説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】セル電流の減少を抑制することが可能な不揮発性半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置は、電気的なデータの書き込み及び消去が可能であり、直列に接続され、半導体基板1上にトンネル酸化膜2を介して形成されたゲート電極を有するメモリセルトランジスタMTと、直列に接続された前記メモリセルトランジスタMTの端部と、ビット線またはソース線と、の間に接続され、前記半導体基板1上にゲート絶縁膜2を介して形成されたゲート電極を有する選択ゲートトランジスタST1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型不揮発性メモリ等の不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的に書き換え可能で且つ高集積化が可能な不揮発性半導体記憶装置として、NAND型不揮発性メモリ(NAND型フラッシュEEPROM)が知られている。
【0003】
NAND型不揮発性メモリのメモリセルトランジスタ(メモリセル)は、半導体基板上に絶縁膜を介して電荷蓄積層(浮遊ゲート)と制御ゲートが積層形成されたスタックゲート構造を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このメモリセルトランジスタを、隣接するもの同士でソース若しくはドレインを共有するような形で列方向に複数直列に接続させ、その両端に選択ゲートトランジスタを配置する。これにより、NANDセルユニット(メモリセルユニット)が構成される。
【0005】
このNANDセルユニットをマトリクス状に配置することにより、メモリセルアレイが構成される。また、行方向に並ぶNANDセルユニットをNANDセルブロック(メモリブロック)と呼ぶ。同一行に並ぶ選択ゲートトランジスタのゲートは、同一の選択ゲート線に接続され、同一行に並ぶメモリトランジスタの制御ゲートは、同一の制御ゲート線に接続される。NANDセルユニット内にN個のメモリセルトランジスタが直列接続されている場合、1つのNANDセルブロック内に含まれる制御ゲート線はN本となる。
【0006】
また、メモリセルトランジスタは、浮遊ゲートの電荷蓄積状態により、データを不揮発に記憶する。具体的には、浮遊ゲートにチャネルから電子を注入したしきい値電圧の高い状態を例えば“0”データ、浮遊ゲートの電子をチャネルに放出させたしきい値電圧の低い状態を“1”データとして、2値データ記憶を行う。
【0007】
最近では、しきい値電圧分布の制御をより細分化することにより、4値記憶等の多値記憶方式も行われている。
【0008】
データの読み出しを行う際には、読み出したいメモリセルトランジスタの制御ゲート電圧Vgを読み出したいメモリセルトランジスタのしきい値電圧、その他のメモリセルトランジスタをデータがどの状態に書き込まれていても十分に電流を流すことのできる電圧Vreadを与える。そして、NAND列にセル電流が流れるか否かでデータの有無を判断する。
【0009】
例えば、セル電流が流れれば、選択されたメモリセルトランジスタは、しきい値電圧以下になっているのでデータは書き込まれてないと判断される。一方、電流が流れなければデータが書き込まれていると判断される。
【0010】
特に、読み出しを行うセルが接続されたNAND列において共通接続されている他のセルが書き込まれている場合には、書き込まれた電子の影響でセル電流が減少する。そのため、飽和セル電流を、しきい値電圧をセンスしている電流値と比較して十分に高くする。これにより、データを読み出すために、書き込まれたセルによるセル電流の減少分に対して、マージンを確保する。
【0011】
NAND型不揮発性メモリの選択ゲートトランジスタおよび周辺回路のトランジスタでは、側壁スペーサが形成されるのが常である。この際、側壁スペーサを形成する絶縁膜を堆積する際には、メモリセルトランジスタ間は完全に絶縁膜で埋まる。これにより、メモリセルトランジスタ間は側壁スペーサ形成時のエッチング時にもシリコン基板まで開口されない。
【0012】
一方で、選択ゲート−選択ゲート間は、側壁スペーサ形成のエッチング時に面内均一性を確保するために、オーバーエッチングするため、シリコン基板がエッチングされてしまう。ここで、選択ゲートとメモリセルトランジスタ間の距離が選択ゲートの側壁スペーサで埋まりきらない場合には、シリコン基板がエッチングされ、いわゆるガウジングが発生する。
【0013】
このガウジングは、電子の移動パスを阻害し、セル電流を低下させる。近年、NAND型不揮発性メモリは、微細化が進むことにより一列に並んでいるセル数が多くなり、セル電流の確保が難しくなっている。このため、このようなNAND型不揮発性メモリにおいて、非常に問題になる。
【特許文献1】特開2004−6449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、セル電流の減少を抑制することが可能な不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様に係る実施例に従った不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、
電気的なデータの書き込み及び消去が可能であり直列接続されたメモリセルトランジスタの端部が選択ゲートトランジスタを介してビット線またはソース線に接続されて構成されるメモリセルユニットを備える、不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記メモリセルトランジスタのゲート電極および前記選択ゲートトランジスタのゲート電極が形成された半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜を形成した後、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の領域上で開口するようにレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間に、前記選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入し、
前記イオン注入の後、前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の前記半導体基板上の前記第1の絶縁膜を選択的に除去し、
前記レジスト膜を除去した後、前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極の両側面に第2の絶縁膜を形成することにより、隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間に前記第2の絶縁膜を充填するとともに、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極の両側面、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極と前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極との間の第1の絶縁膜上、および隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板上に、前記第2の絶縁膜を形成し、
前記第2の絶縁膜を形成した後、RIEにより、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面が露出するまで、前記第2の絶縁膜をエッチングするものであり、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の第3の距離よりも、短いことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様に係る実施例に従った不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、
電気的なデータの書き込み及び消去が可能な直列接続されたメモリセルトランジスタの端部が選択ゲートトランジスタを介してビット線またはソース線に接続されて構成されるメモリセルユニットを備える、不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記メモリセルトランジスタのゲート電極および前記選択ゲートトランジスタのゲート電極が形成された半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜を形成した後、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の領域上で開口するようにレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の前記半導体基板上の前記第1の絶縁膜を選択的に除去し、
前記第1の絶縁膜を選択的に除去した後、前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間に、前記選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入し、
前記イオン注入の後、前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極の両側面に第2の絶縁膜を形成することにより、隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間に前記第2の絶縁膜を充填するとともに、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極の両側面、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極と前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極との間の第1の絶縁膜上、および隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板上に、前記第2の絶縁膜を形成し、
