説明

位置を推定する方法及び関連する装置

方法は、慣性位置情報、GPS情報、及び測距情報を、位置推定装置を使って受け取ることを含む。この方法は、慣性位置情報、GPS情報、及び測距情報の組み合わせに基づいて、位置推定装置の位置の推定を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、位置の推定に関する。より詳しくは、本願開示は、慣性位置情報、測距情報、及びGPS(Global Positioning System)情報の組み合わせに基づいて、位置を推定する方法及び関連する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の多くの業務は、緊急かつ危険な状況に対応する必要がありうる。このような状況では、自身の位置及び他者の位置に関する知識は、うまく対応するために最も重要な情報になりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの例では、装置は自身の位置を判断するためにGPS信号を受信する。この装置は更に、2つ以上の位置からの三角測量を使って、GPS信号に組み合わせる。この2つ以上の位置から、この装置は信号を受信する。この2つ以上の位置に、この装置は信号を送信する。この装置は、GPS信号及び2つ以上の位置からの信号により、自身の位置の推定を判断する。しかし、GPS信号及び2つ以上の位置からの信号の双方とも、届かないことがある。例えば、この装置が地下にある場合は、位置を推定する正確度は落ちる。この例では、正確度が落ちても、この装置の意図した目的のためには有用ではある。しかし、この技術を改良する余地は残っている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の教示は、一般に、慣性位置情報、GPS情報、及び測距情報を、位置推定装置を使って受け取る方法を含む。この方法は、慣性位置情報、GPS情報、及び測距情報の組み合わせに基づいて、位置推定装置の位置の推定を判断する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本願の教示による位置推定装置の例の斜視図である。本願の教示は、利用者に付随する位置推定装置の位置の推定を判断する。
【図2】図1の位置推定装置を着用している利用者の例の斜視図である。
【図3】本願の教示による位置推定装置の区画図である。
【図4】状況認識システム、位置推定装置を持っている複数の利用者、及び中継節点の図である。状況認識システム、利用者、及び中継節点の全ては、様々な組み合わせで互いに通信してもよい。
【図5】本願の教示による場面の例の斜視図である。ある状況における複数の利用者と中継節点を示している。この状況では、位置の推定が利用者の役に立つ。
【図6】本願の教示による図である。図6は、状況認識システムを示す。状況認識システムは、利用者と中継節点の位置を追跡している。図6はまた、それぞれの位置の推定の各々についての正確度を示す。
【図6A】図6の一部を拡大した図である。図6Aは、利用者の識別、状態、及び推定位置、並びに利用者の位置の推定の正確度を記述する値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本願の教示を適用できる更なる領域は、本願に示す記載から明らかになる。次のことに注意。即ち、実施例の記載及び特定の例は、例示のみを目的とすることを意図している。実施例の記載及び特定の例は、本願の教示の範囲を限定することを意図していない。
【0007】
次の記載は、本質的に単なる例である。次の記載は、本願の教示、本願の教示の応用、又は本願の教示の利用者を、制限することを意図していない。次のことに注意。即ち、全ての図面を通して、対応する参照番号は、似た又は対応する部分及び機能を示すことがある。
【実施例】
【0008】
図1及び図2を参照する。本願の教示は、一般に、位置推定装置10を含む。位置推定装置10を、利用者12が持つ。図3を参照する。位置推定装置10は、一般に、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18を含む。加えて、位置推定装置10は、位置判断モジュール20を含む。位置判断モジュール20は、位置推定装置10の位置の推定を判断する。この判断は、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18からの情報の組み合わせに基づく。
【0009】
制御モジュール22は、複数のモジュール24の全部の間又は一部の間の通信を、制御及び/又は援助してもよい。位置推定装置10が更に含むのは、スピーカー26及びマイク28である。スピーカー26及びマイク28を、利用者12が有効又は無効にする。位置推定装置10の1つ以上の利用者制御部30を使うことによって、利用者12は、通信を送信及び/又は受信する。スピーカー26及びマイク28を、遠隔から有効又は無効にできる。
