説明

交通情報処理装置

【課題】生成元の異なる複数の交通情報が取得可能な場合に、それらの交通情報の乖離による問題を低減する。
【解決手段】生成元が異なる複数の交通情報がある場合に、いずれかの交通情報を基準とし、他の交通情報に対して、基準の交通情報に合わせ込むための補正を行う。例えば、交通情報処理装置は、ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報(VICS情報)と、第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報(プローブ交通情報)とを取得し、第1の交通情報と第2の交通情報の中から、共通の対象に関する交通情報を抽出し、それらの相違から、第2の交通情報を補正するのに用いられる補正用情報を生成する補正用情報生成手段と、第1の交通情報に含まれていない対象の交通情報を、当該対象に関する第2の交通情報を補正用情報を用いて補正することにより求める交通情報補正手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションに用いられる交通情報の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置に交通情報を配信するシステムがある。また、受信した交通情報を用いて旅行時間が最短となる経路の探索を試みる車載用ナビゲーション装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−372430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、生成元が異なる複数の交通情報がある場合に、ナビゲーション装置がそれらの交通情報をそのまま併用したのでは不都合が生じることがある。例えば、道路上に設置したセンサ(車両感知器)が収集した交通情報(「設置センサ起源交通情報」という)と、実際に道路を走行した車両が収集した交通情報(「プローブカー起源交通情報」という)がある場合を考える。設置センサ起源交通情報には、24時間分の交通情報が含まれているものの、それらの交通情報はセンサが設置された道路に関するもののみである。また、車両の大きさは一律ではないので、検出誤差により、設置センサ起源交通情報が常に正確であるとはいえない。一方、プローブカー起源交通情報には、センサが設置されていない道路の情報が含まれている場合もあるが、プローブカーの運転者のくせが反映されるので、常に平均化されたものであるとはいえない。このように、同じ「交通情報」と称されるものであっても、それぞれに特徴があり、同じ道路の同じ時間帯の交通情報であっても多少乖離している場合がある。経路探索において、このように乖離した複数の交通情報をそのまま併用すると、例えば、次ぎのような問題が生じる。
【0005】
図16に示すように、リンクA、B、Cについては、設置センサ起源交通情報(例えば、VICS情報)のみがあり、リンクD、E、Fについては、プローブカー起源交通情報のみがあるとする。そして、プローブカー起源交通情報の方が、リンク旅行時間が短い傾向にあるとする。かかる場合に、二つの交通情報のリンク旅行時間をそのまま用いて、旅行時間が最短の経路を探索するとする。この場合、経路Xのように道なりに真っ直ぐな経路ではなく、経路YのようにリンクD,E,Fを通る遠回りの経路が探索されてしまうことがある。このようなことが頻繁に起こると、曲がりくねった経路が探索されてしまう。
【0006】
本発明の目的は、生成元の異なる複数の交通情報が取得可能な場合に、それらの交通情報の乖離による問題を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明では、生成元が異なる複数の交通情報がある場合に、いずれかの交通情報を基準とし、他の交通情報に対して、基準の交通情報に合わせ込むための補正を行う。
【0008】
例えば、本発明の第1は、交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第1の交通情報と前記第2の交通情報の中から、共通の対象に関する交通情報を抽出し、それらの相違から、前記第2の交通情報を補正するのに用いられる補正用情報を生成する補正用情報生成手段と、
前記第1の交通情報に含まれていない対象の交通情報を、当該対象に関する前記第2の交通情報を前記補正用情報を用いて補正することにより求める交通情報補正手段とを備えている。
【0009】
また、本発明の第2は、交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第2の交通情報に対して前記第1の交通情報との差分を補正して当該第1の交通情報の値に近づけるために用いられる補正用情報を取得する補正用情報取得手段と、
前記第1の交通情報に含まれていない対象の交通情報を、当該対象に関する前記第2の交通情報を前記補正用情報を用いて補正することにより求める交通情報補正手段とを備えている。
【0010】
また、本発明の第3は、交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第2の交通情報に対して、前記第1の交通情報との差分を補正して、当該第1の交通情報の値に近づけるために用いられる補正用情報を取得する補正用情報取得手段と、
補正が必要な対象を設定する補正対象手段と、
前記補正対象設定手段が設定した対象に関する交通情報を、前記第2の交通情報から抽出し、前記補正用情報を用いて補正する交通情報補正手段とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。図示するように、本実施形態のナビゲーションシステムは、交通情報配信サーバ100と、車載用ナビゲーション装置300とを有する。車載用ナビーション装置300は、交通情報センタ200や交通情報配信サーバ100から受信した交通情報を用いて、ナビゲーション処理を行う。車載用ナビーション装置300は、搭載された車両の車速からプローブ交通情報を収集することもある。また、収集したプローブ交通情報を、交通情報配信サーバ100に送信することもある。このとき、車両はプローブカーとして機能する。
【0013】
車載用ナビゲーション装置300は、携帯電話などの通信装置301と接続可能である。車載用ナビゲーション装置300は、通信装置301を介して、交通情報配信サーバ100の無線基地局102と接続し、ネットワーク101を介して交通情報配信サーバ100に接続する。
【0014】