前記第2の絶縁膜を形成した後、RIEにより、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面が露出するまで、前記第2の絶縁膜をエッチングするものであり、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の第3の距離よりも、短いことを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る実施例に従った不揮発性半導体記憶装置は、
電気的なデータの書き込み及び消去が可能であり、直列に接続され、半導体基板上にトンネル酸化膜を介して形成されたゲート電極を有するメモリセルトランジスタと、
直列に接続された前記メモリセルトランジスタの端部と、ビット線コンタクトまたはソース線コンタクトと、の間に接続され、前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有する選択ゲートトランジスタと、を備え、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の第3の距離よりも、短く、
前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の半導体基板の上面の位置が、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面の位置よりも、高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法によれば、セル電流の減少を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る実施形態は、選択ゲートトランジスタ−メモリセルトランジスタ間の間がメモリセルトランジスタ−メモリセルトランジスタ間よりも長いNAND型不揮発性メモリにおいて、選択ゲートトランジスタ−メモリセルトランジスタ間の基板のガウジングを抑制して、セル電流を確保する。
【0020】
例えば、側壁スペーサ形成のための絶縁膜のエッチングと同時に処理される周辺回路の絶縁膜、選択ゲートトランジスタ間の絶縁膜、および選択ゲートトランジスタとメモリセルトランジスタとの間の絶縁膜の堆積量の差を、意図的に作る。
【0021】
これにより、該絶縁膜のエッチングの終点検出を早め、半導体基板のガウジングを抑制するものである。
【0022】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。以下では、一例として、不揮発性半導体記憶装置がNAND型フラッシュメモリである場合について説明する。なお、本発明は、他の同様な構成を有する不揮発性半導体記憶装置にも適用可能である。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の平面の模式的な構成を示す概略図である。
【0024】
図1に示すように、不揮発性半導体記憶装置100は、メモリセルアレイ領域101と、ダミーセル領域102と、周辺回路領域103と、を備える。これら領域101、102、103は、同一基板上に設けられている。
【0025】
メモリセルアレイ領域101内には、複数のメモリセルトランジスタ及び複数の選択ゲートトランジスタが設けられている。このメモリセルアレイ領域101はNAND型フラッシュメモリのチップ面積を小さくするため、メモリセルトランジスタ及び選択ゲートトランジスタは小さい間隔で配置されている。
【0026】
ダミーセル領域102内には、複数のダミートランジスタ、ダミーメモリセルトランジスタ、複数のダミー選択ゲートトランジスタ及びダミーゲート電極が設けられている。
【0027】
周辺回路領域103内には、例えば、カラムデコーダ、ロウデコーダ、電圧発生回路、制御回路等が設けられている。この周辺回路領域103はメモリセルアレイ領域101に比べ各素子が大きな間隔で配置されている。
【0028】
ここで素子間隔が狭いメモリセルアレイ領域101に素子間隔が広い周辺回路領域103を隣接させると粗密差によりパターン崩れが発生する。そのため、回路素子として用いないダミートランジスタ等が配置されたダミーセル領域102がメモリセルアレイ領域101と周辺回路領域103間に形成される。
【0029】
ここで、図2は、図1に示す不揮発性半導体記憶装置100のA−A線に沿った断面の模式的な断面図である。
【0030】
図2に示すように、メモリセルアレイ領域101においては、半導体基板であるシリコン基板1上に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGおよび選択ゲートトランジスタSTの選択ゲート電極SGが形成されている。また、ダミーセル領域102においては、シリコン基板1上に、ダミートランジスタDTのダミーゲート電極DG、ダミーメモリセルDMTのダミーゲート電極DMG、およびダミー選択ゲートトランジスタDSTのダミー選択ゲート電極DSGが形成されている。また、メモリセルアレイ領域101とダミーセル領域102との境界で、選択ゲート電極SGとダミー選択ゲート電極DSGとが隣接するように、シリコン基板1上に配置されている。
【0031】
なお、メモリセルトランジスタMTとダミーメモリセルDMTとは、例えば、同様の工程で同時に形成されるものであり、同様の構成を有する。また、選択ゲートトランジスタSTとダミー選択ゲートトランジスタDSTとは、例えば、同様の工程で同時に形成されるものであり、同様の構成を有する。
【0032】
また、メモリセルアレイ領域101とダミーセル領域102の境界付近では、ダミーメモリセルDMT及びダミー選択ゲートトランジスタDSTの配置はメモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタSTと同じであるが、ダミーセル領域102と周辺回路領域103の境界付近では素子間隔の比較的広いダミーゲート電極DGが形成されている。
【0033】
ここで、図3は、図1に示す不揮発性半導体記憶装置100のB領域を拡大した模式的な平面図である。
【0034】
図3に示すように、シリコン基板1上面には、Y方向(ビット線方向)に沿ったストライプ形状の素子領域AAが、Y方向に直交するX方向に沿って複数設けられている。
【0035】
隣接する素子領域AA間には素子分離領域STIが形成され、この素子分離領域STIによって素子領域AAは電気的に分離されている。
【0036】
該シリコン膜上には、複数の素子領域AAを跨ぐようにして、X方向(ワード線方向)に延びるワード線WL及び選択ゲート線(図示せず)が形成されている。
【0037】
また、ダミーセル領域102の周辺部では、素子領域AAと素子分離領域STIとの間隔が広くなっている。前述したようにメモリセルアレイ領域101と周辺回路領域103との粗密差によるパターン崩れを防止するためである。
【0038】
図4Aは、図1の不揮発性半導体記憶装置100のメモリセルアレイ領域101の回路構成を含むブロック図である。
【0039】
図4Aに示すように、不揮発性半導体記憶装置(NAND型フラッシュメモリ)100は、メモリセルアレイ101a、電圧発生回路103a2、ロウデコーダ103a3、及びカラムデコーダ103a4を備えている。
【0040】
なお、既述のように、メモリセルアレイ101aは、図1のメモリセルアレイ領域101に配置されている。また、既述のように、圧発生回路103a2、ロウデコーダ103a3、及びカラムデコーダ103a4は、図1の周辺回路領域103に配置されている。
【0041】
また、図4Aに示すように、メモリセルアレイ101aは、電気的なデータの書き込み及び消去が可能な複数のメモリセルユニット101a5を備えている。
【0042】
メモリセルユニット101a5の各々は、例えば16個の不揮発性のメモリセルトランジスタMTと、選択ゲートトランジスタST1、ST2とを含んでいる。この選択ゲートトランジスタST1を介して、直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端部が、ビット線BLに接続されている。また、選択ゲートトランジスタST2を介して、直列接続されたメモリセルトランジスタMTの他端部が、ソース線SLに接続されている。
【0043】
メモリセルトランジスタMTは、浮遊ゲート構造の場合、シリコン基板1上にゲート絶縁膜を介在して形成された電荷蓄積層(浮遊ゲート電極、例えば、ポリシリコン膜)と、電荷蓄積層上に形成された絶縁膜と、この絶縁膜上に形成された制御ゲート電極とを有する。
【0044】
また、メモリセルトランジスタMTは、MONOS(金属−酸化膜−窒化膜−酸化膜−シリコン)構造の場合、シリコン基板1上にゲート絶縁膜を介在して形成された電荷蓄積層(例えば絶縁膜)と、電荷蓄積層上に形成され、電荷蓄積層より誘電率の高い絶縁膜(以下、ブロック層と呼ぶ)と、さらにブロック層上に形成された制御ゲート電極とを有する。
【0045】
なお、メモリセルトランジスタMTの個数は16個に限られず、8個や32個、64個、128個、256個等であってもよく、その数は限定されるものではない。
【0046】
また、メモリセルトランジスタMTは、隣接するもの同士でソース、ドレインを共有している。そして、選択ゲートトランジスタST1、ST2間に、その電流経路が直列接続されるようにして配置されている。直列接続されたメモリセルトランジスタMTの一端側のドレイン領域は、選択ゲートトランジスタST1のソース領域に接続され、他端側のソース領域は選択ゲートトランジスタST2のドレイン領域に接続されている。
【0047】
同一行にあるメモリセルトランジスタMTの制御ゲート電極は、ワード線WL0〜WL15のいずれかに共通接続されている。同一行にある選択ゲートトランジスタST1、ST2のゲート電極は、それぞれ選択ゲート線SGD、SGSに共通接続されている。
【0048】
なお、説明の簡単化のため、ワード線WL0〜WL15を区別しない場合には、既述のように単にワード線WLと呼ぶことがある。また、メモリセルアレイ101aにおいて同一列にある選択ゲートトランジスタST1のドレインは、いずれかのビット線BL0〜BLn(nは自然数)に共通接続される。ビット線BL0〜BLnについても、これらを区別しない場合には一括して既述のようにビット線BLと呼ぶ。選択ゲートトランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続される。
【0049】