【0010】
位置推定装置10が更に含むのは、アンテナモジュール32、スピーカーモジュール34、マイクモジュール36、及び利用者制御部モジュール38である。アンテナモジュール32は、アンテナ40に接続する。アンテナモジュール32はまた、次のものにも接続できる。即ち、追加のアンテナ、外部のアンテナ、図4の別な位置推定装置10aに付いているアンテナ40a、及びこれらのアンテナの組み合わせ。GPSモジュール16及び/又は測距モジュール18は、1つ以上のアンテナを持ってもよい。この1つ以上のアンテナは、それぞれのモジュールに接続してもよい。即ち、この1つ以上のアンテナは、そのモジュール用の専用アンテナである。従って、GPSモジュール16及び/又は測距モジュール18が使えるのは、アンテナ40、専用アンテナ、及びアンテナ40と専用アンテナの組み合わせである。
【0011】
スピーカーモジュール34は、スピーカー26に接続する。スピーカーモジュール34はまた、次のものに接続してもよい。即ち、追加のスピーカー、外部のスピーカー、図2の利用者のイヤホン42、図4の別な位置推定装置10a等のスピーカー26a、及び/又はこれらの組み合わせ。マイクモジュール36は、図1のマイク28に接続する。マイクモジュール36は、次のものにも接続できる。即ち、追加のマイク、外部マイク、利用者のイヤホン(マイク内蔵型)42、図4の別な位置推定装置10a等のマイク28a、及び/又はこれらの組み合わせ。
【0012】
位置推定装置10が更に含むのは、位置判断モジュール20、識別モジュール44、表示モジュール46、及び電源モジュール48である。位置判断モジュール20及び/又は制御モジュール22は、位置推定装置10の位置の推定を判断する。この判断の際に、情報の認知網を使う。この情報は、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18から来る。位置推定装置10は、位置推定装置10の位置の情報を、1人以上の利用者12a等に与える。この際に、他の位置推定装置10a等、及び/又は、図6に示す状況認識システム50を使う。
【0013】
識別モジュール44は、一意な識別子データを含む。一意な識別子データは、識別モジュール44の中にある。一意な識別子データは、他の諸モジュール24にあることもできる。この識別子データは、次の情報を含む。即ち、通し番号、媒体利用制御(MAC)アドレス、装置番号、他の適切な情報の列、及び/又はこれらの組み合わせ。
【0014】
表示モジュール46は、位置推定装置10の表示器52を含む。図2の利用者12は、表示器52を見ることができる。表示器52は、利用者12に有用な情報に関する画像を提供する。表示器52は、次を含む。即ち、1つ以上の画面(例えば液晶表示画面)及び/又は1つ以上の表示灯(例えば発光ダイオード)。表示灯は、何らかの機能(例えば電源の入/切)に関する。表示モジュール46はまた、有用な情報に関する画像を、図4の別な位置推定装置10a等の1つ以上の表示器52aに、及び/又は、図6の状況認識システム50の表示器51に、送ることもできる。有用な情報とは、次の情報を含むことができる。即ち、位置情報、その位置情報の正確度を記述する値、電池残量、発話の入/切、システムの状態、等。
【0015】
電源モジュール48は、位置推定装置10の様々なモジュール24の電力の使用を、制御及び/又は管理する。電源モジュール48は、内部の電池54及び/又は外部の電源に接続する。これにより、位置推定装置10に電力を与える。電源モジュール48は、1つ以上の電池54から使える電力の残量を判断する。
【0016】
利用者制御部モジュール38は、1つ以上の次に示す制御部に接続する。即ち、発話制御部56、音量制御部58、スケルチ制御部60、及びチャンネル選択制御部62。発話制御部56は、切替器又は他の適切な装置を含む。これにより、発話の入状態と発話の切状態の間を切り替える。発話制御部56が、発話の入状態にある場合は、発話制御部56は、位置推定装置10に、例えばマイク28から受け取った内容を、送信することを許す。発話制御部56が、発話の切状態にある場合は、位置推定装置10は、送信を行わず、代わりに、送信された内容を受信できる。この例では、位置推定装置10は、単方向通信のシステム又は半二重通信のシステムである。即ち、利用者12は、送信するためには発話制御部56を押すか有効化する必要がある。かつ、利用者12は、受信するためには発話制御部56を放す必要がある。本発明の別の観点では、二重通信又は全二重通信のシステムを使ってもよい。このシステムは、例えば、セルラー通信の標準を使う。