交通情報センタ200により提供される交通情報は、交通情報配信サーバ100に送られる。また、交通情報センタ200の交通情報は、FM多重放送局(不図示)やビーコン(不図示)によっても、車載用ナビゲーション装置300に送信される。交通情報センタ200は、例えば、(財)道路交通情報通信システムセンターが提供するVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を送信する。
【0015】
交通情報配信サーバ100は、演算装置(CPU)とメモリと通信インターフェースなどからなる既存のコンピュータシステムで構成される。
【0016】
図2は、交通情報配信サーバ100の機能ブロック図である。
【0017】
交通情報配信サーバ100は、補正係数データベース(DB)生成部110と、データ補正部112と、情報送受信部113とを備えている。
【0018】
補正係数DB生成部110は、補正係数算出部111を備えている。補正係数算出部111は、交通情報センタ200から受信した交通情報である教師データ410と、プローブカーにより収集された交通情報である対象データ420とを用いて、対象データ420を補正するための補正係数を求め、補正係数DB500に格納する処理を行う。
【0019】
データ補正部112は、補正係数DB500の補正係数を用いて、対象データ420を補正し、補正済データ430を生成する処理を行う。
【0020】
情報送受信部113は、交通情報センタ200や車載用ナビゲーション装置300との情報の授受を仲介する処理を行う。具体的には、交通情報センタ200から、交通情報を受信し、教師データ410として格納する。また、車載用ナビゲーション装置300が収集したプローブ情報を受信し、対象データ420として格納する。また、教師データ410、対象データ420、補正済データ430の中から、車載用ナビゲーション装置300から要求された交通情報を抽出し、送信する処理を行う。
【0021】
なお、交通情報配信サーバ100は、自身の記憶装置に、地図データを保持している。地図データには、地図上の区画されたメッシュ領域の識別コード(メッシュID)ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータが格納されている。リンクデータには、リンクIDごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報、リンクを含む道路の種別情報、リンクの長さを示すリンク長情報、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)などが格納されている。
【0022】
図3は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置300は、演算処理部310と、ディスプレイ312と、データ記憶装置313と、音声入出力装置314と、入力装置315と、車輪速センサ316と、地磁気センサ317と、ジャイロセンサ318と、GPS(Global Positioning System)受信装置319と、ネットワーク通信装置320と、FM多重放送受信装置321と、ビーコン受信装置322とを備えている。
【0023】
演算処理部310は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ316〜318やGPS受信装置319から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データをデータ記憶装置313から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ312へ表示する。また、データ記憶装置313に記憶されている地図データおよび交通情報配信サーバ100等から受信した交通情報を用いて、ユーザから指示された目的地と現在地(出発地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置314やディスプレイ312を用いてユーザを誘導する。
【0024】
ディスプレイ312は、演算処理部310で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ312は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0025】
データ記憶装置313は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データが記憶されている。地図データには、メッシュIDごとに、そのメッシュ領域に含まれる各リンクのリンクデータが格納されている。リンクデータには、リンクIDごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報、リンクを含む道路の種別情報、リンクの長さを示すリンク長情報、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)などが格納されている。
【0026】
音声入出力装置314は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部310にその内容を転送する処理を行う。
【0027】
入力装置315は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置315は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0028】
センサ316〜318およびGPS受信装置319は、車載用ナビゲーション装置300で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車輪速センサ316は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ317は、地球が保持している磁場を検知し、移動体が向いている方角を検出する。ジャイロ318は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置319は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度および進行方位を測定する。
【0029】
ネットワーク通信装置320は、携帯電話などの通信装置301を介して、車載用ナビゲーション装置100と、交通情報配信サーバ203との間の情報の授受を仲介する。
【0030】
FM多重放送受信装置321は、FM多重放送信号としてFM多重放送局から送られてくる交通情報を受信する。
【0031】
ビーコン受信装置322は、ビーコンから送られてくる交通情報を受信する。
【0032】
