説明

位置合わせ方法、露光方法、デバイス製造方法、及びフラットパネルディスプレイの製造方法

【課題】基板を露光する途中での、基板の取り外しを前提とする基板保持部材の採用を可能にする位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】 基板P上に複数の区画領域(SA1、SA2等)を形成するに当たり、基板P上に区画領域を形成する度毎に、基板Pを該基板Pの面に平行な面内でステップ移動し、該ステップ移動の前後で、基板Pの同一の検出対象部(例えばエッジ)の位置情報を例えば複数のセンサ122X、122X、122Yを用いて検出し、その検出結果に基づいて、区画領域の形成の際に、基板Pを露光領域IAに対して位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置合わせ方法、露光方法、デバイス製造方法、及びフラットパネルディスプレイの製造方法に係り、特に、基板上に複数の区画領域を形成するに当たり、前記基板を所定位置に位置合わせする位置合わせ方法、該アライメントのための計測を含む露光方法、該露光方法を用いるデバイス製造方法、及びフラットパネルディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
近年、露光装置の露光対象物である基板、特に液晶表示素子用の基板(矩形のガラス基板)は、そのサイズが大型化する傾向にあり、これに伴い露光装置のステージ装置も大型化し、その重量も増大している。かかるステージの大型化に対処することを目的とした露光装置を、発明者は先に提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
露光装置では、表面に感応剤が塗布されたガラスプレート、あるいはウエハなど(以下、基板と総称する)は、基板ステージ上に載置される。しかるに、例えば液晶用のガラス基板は、最新の第10世代では一辺が3メートル以上になるなど一層大型化する傾向にあるため、これを保持する基板ステージのさらなる小型化を実現する新たな装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0018950号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板ステージのさらなる小型化を実現するための1つの手法として、基板に比べて格段に小さい基板保持面を有する基板ステージの採用が検討されているが、この場合、1枚の基板上の全面に位置する複数の領域を露光する場合、その複数の領域の露光が開始されてから終了するまでの間に、基板を基板ステージから一旦取り外して、再度基板ステージに保持させる動作が必須となる。この場合、基板に対して第2層目以降の露光を行う場合と異なり、第1層目の露光を行う場合には、通常基板上にアライメントマークが存在しないため、露光位置に対する基板の位置合わせが問題となる。本発明は、かかる問題を改善すべくなされたもので、以下のような構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、基板上に複数の区画領域を形成するに当たり、前記基板を所定位置に位置合わせする位置合わせ方法であって、前記基板上に区画領域を形成する度毎に、前記基板を該基板の面に平行な面内でステップ移動し、該ステップ移動の前後で、前記基板の同一の検出対象部の位置情報を検出することと、前記検出対象部の位置情報の検出結果に基づいて、前記区画領域の形成の際に、前記基板を所定位置に対して位置合わせすることと、を含む位置合わせ方法が、提供される。
【0008】
これによれば、基板のステップ移動を、該基板を保持した保持部材の移動によって行う場合に限らず、基板のみを、その保持部材に対して移動させる場合、すなわち、ステップ移動に際してその保持部材から基板を一旦外す場合であっても、区画領域の形成に際し、支障なく基板を所定位置に対して精度良く位置合わせすることが可能になる。従って、基板上のほぼ全面を露光する際に、途中での、基板の取り外しを前提とする基板よりも小さな保持部材の採用が可能になる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームにより基板を露光して、前記基板上に複数層のパターンが重ね合わせられた複数の区画領域を形成する露光方法であって、前記基板上に前記複数の区画領域を形成するための第1層目の露光に際しては、本発明の位置合わせ方法を用いて、露光位置に対する前記基板の位置合わせを行い、前記基板上に形成された複数の区画領域に重ね合わせてパターン領域を形成する第2層目以降の露光に際しては、前層以前の露光の際に前記各区画領域のパターンとともに前記基板に形成されたマークの位置を検出することで前記露光位置に対する前記基板の位置合わせを行う第1の露光方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、エネルギビームにより基板を露光して、前記基板上に複数層のパターンが重ね合わせられた複数の区画領域を形成する露光方法であって、前記基板上に前記複数の区画領域を形成するための第1層目の露光に際しては、前記基板は、その外周縁部の少なくとも一部を吸着して支持する基板支持部材と一体化され、前記基板支持部材に設けられた反射面に計測ビームを照射する基板干渉計システムによって、前記基板の位置を計測し、その計測結果に基づいて、露光位置に対する前記基板の位置合わせを行い、前記基板上に形成された複数の区画領域に重ね合わせてパターン領域を形成する第2層目以降の露光に際しては、前層以前の露光の際に前記各区画領域のパターンとともに前記基板に形成されたマークの位置を検出することで前記露光位置に対する前記基板の位置合わせを行う第2の露光方法が、提供される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、露光位置に対して前記基板の面に平行な所定面内の第1方向に基板を駆動してエネルギビームにより前記基板上の複数の被処理領域を露光する露光方法であって、前記基板上の被処理領域の配置と処理の順番とに応じた前記第1方向の位置で、前記所定面内で前記第1方向に直交する第2方向に基板を変位させて移動体上に前記基板を搬入することと、前記基板が搬入された前記第1方向の位置で、前記基板の前記露光位置に対する位置合わせのための計測を開始することと、を含む第3の露光方法が、提供される。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、上記第1ないし第3の露光方法のいずれかにより基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が、提供される。
【0013】
本発明の第6の態様によれば、上記第1ないし第3の露光方法のいずれかにより前記基板としてフラットパネルディスプレイに用いられる基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置100の構成を概略的に示す図である。
【図2】露光装置100を示す一部省略した平面図である。
【図3】図2に示されるアライメント検出系の配置等について説明するための図であって、図2から一部の構成部分をさらに省略した図である。
【図4】露光装置100を図1の+X方向から見た側面図(一部省略、一部断面にて示す図)である。
【図5】露光装置100の制御系を中心的に構成する主制御装置の入出力関係を示すブロック図である。
【図6】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その1)である。
【図7】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その2)である。
【図8】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その3)である。
【図9】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その4)である。
【図10】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その5)である。
【図11】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その6)である。
【図12】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その7)である。
【図13】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その8)である。
【図14】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その9)である。
【図15】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その10)である。
【図16】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その11)である。
【図17】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その12)である。
【図18】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その13)である。
【図19】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その14)である。
【図20】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その15)である。
【図21】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その16)である。
【図22】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その17)である。
【図23】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その18)である。
【図24】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その19)である。
【図25】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その20)である。
【図26】露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その21)である。
【図27】基板支持部材を用いる変形例について説明するための図である。
【図28】第2の実施形態に係る露光装置200を概略的に示す一部省略した平面図である。
【図29】図29(A)〜図29(F)は、露光装置200で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その1〜その6)である。
【図30】図30(A)〜図30(F)は、露光装置200で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その7〜その12)である。
【図31】第3の実施形態に係る露光装置300を概略的に示す一部省略した平面図である。
【図32】図32(A)〜図32(F)は、露光装置300で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その1〜その6)である。
【図33】図33(A)〜図33(F)は、露光装置300で行われる基板処理のための一連の動作について説明するための図(その7〜その12)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図26に基づいて説明する。
【0016】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の構成が、後述するエア浮上ユニット群等を省略して、概略的に示され、図2には、露光装置100の一部省略した平面図が示されている。図2は、図1の投影光学系PLより下方の部分(後述する鏡筒定盤より下方の部分)の平面図に相当する。露光装置100は、例えばフラットパネルディスプレイ、液晶表示装置(液晶パネル)などの製造に用いられる。露光装置100は、液晶表示装置の表示パネルなどに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とする投影露光装置である。
【0017】
露光装置100は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、マスクステージMST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディBD(図1等ではその一部のみが図示されている)、基板Pを保持する微動ステージ26(基板テーブル)を含む基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を備えている。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向(X方向)とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向(Y方向)、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向(Z方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0018】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッタ、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0019】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、ボディBDの一部を構成する不図示のマスク定盤上に、例えばその底面に固定された不図示のエアベアリングを介して非接触状態で支持されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系12(図1では図示せず、図5参照)により、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、マスクステージMSTに設けられた(又は形成された)反射面に測長ビームを照射する複数のレーザ干渉計を含むマスクレーザ干渉計システム(以下、「マスク干渉計システム」という)14により計測される。
【0020】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、ボディBDの一部である鏡筒定盤16に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示されている投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が例えば千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする単一の長方形状(帯状)のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系のそれぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。また、以下では投影光学系PLの千鳥状に配置された複数の投影領域をまとめて露光領域IAと呼ぶ。
【0021】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)IAに形成される。そして、マスクステージMSTと基板Pを保持する後述する基板ホルダPH(微動ステージ26)との同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、露光装置100では、照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0022】
ボディBDは、図1、及び露光装置100を+X方向から見た概略側面図を一部省略して示す図4に示されるように、床面F上にX軸方向に所定距離離間して互いに平行にかつ長手方向をY軸方向として配置された直方体部材から成る一対(2つ)の基板ステージ架台(以下、架台と略記する)18と、一対の架台18上に一対のサイドフレーム20を介して水平に支持された鏡筒定盤16と、不図示のマスク定盤とを備えている。なお、架台18は、2つに限らず、1つでも良いし、3つ以上でも良い。
【0023】
各架台18は、複数の防振装置22を介して床面F上に設置されている(図1及び図4参照)。一対のサイドフレーム20は、図2及び図4に示されるように、それぞれの下端が一対の架台18上面のY軸方向の一端部と他端部に接続されている。鏡筒定盤16は、XY平面に平行に配置されたY軸方向を長手方向とする直方体状の部材から成り、一対のサイドフレーム20により一対の架台18上でY軸方向の両端部が下方から支持されている。
【0024】
基板ステージ装置PSTは、図1に示されるように、粗動ステージ部24、微動ステージ26、及び重量キャンセル装置28等を有している。重量キャンセル装置28は、図1及び図4に示されるように、一対の架台18の上に配置されたXガイド82のXY平面に平行な上面上に配置されている。
【0025】
粗動ステージ部24は、図4に示されるように、2本(一対)のXビーム30A、30Bと、粗動テーブル32と、2本のXビーム30A、30Bのそれぞれを床面F上で支持する複数の脚部34と、を有している。
【0026】
Xビーム30A、30Bのそれぞれは、X軸方向に延びるYZ断面が矩形枠状の中空部材から成り、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている(図1〜図4参照)。Xビーム30A、30Bのそれぞれは、図1中でXビーム30Aについて示されるように、長手方向(X軸方向)両端部近傍と中央部との3箇所で、3つの脚部34によって下方から床面F上で、一対の架台18に対して非接触で支持されている。これにより、粗動ステージ部24は、一対の架台18に対して振動的に分離されている。なお、脚部34の配置及び個数は、任意で良い。また、Xビーム30A、30Bは、中空部材に限らず中実部材であっても良いし、YZ断面がI型の棒状部材であっても良い。
【0027】
Xビーム30A、30Bのそれぞれの上面には、図4に示されるように、X軸方向に延びるXリニアガイド36が、Y軸方向の中央に固定されている。本実施形態では、Xリニアガイド36は、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニットを有し、X固定子を兼ねている。なお、Xリニアガイド36とは別に、磁石ユニットを有するX固定子を設けても良い。また、Xリニアガイドを、Xビーム30A、30B上に複数本、例えば2本設けても良い。
【0028】
粗動テーブル32は、図4に示されるように、Xビーム30A、30Bの上に配置されている。粗動テーブル32は、中央にZ軸方向に貫通する開口が形成された平面視矩形の板状部材から成る。図4では、粗動テーブル32は、後述する重量キャンセル装置28とともに、部分的に断面図にて示されている。粗動テーブル32の下面には、図4に示されるように、Xビーム30A、30Bのそれぞれに固定されたXリニアガイド36に不図示の気体静圧軸受(例えばエアベアリング)などを介して非接触で(所定の隙間(ギャップ、クリアランス)を介して)係合するスライダ44が複数固定されている。スライダ44は、各Xリニアガイド36に対して、X軸方向に所定間隔で、例えば4個設けられており(図1参照)、粗動テーブル32の下面には、例えば合計8個のスライダ44が固定されている。粗動テーブル32は、Xリニアガイド36とスライダ44とを含む複数のXリニアガイド装置により、X軸方向に直進案内される。