なお、選択ゲートトランジスタST1、ST2は必ずしも両方必要ではなく、メモリセルユニット101a5を選択できるのであれば、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0050】
また、図4Aでは、1行のメモリセルユニット101a5のみを図示している。しかし、メモリセルアレイ101a内には複数行のメモリセルユニット101a5が設けられてもよい。この場合、同一列にあるメモリセルユニット101a5は同一のビット線BLに接続される。また、同一のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTには一括してデータが書き込まれ、この単位をページと呼ぶ。さらに、同一行にある複数のメモリセルユニット101a5は一括してデータが消去され、この単位をメモリブロックと呼ぶ。
【0051】
ロウデコーダ103a3は、メモリセルアレイ101aのロウ方向を選択する。すなわち、ワード線WLを選択して、選択したワード線WLに対して電圧を印加する。
【0052】
カラムデコーダ103a4は、メモリセルアレイ101aのカラム方向を選択する。すなわち、ビット線BLを選択する。
【0053】
電圧発生回路2は、電圧を発生し、発生した電圧をロウデコーダ103a3に供給する。
【0054】
電圧発生回路2、ロウデコーダ103a3、及びカラムデコーダ103a4は、例えば電圧VDD(例えば1.5V)を電源電圧として用いる低耐圧MOSトランジスタ(周辺トランジスタ)と、低耐圧MOSトランジスタの電源電圧よりも高電圧の、例えば電圧VPP(例えば20V)を電源電圧として用いる高耐圧MOSトランジスタ(周辺トランジスタ)と、を含んでいる。
【0055】
次に、上記構成のメモリセルアレイ101aの平面図について説明する。図4Bは、図4Aに示すメモリセルアレイ101aの平面図である。
【0056】
図4Bに示すように、既述の図3で説明したように、シリコン基板1中にはY方向に沿ったストライプ形状の素子領域AAが、Y方向に直交するX方向に並んで複数設けられている。隣接する素子領域AA間には、素子分離領域STIが形成されている。この素子分離領域STIによって素子領域AAは電気的に分離されている。
【0057】
シリコン基板1上には、複数の素子領域AAを跨ぐようにして、X方向に沿ったストライプ形状のワード線WL及び選択ゲート線SGD、SGSが形成されている。ワード線WLと素子領域AAとが交差する領域には、電荷蓄積層15を有するメモリセルトランジスタMTが設けられ、選択ゲート線SGD、SGSと素子領域AAとが交差する領域には、それぞれ選択ゲートトランジスタST1、ST2が設けられている。Y方向で隣接するワード線WL間、選択ゲート線間、及びワード線WLと選択ゲート線SGD、SGSとの間の素子領域AAには、メモリセルトランジスタMT及び選択ゲートトランジスタST1、ST2のソース領域またはドレイン領域となる不純物拡散層が形成されている。
【0058】
Y方向で隣接する選択ゲート線SGD間の素子領域AAに形成される不純物拡散層は、選択ゲートトランジスタST1のドレイン領域として機能する。そしてこのドレイン領域上にはコンタクトプラグCP1が形成される。コンタクトプラグCP1は、Y方向に沿って設けられたストライプ形状のビット線BL(図示せず)に接続される。
【0059】
また、Y方向で隣接する選択ゲート線SGS間の素子領域AAに形成される不純物拡散層は、選択ゲートトランジスタST2のソース領域として機能する。そして、このソース領域上には、コンタクトプラグCP2が形成される。コンタクトプラグCP2は図示せぬソース線SLに接続される。
【0060】
ここで、メモリセルトランジスタMT間の距離d1は、メモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST1、ST2間の距離d2よりも短くなっている。また、距離d1は、隣接する選択ゲートトランジスタST1間またはST2間の距離d3よりも短い。なお、距離d2と距離d3の関係は特に規定されないが、選択ゲートトランジスタST1間にコンタクトプラグCP1が形成されるため距離d3は距離d2よりも長くなる場合が多い。
【0061】
次に、以上のような構成・機能を有する不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の一例について説明する。
【0062】
ここでは、一例として、メモリセルトランジスタが、浮遊ゲート型メモリセルトランジスタである場合について説明する。なお、メモリセルトランジスタがMONOS型メモリセルトランジスタの場合も、同様である。また、ここでは、一例として、選択ゲートトランジスタST1の周辺について説明するが、選択ゲートトランジスタST2の周辺も同様である。
【0063】
図5Aないし図5Gは、本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の各工程の断面図である。なお、図5Aないし図5Gは、図4BのA−A線に沿った断面の断面を表している。
【0064】
先ず、シリコン基板1上に、トンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2、ポリシリコン膜3、絶縁膜4、ポリシリコン膜5、窒化膜6を積層する。なお、絶縁膜4には、選択ゲートトランジスタが形成される領域で、開口部4aが形成されている。そして、窒化膜6をマスクとして、トンネル酸化膜(ゲート絶縁膜)2、ポリシリコン膜3、絶縁膜(ゲート絶縁膜)4、ポリシリコン膜5を選択的にエッチング除去する。
【0065】
これにより、メモリセルトランジスタMTが形成される領域に、ゲート電極MG(浮遊ゲート電極FG(3)、制御ゲート電極CG(5))を形成するとともに、選択ゲートトランジスタST1が形成される領域に、選択ゲート電極SGを形成する。なお、ゲート電極MG、選択ゲート電極SGをマスクとしてイオンインプランテーション法によりゲート電極MG間、選択ゲート電極SG間及びゲート電極MTと選択ゲート電極SG間に拡散層を形成しても良い。
【0066】
そして、ゲート加工終了後、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGおよび選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGが形成されたシリコン基板1上に、側壁保護のための、例えば、シリコン酸化膜またはHTO(High Temperature Oxidation)からなる絶縁膜7を形成する(図5A)。この絶縁膜7はゲート電極MG及び選択ゲート電極SGの表面に沿って形成され、ゲート電極MG間、選択ゲートSG間及びゲート電極MGと選択ゲートSG間は埋まらない。
【0067】
次に、絶縁膜7を形成した後、レジスト膜8をシリコン基板1上に形成する。さらに、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間の領域を露光する。これにより、レジスト膜8に、選択ゲート電極SG間で開口する開口部8aを形成する。すなわち、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG間の領域上で開口するようにレジスト8を形成する(図5B)。
【0068】
次に、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層18を形成するためのイオンをイオンインプランテーション法により注入する。
【0069】
ここで、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間にはイオンが注入されず、選択ゲート電極SG間のみにイオンが注入される。
【0070】
その結果、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間よりも、選択ゲート電極SG間の拡散層の不純物濃度を濃くすることができ、コンタクト抵抗を下げると共にメモリセルトランジスタMT間及びメモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST間のショートチャネルを防止することができる。
【0071】
このイオン注入の後、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1上の絶縁膜7を選択的に除去する。これにより、シリコン基板1の上面を露出させる(図5C)。
【0072】
次に、レジスト膜8を除去した後、側壁スペーサ形成のための、例えば、シリコン酸化膜またはTEOS膜からなる絶縁膜9を堆積する。
【0073】
すなわち、レジスト膜8を除去した後、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGの両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタMTの絶縁膜7で被覆されたゲート電極MG間に第2の絶縁膜を充填する。同時に、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGの両側面、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGとメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成する(図5D)。
【0074】
このとき、隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚は、メモリセルトランジスタMTとこのメモリセルトランジスタMTに隣接する選択ゲートトランジスタST1との間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚よりも、絶縁膜7の膜厚分薄くなる。
【0075】
なお、隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間の第1の距離d1が、選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の第2の距離d2よりも、短くなっている。
【0076】
これにより、選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0077】