図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【0033】
図示するように、演算処理部310は、ユーザ操作解析部331と、経路探索部332と、経路記憶部333と、経路誘導部334と、現在位置算出部335と、表示処理部336、交通情報補正部337と、通信処理部338と、受信情報記憶部339とを有する。
【0034】
ユーザ操作解析部331は、入力装置315に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部310の各部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ312に表示する処理を表示処理部336に要求する。また、受信した交通情報を表示するように表示処理部336に要求する。
【0035】
現在位置算出部335は、車輪速センサ316で計測される距離パルスデータS5およびジャイロ8で計測される角加速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X’,Y’)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。また、定期的に、GPS受信装置319の出力により現在地を修正する。
【0036】
経路探索部332は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路の総コスト(例えば、旅行時間)が最少となる経路を探索する。経路探索の際は、受信した交通情報に含まれているリンク旅行時間を用いる。また、渋滞度の高い道路を回避する経路を探索する。
【0037】
経路記憶部333は、経路探索部332で探索された経路を記憶する。
【0038】
経路誘導部334は、経路探索部332で探索された経路を用いて経路誘導を行う。
【0039】
表示処理部336は、ディスプレイ312への表示が要求される領域にある地図データをデータ記憶装置313から受け取り、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、誘導経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、ディスプレイ312に送信する。
【0040】
交通情報補正部337は、交通情報配信サーバ100から受信した補正係数を用いて、交通情報の補正を行う。なお、交通情報配信サーバ100から補正済の交通情報を受信する場合は、交通情報を補正する処理を省略できる。
【0041】
通信処理部338は、交通情報のダウンロード要求を受け付けると、ネットワーク通信装置320を介して、交通情報配信サーバ100に接続し、交通情報のダウンロードを要求する。そして、ダウンロードした交通情報を受信情報記憶部339に記憶させる。また、通信処理部338は、FM多重放送局やビーコンから受信した交通情報を受信情報記憶部339に記憶させる。なお、データ記憶装置313が、書換え可能なHDD、フラッシュROMなどで構成される場合は、通信処理部338は、受信した情報を、記憶装置313に記憶させるようにしてもよい。
【0042】
図5は、演算処理部310のハードウェア構成例を示す図である。
【0043】
図示するように、演算処理部310は、各デバイス間をバス70で接続した構成としてある。演算処理部310は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)59と、データ記憶装置313から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)60と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)61と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)62と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ63と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)64と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット65と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器66と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)67と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)68と、パルス信号を積分するカウンタ69と、を有する。
【0044】
[動作の説明]次に、上記のように構成されるナビゲーションシステムの動作について説明する。
【0045】
まず、交通情報配信サーバ100が行う処理について説明する。交通情報配信サーバ100は、対象データ420を補正により教師データ410に合わせ込むための補正係数を算出する。
【0046】
図6は、交通情報配信サーバ100の補正係数算出部111が行う補正係数の算出処理の流れを示すフロー図である。
【0047】
なお、図7に示すように、教師データ410として、交通情報センタ200から受信した交通情報(ここでは、VICS情報)が格納されており、また、対象データ420として、プローブカーにより収集されたプローブ交通情報420が格納されているとする。図示するように、教師データ410には、メッシュID411及びリンクID412ごとに、データ登録日時(データ収集日時)413とリンク旅行時間414が格納されている。対象データ420には、メッシュID421及びリンクID422ごとに、データ登録日時(データ収集日時)423とリンク旅行時間424が格納されている。
【0048】
まず、補正係数算出部111は、補正係数を求める日時、言い換えれば、補正係数が適用される交通情報の日時(「対象日時」という)を設定する(S101)。具体的には、日の種類(平日、休日など)と、時間帯(例えば、13:00〜14:00など)を設定する。例えば、「今日」の「日の種類」でかつ、現在の時刻の1時間後の時間帯を対象日時に設定する。なお、補正係数算出部111は、「日にち」を「日の種類(平日、休日など)」に変換するテーブルを保持している。補正係数算出部111は、後述するステップでも、このテーブルを用いて、教師データ410のデータ登録日時413や、対象データ420のデータ登録日時423の「日にち」を「日の種類」に変換する。
【0049】