【0017】
音量制御部58は、スピーカー26の音量を調整する。スケルチ制御部60は、次の場合に受信を完全に無効にできる。即ち、有用な信号が、ある値よりも低く落ちた場合である。スケルチ制御により、次の状況を避ける。即ち、高い雑音信号が散布され、所望の信号が無い状況である。チャンネル選択制御部62により、利用者12は、チャンネルを選択できる。選択したチャンネルで、位置推定装置10は、送信及び/又は受信ができる。
【0018】
前述の諸モジュール24を、適切な下位モジュールを持つ単一のモジュールに統合してもよい。前述の諸モジュールの全部若しくは一部並びに/又は総体としての位置推定装置を、手持ち装置に含めてもよい。又は、前述の諸モジュールの全部若しくは一部並びに/又は総体としての位置推定装置は、他の装置の部分でもありうる。他の装置とは、例えば、ノート型計算機、ヘッドセット、車載型計算機、等である。
【0019】
次の点に注意。即ち、2つ以上の諸モジュール24を、単一のモジュールに統合してもよい。単一のモジュールとは、例えば、単一の複数機能型モジュールである。単一の複数機能型モジュールは、複数の下位モジュールを持つ。2つ以上の諸モジュール24を、複数のモジュールに分割してもよい。分割された複数のモジュールは、互いに通信する。及び/又は、2つ以上の諸モジュール24は、単一のモジュールと複数のモジュールの組み合わせでもよい。本願で使う語である、モジュール、制御モジュール、部品、及び/又は装置は、次を指すことができる。即ち、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、(共有型、占有型、若しくは複数型の)処理装置及び記憶装置であって1つ以上のソフトウェア若しくはファームウェアのプログラムを実行するもの、組み合わせ論理回路、並びに/又は、他の適切な、機械的、電気的、若しくは電気機械的部品であって、所望の機能を提供するもの。更に、モジュールは、他のモジュール、装置、区画等と通信してもよい。この際に使うのは、デジタル及び/若しくはアナログの入力及び出力並びに/又は適切な通信網である。適切な通信網は、無線及び/又は有線の接続を経由する。
【0020】
位置推定装置10は、動作すると、位置推定装置10の利用者12に、その利用者の位置の推定を与える。この推定は、認知網で利用できる情報の融合又は組み合わせに基づく。位置推定装置10はまた、利用者12の位置の前述の推定の正確度の記述の値を、1つ以上与える。位置情報及び/又は位置情報の正確度は、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18から得た情報の組み合わせに基づく。図4を参照する。位置推定装置10は、位置情報を、様々な受信相手に送信する。様々な受信相手とは、例えば、他の利用者12a等、又は状況認識システム50である。他の利用者12a等は、他の位置推定装置10a等を持っている。状況認識システム50は、複数の位置推定装置10、10a等の位置を追跡できる。
【0021】
位置情報を、次のモジュールからの情報の組み合わせによって判断する。即ち、慣性位置モジュール14(慣性情報を提供する)、GPSモジュール16(GPS信号を提供する)、及び測距モジュール18(測距信号を提供する)。位置推定装置10は、この3つのモジュール14、16、及び18からの情報を受け取り、利用者12に、位置推定装置10の位置の推定を提供する。また、位置推定装置10は、利用者12に、その位置情報の正確度又は信頼度を記述する値を与える。位置推定装置10は、情報の組み合わせに基づく。従って、位置推定装置10は、更に、前述の3つのモジュール14、16、及び18の情報源の各々についての正確度を重み付ける。この重み付けは、例えば、3つのモジュール14、16、及び18が受け取った信号の状態に基づく。各々のモジュールが受け取った信号の正確度は、次の要因によって影響を受けることがある。即ち、信号の強さ、複数の信号を受け取れるか否か、雑音、物理的な障害物、等。位置情報の基礎となる個々の信号の正確度又は信頼度も、表示器52に表示できる。
【0022】
慣性位置モジュール14は、ジャイロスコープ及び/又は他の適切な部品を含む。これによって、慣性情報及び慣性情報の変化を検出する。慣性位置モジュール14及び/又は位置判断モジュール20は、情報を、GPSモジュール16及び/又は測距モジュール18から得る。例えば、GPSモジュール16は、第1の参照位置を確定する。慣性位置モジュール14は、第1の参照位置からのずれを測定する。即ち、図2の利用者12が、第1の参照位置から3m歩いた場合、慣性位置モジュール14は、その動きを検出する。この際に、GPSモジュール16からの更なる入力は無い。慣性位置モジュール14は、従って、3次元の全ての方向について、相対的な移動の情報を提供できる。慣性位置モジュール14は、適切な3次元加速度計を含むことができる。又は、慣性位置モジュール14は、適切な3次元加速度計の部分であることができる。適切な3次元加速度計とは、例えば、3軸iMEMS(商標)加速度計である型番ADXL330である。この加速度計は、米国マサチューセッツ州ノーウッドのアナログデバイセズ社から一般に入手できる。
