説明

信号出力回路

【課題】より簡単な構成で、正弦波と同様に緩やかに変化する波形でスイッチング素子を制御できる信号出力回路を提供する。
【解決手段】NチャネルMOSFET8Tは、ゲートに与えられるPWM信号のレベル変化に応じてカレントミラー回路7の動作を制御し、カレントミラー回路7が動作すると電流源6が発生した電流がミラー電流として流れ、NチャネルMOSFET1のゲートを介してゲート−ソース間の容量成分に充電されている電荷を放電させる電流が流れる。カレントミラー回路7の動作が停止すると、カレントミラー回路5より電流源6を介して流れる電流が、NチャネルMOSFET1のゲートに充電電流として供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源とグランドとの間に、負荷と直列に接続されるスイッチング素子に駆動制御信号を出力する信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のボデー電装品システムとして、高級感を醸し出すために、室内灯やバックランプ,フラッシャー等の明るさを徐々に変化させたり、或いはバッテリ電圧に依存しないように一定の明るさに制御することが行われている。その場合、ランプやLEDなどの光源に対して、MOSFET等のスイッチング素子をPWM制御により駆動して調光制御を行っている。また、駆動対象となるランプ等の負荷も増加する傾向にあるため、これらの駆動時に発生するラジオノイズも増大しつつある。
【0003】
上記のようなPWM駆動時に発生するラジオノイズを低減する技術としては、例えば特許文献1,2に開示されているように、PWM信号の波形を台形波状にして、負荷に通電する電流の変化を緩慢にすることでノイズを抑制する技術がある。しかしながら、この技術には、電流波形の傾きが一定に変化する期間では、MOSFET等のスイッチング素子のゲートに与えられる電圧が低いレベルで推移する。すると、その期間はオン抵抗が高い状態が継続することになり、スイッチング素子が発熱する。この発熱量は、駆動電流量が多くなり、また駆動対象が多くなるにつれて増加するので、放熱対策が困難となる。すなわち、ラジオノイズの低減と、スイッチング素子の発熱抑制とはトレードオフの関係にあり、これらをどのように調整するかが問題となる。
【0004】
例えば特許文献1においても、上記のトレードオフの問題については考慮しているが、そのために非常に複雑な回路構成を採用している。また、特許文献3は、PWM信号波形を、ノイズ低減及び発熱の抑制については台形波よりも効果が高い擬似的な正弦波状にする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3685108号公報
【特許文献2】特開2009−16697号公報
【特許文献3】特開2007−13916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3では、FETのソース電圧をモニタすることで、多数の定電流源の接続を順次切り替えて擬似的な正弦波を生成している。しかしながら、このようなフィーバック制御は構成が複雑になると共に、他の機器が発生するノイズの影響を受け易いという問題がある。また、単にCRフィルタを用いて信号波形を鈍らせるようにすると信号波形の立ち上がりは緩やかになるが、立ち下がりは緩やかにならない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単な構成で、正弦波と同様に緩やかに変化する波形でスイッチング素子を制御できる信号出力回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の信号出力回路によれば、スイッチング素子を駆動するための制御信号が入力されると、制御手段は、制御信号のレベル変化に応じてカレントミラー回路の動作を制御する。電圧駆動型のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に容量成分を有しているので、カレントミラー回路が動作すると、電流発生回路が発生した電流がミラー電流として流れ、スイッチング素子の制御端子を介して上記容量成分に充電されている電荷を放電させる電流が流れる。そして、カレントミラー回路の動作が停止すると、電流発生回路が発生した電流が前記制御端子に充電電流として供給される。
【0008】
このように動作することで、スイッチング素子の制御端子電位は、電流発生回路が有している内部抵抗成分と上記容量成分との時定数に応じて緩やかに変化する。しかも、充電時,放電時の電圧波形の傾きは、電流発生回路とカレントミラー回路との組み合わせにより充放電電流が定電流制御されることで互いに折り返した形となる。したがって、スイッチング素子がターンオンする場合、ターンオフする場合の双方について、負荷に通電する電流波形の傾きが緩やかになりラジオノイズを良好に低減できる。また、上記の制御形態はいわゆるオープンループ制御となるので、特許文献3のようなフィードバック制御よりもノイズの影響を受け難くなり、安定した制御を行うことができる。
【0009】
請求項2記載の信号出力回路によれば、制御手段は、制御信号のレベル変化に応じて、カレントミラー回路と直列に接続される制御用カレントミラー回路の動作を制御する。すなわち、制御用カレントミラー回路が動作すれば、スイッチング素子の制御端子より放電電流を流すことができる。また、制御用カレントミラー回路の動作を停止させれば、直列に接続されているカレントミラー回路より電流発生回路を介して流れる電流によって制御端子に充電電流を供給できる。
【0010】
請求項3記載の信号出力回路によれば、制御端子と、スイッチング素子及び負荷の共通接続点との間にコンデンサを接続する。すなわち、スイッチング素子が有している容量成分は各素子毎にバラツキがあるため、充放電時の電圧波形の傾き度合いが異なる場合が想定される。したがって、コンデンサを別途接続して容量成分を増加させれば、スイッチング素子の寄生容量が様々に異なる場合でも、電圧波形の傾き度合いを安定させることができる。
【0011】