次に、補正係数算出部111は、地図データの中からメッシュIDをひとつ選択する(S102)。
【0050】
さらに、補正係数算出部111は、選択したメッシュIDのメッシュ内のリンクのリンクIDをひとつ選択する(S103)。
【0051】
次に、補正係数算出部111は、S103で選択したリンクの、S101で設定した対象日時において、教師データ410と対象データ420とがともに存在するかどうかを判定する。このとき、全てのデータを比較するのではなく、所定日数分(例えば、過去10日分)のデータを用いるようにする。そして、同一時間帯(例えば、5分おき)において、教師データ410と対象データ420とがともに存在するか否か判定する(S104)。
【0052】
具体的には、教師データ410の中から、メッシュID411がS102で選択したメッシュIDで、リンクID412がS103で選択したリンクIDで、かつデータ登録日時413がS101で設定した日時であるデータを抽出する。同様に、対象データ420の中から、メッシュID421がS102で選択したメッシュIDで、リンクID422がS103で選択したリンクIDで、かつデータ登録日時423がS101で設定した日時であるデータを抽出する。そして、例えば、5分間隔の時間帯を設定し、その時間帯におけるデータが、教師データ410から抽出したデータと、対象データ420から抽出したデータの両方に含まれているか否か判定する。そして、両方に含まれている場合、それらのデータを保持しておく。こうして、S101で設定した時間帯分のデータを、所定時間帯(5分間隔)ごとに、調べていく。
【0053】
次に、補正係数算出部111は、教師データ410と対照データ420とがともにある時間帯が、所定数(例えば、5つ)以上であるか否か判定する(S105)。所定数未満の場合(S105でNo)、S107に戻って処理を続ける。一方、データがともにある時間帯が所定数以上の場合(S105でYes)、補正係数算出部111は、リンク別補正係数(レベル1)を算出する(S106)。
【0054】
なお、補正係数には、レベル1〜3まであり、それぞれ、リンク別補正係数、道路種別補正係数、全リンク対応補正係数(メッシュ別補正係数)と呼ぶことにする。
【0055】
リンク別補正係数は、例えば、以下の補正係数算出式により求められる。
【0056】
【数1】

【0057】
補正係数算出部111は、S103〜106の処理を、S102で選択したメッシュ内の全てのリンクについて行う(S107)。
【0058】
また、補正係数算出部111は、S102〜107の処理を、地図上の全てのメッシュについて行う(S108)。
【0059】
こうして、リンク別に、対象日時(例えば、「平日」の「13:00〜14:00」)におけるリンク別補正係数(レベル1)が算出される(S108でYes)。
【0060】
次に、補正係数算出部111は、メッシュをひとつ選択する(S109)。
【0061】
そして、補正係数算出部111は、道路種別補正係数(レベル2)を算出する(S110)。具体的には、選択されたメッシュ内の、リンクのS106で求めたリンク別補正係数を、道路種別で集約する。例えば、地図データからリンクの属する道路種別を判定し、道路種別ごとに、リンク別補正係数を分類する。そして、道路種別ごとに、リンク別補正係数の平均値を求める。
【0062】
次に、補正係数算出部111は、全リンク対応補正係数(レベル3)を求める(S111)。具体的には、選択されたメッシュ内のリンクのS106で求めたリンク別補正係数の平均値を求めて全リンク対応補正係数とする。
【0063】
補正係数算出部111は、地図上の全てのメッシュについて、S109〜S111の処理を行う(S112)。こうして、メッシュごとに、道路種別補正係数(レベル3)及び全リンク対応補正係数(レベル4)が求められる。
【0064】
補正係数算出部111は、こうして求めた補正係数を、補正係数情報530として、補正係数DB500に格納する(S113)。
【0065】
図8は、補正係数情報530の構成を示す図である。補正係数情報530には、メッシュID501ごとに、データ作成日時502と、S101で設定した日種503と、同じくS101で設定した対象時刻504と、リンク別補正係数505と、道路種別補正係数508と、全リンク対応補正係数511とが格納される。リンク別補正係数505には、リンクID506ごとに補正係数が格納されている。道路種別補正係数508には、道路種別509ごとに補正係数510が格納されている。
【0066】
以上、補正係数算出部111の補正係数算出処理について説明した。
【0067】
次に、かかる補正係数を用いて、対象データ420を補正し、補正済データを生成する処理について説明する。
【0068】
図9は、かかる補正済データの生成処理の流れを示すフロー図である。
【0069】
データ補正部112は、地図上のメッシュを一つ選択する(S201)。さらに、選択したメッシュ(「対象メッシュ」という)内から一つのリンク(「対象リンク」という)を選択する(S202)。
【0070】
データ補正部112は、対象リンクが補正対象リンクか否か判定する。具体的には、対象リンクのリンクIDが、教師データ410に含まれているか否か判定し、含まれている場合は、補正対象リンクでないと判定する。一方、含まれていない場合は、対象リンクは補正対象リンクであると判定する(S203)。
【0071】
対象リンクが補正対象リンクでない場合(S203でNo)、データ補正部112は、後述するS209の処理に移行する。
【0072】
対象リンクが補正対象リンクである場合(S203でYes)、データ補正部112は、そのリンクについてリンク別補正係数505があるか否か判定する。具体的には、補正係数情報530の中から、メッシュID501が、対象メッシュのメッシュIDであるデータを抽出し、そのデータのリンク別補正係数情報505の中に、リンクID506が対象リンクのリンクIDである補正係数507が存在するか否かで判定する。
【0073】
リンク別補正係数がある場合(S204でYes)、データ補正部112は、当該リンク別補正係数507を取得する(S207)。
【0074】
そして、対象リンクの対象データ420を、取得したリンク別補正係数507で補正して補正済データを得る(S208)。具体的には、対象データ420の中の、メッシュID421が対象メッシュのメッシュIDであり、かつリンクID422が対象リンクのリンクIDであるリンク旅行時間424を、取得したリンク別補正係数によって、補正し、補正済データを得る。
【0075】
なお、上述の式によれば、
補正済データ=a・Tobj+b (Tobj:対象データのリンク旅行時間)
である。
