説明

乾燥ユニットおよび基板処理装置

【課題】複数の基板を一括して容易に乾燥することができる乾燥ユニットおよび基板処理装置を提供する。
【解決手段】乾燥部70は、複数の基板Wを一括して乾燥させる乾燥ユニットである。乾燥部70は、主として、乾燥チャンバ71と、貯留槽72と、排出管71a、72aと、バルブ71b、72bと、吐出ノズル87(87a、87b)と、を備えている。IPAによる純水の置換処理において、貯留槽72に複数の基板Wが浸漬されると、吐出ノズル87から乾燥チャンバ71内にIPAの蒸気が供給され、純水80aの液面80bにIPAの液膜80cが形成される。続いて、貯留槽72から純水80aが排出され、IPAの液膜80cが、下降させられる。そして、各基板Wの基板面とIPAの液膜80cとが接触することによって、各基板Wに付着した純水が、IPAに置換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、および太陽電池用パネル等(以下、単に「基板」と称する)に対して乾燥処理を施す乾燥ユニット、およびこの乾燥ユニットを有する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の基板に一括して処理(例えば、薬液処理および乾燥処理等)を施すバッチ式の基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。ここで、特許文献1の装置では、例えば、次のような手順で減圧乾燥が実行される。まず、薬液処理された複数の基板が、処理槽に貯留された純水によって洗浄される。次に、洗浄された複数の基板が、処理槽に貯留された純水から、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも呼ぶ)の蒸気を有する減圧雰囲気に、引き上げられる。これにより、各基板に付着した純水がIPAと置換されるとともに、置換後のIPAが減圧下で蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−287554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1の乾燥処理では、処理槽に貯留された純水から複数の基板をIPAの蒸気を有する減圧雰囲気に引き上げる工程が、必要となる。その結果、複数の基板の引き上げ動作、有機溶剤の吐出動作、および減圧動作等の動作制御が煩雑となり、制御部の計算コストが増大するという問題が、生ずる。
【0005】
そこで、本発明では、複数の基板を一括して容易に乾燥することができる乾燥ユニット、および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、複数の基板を一括して乾燥する乾燥ユニットであって、乾燥チャンバ内に配置されており、処理液を貯留する貯留槽と、前記乾燥チャンバ内に配置されており、前記貯留槽に貯留された前記処理液の液面に向けて、有機溶剤を吐出する吐出部と、前記貯留槽から外部に処理液を排出する排出部と、前記排出部に設けられており、前記処理液の排出状況を切り換える切換部と、前記吐出部の吐出動作および前記切換部の切換動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、(i)前記吐出部から、前記複数の基板が浸漬された前記処理液の前記液面に、前記有機溶剤を吐出させることによって、前記液面上に前記有機溶剤の液膜を形成させるとともに、(ii)前記処理液に前記複数の基板が浸漬され、かつ、前記液面上に前記液膜が形成された状態で、前記貯留槽から前記処理液を排出させることによって、前記液膜を下降させ、前記複数の基板のそれぞれに付着した前記処理液を前記有機溶剤に置換することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の乾燥ユニットにおいて、前記制御部は、前記有機溶剤の前記液膜が形成された状態で、前記処理液が前記貯留槽から排出されている時に、前記吐出部から前記有機溶剤を吐出させ続けることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の乾燥ユニットにおいて、前記吐出部は、前記複数の基板のそれぞれに向けて高温ガスをさらに吐出可能とされており、前記制御部は、(iii)前記吐出部から、置換後の前記有機溶剤が付着する前記複数の基板に、前記高温ガスを吐出させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の乾燥ユニットにおいて、前記複数の基板は、キャリアに格納されており、複数の溝は、各基板に対応しつつ、前記キャリアに設けられており、各基板の外縁部が対応する溝に嵌め込まれることによって、各基板は、キャリアに起立姿勢で格納されるとともに、各基板が対応する溝に嵌め込まれた状態で、前記キャリアを揺動させる揺動部、をさらに備え、各溝の幅は、対応して嵌め込まれる基板の厚さより大きく、前記揺動部は、各溝を支点として、各基板の上端を各基板の配列方向に沿って移動させることによって、各基板の第1主面と、対応する溝の第1溝面とを離隔させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の乾燥ユニットにおいて、前記排出部は、前記貯留槽に浸漬された各基板の下端より低い位置で、前記貯留槽と連通接続されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の乾燥ユニットと、複数の処理槽と、前記複数の処理槽および前記乾燥ユニットのいずれかに、前記複数の基板を一括搬送する搬送ロボットとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、複数の基板が処理液に浸漬された状態で、処理液の液面上に有機溶剤の液膜を形成できる。そして、貯留槽から処理液が排出されることによって、複数の基板が貯留槽内に配置された状態で、処理液の液面および有機溶剤の液膜が、下降する。