請求項4記載の信号出力回路によれば、前記コンデンサの容量を、スイッチング素子が有している容量成分よりも大きくなるように設定する。斯様に設定することで、コンデンサによって付加される容量成分が支配的になり、電圧波形の傾き度合いを一層安定させることができる。また、制御端子の電位をより持ち上げることでスイッチング素子のオン抵抗を低減し、発熱を抑制する効果も得られる。
【0012】
請求項5記載の信号出力回路によれば、充放電補助回路が、カレントミラー回路の動作期間の一部及び停止期間の一部において、制御端子に対する充放電電流を増加させるためのバイパス経路を形成する。すなわち、バイパス経路が形成される期間は電圧波形の傾きが急峻に変化するので、制御端子の電位も急峻に変化する。したがって、スイッチング素子がフルオン状態となっているためラジオノイズの抑制に貢献しない期間の充放電期間を短縮化すれば、スイッチング素子のオン期間を、入力される制御信号によって指示される期間に近付けることができる。
【0013】
請求項6記載の信号出力回路によれば、充放電補助回路は、スイッチング素子の制御端子の電位又はスイッチング素子及び負荷の共通接続点の電位と、電源電圧に基づいて設定される基準電圧とを比較回路で比較し、比較回路の出力信号でバイパス経路の形成を制御する。すなわち、前記制御端子の電位又は前記共通接続点の電位はスイッチング素子のオン状態を反映しているので、当該電位を基準電圧と比較してバイパス経路の形成を制御すれば、充放電電流を適切な期間に増加させることができる。
【0014】
請求項7記載の信号出力回路によれば、カレントミラー回路に対する制御電源の供給を断続するスイッチ回路を備えるので、カレントミラー回路を動作させる必要がない場合に制御電源を遮断することで、消費電力を低減できる。
【0015】
請求項8記載の信号出力回路によれば、スイッチング素子が電源と負荷との間に接続されているものに駆動信号を出力する。すなわちこの場合はハイサイド駆動方式になり、負荷との共通接続点の電位は制御端子の電位に追従して変化するので、ラジオノイズを抑制するのにより有効に作用する。
【0016】
請求項9記載の信号出力回路によれば、制御電源は、昇圧回路によって電源電圧を昇圧するので、ハイサイド駆動方式のスイッチング素子が確実にフルオン状態となるように駆動できる。
【0017】
請求項10記載の信号出力回路によれば、制御電源は、昇圧回路で昇圧された電圧を定電圧回路により安定化するので、スイッチング素子の駆動状態を安定化できる。
請求項11記載の信号出力回路によれば、電流発生回路を、制御電源の供給経路に挿入され、一端が制御端子に接続される抵抗素子を備えて構成するので、その抵抗素子の抵抗値によって充放電時定数を設定できる。
【0018】
請求項12記載の信号出力回路によれば、電流変化緩和手段は、スイッチング素子の制御端子に充電電流の供給を開始させるタイミングと、前記制御端子より放電電流の流出を終了させるタイミングとについて、電流変化の傾きを緩和するように動作する。これにより、負荷への通電が開始される場合と、通電が停止する場合とについても電流波形の傾きを緩やかにすることができ、ノイズの発生を一層抑制することができる。
【0019】
請求項13記載の信号出力回路によれば、電流変化緩和手段は、カレントミラー回路の動作を停止させている状態から、充電電流量がより小さい微小充電電流供給手段を介して充電電流の供給を開始させる。また、スイッチング素子を介して出力される電圧のレベルが所定の閾値よりも低下するとカレントミラー回路の動作を停止させ、放電電流量がより小さい微小電流流出手段を介して放電電流を流す。すなわち、微小充電電流供給手段,微小電流流出手段を動作させるタイミングを制御することで、充電開始時,放電終了時の電流変化の傾きを緩やかにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例であり、信号出力回路の構成をモデル化して示すブロック図
【図2】信号出力回路をより具体的な回路で示す図
【図3】各部の信号波形図
【図4】第2実施例を示す図2相当図
【図5】カレントミラー回路のバリエーションを示す図
【図6】第3実施例を示す図1相当図
【図7】急速充放電回路の実態回路図
【図8】図3相当図
【図9】第4実施例を示す図1相当図
【図10】図3相当図
【図11】第5実施例を示す図2相当図
【図12】各制御信号のタイミングチャート
【図13】第6実施例を示す図1相当図
【図14】実測した各信号の波形を示す図
【図15】AM帯のノイズレベルを示す図
【図16】急速充放電回路を用いない場合の図15相当図
【図17】急速充放電回路がある場合(a),無い場合(b)についてノイズレベルを測定した結果を示す図
【図18】第7実施例を示す図1相当図
【図19】図3相当図
【図20】第8実施例を示す図1相当図
【図21】第9実施例を示す図2相当図
【図22】図3相当図
【図23】第10実施例を示す図1相当図
【図24】図16相当図
【図25】第11実施例を示す図1相当図
【図26】第12実施例を示す図1相当図
【図27】第13実施例を示す図1相当図
【図28】図2相当図
【図29】第14実施例を示す図13相当図
【図30】図3相当図
【図31】第15実施例を示す図29相当図
【図32】図30相当図
【図33】第16実施例を示す図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は、信号出力回路の動作原理を簡単に説明するため、構成をモデル化して示すブロック図である。電源VB(車両のバッテリ)とグランドとの間には、NチャネルMOSFET1(スイッチング素子)と負荷たるランプ(例えば室内灯やバックランプ,フラッシャー等)2との直列回路が接続されている。信号出力回路3において、昇圧回路4は、電源VBを昇圧して制御電源電圧Vcp(例えば、VB+10V程度)を生成出力するもので、例えばチャージポンプ回路などで構成される。カレントミラー回路5は制御電源Vcp側に構成されており、電流源(電流発生回路)6の一部はカレントミラー回路5の一部と構成を共有している。
【0022】
