説明

信号のエッジ形成の方法、及びバスシステムの送信機/受信機構成部品

本発明は、信号のエッジ形成の方法、及びバスシステムの送信機/受信機構成部品に関する。バスシステムの送信機/受信機構成部品(TR)は、バスシステムのバスライン(BL)と基準電位(GND)との間で接続され、バスライン(BL)上の信号を出力するのに使用されるドライバトランジスタ(T1)と、ドライバトランジスタ(T1)の制御ユニット(AE)と、バスシステムのバスライン(BL)上の高周波干渉レベルを検出するように構成された高周波干渉検出器(HFD)とを備えている。制御ユニット(AE)は、バスライン(BL)上の高周波干渉レベルが増加したときに出力信号(UBL)のエッジ急峻さが増加するように、バスライン(BL)上の高周波干渉レベルが減少したときに出力信号(UBL)のエッジ急峻さが減少するように、検出された高周波干渉レベルに基づいてドライバトランジスタ(T1)を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号のエッジ形成の方法、及びバスシステムの送信機/受信機構成部品に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波干渉放射を減らす非シールドのバスシステムにおいて、送信される信号のエッジは、信号の伝送に使用される送信機/受信機構成部品を用いて形成される。また、送信機/受信機構成部品は、トランシーバ又はバスドライバとも呼ばれる。バスシステムへ出力される信号のエッジの急峻さが減少するとき、その信号によって起こる干渉放射もまた、それに従って減少する。
【0003】
しかし、エッジの急峻さが少ないと、結合された高周波干渉信号に対する感度が上がる。その理由は、一方では、高周波干渉の存在下の信号エッジが遅い場合、論理レベルに割り当てられた信号閾値が、ゆっくりとした立ち上がり又は立ち下がりとともに繰り返し超えたり下になったりするので、信号受信機は、異なる論理レベルの間を繰り返し切り替わる可能性がある。他方の理由は、送信機/受信機構成部品のエッジ形成回路の干渉感度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、バスシステムのバスラインへ、及びバスシステムの送信機/受信機構成部品へ出力される信号のエッジ形成の方法を提供することにあり、この方法は、バスシステム干渉に対する高耐性を保証する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴を有する信号のエッジ形成の方法及び請求項10の特徴を有する送信機/受信機構成部品によって、本発明はその目的を達成する。
【0006】
バスシステムのバスラインへ出力される信号のエッジ形成の方法は、バスシステムのバスライン上の高周波(HF)干渉レベルを検出するステップと、バスライン上の高周波干渉レベルが増加するときに出力信号のエッジの急峻さを増加させ、バスライン上の高周波干渉レベルが減少するときに出力信号のエッジの急峻さを減少させるステップとを有する。HF干渉レベル又はHF干渉の存在下において、信号エッジの継続時間が減少するため、信号又は信号エッジの受信機内の複数のスイッチングが妨げられ又は減少させられる結果として、本発明によりエッジの急峻さが増加する。
【0007】
前記方法の展開において、バスライン上のHF干渉レベルの増加に伴ってエッジの急峻さが連続的に増加する。そのために、例えば、ターンオン状態とブロック状態との間でドライバトランジスタがより迅速に又は大きくスイッチング可能となる結果として、バスライン上の信号を出力するのに用いられるドライバトランジスタのゲート端子の制御電流が、HF干渉レベルの増加に伴って連続的に増加する。あるいは、HF干渉レベルが少なくとも1つの第1の高周波干渉レベル閾値を超えたとき、第1のエッジ急峻値から少なくとも1つの第2のエッジ急峻値へエッジの急峻さが段階的に増加する。
【0008】
前記方法の展開において、HF干渉レベルを検出するため、500kHzから5GHz、好ましくは900kHzから3GHz、特に好ましくは1MHzから1GHzの周波数範囲内の干渉信号の周波数が取り入れられる。
【0009】
前記方法の展開において、HF干渉レベルの検出は、バスライン上に存在する高周波の干渉信号の整流を含んでいる。好ましくは、HF干渉レベルの検出は、整流された高周波の干渉信号のフィルタリング、特に、整流された高周波の干渉信号からの平均の形成をさらに含んでいる。HF干渉レベルは、このようにして確実に検出される。
【0010】