【0013】
このように、請求項1から請求項6に記載の発明によれば、複数の基板を移動(例えば、昇降)させることなく、各基板に対して有機溶剤の液膜を下降させることができ、各基板に付着した処理液を有機溶剤に置換することができる。そのため、制御部の計算コストを増大させることなく、ウォーターマークのような乾燥不良の発生を容易に防止することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、少なくとも、貯留槽から処理液が排出されている時に、処理液の液面に向けて有機溶剤を吐出することができる。これにより、各基板に付着した処理液が有機溶剤に置換されることによって、有機溶剤の液膜の厚さが減少する場合であっても、この液膜に有機溶剤を補充することができる。そのため、各基板において、処理液を有機溶剤に置換する処理が、確実に実行できる。
【0015】
特に、請求項3に記載の発明によれば、置換後の有機溶剤が付着する各基板に、高温ガスを吐出することができる。すなわち、高温ガスが供給される各基板からは処理液が除去されている。そのため、ウォーターマークのような乾燥不良の発生を防止しつつ、各基板を速やかに乾燥させることができる。
【0016】
特に、請求項4に記載の発明によれば、各溝を支点として各基板の上端を配列方向に沿って移動させることができる。これにより、各基板の第1主面と、対応する溝の第1溝面と、を離隔することができ、この第1主面および第1溝面の間隙に入り込んだ置換後の有機溶剤に対して効率的に高温ガスを供給できる。そのため、この第1主面および第1溝面に入り込んだ置換後の有機溶剤をも確実に乾燥させることができる。
【0017】
特に、請求項5に記載の発明によれば、貯留槽に貯留された処理液および処理液の液面上に形成された有機溶剤の液膜は、各基板の下端より低い位置まで下降できる。これにより、各基板全体を確実に有機溶剤と接触させることができる。そのため、各基板に付着した処理液を有機溶剤に、確実に置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における基板処理装置の構成の一例を示す側面図である。
【図4】図2のVI−VI線から見た処理部および排気部付近の正面断面図である。
【図5】保持部の構成の一例を示す側面図である。
【図6】保持部の構成の一例を示す側面図である。
【図7】図2のVII−VII線から見たキャリアの側断面図である。
【図8】乾燥部の構成の一例を示す斜視図である。
【図9】乾燥部の構成の一例を示す正面図である。
【図10】有機溶剤による置換処理を説明するための正面図である。
【図11】有機溶剤による置換処理を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<1.基板処理装置の構成>
図1から図3は、それぞれ本発明の実施の形態における基板処理装置1の構成の一例を示す正面図および平面図である。図4は、図2のVI−VI線から見た処理部40および排気部60付近の正面断面図である。基板処理装置1は、いわゆるバッチ式の装置であり、複数の基板に一括して処理を施す。
【0021】
図1から図3に示すように、基板処理装置1は、主として、ファンフィルタユニット5、6と、搬送ロボット10と、ローダ・アンローダ部30と、処理部40と、排気部60と、を備える。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が、付されている。
【0022】
ファンフィルタユニット5、6は、基板処理装置1が配置されているクリーンルーム内の空気を搬送空間8に取り込むとともに、この取り込まれた空気からパーティクルを除去する。また、ファンフィルタユニット5、6は、搬送空間8内にパーティクルが除去された清浄空気のダウンフローを形成する。
【0023】
図1に示すように、ファンフィルタユニット5、6は、それぞれ、ローダ・アンローダ部30および乾燥部70の上方、および処理部40および排気部60の上方に、設けられている。
【0024】
搬送ロボット10は、図1から図4に示すように、単一の搬送ユニットとして構成されている。図2に示すように、搬送ロボット10は、基板処理装置1のハウジング1aにより形成される搬送空間8の中心付近に配置されている。そして、搬送ロボット10は、搬送空間8内に配置されたローダ・アンローダ部30、処理部40、および乾燥部70のそれぞれとの間で、キャリアCに格納された複数の基板を受け渡す。なお、搬送ロボット10の詳細な構成については、後述する。
【0025】
ローダ・アンローダ部30は、図2に示すように、搬送ロボット10の本体部12を挟んで、処理部40と逆側に設けられている。また、ローダ・アンローダ部30の載置台32には、複数(本実施の形態では、2つ)のキャリアCが、載置可能とされている。
【0026】
例えば、載置台32には、処理されていない複数の基板が格納されており、基板処理装置1外から搬入されたキャリアCが、載置される。また、処理部40および乾燥部70で処理された複数の基板が格納されており、基板処理装置1外に搬出されるキャリアCが、載置される。すなわち、ローダ・アンローダ部30は、未処理基板および処理済み基板を収容する。
【0027】
処理部40は、図2に示すように、複数の処理槽41a〜41c、42a〜42cと、蓋部43(43a〜43c)と、を有している。各処理槽41a〜41c、42a〜42cは、搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板の搬送空間8に配置されている。