【0029】
また、この場合、各スライダ44は、コイルユニットを含み、各スライダ44が有する合計8個のコイルユニットによって、前述のX固定子とともに、粗動テーブル32を、X軸方向に所定のストロークで駆動するXリニアモータ42(図5参照)が構成されている。
【0030】
なお、スライダ44とは別にX可動子を設けても良く、この場合には、スライダ44は、転動体(例えば、複数のボールなど)を含み、各Xリニアガイド36に対してスライド可能に係合しても良い。
【0031】
なお、図1〜図4では不図示であるが、Xビーム30A、30Bの所定の一方、例えばXビーム30Aには、X軸方向を周期方向とするXスケールが固定され、粗動テーブル32には、Xスケールを用いて粗動テーブル32のX軸方向に関する位置情報を求めるXリニアエンコーダシステム46(図5参照)を構成するエンコーダヘッドが固定されている。粗動テーブル32のX軸方向に関する位置は、上記エンコーダヘッドの出力に基づいて主制御装置50(図5参照)により制御される。
【0032】
また、同様に図1ないし図4では不図示であるが、粗動テーブル32には、粗動テーブル32に対する微動ステージ26のX軸及びY軸方向に関する相対移動量(相対変位量)を計測するためのギャップセンサ48A、48B(図5参照)などが取り付けられている。主制御装置50は、ギャップセンサ48A、48Bによって計測される相対移動量が所定の制限値に達した場合に、微動ステージ26及び粗動テーブル32を直ちに停止する。ギャップセンサ48A、48Bに代えて、あるいは加えて、微動ステージ26の粗動テーブル32に対する移動可能量をメカ的に制限するメカストッパ部材を設けても良い。
【0033】
ここで、説明は前後するが、微動ステージ26について説明する。微動ステージ26は、図1及び図4から分かるように、平面視矩形の板状(又は箱形)部材から成り、その上面に基板ホルダPH(以下、ホルダと略記する)が搭載されている。ホルダPHは、図2からわかるように、X軸方向の長さが基板Pと同等であり、Y軸方向の幅(長さ)は基板Pの約1/3である。ホルダPHは、基板Pの一部(ここでは、基板PのY軸方向に関する約1/3の部分)を、例えば真空吸着(又は静電吸着)により吸着保持するとともに、加圧気体(例えば高圧空気)を上向きに噴き出してその噴き出し圧力によって基板Pの一部(基板Pの約1/3)を下方から非接触(浮上)支持することができる。ホルダPHによる基板Pに対する高圧空気の噴き出しと真空吸着との切り替えは、不図示の真空ポンプと高圧空気源とにホルダPHを切り替え接続するホルダ吸排気切替装置51(図5参照)を介して、主制御装置50によって行われる。
【0034】
微動ステージ26は、複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系52(図5参照)により、粗動テーブル32上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に微少駆動される。
【0035】
詳述すると、図1に示されるように、粗動テーブル32の+X側の端部の上面には、支持部材33を介して固定子56が設けられ、これに対向して、微動ステージ26の+X側の側面には、固定子56とともにXボイスコイルモータ54Xを構成する可動子58が固定されている。ここで、実際には、同様の構成のXボイスコイルモータ54Xが、Y軸方向に所定距離離間して一対設けられている。
【0036】
また、不図示ではあるが、粗動テーブル32の+Y側の端部の上面には、支持部材を介してYボイスコイルモータの固定子が設けられ、これに対向して、微動ステージ26の+Y側の側面には、Yボイスコイルモータの可動子が固定されている。ここで、実際には、同様の構成のYボイスコイルモータ(以下、便宜上Yボイスコイルモータ54Yと表記する)が、X軸方向に所定距離離間して一対設けられている。
【0037】
微動ステージ26は、主制御装置50によって、一対のXボイスコイルモータ54Xを用いて後述する重量キャンセル装置28を介して粗動テーブル32に同期駆動(粗動テーブル32と同方向に同速度で駆動)されることにより、粗動テーブル32と共にX軸方向に所定のストロークで移動し、一対のYボイスコイルモータ54Yを用いて、駆動されることにより、粗動テーブル32に対しY軸方向にも微少ストロークで移動する。
【0038】
また、微動ステージ26は、主制御装置50によって、一対のXボイスコイルモータ54Xのそれぞれ、又は一対のYボイスコイルモータ54Yのそれぞれに、互いに逆方向の駆動力が発生させられることにより、粗動テーブル32に対しθz方向に移動する。
【0039】
本実施形態では、上述したXリニアモータ42と、微動ステージ駆動系52の各一対のXボイスコイルモータ54X及びYボイスコイルモータ54Yと、によって、微動ステージ26は、投影光学系PL(図1参照)に対し、X軸方向に長ストロークで移動(粗動)可能、かつX軸、Y軸及びθz方向の3自由度方向に微少移動(微動)可能となっている。
【0040】
また、微動ステージ駆動系52は、図1に示されるように、微動ステージ26を残りの3自由度方向(θx、θy、及びZ軸の各方向)に微少駆動するための複数、例えば4つのZボイスコイルモータ54Zを有している。複数のZボイスコイルモータ54Zのそれぞれは、粗動テーブル32上面に固定された固定子59と、微動ステージ26の下面に固定された可動子57とから成り、微動ステージ26の下面の四隅部に対応する箇所に配置されている(図1では、4つのZボイスコイルモータ54Zのうち2つのみが示され、他の2つは図示省略。また、図4では4つのZボイスコイルモータ54Zのうち1つのみが示され、他の3つは図示省略)。上記各ボイスコイルモータ54X、54Y、54Zの固定子は、粗動テーブル32にすべて取付けられている。各ボイスコイルモータ54X、54Y、54Zは、ムービングマグネット型、ムービングコイル型のいずれでも良い。なお、微動ステージ26の位置を計測する位置計測系については、後述する。
【0041】
Xビーム30Aの+Y側、及びXビーム30Bの−Y側には、図4に示されるように、一対のフレーム110A、110Bのそれぞれが、架台18に接触しないように床面F上に設置されている。一対のフレーム110A、110Bのそれぞれの上面には、エア浮上ユニット群84A、84Bが設置されている。
【0042】
エア浮上ユニット群84A、84Bは、図2及び図4に示されるように、ホルダPHのY軸方向の両側に配置されている。エア浮上ユニット群84A、84Bのそれぞれは、図2に示されるように、Y軸方向の幅が基板PのY軸方向の幅と同等で、X軸方向の長さが、ホルダPHがスキャン移動したときの移動範囲とほぼ同等の長さの矩形領域内に、X軸方向に所定の間隔で、Y軸方向にわずかの隙間を空けて分散配置された複数のエア浮上ユニットによって構成されている。露光領域IAの中心とエア浮上ユニット群84A、84Bの中心とのX位置はほぼ一致している。各エア浮上ユニットの上面はホルダPHの上面と同等、あるいは、幾分低くなるように設定されている。
【0043】
エア浮上ユニット群84A、84Bをそれぞれ構成する各エア浮上ユニットの支持面(上面)は、多孔質体や機械的に複数の微小な穴を有するスラスト型のエアベアリング構造になっている。各エア浮上ユニットは、気体供給装置85(図5参照)からの加圧気体(例えば高圧空気)の供給により、基板Pの一部を浮上支持することができるようになっている。各エア浮上ユニットに対する高圧空気の供給のオン・オフは、図5に示される主制御装置50によって制御される。ここで、図5では、作図の便宜上、単一の気体供給装置85が図示されているが、これに限らず、各エア浮上ユニットに対して個別に高圧空気を供給するエア浮上ユニットと同数の気体供給装置を用いても良いし、あるいは、複数のエア浮上ユニットにそれぞれ接続された2つ以上の気体供給装置を用いても良い。図5では、これらの全てを代表して、単一の気体供給装置85が示されている。いずれにしても、主制御装置50によって、気体供給装置85からの各エア浮上ユニットに対する高圧空気の供給のオン・オフが個別に制御される。
【0044】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、ホルダPHとホルダPHの両側(±Y側)のエア浮上ユニット群84A、84Bの少なくとも一方とによって基板Pの全体を浮上支持することができる。また、ホルダPHの片側(+Y側又は−Y側)のエア浮上ユニット群84A又は84Bによっても基板Pの全体を浮上支持することができる。
【0045】
なお、エア浮上ユニット群84A、84Bは、それぞれ、上記のY軸方向の幅が基板PのY軸方向の幅と同等で、X軸方向の長さが、ホルダPHがスキャン移動したときの移動範囲とほぼ同等の長さの矩形領域とほぼ同等の総支持面積を有していれば、単一の大型のエア浮上ユニットに置き換えても良いし、個々のエア浮上ユニットの大きさを、図2の場合と異ならせて、上記矩形領域内に分散配置しても良い。
【0046】
エア浮上ユニット群84A、84Bのそれぞれを構成する複数のエア浮上ユニットが配置された上記矩形領域内には、図2に示されるように、複数、例えば3つの基板Yステップ送り装置88と、1つの基板Xステップ送り装置91とが、露光領域IAの中心(投影光学系PLの中心)を通るX軸に関して、非対称に配置されている。基板Yステップ送り装置88及び基板Xステップ送り装置91のそれぞれは、エア浮上ユニットと干渉することなく、上記矩形領域内に配置されている。ここで、基板Yステップ送り装置88の数は、2つでも良いし、4つ以上でも良い。
【0047】
基板Yステップ送り装置88は、基板Pを保持(例えば吸着)してY軸方向に移動させるための装置であり、平面視で、エア浮上ユニット群84A、88Bのそれぞれの内部にX軸方向に所定の間隔で3つ配置されている。各基板Yステップ送り装置88は、フレーム110A又は110B上に支持部材89をそれぞれ介して固定されている(図4参照)。
【0048】
各基板Yステップ送り装置88は、−Y側の1つを取り上げて図4に示されるように、基板Pの裏面を吸着してY軸方向に移動する可動部88aとフレーム110A又は110Bに固定された固定部88bと、を備えている。可動部88aは、一例として可動部88aに設けられた可動子と固定部88bに設けられた固定子とから成るリニアモータによって構成される駆動装置90(図4では不図示、図5参照)によって、フレーム110A又は110Bに対してY軸方向に駆動される。基板Yステップ送り装置88には、可動部88aの位置を計測するエンコーダなどの位置読み取り装置92(図4では不図示、図5参照)が設けられている。なお、駆動装置90は、リニアモータに限らず、ボールねじ又はベルトを用いた回転モータを駆動源とする駆動機構によって構成しても良い。
【0049】
各基板Yステップ送り装置88の可動部88aのY軸方向の移動ストロークは基板PのY軸方向の長さの約2/3(幾分短い)である。
【0050】
また、各基板Yステップ送り装置88の可動部88a(基板吸着面)は基板Pの裏面を吸着したり、吸着を解除して基板Pから分離したりする必要があるので、駆動装置90によってZ軸方向にも微少駆動可能に構成されている。なお、実際には、可動部88aが、基板Pを吸着してY軸方向に移動するのであるが、以下では、特に区別が必要な場合を除き、基板Yステップ送り装置88と可動部88aとを区別することなく用いる。
【0051】
基板Xステップ送り装置91は、基板Pを保持(例えば吸着)してX軸方向に移動させるための装置であり、平面視でエア浮上ユニット群84A、88Bの内部に各1つ配置されている。各基板Xステップ送り装置91は、フレーム110A又は110B上に支持部材93をそれぞれ介して固定されている(図4参照)。
【0052】
各基板Xステップ送り装置91は、図4に示されるように、基板Pの裏面を吸着してX軸方向に移動する可動部91aとフレーム110A又は110Bに固定された固定部91bと、を備えている。可動部91aは、例えばリニアモータによって構成される駆動装置95(図4では不図示、図5参照)によって、フレーム110A又は110Bに対してX軸方向に駆動される。基板Xステップ送り装置91には、可動部91aの位置を計測するエンコーダなどの位置読み取り装置97(図4では不図示、図5参照)が設けられている。なお、駆動装置95は、リニアモータに限らず、ボールねじ又はベルトを用いた回転モータを駆動源とする駆動機構によって構成しても良い。
【0053】
各基板Xステップ送り装置91の可動部91aのX軸方向の移動ストロークは基板PのX軸方向の長さの約2倍である。各固定部91bの+X側の端部は、エア浮上ユニット群84A、84Bから、+X側に所定長さ張り出している。
【0054】
また、各基板Xステップ送り装置91の可動部91a(基板吸着面)は基板Pの裏面を吸着したり、吸着を解除して基板Pから分離したりする必要があるので、駆動装置95によってZ軸方向にも微少駆動可能に構成されている。なお、実際には、可動部91aが、基板Pを吸着してX軸方向に移動するのであるが、以下では、特に区別が必要な場合を除き、基板Xステップ送り装置91と可動部91aとを区別することなく用いる。
【0055】
なお、上記説明では、基板Yステップ送り装置88及び基板Xステップ送り装置91のそれぞれの可動部は、基板Pとの分離、接触を行なう必要があるため、Z軸方向にも移動可能であるものとしたが、これに限らず、可動部(基板吸着面)による基板Pの吸着及び基板Pとの分離のために、微動ステージ26がZ軸方向に移動しても良い。
【0056】
重量キャンセル装置28は、図1及び図4に示されるように、Z軸方向に延びる柱状の部材から成り、心柱とも称される。重量キャンセル装置28は、後述するレベリング装置と称される装置を介して微動ステージ26を下方から支持している。重量キャンセル装置28は、粗動テーブル32の開口内に配置されており、その上半部が粗動テーブル32より上方に露出し、その下半部が粗動テーブル32より下方に露出している。
【0057】
重量キャンセル装置28は、図4に示されるように、筐体64、空気ばね66及びZスライダ68などを有する。筐体64は、+Z側が開口した有底の筒状部材から成る。筐体64の下面には、軸受面が−Z側を向いた複数のエアベアリング(以下、ベースパッドと呼ぶ)70が取り付けられている。空気ばね66は、筐体64の内部に収容されている。空気ばね66には、外部から加圧気体(例えば高圧空気)が供給される。Zスライダ68は、Z軸方向に延びる、例えば高さの低い円柱状の部材から成り、筐体64内に挿入され、空気ばね66上に載置されている。Zスライダ68にはZ軸方向以外の方向の運動を規制するためのガイド(不図示)が設けられている。ガイドとしては、例えばエアベアリング、又は平行板ばねなどが用いられる。平行板ばねは、例えば、Zスライダ68の上端部と下端部とに放射状に配置され、Zスライダ68と筐体64とを接続する上下各3枚(合計6枚)のXY平面に平行な厚さの薄いばね鋼板などから成る板ばねによって構成される。平行板ばねを用いることにより(板ばねの撓み量でストロークが決まるので、エアベアリングでガイドを構成する場合のように長いストロークには対応できないが)、Zスライダ68は、Z軸方向に短い、すなわち背の高さが低い構造にすることができる。また、筐体64の周囲には、図1及び図4に示されるように、複数の腕(フィーラと呼ばれる)71が放射状に配置されて固定されている。そして、各フィーラ71の先端部上面には微動ステージ26の下面に取り付けられた複数の光反射型センサ(レベリングセンサとも呼ばれる)74のそれぞれで用いられるターゲット板72が設置されている。光反射型センサ74は、実際には、一直線上にない3箇所以上に配置されている。これらの複数の光反射型センサ74によって、微動ステージ26のZ軸方向の位置、及びチルト量(θx及びθy方向の回転量)を計測するZチルト計測系76(図5参照)が構成されている。なお、図4では図面の錯綜を避けるために光反射型センサ74は1つのみ示されている。
【0058】
レベリング装置78は、微動ステージ26をZスライダ68上でチルト自在(XY平面に対してθx及びθy方向に揺動自在)に支持する装置である。レベリング装置78は、図4中に球状部材で模式的に示されている球面軸受、あるいは擬似球面軸受構造体を有している。
【0059】
この場合、レベリング装置78は、例えば上面が(球面の上半部)が微動ステージ26に固定されており、Zスライダ68の上面にレベリング装置78のθx方向及びθy方向の回転(傾斜)を許容する凹部が形成されているものとすることができる。あるいは、この反対に、レベリング装置78は、例えば下面(球面の下半部)がZスライダ68に固定され、レベリング装置78に対する微動ステージ26のθx方向及びθy方向の傾斜を許容する凹部が、微動ステージ26に形成されているものとすることもできる。いずれにしても、レベリング装置78は、Zスライダ68に下方から支持され、微動ステージ26の水平面内の軸(例えばX軸とY軸)回りの微少角度範囲内での傾動を許容する。
【0060】
重量キャンセル装置28は、空気ばね66が発生する重力方向上向きの力により、Zスライダ68、及びレベリング装置78を介して微動ステージ26を含む系の重量(重力方向下向きの力)を打ち消す(キャンセルする)ことにより、上述した複数のZボイスコイルモータ54Zの負荷を軽減する。
【0061】
重量キャンセル装置28は、一対の連結装置80を介して粗動テーブル32に接続されている(図1参照)。一対の連結装置80のZ位置は、重量キャンセル装置28のZ軸方向に関する重心位置とほぼ一致している。各連結装置80は、XY平面に平行な厚さの薄い鋼板などを含み、フレクシャ装置とも称される。一対の連結装置80のそれぞれは、重量キャンセル装置28の+X側と−X側とに互いに対峙して配置されている。各連結装置80は、重量キャンセル装置28の筐体64と粗動テーブル32との間に、X軸に平行に配置され、両者を連結している。従って、重量キャンセル装置28、重量キャンセル装置28にレベリング装置78を介して支持された上部構成部分(微動ステージ26及びホルダPH等)は、一対の連結装置80のいずれかを介して粗動テーブル32に牽引されることにより、粗動テーブル32と一体的にX軸方向に移動する。この際、重量キャンセル装置28には、そのZ軸方向に関する重心位置を含むXY平面に平行な平面内で牽引力が作用するので、移動方向(X軸)に直交する軸(Y軸)周りのモーメント(ピッチングモーメント)が作用しない。
【0062】
上述の如く、本実施形態では、粗動テーブル32、重量キャンセル装置28、微動ステージ26、及びホルダPH等を含んで、基板Pと一体でX軸方向に移動する移動体(以下、適宜、基板ステージ(26、28、32、PH)と表記する)が構成されている。
【0063】
なお、レベリング装置78、連結装置80を含み、本実施形態の重量キャンセル装置28の詳細な構成については、その一例が、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている(但し、本実施形態では、重量キャンセル装置28がY軸方向に移動しないので、Y軸方向の連結装置は不要である)。上記米国特許出願公開明細書では、Zスライダ68の上面にシーリングパッドと呼ばれるエアベアリングが設けられ、該シーリングパッドによって、レベリング装置が下方から非接触で支持されている。本実施形態においても、かかる構成を採用しても勿論構わない。
【0064】
Xガイド82は、図1、図2及び図4に示されるように、X軸方向を長手方向とする直方体形状をしている。Xガイド82は、上述した一対の架台18の上面(+Z側面)に、一対の架台18を横断するように配置して固定されている。Xガイド82の長手方向(X軸方向)の寸法は、X軸方向に所定間隔で配置された一対の架台18のそれぞれのX軸方向寸法と、一対の架台18間の隙間のX軸方向寸法との和よりも幾分長く(ほぼ同等に)設定されている。
【0065】