前記方法の展開において、信号のエッジの急峻さが増加した場合、前記信号の受信機が、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジを不変の時点で受信することができるような時間だけ、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが遅れる。言い換えれば、その時間は、受信機がエッジの急峻さの変化を注意しなくてもいいように設定される。エッジの急峻さが増加した場合、信号が遅れないとき、レベルの変化が受信機内でより早く検出され、その結果として、おそらくバスシステムのタイミング仕様を満たさなくなるであろう。これは、信号エッジの遅延によって効果的に防止される。HF干渉レベルの減少により、エッジの急峻さが減少する場合、それに従って遅延時間は再び減少させられる。例えば、ここで、信号のエッジの急峻さが増加する場合、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジは、増加したエッジの急峻さを有する信号の信号エッジが、論理レベルに割り当てられた閾値に、通常のエッジ急峻さを有する信号の信号エッジと同じ時間に達するような時間(tv1,tv2)だけ遅れる。
【0011】
前記方法の展開において、バスシステムは、ローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)バスシステムである。このシステムの特徴及び仕様に関し、関連標準及び関連文献が参照される。
【0012】
バスシステムのための本発明の送信機/受信機構成部品は、バスシステムのバスラインと基準電位との間で接続され、バスライン上に信号を出力するのに使用されるドライバトランジスタと、そのドライバトランジスタの制御ユニットと、高周波干渉検出器とを含んでいる。高周波干渉検出器は、バスシステムのバスライン上の高周波干渉レベルを検出するように構成されている。バスライン上の高周波干渉レベルが増加するときに出力信号のエッジ急峻さが増加し、バスライン上の高周波干渉レベルが減少するときに出力信号のエッジ急峻さが減少するように、検出された高周波干渉レベルに基づいてドライバトランジスタを制御するように制御ユニットは構成されている。
【0013】
前記の送信機/受信機構成部品の展開において、電源電圧とドライバトランジスタのゲート端子との間で接続される第1の可変電流源と、ドライバトランジスタのゲート端子と基準電位との間で接続される第2の可変電流源とが設けられている。可変電流源は、ドライバトランジスタのゲート電極の充電又は放電を画定するのに使用され、その結果として、例えば、HF干渉のない動作モードでの所望のエッジ形成の達成が可能となる。第1及び第2の可変電流源は、制御ユニットの一部とすることもでき、及び/又は、制御ユニットから分離して構成してそのユニットによって制御されるようにすることもできる。干渉抑制のためのフィルタ(特にローパスフィルタ)は、好ましくは、ドライバトランジスタのゲート端子と第1の可変電流源と第2の可変電流源との間で接続される。バスライン上の干渉がフィルタによって抑制されるので、フィルタは、バスライン上の干渉が可変電流源の機能に影響するのを防ぐ。
【0014】
前記の送信機/受信機構成部品の展開において、前記構成部品は、電源電圧とドライバトランジスタのゲート端子との間で接続される第3の可変電流源と、ドライバトランジスタのゲート端子と基準電位との間で接続される第4の可変電流源とを含んでいる。この場合、出力信号のエッジ急峻さを変えるために、第3の可変電流源及び第4の可変電流源が、制御ユニットによって制御される。ここで、例えば、第1及び第2の可変電流源は、HF干渉のない動作モートを実現することができる。この場合、第1及び第2の電流源と並行して、第3及び第4の電流源は、HF干渉が検出された場合、エッジ急峻さの増加を提供する。
【0015】
前記の送信機/受信機構成部品の展開において、前記構成部品は、信号のエッジ急峻さが増加した場合、信号の受信機が、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジを不変の時点で受信することができるように、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが所定時間遅れるように構成される遅延ユニットを含んでいる。好ましくは、エッジ急峻さが増加した場合、増加したエッジ急峻さを有する信号エッジが、通常のエッジ急峻さを有する信号の信号エッジと同じ時間に、論理レベルに割り当てられた閾値に到達するように、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが所定時間遅れるように遅延ユニットは構成される。
【0016】