【0028】
また、各処理槽41a〜41c、42a〜42cには、薬液または純水(以下、これらを総称して「処理液」とも呼ぶ)が貯留可能とされている。そして、処理液に複数の基板が浸漬されることによって、複数の基板に対して一括して処理が実行される。
【0029】
ここで、本実施の形態において、処理槽41a〜41cを総称して「処理槽41」と、処理槽42a〜42cを総称して「処理槽42」と、それぞれ呼ぶ。また、蓋部43a〜43cを総称して「蓋部43」と呼ぶ。
【0030】
さらに、本実施の形態において、各処理槽41、42は、図2および図4に示すように、処理チャンバ40a内に格子状(すなわち、X軸方向に沿って2個、Y軸方向に沿って3個)に配置されている。そして、格子状に配置された各処理槽41、42のうち、搬送ロボット10と近接する第1列に配置された処理槽41は、処理液として、薬液が付着した各基板を洗浄する洗浄液(例えば、純水等)を貯留する。
【0031】
一方、格子状に配置された各処理槽41、42のうち、搬送ロボット10から見て処理槽41より遠方側(すなわち、搬送ロボット10から見て第1列より遠方の第2列)に配置された処理槽42は、処理液として薬液(例えば、HFやNH4OH等)を貯留する。
【0032】
まず、処理部40について、図2に示すように、処理部40は、主として、複数の処理槽41、42と、蓋部43(43a〜43c)と、を有している。各処理槽41、42は、搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板の搬送空間8に配置されている。なお、以下では、蓋部43a〜43cを総称して「蓋部43」と呼ぶ。
【0033】
処理チャンバ40aの上部には、図2および図4に示すように、開口44(44a〜44c)、45(45a〜45c)が形成されている。搬送ロボット10は、開口44aを介して処理槽41aに、開口44b(図示省略)を介して処理槽41bに、開口44cを介して処理槽41cに、キャリアCを供給する。
【0034】
また同様に、搬送ロボット10は、開口45aを介して処理槽42aに、開口45b(図示省略)を介して処理槽42bに、開口45cを介して処理槽42cに、キャリアCを供給する。
【0035】
蓋部43は、対応する処理槽42の上方に形成された開口45を閉鎖可能とされている。これにより、処理槽42に貯留された薬液に起因し、開口45を介して処理チャンバ40aから搬送空間8に薬液雰囲気が流出することを未然に防止できる。
【0036】
排気部60は、図2に示すように、主として、複数の分岐ダクト61(61a〜61f)と、共通ダクト62と、を有している。排気部60は、処理槽41(41a〜41c)、42(42a〜42c)付近の雰囲気(例えば、薬液雰囲気、および昇温された薬液に起因する熱雰囲気)を、基板処理装置1外に排出する。
【0037】
乾燥部70は、処理部40で処理された複数の基板を、一括して乾燥させる乾燥ユニットである。図2に示すように、乾燥部70は、搬送ロボット10の本体部12を挟んで処理部40と逆側に設けられるとともに、ローダ・アンローダ部30に隣接して配置されている。なお、乾燥部70の詳細な構成については、後述する。
【0038】
制御部90は、基板処理装置1の各要素の動作を制御するとともに、種々のデータ演算を実現する。図1に示すように、制御部90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93と、を有している。なお、図2では、図示の都合上、制御部90が省略されている。
【0039】
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納される。
【0040】
CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、搬送ロボット10によるキャリアCの搬送動作、吐出ノズル87による高温ガスまたはIPA蒸気の吐出動作、および乾燥部70の各バルブ71b、72b(図9参照)により処理液の排出状況を切り換える動作等の制御)が、実行される。
【0041】
<2.キャリアおよび搬送ロボットの構成>
図5および図6は、保持部20の構成の一例を示す側面図である。図7は、図2のVII−VII線から見たキャリアCの側断面図であり、キャリアCに格納された複数の基板Wの格納状態を示す。ここでは、キャリアCおよび搬送ロボット10の構成について説明する。
【0042】
キャリアCは、図3、図4、および図7に示すように、複数の基板Wを起立姿勢で格納可能する。図5から図7に示すように、キャリアCは、複数の基板を支持する一対の支持部Sを有している。
【0043】
一対の支持部Sは、図5および図6に示すように、各基板Wの外縁部Pを、左右から(Y軸プラス方向およびY軸マイナス方向から)挟み込むことによって、各基板Wを起立姿勢で支持する。図7に示すように、各支持部S(図7では図示の都合上、一方の支持部Sのみ記載)には、複数の溝Gが設けられている。
【0044】
複数の溝Gは、図7に示すように、支持部Sの延伸方向(矢印AR2方向)に沿って、支持部Sに等間隔に形成されている。また、図7に示すように、各溝Gは、各基板Wに対応して設けられている。そのため、各基板Wの外縁部Pが対応する溝Gに嵌め込まれることによって、各基板Wは、キャリアCに起立姿勢で格納される。このように、複数の溝Gは、各基板Wの配列方向(矢印AR2方向:図7参照)に沿って、キャリアCに設けられている。
【0045】
搬送ロボット10は、キャリアCに格納された複数の基板を、処理部40の各処理槽41、42に一括搬送する。また、搬送ロボット10は、ローダ・アンローダ部30、複数の処理槽41、42、および乾燥部70のそれぞれの間で、複数の基板を受け渡す。
【0046】