さらに、第1の距離d1が、隣接する選択ゲートトランジスタST1の選択ゲートSG電極間の第3の距離d3よりも、短くなっている。
【0078】
これにより、隣接する選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SG間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0079】
次に、側壁スペーサ形成のため絶縁膜9をエッチングする。すなわち、絶縁膜9を形成した後、RIE(Reactive Ion Etching)により、隣接する選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極(SG)間(終点検知使用領域)のシリコン基板1の上面が露出するまで、絶縁膜9をエッチングする(図5E)。
【0080】
これにより、選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGの側壁スペーサ9a、および選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTの側壁スペーサ9aを形成する。
【0081】
該エッチングの際、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間と比較して、シリコン基板1上を被覆している絶縁膜7の分だけ該エッチングの終了が遅くなる。
【0082】
このエッチングの終点検知は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間のシリコン基板1の上面が露出したか否かで行っている。例えば、エッチングの終点は、エッチングの排気(該エッチングにより分解されたガス)の組成を分析することにより、検知することができる。すなわち、絶縁膜7及び9がエッチングにより分解されたガスと、シリコン基板1がエッチングにより分解されたガスと組成がことなるため、エッチングの排気の組成が大きく変化した時点で選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間のシリコン基板1の上面が露出したことが検知できる。
【0083】
よって、絶縁膜9のエッチングの際は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間(終点検知使用領域)の方が、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間と比較して、先にシリコン基板1の上面が露出する。これにより、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の上面をエッチングすることなく、該エッチングの終点検知を行うことができる。結果として、選択ゲートトランジスタST1−メモリセルトランジスタMT間のシリコン基板1のガウジングを防止することが可能である。
【0084】
また、エッチングの時間・条件により、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の上面が削られる場合もあるが、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間でエッチングの終点検知を行っているため、シリコン基板1の上面は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間よりも選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間の方が高くできる。すなわち、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の上面のエッチング量はセル電流の減少を生じない程小さくできる。
【0085】
なお、ダミー選択ゲート電極DSGと選択ゲート電極SDは同じ構造を有しているので、終点検知の能力を上げるために、図1のダミーセル領域102の隣接するダミー選択ゲート電極DSG間を、追加の終点検知使用領域として利用することも可能である。また、メモリセルアレイ領域101とダミーセル領域102の境界付近のレイアウトは、ダミー選択ゲート電極DSG間がメモリセルアレイ領域101と同様のレイアウトを有しているので、繰り返しパターンを崩すことなく終点検知使用領域として使用できる。
【0086】
なお、上述のように、絶縁膜9のエッチングの終点検知は、シリコン基板1の上面が露出した際に行っている。したがって、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間(終点検知使用領域)のシリコン基板1の上面が、該エッチングにより少し削られることになる。
【0087】
すなわち、絶縁膜9をエッチングした後において、選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGと選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGとの間のシリコン基板1の上面1aの位置が、隣接する選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SG間のシリコン基板1の上面1bの位置よりも、高くなっている。
【0088】
また、側壁スペーサ9の膜厚と絶縁膜7の膜厚の和である膜厚Sの2倍の距離は、第2の距離d2よりも、短くなっている。
【0089】
上述のようにして側壁スペーサ9aを形成した後、酸化膜10と窒化膜等からなる保護膜11とを順次堆積させる。なお、側壁スペーサ9aの形成後にイオンをイオンインプランテーション法により注入することにより、選択ゲートトランジスタSTをいわゆるLDD構造にすることができる。その後、さらに、選択ゲート電極SG間、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間、および選択ゲートSG間まで埋まるように絶縁膜12を堆積させる(図5F)。
【0090】
その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、保護膜11をストッパとして、この保護膜11の上面まで平坦化する。
【0091】
その後、RIEにより、窒化膜6、酸化膜10、保護膜11、および絶縁膜12をエッチバックし、ポリシリコン5の上部を露出させる。
【0092】
その後、露出したポリシリコン5の上部をシリサイド化させて、シリサイド膜13を形成する。
【0093】
その後、シリコン基板1上に、酸化膜14、水素拡散防止用の窒化膜15、および層間絶縁膜16を形成する。さらに、ビット線BLに接続されるコンタクトプラグ17a、および選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトプラグ17b(CP1)を形成する(図5G)。
【0094】
以上により、メモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST1を備える不揮発性半導体記憶装置100が完成する。
【0095】
なお、既述のように、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間(終端検知使用領域)と選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の掘れ量が異なる。このため、シリコン基板1の上方に堆積される膜(酸化膜14、窒化膜15、層間絶縁膜16)の高さが異なる。
【0096】
また、本実施例1においては、既述のように、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入し(図5B)、このイオン注入の後、レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1上の絶縁膜7を選択的に除去した(図5C)。さらに、レジスト膜8を除去した後、メモリセルトランジスタのゲート電極の両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタのゲート電極間に絶縁膜9を充填するとともに、選択ゲートトランジスタのゲート電極の両側面、選択ゲートトランジスタのゲート電極とメモリセルトランジスタのゲート電極との間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成した。
【0097】
しかし、該イオン注入の工程と、該絶縁膜7を選択的に除去する工程とは、順番を逆にしてもよい。この場合も、既述の場合と同様の作用効果を奏することができることに加え、選択ゲートトランジスタSTのゲート電極の近傍まで拡散層を伸ばすことができ、トランジスタのオフセットを効果的に防止することができる。
【0098】
すなわち、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1上の絶縁膜7を選択的に除去し(図5B)、絶縁膜7を選択的に除去した後、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入する。さらに、このイオン注入の後、メメモリセルトランジスタのゲート電極の両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタのゲート電極MG間に絶縁膜9を充填するとともに、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGの両側面、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGとメモリセルトランジスタのゲート電極MGとの間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成してもよい。
【0099】
以上のように、絶縁膜のエッチングの終点検出を早め、シリコン基板のガウジングを抑制することができる。これにより、セル電流の減少を抑制することができる。
【0100】
以上のように、本実施例に係る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法によれば、セル電流の減少を抑制することができる。
【0101】
[実施例1の変形例]