前記の送信機/受信機構成部品の展開において、高周波干渉検出器は、バスライン上に存在する高周波干渉信号を整流する整流器を含んでいる。好ましくは、高周波干渉検出器は、整流された高周波干渉信号をフィルタリングするフィルタを含んでいる。好ましくは、フィルタは、整流された高周波干渉信号から平均を形成する平均化器を含んでいる。
【0017】
バスシステムは、好ましくは、送信機/受信機構成部品がLINバスドライバ又はLINトランシーバを形成するLINバスシステムである。
【0018】
本発明は、図面を参照して以下に記載されるであろう。ここで、図は概略を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】LINバスシステムの送信機/受信機構成部品の回路図である。
【図2】図1の送信機/受信機構成部品によって生成された信号の波形である。
【図3】図1の送信機/受信機構成部品の高周波干渉検出器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、LINバスシステムの送信機/受信機構成部品TRの回路図を示す。送信機/受信機構成部品TRは、バスシステムのバスラインBLと基準電位GNDとの間で逆極性の保護ダイオードD1と直列に従来の方法で接続され、バスラインBL上に信号を出力するのに使用されるMOSドライバトランジスタT1を含んでいる。図示した要素D1及びT1とは別に、図示しない追加の要素が必要に応じて存在する。ここで、LINバス仕様及び関連文献もまた、参照される。
【0021】
図示した送信機/受信機構成部品TRにおいて、明確性のため、本発明の送信経路のみを示す。受信経路は、従来の方法によって実現することができる。
【0022】
送信機/受信機構成部品TRは、例えば、マイクロコントローラ(図示せず)の一部に接続される入力端子TXを含んでいる。入力端子TXに加えられる信号は、送信機/受信機構成部品TRを通ってLINバスへ出力される。
【0023】
制御ユニットAEは、ドライバトランジスタT1を制御するのに用いられる。バスラインBL上の高周波干渉レベルが増加するときに、ドライバトランジスタT1によって生成される信号のエッジ急峻さが増加し、バスラインBL上の高周波干渉レベルが減少するときに、ドライバトランジスタT1によって生成される信号のエッジ急峻さが減少するように、バスラインBL上の検出された高周波干渉レベルに基づいてドライバトランジスタT1を制御するように、制御ユニットAEは構成されている。
【0024】
制御ユニットAEは、その端に、バスシステムのバスラインBL上の高周波干渉レベルを検出するように構成された高周波干渉検出器HFDを含んでいる。高周波干渉検出器HFDは、図1に示した実施例に制御ユニットAEの部分として描かれているが、制御ユニットから分離して設けてもよい。
【0025】
制御ユニットAEは、電源電圧VCCとドライバトランジスタT1のゲート端子との間で直列に接続されている第1の可変電流源SQ1、第1のスイッチング手段S1、及びローパスフィルタTPをさらに含んでいる。第2の可変電流源SQ2、第2のスイッチング手段S2、及びローパスフィルタTPが、ドライバトランジスタT1のゲート端子と基準電位との間で直列に接続されている。ローパスフィルタTPは、トランジスタT1を介して、特にゲート−ドレイン間容量及びゲート−ソース間容量を介して接続されたバスラインBL上の高周波干渉を抑制するのに用いられる。したがって、ローパスフィルタTPは、図示した回路構成、特に要素SQ1/S1及びSQ2/S2をバスラインBL上のHF干渉から保護する。
【0026】
スイッチング手段S1及びS2は、トランジスタT1のゲート端子の充電処理又は放電処理の間、電流源SQ1及びSQ2をトランジスタT1のゲート端子から分離するのに用いられる。スイッチング手段S1及びS2は、入力端子TXに加えられる信号UTXに基づいて択一的にオープン(開く)又はクローズ(閉まる)になる。すなわち、充電処理の場合は、スイッチング手段S1がクローズになりかつスイッチング手段S2がオープンになり、放電処理の場合は、スイッチング手段S1がオープンになりかつスイッチング手段S2がクローズになり、その結果として、トランジスタT1のゲート端子へ電荷が伝送され、ゲート端子から電荷が取り除かれる。バスラインBLへ出力される信号の所望のエッジフォーム(形)が、最小限の干渉放射のみを引き起こす結果となるように、ローレベルからハイレベルへ、又はハイレベルからローレベルへの信号のスイッチング処理の間の電流源SQ1及びSQ2は、トランジスタT1のゲート端子へ充電又は放電電流を供給する。このようにして生成され又は出力される信号のエッジ急峻さは、この場合、比較的低い。
【0027】
