説明

交通情報を受信する方法及び端末機並びに交通情報の提供方法

【課題】交通情報を受信する方法及び端末機並びに該交通情報提供方法において、不必要な情報を排除し必要な情報のみをデコーディングして使用者に提供し、不必要な情報のデコーディングによる電力浪費を抑える。
【解決手段】領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信し、該交通情報から各領域情報を読み出す段階と、各領域情報に対応する領域と所定の領域とに重複する部分があるかを判断する段階と、受信した交通情報のうち、所定の領域と重複する部分を有する領域の交通情報をデコーディングする段階と、を含む交通情報受信方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報を受信する方法及び端末機並びに該交通情報の提供方法に係り、より詳細には、交通情報をエンコーディングして提供する方法及びこれを受信してデコーディングする方法並びに端末機に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル信号処理及び通信技術の発展と融合に伴い、ラジオ及びTV放送はアナログ放送からデジタル放送へ発展してきており、さらには、このようなデジタル放送によって日常生活や放送と関連した情報を放送するデータ放送も発展してきている。
【0003】
特に、自動車の普遍化による都心内の車両増加と週5日制による週末の郊外の車両増加から、道路交通情報に対する要求が増大しつつある。このような要求に応じて、ラジオから交通情報を提供する放送が行われているが、その放送時間は限定されているため、リアルタイムで変化する交通状態に対応する交通情報を使用者に提供することは難しい。
【0004】
このような問題を解決するためにリアルタイムで交通情報が提供されてはいるものの、交通情報を提供する事業者が多いし、メーカーや機能の相異なる様々な端末機がデジタル放送チャネルを通して受信した交通情報を検出するとともに同一に解析して使用者に提供しなければならないため、情報提供者と情報利用者間において同一に信号を受信して解析できる統一した規格が必要になった。
【0005】
一方、かかる交通情報を受信してデコーディングするには一定時間と電力が消費されるにもかかわらず、受信した全ての交通情報をデコーディングしなければならず、余分な電力消費を招くという問題があった。
【0006】
なお、交通情報を受信して利用する使用者の立場では、必要な情報のみを受け取りたいという需要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題点を解決するためのもので、その目的は、交通情報を受信したときに必要な情報のみをデコーディングできるように、領域を特定する領域情報を含む交通情報を提供する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、使用者が必要とする情報のみをデコーディングできるように領域情報を含む交通情報を受信する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信し、該交通情報から各領域情報を読み出す段階と、各領域情報に対応する領域と所定の領域とに重複する部分があるかを判断する段階と、前記交通情報のうち、前記所定の領域と重複する部分を有する領域の交通情報をデコーディングする段階と、を含む交通情報受信方法を提供する。
【0010】
本発明において、前記領域情報は、前記交通情報のサービスコンポーネントに含まれることを特徴とする。
また、本発明において、所定の領域とは、前記交通情報を受信する端末機の現在位置を含んだ領域、または、経路探索のために受信した経路の開始点から終着点を含んだ領域であることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明において、前記サービスコンポーネントには、渋滞・旅行時間情報(Congestion and Travel Time Information)メッセージが含まれることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、交通情報を受信する放送用モジュールと、前記交通情報をデコーディングするデコーダと、前記放送用モジュールを通して、領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信し、該交通情報から各領域情報を読み出して、各領域情報に対応する領域と所定の領域とに重複する部分があるかを判断し、前記交通情報のうち、前記所定の領域と重複する部分を有する領域の交通情報をデコーディングするように制御する制御部と、を備えることを特徴とする交通情報受信用端末機を提供する。
【0013】
また、本発明は、交通情報メッセージを生成する段階と、少なくとも一つの前記交通情報メッセージを含むサービスコンポーネントを生成する段階と、少なくとも一つの前記サービスコンポーネントを含む転送フレームを生成する段階と、を含んでなり、前記サービスコンポーネントは、領域を表す領域情報を含むことを特徴とする交通情報提供方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不必要な情報は排除し必要な情報だけをデコーディングして使用者に提供できるため、不必要な情報のデコーディングによる電力浪費を抑えることができる。
