換効率が異なる波長変換素子であって、
前記第1のレーザアレイ光源の波長変換素子は、前記第1の原振波長における波長変換効率が、前記第2の原振波長における波長変換効率よりも高い波長変換素子であり、
前記第2のレーザアレイ光源の波長変換素子は、前記第2の原振波長における波長変換効率が、前記第1の原振波長における波長変換効率よりも高い波長変換素子である、
レーザ光源装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか記載のレーザ光源装置であって、
前記第1と第2の波長変換素子は、波長変換効率が所定の効率よりも高くなる波長が温度によって変化する同一種類の波長変換素子であって、
前記第1のレーザアレイ光源は、前記第1の波長変換素子の温度を前記第1の原振波長における波長変換効率が前記所定の効率よりも高くなるように調整する第1の温度調節部を有し、
、前記第2のレーザアレイ光源は、前記第2の波長変換素子の温度を前記第2の原振波長における波長変換効率が前記所定の効率よりも高くなるように調整する第2の温度調節部を有する、
レーザ光源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のレーザ光源装置と、
前記レーザ光源装置により照射された被写体を撮像する撮像部と、
を備えるモニタ装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のレーザ光源装置と、
前記レーザ光源装置が出射するレーザ光を画像信号に応じて変調する光変調部と、
前記光変調部により形成された画像を投写する投写光学系と、
を備える画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−176186(P2008−176186A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11336(P2007−11336)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】