顕著な高周波干渉レベルの場合における信号のエッジ急峻さを増加させるため、電源電圧VCCとドライバトランジスタT1のゲート端子との間で直列に接続された第3の可変電流源SQ3及び第3のスイッチング手段S3が設けられる。同様に、ドライバトランジスタT1のゲート端子と基準電位GNDとの間で接続された第4の可変電流源SQ4及び第4のスイッチング手段S4が設けられる。第3の可変電流源SQ3及び第4の可変電流源SQ4は、制御ユニットAEの高周波干渉検出器HFDによって制御され、信号USの手段によって出力信号のエッジ急峻さが変化する。すなわち、電流源SQ3又はSQ4によって供給される充電又は放電電流の電流強度は、高周波干渉検出器HFDによって検出されたHF干渉レベルに基づいて、制御信号USに従って増加又は減少する。
【0028】
スイッチング手段S3及びS4は、スイッチング手段S1及びS2と同様に、充電又は放電処理の間、電流源SQ3又はSQ4をトランジスタT1のゲート端子から分離するのに使用される。スイッチング手段S3及びS4は、入力端子TXに加えられる信号UTXに基づいてオープン又はクローズになり、入力端子TXとスイッチング手段S3及びS4との間に遅延ユニットVEが接続されているので、それによって、スイッチング手段S3及びS4は、スイッチング手段S1及びS2に対して遅れて制御される。
【0029】
信号の受信機が、立ち上がり信号エッジ及び立ち下がり信号エッジを不変の時点で受信することができるように、遅延ユニットVEは、信号のエッジ急峻さが増加したときに、立ち上がり信号エッジ及び立ち下がり信号エッジを時間tv1又はtv2(図2参照)遅延させるのに使用される。言い換えれば、遅延ユニットVEによって生成される時間tv1及びtv2は、受信機がエッジ急峻さを気にしなくてもいいように設定される。エッジ急峻さが増加した場合、信号が遅れないとき、レベルの変化は、受信機でより早く検出され、その結果、システムのタイミング仕様をおそらく満たさなくなる。これは、信号エッジの遅延によって効果的に防止される。
【0030】
ここで示された実施例において、立ち上がりエッジの遅延時間tv1は、立ち下がりエッジの遅延時間tv2とは異なる。遅延時間tv1及びtv2は、HF干渉レベルに基づいて選択的に動的に設定することができる。すなわち、HF干渉レベルの減少のためにエッジ急峻さが減少した場合、遅延時間tv1及びtv2は、それに応じて減少させられ、HF干渉レベルの増加のためにエッジ急峻さが増加した場合、遅延時間tv1及びtv2は、それに応じて増加させられる。遅延時間tv1及びtv2は、一定であるのが好ましい。
【0031】
高周波干渉検出器HFDによって、バスラインBL上の顕著なHF干渉レベルが検出された場合、電流源SQ1及びSQ2により供給される電流よりも明らかに高い特定の電流を電流源SQ3及びSQ4が供給するように、高周波干渉検出器HFDは電流源SQ3及びSQ4を制御する。これにより、遅延ユニットVEによって生成された遅延時間tv1及びtv2の経過の後、スイッチング手段S3又はSQ4のいずれかがクローズになった場合、トランジスタT1のゲート端子がより高速に充電又は放電され、その結果、出力信号のエッジ急峻さが顕著に増加する。電流源SQ3及びSQ4により供給される電流は、HF干渉レベルの増加とともに連続的に増加させることができ、または、高周波干渉レベルが少なくとも1つの第1の高周波干渉レベル閾値を超えた場合、第1のエッジ急峻さの値から少なくとも1つの第2のエッジ急峻さまで段階的に増加させることができる。
【0032】
増加したエッジ急峻さにより、信号エッジ間のバスラインBL上の干渉によって受信機での制御されないスイッチングが起こることはない。
【0033】
図1に示した制御部品SQ1/S1及びSQ2/S2及びSQ3/S3及びSQ4/S4は、制御原理を明確にするために使用されたものである。図示していないが当業者に周知である他の要素が存在することが理解されるべきである。
【0034】
図2は、入力TXに加えられた電圧UTXに基づいて、送信機/受信機構成部品TRによって生成されるバスラインBL上の電圧UBLの信号波形を示している。HF検出器HFDがバスラインBL上のHF干渉を検出しない場合、小さいエッジ急峻さを有する信号波形UBL1となる。信号波形UBL1により、バスラインBL上の少ない方の干渉放射となる。
【0035】
しかし、高周波干渉検出器HFDは、バスラインBL上の顕著なHF干渉を検出した場合、顕著に増加した充電及び放電電流を電流源SQ3及びSQ4が供給するように制御する。この場合の信号UBL2は、顕著に増加したエッジ急峻さを有し、その結果、干渉に対する感受性が顕著に減少する。
【0036】