Xガイド82の上面(+Z側の面)は、XY平面に平行で平坦度が非常に高く仕上げられている。Xガイド82上には、図1及び図4に示されるように、重量キャンセル装置28が搭載され、ベースパッド70を介して浮上支持(非接触状態で支持)されている。Xガイド82の上面は、水平面(XY平面)とほぼ平行となるように調整されており、重量キャンセル装置28が移動する際のガイド面として機能する。Xガイド82の長手方向の寸法は、重量キャンセル装置28(すなわち粗動テーブル32)のX軸方向の移動可能量よりも幾分長く設定されている。Xガイド82の上面の幅方向寸法(Y軸方向寸法)は、複数のベースパッド70全ての軸受面と対向可能な寸法に設定されている(図4参照)。Xガイド82の材質、及び製造方法は特に限定されないが、例えば、鋳鉄などの鋳造により形成される場合、石材(例えば、斑レイ岩)により形成される場合、セラミックス、あるいはCFRP(Carbon Fiver Reinforced Plastics)材などにより形成される場合などがある。また、Xガイド82は、中実の部材、又は内部にリブをもつ中空の部材であってその形状が直方体の部材により形成されている。なお、Xガイド82は直方体部材に限らず、YZ断面がI型の棒状部材であっても良い。
【0066】
図1及び図2に示されるように、微動ステージ26のY軸方向の両側面のX軸方向中央付近には、それぞれ不図示の移動鏡支持部品を介してX軸に直交する反射面を有する平面ミラー(あるいはコーナーキューブ)から成る一対のX移動鏡94Xが取り付けられている。一対のX移動鏡94Xは、ホルダPHの−X側端面よりも+X側で基板Pの上面(表面)よりも低い位置、具体的にはホルダPHの下面より僅かに低い位置に設けられている。
【0067】
微動ステージ26の−Y側の側面には、図4に示されるように、不図示のミラー保持部品を介して、Y軸に直交する反射面を有する長尺の平面ミラーから成るY移動鏡94Yが固定されている。微動ステージ26(ホルダPH)のXY平面内の位置情報は、一対のX移動鏡94X、及びY移動鏡94Yを用いるレーザ干渉計システム(以下、基板ステージ干渉計システムと呼ぶ)98(図5参照)によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。なお、実際には、基板ステージ干渉計システム98は、図2及び図5に示されるように、一対のX移動鏡94Xに対応する一対のXレーザ干渉計(以下、X干渉計と略記する)98X、98X、及びY移動鏡94Yに対応する一対のYレーザ干渉計(以下、Y干渉計と略記する)98Y、98Yを備えている。X干渉計98X、98X、及びY干渉計98Y、98Yの計測結果は、主制御装置50に供給されている(図5参照)。
【0068】
一対のX干渉計98X、98Xのそれぞれは、図4に示されるように、−X側の架台18にそれぞれの一端部(下端部)が固定された+X方向から見てL字の形状を有するフレーム(X干渉計フレーム)102A、102Bの他端(上端)に個別に固定されている。ここで、フレーム102A、102Bとして、L字状のものが用いられているので、フレーム102A、102Bと、前述のフレーム110A、110B、及びX軸方向に移動する粗動テーブル32との干渉を避けることができる。
【0069】
また、一対のX干渉計98X、98Xは、一対のX移動鏡94Xに対向して、基板Pの上面よりも低い位置でY軸方向に関してホルダPHとエア浮上ユニット群84A又は84Bとの隙間に収まる位置に配置されている。これにより、本実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、一対のX干渉計98X、98Xは、ホルダPHのX軸方向移動範囲外の位置に設置する場合に比べて、−X側の架台18から近い位置に配置することが可能となっている。
【0070】
また、X干渉計98X、98Xのうちの所定の一方、例えばX干渉計98Xとしては、図1に示されるように、Z軸方向に離間した2本の干渉計ビーム(計測ビーム)をX移動鏡94Xに照射する多軸干渉計が用いられている。この理由については後述する。
【0071】
なお、X干渉計としては、一対のX移動鏡94Xのそれぞれに個別に干渉計ビーム(計測ビーム)を照射する一対のX干渉計98X、98Xに限らず、一対のX移動鏡94Xのそれぞれに照射される少なくとも各1本の計測ビームを含む複数の計測ビームを射出する多軸干渉計を用いることもできる。
【0072】
一対のY干渉計98Y、98Yは、図2に示されるように、エア浮上ユニット群84Bを構成する最もホルダPHに近い第1の列のエア浮上ユニット列と、これに隣接する第2列のエア浮上ユニット列との間で、かつ第1列のエア浮上ユニット列を構成するX軸方向中心近傍に位置する、隣接するエア浮上ユニット相互間の2箇所の隙間に対向する位置に配置されている。この2箇所の隙間は、露光領域IAの中心を通るY軸に関して対称な隙間である。一対のY干渉計98Y、98Yは、図4に示されるように、前述のフレーム110Bの上面に設置された支持部材104の上面にY移動鏡94Yに対向して、かつエア浮上ユニット群84Bを構成するエア浮上ユニットとは分離されて(非接触で)固定されている。本実施形態では、一対のY干渉計98Y、98Yから、上述の2箇所の隙間をそれぞれ介して、計測ビーム(測長ビーム)がY移動鏡94Yに照射されるようになっている。
【0073】
Y干渉計としては、Y移動鏡94Yに個別に干渉計ビーム(計測ビーム)を照射する一対のY干渉計98Y、98Yに限らず、Y移動鏡94Yに2本の計測ビームを照射する多軸干渉計を用いることもできる。
【0074】
本実施形態では、X干渉計98X、98Xは、Z軸方向に関して基板Pの表面(露光の際には、この面が投影光学系PLの像面に一致するように、基板Pのフォーカス・レベリング制御が行われる)よりも低い位置にあるため、X位置の計測結果にX軸方向の移動時の微動ステージ26の姿勢変化(ピッチング)によるアッベ誤差が含まれる。主制御装置50は、前述の多軸干渉計から成るX干渉計98Xによって微動ステージ26のピッチング量を検出し、その検出結果に基づいて、X干渉計98X、98XによるX位置の計測結果に含まれる上記アッベ誤差の補正を行うようにしている。すなわち、かかるアッベ誤差の補正のため、X干渉計98Xとして、Z軸方向に離間した2本干渉計ビーム(計測ビーム)をX移動鏡94Xに照射する、すなわち微動ステージ26のピッチング量を検出可能な多軸干渉計が用いられている。
【0075】
また、微動ステージ26のθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報は、前述したZチルト計測系76(微動ステージ26の下面に固定された一直線上にない3箇所以上の光反射型センサ74)により、前述のフィーラ71先端のターゲット板72を用いて求められる。Zチルト計測系76を含み、上述した微動ステージ26の位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。従って、X干渉計98X、98Xとして微動ステージ26のピッチング量を検出しないタイプの干渉計を用いる場合などには、主制御装置50は、Zチルト計測系76によって求められた、微動ステージ26のθx方向に関する位置情報(ピッチング量)に基づいて、X干渉計98X、98XによるX位置の計測結果に含まれる上記アッベ誤差の補正を行うようにしても良い。
【0076】
この他、微動ステージ26単体のθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報を計測せず、投影光学系PLと一体とみなせる微動ステージ26上方の部材(ボディの一部、例えば鏡筒定盤16)に固定された不図示の射入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)により、上方から直接基板Pのθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報を計測するのみでも良い。勿論、基板Pと微動ステージ26とのθx、θy、及びZ軸方向に関する位置情報を計測しても良い。
【0077】
ホルダPHの上方に位置する鏡筒定盤16の下端部には、図1及び図2、並びに図2の一部を取り出した図3に示されるように、複数、例えば8つのアライメント検出系AL1〜AL8が設けられている。8つのアライメント検出系AL1〜AL8は、それぞれの検出視野(検出領域)が図3に黒丸にて模式的に示されるように、例えば、Y軸方向、X軸方向をそれぞれ行方向、列方向として、2行4列で、投影光学系PLの+X側と−X側とに4個ずつ配置されている。この場合、−Y側の第1行にアライメント検出系AL1〜AL4が属し、+Y側の第2行にアライメント検出系AL5〜AL8が属する。また、第i列には、それぞれアライメント検出系ALiとAL(i+4)(i=1、2、3、4)とが属している(図3参照)。
【0078】
ホルダPHは微動ステージ26のX軸方向の移動によって、8個のアライメント検出系AL1〜AL8の下を通過できるようになっている。アライメント検出系AL1〜AL8のうちの少なくとも一部は、基板P上のパターン領域の配置(ショット数、面取り数)に応じて、そのXY方向の位置を変更できるようになっていても良い。
【0079】
アライメント検出系AL1〜AL8のそれぞれは、例えば、CCDカメラを備える顕微鏡を有しており、予め基板Pの所定の位置に設けられたマークが顕微鏡の視野内に入ると画像処理によってアライメント計測が実行され、マークの位置情報(XY平面内の位置ずれ情報)が、基板ステージ装置PSTの可動部の位置を制御する主制御装置50に送られるようになっている。
【0080】
図5には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置50の入出力関係を示すブロック図が示されている。図5では、基板ステージ系に関連する構成各部が示されている。主制御装置50は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0081】
次に、上述のようにして構成された本実施形態に係る露光装置100で行われる基板処理のための一連の動作について説明する。ここでは、一例として基板Pに対して第1層目以降の露光を行う場合について、図6〜図26に基づいて説明する。なお、図6〜図26において示される露光領域IAは、露光時に照明光ILが投影光学系PLを介して照射される照明領域であり、実際には、露光時以外に形成されることはないが、基板Pと投影光学系PLとの位置関係を明確にするため常に図示されている。
【0082】
まず、主制御装置50の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板搬入装置によって、基板ステージ装置PST上への基板Pの搬入(投入)が行なわれる。基板Pには、露光に先立って、例えばタイトラーによって、一例として図2に示されるように、複数、例えばX軸方向に4つ、Y軸方向に4つ、合計16個のマークM11、M12、……、M44が、マーキングされている(設けられている)。これらのマークは、マークMj1、Mj2、Mj3、Mj4、Mj+1 1、Mj+1 2、Mj+1 3、Mj+1 4(j=1、2、3)の位置関係が、アライメント検出系AL1、AL2、AL3、AL4、AL5、AL6、AL7、AL8の検出視野(以下、視野と略記する)の水平面内での位置関係に対応する配置で基板P上にマーキングされている。従って、j行とj+1行の合計8つのマークを、8つのアライメント検出系AL1〜AL8で同時にかつ個別に検出可能である。
【0083】
主制御装置50は、図6に示されるように、基板搬入装置によって−Y側のエア浮上ユニット群84Bの上方に搬入された基板Pを、エア浮上ユニット群84Bを用いて浮上支持しつつ、−Y側の基板Xステップ送り装置91を用いて吸着保持して、図6中に黒塗り矢印で示されるように、−X方向に搬送する。
【0084】
次に、主制御装置50は、エア浮上ユニット群84Bによって浮上支持された基板Pを−Y側の最も+X側の基板Yステップ送り装置88を用いて吸着保持するとともに、その基板Pに対する基板Xステップ送り装置91による吸着を解除する。そして、主制御装置50は、基板Pを、基板Yステップ送り装置88を用いて、図6中に破線の矢印で示されるように+Y方向に搬送する。
【0085】
これにより、基板Pは、図7に示されるように、ホルダPHとホルダPHの−Y側のエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置される。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸引に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Bの一部により基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。このとき、基板P上の少なくとも2つのマークが、いずれかのアライメント検出系の視野に入るように、かつホルダPH上にくるように、基板Pが、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置される。図7では、マークM33、M34、M43、M44の4つが、それぞれ、アライメント検出系AL1、AL2、AL5、AL6の視野内に入っている。
【0086】
上記のホルダPHによる基板Pの吸着動作の開始の直後に、主制御装置50によって、基板Yステップ送り装置88による基板Pの吸着が解除され、基板Yステップ送り装置88(可動部88a)は、図8に示される−Y側の移動限界位置である待機位置に戻されている。このとき、基板Xステップ送り装置91(可動部91a)も、主制御装置50によって、図8に示される−Y側の移動限界位置である待機位置に戻されている。
【0087】
その後、主制御装置50により、従来と同様のアライメント計測の方法によって投影光学系PLに対する微動ステージ26(ホルダPH)の位置が求められる。ここで、投影光学系PLに対する微動ステージ26のアライメント計測は、微動ステージ26に設けられた不図示の基準指標をアライメント検出系ALによって計測するものであり、前記アライメント検出系とは別のアライメント検出系を用いても良い。
【0088】
そして、主制御装置50は、上記の計測(投影光学系PLに対する微動ステージ26のアライメント計測等)の結果に基づいて、粗動テーブル32を介して微動ステージ26を駆動して基板P上の少なくとも2つのマークをいずれかのアライメント検出系の視野内に移動させ(この場合、マークM33、M34、M43、M44の4つを、それぞれ、アライメント検出系AL1、AL2、AL5、AL6の検出系の視野内に移動させ)、投影光学系PLに対する基板Pのアライメント計測を行い、その結果に基づいて、基板P上の第1番目の領域の露光のためのスキャン開始位置を求める。ここで、露光のためのスキャンは、走査露光時の等速移動区間の前後に加速区間及び減速区間を含むので、スキャン開始位置は、厳密に言えば加速開始位置である。そして、主制御装置50は、粗動テーブル32を駆動するとともに微動ステージ26を微小駆動して、そのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pを位置決めする。このとき、微動ステージ26(ホルダPH)の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決め駆動が行われる。図8には、このようにして、基板P上の第1番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pが位置決めされた直後の状態が示されている。
【0089】
その後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる
【0090】
ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作では、基板P上の複数の領域に対して順次露光処理が行われる。基板Pは、スキャン動作時には、X軸方向に、所定の加速時間加速され、その後所定時間等速駆動され(この等速駆動中に露光(スキャン露光)が行われ)、その後加速時間と同じ時間だけ減速される(以下、この基板Pの一連の動作をXスキャン動作と呼ぶ)。また、基板は、ステップ動作時(ショット領域間移動時)には、X軸又はY軸方向に適宜駆動される(以下、それぞれXステップ動作、Yステップ動作と呼ぶ)。本実施形態では、後述する各ショット領域SAn(n=1、2、3、4、5、6)の最大露光幅(Y軸方向の幅)は基板Pの約1/3である。
【0091】
具体的には、露光動作は次のようにして行なわれる。
【0092】
図8の状態から、基板ステージ(26、28、32、PH)は、図8中に白抜き矢印で示されるように、−X方向へ駆動され、基板PのXスキャン動作が行われる。このとき、マスクM(マスクステージMST)が基板P(微動ステージ26)と同期して−X方向へ駆動されており、第1番目の領域(露光対象領域)が、投影光学系PLによるマスクMのパターンの投影領域である露光領域IAを通過するので、その際に、第1番目の領域に対する走査露光が行われる。走査露光は、微動ステージ26(ホルダPH)の−X方向へ加速後の等速移動中に、マスクM、投影光学系PLを介して基板Pに照明光ILが照射されることで行われる。
【0093】
上述のXスキャン動作に際し、主制御装置50は、微動ステージ26に搭載されたホルダPHに基板Pの一部(基板P全体の約1/3)を吸着固定させ、エア浮上ユニット群84B上に基板Pの一部(基板P全体の約2/3)を浮上支持させた状態で、基板ステージ(26、28、32、PH)を駆動する。この際、主制御装置50は、Xリニアエンコーダシステム46の計測結果に基づいて、Xリニアモータ42を介して粗動テーブル32をX軸方向に駆動するとともに、基板ステージ干渉計システム98、Zチルト計測系76の計測結果に基づいて、微動ステージ駆動系52(各ボイスコイルモータ54X、54Y、54Z)を駆動する。これにより、基板Pは微動ステージ26と一体となって、重量キャンセル装置28の上に浮上支持された状態で、粗動テーブル32に牽引されてX軸方向に移動するとともに、粗動テーブル32からの相対駆動によって、X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向(6自由度方向)に関して精密に位置制御される。また、主制御装置50は、Xスキャン動作に際し、微動ステージ26(ホルダPH)と同期して、マスク干渉計システム14の計測結果に基づいて、マスクMを保持するマスクステージMSTを、X軸方向に走査駆動するとともに、Y軸方向及びθz方向に微小駆動する。図9には、第1番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板Pの一部を保持する基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA1が形成されている。
【0094】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるためのYステップ動作が行われる。この基板PのYステップ動作は、主制御装置50が、−Y側でかつX軸方向の真ん中に位置する基板Yステップ送り装置88(可動部88a)によって、図9に示される状態にある基板P裏面を吸着保持し、その基板Pに対するホルダPHの吸着を解除した後、ホルダPHからの高圧空気の排気とエア浮上ユニット群84Bによる引き続きの高圧空気の排気とによって基板Pを浮上させた状態で、図9中に黒塗り矢印で示されるように、基板Yステップ送り装置88により基板Pを+Y方向へ搬送することによって行われる。これにより、ホルダPHに対して基板Pのみが+Y方向に移動し、図10に示されるように、基板Pは、ショット領域SA1に−Y側で隣接する未露光の第2番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0095】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測、すなわち基板P上に予め設けられている次のショット領域用のマークの計測が、行われる。このアライメント計測に際し、計測対象のマークがアライメント検出系の検出視野内に位置するように、必要に応じて、基板PのXステップ動作が行われる(図10中の白抜き矢印参照)。基板PのXステップ動作は、主制御装置50が、Xスキャン動作と同様の状態で基板ステージ(26、28、32、PH)を駆動して(但し、移動中の位置偏差はスキャン動作ほど厳密に規制しないで)行なう。