【0076】
一方、リンク別補正係数がない場合(S204でNo)、データ補正部112は、地図データを参照して、対象リンクの属する道路種別を特定する。さらに、補正係数情報530を参照して、メッシュID501が対象メッシュのメッシュIDであるデータを抽出し、そのデータに対象リンクの属する道路種別に関する道路種別補正係数510が存在するか否か判定する(S205)。そして、存在する場合(S205でYes)、その道路種別補正係数510を取得する(S207)。さらに、対象リンクの対象データ420を、取得した道路種別補正係数で補正して補正済データを得る(S208)。具体的には、データ補正部112は、対象データ420の中にある、メッシュID421が対象メッシュのメッシュIDであり、かつリンクID422が対象リンクのリンクIDであるリンク旅行時間424を、取得した道路種別補正係数によって、補正し、補正済データを得る。なお、算出式は、上述の通りである。
【0077】
一方、道路種別補正係数がない場合(S205でNo)、データ補正部112は、補正係数情報530の中のメッシュID501が対象メッシュのメッシュIDであるデータの中に、全リンク対応補正係数511が存在するか否か判定する(S206)。そして、存在する場合(S206でYes)、その全リンク対応補正係数511を取得する(S207)。そして、対象リンクの対象データ420を補正して補正済データを得る(S208)。具体的には、データ補正部112は、対象データ420の中の、メッシュID421が対象メッシュのメッシュIDであり、かつリンクID422が対象リンクのリンクIDであるリンク旅行時間424を、全リンク対応補正係数511によって、補正し、補正済データを得る。算出式は、上記の通りである。
【0078】
一方、全リンク対応補正係数511が存在しない場合(S206でNo)、データ補正部は、予め定められた代表的な補正係数(設定値)によって、補正し、補正済みデータを得る。または、全国のリンクに適用するための補正係数(全国用補正係数)を記憶している場合、それを用いる。
【0079】
こうして、対象リンクのリンク旅行時間の補正を行うと、データ補正部112は、対象メッシュ内の全リンクについて処理(S202〜S208)を終了したか否か判定する(S209)。そして、終了していない場合、S202に戻り、再びリンクを選択し、S202〜S208の処理を繰り返す。一方、対象メッシュ内の全リンクについて処理が終了すると、データ補正部112は、新たにメッシュを選択して(S201)、選択したメッシュ内のリンクについて、S202〜S208の処理を行う。そして、すべてのメッシュに対して処理を行うと(S210でYes)、補正済データの生成処理を終了する。
【0080】
こうして、補正済データ430が蓄積される。
【0081】
図10は、補正済データ430の構成例を示す。補正済データ430には、メッシュID431及びリンクID432ごとに、データ登録日時433と、補正されたリンク旅行時間434と、補正済みを示す情報435とが格納される。
【0082】
次に、車載用ナビゲーション装置300が交通情報を取得して利用するまでの流れについて説明する。
【0083】
車載用ナビゲーション装置300は、経路探索などにおいて交通情報が必要となったときに、あるいはユーザからの指示に従って、又は定期的に、交通情報配信サーバ110に、交通情報のダウンロード要求を行う。このとき、ダウンロードする範囲(メッシュ、時間帯)を指定する。
【0084】
交通情報配信サーバ110の情報送受信部113は、車載用ナビゲーション装置300から、交通情報のダウンロードの要求を受け付けると、要求された範囲(メッシュ、時間帯)に相当する交通情報を、教師データ410と補正済データ430の中から抽出する。そして、車載用ナビゲーション装置300に送信する。なお、情報送受信部113は、送信する交通情報に、教師データか、補正済データかを示す情報を付加して送信する。なお、交通情報配信サーバ100は、車載用ナビゲーション装置300の要求に応じて、補正前の対象データ420を車載用ナビゲーション装置300に送信するようにしてもよい。
【0085】
車載用ナビゲーション装置300は、受信した交通情報を用いて、交通情報の表示や、経路探索などの様々なナビゲーション処理を行う。
【0086】
例えば、車載用ナビゲーション装置300の経路探索部332は、受信した交通情報を用いて、目的地までの総旅行時間が最少の経路を探索する。このとき、経路を構成するリンクのリンク旅行時間として、教師データ410の中にリンク旅行時間が含まれている場合は、そのリンク旅行時間を用いる。一方、教師データ410にリンク旅行時間が含まれていない場合は、補正済データ430の中のリンク旅行時間434を用いる。
【0087】
上述のとおり、補正済データ430は、教師データ410に近づくように補正されている。したがって、図16に示した従来例のように、頻繁に遠回りするような曲がりくねった経路が探索されることがない。
【0088】
図11〜図13に、交通情報を表示した画面800の例を示す。
【0089】
車載用ナビゲーション装置300の表示処理部336は、図11に示すように、補正されていない交通情報(教師データ410、対象データ420)と、補正された交通情報(補正済データ430)を表示する場合、両者の表示の態様を異ならせてもよい。
【0090】
また、図12に示すように、表示処理部336は、補正されていない交通情報(教師データ410、対象データ420)を用いて経路探索した場合の結果(探索された経路や予想到着時刻など)と、補正された交通情報(補正済データ430)を用いて経路探索した場合の結果(探索された経路や予想到着時刻など)を、比較して表示したり、異なる態様で表示するようにしてもよい。
【0091】
また、図13に示すように、補正済データ430が更新された場合に、更新されたことを知らせるメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、交通情報配信サーバ100は、アクセスしてきた車載用ナビゲーション装置300に対して、以前にダウンロードして保持している補正済データ430のデータ登録日時(バージョン情報)433をリクエストする。車載用ナビゲーション装置300の通信処理部338は、以前にダウンロードして受信情報記憶部339に保持している補正済データ430のデータ登録日時(バージョン情報)433を交通情報配信サーバ100に送信する。交通情報配信サーバ100の情報受信部113は、自身が保持する補正済データ430のデータ登録日時433が、車載用ナビゲーション装置300のものより新しい場合、更新された旨を車載用ナビゲーション装置100に送信する。これを受けて、車載用ナビゲーション装置300の表示処理部336は、図13に示すように、ディスプレイ312に、更新された補正済データがあることを知らせるメッセージを表示する。