これにより、搬送ロボット10は、各処理槽41、42に対応して貯留された処理液に、複数の基板を浸漬する。また、薬液、洗浄、および乾燥処理、未処理基板をローダ・アンローダ部30から受け取ること、並びに処理済み基板をローダ・アンローダ部30に受け渡すこと、が、1台(単一)の搬送ロボット10により実現される。
【0047】
ここで、本実施の形態の搬送ロボット10としては、例えば、垂直多関節ロボットが採用できる。図2、図3、および図4に示すように、搬送ロボット10は、主として、本体部12と、アーム部13と、回転軸14と、保持部20と、を有している。
【0048】
本体部12は、ハウジング1a内に設けられた搬送ロボット10の基部である。アーム部13は、複数のリンク(図示省略)と、複数のジョイント(図示省略)と、を有している。例えば、アーム部13は、図2に示すように、軸心13aを中心に回転するジョイントを有している。これにより、アーム部13は、屈伸するとともに、本体部12に対して回動する。
【0049】
そのため、各リンクが対応するジョイントを中心に回転することによって、アーム部13は、本体部12から離隔して配置された各処理槽41、42に向かって伸びる。また、アーム部13の先端付近に設けられた保持部20は、アーム部13により昇降させられる。
【0050】
回転軸14は、アーム部13に対して保持部20を回転させる。図4に示すように、回転軸14は、アーム部13の延伸方向(矢印AR1方向)における端部のうち、本体部12と逆側の端部に設けられている。
【0051】
保持部20は、図2および図3に示すように、アーム部13の先端付近に設けられており、複数の基板Wを保持する。図5および図6に示すように、保持部20は、主として、一対のハンド21(21a、21b)と、揺動部22(22a、22b)と、取付部25と、格納部27と、を有している。
【0052】
一対のハンド21(21a、21b)は、キャリアCの両側から挟み込むことによって、キャリアCの鍔部Fを把持する把持部である。図5および図6に示すように、一対のハンド21(21a、21b)の上端は、対応する揺動部22(22a、22b)に固定されている。
【0053】
揺動部22(22a、22b)は、取付部25に対して揺動する。図6に示すように、軸心23(23a、23b)は、取付部25に設けられている。また、軸心23(23a、23b)は、対応する揺動部22に連動連結されている。これにより、軸心23(23a、23b)が回転させられると、対応するハンド21(21a、21b)が揺動し、キャリアCの固定動作および固定解除動作が実現される。
【0054】
格納部27は、図4に示すように、取付部25と隣接して設けられており、軸心23(23a、23b)に回転力を付与する駆動部27aを格納する。駆動部27aとしては、例えば、ロータリーアクチュエータが用いられても良い。また、図4に示すように、格納部27は、回転軸14と連動連結されている。これにより、格納部27は、回転軸14を軸心として回動させられる。
【0055】
ここで、図4に示すように、複数の基板Wが格納されたキャリアCは、アーム部13の延伸方向から見て本体部12と逆側に突出する位置で、把持される。また、キャリアCは、一対のハンド21(21a、21b)により把持された状態で、搬送され、処理槽41、42に貯留された処理液に浸漬される。
【0056】
この場合において、アーム部13が動作させられるとによって、保持部20が下降させられ、キャリアCが処理槽42の薬液に貯留されると、搬送ロボット10のアーム部13は、処理槽42の直上でなく、洗浄水が貯留された処理槽41の直上に位置される。すなわち、アーム部13は、処理槽42の直上から離隔して配置される。
【0057】
そのため、処理槽42に貯留された薬液に複数の基板Wが浸漬される場合であっても、搬送ロボット10のアーム部13が、処理槽42の薬液に起因して汚染されることを抑制できる。
【0058】
また、上述のように、キャリアCが処理槽41、42に貯留された処理液に浸漬されることによって、複数の基板Wに対して処理が実行される。そのため、保持部20に把持されるキャリアCを交換するだけで、さまざまな種類の(例えば、直径の異なった)基板に対して処理を実行することができる。
【0059】
また、各処理槽41、42は、図2に示すように、格子状に配置されている。これにより、各処理槽41、42が一列に配置される場合と比較して、各処理槽41、42を搬送空間8に効率的に配置することができる。そのため、基板処理装置1のフットプリント(基板処理装置1が平面的に占有する面積)が増大することを抑制できる。
【0060】
<3.乾燥部の構成>
図8および図9は、それぞれ乾燥部70の構成の一例を示す斜視図および正面図である。図8および図9に示すように、乾燥部70は、主として、乾燥チャンバ71と、貯留槽72と、排出管71a、72aと、バルブ71b、72bと、吐出ノズル87(87a、87b)と、を備えている。
【0061】
乾燥チャンバ71は、乾燥処理が実行される処理室である。貯留槽72は、乾燥チャンバ71内に配置されており、処理液を貯留する。図9に示すように、貯留槽72は、固定部材73を介して乾燥チャンバ71内に固定されている。
【0062】
また、乾燥チャンバ71の上部には、図3および図8に示すように、開口70aが形成されている。さらに、乾燥チャンバ71の上部には、開口70aを閉鎖可能とする蓋部(図示省略)が、設けられている。そして、搬送ロボット10は、開口70aを介して貯留槽72に、キャリアCを供給する。
【0063】
排出管72aは、貯留槽72に貯留された処理液を貯留槽72外に排出する。図9に示すように、排出管72aの一端は、貯留槽72の底部と連通接続されており、他端は、乾燥チャンバ71内に配置されている。また、図9に示すように、排出管72aには、バルブ72bが設けられている。