【0096】
アライメント計測では、主制御装置50は、図11に示されるように、アライメント検出系AL3、AL4、AL7、AL8を、それぞれ用いて、マークM23、M24、M33、M34を、同時にかつ個別に検出する。ここで、計測対象の複数のマークの一部に、先にアライメント検出系AL1、AL2で位置が検出されたマークM33、M34が含まれており、かつその2つのマークM33、M34が、アライメント検出系AL1、AL2との位置関係が既知の別のアライメント検出系AL7、AL8で検出される。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第2番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0097】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、その結果に基づいて、基板P上の第2番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への位置決め、及び微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決め駆動が行われる。図12には、このようにして、ホルダPH(微動ステージ26)が、スキャン開始位置に位置決めされた状態が示されている。
【0098】
そして、主制御装置50は、図12中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との+X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。図13には、第2番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA2が形成されている。
【0099】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるためのYステップ動作が行われる。この基板PのYステップ動作は、主制御装置50が、−Y側でかつ最も+X方向に位置する基板Yステップ送り装置88(可動部88a)によって、図13に示される状態にある基板P裏面を吸着保持し、その基板Pに対するホルダPHの吸着を解除した後、ホルダPHからの高圧空気の排気とエア浮上ユニット群84B及び84Aによる引き続きの高圧空気の排気とによって基板Pを浮上させた状態で、図13及び図14中に黒塗り矢印で示されるように、基板Yステップ送り装置88により基板Pを+Y方向へ搬送することによって行われる。このとき、前記−Y側の基板Yステップ送り装置88のストロークが短い場合には、主制御装置50は、+Y側の基板Yステップ送り装置88を用いて基板Pの送りを引き継ぐようにしても良い(図15中の黒塗り矢印参照)。この引き継ぎに備えて、主制御装置50は、+Y側の基板Yステップ送り装置88(可動部88a)を、予め−Y方向に駆動してホルダPHの近傍で待機させておいても良い(図13、図14参照)。
【0100】
上記の基板PのYステップ動作により、ホルダPHに対して基板Pのみが+Y方向に移動し、図15に示されるように、基板Pは、ショット領域SA2に−Y側で隣接する未露光の第3番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とによって浮上支持されている。
【0101】
そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部によって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0102】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測、すなわち基板P上に予め設けられている次の領域用のマークの計測が、行われる。このアライメント計測に際し、計測対象のマークがアライメント検出系の検出視野内に位置するように、必要に応じて、基板PのXステップ動作が行われる。
【0103】
アライメント計測では、主制御装置50は、図15に示されるように、アライメント検出系AL1、AL2、AL5、AL6を、それぞれ用いて、マークM13、M14、M23、M24を、同時にかつ個別に検出する。ここで、計測対象の複数のマークの一部に、先にアライメント検出系AL3、AL4で位置が検出されたマークM23、M24が含まれており、かつその2つのマークM23、M24が、アライメント検出系AL3、AL4との位置関係が既知の別のアライメント検出系AL5、AL6で検出される。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第3番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0104】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、その結果に基づいて、基板P上の第1番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への位置決めが行われ、図15中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。図16には、第3番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA3が形成されている。
【0105】
次に、主制御装置50は、次の露光のための加速に備えて、基板Pを、図16中に白抜き矢印で示されるように、少し+X方向へ駆動する基板PのXステップ動作を行うが、その途中で、図17に示されるように、アライメント検出系AL1、AL2、AL3、AL4、AL5、AL6、AL7、AL8の検出視野内に、それぞれマークM11、M12、M13、M14、M21、M22、M23、M24を位置決めし、そのうちの例えば4つのマーク、例えばマークM13、M21、M22、M23を、アライメント検出系AL3、AL5、AL6、AL7を用いて、同時にかつ個別に検出する。この場合、ショット領域SA3の露光後、基板Pは、ホルダPHから外されていないので、先のアライメント結果に基づいて次の露光のための基板の位置決めを行っても良い。しかし、次に一旦、基板PがホルダPHから外されると、その次の基板のアライメントが困難になる。そこで、かかる事態が生じないように、上記のアライメント計測で、マークM21、M22を含む複数のマークの位置を検出している。また、この場合、併せて、計測対象の複数のマークの一部に、先にアライメント検出系AL1、AL5で位置が検出されたマークM13、M23を含め、かつその2つのマークM13、M23を、アライメント検出系AL1、AL5との位置関係が既知の別のアライメント検出系AL3、AL7で検出している。従って、仮に、ショット領域SA3の露光後に、一旦、基板PをホルダPHから取り外したとしても、支障なく、第4番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0106】
主制御装置50は、上記のアライメントの結果に基づいて、ホルダPH(微動ステージ26)を、第4番目の露光のための加速開始位置に位置決めして、Xステップを終える。主制御装置50は、基板PのXステップ動作と並行して、マスクステージMSTを加速開始位置に戻している。
【0107】
そして、主制御装置50は、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。図18には、基板P上の第4番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA4が形成されている。
【0108】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるためのYステップ動作が行われる。この基板PのYステップ動作は、主制御装置50が、+Y側でかつ最も−X側の基板Yステップ送り装置88(可動部88a)によって、図18に示される状態にある基板Pの裏面を吸着保持し、その基板Pに対するホルダPHの吸着を解除した後、ホルダPHからの高圧空気の排気とエア浮上ユニット群84Aによる引き続きの高圧空気の排気とによって基板Pを浮上させた状態で、図18中に黒塗り矢印で示されるように、基板Yステップ送り装置88により基板Pを−Y方向へ搬送することによって行われる。このとき、前記+Y側の基板Yステップ送り装置88のストロークが短い場合には、主制御装置50は、−Y側の基板Yステップ送り装置88を用いて基板Pの送りを引き継ぐようにしても良い(図19中の黒塗り矢印参照)。この引き継ぎに備えて、主制御装置50は、+Y側の基板Yステップ送り装置88(可動部88a)を、予め−Y方向に駆動してホルダPHの近傍で待機させておいても良い(図18参照)。これにより、ホルダPHに対して基板Pのみが−Y方向に移動し、図19に示されるように、基板P上のショット領域SA2と該ショット領域SA2に+X側で隣接する第5番目の領域とがホルダPHに対向し、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0109】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測、すなわち基板P上に予め設けられている次の領域用のマークの計測が、行われる。このアライメント計測に際し、計測対象のアライメントマークがアライメント検出系の検出視野内に位置するように、必要に応じてXステップ動作が行われる。
【0110】
アライメント計測では、主制御装置50は、図20に示されるように、アライメント検出系AL3、AL4、AL7、AL8を、それぞれ用いて、マークM21、M22、M31、M32を、同時にかつ個別に検出する。ここで、計測対象の複数のマークの一部に、先にアライメント検出系AL5、AL6で位置が検出されたマークM21、M22が含まれており、かつその2つのマークM21、M22が、アライメント検出系AL5、AL6との位置関係が既知の別のアライメント検出系AL3、AL4で検出される。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第5番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0111】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、その結果に基づいて、微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決め駆動が行われる。
【0112】
次いで、主制御装置50により、図20中に白抜き矢印で示されるように、基板PとマスクMとの+X方向の加速が開始され、前述と同様のスキャン露光が行われる。図21には、基板P上の第5番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA5が形成されている。
【0113】
次に、基板Pの最後の未露光領域をホルダPH上へ移動させるためのYステップ動作が行われる。この基板PのYステップ動作に際し、主制御装置50は、図21に示される状態にある基板Pの裏面を−Y側でかつX軸方向の真ん中に位置する基板Yステップ送り装置88(可動部88a)によって吸着保持し、その基板Pに対するホルダPHの吸着を解除した後、ホルダPHからの高圧空気の排気とエア浮上ユニット群84A及び84Bによる引き続きの高圧空気の排気とによって基板Pを浮上させた状態で、図21中に黒塗り矢印で示されるように、基板Yステップ送り装置88により基板Pを−Y方向へ搬送する。これにより、ホルダPHに対して基板PのみがY軸方向に移動する(図22参照)。
【0114】
基板Yステップ送り装置88によって−Y方向へ駆動され、最後の未露光のショット領域、及びこれに隣接するショット領域SA1が、ホルダPH上に移動した基板Pは、その一部(基板P全体の約1/3)がホルダPHによる吸着によって再びホルダPHに固定され、一部(基板P全体の残りの約2/3)がエア浮上ユニット群84Bの一部により浮上支持される。そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測、すなわち基板P上に予め設けられている次の領域用のマークの計測が、行われる。このアライメント計測に際し、計測対象のマークがアライメント検出系の検出視野内に位置するように、必要に応じて、前述した基板PのXステップ動作が行われる(図22中の白抜き矢印参照)。
【0115】
アライメント計測では、主制御装置50は、図23に示されるように、アライメント検出系AL1、AL2、AL5、AL6を、それぞれ用いて、マークM31、M32、M41、M42を、同時にかつ個別に検出する。ここで、計測対象の複数のマークの一部に、先にアライメント検出系AL7、AL8で位置が検出されたマークM31、M32が含まれており、かつその2つのマークM31、M32が、アライメント検出系AL7、AL8との位置関係が既知の別のアライメント検出系AL1、AL2で検出される。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第6番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0116】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、その結果に基づいて、基板P上の第6番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への位置決め(微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決めを含む)が行われ、図24中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にスキャン露光が行われる。図25には、基板P上の第6番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA6が形成されている。
【0117】
一方、上記の基板Pの新たなアライメント計測が開始される直前に、図23に示されるように、不図示の基板搬入装置によって、新しい基板Pがエア浮上ユニット群84A上に搬入(投入)されている。このとき、+Y側の基板Xステップ送り装置91の可動部91aは、+X側の移動限界位置の近傍の位置、すなわち新たに投入される基板Pの下方の位置に移動してその位置で待機している。
【0118】
そして、上記のショット領域SA6に対する露光と並行して、新しく投入された基板Pが、主制御装置50によって、−Y側の基板Xステップ送り装置91で吸着保持されて−X側に搬送される(図24参照)。
【0119】
一方、すべてのショット領域SA1〜SA6に対する露光が終わった基板Pは、主制御装置50により、−Y側でかつ最も−X側の基板Yステップ送り装置88を用いて、図25中に点線の白抜き矢印で示されるように−Y側に搬送され、ホルダPH上から完全に退避してエア浮上ユニット群84Bの上に運ばれる(図26参照)。これとほぼ同時に、新たに投入された基板Pは、主制御装置50により、+Y側でかつ最も−X側の基板Yステップ送り装置88を用いて、図25及び図26中に点線の黒塗り矢印で示されるように−Y側に搬送され、−Y側の一部(1/3の部分)がホルダPH上に位置させられ、ホルダPHによってその一部が吸着される(固定される)(図26参照)。
【0120】
エア浮上ユニット群84Bの上に運ばれた露光済みの基板Pは、主制御装置50によって、−Y側の基板Xステップ送り装置91を用いて、図26中に黒塗り矢印で示されるように、+X方向に搬送され、不図示の基板搬出装置によって+X方向に搬出される。
【0121】
上記の露光済みの基板Pの搬出と並行して、ホルダPHに一部が固定された基板Pに対しては、前述と同様のアライメント動作が行われた後、基板PとマスクMとの+X方向の加速が開始され、前述と同様にして最初の領域(最も−Y側でかつ+X側の領域)に対するスキャン露光が行われる。以後、前述した第1枚目の基板Pに対する露光の際と同様の手順で、第2枚目の基板P上の残りの領域に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作、並びに第3枚目以降の基板に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作が繰り返される。
【0122】
ただし、第2枚目の基板Pについては、前述の第1枚目の基板で4番目に露光が行われた基板上の最も−Y側でかつ+X側の領域が最初に露光される上記の説明からもわかるように、本実施形態では、1枚目(奇数枚目)の基板Pと2枚目(偶数枚目)の基板Pではショット領域の露光順が異なっている。1枚目(奇数枚目)の基板Pでは、露光順はショット領域SA1、SA2、SA3、SA4、SA5、SA6であるのに対し、2枚目(偶数枚目)の基板Pでは、露光順はショット領域SA4、SA5、SA6、SA1、SA2、SA3の順となる。また、この場合、1枚目(奇数枚目)の基板Pは、−Y側からホルダPHに搬入され、ホルダPHから−Y側に搬出される。一方、2枚目(偶数枚目)の基板Pは、+Y側からホルダPHに搬入され、ホルダPHから+Y側に搬出される。但し、露光の順番、及びホルダPHに対する基板Pの搬出入方向は、これに限られるものではない。
【0123】
以上説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置50は、基板P上にショット領域を形成する度毎に、基板PをXY平面内でステップ移動(Yステップ又はXステップ)し、該ステップ移動の前後で、基板P上の同一のマーク(マーキングされたマーク)を少なくとも2つ含む複数のマークの位置情報をアライメント検出系AL1〜AL8の一部を用いて検出し、それらのマークの位置情報の検出結果、すなわちアライメント計測の結果に基づいて、基板P上の被処理領域の露光(ショット領域の形成)の際に、基板Pを露光位置(露光領域IA)に対して位置合わせする。このため、基板PをホルダPHと一体でX軸方向に移動する基板PのXステップ動作を行う場合のみならず、基板Yステップ送り装置88を用いて基板Pのみを、ホルダPHに対してY軸方向に移動させるYステップ動作を行う場合、すなわち、ステップ移動に際してホルダPHから基板Pを一旦外す場合であっても、ショット領域の形成に際し、支障なく基板Pを露光位置(露光領域IA)に対して精度良く位置合わせすることが可能になる。従って、基板P上のほぼ全面を露光する際に、途中における基板Pの取り外しを前提とする、基板Pよりも小さな保持面を有するホルダPHを採用しても特に支障は生じない。
【0124】
また、本実施形態に係る露光装置100によると、微動ステージ26に搭載されたホルダPHが、基板Pの被露光面(被処理面)と反対側の面の一部を保持する。すなわち、ホルダPHの基板保持面は、基板Pよりも小さく、具体的には、約1/3に設定されている。このため、主制御装置50の指示に基づき、基板Yステップ送り装置88が、基板Pを微動ステージ26(ホルダPH)から搬出する際に、基板PはY軸方向に変位するようにXY平面内で搬送されるが、その際、基板Yステップ送り装置88は、基板PのY軸方向のサイズ(幅又は長さ)よりも小さい距離、すなわち基板PのY軸方向のサイズの約1/3であるホルダPHのY軸方向の幅と同一距離だけ基板PをY軸方向に変位させるだけで、基板Pの搬出が終了する(例えば図25、図26参照)。このように、本実施形態では、基板Pの搬出の際の基板の移動距離(搬出距離)が基板のサイズよりも小さいので、基板の搬出時間を、従来に比べて短縮することが可能になる。