【0092】
または、車載用ナビゲーション装置300が更新されたか否か判定し、更新されたと判定した場合には、更新されたことを知らせるメッセージを出力するようにするようにしてもよい。具体的には、交通情報配信サーバ100は、アクセスしてきた車載用ナビゲーション装置300に対して、最新の補正済データ430のデータ登録日時(バージョン情報)433を送信する。車載用ナビゲーション装置300の通信処理部338は、以前にダウンロードして受信情報記憶部339に保持している補正済データ430のデータ登録日時(バージョン情報)433を、交通情報配信サーバ100から受信した最新のデータ登録日時433と比較する。そして、交通情報配信サーバ100から受信した最新のデータ登録日時433の方が車載用ナビゲーション装置300のものより新しい場合、更新された判定する。そして、車載用ナビゲーション装置300の表示処理部336は、図13に示すように、ディスプレイ312に、更新された補正済データがあることを知らせるメッセージを表示する。
【0093】
また、表示処理部336は、図14に示すように、ダウンロードの設定を受け付ける画面を表示してもよい。例えば、表示処理部336は、交通情報をダウンロードするときに、その機会を利用して補正された交通情報をダウンロードするか否かの選択を受け付ける画面を表示する。通信処理部338は、かかる要求を受け付けた場合、交通情報配信サーバ100に交通情報のダウンロード要求をするときに、補正された交通情報のダウンロード要求も行う。また、表示処理部336は、交通情報をダウンロードするときに、補正されていない交通情報をダウンロードするか否かの選択を受け付ける画面を表示してもよい。通信処理部338は、かかる要求を受け付けた場合、交通情報配信サーバ100に交通情報のダウンロード要求をするときに、補正されていない交通情報(教師データ、対象データ)のダウンロード要求も行う。
【0094】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0095】
上記実施形態によれば、異なる生成元の複数の交通情報がある場合に、いずれか一方を基準として、他方をその基準となる交通情報に近づけるための補正係数を求める。そして、基準となる交通情報で欠けている部分については、その部分に関する他の交通情報を、補正係数により補正したものを用いる。したがって、複数の交通情報を併用して用いる場合において、それらの乖離により生じる問題を低減することができる。
【0096】
また、補正係数は、リンクごとに適用可能なもの、メッシュ単位で道路種別ごとに適用可能なもの、メッシュ単位で全リンクに適用可能なものと、レベルに分けて設けられる。そして、補正のときは、この順で排他的に適用を試みる。したがって、精度よく補正を行うことができる。
【0097】
<変形例1>
上記実施形態では、リンク別補正係数を求めたのち、道路種別ごとや、メッシュ単位ごとに集約した補正係数を求めた。これに限らず、時間帯ごとに集約して補正係数を求めてもよい。
【0098】
例えば、朝の時間帯(7:00〜10:00)、昼の時間帯(11:00〜13:00)、夕方の時間帯(4:00〜7:00)、深夜の時間帯(11:00〜3:00)で集約する。具体的には、補正係数を求める対象日時を24時間に設定して、例えば5分おきの、24時間分のリンク別補正係数505を求める。そして、朝、昼、夕方、深夜の時間帯に分類して、分類ごとにリンク旅行時間の平均値を求める。
【0099】
こうして求めた補正係数を用いて対象データ420を補正する場合、対象データ420の登録日時423に相当する時間帯(朝、昼、夕方、深夜など)の補正係数を用いるようにする。
【0100】
また、時刻、日、曜日、月、季節、年のいずれかで集約(例えば、平均化)してもよい。そして、対象データ420の補正の際は、時刻で集約した補正係数、日で集約した補正係数、曜日で集約した補正係数、月で集約した補正係数、季節で集約した補正係数、年で集約した補正係数を、取得可能なものから、この優先順に並べ、優先順位の先頭のものを排他的に用いるようにしてもよい。
【0101】
また、渋滞状況に応じて集約してもよい。例えば、リンクごとに、リンク長をリンク旅行時間(教師データまたは対象データのいずれかを用いる)で除することによりリンクIDごとのリンク旅行速度を求める。そして、リンク別補正係数を、リンク旅行速度に応じて分類する。例えば、「渋滞」=0〜10km/h、「混雑」=10〜30km/h、「順調」=40km以上/hと渋滞区分を予め設定し、リンク旅行速度が、いずれに属するかで分類する。そして、分類ごとにリンク別補正係数の平均値を求める。こうして求めた補正係数を用いて、対象データのリンク旅行時間を補正する場合、リンク旅行時間から求めたリンク旅行速度がいずれの渋滞区分に属するか求め、その渋滞区分の補正係数を用いるようにする。なお、リンク別補正係数を、渋滞傾向(渋滞増加傾向、渋滞減少傾向、渋滞変化なし)で分類して、補正係数を求めてもよい。例えば、「渋滞増加傾向」=0〜10km/h、「渋滞減少傾向」=0〜10km/h、「渋滞変化なし」=40km以上/hと予め定め、リンク別補正係数を、リンク旅行速度がいずれの渋滞傾向の区分に属するかで分類し、平均化し、補正係数を求める。
【0102】
<変形例2>
上記では、交通情報配信サーバ100が、補正係数を生成し、生成した補正係数を用いて補正済データを生成する場合について説明した。これに限らず、交通情報配信サーバ100は、生成した補正係数を車載用ナビゲーション装置300に送信するようにしてもよい。そして、車載用ナビゲーション装置300が、交通情報配信サーバ100から受信した補正係数を用いて、補正済データを生成するようにしてもよい。
【0103】
かかる場合、交通情報配信サーバ100は、教師データ410と、対象データ420と、補正係数情報530とを、車載用ナビゲーション装置300の要求に従って、送信する。
【0104】
そして、車載用ナビゲーション装置300は、受信した対象データ420を補正係数を用いて補正する。例えば、受信した教師データ410の中に、経路探索などで使用するリンクの交通情報(リンク旅行時間)が含まれていない場合、そのリンクに関する交通情報(リンク旅行時間)を対象データ420の中から検索し、検索した交通情報(リンク旅行時間)を、受信した補正係数を用いて補正する。そして、補正して得られた交通情報(リンク旅行時間)を経路探索に用いる。なお、補正の仕方は、上述したとおりである。