また、グランド側にもカレントミラー回路7(制御用カレントミラー回路)が構成されており、カレントミラー回路5の一方の電流経路は、スイッチ回路(制御手段)8を介してカレントミラー回路7に接続されており、カレントミラー回路5の他方の電流経路,すなわち電流源6側もカレントミラー回路7に接続されている。そして、電流源6とカレントミラー回路7との共通接続点は、NチャネルMOSFET1のゲート(制御端子)に接続されている。NチャネルMOSFET1のゲートとソースとの間には、コンデンサ9が接続されている。尚、コンデンサ9の容量は、NチャネルMOSFET1のゲート−ソース間容量よりも、大きくなるように設定されている。
【0023】
図2は、図1に示す信号出力回路3をより具体的な回路で示すものである。制御電源Vcp側のカレントミラー回路5は、PNPトランジスタ5a,5bのミラー対で構成されており、これらのエミッタは制御電源Vcpに接続され、ベースはPNPトランジスタ5aのコレクタに共通に接続されている。PNPトランジスタ5aのコレクタは、抵抗素子6Rを介してNチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。すなわち、電流源6は、PNPトランジスタ5aと抵抗素子6Rとで構成されている。
一方、グランド側のカレントミラー回路7は、NPNトランジスタ7a,7bのミラー対で構成されており、これらのエミッタはグランドに接続され、ベースはNPNトランジスタ7aのコレクタに共通に接続されている。NPNトランジスタ7aのコレクタはPNPトランジスタ5bのコレクタに接続され、NPNトランジスタ7bのコレクタは、NチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。
【0024】
そして、NPNトランジスタ7aに対しては、図1のスイッチ回路8に対応するNチャネルMOSFET8Tが並列に接続されている。尚、図1では、カレントミラー回路7を動作させるスイッチ回路8として、トランジスタ5b,7aのコレクタ間の電流経路に直列に挿入されるように図示している。NチャネルMOSFET8Tのゲートには、ランプ2を駆動制御するためのPWM信号が与えられるようになっている。尚、カレントミラー回路5におけるPNPトランジスタ5b,5aのミラー比が1:Nに設定されているとすると、カレントミラー回路7におけるNPNトランジスタ7a,7bは、ミラー比が1:2Nに設定されている。
【0025】
次に、本実施例の作用について図3を参照して説明する。図3(a)に示すように、PWM信号のレベルがローからハイに変化すると、NチャネルMOSFET8Tはオフからオンに変化する。NチャネルMOSFET8Tがオフの場合、カレントミラー回路7が動作するので、電源側のカレントミラー回路5も動作して電流が流れる。この時、NチャネルMOSFET1のゲートはローレベルとなるので、NチャネルMOSFET1はオフしてランプ2に電流は供給されない。
【0026】
一方、NチャネルMOSFET8Tがオンすると、カレントミラー回路7の動作が停止するが、この時カレントミラー回路5から電流源6を介して流れる電流は、NチャネルMOSFET1のゲートに流入する。NチャネルMOSFET1のゲート−ソース間には容量成分があり、その容量成分にコンデンサ9が並列に接続されているので、ゲートに流入した電流はこれらの容量を充電してゲート電位をハイレベルに上昇させる。するとNチャネルMOSFET1がターンオンしてランプ2に電流が供給される。
【0027】
上記の動作が行われる場合、PWM信号のレベルがローからハイに変化すると(図3(a)参照)、コンデンサ9を含むNチャネルMOSFET1のゲート−ソース間容量は、電流源6の抵抗素子6Rを介して流れる電流により、CR時定数を以って充電される。したがって、図3(b)に示すように、ゲート電圧波形の立ち上がりは緩やかになる。この場合のゲート電圧Vgの変化は(1)式で表わされる。尚、tは時間である。
Vg=Vcp[1−exp{−t/(CR)}] …(1)
そして、NチャネルMOSFET1はソースフォロワとなっているので、ランプ2との共通接続点であるソースの電位は、図3(c)に示すように、ゲート電圧波形の変化に追従して同様にゆるやかに立ち上がる。その結果、ランプ2に通電される電流波形も上記ソースの電圧波形と同様になる(図3(d)参照)。
【0028】
一方、PWM信号のレベルがハイからローに変化すると(図3(a)参照)、NチャネルMOSFET1の充電状態にあるゲート−ソース間容量は、トランジスタ7b,5bがオンすることでやはりCR時定数を以って放電される。この時、カレントミラー回路7は、カレントミラー回路5より供給される電流と共に、コンデンサ9等の充電電荷を放電させる電流を流す。したがって、ゲート電圧波形の立ち下がりも緩やかになり(図3(b)参照)、ソース電位も同様にゆるやかに立ち下がる(図3(c)参照)。そして、ランプ2に通電される電流波形の立ち下がりも上記ソースの電圧波形と同様になる(図3(d)参照)。またこの場合、ランプ2に通電される電流の立ち上がり時の波形と立ち下がり時の波形とは、時間経過的に折り返した形で対称となっている。
【0029】
以上のように本実施例によれば、NチャネルMOSFET8Tは、ゲートに与えられるPWM信号のレベル変化に応じてカレントミラー回路7の動作を制御し、カレントミラー回路7が動作すると電流源6を介してミラー電流として流れる。すると、NチャネルMOSFET1のゲートを介してゲート−ソース間の容量成分に充電されている電荷を放電させる電流が流れる。そして、カレントミラー回路7の動作が停止すると、カレントミラー回路5より電流源6を介して流れる電流が、NチャネルMOSFET1のゲートに充電電流として供給される。
【0030】
したがって、NチャネルMOSFET1のゲート電位は、電流源6が有している内部抵抗成分(抵抗素子6Rの抵抗値)と上記容量成分との時定数に応じて緩やかに変化する。しかも、充電時,放電時の電圧波形の傾きは、電流源6とカレントミラー回路7,5との組み合わせにより充放電電流が定電流制御されて、時間変化的に折り返した形となるので、NチャネルMOSFET1がターンオンする場合、ターンオフする場合の双方について、ランプ2に通電する電流波形の傾きが緩やかになりラジオノイズを良好に低減できる。そして、上記の制御形態はいわゆるオープンループ制御となるので、フィードバック制御よりもノイズの影響を受け難くなり、安定した制御を行うことができる。
【0031】