【0125】
また、本実施形態に係る露光装置100によると、基板P上の最終ショット領域に対するスキャン露光が終了した時点で微動ステージ26(ホルダPH)があるX軸方向の位置で、Y軸方向の一側に露光済みの基板PをスライドさせてホルダPH上から搬出(退避)し、これと並行して(ほぼ同時に)Y軸方向の他側から露光前の基板PをスライドさせてホルダPH上に搬入(投入)することが可能になる(図25及び図26参照)。
【0126】
また、露光前の基板Pを微動ステージ26(ホルダPH)に搬入する際にも、基板PはY軸方向に変位するように、主制御装置50の指示に基づき、基板Yステップ送り装置88によってXY平面内で搬送されるが、その際、基板Yステップ送り装置88は、基板PのY軸方向のサイズ(幅又は長さ)よりも小さい距離、すなわちホルダPHのY軸方向の幅(基板PのY軸方向のサイズの約1/3)と同一距離だけ基板PをY軸方向に変位させるだけで、基板Pの搬入が終了する。従って、基板の搬出時間に加えて、基板の搬入時間をも従来に比べて短縮することが可能なり、結果的に基板の交換時間を短縮することが可能になる。
【0127】
また、露光装置100では、主制御装置50により、基板P上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順に応じたホルダPHのX軸方向の位置で、基板PのホルダPH上からのY軸方向一側へのスライド搬出が行われる。また、主制御装置50により、基板P上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順に応じたホルダPHのX軸方向の位置で、基板PのホルダPH上へのY軸方向他側からのスライド搬入が行われる。さらに、主制御装置50により、そのスライド搬入された基板PのX軸方向の位置で、基板Pの露光位置に対する位置合わせのための計測、すなわち前述のマークの計測が開始される。すなわち、基板Pの搬入後にマークの計測に用いられるアライメント検出系が、基板P上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順に応じて、最短の時間でアライメント計測が開始されるように定められている。
【0128】
従って、本実施形態に係る露光装置100によると、従来の基板交換の際のように、ホルダPHは決められた基板交換位置(例えば、+X方向の移動限界位置近傍の位置)へ移動する必要がなく、これにより、基板交換時間を一層短縮することができる。これに加え、その基板交換が行われるホルダPHの位置に拘らず、常に最短の時間でアライメント計測を開始することができ、この点においてもスループットの向上を図ることが可能になる。
【0129】
また、上記実施形態では、1枚目(奇数枚目)の基板Pは、−Y側からホルダPHに搬入され、ホルダPHから−Y側に搬出される。一方、2枚目(偶数枚目)の基板Pは、+Y側からホルダPHに搬入され、ホルダPHから+Y側に搬出される。これにより、奇数枚目の基板P及び偶数枚目の基板Pのいずれにおいても、最短の時間でホルダPHからの基板Pの搬出が可能になる。
【0130】
ここで、上記実施形態中の説明では、露光済みの基板PのホルダPHからの搬出方向が、奇数枚目の基板と偶数枚目の基板とで、反対方向になる場合について例示したが、基板上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順によっては、偶数枚目の基板及び奇数枚目の基板両方で、基板はホルダPH上から−Y方向(又は+Y方向)に搬出されることは当然にあり得る。すなわち、本実施形態では、主制御装置50は、基板の交換時間が最短となるように、基板P上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順に応じたホルダPHのX軸方向の位置で、基板P上に形成すべきショット領域の配置、及び露光順に応じた方向に基板Pを搬出する。従って、基板上に形成すべきショット領域(被処理領域)の配置と処理の順番とに拘らず、常に一定のX位置で、同じ方向に搬出する場合に比べて、基板交換時間の短縮が可能である。
【0131】
露光装置100では、上述した第1層目の露光の際に、基板P上のショット領域毎に、マスクのパターンとともにアライメントマークが転写される。このため、露光装置100において、基板Pに対して第2層目以降の露光を行う場合には、それらのアライメントマークを用いて、従来と同様のアライメント計測が行われ、その計測結果に基づいて、露光の際の基板Pの位置制御(Xスキャン、Xステップ及びYステップを含む)が行われることになる。
【0132】
また、本実施形態に係る露光装置100では、基板Pが載置され、その基板Pの平坦度を確保した状態で吸着保持するホルダPHの基板保持面(基板載置面)は従来のホルダの約1/3の面積で足りるので、ホルダPHを小型、軽量化することが可能になる。また、軽量化されたホルダPHを支持する微動ステージ26も小型、軽量化され、各ボイスコイルモータ54X、54Y、54Zによる微動ステージ26の高速、高加減速駆動、及び位置制御性の向上が可能となる。また、ホルダPHは小型化されることによって、その基板保持部の平面度の加工時間が短縮され、加工精度が向上する。また、本実施形態では、微動ステージ26はY軸方向に関してステップ移動は行なわず、粗動テーブル32に牽引されてX軸方向に長ストロークで移動し、粗動テーブル32に対して6自由度方向に微少駆動される。従って、粗動テーブル32は、ラフな駆動精度で足り、その構造もシンプルで良く、小型、軽量、低コスト化が可能である。また、基板PのYステップ動作に際しては、基板Yステップ送り装置88により、基板PのみをY軸方向へラフな精度でステップ移動させる。従って、基板Yステップ送り装置88の構造もシンプルで良く、小型、軽量、低コスト化が可能である。
【0133】
また、本実施形態に係る露光装置100が備える基板ステージ装置PSTは、基板Pにクロススキャン方向(Y軸方向)に複数のショット領域を配置する多面取りレイアウトに有効である。
【0134】
また、ホルダPHのY軸方向両側のエア浮上ユニット群84A、84Bの支持面のY軸方向のサイズは、基板PのY軸方向のサイズと同等に限らず、それより大きくても良いし、僅かに小さくても良い。
【0135】
なお、上記実施形態では、露光後にショット領域が形成される領域以外の部分にアライメント検出系AL1〜AL8の視野の配置に対応して基板Pのアライメントに用いられるマークが形成されている場合について例示したが、これに限らず、例えば複数のアライメント検出系の視野が固定である場合には、複数のショット領域が形成される領域の外周部に、その複数のアライメント検出系で検出が可能となる配置で、タイトラーによりマークを形成するようにしても良い。あるいは、基板Pの裏面に、複数のアライメント検出系で検出が可能となる配置でマークを設けても良い。この場合、複数のアライメント検出系は、例えばホルダPHの内部に設けられる。
【0136】
また、上記実施形態では、基板Pの回転に起因するアライメント誤差の発生を防止するため、基板Pのステッピングの前後で、少なくとも2つの同じマークを、位置関係が既知の異なるアライメント検出系で検出する場合について例示したが、これに限らず、例えば基板Pの回転が殆ど生じない、あるいは基板Pの回転が無視できる場合などには、基板Pのステッピングの前後で、少なくとも1つの同じマークを、位置関係が既知の異なるアライメント検出系で検出しても良い。
【0137】
なお、上記実施形態において、重量キャンセル装置(心柱)が、微動ステージと一体型である場合について説明したが、これに限らず、微動ステージとは分離したものであっても良い。レベリングセンサのターゲット用のフィーラはなくても良い。また、レベリング機構と重量キャンセル機構部は上下逆配置でも良い。このように、重量キャンセル装置の構造は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0138】
《変形例》
上記実施形態の露光装置において、基板Pを一体的に保持するとともにエア浮上ユニットによって基板Pと一体的に浮上させることができる枠状の基板支持部材を用いても良い。一例として、第1の実施形態に係る露光装置100と同様の構成の露光装置に、この基板支持部材を適用した場合について、図27に基づいて説明する。
【0139】
基板支持部材69は、図27に示されるように、平面視で矩形(ほぼ正方形状)の輪郭を有し、中央部にZ軸方向に貫通する平面視矩形の開口部を有する、厚さ方向寸法が小さい(薄い)枠状部材から成る。基板支持部材69は、X軸方向を長手方向とするXY平面に平行な平板状の部材であるX枠部材61xを、Y軸方向に所定間隔で一対有し、一対のX枠部材61xは、+X側、−X側の端部のそれぞれにおいて、Y軸方向を長手方向とするXY平面に平行な平板状の部材であるY枠部材61yにより接続されている。一対のX枠部材61x、及び一対のY枠部材61yのそれぞれは、例えばGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)などの繊維強化合成樹脂材料、あるいはセラミックスなどにより形成することが、剛性の確保、及び軽量化の観点から好ましい。
【0140】
−Y側のX枠部材61xの上面には、−Y側の面に反射面を有する平面ミラーから成るY移動鏡194Yが固定されている。また、−X側のY枠部材61yの上面には、−X側の面に反射面を有する平面ミラーから成るX移動鏡194Xが固定されている。この場合、ホルダPH及び微動ステージ26のいずれにも、X移動鏡、Y移動鏡を設けなくても良い。
【0141】
基板支持部材69(すなわち基板P)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、X移動鏡194Xの反射面に測長ビームを照射する一対のX干渉計98X、98X、及びY移動鏡194Yの反射面に測長ビームを照射する一対のY干渉計98Y、98Yを含む前述の基板ステージ干渉計システム98により、例えば0.5nm程度の分解能で常時検出される。この変形例では、Y干渉計98Y、98Yは、エア浮上ユニット群84Bの−Y側のサイドフレーム20に取り付けられ、前述の第1の実施形態のY干渉計の光路より上方の空間を通ってY移動鏡194YにY軸に平行な測長ビームを照射する。
【0142】
なお、X干渉計、Y干渉計は、それぞれ基板支持部材69の移動可能範囲内で、少なくとも一つの測長ビームが対応する移動鏡に照射されるように、その台数及び/または測長ビームの光軸の数、又は間隔が設定される。従って、各干渉計の台数(光軸数)は2台に限定されず、基板支持部材の移動ストロークによっては、例えば1台(1軸)のみ、あるいは3台(3軸)以上であっても良い。
【0143】
基板支持部材69は、基板Pの端部(外周縁部)を下方から真空吸着保持する複数、例えば4つの保持ユニット65を有している。4つの保持ユニット65は、一対のX枠部材61xのそれぞれの互いに対向する対向面に2つずつ、X軸方向に離間して取り付けられている。なお、保持ユニットの数及び配置は、これに限られず、例えば基板の大きさ、撓み易さなどに応じて適宜追加しても良い。また、保持ユニットは、Y枠部材に取り付けられても良い。保持ユニット65は、例えばその上面に基板Pを真空吸着により吸着するための吸着パッドが設けられた断面L字状の基板載置部材と、該基板載置部材をX枠部材61xに接続する平行板ばねとを有し、基板載置部材が、X枠部材61xに対してX軸方向、及びY軸方向に関しては、平行板ばねの剛性によりその位置が拘束され、かつ板バネの弾性により、θx方向に回転することなくZ軸方向に変位(上下動)する構成になっている。かかる保持ユニット65及びこれを備えた基板支持部材69と同様の構成の基板保持枠については、例えば米国特許出願公開第2011/0042874号明細書に詳細に開示されている。
【0144】
図27の変形例では、基板PのXステップ若しくはYステップ動作、又は基板Pの基板ステージ装置PSTに対する搬出入に際しては、主制御装置50は、基板Xステップ送り装置91の可動部91a又は基板Yステップ送り装置88の可動部88aによって、基板支持部材69のいずれかのX枠部材61x又はいずれかのY枠部材61yを、吸着保持しても良いし、基板Pを吸着保持しても良い。
【0145】
図27の変形例では、基板Pの位置を、基板支持部材69に固定されたX移動鏡194X、Y移動鏡194Yを介して基板ステージ干渉計システム98によって、計測することができるので、この変形例に係る露光装置を用いて、基板Pに対する第1層目の露光を行う場合であっても、基板ステージ干渉計システム98によって計測される基板Pの位置情報に基づいて、設計値に従って、基板Pの各ショット領域の露光のための加速開始位置への位置決めを十分な精度で行うことが可能になる。従って、この変形例によると、基板Pに対する第1層目の露光の際にも、事前にタイトラーなどを用いて基板Pにマークを形成する必要がない。
【0146】
なお、基板支持部材69のY枠部材61y、X枠部材61xに、X移動鏡94X、Y移動鏡94Yの反射面に相当する反射面を形成することができるのであれば、必ずしもX移動鏡94X、Y移動鏡94Yを設ける必要はない。この場合には、その分、基板支持部材69を軽量化することができる。
【0147】
基板支持部材は、基板Pに対する第1層目の露光の際にのみ用いても良いし、第2層目以降の露光の際にも用いるようにしても良い。前者の場合、第2層目以降の露光に際しては、基板ステージ干渉計システム98によって、微動ステージ26の位置を計測する必要があるので、例えば前述したコーナーキューブから成る一対のX移動鏡94X、及び長尺鏡から成るY移動鏡94Yを、前述した第1の実施形態と同様の位置に取り付けておく必要がある。また、この場合に、基板ステージ干渉計システム98を、第1層目の露光の際の基板支持部材96(基板P)及び第2層目の露光の際の微動ステージ26の位置情報の計測に兼用しても良いが、これに限らず、基板支持部材96(基板P)の位置を計測する基板干渉計システムを、基板ステージ干渉計システム98とは別に設けても良い。
【0148】
なお、基板支持部材として、枠状の部材に限らず、枠の一部が欠けたような形状の基板支持部材を用いても良い。例えば上記米国特許出願公開第2011/0042874号明細書の第8の実施形態中に開示されているような平面視U字状の基板保持枠を用いても良い。また、基板のスキャン露光時の動作に悪影響を与えない構成であれば、基板支持部材69のXY平面内の駆動、例えばX軸方向の長ストローク駆動をアシストする駆動機構を新たに設けても良い。
【0149】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について、図28〜図30(F)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。本第2の実施形態に係る露光装置は、第1層目の露光に際しての基板Pの位置合わせに関連する構成部分が前述の第1の実施形態に係る露光装置100と相違するが、その他の部分については、第1の実施形態と同様である。
【0150】
図28には、本第2の実施形態に係る露光装置200の平面図が、簡略化して示されている。この図28では、エア浮上ユニット群84A、84B、ホルダPH、露光領域IA、及び後述するエッジセンサ以外の部分の図示は省略されている。
【0151】
露光装置200は、前述の第1の実施形態に係る露光装置100と同様の構成部分に加えて、図28に示される、一対のX位置計測用のエッジセンサ(以下、Xセンサと略記する)122X、122Xと、3つのY位置計測用のエッジセンサ(以下、Yセンサと略記する)122Y、122Y、122Yとを備えている。
【0152】
一対のXセンサ122X、122Xは、ホルダPHに設けられている。一対のXセンサ122X、122Xのそれぞれは、ホルダPHの内部にY軸方向を長手方向として配置されたY軸方向を周期方向とする格子を有するスケール120Xに対して計測ビームをそれぞれ照射して、それぞれの計測ビームの照射点におけるY軸方向の位置(Y位置)を計測する一対のエンコーダヘッド(不図示)の+Z側の面に一体的に固定されている。Xセンサ122X及びXセンサ122Xのそれぞれは、ホルダPHによる基板Pの吸着を妨げず、かつエンコーダヘッドと一体でY軸方向に移動可能となるようにホルダPHに取り付けられている。本実施形態では、一対のXセンサ122X、122Xは、基板Pの−X側のエッジのX位置(ホルダPHに対する基板PのX位置)及びθz方向の回転を検出するのに用いられる。Xセンサ122X、122Xのそれぞれが固定された一対のエンコーダヘッドの計測値は、例えば基板Pのθz方向の回転を検出する際に用いられる。
【0153】
Yセンサ122Y、122Y、122Yは、エア浮上ユニット群84B上方の鏡筒定盤16の下面に設けられている。Yセンサ122Y、122Y、122Yのそれぞれは、鏡筒定盤16に取り付けられ、Y軸方向を周期方向とする格子を有しY軸方向を長手方向とする不図示のスケールに対して計測ビームをそれぞれ照射して、それぞれの計測ビームの照射点におけるY軸方向の位置を計測する3つのエンコーダヘッドの−Z側の面に個別に固定されている。Yセンサ122Y、122Y、122Yのそれぞれは、それぞれY軸方向を長手方向とするYガイド121a、121b、121cに沿ってエンコーダヘッドと一体で移動可能である。Yガイド121a、121b、121cのそれぞれは、例えばリニアモータによってY軸方向に駆動される。本実施形態では、Yセンサ122Y、122Y、122Yのそれぞれは、基板Pの−Y側のエッジのY位置を検出するのに用いられる。
【0154】
一対のXセンサ122X、122X及び3つのYセンサ122Y、122Y、122Yの計測結果は、主制御装置50に供給されている。また、Xセンサ122X、122X及び3つのYセンサ122Y、122Y、122Yのそれぞれが固定された5つのエンコーダヘッドの計測結果も、主制御装置50に供給されている。主制御装置50は、Xセンサ122X、122Xによる計測結果と、これらが固定された一対のエンコーダヘッドの計測結果とに基づいて、一対のXセンサ122X、122Xのそれぞれの検出点における基板Pの計測対象エッジ(−X側のエッジ)のX位置、及びθz回転を求め、Yセンサ122Y、122Y、122Yのそれぞれの検出点における基板Pの計測対象エッジ(−Y側のエッジ)のY位置を求める。
【0155】
本第2の実施形態に係る露光装置200では、基板Pに対する第1層目の露光の際の基板のアライメントの方法が、前述の第1の実施形態と相違するが、その他については、第1の実施形態に係る露光装置100と同様の手順で同様の動作が行われる。以下では、相違点を中心として、基板Pに対して第1層目の露光を行う場合について、図29(A)〜図30(F)に基づいて、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。なお、図29(A)〜図30(F)において示される露光領域IAは、露光時に照明光ILが投影光学系PLを介して照射される照明領域であり、実際には、露光時以外に形成されることはないが、基板Pと投影光学系PLとの位置関係を明確にするため常に図示されている。また、図29(A)〜図30(F)においては、エア浮上ユニット群84A、84Bは、一部省略して示されている。
【0156】
ここでは、基板Pに、図28に示される6つのショット領域SA1〜SA6を形成する場合について、説明する。
【0157】