【0015】
また、本発明によれば、不必要な交通情報のデコーディングに起因するデータ処理速度低下を防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。図面中、同一の構成要素には可能な限り同一の参照符号を付する。
【0017】
本発明による道路検索サービス及び交通情報提供サービスは、様々なデジタル放送規格に適用可能である。
【0018】
デジタル放送規格の代表には、Eureka−147[ETSI EN 300 401]基盤のヨーロッパ式DAB(Digital Audio Broadcasting)サービス、ヨーロッパのDVB−T(Digital Video Broadcasting−Terrestrial)サービス、ヨーロッパのDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)サービス、米国のメディアFLO(Forward Link Only)サービス及び韓国のDMB(Digital Multimedia Broadcasting)サービスがある。
【0019】
韓国のDMBサービスは、Eureka−147基盤のT−DMB(Terrestrial Digital Multimedia Broadcasting)サービスと衛星通信を用いるS−DMB(Satellite Digital Multimedia Broadcasting)サービスとに分類される。
【0020】
なお、本発明による交通情報提供サービスは、Wi−FiやWibro(Wireless Broadband Internet)などのようなインターネットに適用可能である。
【0021】
本発明において「交通情報」とは、交通事故、予期せぬ事故、公共交通状態、渋滞・旅行時間状態、緊急事態、及び/または道路交通状態などに関する情報のことを意味するが、この限りではなく、必要によっては類似する他の意味にもなりうる。説明の便宜上、特定用語「TPEG」(Transport Protocol Expert Group)は、上記の交通情報として使用される。
【0022】
「交通流れ状態」は、例えば、道路の混雑度及び道路上の交通手段(例えば、車)の通行時間などの道路の交通流れ状態を意味するが、この限りではなく、必要によって類似する他の意味にもなりうる。
【0023】
「セクション(section)」または「リンク」は、ジャンクションで始まって終わり、且つ、中間にジャンクションを持たない道路の部分または道路の特定領域を意味するが、この限りではなく、必要によって類似する他の意味にもなりうる。
【0024】
下記において「領域情報(bound information)」とは、以降転送される交通情報メッセージの位置情報で表す位置と関連して一定の領域を定めて提供するための値のことをいう。このような値は最小外接矩形(Minimum Bounding Rectangle:以下、MBRという。)手法によって決定される領域(MBR)の座標値(MBR値)であっても良い。ただし、これに限定されず、領域を区分して表す値であればいずれも使用可能である。例えば、最小外接半径(Minimum Bounding Radius)手法によって決定される領域を用いてもよい。
【0025】
なお、前述の用語に限定されず、同じ機能を意味する他の用語も使用可能である。
【0026】
図1は、交通情報を提供するデジタルマルチメディア放送システムを簡略に示す図である。図1を参照して、交通情報を無線信号として提供する方法について説明すると、下記の通りである。
【0027】
デジタルマルチメディア放送システムは、交通情報関連コンテンツを収集するネットワーク110、収集したコンテンツを提供する交通情報提供サーバー120、放送センター130及び端末機140を備える。放送社の交通情報提供サーバー120は、様々な経路、例えば、運営者入力、ネットワーク110を経由した他のサーバーから収集される各種交通情報を再構成し、これを、各種の端末機、例えば、携帯電話、車両またはPDA(Personal Digital Assistant)、その他携帯端末機に搭載された受信機が受信できるように放送センター130の送信機を通して送出する。これ以外にも、端末機には、ナビゲータ、ノートブックなどのコンピュータなどが含まれることができるが、これに限定されることはない。ここで、交通情報提供サーバー120は、交通情報を送出する経路としてデジタル放送のデータチャネルを用いても良く、有無線インターネット、例えば、Wi−FiやWibro(Wireless Broadband Internet)のような広帯域無線媒体や有線ケーブルを用いるインターネットを用いても良い。特に、デジタルマルチメディア放送(DMB)サービスのデータサービスを利用する場合、デジタル放送媒体のTDC(Transparent Data Channel:透過データチャネル)やMOT(Multimedia Object Transport)プロトコルを使用しても良い。