【0023】
GPSモジュール16は、1つ以上のGPS信号を、GPS衛星から受信する。アンテナ40又は他の適切なアンテナは、GPSモジュール16が受信できる限り、なるべく多くのGPS衛星からの信号を受信する。場合により、しかし、GPSモジュール16がGPS衛星から受信する信号の搬送波周波数は、物理的な障害物によって遮られてしまう。とりわけ、この信号は、次のような障害物によって遮られることがある。即ち、建物、壁、厚く重なった木の枝葉、又は他の物理的な障害物である。このような障害物は、アンテナ40とGPS衛星の見通し線を遮るものである。
【0024】
GPSモジュール16が少なくとも3つのGPS衛星からの情報を受信した場合、GPSモジュール16は、位置推定装置10の緯度及び経度を判断する。GPSモジュール16が少なくとも4つのGPS衛星からの情報を受信した場合、GPSモジュール16は、位置推定装置10の緯度、経度及び高度を提供する。多くの場合、アンテナ40はそれほど邪魔されない。従って、GPSモジュール16は、少なくとも6つのGPS衛星からの信号を受信する。
【0025】
測距モジュール18は、電磁波を送信及び/又は受信する。これにより、測距モジュール18は、他の構造物又は他の送信器からの、位置推定装置10の距離を推定する。1つの例では、測距モジュール18は、到着時間方法を使って、位置推定装置10から、他の対象までの、距離の値を測定する。この場合、測距モジュール18は、信号を送出し、その信号が測距モジュール18に戻って来るのを待つ。送出した信号は、例えば、反射して戻って来る。信号の速度は一定であること、その信号が送出された時刻、及び、その信号が既知の対象に反射して戻って来た時刻、の3つに基づいて、その既知の対象からの距離の推定を判断する。
【0026】
別の例では、測距モジュール18は、前述の双方向(即ち、行って反射して帰って来る時間)の距離の計算の代わりに、又は前述の双方向(即ち、行って反射して帰って来る時間)の距離の計算に加えて、片方向の距離の計算を使う。この場合、測距モジュール18は、信号の送信と信号の受信との間にかかった時間を計る。ただし、送信側と受信側の時計が同期していることが条件である。距離の測定は、送信と受信の間の、2つの時計の測定値の間の差に基づくことができる。測距モジュール18は、従って、複数の対象からの複数の距離を測定する。従って、測距モジュール18は、双方向及び/又は片方向の計算を使う。測距モジュール18は、推定された位置を判断できる。この判断は、例えば、複数の信号の三角測量に基づく。次の点に注意。即ち、送信及び/又は受信する信号の数が多ければ多いほど、測距モジュール18の正確度を上げることができる。
【0027】
認知網で利用可能な情報並びに慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18から利用可能な情報の各々は、位置判断モジュール20に位置情報を提供する。慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18の各々からの情報の各々は、付随する不確実度の値を持つ。慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18の各々からの不確実度は、付随する値を持つ。しかし、次のことが判ってもよい。即ち、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18の全てからの情報の全てを組み合わせて得た、位置推定についての総合的な不確実度は、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18の各々からの情報の各々の、個々の不確実度よりも、小さい。
【0028】
位置推定装置10は、双方向の音声通信を提供する。この通信は、位置推定装置10の利用者12と、種々の他の相手との間の通信である。図1を参照する。本願の教示の様々な観点においては、位置推定装置10は、手持ち型の装置、又は容易に持ち運べる装置である。別の観点においては、位置推定装置の(1部の又は全部の)機能を、他の設備に組み込むことができる。他の設備とは、例えば、中継節点64、状況認識システム50、膝上計算機、乗物、等である。双方向の通信について、図4を参照する。位置推定装置10は、位置推定装置10の位置推定をも送信できる。送信先は、他の位置推定装置10a等の他の利用者12a等、及び/又は、状況認識システム50である。更に、位置推定装置10は、通信接続範囲にある他の位置推定装置10a等に頼ることもできる。他の位置推定装置10a等と通信することによって、他の位置推定装置10a等の位置情報、及び、位置推定装置10に関連する情報を使えば、位置推定装置10の位置推定の不確実度が更に下がる。