まず、前述と同様に、主制御装置50の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板搬入装置によって、基板ステージ装置PST上への基板Pの搬入(投入)が行われ、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置される(図29(A)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸引に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Bの一部により基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。このとき、図29(A)に示されるように、一対のXセンサ122X、122Xは、基板Pの第1番目の領域(ショット領域SA1が形成される領域)のY軸方向の一端と他端に対応する、−X側のエッジの位置に、主制御装置50によって設定されている。ここで、Xセンサ122X、122Xの間隔は、Yステップ時における基板Pの移動距離とほぼ同一距離に設定されている。
【0158】
その後、主制御装置50は、従来と同様のアライメント計測の方法によって投影光学系PLに対する微動ステージ26(ホルダPH)の位置を求める。次いで、主制御装置50は、一対のXセンサ122X、122Xを用いて、基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置及びθz回転を計測するとともに、最も+X側のYセンサ122Yを用いて、基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測する、投影光学系PLに対する基板Pのアライメント計測を行う。そして、主制御装置50は、上記各エッジ位置の計測結果と投影光学系PLに対する微動ステージ26のアライメント計測の結果とに基づいて、粗動テーブル32を駆動するとともに微動ステージ26を微小駆動して、そのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pを位置決めする。このとき、微動ステージ26(ホルダPH)の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決め駆動が行われる。図29(A)には、このようにして、基板P上の第1番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pが位置決めされた直後の状態が示されている。
【0159】
その後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作では、基板P上の複数の領域に対して順次露光処理が行われる。本第2の実施形態では、後述する各ショット領域SAn(n=1、2、3、4、5、6)の最大露光幅(Y軸方向の幅)は基板Pの約1/3である。
【0160】
図29(A)の状態から、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)とが、図29(A)中に白抜き矢印で示されるように、−X方向へ駆動され、前述と同様に、基板PのXスキャン動作が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA1が形成される(図29(B)参照)。
【0161】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるための+Y方向のYステップ動作が、前述の第1の実施形態と同様に行われる。これにより、基板Pは、ショット領域SA1に−Y側で隣接する未露光の第2番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる(図29(C)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0162】
そして、主制御装置50は、一対のXセンサ122X、122Xを用いて、基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置及びθz回転を計測するとともに、最も+X側のYセンサ122Yを用いて、基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測する。
【0163】
上記の3つのエッジセンサを用いた投影光学系PLに対する基板Pの位置計測(アライメント計測)では、主制御装置50は、先に前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に一方のエッジセンサ122Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のエッジセンサ122Xを用いて計測する。従って、主制御装置50は、基板Pの−X側のエッジ上の同一計測対象位置(計測点)のX軸方向の位置の変化(変位)量を、計測することができる。また、主制御装置50は、先に前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したエッジセンサ122Yを用いて、基板Pの同一のエッジのY位置を計測する。すなわち、主制御装置50は、基板Pの−Y側のエッジのY軸方向の変位量を計測する。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第2番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0164】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50は、この計測結果に基づいて、基板P上の第2番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決め、及び微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決め駆動を行う。図29(C)には、このようにして、基板P(ホルダPH(微動ステージ26))が、スキャン開始位置に位置決めされた状態が示されている。
【0165】
そして、主制御装置50は、図29(C)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との+X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA2が形成される(図29(D)参照)。
【0166】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるための+Y方向のYステップ動作が前述と同様に行われる。これにより、図29(E)に示されるように、基板Pは、ショット領域SA2に−Y側で隣接する未露光の第3番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部によって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0167】
そして、主制御装置50は、一対のXセンサ122X、122Xを用いて、基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置を計測するとともに、Yセンサ122Yを用いて、基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測する。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のエッジセンサ122Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のエッジセンサ122Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したエッジセンサ122Yを用いて、基板Pの同一のエッジのY位置を計測する。このため、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第3番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0168】
そして、主制御装置50により、そのアライメント計測の結果に基づいて、基板P上の第3番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決めが行われ、図29(E)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速が開始され、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。図29(F)には、基板P上の第3番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA3が形成されている。
【0169】
次に、主制御装置50は、次の露光のための加速に備えて、基板Pを、図29(F)中に白抜き矢印で示されるように、少し+X方向へ駆動する基板PのXステップ動作を行うが、その際に、図29(F)に示されるように、Yセンサ122Yと122Yとによる同時計測を行なって、先にショット領域SA3の形成に先立って、基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したYセンサ122Yの計測値と、次の領域の露光に先立って基板Pの−Y側のエッジのY位置の計測に用いられるYセンサ122Yの計測値との関係を求める(Yセンサ122Y、122Y間のキャリブレーションを行う)。このキャリブレーションに際しては、基板Pの回転がほぼ零になるように調整することが望ましい。この場合、ショット領域SA3の露光後、基板Pは、ホルダPHから外されていないので、先のアライメント結果に基づいて次の露光のための基板の位置決めを行っても良い。しかし、次に一旦、基板PがホルダPHから外されると、基板のその次のアライメントが困難になる。そこで、かかる事態が生じないように、Yセンサ122Yと122Yとによる同時計測及びYセンサ122Y、122Y間のキャリブレーションを行っている。従って、仮に、ショット領域SA3の露光後に、一旦、基板PをホルダPHから取り外したとしても、支障なく、第4番目の領域の露光のための新たなアライメント計測(投影光学系PLに対する基板Pの位置計測)を精度良く行うことができる。なお、基板P上のショット領域の配置によっては、Xステップに際して、Yセンサ122Yと122Yとによる同時計測が困難な場合も考えられる。かかる場合には、基板の移動に伴って、Yセンサ122Yと122Yとによる同時計測、及びこれに続く、Yセンサ122Yと122Yとによる同時計測を行って、両方の同時計測結果に基づいて、Yセンサ122Y、122Y間のキャリブレーションを行っても良い。
【0170】
主制御装置50は、上記の計測結果に基づいて、基板P(ホルダPH(微動ステージ26))を、第4番目の領域の露光のための加速開始位置に位置決めして、Xステップを終える。図30(A)には、ホルダPH(微動ステージ26)が、スキャン開始位置に位置決めされた状態が示されている。主制御装置50は、基板PのXステップ動作と並行して、マスクステージMSTを加速開始位置に戻している。
【0171】
そして、主制御装置50は、図30(A)中の白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA4が形成される(図30(B)参照)。
【0172】
次に、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるための−Y方向のYステップ動作が、前述と同様に、行われる。これにより、基板Pは、ショット領域SA2と該ショット領域SA2に+X側で隣接する第5番目の領域とがホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる(図30(C)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0173】
そして、主制御装置50は、一対のXセンサ122X、122Xを用いて、基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置を計測するとともに、Yセンサ122Yを用いて、基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測する。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のエッジセンサ122Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のエッジセンサ122Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したエッジセンサ122Yを用いて、基板Pの同一のエッジのY位置を計測する。このため、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第5番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0174】
そして、主制御装置50により、そのアライメント計測の結果に基づいて、基板P上の第5番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決めが行われ、図30(C)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA5が形成される(図30(D)参照)。
【0175】
次に、基板Pの最後の未露光領域をホルダPH上へ移動させるための−Y方向のYステップ動作が、前述と同様に行われる。これにより、基板Pは、最後の未露光のショット領域、及びこれに隣接するショット領域SA1が、ホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる(図30(E)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Bの一部によって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。そして、主制御装置50により、一対のXセンサ122X、122Xを用いた基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置の計測及びθz方向の回転、並びにYセンサ122Yを用いた基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測が、行われる。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のエッジセンサ122Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のエッジセンサ122Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したエッジセンサ122Yを用いて、基板Pの同一のエッジのY位置を計測する。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第6番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0176】
そして、主制御装置50により、そのアライメント計測の結果に基づいて、基板P上の第6番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決め(微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、X軸、Y軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決めを含む)が行われ、図30(E)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速が開始され、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA6が形成される(図30(F)参照)。
【0177】
一方、上記の基板Pの新たなアライメント計測が開始される直前に、不図示の基板搬入装置によって、新しい基板Pがエア浮上ユニット群84A上に搬入(投入)され、上記のショット領域SA6に対する露光と並行して、新しく投入された基板Pが、搬送される。一方、すべてのショット領域SA1〜SA6に対する露光が終わった基板Pは、主制御装置50により、ホルダPH上からエア浮上ユニット群84Bの上に運ばれ、不図示の基板搬出装置によって+X方向に搬出される。
【0178】
上記の露光済みの基板Pのエア浮上ユニット群84Bの上へのスライド搬送とほぼ同時に、新たに投入された基板Pは、主制御装置50により、−Y側の一部(1/3の部分)がホルダPH上に位置させられ、ホルダPHによってその一部が吸着される(固定される)。そして、上記の露光済みの基板Pの搬出と並行して、ホルダPHに一部が固定された基板Pに対しては、前述と同様のアライメント動作が行われた後、基板PとマスクMとの+X方向の加速が開始され、前述と同様にして最初の領域(最も−Y側でかつ+X側の領域)に対するスキャン露光が行われる。以後、前述した第1枚目の基板Pに対する露光の際と同様の手順で、第2枚目の基板P上の残りの領域に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作、並びに第3枚目以降の基板に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作が繰り返される。
【0179】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る露光装置200によると、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同等の効果を得ることができる。これに加え、露光装置200によると、基板Pに対する第1層目の露光の際にも、事前にタイトラーなどを用いて基板Pにマークを形成する必要がない。
【0180】
なお、上記第2の実施形態では、Xセンサ122X、122XがホルダPHに設けられている場合について例示したが、ホルダPHに設けない場合には、例えば、上述のYセンサ122Y〜122Yと同様の構成の一対のXセンサを微動ステージ26の外部に設けても良い。
【0181】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態に係る露光装置300について、図31〜図33(F)に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一若しくは類似の符号を用いるとともに、その説明を簡略若しくは省略する。本第3の実施形態に係る露光装置は、第1層目の露光に際しての基板Pの位置合わせに関連する構成部分が前述の第1の実施形態に係る露光装置100と相違するが、その他の部分については、第1の実施形態と同様である。
【0182】
図31には、本第3の実施形態に係る露光装置300の平面図が、簡略化して示されている。この図31では、エア浮上ユニット群84A、84B、ホルダPH、露光領域IA、及び後述する検出ユニット、並びに干渉計以外の部分の図示は省略されている。
【0183】
露光装置300は、前述の第1の実施形態に係る露光装置100と同様の構成部分に加えて、図31に示される、一対のX位置計測用の検出ユニット(以下、X検出ユニットと略記する)124X、124Xと、3つのY位置計測用の検出ユニット(以下、Y検出ユニットと略記する)124Y、124Y、124Yとを備えている。
【0184】
一対のX検出ユニット124X、124Xのそれぞれは、XZ断面L字状の部材から成り、ホルダPHの内部にX軸方向を長手方向として配置されたガイド126a、126bに沿って移動可能になっている。一対のX検出ユニット124X、124Xのそれぞれは、ホルダPHによる基板Pの吸着を妨げず、かつX軸方向に移動可能となるようにホルダPH上に取り付けられ、例えばリニアモータによってホルダPH上でX軸方向に駆動される。