また、NチャネルMOSFET1のゲート−ソース間にコンデンサ9を接続し、コンデンサ9の容量を、NチャネルMOSFET1が有している容量成分よりも大きくなるように設定したので、NチャネルMOSFET1が有している容量成分のバラツキに影響されることなく、ゲート電圧波形,及びソース電圧波形並びに通電電流波形の傾き度合いを安定させることができる。加えて、ゲート電位をより持ち上げることでNチャネルMOSFET1のオン抵抗を低減し、発熱を抑制する効果も得られる。
【0032】
また、NチャネルMOSFET1をハイサイド駆動方式にすることで、いわゆるソースフォロワとして動作するので、ソース電位がゲート電位の変化に追従して変化するため、ランプ2に流れる電流波形も緩やかに変化して、ラジオノイズを抑制するのにより有効に作用する。そして、制御電源Vcpは、昇圧回路4により電源電圧VBを昇圧して生成されるので、ハイサイド駆動方式のNチャネルMOSFET1が確実にフルオン状態となるように駆動できる。
【0033】
また、電流源6を、制御電源Vcpの供給経路に挿入されて、一端がNチャネルMOSFET1のゲートに接続される抵抗素子6Rを備えて構成するので、その抵抗素子6Rの抵抗値によって充放電時定数を設定できる。
更に、NPNトランジスタ7bに並列接続したNチャネルMOSFET8Tにより、PWM信号のレベル変化に応じて、カレントミラー回路5と直列に接続されるカレントミラー回路7の動作を制御するようにした。すなわち、カレントミラー回路7が動作すれば、NチャネルMOSFET1のゲートより放電電流を流すことができる。また、カレントミラー回路7の動作を停止させれば、カレントミラー回路5より電流源6を介して流れる電流によって上記ゲートに充電電流を供給できる。
【0034】
(第2実施例)
図4及び図5は第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例の信号出力回路11は、電源側,グランド側のカレントミラー回路5,7に対して、電流ゲイン補正用のトランジスタを追加している。PNPトランジスタ5a,5bのベースには、抵抗素子12を介してPNPトランジスタ13のエミッタが接続されている。PNPトランジスタ13のベースは、PNPトランジスタ5aのコレクタに接続されており、PNPトランジスタ13のコレクタはグランドに接続されている。
【0035】
また、PNPトランジスタ5bのコレクタと、NPNトランジスタ7aのコレクタとの間には、PNPトランジスタ14のエミッタ,コレクタが接続されている。PNPトランジスタ14のベースは、PNPトランジスタ13のベースと共にPNPトランジスタ5aのコレクタに接続されている。このPNPトランジスタ14は、PNPトランジスタ5a,5bのエミッタ−コレクタ間電圧を等しく(何れも2・VBE)してアーリー効果の影響を回避するために配置されている。
一方、NPNトランジスタ7a,7bのベースには、NPNトランジスタ15のエミッタが接続されており、NPNトランジスタ15のコレクタは、抵抗素子16を介して電源に接続され、ベースはNPNトランジスタ7aのコレクタに接続されている。こちらについても、上記と同様にアーリー効果の影響を回避するため、NPNトランジスタ17とダイオード18a〜18cが設けられている。
【0036】
NチャネルMOSFET1のゲートと、NPNトランジスタ7bのコレクタとの間には、NPNトランジスタ17のコレクタ,エミッタが接続されている。3直列に接続されたダイオード18a〜18cは、電源とグランドとの間に電流源19を介して接続されている。そして、NPNトランジスタ17のベースは、ダイオード18aのアノードに接続されている。これにより、NPNトランジスタ7a,7bのコレクタ−エミッタ間電圧は、何れも2・VBEに設定される。
【0037】
以上のように構成される第2実施例によれば、カレントミラー回路5,7のミラー比精度を向上させることで、NチャネルMOSFET1のゲートに対する充放電電流波形の傾きを高い精度で制御することができる。尚、カレントミラー回路の構成については、一般に使用されるバリエーションが適用可能である。例えば、図5に示すように、グランド側のカレントミラー回路については、(a)エミッタ抵抗付き,(b)カスコード接続,(c)ウィルソン型等を用いることができる。
【0038】
(第3実施例)
図6ないし図8は第3実施例を示すもので、第1実施例と異なる部分について説明する。第3実施例の信号出力回路21は、第1実施例の信号出力回路3に対し、急速充電回路(充電補助回路)22C及び急速放電回路(放電補助回路)22Dと、これらを制御するためのコンパレータ23,24及びロジック回路(LOGIC)25を備えて構成されている。急速充電回路22C及び急速放電回路22Dは、制御電源Vcpとグランドとの間に接続されており、それらの共通接続点は、NチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。
【0039】
コンパレータ23,24は、ロジック回路25を制御するために使用される。コンパレータ23は、非反転入力端子に与えられる所定の閾値Vthと、反転入力端子に与えられるNチャネルMOSFET1のゲート電位とを比較して、比較結果信号をロジック回路25に出力する。また、コンパレータ24は、非反転入力端子に与えられる電源電圧VBと、反転入力端子に与えられる、NチャネルMOSFET1のゲート電位より基準電圧Vrefを減じた電位とを比較して、比較結果信号をロジック回路25に出力する。
【0040】
図7は、急速充電回路22C及び急速放電回路22Dの実態回路図である。これらは実際には、一体の急速充放電回路22として構成されている。制御電源Vcpとグランドとの間には、抵抗素子26及び27,NチャネルMOSFET28の直列回路と、PNPトランジスタ29,抵抗素子30及び31,NチャネルMOSFET32の直列回路とが接続されている。PNPトランジスタ29のベースは抵抗素子26及び27の共通接続点に接続され、抵抗素子30及び31の共通接続点はNチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。
【0041】