【0105】
かかる場合、表示処理部336は、図15に示すように、補正するか否かの選択を受け付ける画面を表示してもよい。
【0106】
また、表示処理部336は、交通情報配信サーバ100にアクセスしたときに補正係数をダウンロードするか否かの選択を受け付ける画面を表示してもよい。
【0107】
また、図13に示すように、補正係数情報530が更新された場合に、更新されたことを知らせるメッセージを出力するようにしてもよい。具体的には、交通情報配信サーバ100は、アクセスしてきた車載用ナビゲーション装置300に対して、以前にダウンロードして保持している補正係数情報530のデータ作成日時(バージョン情報)502をリクエストする。車載用ナビゲーション装置300の通信処理部338は、以前にダウンロードして受信情報記憶部339に保持している補正係数情報530のデータ作成日時(バージョン情報)502を交通情報配信サーバ100に送信する。交通情報配信サーバ100の情報受信部113は、自身が保持する補正係数情報530のデータ作成日時502が、車載用ナビゲーション装置300のものより新しい場合、更新された旨を車載用ナビゲーション装置100に送信する。これを受けて、車載用ナビゲーション装置300の表示処理部336は、図13に示すように、ディスプレイ312に、更新された補正係数情報があることを知らせるメッセージを表示する。
【0108】
または、車載用ナビゲーション装置300が更新されたか否か判定し、更新されたと判定した場合には、更新されたことを知らせるメッセージを出力するようにするようにしてもよい。具体的には、交通情報配信サーバ100は、アクセスしてきた車載用ナビゲーション装置300に対して、最新の補正係数情報530のデータ作成日時(バージョン情報)502を送信する。車載用ナビゲーション装置300の通信処理部338は、以前にダウンロードして受信情報記憶部339に保持している補正係数情報530のデータ作成日時(バージョン情報)503を、交通情報配信サーバ100から受信した最新のデータ作成日時503と比較する。そして、交通情報配信サーバ100から受信した最新のデータ作成日時503の方が車載用ナビゲーション装置300のものより新しい場合、補正係数が更新された判定する。そして、車載用ナビゲーション装置300の表示処理部336は、図13に示すように、ディスプレイ312に、更新された補正係数情報があることを知らせるメッセージを表示する。
【0109】
また、車載用ナビゲーション装置300は、記録媒体を介して、補正係数を取得するようにしてもよい。例えば、補正係数が記録された記録媒体(例えば、CD−ROM、メモリカードなど)から補正係数をインストールして使用する。
【0110】
<変形例3>
また、車載用ナビゲーション装置300が、補正係数を生成するようにしてもよい。具体的には、車載用ナビゲーション装置300は、交通情報配信サーバ100から教師データ410を取得する。対象データ420として、自身が収集したプローブ交通情報を用いる。そして、二つの交通情報を用いて、補正係数を求める。補正係数の求め方は、上述したとおりである。
【0111】
<変形例4>
また、上記実施形態では、道路上に設置されたセンサが収集した交通情報を教師データとして、プローブカー起源の交通情報を対象データとした。しかし、この組み合わせに限られない。
【0112】
例えば、以下のように設定してもよい。
1)教師データを、プローブカー起源の交通情報とする。対象データを、道路上に設置されたセンサが収集した交通情報とする。
2)教師データを、プローブカー起源の交通情報、あるいは道路上に設置されたセンサが収集した交通情報とする。対象データを、過去に収集した交通情報を統計処理して生成された統計交通情報とする。
3)教師データを、最新のバージョンの統計交通情報とする。対象データを、古いバージョンの統計交通情報とする。
【0113】
なお、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明は車載用以外のナビゲーション装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーションシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、交通情報配信サーバの概略構成図である。
【図3】図3は、車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図4】図4は、車載用ナビゲーション装置の演算処理部310の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、車載用ナビゲーション装置の演算処理部310のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、補正係数の生成処理のフロー図である。
【図7】図7は、教師データと対象データの構成例を示す図である。
【図8】図8は、補正係数情報の構成例を示す図である。
【図9】図9は、補正済データの生成処理のフロー図である。
【図10】図10は、補正済データの構成例を示す図である。
【図11】図11は、表示例を示す図である。
【図12】図12は、表示例を示す図である。
【図13】図13は、表示例を示す図である。
【図14】図14は、表示例を示す図である。
【図15】図15は、表示例を示す図である。
【図16】図16は、従来の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0115】
100…交通情報配信サーバ、200…交通情報センタ、300…車載用ナビゲーション装置、101…ネットワーク、102…基地局
310…演算処理部、312…ディスプレイ、313…データ記憶装置、314…音声出入力装置、315…入力装置、316…車輪速センサ、317…地磁気センサ、318…ジャイロ、319…GPS受信機、320…ネットワーク通信装置、321…FM多重放送受信装置、323…ビーコン受信装置、
59…CPU、60…RAM、61…ROM、62…DMA、63…描画コントローラ、64…VRAM、65…カラーパレット、66…A/D変換器、67…SCI、68…PIO、69…カウンタ、
331…ユーザ操作解析部、332…経路探索部、333…経路記憶部、334…経路誘導部、335…現在位置算出部、336…表示処理部、337…交通情報補正部、338…通信処理部、339…受信情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第1の交通情報と前記第2の交通情報の中から、共通の対象に関する交通情報を抽出し、それらの相違から、前記第2の交通情報を補正するのに用いられる補正用情報を生成する補正用情報生成手段と、