受信機(図示せず)がエッジ急峻さの変化を気にしなくてもいいように、遅延ユニットVEは、入力信号UTXの立ち上がり又は立ち下がりエッジに基づいて、時間tv1又はtv2だけ、スイッチS3又はS4のクロージングを遅らせる。信号UBL1及び信号UBL2が閾値又はスイッチングレベルSPに同時に達するように、遅延時間tv1又はtv2は、遅延ユニットVEによって設定される。スイッチングレベルSPは、論理レベルに割り当てられる。すなわち、信号UBL1又はUBL2がスイッチングレベルSPを超えているとき、第1の論理値が受信機内で検出され、信号UBL1又はUBL2がスイッチングレベルSPより下にあるとき、第2の論理値が受信機内で検出される。また、立ち上がり及び立ち下がりエッジの異なるスイッチングレベル又は閾値が設定されてもよい。
【0037】
図3は、図1の送信機/受信機構成部品TRの高周波干渉検出器HFDの回路図を示している。
【0038】
高周波干渉検出器HFDは、バスラインBLと基準電位GNDとの間に接続されたコンデンサC1及びC2を含んでおり、容量性電圧ディバイダを形成している。電流源SQ5、NMOSトランジスタN1及びNMOSトランジスタN3が、電源電圧VCCと基準電位GNDとの間に直列に接続されている。NMOSトランジスタN2及びNMOSトランジスタN4が、電源電圧VCCと基準電位GNDとの間に直列に接続されている。トランジスタN1のドレイン端子とゲート端子はお互いに接続されている。トランジスタN1とトランジスタN2のゲート端子はお互いに接続されている。トランジスタN3のドレイン端子とゲート端子はお互いに接続されている。トランジスタN3とトランジスタN4のゲート端子はお互いに接続されている。
【0039】
PMOSトランジスタP0及びNMOSトランジスタN5が、電源電圧VCCと基準電位GNDとの間に直列に接続されている。トランジスタP0のゲート端子とソース端子は、お互いに接続されている。電流源SQ6が、トランジスタP0のドレイン−ソース経路と並行に接続されている。第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2の接続ノードが、トランジスタN2とトランジスタN4の接続ノードと、トランジスタN5のゲート端子に接続されている。
【0040】
PMOSトランジスタP1とNMOSトランジスタN10が、電源電圧VCCと基準電位GNDとの間に直列に接続されている。トランジスタP0及びP1のゲート端子は、お互いに接続されている。トランジスタN10のドレイン端子とゲート端子は、お互いに接続されている。
【0041】
PMOSトランジスタP2、スイッチング手段S5、スイッチング手段S6、及びNMOSトランジスタN11が、電源電圧VCCと基準電位GNDとの間で直列に接続されている。可変電流源SQ3及びSQ4のための制御信号USは、スイッチング手段S5及びS6の接続ノードKN1に与えられる。
【0042】
スイッチング手段S5及びS6は、制御電圧UTXによって制御され、それによって、スイッチング手段S5がクローズになりスイッチング手段S6がオープンになるか、またはスイッチング手段S5がオープンになりスイッチング手段S6がクローズになる。
【0043】
トランジスタN1からN5は、いわゆる「トランスリニア・ループ」を形成している。トランジスタN1からN5がすべて同一であると仮定すると、トランジスタN5のドレイン電流は電流源SQ5の電流に相当する。電流源SQ5と電流源SQ6の電流が同じ場合、トランジスタP0からP2で形成された電流バンクの入力の中へは電流が流れない。
【0044】
バスラインBL上のHF干渉は、容量性電圧ディバイダを介してコンデンサC1及びC2からトランジスタN5のゲートへ伝達される。負の方向では、トランジスタN2のソース電極は、電圧をクランプ(固定)する。正の方向では、トランジスタN2はハイインピーダンスである。トランジスタN5のゲート電位は、この整流効果によって増加する。トランジスタN5のドレイン電流は、その時すでに電流源SQ6より非常に大きく、その結果、PMOS電流バンクの入力トランジスタP0の中へ差分電流が流れる。
【0045】
トランジスタP2は、ドライバトランジスタT1のゲート端子に充電電流を提供し、トランジスタP1と、トランジスタN10及びN11から構成されるカレントミラーは、特定の放電電流を生成する。
【0046】
ここで示した高周波干渉検出器HFDの回路構成は、最初は、バスライン上に存在する高周波干渉信号を整流するピーク値整流器として動作する。そして、整流された信号は、例えば、ローパスフィルタ及び/又は平均化器でフィルタリングされる。信号USの検出の間、そのフィルタは、1MHzから1GHzの周波数範囲の干渉信号の周波数を取り入れる。
【符号の説明】
【0047】
AE 制御ユニット
BL バスライン
D1 保護ダイオード
GND 基準電位
HFD 高周波干渉検出器
S1〜S6 スイッチング手段
SQ1〜SQ6 可変電流源
T1 ドライバトランジスタ