図5Hないし図5Jは、本発明の一態様である実施例1の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の各工程の断面図である。なお、図5Hないし図5Jは、図4BのA−A線に沿った断面の断面を表している。この変形例では、実施例1と異なりトンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2を半導体基板1の全面に残存させた例である。
【0102】
図5Hに示すように、ゲート電極MG、選択ゲート電極SGを形成する際に、トンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2をエッチングせず半導体基板1上に残存させる。
【0103】
次に、図5Bと同様の工程を経て図5Iのように、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層18を形成するためのイオンをイオンインプランテーション法により注入する。さらに、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1上の絶縁膜7及びゲート絶縁膜2を選択的に除去する(図5I)。
【0104】
次に、図5Jに示すように、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGの両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタMTの絶縁膜7で被覆されたゲート電極MG間に第2の絶縁膜を充填する。同時に、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGの両側面、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGとメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成する(図5J)。
【0105】
このとき、隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚は、メモリセルトランジスタMTとこのメモリセルトランジスタMTに隣接する選択ゲートトランジスタST1との間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚よりも絶縁膜7とトンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2の膜厚を合わせた分だけ、薄くなる。
【0106】
次に、図5Eと同様の工程により、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間と比較して、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間は、シリコン基板1上を被覆している絶縁膜7とトンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2の膜厚を合わせた分だけ該エッチングの終了が遅くなる。よって、実施例1と比べて選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の上面がエッチングされにくくなる。
【0107】
また、トンネル絶縁膜2がONO膜のように3層構造を有している場合は、例えば、シリコン酸化膜からなる絶縁膜9に対してエッチング比を取ることができ、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間のシリコン基板1の上面がさらにエッチングされにくくなる。
【0108】
その後の工程は実施例1と同様であるので省略する。
【実施例2】
【0109】
本実施例2では、実施例1に加えて周辺回路領域103に位置する周辺トランジスタ(特にゲート酸化膜の厚さがメモリセルアレイ領域と同じの低耐圧のトランジスタに限定)を利用して、図5Eの工程における絶縁膜のエッチングの終点検知の能力をアップさせるものである。
【0110】
すなわち、周辺トランジスタにおいてもゲート電極の側壁スペーサは絶縁膜9と一括で堆積される。このため、選択ゲートトランジスタ間と同様に、シリコン基板1の上面を露出させることができる。したがって、周辺トランジスタのゲート電極周辺に追加の終点検知使用領域を設けることができる。これにより、終点検知の精度を向上させることができる。
【0111】
図6は、実施例1の図1の周辺回路領域103に配置される周辺トランジスタPT1、PT2の平面図である。また、図7は、図6のA−A線(ソース、チャネル、及びドレインが順次並ぶ方向)に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。また、図8は、図6のB−B線及びC−C線方向に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。
【0112】
図6に示すように、素子分離領域(STI)35に囲まれるように2つの素子領域AAが形成されている。これらの素子領域AAを横切るように素子分離領域35まで延びるゲート電極36が形成されている。このゲート電極36を挟みn型不純物拡散層37、38が形成されている。ゲート電極36と素子領域AAの交点部には開口部58が形成されている。
【0113】
図7及び図8に示すように、素子分離領域35によって隣接する素子領域AAは電気的に分離されている。この素子分離領域35によって電気的に分離された素子領域AAの内には、それぞれp型ウェル領域30、31が形成されている。そして、p型ウェル領域30、31上に、それぞれ周辺トランジスタPT1、PT2が形成されている。
【0114】
まず、周辺トランジスタPT1について説明する。図示するように、p型ウェル領域30上にはゲート絶縁膜33が形成され、ゲート絶縁膜33上には周辺トランジスタPT1のゲート電極36が形成されている。ゲート電極36は、ゲート絶縁膜33上に形成された導電層39と、この導電層39上にゲート間絶縁膜40を介在して形成された導電層41とを含む積層ゲート構造を備えている。また、導電層41上にはゲート電極MGと同様に窒化膜6が形成されていても良い。また、ゲート電極36の側面には側壁スペーサ36aが形成されている。なお、ゲート間絶縁膜40は開口部58において除去され、導電層39、41は電気的に接続されている。
【0115】
次に、周辺トランジスタPT2について説明する。図示するように、p型ウェル領域31上にはゲート絶縁膜34が形成され、ゲート絶縁膜34上には周辺トランジスタPT2のゲート電極36が形成されている。
【0116】
ここで、ゲート絶縁膜34はゲート電極36及び側壁スペーサ36aに覆われた部分のみに形成されている。さらに、ゲート電極36及び側壁スペーサ36aで覆われていないシリコン基板1の上面はゲート電極36及び側壁スペーサ36aで覆われたシリコン基板の上面よりも低くなっている。すなわち、ゲート電極36及び側壁スペーサ36aで覆われていないシリコン基板1は、側壁スペーサ36a形成時の終点検知に使用されるため上面が削られている。
【0117】
周辺トランジスタPT2のゲート電極36は、周辺トランジスタPT1のゲート電極36と同様の構造を有しており、積層ゲート構造を備えている。そして、ウェル領域31の表面内には、ソースまたはドレインとして機能するn型不純物拡散層38が形成されている。ソースとドレインとの間の領域は、電子の移動領域となるチャネル領域として機能する。
【0118】
以上の構成により、周辺トランジスタPT2が形成されている。なお、ゲート絶縁膜34の膜厚は、トンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2とほぼ同等の膜厚を有し、ゲート絶縁膜33よりも薄くされている。これは、周辺トランジスタPT1の方が周辺トランジスタPT2よりも高い電圧を印加されるからである。
【0119】
ここで、図7に示す周辺トランジスタPT1、PT2の製造方法の一例について、説明する。
【0120】
図9Aないし図9Cは、本発明の一態様である実施例2に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の各工程の断面図である。なお、図9Aないし図9Cは、実施例1の図4BのA−A線に沿った断面の断面と、図7に示す周辺トランジスタの断面とを表している。
【0121】
先ず、実施例1の図5Aに示す工程と同様の工程により、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGおよび選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGが形成されたシリコン基板1上に、側壁保護のための、例えば、シリコン酸化膜またはHTO膜からなる絶縁膜7を形成する。このとき、周辺トランジスタPT1のゲート電極36上、ゲート絶縁膜33上、および、周辺トランジスタPT2のゲート電極36上、Pウェル31上にも、絶縁膜7が形成される。また、絶縁膜7はゲート電極MG、SG及び36の表面に沿って形成され、ゲート電極MG、選択ゲート電極SG及びゲート電極36間は埋まらない。
【0122】
次に、絶縁膜7を形成した後、レジスト膜8をシリコン基板1上に形成する。さらに、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間の領域、および、周辺トランジスタPT1、PT2上を露光する。これにより、レジスト膜8に、選択ゲート電極SG間で開口する開口部8aを形成するとともに、周辺トランジスタPT1、PT2上のレジスト膜8を除去する(図9A)。
【0123】
次に、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンをイオンインプランテーション法により注入する。このとき、周辺トランジスタPT1、PT2のゲート電極36周辺にもイオン注入され、拡散層37、38が形成される。
【0124】
ここで、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間にはイオンが注入されず、選択ゲート電極SG間のみにイオンが注入される。
【0125】