【0029】
位置判断モジュール20は、次の情報を受け取れる。即ち、慣性位置モジュール14、GPSモジュール16、及び測距モジュール18からの情報、状況認識システム50からの情報、他の装置10a等からの情報、並びにこれらの情報の組み合わせである。位置判断モジュール20は、これらの情報の全てを組み合わせることができる。これにより、位置判断モジュール20は、位置推定装置10の利用者12に対して、位置の推定を提供できる。1つの例では、カルマンフィルターを使って、これらの情報を統合する又は組み合わせる。これにより、位置推定を、利用者12、他の利用者12a等、及び/又は状況認識システム50に与える。また、カルマンフィルターは、種々のモジュール24からの情報に基づいて、位置推定の推定の正確度又は信頼度も与える。
【0030】
他のフィルターを使ってもよい。他のフィルターとは、例えば、単純カルマンフィルター、シュミットの拡張フィルター、適切な情報フィルター、平方根フィルター、PLLフィルター、及び他のフィルターである。これらのフィルターは、位置推定装置10と位置推定装置10の速度とについて、連続的に更新される情報を正確に判断する。この判断の際に、位置推定装置10について、複数の情報源からの、一連の観察結果さえあればよい。前述のフィルターのいかなるものも、情報源が複数あることに関する、誤差及び/又は雑音に対処できる。
【0031】
図1、図3、図6及び図6Aを参照する。位置推定装置10の表示器52及び/又は状況認識システム50の表示器51は、次についての画像を表示する。即ち、位置推定の位置の正確度及び/若しくは信頼度(図1及び図6Aの72)並びに/又は位置推定への寄与の各々の信頼度。加えて、表示器51及び52は、選択可能な範囲にいる、他の位置推定装置10a等の他の利用者12a等の位置を表示する。表示器51及び52は、また、状況認識システム50に相対的な距離及び/又は位置を含むこともできる。表示器51及び52は、また、関連する測地的、地形的、及び/又は構造的な情報(例えば建物の設計図)に相対的に、利用者12、12a等の位置を表示することもできる。
【0032】
図4及び図5を参照する。本願の教示の更なる観点によれば、位置推定装置10は、位置推定装置10の加速度の値を測定する。位置推定装置10は、いつ加速度の値が、ある加速度の閾値よりも大きくなったかを判断できる。加速度の閾値は、例えば、次の加速度の値と相関してもよい。即ち、利用者12が、歩く、走る、又は車を運転することの何れかを、普通に行うことによって、達成できるよりも大きい加速度の値である。従って、加速度の閾値は、爆発、自由落下、又は他の危険な状況に巻き込まれていることか関与することかに関連してもよい。
【0033】
位置推定装置10は、また、位置推定装置10の速度の値を検出できる。速度の値を、既定の期間に渡って測定する。例えば、位置推定装置10の速度が、1つの例の期間(例えば10分間)に渡ってゼロであった場合には、位置推定装置10は、次のように判断する。即ち、その既定の期間に渡って速度がゼロであったことは、次のことを示している。即ち、利用者12は、何らかの仕方で釘付けにされている又は縛り付けられている、従って利用者12は動けない。このような場合、位置推定装置10は、その状況(例えば釘付けにされていること又は爆発に遭ったこと)を、他の利用者12a等及び/又は状況認識システム50に通信する。この機能を無効にできるのは、そのように長時間に渡って一か所に待機することが必要な場合である。位置推定装置10の、加速度の値と、速度の値と、加速度の値及び速度の値の組み合わせとの何れかが、利用者12にとって正常と考えられる範囲から外れたと判断された場合には、位置推定装置10は、他の位置推定装置10a等及び/又は状況認識システム50と通信を行う。これにより、通信相手に、利用者12が危険な状態にありうることを警告する。
【0034】