【0028】
図2は、無線で送受信される交通情報のフレーム構造を示す図である。
【0029】
図2に示すように、転送フレーム(Transport Frame)200にはシンクワード(Sync Word)202、フィールド長(Field Length)204、ヘッダCRC(Header CRC)206、フレーム型(Frame Type)208及びサービスフレーム(Service Frame)210のフィールドが含まれる。
【0030】
シンクワードフィールド202には2バイトが割り当てられ、フィールド値は同期のための言語を表す。フィールド長フィールド204には2バイトが割り当てられ、フィールド値は、サービスフレーム210に割り当てられたバイト数を表す。ヘッダCRCフィールド206には2バイトが割り当てられ、誤り訂正時に用いられる情報が含まれる。フレーム型フィールド208には1バイトが割り当てられ、フィールド値は、サービスフレームのコンテンツがどれかを表す。転送フレーム200は、一つのサービスフレーム210を転送する。この転送フレームはサービスプロバイダによって使用され、様々なアプリケーションを支援する一つのサービスを提供するのに用いられる。各サービスフレーム(Service Frame)210は、サービス情報の他、サービス識別情報及び暗号化情報などを含む。
【0031】
例えば、サービスフレーム210には、「SID−A」212、「SID−B」214、「SID−C」216、暗号化インジケータ(Encryption Indicator)218及びコンポーネントマルチプレクス(Component Multiplex)220のフィールドが含まれる。
【0032】
「SID−A」212、「SID−B」214及び「SID−C」216のフィールドが表す識別情報の組合せは、サービスフレーム210に対応する固有の値を表す。暗号化インジケータフィールド218には1バイトが割り当てられる。もし、暗号化インジケータフィールド値が「00 hex」であれば、コンポーネントマルチプレクス(Component Multiplex)220に含まれたデータが暗号化されていないということを表す。その他の値であれば、暗号化インジケータフィールド218のフィールド値は、後続するコンポーネントマルチプレクス220に含まれたデータに活用できるデータ暗号及び圧縮に対するメカニズムを指示するインジケータとなる。
【0033】
コンポーネントマルチプレクス220は、少なくとも一つのサービスコンポーネントフレーム(Service Component Frame)の集合体で、その形態や順序はサービスプロバイダによって定められる。このマルチプレクスは、暗号化インジケータフィールド218の値が指示する方法によって変形される。もし、前述したように、暗号化インジケータフィールド218の値が「00 hex」であれば変形されずにそのまま維持される。
【0034】
当該マルチプレクスに含まれたサービスコンポーネントフレーム230には、サービスコンポーネント識別子(Service Component Identifier)232、フィールド長(Field Length)234、CRC236及びコンポーネントデータ(Component Data)238のフィールドが含まれる。
【0035】
サービスコンポーネント識別子フィールド232には、1バイトが割り当てられ、「0」値を持つサービスコンポーネント識別情報は、SNIアプリケーション(Service Network Information Application)のために予約されている。フィールド長フィールド234には2バイトが割り当てられ、フィールド値は、コンポーネントデータ238に割り当てられたバイト数を表す。CRCフィールド236には2バイトが割り当てられ、誤り訂正時に用いられる情報が含まれる。コンポーネントデータ238フィールドには、多様な交通情報メッセージが含まれる。交通情報メッセージで伝達する情報は、渋滞・旅行時間情報(Congestion and Travel time Information:以下、CTTという)、公共交通情報(Public Transport Information:以下、PTIという)、道路交通メッセージ(Road Traffic Message:以下、RTMという)、旅行情報、関心地点(Point Of Interest:以下、POIという)、ニュース情報、気象情報などがある。
【0036】
ここで、SNIアプリケーションは、後続するコンポーネントデータに含まれた交通情報メッセージが、渋滞・旅行時間(CTT)、公共交通情報(PTI)、道路交通メッセージ(RTM)、旅行情報、関心地点(POI)、ニュース情報、気象情報などのうちのいずれであるかを識別するのに用いられる。
【0037】
図3は、本発明の実施例によるMBR情報の含まれた交通情報のフレーム構造を示す図である。
【0038】
図3に示すように、サービスコンポーネントフレーム(Service Component Frame)300には、サービスコンポーネント識別子(Service Component Identifier)301、フィールド長(Field Length)303、CRC305及びコンポーネントデータ(Component Data)304のフィールドが含まれる。ここで、本発明では、サービスコンポーネントフレーム300がMBRフィールド302を含むことができる。