その結果、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間よりも、選択ゲート電極SG間の拡散層の不純物濃度を濃くすることができ、コンタクト抵抗を下げると共にメモリセルトランジスタMT間及びメモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST間のショートチャネルを防止することができる。
【0126】
このイオン注入の後、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1上及び周辺トランジスタPT2の拡散層上の絶縁膜7を選択的に除去する。これにより、シリコン基板1及びPウェル31の上面を露出させる(図9B)。
【0127】
次に、レジスト膜8を除去した後、側壁スペーサ形成のための、例えば、シリコン酸化膜またはTEOS膜からなる絶縁膜9を堆積する。
【0128】
すなわち、レジスト膜8を除去した後、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGの両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタMTの絶縁膜7で被覆されたゲート電極MG間に第2の絶縁膜を充填する。同時に、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGの両側面、選択ゲートトランジスタの選択ゲート電極SGとメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成する。このとき、周辺トランジスタPT1、PT2上にも絶縁膜9が形成される(図9C)。
【0129】
このとき、隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚は、メモリセルトランジスタMTとこのメモリセルトランジスタMTに隣接する選択ゲートトランジスタST1との間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚よりも、絶縁膜7の膜厚分薄くなる。
【0130】
なお、隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間の第1の距離d1が、選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の第2の距離d2よりも、短くなっている。
【0131】
これにより、選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0132】
さらに、第1の距離d1が、隣接する選択ゲートトランジスタST1の選択ゲートSG電極間の第3の距離d3よりも、短くなっている。
【0133】
これにより、隣接する選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SG間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0134】
次に、実施例1の図5Eに示す工程と同様の工程が実施される。該エッチングの際、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間及び周辺トランジスタPT2のゲート電極36に隣接する領域は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間と比較して、シリコン基板1上を被覆している絶縁膜7の分だけ該エッチングの終了が遅くなる。
【0135】
以降は、実施例1の図5F以降の工程と同様の工程が実施される。これにより、図7に示す周辺トランジスタPT1、PT2が形成される。
【0136】
以上のように、上記態様によれば、実施例1に加えて、周辺トランジスタPT2の拡散層も終点検出領域として使用できるので絶縁膜のエッチングの終点検出の制度を高めることができ、シリコン基板のガウジングを抑制することができる。これにより、セル電流の減少をさらに抑制することができる。また、ゲート絶縁膜34がトンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2と同様の材質であれば、絶縁膜のエッチングの終点検出制度は高くなる。また、実施例1の変形例のように、トンネル絶縁膜(ゲート絶縁膜)2を半導体基板1の全面に残存させてもよい。
【0137】
以上のように、本実施例に係る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法によれば、セル電流の減少を抑制することができる。
【実施例3】
【0138】
本実施例3では、周辺回路領域103に位置する周辺トランジスタ(この実施例では低耐圧トランジスタの開口時だけでなくゲート酸化膜の厚い高耐圧のトランジスタも含める)を利用して、終点検知の能力をアップさせるものである。
【0139】
すなわち、周辺トランジスタにおいてもゲート電極の側壁スペーサ36aは絶縁膜9と一括で堆積される。このため、選択ゲートトランジスタ間と同様に、シリコン基板1の上面を露出させることができる。したがって、周辺トランジスタのゲート電極周辺に追加の終点検知使用領域を設けることができる。これにより、終点検知の精度を向上させることができる。
【0140】
以下、本実施例3に係る周辺トランジスタの構成について説明する。平面図は、実施例2の図6と同様のため省略するる。
【0141】
図10は、図6のA−A線(ソース、チャネル、及びドレインが順次並ぶ方向)に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。
【0142】
図10に示すように、周辺トランジスタPT1は、実施例2の周辺トランジスタPT2と同様に、ゲート絶縁膜34は、ゲート電極36で覆われた部分のみに形成されている。さらに、ゲート電極36及び側壁スペーサ36aで覆われていないシリコン基板1の上面が削られている。すなわち、ゲート電極36及び側壁スペーサ36aで覆われていないシリコン基板1は、側壁スペーサ36a形成時の終点検知に使用される上面が削られている。
【0143】
ここで、ゲート絶縁膜34が側壁スペーサ36aで覆われていないのは、ゲート電極36をマスクとしてゲート絶縁膜34を例えば、RIE等によりエッチングする(基板露出工程)を行なうためである。なお、この基板露出工程は、イオン注入を低加速度でn型またはp型不純物拡散層37を形成するために行なう。なお、ゲート電極36で覆われていない部分にゲート絶縁膜34の一部が残っていても低加速度で不純物拡散層37が形成されれば問題ない。
【0144】
図11Aないし図11Dは、本発明の一態様である実施例3に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の各工程の断面図である。なお、図11Aないし図11Dは、実施例1の図4BのA−A線に沿った断面の断面と、図9に示す周辺トランジスタの断面とを表している。
【0145】
ここで、図9に示す周辺トランジスタPT1、PT2の製造方法の一例について、説明する。
【0146】
先ず、図11Aに示すように、周辺トランジスタ(高耐圧トランジスタ)PT1以外の領域をレジストマスク18で覆う。その後、レジストマスク18及び高耐圧トランジスタPT1のゲート電極をマスクとして、ゲート絶縁膜33を例えば、RIEによる異方性エッチングし、高耐圧トランジスタPT1のゲート電極に隣接する半導体基板1の表面を露出させる。その後、レジストマスク18を剥離する。
【0147】
次に、実施例1の図5Aに示す工程と同様の工程により、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGおよび選択ゲートトランジスタST1の選択ゲート電極SGが形成されたシリコン基板1上に、側壁保護のための、例えば、シリコン酸化膜またはHTO膜からなる絶縁膜7を形成する。このとき、周辺トランジスタPT1のゲート電極36上、Pウェル30、および、周辺トランジスタPT2のゲート電極36上、Pウェル31上にも、絶縁膜7が形成される。また、絶縁膜7はゲート電極MG、選択ゲート電極SG及びゲート電極36の表面に沿って形成され、ゲート電極MG、選択ゲート電極SG及びゲート電極36間は埋まらない。
【0148】
次に、絶縁膜7を形成した後、レジスト膜8をシリコン基板1上に形成する。さらに、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間の領域、および、周辺トランジスタPT1、PT2上を露光する。これにより、レジスト膜8に、選択ゲート電極SG間で開口する開口部8aを形成するとともに、周辺トランジスタPT1、PT2上のレジスト膜8を除去する(図11B)。
【0149】
次に、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間に、選択ゲートトランジスタの拡散層18を形成するためのイオンをイオンインプランテーション法により注入する。このとき、周辺トランジスタPT1、PT2のゲート電極36周辺にもイオン注入され、拡散層37、38が形成される(図11C)。
【0150】
ここで、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間にはイオンが注入されず、選択ゲート電極SG間のみにイオンが注入される。
【0151】
その結果、ゲート電極MG間、選択ゲート電極SGとゲート電極MG間よりも、選択ゲート電極SG間の拡散層の不純物濃度を濃くすることができ、コンタクト抵抗を下げると共にメモリセルトランジスタMT間及びメモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST間のショートチャネルを防止することができる。
【0152】
このイオン注入の後、レジスト膜8をマスクとして、隣接する選択ゲートトランジスタ間のシリコン基板1及び周辺トランジスタPT1、PT2上の絶縁膜7を選択的に除去する。これにより、シリコン基板1及びゲート電極36に隣接するシリコン基板1の上面を露出させる(図11C)。
【0153】
次に、レジスト膜8を除去した後、側壁スペーサ形成のための、例えば、シリコン酸化膜またはTEOS膜からなる絶縁膜9を堆積する。
【0154】