【0185】
一対のX検出ユニット124X、124Xのそれぞれは、−X側の面に反射面が設けられ、基板Pの−X側の端部の側面及び裏面に吸着固定可能である。この場合、X検出ユニット124X、124Xのそれぞれは、主制御装置50によって、基板Pに対する吸着、及び吸着の解除、すなわち取り付け、取り外しが行われる。一対のX検出ユニット124X、124Xのそれぞれは、基板Pの裏面に対向する面に段部が設けられており、この段部の存在により、その反射面と基板PとのX軸方向の位置関係が一定になるように基板Pに吸着固定される。
【0186】
本第3の実施形態に係る露光装置300では、一対のX検出ユニット124X、124Xのそれぞれに計測ビームを照射して、基板PのX位置を計測する一対のX干渉計130X、130Xが設けられている。X干渉計130X、130Xは、X軸に平行な計測ビームをX検出ユニット124X、124Xのそれぞれの反射面における基板Pの側面(端面)とほぼ同じ高さの位置に照射する。計測ビームと基板Pの上面とのZ軸方向の間隔ΔZは、小さいほど望ましく、例えば1mm以下であることが望ましい。ΔZが1mmを超える場合には、X干渉計130X、130Xの少なくとも一方は、X検出ユニット124X又は124Xのピッチング(θy回転)を計測可能な多軸干渉計を用いることが望ましい。
【0187】
Y検出ユニット124Y、124Y、124Yは、エア浮上ユニット群84B上方の鏡筒定盤16の下面に設けられている。Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれは、YZ断面U字状の部材から成り、鏡筒定盤16に取り付けられたY軸方向を長手方向とするガイド121a、121b、121cに沿って移動可能である。Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれは、基板Pの−Y側の端部の側面及び裏面に吸着固定可能なYZ断面L字状の吸着部をその下端部に有し、−Y側の面に反射面が設けられている。この場合、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれは、主制御装置50によって、基板Pに対する吸着、及び吸着の解除、すなわち取り付け、取り外しが行われる。Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれは、例えばリニアモータによってY軸方向に駆動される。
【0188】
Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれは、Y軸方向に関してその反射面と基板Pとの位置関係が一定になるように基板Pに吸着固定される。
【0189】
本第3の実施形態に係る露光装置300では、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれに計測ビームを照射して、基板PのY位置を計測する3つのY干渉計130Y、130Y、130Yが設けられている。Y干渉計130Y、130Y、130Yは、エア浮上ユニット群84Bの上方の空間を通ってY軸に平行な計測ビームをY検出ユニット124Y、124Y、124Yのそれぞれの反射面における基板Pの側面(端面)とほぼ同じ高さの位置に照射する。計測ビームと基板Pの上面とのZ軸方向の間隔は、小さいほど望ましく、例えば1mm以下であることが望ましい。ここで、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yの移動が妨げられるおそれがある場合には、エア浮上ユニット群84Bの上面の一部にY検出ユニット124Y、124Y、124Yの移動経路に沿って凹部(不図示)が形成される。
【0190】
一対のX干渉計130X、130X及び3つのY干渉計130Y、130Y、130Yの計測結果は、主制御装置50に供給されている。主制御装置50は、X干渉計130X、130Xによる計測結果に基づいて、一対のX干渉計130X、130Xのそれぞれの計測ビームの照射点における基板PのX位置、及び基板Pのθz回転を求め、Y干渉計130Y、130Y、130Yのそれぞれの計測結果に基づいて、それぞれの計測ビームの照射点における基板PのY位置を求める。
【0191】
本第3の実施形態に係る露光装置300では、基板Pに対する第1層目の露光の際の基板のアライメントの方法が、前述の第1の実施形態と相違するが、その他については、第1の実施形態に係る露光装置100と同様の手順で同様の動作が行われる。以下では、相違点を中心として、基板Pに対して第1層目の露光を行う場合について、図32(A)〜図33(F)に基づいて、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。なお、図32(A)〜図33(F)において示される露光領域IAは、露光時に照明光ILが投影光学系PLを介して照射される照明領域であり、実際には、露光時以外に形成されることはないが、基板Pと投影光学系PLとの位置関係を明確にするため常に図示されている。また、図32(A)〜図33(F)において、エア浮上ユニット群84A、84Bは、一部が省略して示されている。
【0192】
ここでは、基板Pに、図31に示される6つのショット領域SA1〜SA6を形成する場合について、説明する。
【0193】
まず、前述と同様に、主制御装置50の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板搬入装置によって、基板ステージ装置PST上への基板Pの搬入(投入)が行われ、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置される(図32(A)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸引に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Bの一部により基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。このとき、図32(A)に示されるように、一対のX検出ユニット124X、124Xは、主制御装置50によって、基板Pの第1番目の領域(ショット領域SA1が形成される領域)のY軸方向の一端と他端に対応する、−X側のエッジの位置に取り付けられている。また、最も+X側のY検出ユニット124Yは、主制御装置50によって、基板Pの−Y側の端部に取り付けられている。
【0194】
その後、主制御装置50により、従来と同様のアライメント計測の方法によって投影光学系PLに対する微動ステージ26(ホルダPH)の位置が求められる。
【0195】
そして、主制御装置50は、一対のX干渉計130X、130Xを用いて、X検出ユニット124X、124XのX位置、すなわち基板Pの−X側の端面の2箇所のX位置及びθz回転を計測するとともに、最も+X側のY干渉計130Yを用いて、Y検出ユニット124YのY位置、すなわち基板Pの(−Y側の端面の)Y位置を計測する(図32(A)参照)。このとき、X干渉計130X、130Xの間隔は、Yステップ時における基板Pの移動距離とほぼ同一距離に設定されている。
【0196】
そして、主制御装置50は、上記基板PのXY平面内の3自由度方向の位置の計測結果と投影光学系PLに対する微動ステージ26のアライメント計測の結果とに基づいて、粗動テーブル32を駆動するとともに微動ステージ26を微小駆動して、そのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pを位置決めする。この位置決めは、まず、Y検出ユニット124Yが基板Pに取り付けられている状態で、Y干渉計130Yの計測結果に基づいて微動ステージ26(ホルダPH)の粗動テーブル32に対する、Y軸方方向の位置決めがなされ、その後基板Pに対する吸着が解除された後、微動ステージ26(ホルダPH)の粗動テーブル32に対する、X軸及びθz方向(あるいはX軸、θz、Z軸、θx、θyの各方向)の精密な微少位置決めが行われる。以下では、説明を省略するが、本第3の実施形態では、後述するスキャン露光時など、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yの全てが基板Pに取り付けられていないとき、すなわちY干渉計130Y、130Y、130Yのいずれによっても基板PのY位置が計測できないときの基板PのY位置の計測は、基板PがホルダPHに吸着されているときには、前述の基板ステージ干渉計システム98のY干渉計98Y、98Yによって行われる。
【0197】
図32(A)には、上述のようにして、基板P上の第1番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)に基板Pが位置決めされた直後の状態が示されている。
【0198】
その後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれるステップ・アンド・スキャン方式の露光動作では、基板P上の複数の領域に対して順次露光処理が行われる。本第3の実施形態では、各ショット領域SAn(n=1、2、3、4、5、6)の最大露光幅(Y軸方向の幅)は基板Pの約1/3である。
【0199】
図32(A)の状態から、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)とが、図32(A)中に白抜き矢印で示されるように、−X方向へ駆動され、前述と同様に、基板Pのスキャン露光が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA1が形成される(図32(B)参照)。本第3の実施形態では、スキャン露光中の基板PのX位置及びθz回転の制御は、主制御装置50によって、X干渉計130X、130Xの計測結果、及び/又は基板ステージ干渉計システム98のX干渉計98X、98Xの計測結果に基づいて行われる。
【0200】
次に、主制御装置50によって、X検出ユニット124X、124Xが基板Pから取り外され、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるためのた+Y方向のYステップ動作が、前述の第1の実施形態と同様に基板Yステップ送り装置88を用いて行われる(図32(B)中の白抜き矢印参照)。主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを、基板Pの−Y側の端部に取り付け、Yステップ動作中、そのY位置の変化をY干渉計130Yを用いてモニタしつつ、基板Pを+Y方向に駆動する。これにより、基板Pは、ショット領域SA1に−Y側で隣接する未露光の第2番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる(図32(C)参照)。すなわち、このようにして、基板PのYステップ及びY位置のラフな位置決めが行われる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0201】
そして、主制御装置50は、一対のX検出ユニット124X、124Xを基板Pの−X側の端部の2箇所に取り付け、X干渉計130X、130Xを用いてX検出ユニット124X、124XのX位置(基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置)及びθz回転を計測するとともに、Y干渉計130Yを用いて基板PのY位置を計測する。
【0202】
上記の3つの干渉計130X、130X、及び130Yを用いた投影光学系PLに対する基板Pの位置計測(アライメント計測)では、主制御装置50は、先に前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に一方のX干渉計130Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のX干渉計130Xを用いて計測する。従って、主制御装置50は、基板Pの−X側のエッジ上の同一計測対象位置(計測点)のX軸方向の位置の変化(変位)量を、計測することができる。また、主制御装置50は、先に前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板PのY位置を計測したY干渉計130Yを用いて、基板PのY位置を計測する。すなわち、主制御装置50は、基板PのY軸方向の変位量を計測する。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第2番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0203】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50は、アライメント計測の結果に基づいて、前述と同様の手順で、基板P上の第2番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への位置決め、及び微動ステージ26の粗動テーブル32に対する、Y軸、X軸及びθz方向(あるいは6自由度方向)の精密な微少位置決めを行う。図32(C)には、このようにして、ホルダPH(微動ステージ26)が、スキャン開始位置に位置決めされた状態が示されている。
【0204】
そして、主制御装置50は、図32(C)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との+X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA2が形成される(図32(D)参照)。
【0205】
次に、主制御装置50によって、X検出ユニット124X、124Xが基板Pから取り外され、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるための+Y方向のYステップ動作が前述と同様に行われる(図32(D)中の白抜き矢印参照)。主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを、基板Pの−Y側の端部に取り付け、Yステップ動作中、そのY位置の変化をY干渉計130Yを用いてモニタしつつ、基板Pを+Y方向に駆動する。これにより、図32(E)に示されるように、基板Pは、ショット領域SA2に−Y側で隣接する未露光の第3番目の領域(露光対象領域)(及びこれに+X側で隣接する領域)がホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部によって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0206】
そして、主制御装置50は、一対のX検出ユニット124X、124Xを基板Pの−X側の端部の2箇所にそれぞれ取り付け、X干渉計130X、130Xを用いてX検出ユニット124X、124XのX位置(基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置)及びθz回転を計測するとともに、Y干渉計130Yを用いて基板PのY位置を計測する。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のX干渉計130Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のX干渉計130Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA2)の露光前に基板PのY位置を計測したY干渉計130Yを用いて、基板PのY位置を計測する。このため、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第3番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0207】
そして、基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、アライメント計測の結果に基づいて、前述と同様の手順で、基板P上の第3番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決めが行われ、図32(E)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速が開始され、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。図32(F)には、基板P上の第3番目の領域に対するスキャン露光が終了して、基板ステージ(26、28、32、PH)が停止した状態が示されている。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA3が形成されている。
【0208】
次に、主制御装置50は、次の露光のための加速に備えて、基板Pを、図32(F)中に白抜き矢印で示されるように、少し+X方向へ駆動する基板PのXステップ動作を行う。このXステップ動作に先立って、主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを、基板Pから取り外す。この場合、ショット領域SA3の露光後、基板Pは、ホルダPHから外されていないので、主制御装置50は、先のアライメント結果に基づいて次の露光のための基板の位置決めを行うことができる。基板PのXステップ動作は、その位置決めのために行われる。主制御装置50は、X干渉計130X、130Xの計測値に基づいて、基板PのX位置とともにθz回転をモニタしつつ、上記の基板PのXステップ動作を行う。
【0209】
主制御装置50は、基板PのXステップ後、図33(A)に示されるように、Y検出ユニット124Yを基板Pの−Y側の端部に取り付けた状態で、Y干渉計130Yを用いて基板PのY位置を計測し、基板PのY位置の微調整を行う。これにより、基板Pの第4番目の領域の露光のための加速開始位置への位置決めが終了する。図33(A)には、基板P(ホルダPH(微動ステージ26))が、スキャン開始位置に位置決めされた状態が示されている。この場合、主制御装置50は、上述の基板PのXステップ動作と並行して、マスクステージMSTを加速開始位置に戻している。ここで、本第3の実施形態では、一対のX検出ユニット124X、124X及びY検出ユニット124Y〜124Yのいずれか、例えばY検出ユニット124Yを基板Pに取り付け、X干渉計130X、130Xを用いて、X検出ユニット124X、124XのX位置を検出するとともに、Y干渉計130Yを用いてY検出ユニット124YのY位置を検出することで、基板Pの基準位置、例えば基板中心のX、Y、θz方向の位置を求めることができる。従って、ショット領域SA3の露光後、基板Pは、ホルダPHから仮に取り外しても支障なく、第4番目の露光のための加速開始位置へ基板Pを位置決めすることができる。
【0210】
そして、主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを基板Pから取り外し、図33(A)中の白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速を開始して、前述と同様にしてスキャン露光を行なう。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA4が形成される(図33(B)参照)。
【0211】