【0039】
サービスコンポーネントフレーム300に含まれたコンポーネントデータフィールド304には、少なくとも一つの交通情報メッセージ(TPEG Message)310が含まれる。
【0040】
例えば、交通情報メッセージ310が渋滞・旅行時間情報(CTT)を含む場合、一つの交通情報メッセージ(TPEG Message)にはメッセージを管理するための構成要素の含まれたメッセージ管理コンテナ(Message Management Container)312、渋滞及び旅行時間の情報が含まれたCTTステータスコンテナ(CTT Status Container)314、及び当該ステータス情報に対応する位置情報の含まれた位置コンテナ(TPEG Location Container)316が含まれる。
【0041】
渋滞・旅行時間情報(CTT)は位置従属的であり、位置コンテナ316に含まれた位置に関する情報は、座標系を用いた位置参照方法や事前に定義されたノードリンクIDを用いた位置参照方法によって定義される。韓国では、全国を約65,000個のリンクに区分している。しかし、一つのサービスコンポーネントには最大255個程度のリンク関連情報のみが載せられる。このような一つのサービスコンポーネントに載せられたリンクが構成している領域を表した値を領域値という。リンクだけでなく、座標系を用いた位置やノード名によって指示された位置など位置コンテナ316に載せられた位置情報に対応する領域を表した値を領域値ということもできる。ただし、ここでは、説明の便宜上、リンク同士が構成している領域を表した値で説明するものとする。
【0042】
MBRフィールド302に含まれた領域情報は、上記の領域値を表す。この領域値は、MBR手法を用いて獲得した値(MBR値)である、または、最小外接半径を用いて決定された値でありうる。以下では、説明の便宜上、MBRを用いて決定された領域値で説明するものとする。ただし、これ以外の方法によって決定された領域値にも応用可能であることは自明である。
【0043】
図4は、本発明のMBR構造を例示する図である。
【0044】
図4に示すように、一定領域(MBR)410は、左−最上(Left−Top)頂点412と右−最下(Right−Bottom)頂点414をそれぞれx、y座標で表した値で構成される。すなわち、図4のMBRは、(x1,y1)及び(x2,y2)で構成される。したがって、図3に例示するサービスコンポーネントに含まれたMBRフィールドに載せられた領域値は、(x1,y1)及び(x2,y2)で構成されるMBR値を表す。また、このようなサービスコンポーネント300には当該MBR内に属するリンクに対する交通情報メッセージ、例えば、渋滞・旅行時間情報(CTT)メッセージが含まれる。前述したように、このような交通情報メッセージはコンポーネントデータフィールド304に載せられる。
【0045】
図5は、本発明の実施例による情報抽出のためのMBR構成を例示する図である。以下、図5を参照して、必要な交通情報のみを抽出してデコーディングするためにMBR値を利用する方法について説明する。
【0046】
図5に示すように、MBR1(510)、MBR2(520)及びMBR3(530)からなる地域において、使用者が指定した経路540の含まれた領域に対して設定したMBR550(破線で囲われた部分)の含まれたMBRは、MBR2(520)及びMBR3(530)だけである。したがって、MBR2(520)及びMBR3(530)と関連したサービスコンポーネントのみをパーシングしてデコーディングし、経路540と無関係なMBR1(510)と関連したサービスコンポーネントはデコーディングせずに捨てる。ここでは、説明の便宜上、使用者がナビゲータ(Navigator)を通して入力した経路を例にしたが、GPSを用いて位置を追跡して獲得した使用者の位置に対するMBRを利用しても良い。要するに、使用者の要求する交通情報をデコーディングするためには、使用者が入力した経路や位置に対するMBRとサービスコンポーネントに含まれたMBRとが重なっているか判断し、重なっている部分を含むMBRの載せられたサービスコンポーネントのみをパーシングしてデコーディングすればよい。
【0047】
図6は、本発明の実施例による交通情報をデコーディングする装置の内部構成を示すブロック構成図である。図6は、交通情報提供サーバー120から送信される交通情報を受信する本発明の実施例による端末機140の内部構成を概略的に示している。
【0048】
図6に例示するように、受信した交通情報を用いる端末機は、放送用モジュール610、GPS用モジュール620、入力部630、制御部640、保存部650及び表示部660などを備えて構成される。
【0049】
放送用モジュール610は、放送センターから送出する放送信号を、放送チャネルを通して受信する。このような放送用モジュール610は、無線で基地局と音声及び制御情報をやり取りできるようにするための送受信用回路で構成された無線送受信部の一部であっても良い。
【0050】