急速充電回路22Cは、電流源6を介してNチャネルMOSFET1のゲートを充電する場合に、NチャネルMOSFET1がフルオン状態に到達した以降のゲート電圧を急速に持ち上げるように、充電電流を流すバイパス経路を形成する。また、急速放電回路22Dは、カレントミラー回路7により、電流源6を介してNチャネルMOSFET1のゲートから放電を行う場合に、ゲート電位が最高の状態から、NチャネルMOSFET1がターンオフを開始するレベルまでゲート電圧を急速に低下させるよう、放電電流を流すバイパス経路を形成する。また、ロジック回路25にはPWM信号も与えられており、ロジック回路25がスイッチ回路8のオンオフも制御するようになっている。尚、これらの詳細な構成及び動作は、後述する第5実施例において説明する。
【0042】
次に、第3実施例の作用について図8を参照して原理的に説明する。PWM信号のレベルがローである場合、コンパレータ23,24の出力レベルはそれぞれハイ,ローとなっている。この時、急速充放電回路22のPNPトランジスタ29,NチャネルMOSFET32は何れもオフとなっている。この状態から、PWM信号のレベルがハイに変化するとロジック回路25がイネーブルとなり、NチャネルMOSFET1のゲート電位が上昇する過程で閾値Vthを超えると、ロジック回路25は制御信号IN1をハイからローに変化させる。すると、NチャネルMOSFET28がオンしてPNPトランジスタ29もオンするので、PNPトランジスタ29を介してNチャネルMOSFET1のゲートに充電電流が流れ、ゲート電位は急激に上昇する(図8(b)参照)。そして、制御信号IN1は、ローに変化してから所定時間が経過するとハイレベルに戻るようになっている。
【0043】
一方、PWM信号のレベルがハイからローに変化すると、ロジック回路25は、制御信号IN2をローからハイに変化させる。すると、NチャネルMOSFET32がオンするので、NチャネルMOSFET1のゲートから放電電流を流すバイパス経路が形成され、ゲート電位は急激に低下する。そして、ゲート電位が電圧(VB+Vref)よりも低下すると、制御信号IN2は、ローに変化する。
このように、急速充放電回路22が作用する結果、NチャネルMOSFET1のゲート電位の立ち上がり,立ち下がりを緩やかに変化させる場合でも、NチャネルMOSFET1を実際にオンさせる期間を、PWM信号のハイレベルパルス幅の期間により近付けることができる。
【0044】
以上のように第3実施例によれば、急速充放電回路22は、カレントミラー回路7の動作期間の一部及び停止期間の一部において、NチャネルMOSFET1のゲートに対する充放電電流を増加させるためのバイパス経路を形成するので、NチャネルMOSFET1がフルオン状態となっているためラジオノイズの抑制に貢献しない期間の充放電期間を短縮化して、NチャネルMOSFET1のオン期間を、入力される制御信号によって指示される期間に近付けることができる。
【0045】
(第4実施例)
図9及び図10は第4実施例であり、第3実施例と異なる部分について説明する。第4実施例の信号出力回路33は、第3実施例の信号出力回路21に対し、昇圧回路4とカレントミラー回路5との間にスイッチ回路34を挿入し、そのスイッチ回路34のオンオフをロジック回路35で制御するように構成されている。ロジック回路35は、図10に示すように、PWM信号のレベルがローの期間はスイッチ回路34をオフし、前記レベルがローからハイに変化するとスイッチ回路34をオンしてカレントミラー回路7を動作させる((a),(d)参照)。そして、NチャネルMOSFET1のゲート及びコンデンサ9に充電された電荷を放電させてゲート電位がゼロレベルに戻ると、スイッチ回路34を再びオフさせる。
その結果、昇圧回路4の消費電流は、図10(c)に示すように、NチャネルMOSFET1のゲート電位を変化させる期間の立ち上がり,立ち下がり区間のみに流れるようになり、消費電力を大きく低減できる。
【0046】
(第5実施例)
図11及び図12は第5実施例であり、第4実施例の信号出力回路33をより具体的な回路構成で示している。また、カレントミラー回路5,7の周辺については、第2実施例の構成を採用している。また、図10に示すスイッチ回路34に相当するものは、以下の回路で構成されている。制御電源Vcpとグランドとの間には、抵抗素子36及び37と、NチャネルMOSFET38との直列回路が接続されており、抵抗素子36及び37の共通接続点にはPNPトランジスタ39(スイッチ回路)のベースが接続されている。
【0047】
カレントミラー回路5におけるPNPトランジスタ5b,5aのミラー比は1:10に設定され、PNPトランジスタ5b側に最大で200μAのコレクタ電流が流れると、PNPトランジスタ5a側に2mAのコレクタ電流が流れる。そして、カレントミラー回路7におけるNPNトランジスタ7a,7bのミラー比は1:20に設定されているので、NPNトランジスタ7b側には最大で4mAのコレクタ電流が流れる。
【0048】
PNPトランジスタ39は、制御電源Vcpとカレントミラー回路5との間に挿入されている。すなわち、NチャネルMOSFET38がオフであれば、PNPトランジスタ39もオフになるため制御電源Vcpはカレントミラー回路5,7に供給されず、NチャネルMOSFET37がオンするとPNPトランジスタ39もオンして制御電源Vcpがカレントミラー回路5,7に供給される。
【0049】
図12は、図11に示す回路において、NチャネルMOSFET28,32,38,8の各ゲートに入力される制御信号A〜Dのタイミングチャートを示している。尚、制御信号A,Bは、図7に示す制御信号IN1,IN2に対応している。PWM信号のレベルがロー(Lo)からハイ(Hi)に変化して、NチャネルMOSFET1のゲート電位を緩やかに立ち上げて充電を開始する期間(1)では、制御信号C,Dをハイレベルに変化させて制御電源Vcpを供給してカレントミラー回路5を動作させ、カレントミラー回路7は停止させる。
【0050】
次に、急速充放電回路22の充電側を動作させる期間(2)では、制御信号Aをハイレベルに変化させ、PNPトランジスタ29をオンさせて充電電流を供給する。尚、図12中に期間(2)に合わせて示す「BATT+しきい値電圧」は、図9等に示すコンパレータ24に設定されるしきい値電圧に対応している。