次に、主制御装置50によって、X検出ユニット124X、124Xが基板Pから取り外され、基板Pの未露光領域をホルダPH上へ移動させるための−Y方向のYステップ動作が、前述と同様に、行われる(図33(B)中の白抜き矢印参照)。主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを、基板Pの−Y側の端部に取り付け、Yステップ動作中、そのY位置の変化をY干渉計130Yを用いてモニタしつつ、基板Pを−Y方向に駆動する。これにより、基板P上のショット領域SA2と該ショット領域SA2に+X側で隣接する第5番目の領域とがホルダPHに対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる(図33(C)参照)。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Aの一部とエア浮上ユニット群84Bの一部とによって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0212】
そして、主制御装置50は、一対のX検出ユニット124X、124Xを基板Pの−X側の端部の2箇所にそれぞれ取り付け、X干渉計130X、130Xを用いてX検出ユニット124X、124XのX位置(基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置)及びθz回転を計測するとともに、Y干渉計130Yを用いて基板PのY位置を計測する。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のエッジセンサ122Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のエッジセンサ122Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA1)の露光前に基板Pの−Y側のエッジのY位置を計測したエッジセンサ122Yを用いて、基板Pの同一のエッジのY位置を計測する。このため、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第5番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0213】
そして、投影光学系PLに対する基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、アライメント計測の結果に基づいて、前述と同様の手順で、基板P上の第5番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決めが行われ、図30(C)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速が開始され、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA5が形成される(図33(D)参照)。
【0214】
次に、主制御装置50によって、X検出ユニット124X、124Xが基板Pから取り外され、基板Pの最後の未露光領域をホルダPH上へ移動させるための−Y方向のYステップ動作が、前述と同様に行われる(図33(D)中の白抜き矢印参照)。主制御装置50は、Y検出ユニット124Yを、基板Pの−Y側の端部に取り付け、Yステップ動作中、そのY位置の変化をY干渉計130Yを用いてモニタしつつ、基板Pを−Y方向に駆動する。これにより、図33(E)に示されるように、基板Pは、最後の未露光領域、及びこれに隣接するショット領域SA1が、ホルダPH上に対向し、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とに跨って載置された状態となる。このとき、基板Pは、ホルダPHとエア浮上ユニット群84Bの一部とによって浮上支持されている。そして、主制御装置50によりホルダPHが、排気から吸気(吸引)に切り替えられる。これにより、ホルダPHにより基板Pの一部(基板P全体の約1/3)が吸着固定され、エア浮上ユニット群84Bの一部によって基板Pの一部(基板P全体の残りの約2/3)が浮上支持された状態となる。
【0215】
そして、主制御装置50は、一対のX検出ユニット124X、124Xを基板Pの−X側の端部の2箇所にそれぞれ取り付け、X干渉計130X、130Xを用いてX検出ユニット124X、124XのX位置(基板Pの−X側のエッジの2箇所のX位置)、及び基板Pのθz回転を計測するとともに、Y干渉計130Yを用いて基板PのY位置を計測する。この場合も、前述と同様に、前ショット領域の露光前に一方のX干渉計130Xを用いて計測した基板Pの−X側のエッジ上の位置とほぼ同一の位置(計測点)を、他方のX干渉計130Xを用いて計測し、前ショット領域(この場合、ショット領域SA5)の露光前に基板PのY位置を計測したY干渉計130Yを用いて、基板PのY位置を計測する。従って、一旦、基板PをホルダPHから取り外したにも拘らず、支障なく、第6番目の領域の露光のための新たなアライメント計測を精度良く行うことができる。
【0216】
そして、基板Pの新たなアライメント計測が終了すると、主制御装置50により、アライメント計測の結果に基づいて、前述と同様の手順で、基板P上の第6番目の領域の露光のためのスキャン開始位置(加速開始位置)への基板Pの位置決めが行われ、図33(E)中に白抜き矢印で示されるように、基板P(基板ステージ(26、28、32、PH))とマスクM(マスクステージMST)との−X方向の加速が開始され、前述と同様にしてスキャン露光が行われる。この露光によって、基板P上には感応層が露光されたショット領域SA6が形成される(図32(F)参照)。
【0217】
一方、上記の基板Pの新たなアライメント計測が開始される直前に、不図示の基板搬入装置によって、新しい基板Pがエア浮上ユニット群84A上に搬入(投入)され、上記のショット領域SA6に対する露光と並行して、新しく投入された基板Pが、搬送される。一方、すべてのショット領域SA1〜SA6に対する露光が終わった基板Pは、主制御装置50により、ホルダPH上からエア浮上ユニット群84Bの上に運ばれ、不図示の基板搬出装置によって+X方向に搬出される。
【0218】
上記の露光済みの基板Pのエア浮上ユニット群84Bの上へのスライド搬送とほぼ同時に、新たに投入された基板Pは、主制御装置50により、−Y側の一部(1/3の部分)がホルダPH上に位置させられ、ホルダPHによってその一部が吸着される(固定される)。そして、上記の露光済みの基板Pの搬出と並行して、ホルダPHに一部が固定された基板Pに対しては、前述と同様のアライメント動作が行われた後、基板PとマスクMとの+X方向の加速が開始され、前述と同様にして最初の領域(最も−Y側でかつ+X側の領域)に対するスキャン露光が行われる。以後、前述した第1枚目の基板Pに対する露光の際と同様の手順で、第2枚目の基板P上の残りの領域に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作、並びに第3枚目以降の基板に対するアライメント(Xステップ、Yステップ)、露光等の動作が繰り返される。
【0219】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る露光装置300によると、前述した第1の実施形態に係る露光装置100と同等の効果を得ることができる。これに加え、露光装置300によると、基板Pに対する第1層目の露光の際にも、事前にタイトラーなどを用いて基板Pにマークを形成する必要がない。
【0220】
なお、上記第3の実施形態では、X検出ユニット124X、124Xが、ホルダPHに設けられている場合について例示したが、ホルダPHに設けない場合には、例えば、上述のY検出ユニット124Y〜124Yと同様の構成の一対のY検出ユニットを微動ステージ26の外部に設けても良い。
【0221】
また、上記第3の実施形態では、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yは、エア浮上ユニット群84B上方の鏡筒定盤16の下面に設けられるものとしたが、これに限らず、一方のエア浮上ユニット群84Bの一部にガイド121a、121b、121cが配置可能な空隙を設け、その空隙内にガイド121a、121b、121c等とともに、Y検出ユニット124Y、124Y、124Yを配置しても良い。
【0222】
また、上記第3の実施形態では、X干渉計130X、130X及びY干渉計130Y〜130Yのそれぞれを用いて、X検出ユニット124X、124X及びY検出ユニット124Y〜124Yの位置を検出する場合について例示した。しかし、これに限らず、少なくとも1つの検出ユニットの位置をエンコーダで計測しても良い。
【0223】
なお、上記各実施形態では、ホルダPHの基板保持面のY軸方向のサイズは、基板PのY軸方向のサイズの1/3に限らず、1/2、1/4等であっても良く、要は、ホルダPHの基板保持面のY軸方向のサイズは、基板PのY軸方向のサイズよりある程度以上小さければ良い。実際には、基板P上に形成されるショット領域のサイズと同等に(僅かに大きく)設定される。
【0224】
なお、上記各実施形態では、ホルダPHのY軸方向の一側と他側に、粗動テーブル32及び微動ステージ26等と分離して配置されたフレーム上にエア浮上ユニット群84A、84Bが設置される場合について説明したが、エア浮上ユニット群84A、84Bのうち少なくとも一方を、粗動テーブル32上に搭載してX軸方向に可動な構成としても良いし、あるいは粗動テーブルに追従して移動する別の移動体を設け、該別の移動体上にエア浮上ユニット群を搭載して、X軸方向に可動な構成としても良い。この場合、エア浮上ユニット群が搭載された粗動テーブル32又は粗動テーブルに追従して移動する別の移動体上に、エア浮上ユニット群の内部に配置された前述の基板Yステップ送り装置88を設けても良い。
【0225】
なお、上記各実施形態では、基板Pの撓みを防止する目的で、エア浮上ユニット群84A、84Bを用いる場合について説明したが、これに限らず、コロ又はボール等を用いた接触型の転がり軸受を備えた基板の垂れ下がり防止装置を、上記各実施形態のエア浮上ユニットの少なくとも一部と入れ替えても良い。基板Pの撓みを防止する目的で、エア浮上ユニット、転がり軸受以外の軸受部材を備えた基板の垂れ下がり防止装置を用いても良い。
【0226】
また、上記各実施形態では、微動ステージ26にホルダPHが搭載された場合について説明したが、これに限らず、微動ステージの素材としてセラミックスなどを用いる場合には、その上部にエッチング加工等を施して、基板を保持する上記ホルダPHと同等の機能を有する保持部を微動ステージと一体で構成しても良い。
【0227】
また、上記各実施形態が共通に備えている構成部分にも、露光装置が必ずしも備えていなくても良いものもある。例えば、重量キャンセル装置は、必須ではない。この場合、ホルダを移動させるための移動ステージが必要になるが、その移動ステージは、いわゆる粗微動ステージであっても良いし、単独の6DOFステージであっても良い。要は、移動ステージは、ホルダをXY平面内で(少なくともX軸方向に)駆動できれば良く、6自由度方向に駆動可能でれば、一層望ましい。
【0228】
なお、上記各実施形態では、露光装置が、基板Pのステップ・アンド・スキャン動作を伴う走査型露光を行う投影露光装置である場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置、さらには投影光学系を用いないプロキシミティ方式の露光装置にも、上記各実施形態は適用が可能である。
【0229】
また、上記各実施形態の露光装置では、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0230】
また、上記各実施形態では、投影光学系PLが、複数の投影光学系(投影光学ユニット)を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの数はこれに限らず、1つ以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0231】
また、上記各実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0232】
なお、上記各実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0233】
なお、上記各実施形態に係る露光装置は、サイズ(外径、対角線、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。これは、基板の大型化に対応すべく本発明がなされているからである。
【0234】
また、上記各実施形態に係る露光装置を用いて、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造することができる。まず、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程で上記各実施形態の露光装置を用いて、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。このパターン形成工程が複数回繰り返されることで、基板上には複数層のパターンが重ね合わせて形成される。第1層目の露光及び第2層目以降の露光のそれぞれに際してのアライメントは、前述の如く行われる。その後、カラーフィルタ形成工程、セル組み立て工程、及びモジュール組立工程等を経ることによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明の位置合わせ方法は、基板に対して第1層目の露光を行う際の基板の位置合わせに適している。また、本発明の露光方法は、基板上に複数層のパターンが重ね合わせられた複数の区画領域を形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法、及びフラットパネルディスプレイの製造方法は、液晶表示素子等の製造に適している。
【符号の説明】
【0236】
69…基板支持部材、98…基板ステージ干渉計システム、122X、122X…Xセンサ、122Y〜122Y…Yセンサ、124X、124X…X検出ユニット、124Y〜124Y…Y検出ユニット、130X、130X…X干渉計、130Y〜130Y…Y干渉計、P…基板、SA1〜SA6…ショット領域、M11〜M44…マーク、AL1〜AL8…アライメント検出系、IL…照明光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の区画領域を形成するに当たり、前記基板を所定位置に位置合わせする位置合わせ方法であって、
前記基板上に区画領域を形成する度毎に、前記基板を該基板の面に平行な面内でステップ移動し、該ステップ移動の前後で、前記基板の同一の検出対象部の位置情報を検出することと、
前記検出対象部の位置情報の検出結果に基づいて、前記区画領域の形成の際に、前記基板を所定位置に対して位置合わせすることと、を含む位置合わせ方法。
【請求項2】
前記ステップ移動前の前記検出対象部の位置情報の検出は、前記区画領域の形成前に行われる請求項1に記載の位置合わせ方法。
【請求項3】
前記検出対象部は、前記区画領域に先立って前記基板上に形成されたマークであり、前記基板のステップ移動の前後での前記検出対象部の位置情報の検出は、位置関係が既知の複数のマーク検出系のそれぞれで前記マークを検出することを含む請求項1又は2に記載の位置合わせ方法。
【請求項4】
前記基板のステップ移動の前後での前記検出対象部の位置情報の検出は、前記複数のマーク検出系で、同一のマークを検出することを含む請求項3に記載の位置合わせ方法。
【請求項5】
前記検出対象部は、前記基板のエッジであり、前記基板のステップ移動の前後での前記検出対象部の位置情報の検出は、同一のエッジ検出系を用いて前記エッジの位置を検出することを含む請求項1又は2に記載の位置合わせ方法。
【請求項6】
前記検出対象部は、前記基板のエッジであり、前記基板のステップ移動の前後での前記検出対象部の位置情報の検出は、複数のエッジ検出系を用いて同一のエッジの異なる位置を検出することと、複数のエッジ検出系の検出結果同士をキャリブレーションすることとを含む請求項1又は2に記載の位置合わせ方法。
【請求項7】
前記検出対象部は、前記基板に着脱される検出ユニットであり、前記基板のステップ移動の前後での前記検出対象部の位置情報の検出は、前記基板に取り付けられた検出ユニットの位置を位置検出系を用いて検出することを含む請求項1に記載の位置合わせ方法。
【請求項8】
エネルギビームにより基板を露光して、前記基板上に複数層のパターンが重ね合わせられた複数の区画領域を形成する露光方法であって、
前記基板上に前記複数の区画領域を形成するための第1層目の露光に際しては、請求項1〜7のいずれか一項に記載の位置合わせ方法を用いて、露光位置に対する前記基板の位置合わせを行い、
前記基板上に形成された複数の区画領域に重ね合わせてパターン領域を形成する第2層目以降の露光に際しては、前層以前の露光の際に前記各区画領域のパターンとともに前記基板に形成されたマークの位置を検出することで前記露光位置に対する前記基板の位置合わせを行う露光方法。
【請求項9】
エネルギビームにより基板を露光して、前記基板上に複数層のパターンが重ね合わせられた複数の区画領域を形成する露光方法であって、前記基板上に前記複数の区画領域を形成するための第1層目の露光に際しては、前記基板は、その外周縁部の少なくとも一部を吸着して支持する基板支持部材と一体化され、前記基板支持部材に設けられた反射面に計測ビームを照射する基板干渉計システムによって、前記基板の位置を計測し、その計測結果に基づいて、露光位置に対する前記基板の位置合わせを行い、
前記基板上に形成された複数の区画領域に重ね合わせてパターン領域を形成する第2層目以降の露光に際しては、前層以前の露光の際に区画領域のパターンとともに前記基板に形成されたマークの位置を検出することで前記露光位置に対する前記基板の位置合わせを行う露光方法。
【請求項10】
露光位置に対して前記基板の面に平行な所定面内の第1方向に基板を駆動してエネルギビームにより前記基板上の複数の被処理領域を露光する露光方法であって、
前記基板上の被処理領域の配置と処理の順番とに応じた前記第1方向の位置で、前記所定面内で前記第1方向に直交する第2方向に基板を変位させて移動体上に前記基板を搬入することと、
前記基板が搬入された前記第1方向の位置で、前記基板の前記露光位置に対する位置合わせのための計測を開始することと、を含む露光方法。
【請求項11】
前記基板を搬入することでは、前記基板上の被処理領域の配置と処理の順番とに応じた前記第2方向の一方向に前記基板を変位させて前記移動体上に前記基板を搬入する請求項10に記載の露光方法。
【請求項12】
前記基板上の被処理領域の配置と処理の順番とに応じた前記第1方向の位置で、前記第2方向に基板を変位させて前記移動体上から前記基板を搬出することを、さらに含む請求項10又は11に記載の露光方法。
【請求項13】
前記搬出することでは、前記基板上の被処理領域の配置と処理の順番とに応じた前記第2方向の一方向に前記基板を変位させて前記移動体上から前記基板を搬出する請求項12に記載の露光方法。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の露光方法により基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項15】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の露光方法により前記基板としてフラットパネルディスプレイに用いられる基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−54144(P2013−54144A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191211(P2011−191211)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】