前記第1の交通情報に含まれていない対象の交通情報を、当該対象に関する前記第2の交通情報を前記補正用情報を用いて補正することにより求める交通情報補正手段と、
を備えることを特徴する交通情報処理装置。
【請求項2】
交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第2の交通情報に対して前記第1の交通情報との差分を補正して当該第1の交通情報の値に近づけるために用いられる補正用情報を取得する補正用情報取得手段と、
前記第1の交通情報に含まれていない対象の交通情報を、当該対象に関する前記第2の交通情報を前記補正用情報を用いて補正することにより求める交通情報補正手段と、
を備えることを特徴する交通情報処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記交通情報補正手段で求めた交通情報を、地図上の渋滞情報の表示、経路探索、目的地までの到着予想時刻の算出の少なくとも1つに利用する
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項4】
請求項2において、
補正して求めた交通情報を、補正していない交通情報と異なる態様で表示する表示手段を備えることを特徴する交通情報処理装置。
【請求項5】
請求項2において、
自身の記憶装置に記憶してある補正用情報のバージョン情報を送信するように外部装置からリクエストを受信する手段と、
自身の記憶装置に記憶してある補正用情報のバージョン情報を前記外部装置に送信する手段とを備える
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記補正用情報生成手段は、
地図上の道路を構成する各リンクについて適用するためのリンク別補正用情報と、リンクの属する道路種別に応じて適用するための道路種別別補正用情報と、地図上の区画された領域であるメッシュに応じて適用するためのメッシュ別補正用情報とを生成し、
前記交通情報補正手段は、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がある場合は、当該リンク別補正用情報を用い、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がない場合で、かつ当該補正対象のリンクが属する道路種別の道路種別別補正用情報がある場合は、当該道路種別別補正用情報を用い、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がない場合で、当該補正対象のリンクが属する道路種別の道路種別別補正用情報がない場合で、かつ当該補正対象のリンクが属するメッシュのメッシュ別補正用情報がある場合は、当該メッシュ別補正用情報を用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記補正用情報は、
時刻、日、曜日、月、季節、年のいずれかで集約されており、
前記交通情報補正手段は、
時刻で集約した補正用情報、日で集約した補正用情報、曜日で集約した補正用情報、月で集約した補正用情報、季節で集約した補正用情報、年で集約した補正用情報をこの優先順に排他的に用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記補正用情報は、交通状況ごとに集約されており、
前記補正用情報は、
補正対象の交通状況に対応する補正用情報を用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項9】
交通情報処理装置であって、
ナビゲーション処理に用いられる第1の交通情報と、前記第1の交通情報と生成元の異なる第2の交通情報とを取得する手段と、
前記第2の交通情報に対して、前記第1の交通情報との差分を補正して、当該第1の交通情報の値に近づけるために用いられる補正用情報を取得する補正用情報取得手段と、
補正が必要な対象を設定する補正対象手段と、
前記補正対象設定手段が設定した対象に関する交通情報を、前記第2の交通情報から抽出し、前記補正用情報を用いて補正する交通情報補正手段と
を備えることを特徴する交通情報処理装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記補正用情報生成手段は、
地図上の道路を構成する各リンクについて適用するためのリンク別補正用情報と、リンクの属する道路種別に応じて適用するための道路種別別補正用情報と、地図上の区画された領域であるメッシュに応じて適用するためのメッシュ別補正用情報とを生成し、
前記交通情報補正手段は、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がある場合は、当該リンク別補正用情報を用い、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がない場合で、かつ当該補正対象のリンクが属する道路種別の道路種別別補正用情報がある場合は、当該道路種別別補正用情報を用い、
補正対象のリンクに関するリンク別補正用情報がない場合で、当該補正対象のリンクが属する道路種別の道路種別別補正用情報がない場合で、かつ当該補正対象のリンクが属するメッシュのメッシュ別補正用情報がある場合は、当該メッシュ別補正用情報を用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記補正用情報は、
時刻、日、曜日、月、季節、年のいずれかで集約されており、
前記交通情報補正手段は、
時刻で集約した補正用情報、日で集約した補正用情報、曜日で集約した補正用情報、月で集約した補正用情報、季節で集約した補正用情報、年で集約した補正用情報をこの優先順に排他的に用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記補正用情報は、交通状況ごとに集約されており、
前記補正用情報は、
補正対象の交通状況に対応する補正用情報を用いる
ことを特徴する交通情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−183177(P2007−183177A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1660(P2006−1660)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】