【0064】
排出管71aは、貯留槽72の上部から溢れ出たり、貯留槽72の排出管71aから排出されること等によって乾燥チャンバ71の底部に溜まった処理液を、乾燥チャンバ71外に排出する。図9に示すように、排出管71aの一端は、排出管71aの底部と、他端は、基板処理装置1外の排液ドレイン74と、それぞれ連通接続されている。そして、図9に示すように、排出管71aには、バルブ71bが設けられている。そのため、制御部90からの制御信号に従い、バルブ71b、72bが開放されると、貯留槽72に貯留された処理液は、乾燥チャンバ71を介して排液ドレイン74に排出される。
【0065】
このように、排出管71a、72aは、貯留槽72から基板処理装置1の外部に処理液を排出する排出部として用いられる。また、バルブ71b、72bは、開放動作によって貯留槽72に貯留された処理液を基板処理装置1の外部に排出させる。すなわち、バルブ71b、72bは、純水の排出状況を切り換える切換部として用いられる。
【0066】
揺動部75は、搬送ロボット10から受け渡されたキャリアCを揺動させる。図8および図9に示すように、揺動部75は、主として、載置台76と、垂直板77と、垂下部78と、回転駆動部79と、を有している。
【0067】
載置台76は、貯留槽72の底部に沿って延びる水平板である。図9に示すように、貯留槽72内に供給されたキャリアCは、載置台76に載置される。垂直板77は、貯留槽72の内壁面に沿って延びる板体である。図8および図9に示すように、垂直板77の下端は載置台76の上部と接続されており、載置台76および垂直板77は、略垂直に交差する。
【0068】
垂下部78は、図9に示すように、正面断面視において略L字状となるように形成された板体である。図8および図9に示すように、垂下部78は、垂直板77の上端と接続されるとともに、貯留槽72の外壁に沿って下方に延びる。
【0069】
回転軸78aは、乾燥チャンバ71に対して回転自在とされている。図9に示すように、回転軸78aは略X軸方向に沿って延びており、回転軸78aの一端は垂下部78に取り付けられ、他端は乾燥チャンバ71外に到達している。
【0070】
回転駆動部79は、例えばモータにより構成されている。図9に示すように、回転駆動部79は、乾燥チャンバ71外に配置されており、回転軸78aと連動連結されている。したがって、正方向または負方向の回転力が回転駆動部79から回転軸78aに付与されると、載置台76に載置されたキャリアCは、回転軸78を中心に揺動する。
【0071】
ここで、図7に示すように、各溝Gの幅Gw(すなわち、Y軸方向に沿った溝Gのサイズの最小値)は、対応して嵌め込まれる基板Wの厚さWthよりも大きくなるように設定されている。また、揺動部75は、各基板Wが対応する溝Gに嵌め込まれた状態で、キャリアCを揺動させる。
【0072】
これにより、揺動部75は、各溝Gを支点として、各基板Wの上端を各基板Wの配列方向(矢印AR2方向)に沿って移動させる。そのため、図7に示すように、回転軸78aが矢印R12方向(時計回り方向)に回転させられると、各基板Wの第1主面W1は、対応する溝Gの第1溝面G1から離隔する。一方、回転軸78aが矢印R12方向(反時計回り方向)に回転させられると、各基板Wの第2主面W2は、対応する溝Gの第2溝面G2から離隔する。
【0073】
吐出ノズル82は、処理液として純水を貯留槽72内に吐出する。図9に示すように、吐出ノズル82は、供給管81aを介して純水供給源81と連通接続されている。また、図9に示すように、供給管81aには、バルブ81bが設けられている。したがって、制御部90からの制御信号に従い、バルブ81bが開放状態されることによって、貯留槽72に純水が供給される。
【0074】
吐出ノズル87(87a、87b)は、各基板Wの配列方向(矢印AR2方向)に沿って延びる一対の円筒体であり、乾燥チャンバ71内に流体(例えば、有機溶剤および高温ガス等)を吐出する。図8および図9に示すように、吐出ノズル87(87a、87b)は、乾燥チャンバ71内であって、貯留槽72の上方に配置されている。
【0075】
図9に示すように、各吐出ノズル87a、87bは、ブラケット89により乾燥チャンバ71の内壁に固定されている。さらに、図8に示すように、吐出ノズル87の外周面には、各基板Wの配列方向に沿って複数の吐出口88が設けられている。
【0076】
また、吐出ノズル87aは分岐管86a、共通管86、および供給管84aを介して、吐出ノズル87bは分岐管86b、共通管86、および供給管84aを介して、それぞれIPAガス供給源84と連通接続されている。
【0077】
さらに、吐出ノズル87aは分岐管86a、共通管86、および供給管85aを介して、吐出ノズル87bは分岐管86b、共通管86、および供給管85aを介して、それぞれガス供給源85と連通接続されている。
【0078】
そして、図9に示すように、IPAガス供給源84と共通管86とを連通接続させる供給管84aには、バルブ84bが、設けられている。また、図9に示すように、ガス供給源85と共通管86とを連通接続させる供給管85aには、バルブ85bが、設けられている。また、共通管86には、流通する流体を加熱するヒータ86cが設けられている。
【0079】
したがって、制御部90からの制御信号に従い、バルブ84bが開放状態とされ、バルブ85bが閉鎖状態とされることによって、乾燥チャンバ71内にIPAの蒸気が供給される。これにより、吐出ノズル87(87a、87b)は、斜め下方(図9中の破線で記載された矢印の方向)にIPAの蒸気を吐出する。そのため、貯留槽72に純水80aが貯留されている場合、IPAの蒸気が純水80aの液面80bに向けて吐出される。
【0080】