すなわち、レジスト膜8を除去した後、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MGの両側面に絶縁膜9を形成することにより、隣接するメモリセルトランジスタMの絶縁膜7で被覆されたゲート電極MG間に第2の絶縁膜を充填する。同時に、選択ゲートトランジスタのゲート電極SGの両側面、選択ゲートトランジスタのゲート電極SGとメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の絶縁膜7上、および隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上に、絶縁膜9を形成する。このとき、周辺トランジスタPT1、PT2上にも絶縁膜9が形成される(図11D)。
【0155】
このとき、隣接する選択ゲートトランジスタST1間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚は、メモリセルトランジスタMTとこのメモリセルトランジスタMTに隣接する選択ゲートトランジスタST1との間のシリコン基板1上の絶縁膜の膜厚よりも、絶縁膜7の膜厚分薄くなる。
【0156】
なお、隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間の第1の距離d1が、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の第2の距離d2よりも、短くなっている。
【0157】
これにより、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0158】
さらに、第1の距離d1が、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲートSG電極間の第3の距離d3よりも、短くなっている。
【0159】
これにより、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0160】
次に、実施例1の図5Eに示す工程と同様の工程が実施される。該エッチングの際、選択ゲート電極SG−ゲート電極MG間及び周辺トランジスタPT1、PT2に隣接する流域は、選択ゲート電極SG−選択ゲート電極SG間と比較して、シリコン基板1上を被覆している絶縁膜7の分だけ該エッチングの終了が遅くなる。以降は、実施例1の図5F以降の工程と同様の工程が実施される。これにより、図9に示す周辺トランジスタPT1、PT2が形成される。以上のように、上記態様によれば、実施例1と同様に、絶縁膜のエッチングの終点検出を早め、シリコン基板のガウジングを抑制することができる。これにより、セル電流の減少をさらに抑制することができる。
【0161】
以上のように、本実施例に係る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法によれば、セル電流の減少を抑制することができる。
【実施例4】
【0162】
実施例1においては、メモリセルトランジスタMTが浮遊ゲート構造を有する場合について説明した。
【0163】
しかし、既述のように、本発明は、メモリセルトランジスタMTがいわゆるMONOS構造を有する場合についても同様に適用することができる。
【0164】
そこで、本実施例では、メモリセルトランジスタMTがMONOS構造を有する場合の不揮発性半導体記憶装置100の構成について説明する。
【0165】
図12は、図4BにおいてA−A線に沿った不揮発性半導体記憶装置100のメモリセルユニット101a5の断面を示す断面図である。
【0166】
図12に示すように、メモリセルトランジスタMTは、シリコン基板1上にゲート絶縁膜2を介在して形成された電荷蓄積層(例えば絶縁膜)403と、この電荷蓄積層403上に形成され、電荷蓄積層403より誘電率の高い絶縁膜(以下、ブロック層と呼ぶ)404と、さらにブロック層404上に形成された制御ゲート電極405(MG)とを有する。この制御ゲート電極405の上部は、シリサイド膜13で構成されている。
【0167】
また、選択ゲートトランジスタST1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜2を介在して形成された選択ゲート電極401(SG)を有する。
【0168】
なお、実施例4のメモリセルユニット101a5のその他の構成は、実施例1のメモリセルユニットと同様である。
【0169】
すなわち、実施例1と同様に、絶縁膜9のエッチングの終点検知は、シリコン基板1の上面が露出した際に行っている。したがって、隣接する選択ゲートトランジスタのゲート電極SG間(終点検知使用領域)のシリコン基板1の上面が、該エッチングにより少し削られることになる。
【0170】
したがって、選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGと選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SGとの間のシリコン基板1の上面1aの位置が、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG間のシリコン基板1の上面1bの位置よりも、高くなっている。
【0171】
また、実施例1と同様に、隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間の第1の距離d1が、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間の第2の距離d2よりも、短くなっている。これにより、選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SGとこの選択ゲートトランジスタST1に隣接するメモリセルトランジスタMTのゲート電極MGとの間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0172】
さらに、第1の距離d1が、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲートSG電極間の第3の距離d3よりも、短くなっている。これにより、隣接する選択ゲートトランジスタST1のゲート電極SG間が絶縁膜9で充填される前に、メモリセルトランジスタMTのゲート電極MG間が絶縁膜9で完全に充填されることになる。
【0173】
以上のように、上記態様によれば、実施例1と同様に、絶縁膜のエッチングの終点検出を早め、シリコン基板のガウジングを抑制することができる。これにより、セル電流の減少を抑制することができる。
【0174】
以上のように、本実施例に係る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法によれば、セル電流の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の平面の模式的な構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す不揮発性半導体記憶装置100のA−A線に沿った断面の模式的な断面図である。
【図3】図1に示す不揮発性半導体記憶装置100のB領域を拡大した模式的な平面図である。
【図4A】図1の不揮発性半導体記憶装置100のメモリセルアレイ領域101の回路構成を含むブロック図である。
【図4B】図4Aに示すメモリセルアレイ101aの平面図である。
【図5A】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の工程の断面図である。
【図5B】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Aに続く工程の断面図である。
【図5C】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Bに続く工程の断面図である。
【図5D】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Cに続く工程の断面図である。
【図5E】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Dに続く工程の断面図である。
【図5F】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Eに続く工程の断面図である。
【図5G】本発明の一態様である実施例1に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Fに続く工程の断面図である。
【図5H】本発明の一態様である実施例1の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の工程の断面図である。
【図5I】本発明の一態様である実施例1の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Hに続く工程の断面図である。
【図5J】本発明の一態様である実施例1の変形例に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図5Iに続く工程の断面図である。
【図6】実施例1の図1の周辺回路領域103に配置される周辺トランジスタPT1、PT2の平面図である。
【図7】図6のA−A線(ソース、チャネル、及びドレインが順次並ぶ方向)に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。
【図8】図6のB−B線及びC−C線方向に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。
【図9A】本発明の一態様である実施例2に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の工程の断面図である。
【図9B】本発明の一態様である実施例2に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図9Aに続く工程の断面図である。
【図9C】本発明の一態様である実施例2に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図9Bに続く工程の断面図である。
【図10】図6のA−A線(ソース、チャネル、及びドレインが順次並ぶ方向)に沿った周辺トランジスタPT1、PT2の断面図である。
【図11A】本発明の一態様である実施例3に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の工程の断面図である。