GPS用モジュール620は、複数の低軌道衛星から送信される衛星信号を受信して現在位置(経度、緯度、高度)を把握する。
【0051】
入力部630は、電話番号などの数字を入力するための多数のキーボタンを備えており、使用者が所定のキーを押下すると該当するキーデータを発生して制御部640に出力する。また、入力部630は、キーパッド、ジョグシャトル、ポイントスティックまたはタッチスクリーンなどで構成されることができる。
【0052】
制御部640は、移動通信端末機の主要部で、移動通信端末機の全般的な動作を制御し、内部には算術論理演算器、レジスタ、プログラムカウンタ、命令デコーダ、制御回路などを含んでおり、端末機の全般動作が適宜行われるように制御する。
【0053】
保存部650は、移動通信端末機の全般的な動作を制御する所定のプログラムを保存しており、制御部640によって端末機の全般的な動作が行われる際に入出力されるデータを所定の設定された領域に保存している。
【0054】
表示部660は、各種情報を表示する液晶表示部を含み、現在移動通信端末機の状態を表示して使用者に知らせることによって、使用者が適宜制御を行うようにする役割を担う。液晶画面には、電源の状態、電波の受信強度、日時、現在のモード状態、その他の使用者情報などの様々な情報を表示する。これらの情報を使用者に伝達することによって使用者が現在の移動通信端末機の状態を確認し制御できるようにする。
【0055】
次に、本発明と関連して各構成要素の機能を詳細に説明する。放送用モジュール610は、放送チャネルから受信した交通情報を制御部640に転送する。例えば、交通情報の提供される信号帯域を同調させて、変調された交通情報信号を復調器に出力し、該変調された交通情報信号を復調器で復調して制御部640に出力する。制御部640は、復調された交通情報信号をデコーディングして様々な交通情報を獲得する。保存部650は、各リンク及びノードに関する情報を含む電子地図、及び様々なグラフィック情報を保存している。また、保存部650は、受信した交通情報を一定時間保存している。制御部640は、入力部630からの使用者の入力情報やGPS用モジュール620で把握した現在位置、及び放送用モジュール610から獲得した交通情報などに基づいて画面出力を制御する。表示部660は、制御部640から受信した表示すべきグラフィックに基づく駆動信号を用いて映像表示を行う。
【0056】
なお、放送用モジュール610は、交通情報提供サーバー120から提供された交通情報を放送センター130が信号として送出すると、該信号を受信して同調させ、同調された信号を定められた方式で復調して出力する。すると、制御部640は受信した復調信号をデコーディングした後、交通情報中の各TPEGメッセージを解析して該メッセージ内容に基づく必要な情報及び/または制御信号に応じて表示部660への映像表示の出力を制御する。ここで、復調信号が交通情報である場合において、これをデコーディングするTPEGデコーダが別に含まれても良く、制御部の一部がデコーディング機能を果たしても良い。ここでは、説明の便宜上、制御部がデコーディングの機能も担うものとして説明する。
【0057】
本発明の実施例に係る制御部640は、交通情報に含まれた領域情報を読み出し、該領域情報の表す領域が、交通情報の出力が要求される領域に対する領域を含むか否かを判断する。判断結果によって制御部640は受信した交通情報をデコーディングするか否かを決定すれば良い。例えば、制御部640は、使用者が経路を入力すると、経路に相応するMBR値、即ち、経路及びその周辺領域のMBR値を計算し、計算された領域と交通情報のサービスコンポーネントに含まれた領域値が表す領域とを比較する。この比較の結果、両領域に重なる部分があると、制御部640は、当該領域値を持つサービスコンポーネントのみをパーシングしてデコーディングできる。
【0058】
前述したように、領域値は、サービスコンポーネントフレーム300に含まれたMBRフィールド302に載せられたx、y座標値で構成される。また、当該経路に対するMBR値は、制御部640が経路の含まれたMBRを設定して左−最上(Left−Top)頂点と右−最下(Right−Bottom)頂点をそれぞれx、y座標値で表した値である。ここで、サービスコンポーネントフレーム300に含まれたTPEGメッセージは渋滞・旅行時間情報(CTT)でありうる。サービスコンポーネントフレームに渋滞・旅行時間情報が載せられた場合、該サービスコンポーネントフレームに含まれたMBR値は、当該渋滞・旅行時間情報メッセージに載せられた位置情報に該当するリンクで構成された領域に対する領域値でありうる。
【0059】
なお、制御部640は、前述のように、領域を用いて選別した交通情報をデコーディングしたのち、デコーディングした交通情報中の各TPEGメッセージを解析し、該メッセージ内容に基づく必要な情報及び/または制御信号を用いて表示部660への映像表示の出力を制御する。図6に示す端末機が音声出力手段を備えている場合には、使用者によって出力が要求されるTPEGメッセージを音声として出力しても良い。
【0060】
図7は、本発明の実施例による交通情報をデコーディングする過程を示すフローチャートである。
【0061】