本願の教示の別の観点によれば、1つ以上の中継節点64を、作業現場に配置する。このことは図4に示す通りである。このことにより、位置推定装置10が受信して処理する情報を、更に助け、増補する。中継節点64は、その中継節点64に相対的な位置情報を、位置推定装置10に与える。1つの観点では、中継節点64は、位置推定装置10、他の位置推定装置10a等、又は状況認識システム50に、位置情報を与えるのみである。別の観点では、中継節点64は、追加の位置推定装置である。この追加の位置推定装置である中継節点64は、環境の別の部分に配置されている。この追加の位置推定装置である中継節点64は、前述の位置推定装置10の機能の一部又は全部を提供する。様々な例では、中継節点64は、慣性情報、GPS情報、及び/又は測距情報を提供する。中継節点64は、その中継節点に割り当てられた位置を、手動で広域送信できる。
【0035】
図5を参照する。1つの例では、緊急救援部隊66は、建物68に入ってもよい。緊急救援部隊66は、3人の利用者12、12a及び12bを含んでもよい。3人の利用者12、12a及び12bの各々は、位置推定装置10、10a及び10bを持つ。緊急救援部隊66の1人は、1つの中継節点64を、建物68の入口70の近くに設置してもよい。すると、中継節点64は、脱出地点の印となる。従って、中継節点64は、この状況の開始地点となる。加えて、中継節点64並びに位置推定装置10、10a及び10bの全てを、状況認識システム50が監視してもよい。これは図4及び図6に示す通りである。
【0036】
緊急救援部隊66が建物68に入ると、緊急救援部隊66は、追加の中継節点64を配置する。例えば、緊急救援部隊66が建物68の下層階に入るとする。建物68の下層階では、物理的に空を見ることができなくてもよい。すると、緊急救援部隊66は、追加の中継節点64を配置する。このことにより、緊急救援部隊66の位置推定装置10、10a等の各々の位置推定の正確度を改善する。この場合、GPSモジュール16は、GPS信号を受信できなくてもよい。緊急救援部隊66は、もう空を見ることができないからである。従って、位置推定装置10は、測距モジュール18及び慣性位置モジュール14が受け取った情報に頼ってもよい。また、位置推定装置10は、劣悪であっても、GPS情報に頼ってもよい。
【0037】
更に、位置推定装置10は、次の情報源から受信した情報に頼ってもよい。即ち、他の位置推定装置10a及び10b、中継節点64、状況認識システム50、並びにこれらの情報源の組み合わせ。これらの情報の全てが使えれば、たとえGPS情報及び/又は測距情報が散発的で当てにならなくとも、位置推定装置10、10a及び10bの各々の、位置判断モジュール20及び/又は制御モジュール22は、前述の情報源の全部又は一部からの情報を使う。こうすることにより、位置推定装置10の利用者12に、位置推定及び位置推定の信頼度の値を与える。
【0038】
更なる観点では、位置推定装置10は、正確度が落ちた位置情報に基づく。正確度が落ちた原因は、物理的な障害物でありうる。このような位置推定装置10は、利用者12に、表示器52によって、中継節点64を配置するように通知する。情報の正確度の既定の閾値を、次のように定めることができる。即ち、この閾値を超えた場合、位置推定装置10は、利用者12に、中継節点64を1つ配置するように指示する。このことにより、位置推定装置10の正確度を改善する。状況認識システム50も、正確度の閾値に基づいて、利用者12、12a及び12bに、追加の中継節点64を配置するように指示できる。
【0039】
特定の観点を明細書に記載し、かつ、図面に示した。しかし、当業者は、次の点を理解することになる。即ち、種々の変更を行ってもよい。また、均等物は要素を代替してもよい。これらの場合でも、特許請求の範囲に示す本願の教示の範囲から離れることにはならない。更に、本願の教示の様々な観点の間で、特徴、要素及び/又は機能を組み合わせることを、ここで明示的に考えてもよい。即ち、当業者は、本願の教示から次を理解することになる。即ち、1つの観点の特徴、要素及び/又は機能を、適切な場合には、他の観点に組み込んでもよい。但し別様に記述されている場合を除く。更に、本願の特許請求の範囲から離れることなく、本願の教示に対して多くの変更を行って、特定の状況、構成、又は材料に適応してもよい。従って、次のことが意図されてもよい。即ち、本願の教示は、図面に示されかつ明細書に記載された特定の観点には限定されない。この特定の観点は、本願の教示を実施するための最良の形態であると出願時に考えられるものである。また、次のことが意図されてもよい。即ち、本願の教示の範囲は、前述の記載及び添付の特許請求の範囲において派生する多くの観点及び多くの例を含むことになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性位置情報、GPS情報、及び測距情報を、位置推定装置を使って受け取ること;及び
前記慣性位置情報、前記GPS情報、及び前記測距情報の組み合わせに基づいて、前記位置推定装置の位置の推定を判断すること;
を含む方法。
【請求項2】