TP ローパスフィルタ
TR 送信機/受信機構成部品
TX 入力端子
VCC 電源電圧
VE 遅延ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスシステムのバスライン(BL)へ出力される出力信号(UBL1,UBL2)のエッジ形成の方法であって、
前記バスシステムの前記バスライン(BL)上の高周波干渉レベルを検出するステップと、
前記バスライン(BL)上の前記高周波干渉レベルが増加するときに前記出力信号(UBL1,UBL2)のエッジ急峻さを増加させ、前記バスライン(BL)上の前記高周波干渉レベルが減少するときに前記出力信号(UBL1,UBL2)のエッジ急峻さを減少させるステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記バスライン(BL)上の高周波干渉レベルの増加に伴って前記エッジ急峻さが連続的に増加することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記高周波干渉レベルが少なくとも1つの第1の高周波干渉レベル閾値を超えたとき、第1のエッジ急峻値から少なくとも1つの第2のエッジ急峻値へ前記エッジ急峻さが段階的に増加することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法において、
前記高周波干渉レベルを検出するため、500kHzから5GHz、好ましくは900kHzから3GHz、特に好ましくは1MHzから1GHzの周波数範囲内の干渉信号の周波数が取り入れられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、
前記高周波干渉レベルを検出するステップは、前記バスライン上に存在する前記高周波の干渉信号の整流を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記高周波干渉レベルを検出するステップは、整流された前記高周波の干渉信号のフィルタリング、特に、整流された前記高周波の干渉信号からの平均の形成を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法において、
前記信号の前記エッジ急峻さが増加した場合、前記信号の受信機が、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジを不変の時点で受信することができるような時間(tv1,tv2)、前記立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが遅れることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法において、
前記信号の前記エッジ急峻さが増加する場合、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下り信号エッジは、増加した前記エッジ急峻さを有する信号(UBL2)の前記信号エッジが、論理レベルに割り当てられた閾値(SP)に、通常のエッジ急峻さを有する信号(UBL1)の前記信号エッジと同じ時間に達するような時間(tv1,tv2)だけ遅れることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法において、
前記バスシステムは、ローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)バスシステムであることを特徴とする方法。
【請求項10】
バスシステムの送信機/受信機構成部品(TR)であって、
前記バスシステムのバスライン(BL)と基準電位(GND)との間で接続され、前記バスライン(BL)上に出力信号(UBL1,UBL2)を出力するのに使用されるドライバトランジスタ(T1)と、
前記ドライバトランジスタ(T1)の制御ユニット(AE)と、を有し、
制御ユニット(AE)は、前記バスシステムの前記バスライン(BL)上の高周波干渉レベルを検出するように構成されている高周波干渉検出器(HFD)を具備し、
制御ユニット(AE)は、前記バスライン(BL)上の前記高周波干渉レベルが増加するときに前記出力信号(UBL1,UBL2)のエッジ急峻さが増加し、前記バスライン(BL)上の前記高周波干渉レベルが減少するときに前記出力信号(UBL1,UBL2)のエッジ急峻さが減少するように、検出された前記高周波干渉レベルに基づいて前記ドライバトランジスタ(T1)を制御するように構成されていることを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項11】
請求項10記載の送信機/受信機構成部品において、