まず、制御部640は、放送用モジュール610から領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信する(ステップ702、以下、S702という。図も同様)。
【0062】
制御部640は、受信した交通情報に含まれた各領域情報を読み出す(S704)。ここで、説明の便宜上、領域情報には二つのx、y座標値で構成された領域値が含まれ、このような領域値で表す領域を第1領域と称する。この第1領域を表す領域値は、当該交通情報のサービスコンポーネントフレーム300に含まれたMBRフィールド302に載せられる。
【0063】
制御部640は、入力部630から経路に関する情報(経路情報)を受信する(S706)。ここで、経路とは、使用者により入力される出発地と到着地によって決定される経路である。また、かかる経路情報の代わりに、GPS用モジュール620によって追跡された端末機の現在位置(使用者の位置)を受信してもよい。
【0064】
制御部640は、所定の領域、即ち、経路情報で特定される経路を含んだ領域(具体的には、経路及びその周辺領域)を設定して、二つのx、y座標値で構成された領域値を演算する(S708)。ここで、この演算した領域を第2領域と称する。なお、端末機の現在位置を受信した場合には、端末機の現在位置を含んだ領域(具体的には、端末機の現在位置及びその周辺領域)が所定の領域となる。
S702とS704及びS706とS708はその順序を異ならせても良い。例えば、S706及びS708をS702に先立って行っても良い。
【0065】
制御部640は、S704で読み出した各領域情報について、その領域情報に対応する第1領域と、S708で演算した第2領域と、に重複する部分が存在するか否かを判断する(S710)。
【0066】
ステップS710の判断結果、重複する部分があるときに、制御部640は、第1領域の交通情報をパーシングしてデコーディングする(S712)。ここで、デコーディングする交通情報は、読み出した領域情報に対応するMBRフィールド302を持つサービスコンポーネントに載せられた交通情報であり、例えば、渋滞・旅行時間情報(CTT)メッセージでありうる。
【0067】
制御部640は、ステップS712でデコーディングされた交通情報を出力する(S714)。このとき、制御部640は、デコーディングしたTPEGメッセージを解析し、該メッセージ内容に基づく必要な情報及び/または制御信号を用いて表示部660への映像表示の出力を制御する。場合によっては、音声出力手段を備えている場合には、使用者によって出力が要求されるTPEGメッセージを音声として出力しても良い。
【0068】
ここでは説明の便宜のためにMBRを利用する場合で説明したが、領域を区分する手法であればいずれも適用可能である。
このように、領域情報を複数含んだ交通情報のうち、所定の領域と重複する部分を含む領域に対応する交通情報のみをデコーディングすることで、必要な交通情報のみを選択的にデコーディングし、不必要な交通情報のデコーディングに伴う電力浪費や処理遅延を防ぐことができる。
【0069】
以上の具体的な実施例は本発明の技術思想を例示的に説明するためのもので、これに限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者にとっては、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは明らかである。したがって、本発明に係る実施例は、本発明の技術思想を説明するためのもので、これらの実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるわけはない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって解析されなければならず、これと同等な範囲内における技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものとして解析すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】交通情報の提供されるネットワークを簡略に示す図である。
【図2】無線で送受信される交通情報のフレーム構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例によるMBR情報が含まれた交通情報のフレーム構造を示す図である。
【図4】本発明のMBR構造を例示する図である。
【図5】本発明の実施例による情報抽出のためのMBR構成を例示する図である。
【図6】本発明の実施例による交通情報をデコーディングする装置の内部構成を示すブロック構成図である。
【図7】本発明の実施例による交通情報をデコーディングする過程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信し、該交通情報から各領域情報を読み出す段階と、
前記各領域情報に対応する領域と所定の領域とに重複する部分があるかを判断する段階と、
前記交通情報のうち、前記所定の領域と重複する部分を有する領域の交通情報をデコーディングする段階と、
を含む交通情報受信方法。
【請求項2】