【図11B】本発明の一態様である実施例3に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図11Aに続く工程の断面図である。
【図11C】本発明の一態様である実施例3に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図11Bに続く工程の断面図である。
【図11D】本発明の一態様である実施例3に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法の図11Cに続く工程の断面図である。
【図12】図4BにおいてA−A線に沿った不揮発性半導体記憶装置100のメモリセルユニット101a5の断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0176】
1 シリコン基板(半導体基板)
1a、1b 上面
2 ゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)
3 ポリシリコン膜(FG)
4 ゲート絶縁膜
4a 開口部
5 ポリシリコン膜(CG)
6 窒化膜
7 絶縁膜
8 レジスト膜
8a 開口部
9 絶縁膜
9a 側壁スペーサ
10 酸化膜
11 保護膜
12 絶縁膜
13 シリサイド膜
14 酸化膜
15 窒化膜
16 層間絶縁膜
17a、17b コンタクトプラグ
18 拡散層
30、31 p型ウェル領域
33 ゲート絶縁膜
35 素子分離領域(STI)
36 ゲート電極
37、38 n型不純物拡散層
39 導電層
40 ゲート間絶縁膜
41 導電層
58 開口部
100、200、300、400 NAND型フラッシュメモリ
101 メモリセルアレイ領域
101a メモリセルアレイ
101a5 メモリセルユニット
102 ダミーセル領域
103 周辺回路領域
103a2 電圧発生回路
103a3 ロウデコーダ
103a4 カラムデコーダ
BL ビット線
DG ダミーゲート電極
DSG ダミー選択ゲート電極
MG ゲート電極
MT メモリセルトランジスタ
PT1、PT2 周辺トランジスタ
ST、ST1、ST2 選択ゲートトランジスタ
SG 選択ゲート電極
SGD、SGS 選択ゲート線
WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的なデータの書き込み及び消去が可能であり直列接続されたメモリセルトランジスタの端部が選択ゲートトランジスタを介してビット線またはソース線に接続されて構成される複数のメモリセルユニットを備える、不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記メモリセルトランジスタのゲート電極および前記選択ゲートトランジスタのゲート電極が形成された半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜を形成した後、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の領域上で開口するようにレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間に、前記選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入し、
前記イオン注入の後、前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の前記半導体基板上の前記第1の絶縁膜を選択的に除去し、
前記レジスト膜を除去した後、前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極の両側面に第2の絶縁膜を形成することにより、隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間に前記第2の絶縁膜を充填するとともに、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極の両側面、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極と前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極との間の第1の絶縁膜上、および隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板上に、前記第2の絶縁膜を形成し、
前記第2の絶縁膜を形成した後、RIEにより、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面が露出するまで、前記第2の絶縁膜をエッチングするものであり、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の第3の距離よりも、短い
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
電気的なデータの書き込み及び消去が可能な直列接続されたメモリセルトランジスタの端部が選択ゲートトランジスタを介してビット線またはソース線に接続されて構成される複数のメモリセルユニットを備える、不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記メモリセルトランジスタのゲート電極および前記選択ゲートトランジスタのゲート電極が形成された半導体基板上に、第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜を形成した後、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の領域上で開口するようにレジスト膜を形成し、
前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の前記半導体基板上の前記第1の絶縁膜を選択的に除去し、
前記第1の絶縁膜を選択的に除去した後、前記レジスト膜をマスクとして、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間に、前記選択ゲートトランジスタの拡散層を形成するためのイオンを注入し、
前記イオン注入の後、前記レジスト膜を除去し、前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極の両側面に第2の絶縁膜を形成することにより、隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間に前記第2の絶縁膜を充填するとともに、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極の両側面、前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極と前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極との間の第1の絶縁膜上、および隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板上に、前記第2の絶縁膜を形成し、
前記第2の絶縁膜を形成した後、RIEにより、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面が露出するまで、前記第2の絶縁膜をエッチングするものであり、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタ間の第3の距離よりも、短い
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の絶縁膜を形成した後、RIEにより、異なるメモリセルユニットの隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面が露出するまで、前記第2の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の絶縁膜をエッチングした後において、
前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の前記半導体基板の上面の位置が、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面の位置よりも、高い
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
電気的なデータの書き込み及び消去が可能であり、直列に接続され、半導体基板上にトンネル酸化膜を介して形成されたゲート電極を有するメモリセルトランジスタと、
直列に接続された前記メモリセルトランジスタの端部と、ビット線コンタクトまたはソース線コンタクトと、の間に接続され、前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有する選択ゲートトランジスタと、を備え、
隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極間の第1の距離が、前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の第2の距離よりも、短く、
前記第1の距離が、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の第3の距離よりも、短く、
前記選択ゲートトランジスタに隣接する前記メモリセルトランジスタの前記ゲート電極と前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極との間の半導体基板の上面の位置が、隣接する前記選択ゲートトランジスタの前記ゲート電極間の前記半導体基板の上面の位置よりも、高い
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−50357(P2010−50357A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214593(P2008−214593)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】