一方、制御部90からの制御信号に従い、バルブ85bが開放状態とされ、バルブ84bが閉鎖状態とされるとともに、ヒータ86cにより共通管86内を流通するガスが加熱されることによって、乾燥チャンバ71内に高温ガスが供給される。これにより、吐出ノズル87(87a、87b)は、IPAガスと同様に、高温ガスを斜め下方(図9中の破線で記載された矢印の方向)に吐出する。そのため、貯留槽72から純水80aが排出されている場合、高温ガスが、キャリアCに格納された各基板Wに向けて吐出される。
【0081】
ここで、揺動部75に載置されたキャリアC、および吐出ノズル87(87a、87b)を、乾燥部70の上方から見た(すなわち、平面視した)場合、キャリアCは、図9に示すように、吐出ノズル87(87a、87b)の間に挟まれる。したがって、各基板Wの外縁部Pは、一方で吐出ノズル87aと、他方で吐出ノズル87bと、それぞれ対向する。
【0082】
また、吐出ノズル87(87a、87b)から吐出される有機溶剤としては、純水より表面張力が小さく、かつ、蒸発潜熱の小さいものが採用できる。そして、本実施の形態では、IPAが、有機溶剤として用いられている。
【0083】
さらに、吐出ノズル87(87a、87b)から吐出される高温ガスとしては、基板Wと化学反応を起こしにくい気体(例えば、ヘリウムおよびアルゴンのような希ガス)、または化学反応性の低いガス(例えば、窒素ガス)を、100℃から200℃の範囲に昇温させたものが、用いられる。この場合、昇温前のガスは、ガス供給源85から供給される。
【0084】
<4.乾燥部で実行される乾燥処理>
図10および図11のそれぞれは、IPAによる純水の置換処理を説明するための正面図である。ここでは、図9から図11を参照しつつ、乾燥部70で実行される乾燥処理を説明する。なお、本乾燥処理の開始に先立って、すべてのバルブ71b、72b、81b、84b、85bは、閉鎖されている。
【0085】
本乾燥処理では、まず、バルブ71b、72b、84b、85bが閉鎖された状態で、バルブ81bが開放されることによって、貯留槽72に純水80aが貯留される。次に、処理部40にて薬液処理または洗浄処理された複数の基板Wが、キャリアCに格納されたまま乾燥チャンバ71内に搬入され、貯留槽72に貯留された純水80aに浸漬される(図9参照)。
【0086】
ここで、貯留槽72に純水80aが供給される時に、および/または、貯留槽72に貯留された純水80aに複数の基板Wが浸漬される時に、貯留槽72の上部から溢れ出た純水80aは、乾燥チャンバ71の底部に溜まる。
【0087】
続いて、貯留槽72に複数の基板Wが浸漬されると、バルブ81bが閉鎖され、バルブ84bが開放される。これにより、吐出ノズル87(87a、87b)から乾燥チャンバ71内にIPAの蒸気が供給され、複数の基板Wが浸漬された純水80aの液面80bには、IPAの蒸気が吐出される。そのため、液面80b上には、IPAの液膜80cが形成される(図10参照)。
【0088】
続いて、貯留槽72の純水80aに複数の基板Wが浸漬され、かつ、液面80b上に液膜80cが形成された状態で、バルブ71b、72bが開放されると、貯留槽72から純水80aが排出される(図11参照)。これにより、液面80bの下降にしたがって、IPAの液膜80cが、下降させられる。そして、各基板Wの基板面とIPAの液膜とが接触することによって、各基板Wに付着した純水が、IPAに置換される。
【0089】
ここで、本実施の形態では、IPAの液膜80cが形成された状態で、純水80aが貯留槽72から排出されている時にも、制御部90は、バルブ84bを開放状態、バルブ81b、85bを閉鎖状態とし、乾燥チャンバ71内にIPAを吐出しさせ続けている。
【0090】
これにより、各基板Wに付着した純水がIPAに置換されることによって、IPAの液膜80cの厚さが減少する場合であっても、この液膜80cにIPAを補充することができる。そのため、各基板Wにおいて、純水を有機溶剤に置換する処理が、確実に実行できる。
【0091】
続いて、各基板Wに付着した純水がIPAに置換されると、バルブ71b、72bが開放された状態、およびバルブ81bが閉鎖された状態で、バルブ84bが閉鎖され、バルブ85bが開放される。
【0092】
これにより、高温ガスが、吐出ノズル87(87a、87b)から置換後のIPAが付着する各基板Wに向けて吐出され、置換後のIPAが乾燥させられる。すなわち、上述の置換処理によって、高温ガスが供給される各基板Wからは、純水が除去されている。
【0093】
そのため、高温ガスにより各基板Wが乾燥させられる場合であっても、ウォーターマークのような乾燥不良が発生することを防止しつつ、各基板Wを速やかに乾燥させることができる。なお、ウォーターマークとは、基板表面に付着した水分が基板の素材であるシリコンおよび空気中の酸素と反応して生じる乾燥シミであり、基板表面に水分が付着している時間が長いほど発生しやすい。
【0094】
ここで、乾燥チャンバ71内に配置された複数の基板Wを乾燥させる手法として、減圧乾燥が知られている。減圧乾燥では、乾燥チャンバ71内が排気されて減圧雰囲気とされる。そのため、減圧乾燥に用いられる乾燥チャンバ71には、高い気密性が要求され、その結果、乾燥部70の製造コストが増大するという問題が生ずる。
【0095】
これに対して、本実施の形態の乾燥処理では、乾燥チャンバ71内を減圧する必要がない。そのため、乾燥部70の製造コストを増大させることなく、各基板Wに付着する置換後のIPAを乾燥させることができる。
【0096】
また、高温ガスが吐出されている期間、回転駆動部79は、揺動部75の回転軸78aに対して、矢印R11(反時計回り)方向、または矢印R12(時計回り)方向の回転力を付与し、揺動部75に載置されたキャリアCを間欠的に揺動させる。
【0097】