前記領域は、最小外接矩形(Minimum Bounding Rectangle)手法または最小外接半径(Minimum Bounding Radius)手法によって決定されることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報受信方法。
【請求項3】
前記領域情報は、前記交通情報のサービスコンポーネントに含まれることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報受信方法。
【請求項4】
前記サービスコンポーネントは、渋滞・旅行時間情報(Congestion and Travel Time Information)メッセージを含むことを特徴とする、請求項3に記載の交通情報受信方法。
【請求項5】
前記領域情報は、前記サービスコンポーネントに含まれた少なくとも一つのリンクに相応する最小外接矩形値であることを特徴とする、請求項3に記載の交通情報受信方法。
【請求項6】
前記所定の領域は、前記交通情報を受信する端末機の現在位置を含んだ領域であることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報受信方法。
【請求項7】
前記所定の領域は、経路探索のために受信した経路の開始点から終着点を含んだ領域であることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報受信方法。
【請求項8】
交通情報を受信する放送用モジュールと、
前記交通情報をデコーディングするデコーダと、
前記放送用モジュールを通して、領域を表す領域情報を複数含んだ交通情報を受信し、該交通情報から各領域情報を読み出して、各領域情報に対応する領域と所定の領域とに重複する部分があるかを判断し、前記交通情報のうち、前記所定の領域と重複する部分を有する領域の交通情報をデコーディングするように前記デコーダを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、交通情報受信用端末機。
【請求項9】
前記領域は、最小外接矩形(Minimum Bounding Rectangle)手法または最小外接半径(Minimum Bounding Radius)手法によって決定されることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項10】
前記領域情報は、サービスコンポーネントに含まれた少なくとも一つのリンクに相応する最小外接矩形値であることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項11】
GPS用モジュールをさらに含み、前記所定の領域は、前記GPS用モジュールを用いて追跡した現在位置を含んだ領域であることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項12】
入力部をさらに備え、前記所定の領域は、経路探索のために前記入力部から受信した経路の開始点から終着点を含んだ領域であることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項13】
前記領域情報は、前記交通情報のサービスコンポーネントに含まれることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項14】
前記サービスコンポーネントは、渋滞・旅行時間情報(Congestion and Travel Time Information)メッセージを含むことを特徴とする、請求項13に記載の交通情報受信用端末機。
【請求項15】
交通情報メッセージを生成する段階と、
少なくとも一つの前記交通情報メッセージを含むサービスコンポーネントを生成する段階と、
少なくとも一つの前記サービスコンポーネントを含む転送フレームを生成する段階と、
を含んでなり、
前記サービスコンポーネントは、領域を表す領域情報を含むことを特徴とする、交通情報提供方法。
【請求項16】
前記領域情報は最小外接矩形(Minimum Bounding Rectangle)手法または最小外接半径(Minimum Bounding Radius)手法によって決定される値であることを特徴とする、請求項15に記載の交通情報提供方法。
【請求項17】
前記サービスコンポーネントは、渋滞・旅行時間情報(Congestion and Travel Time Information)メッセージを含むことを特徴とする、請求項13に記載の交通情報提供方法。
【請求項18】
前記領域情報は、前記サービスコンポーネントに含まれた少なくとも一つのリンクに対する最小外接矩形値であることを特徴とする、請求項17に記載の交通情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−85992(P2008−85992A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196116(P2007−196116)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】