そして、PWM信号のレベルがハイからローに変化して、NチャネルMOSFET1のゲート電位を急速に立ち下げる期間(3)では、制御信号Bのみをハイレベルとして急速充放電回路22の放電側を動作させる。この時、PNPトランジスタ39はオフさせるが、カレントミラー回路7は動作可能な状態とする。次に、上記ゲート電位を緩やかに立ち下げる期間(4)では、制御信号Cのみをハイレベルとしてカレントミラー回路5に制御電源Vcpを供給する。
【0051】
最後にゲート電位が1Vまで低下した期間(5)からは、ゲート電位を確実にローレベルにするため制御信号Bのみをハイレベルとして急速放電させる。尚、期間(3)及び(5)において急速放電を行う場合にカレントミラー回路5への電源を遮断するのは、消費電流を低減するためである。また、図12に示す制御ロジックを実現するには、ハードウェアロジックで構成したり、ハードウエア記述言語(HDL)で設計されるCPLD(Complex PLD)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いれば良い。
以上のように第5実施例によれば、急速充放電回路22の放電側を機能させる期間は、カレントミラー回路5に対する制御電源Vcpの供給を遮断するようにしたので、さらに低消費電力化を図ることができる。
【0052】
(第6実施例)
図13ないし図17は第6実施例であり、第4又は第5実施例の信号出力回路33をIC化した場合を示す。信号出力回路33の主要部分はIC(集積回路)40として構成されており、電流源6の抵抗素子6R,コンデンサ9と、NチャネルMOSFET1とがIC40に外付けされている。斯様に構成すれば、例えば抵抗素子6RをIC40の外部でトリミングしたり、抵抗素子6Rやコンデンサ9を付け替えて抵抗値や容量を調整することが可能となり、CR時定数のバラツキを低減したり、立上り,立ち下がりの傾きを調整できる。
【0053】
図14は、図13の回路について実測した各信号,PWM信号:V(PWM),NチャネルMOSFET1のゲート電位:V(GATE),ソース電位:V(OUT),負荷電流:I(OUT)の波形を示す。尚、PWM信号のキャリア周波数は100Hzで、デューティ50%の場合である。(a)に示す負荷電流の立上り時間は44.5μs,(b)に示す立下がり時間は44.6μs秒であり、両者の変化状態は時間的にほぼ対称となっている。また、図15は、AM帯のノイズレベルを示すもので、(a)は電源ONでの待機状態(PWM信号の入力なし),(b)はPWM信号が入力されてNチャネルMOSFET1がスイッチング動作した場合である。(a)のピークレベルは約1.6MHzで10dBμV,(b)のピークレベルは約510kHzで35dBμVである。
【0054】
また、図16は、急速充放電回路22を用いない場合の図15相当図であり、図17は(a)急速充放電回路22がある場合,(b)急速充放電回路22が無い場合についてノイズレベルを測定したものである。図17より、(b)の方が(a)よりもノイズレベルのピークが3dBμV低くなっている。しかしながら、図16に示すように、負荷電流のパルス幅がPWM信号のパルス幅に対して+30%(図15の場合は+10%)になるというデメリットがある。
以上のように第6実施例によれば、信号出力回路33の主要部分をIC40として構成し、抵抗素子6及びコンデンサ9をIC40に外付けしたので、それらの回路定数の調整を容易に行うことができる。
【0055】
(第7実施例)
図18及び図19は第7実施例であり、第6実施例と異なる部分について説明する。第7実施例の信号出力回路41は、第6実施例のIC40にもう1つの抵抗素子42を外付けしたものである。その抵抗素子42は、制御電源VcpとNチャネルMOSFET1のゲートとの間に接続されている。ここで、抵抗素子42の抵抗値をR1,抵抗素子6Rの抵抗値をR2とすると、ゲート電位の立上り時は、抵抗素子42を介して充電電流が流れるためR1とCとの時定数で充電され、立ち下がり時はカレントミラー回路7が動作するのでR1//R2とCとの時定数で放電されるようになる。したがって、図19(c)に示すように、立ち下がり時の放電時定数を独立に調整することができる。
【0056】
(第8実施例)
図20は第8実施例である。第8実施例の信号出力回路43の構成は、上記第1〜第7実施例の構成とは異なっており、電流源6を構成する抵抗素子6Rが削除され制御電源VcpとNチャネルMOSFET1のゲートとの間には、カレントミラー回路5を構成するミラー対の一方であるPNPトランジスタ5aのコレクタが直接接続されている。また、制御電源Vcpよりも電圧が低く設定されている電源Vccとグランドとの間には、電流源44,NPNトランジスタ45,抵抗素子46の直列回路が接続されており、電流源44を構成する内部の図示しないトランジスタは、PNPトランジスタ5aとミラー対を構成している。
【0057】
また、電源Vccとスイッチ回路8との間には、PNPトランジスタ5bに替えて電流源47が接続されており、電流源47を構成する図示しないトランジスタも、電流源44を構成するトランジスタとミラー対を構成している。制御電源Vcpは、差動増幅回路を構成するアンプ48の非反転入力端子に接続され、アンプ48の反転入力端子はNチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。
【0058】
アンプ48の出力端子は、次段のアンプ49の非反転入力端子に接続され、アンプ49の反転入力端子はNPNトランジスタ45のエミッタに接続され、アンプ49の出力端子はNPNトランジスタ45のベースに接続されている。すなわち、電流源44,アンプ49,NPNトランジスタ45,抵抗素子46は、電圧/電流変換回路100を構成している。また、電圧/電流変換回路100に、アンプ48とカレントミラー回路5aとを加えたものが、電流源(電流発生回路)101を構成している。
【0059】
次に、第8実施例の作用について説明する。アンプ48が、制御電源VcpとNチャネルMOSFET1のゲート電位との差に応じた電圧信号をアンプ49に出力すると、アンプ49は、その電圧信号に応じた電流I1(t)を抵抗素子46に流すよう作用する。ここで、電流源44とPNPトランジスタ5aとのミラー比を1:α,電流源44,47のミラー比を1:1,アンプ48の増幅率をβ,カレントミラー回路7のミラー比を1:γとし、PNPトランジスタ5aを介してNチャネルMOSFET1のゲートに流れる電流をI2(t),ゲート電位をVgとすると、以下が成り立つ。