ここで、回転駆動部79が停止している停止時間をT1(s)、回転駆動部79から回転軸78aに回転力が付与されている回転時間をT2(s)、とそれぞれする場合、揺動部75の揺動周期T3は、数1のように表される。揺動部75は、数1を満たすように、載置されたキャリアCを間欠的に揺動させる。
【0098】
T3=T1+T2 ・・・ 数1
これにより、揺動部75は、各溝Gを支点として各基板Wの上端を配列方向(矢印AR2方向:図7参照)、または配列方向と逆方向に沿って交互に移動させることができる。そして、揺動部75は、第1主面W1および第1溝面G1を離隔させることと、第2主面W2および第2溝面G2を離隔させることを、交互に実行させることができる。
【0099】
そのため、第1主面W1および第1溝面G1の間隙、または第2主面W2および第2溝面G2の間隙に入り込んだ置換後のIPAに対して効率的に高温ガスを供給でき、間隙のIPAを確実に乾燥させることができる。なお、揺動周期T3としては、30〜120(s)が、回転時間T1としては、1〜3(s)が、それぞれ好適である。
【0100】
そして、バルブ85bが閉鎖され、吐出ノズル87(87a、87b)から高温ガスの吐出が停止されるとともに、搬送ロボット10によりキャリアCが乾燥部70外に搬出されることによって、乾燥処理が終了する。
【0101】
<5.本実施の形態における基板処理装置の利点>
以上のように、本実施の形態における基板処理装置1の乾燥部70(乾燥ユニット)は、複数の基板Wが処理液に浸漬された状態で、純水80aの液面80b上にIPAの液膜80cを形成できる(図10参照)。そして、純水80aが貯留槽72から排出されることによって、複数の基板Wが貯留槽72内に配置された状態で、純水80aの液面80bおよびIPAの液膜80cが、下降する(図11参照)。
【0102】
このように、本実施の形態における基板処理装置1の乾燥部70は、複数の基板Wを移動(例えば、昇降)させることなく、各基板Wに対してIPAの液面80bを下降させることができ、各基板Wに付着した純水をIPAに置換することができる。そのため、制御部90の計算コストを増大させることなく、ウォーターマークのような乾燥不良の発生を容易に防止することができる。
【0103】
また、本実施の形態における基板処理装置1において、単一の搬送ロボット10は、本体部12およびアーム部13を有しており、各処理槽41、42は、この搬送ロボット10の可動範囲内となるように、複数の基板Wの搬送空間8に配置されている。これにより、搬送ロボット10は、複数の基板Wを、各処理槽41、42の配置によらず、任意の順番で、各処理槽41、42に対応して貯留された処理液に、浸漬することができる。そのため、各処理液によるバッチ式の基板処理が、任意の順番で実行できる。
【0104】
さらに、本実施の形態において、複数の基板Wは、搬送ロボット10によって、複数の処理槽41、42、およびローダ・アンローダ部30のそれぞれの間で、受け渡される。すなわち、複数の処理槽41、42と、ローダ・アンローダ部30と、の間で複数の基板Wを受け渡すため、基板処理装置1内に別の搬送ロボットを設ける必要がない。そのため、基板処理装置1のフットプリントが増大することを抑制できる。
【0105】
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0106】
(1)本実施の形態において、IPAおよび高温ガスは、共通の吐出ノズル87(87a、87b)から吐出されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。IPAおよび高温ガスは、それぞれ対応する別個の吐出ノズルから吐出されても良い。
【0107】
そして、このような別個の吐出ノズルからIPAおよび高温ガスが吐出される場合、IPAおよび高温ガスは、並行して吐出されても良いし、本実施の形態ようにIPA吐出後に高温ガスが吐出されても良い。
【0108】
(2)また、本実施の形態において、排出管72aおよびバルブ72bは、乾燥チャンバ71内に配置されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、排出管72aは、乾燥チャンバ71の下部を貫通して設けられるとともに、貯留槽72内と排液ドレイン74とを連通接続しても良い。また、バルブ72bは、乾燥チャンバ71外に設けられても良い。
【0109】
(3)また、本実施の形態において、排出管72aは、貯留槽72の底部と連通接続されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。少なくとも、排出管72aは、貯留槽72に浸漬された各基板Wの下端より低い位置で、貯留槽72と連通接続されていれば良い。
【0110】
この場合、貯留槽72から純水80aが排出されると、純水80a上に形成された液膜80cは、各基板Wの下端より低い位置まで下降できる。これにより、各基板Wの全体を確実に有機溶剤と接触させることができる。そのため、各基板に付着した処理液を有機溶剤に、確実に置換することができる。
【0111】
(4)また、本実施の形態において、載置台76、垂直板77、および垂下部78は、一体的に構成されているものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、別体とされた載置台76、垂直板77、および垂下部78が、接着または接合等の結合処理によって1つの構造物とされても良い。
【0112】
(5)また、本実施の形態において、吐出ノズル87(87a、87b)から吐出される有機溶剤は、IPAの蒸気であるとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、ミスト状(霧状)のIPAが、吐出ノズル87(87a、87b)から吐出されても良い。さらに、ミスト状のIPAおよびIPAの蒸気を混合させたものが、吐出ノズル87(87a、87b)から吐出されても良い。さらに、他の有機溶剤としては、例えば、フッ素系溶剤のハイドロフルオロエーテルが、用いられても良い。