電源電圧(VCC)と前記ドライバトランジスタ(T1)のゲート端子との間で接続される第1の可変電流源(SQ1)と、
前記ドライバトランジスタ(T1)の前記ゲート端子と基準電位(GND)との間で接続される第2の可変電流源(SQ2)と、を有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項12】
請求項11記載の送信機/受信機構成部品において、
干渉抑制のためのローパスフィルタ(TP)が、前記ドライバトランジスタ(T1)の前記ゲート端子と前記第1の可変電流源(SQ1)と前記第2の可変電流源(SQ2)との間で接続されていることを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の送信機/受信機構成部品において、
電源電圧(VCC)と前記ドライバトランジスタ(T1)のゲート端子との間で接続される第3の可変電流源(SQ3)と、
前記ドライバトランジスタ(T1)のゲート端子と基準電位(GND)との間で接続される第4の可変電流源(SQ4)と、を有し、
前記出力信号(UBL1,UBL2)の前記エッジ急峻さを変えるために、前記第3の可変電流源(SQ3)及び前記第4の可変電流源(SQ4)が、前記制御ユニット(AE)によって制御されることを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の送信機/受信機構成部品において、
前記出力信号(UBL1,UBL2)の前記エッジ急峻さが増加した場合、前記出力信号(UBL1,UBL2)の受信機が、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジを不変の時点で受信することができるような時間(tv1,tv2)だけ、前記立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが遅れるように構成されている遅延ユニット(VE)を有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の送信機/受信機構成部品において、
前記出力信号(UBL1,UBL2)の前記エッジ急峻さが増加した場合、増加した前記エッジ急峻さを有する出力信号(UBL2)の前記信号エッジが、論理レベルに割り当てられた閾値(SP)に、通常のエッジ急峻さを有する出力信号(UBL1)の前記信号エッジと同じ時間に達するように、立ち上がり信号エッジ及び/又は立ち下がり信号エッジが所定時間(tv1,tv2)遅れるように構成されている遅延ユニット(VE)を有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載の送信機/受信機構成部品において、
前記高周波干渉検出器(HFD)は、前記バスライン(BL)上に存在する高周波干渉信号を整流する整流器を有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項17】
請求項16記載の送信機/受信機構成部品において、
前記高周波干渉検出器(HFD)は、整流された前記高周波干渉信号をフィルタリングするフィルタを有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項18】
請求項17記載の送信機/受信機構成部品において、
前記フィルタは、整流された前記高周波干渉信号から平均を形成する平均化器を有することを特徴とする送信機/受信機構成部品。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の送信機/受信機構成部品において、
前記バスシステムは、前記送信機/受信機構成部品がローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)バスドライバ(TR)を形成するLINバスシステムであることを特徴とする送信機/受信機構成部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−512081(P2010−512081A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539647(P2009−539647)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010401
【国際公開番号】WO2008/067956
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509157568)アトメル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】