【0060】
I1(t)={Vcp−Vg(t)}*β/R …(2)
I2(t)=I1(t)*γ={Vcp−Vg(t)}*β*γ/R …(3)
ここで、α=β*γとすると、
I2(t)={Vcp−Vg(t)}*α/R …(4)
NチャネルMOSFET1のゲート−ソース間容量をC,ゲートに対するチャージ時間をtとすると、
C*Vg(t)=I2(t)*t …(5)
Vg(t)=I2(t)*t/C
=Vcp*{1/(1+CR/αt)} …(6)
両辺を積分すると、
Vg=Vcp*[1−exp{−αt/(CR)} …(7)
となる。
【0061】
以上はスイッチ回路8がオンからオフに切り替わった場合の動作となる。そして、スイッチ回路8がオフからオンに切り替わると、カレントミラー回路7及び電流源101の作用によりNチャネルMOSFET1のゲートは放電される。
以上のように第8実施例によれば、アンプ48が、制御電源VcpとNチャネルMOSFET1のゲート電位との差に応じた電圧信号をアンプ49に出力し、アンプ49がその電圧信号に応じた電流を抵抗素子46に流すことで、第1実施例と同様にCR時定数を持たせてNチャネルMOSFET1のゲート充放電させることができる。
【0062】
(第9実施例)
図21及び図22は第9実施例であり、各トランジスタの制御を行う回路をIC化した場合の構成例を示している。信号出力回路50において、制御電源Vcp側には、2つのPNPトランジスタ51a,51bのミラー対で構成されるカレントミラー回路51が接続されており、PNPトランジスタ51a,51bのコレクタは、それぞれPNPトランジスタ52b,53bのコレクタに接続されている。PNPトランジスタ51a,51bのベースは、PNPトランジスタ51aのコレクタに接続され、PNPトランジスタ51bのコレクタ及びPNPトランジスタ53bのコレクタは、NチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。
【0063】
PNPトランジスタ52b,53bは、それぞれPNPトランジスタ52a,53aとミラー対をなし、グランド側に接続されるカレントミラー回路52,53(制御用カレントミラー回路)を構成している。PNPトランジスタ52a及び52bのベースはPNPトランジスタ52aのコレクタに接続され、PNPトランジスタ53a及び53bのベースはPNPトランジスタ53aのコレクタに接続されている。尚、カレントミラー回路51,53のミラー比は例えば1:20に設定されており、カレントミラー回路52のミラー比は例えば1:1に設定されている。
【0064】
PNPトランジスタ52a,53aのコレクタは、それぞれPNPトランジスタ54b,54cのコレクタに接続されている。PNPトランジスタ54b,54cは、PNPトランジスタ54aと共にミラー対をなしてカレントミラー回路54を構成しており、これらのPNPトランジスタ54a〜54cのエミッタは、何れも電源Vccに接続されている。PNPトランジスタ54aのコレクタは、PNPトランジスタ54a〜54cのベースに接続されていると共に、可変抵抗素子55を介してグランドに接続されている。
【0065】
ここで、カレントミラー回路52,53に流れるミラー電流はカレントミラー回路54により制御されるので、抵抗素子55の抵抗値と、差動増幅回路61の出力電圧とでカレントミラー回路52,53に流れるミラー電流が決定される。例えばPNPトランジスタ51a側には、最大で100μA程度の電流が流れるように設定されている。
【0066】
制御電源Vcpは、抵抗素子56を介してアンプ58の非反転入力端子に接続され、NチャネルMOSFET1のゲートは、抵抗素子57を介してアンプ58の反転入力端子に接続されている。前記非反転入力端子は抵抗素子59を介してグランドに接続され、前記反転入力端子は抵抗素子60を介してアンプ58の出力端子に接続されている。前記出力端子は、NPNトランジスタ73のベースに接続されており、NPNトランジスタ73のコレクタはPNPトランジスタ54aのコレクタに、エミッタは抵抗素子55に接続されている。すなわち、アンプ58を中心に、差動増幅回路61が構成されている。
【0067】
PNPトランジスタ52a,53aのコレクタ,エミッタ間には、それぞれNチャネルMOSFET62,63(制御手段)が並列に接続されており、NチャネルMOSFET63のゲートは信号入力端子INに接続され、NチャネルMOSFET62のゲートは、NOTゲート64の出力端子を介して信号入力端子INに接続されている。
【0068】
制御電源Vcpとグランドとの間には、PNPトランジスタ65とNチャネルMOSFET66との直列回路が接続されており、それらの共通接続点(前者のコレクタ,後者のドレイン)は、NチャネルMOSFET1のゲートに接続されている。また、電源VBとグランドとの間には、抵抗素子67及び68の直列回路が接続され、それらの共通接続点は、コンパレータ69の非反転入力端子に接続されている。コンパレータ69の反転入力端子はNチャネルMOSFET1のソースに接続され、出力端子はORゲート70,71の入力端子の一方にそれぞれ接続されている。
【0069】
ORゲート70の入力端子の他方はNOTゲート64の出力端子に接続され、ORゲート71の入力端子の他方は、入力端子INに接続されている。そして、ORゲート70の出力端子はPNPトランジスタ65のベースに接続され、ORゲート71の出力端子は、NOTゲート72を介してNチャネルMOSFET66のゲートに接続されている。以上の構成において、カレントミラー回路54,抵抗素子55,差動増幅回路61が電流源(電流発生回路)102を構成している。
【0070】
次に、第9実施例の作用について図22を参照して説明する。PWM信号が与えられる入力端子INがローレベルの場合、カレントミラー回路52,53はそれぞれオフ,オンとなる。また、カレントミラー回路51もオフするので、NチャネルMOSFET1のゲートは放電されてローレベルとなり、NチャネルMOSFET1はオフしている。この時、ソース電位はローレベルとなるのでコンパレータ69の出力レベルはハイになっており、ORゲート70,71の出力レベルもハイになる。したがって、PNPトランジスタ65,NチャネルMOSFET66は何れもオフになっている。