前記位置推定装置は、前記GPS情報及び前記測距情報のうちの1つを、前記位置推定装置、別の位置推定装置、中継節点、状況認識システム、GPS、及び、前記位置推定装置と前記別の位置推定装置と前記中継節点と前記状況認識システムと前記GPSとの組み合わせ、のうちの1つから受け取る、請求項1の方法。
【請求項3】
前記位置の前記推定を前記判断することは、別の位置推定装置の位置の推定、状況認識システムの位置の推定、中継節点の位置の推定、及び、前記別の位置推定装置の位置の推定と前記状況認識システムの位置の推定と前記中継節点の位置の推定との組み合わせ、のうちの1つに更に基づく、請求項1の方法。
【請求項4】
前記位置推定装置の加速度の値が、加速度閾値よりも大きくなった時(以下「甲の時」という。)、前記位置推定装置の速度の値が、閾値の期間に渡ってゼロとなった時(以下「乙の時」という。)、及び、前記甲の時と前記乙の時との組み合わせ、のうちの1つを判断すること;及び
前記加速度の前記値が、前記加速度閾値を超えた場合(以下「丙の場合」という。)、前記速度の前記値が、前記閾値の期間に渡ってゼロとなった場合(以下「丁の場合」という。)、及び、前記丙の場合と前記丁の場合との組み合わせ、のうちの1つの場合に、警告を送ること;
を更に含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記位置推定装置の位置、前記別の位置推定装置の位置、前記中継節点の位置、及び、前記位置推定装置の位置と前記別の位置推定装置の位置と前記中継節点の位置との組み合わせ、のうちの1つを、測地的な情報、構造的な情報、地形的な情報、及び、前記測地的な情報と前記構造的な情報と前記地形的な情報との組み合わせ、のうちの1つに相対的に、前記位置推定装置に表示することを更に含む、請求項2の方法。
【請求項6】
位置推定装置であって:
慣性位置情報を提供する慣性位置モジュール;
GPS情報を提供するGPSモジュール;
測距情報を提供する測距モジュール;
前記慣性位置情報と前記GPS情報と前記測距情報との組み合わせに基づいて、前記位置推定装置の位置の推定を判断し、かつ、前記位置の前記推定の正確度を判断する、位置判断モジュール;及び
前記位置推定装置の前記位置の前記推定と前記位置の前記推定の前記正確度を記述する値とを表示する、表示器;
を含む位置推定装置。
【請求項7】
前記位置判断モジュールは、前記GPS情報の正確度の値、及び、前記測距情報の正確度の値、のうちの1つを判断し;かつ
前記表示器は、別の位置推定装置の位置、状況認識システムの位置、前記GPS情報の前記正確度の前記値、前記測距情報の前記正確度の前記値、及び、前記別の位置推定装置の位置と前記状況認識システムの位置と前記GPS情報の前記正確度の前記値と前記測距情報の前記正確度の前記値との組み合わせ、のうちの1つを表示する;
請求項6の位置推定装置。
【請求項8】
別の位置推定装置、状況認識システム、及び、前記別の位置推定装置と前記状況認識システムとの組み合わせ、のうちの1つを更に含む、請求項6の位置推定装置、ここで、前記1つは、前記位置推定装置の加速度の値が、加速度閾値を超えた場合(以下「戊の場合」という。)、前記位置推定装置の速度の値が、閾値の期間に渡ってゼロとなった場合(以下「己の場合」という。)、及び、前記戊の場合と前記己の場合との組み合わせ、のうちの1つの場合に、前記位置推定装置からの警告を受け取れる。
【請求項9】
状況認識システム、中継節点、及び、前記状況認識システムと前記中継節点との組み合わせ、のうちの1つを更に含む、請求項6の位置推定装置、ここで、前記状況認識システム及び前記中継節点の各々は、GPS情報を提供するGPSモジュール、測距情報を提供する測距モジュール、及び、前記GPSモジュールと前記測距モジュールとの組み合わせのうちの1つを含み、かつ、前記位置推定装置の前記位置判断モジュールは、前記状況認識システム、前記中継節点、及び、前記状況認識システムと前記中継節点との前記組み合わせ、のうちの1つから、前記GPS情報、前記測距情報、及び、前記GPS情報と前記測距情報との前記組み合わせ、の1つに基づいて、前記位置の前記推定を判断する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【公表番号】特表2010−501878(P2010−501878A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526841(P2009−526841)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/076866
【国際公開番号】WO2008/027822
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】