【0113】
(6)また、本実施の形態において、IPAの吐出は、液面80b上にIPAの液膜80c(図10および図11参照)が形成された後にも実行されるものとして説明したが、IPAの吐出タイミングはこれに限定されない。例えば、液面80b上に十分な厚さ(すなわち、十分な容積)の液膜80cが形成されている場合、(イ)純水80aの排出が開始される前に、IPAの吐出が停止されても良い。また、(ロ)純水80aの排出が完了する前の時点で、IPAの吐出が停止されても良い。これら(イ)および(ロ)の場合であっても、純水をIPAに置換する処理が、確実に実行される。
【0114】
(7)さらに、本実施の形態において、ローダ・アンローダ部30は、ローダ機能と、アンローダ機能と、を有するもとして説明したが、これに限定されるものでない。基板処理装置1は、ローダ・アンローダ部30でなく、ローダ機能を有するローダ部と、アンローダ機能を有するアンローダ部と、を備えており、複数の基板は、これらローダ部およびアンローダ部と、搬送ロボット10との間で、受け渡しされてもよい。この場合も、基板処理装置1内に別の搬送ロボットを設ける必要がなく、基板処理装置1のフットプリントが増大することを抑制できる。
【符号の説明】
【0115】
1 基板処理装置
10 搬送ロボット
30 ローダ・アンローダ部
40 処理部
60 排気部
70 乾燥部
71 乾燥チャンバ
71a、72a 排出管(排出部)
71b、72b バルブ(切換部)
72 貯留槽
75 揺動部
80a 純水
80b 液面
80c 液膜
81 純水供給源
82 吐出ノズル
84 IPAガス供給源
85 ガス供給源
86c ヒータ
87(87a、87b) 吐出ノズル
88 吐出口
90 制御部
C キャリア
G 溝
G1 第1溝面
G2 第2溝面
Gw 幅G
P 外縁部
W 基板
W1 第1主面
W2 第2主面
Wth 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を一括して乾燥する乾燥ユニットであって、
(a) 乾燥チャンバ内に配置されており、処理液を貯留する貯留槽と、
(b) 前記乾燥チャンバ内に配置されており、前記貯留槽に貯留された前記処理液の液面に向けて、有機溶剤を吐出する吐出部と、
(c) 前記貯留槽から外部に処理液を排出する排出部と、
(d) 前記排出部に設けられており、前記処理液の排出状況を切り換える切換部と、
(e) 前記吐出部の吐出動作および前記切換部の切換動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(i) 前記吐出部から、前記複数の基板が浸漬された前記処理液の前記液面に、前記有機溶剤を吐出させることによって、前記液面上に前記有機溶剤の液膜を形成させるとともに、
(ii) 前記処理液に前記複数の基板が浸漬され、かつ、前記液面上に前記液膜が形成された状態で、前記貯留槽から前記処理液を排出させることによって、前記液膜を下降させ、前記複数の基板のそれぞれに付着した前記処理液を前記有機溶剤に置換することを特徴とする乾燥ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記制御部は、前記有機溶剤の前記液膜が形成された状態で、前記処理液が前記貯留槽から排出されている時に、前記吐出部から前記有機溶剤を吐出させ続けることを特徴とする乾燥ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記吐出部は、前記複数の基板のそれぞれに向けて高温ガスをさらに吐出可能とされており、
前記制御部は、
(iii) 前記吐出部から、置換後の前記有機溶剤が付着する前記複数の基板に、前記高温ガスを吐出させることを特徴とする乾燥ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記複数の基板は、キャリアに格納されており、
複数の溝は、各基板に対応しつつ、前記キャリアに設けられており、
各基板の外縁部が対応する溝に嵌め込まれることによって、各基板は、キャリアに起立姿勢で格納されるとともに、
(f) 各基板が対応する溝に嵌め込まれた状態で、前記キャリアを揺動させる揺動部、
をさらに備え、
各溝の幅は、対応して嵌め込まれる基板の厚さより大きく、
前記揺動部は、各溝を支点として、各基板の上端を各基板の配列方向に沿って移動させることによって、各基板の第1主面と、対応する溝の第1溝面と、を離隔させることを特徴とする乾燥ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の乾燥ユニットにおいて、
前記排出部は、前記貯留槽に浸漬された各基板の下端より低い位置で、前記貯留槽と連通接続されていることを特徴とする乾燥ユニット。
【請求項6】
(a) 請求項1から請求項5のいずれかに記載の乾燥ユニットと、
(b) 複数の処理槽と、
(c) 前記複数の処理槽および前記乾燥ユニットのいずれかに、前記複数の基板を一括搬送する搬送ロボットと、
を備えることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−199371(P2012−199371A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62238(P2011−62238)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000134028)株式会社テックインテック (9)
【Fターム(参考)】