【0071】
この状態から、入力端子INがハイレベルになると、カレントミラー回路52,53はそれぞれオン,オフに転じる。また、カレントミラー回路51がオンするので、NチャネルMOSFET1のゲートは充電されて電位が上昇する((b)参照)。この時ゲートに流れる充電電流Icは、カレントミラー回路53のミラー比をαとすると、
Ic=α*(Vcp−Vg)/R …(8)
となる。
【0072】
上記ゲート電位の上昇に伴いソース電位も上昇するので((c)参照)、抵抗素子67及び68で設定される基準電圧を上回ると、コンパレータ69の出力レベルはハイからローに転じる((d)参照)。すると、ORゲート70の出力レベルがローになり、PNPトランジスタ65がオンして((e)参照)急速充電経路が形成され、NチャネルMOSFET1のゲートは急速に充電される。この時、NチャネルMOSFET1のゲート電位が上昇する過程で、差動増幅回路61の出力電圧(NPNトランジスタ73のエミッタ電圧)が低下するので、定電流値が減少することによりカレントミラー回路54,51を介してNチャネルMOSFET1のゲートに流れる電流も減少する。
【0073】
次に、入力端子INがハイレベルからローレベルに転じると、PNPトランジスタ65がオフして((e)参照)急速充電経路が遮断され、ORゲート71の出力レベルがローになる。すると、NチャネルMOSFET66がオンして急速放電経路が形成され((f)参照)、NチャネルMOSFET1のゲート電位は急速に低下する。また、カレントミラー回路51,53がそれぞれオフ,オンとなるので、PNPトランジスタ53bを介した放電も同時に行われる。
そして、上記ゲート電位の低下に伴いソース電位も低下するので、やがてコンパレータ69の出力レベルがハイに転じ、NチャネルMOSFET66がオフして急速放電経路が遮断される。以降は、カレントミラー回路53による放電のみとなり、NチャネルMOSFET1のゲート電位がローレベルになると、最初の状態に戻る。
【0074】
以上のように第9実施例によれば、差動増幅回路61が制御電圧VcpとNチャネルMOSFET1のゲート電位との差電圧をPNPトランジスタ54aのコレクタに出力することで、カレントミラー回路54,52を介してNチャネルMOSFET1のゲートに流す充電電流を制御し、コンパレータ69は、NチャネルMOSFET1のソース電位と、電源電圧VBに基づいて設定される基準電圧とを比較し、コンパレータ69の出力信号で急速充電/急速放電経路の形成を制御するようにした。すなわち、NチャネルMOSFET1のソース電位は、NチャネルMOSFET1のオン状態を反映しているので、当該電位を基準電圧と比較して急速充放電経路の形成を制御すれば、充放電電流を適切な期間に増加させることができる。
【0075】
(第10実施例)
図23及び図24は本発明の第10実施例であり、第1実施例と異なる部分について説明する。図23は図1相当図であり、第10実施例の信号出力回路81は、コンデンサ9を、NチャネルMOSFET1のゲートとグランドとの間に接続した構成である。また、図24は図16相当図であり、波形を測定した回路は、第5実施例の図11に示す回路(急速充放電回路無し)をベースにしている。この場合、ゲート電位の立ち上がり,立ち下がりの波形は、上記各実施例のように擬似正弦波状にはならず、傾きがかなり緩やかになるが、ラジオノイズを低減する効果はある。
【0076】
(第11実施例)
図25は本発明の第11実施例であり、第1実施例と異なる部分のみ説明する。第11実施例の信号出力回路82は、NチャネルMOSFET1を用いてランプ2をローサイド駆動する構成である。この場合、昇圧回路4は不要であり、制御電源Vccを用いてNチャネルMOSFET1を駆動できる。
【0077】
(第12実施例)
図26は本発明の第12実施例であり、第1実施例と異なる部分のみ説明する。第12実施例の信号出力回路83は、昇圧回路4とカレントミラー回路5との間に、定電圧回路84を挿入した構成である。すなわち、制御電源Vcpと電源VBとの間には、電流源85とツェナーダイオード86との直列回路が接続されており、両者の共通接続点は、NPNトランジスタ87のベースに接続されている。NPNトランジスタ87のコレクタは制御電源Vcpに接続され、エミッタはカレントミラー回路5(PNPトランジスタ5a,5bのエミッタ)に接続されている。
【0078】
この場合、カレントミラー回路5に供給される電源電圧は、ツェナーダイオード86のツェナー電圧をVzとすると、(VB+Vz−VF)に設定される。したがって、カレントミラー回路5には、NチャネルMOSFET1のドレイン電圧を基準に(Vz−VF)分高い電源電圧を供給することができ、NチャネルMOSFET1を安定した状態で駆動できる。
【0079】
(第13実施例)
図27及び図28は本発明の第13実施例であり、第1実施例と異なる部分のみ説明する。第13実施例の信号出力回路91は、ランプ2をPチャネルMOSFET92(スイッチング素子)によりハイサイド駆動する場合の構成である。電源VBとランプ2との間にはPチャネルMOSFET92が接続されており、そのソース−ゲート間にはコンデンサ93が接続されている。電源VB側にはカレントミラー回路94が構成され、グランド側にカレントミラー回路95が構成されている。
カレントミラー回路94の一方の電流経路は、PチャネルMOSFET92のゲートに接続されていると共に電流源96に接続され、その電流源96は、カレントミラー回路95の一部と構成を共有している。また、カレントミラー回路94の他方の電流経路は、スイッチ回路(制御手段)97を介してカレントミラー回路95の他方の電流経路に接続されている。
【0080】
図28は、信号出力回路91の構成をより具体的な回路で示すものである。カレントミラー回路94は、PNPトランジスタ94a,94bのミラー対で構成されており、両者のベースはPNPトランジスタ94aのコレクタに接続されている。また、PNPトランジスタ94aにはPチャネルMOSFET97Tが並列に接続されている。PチャネルMOSFET97Tは、図27に示すスイッチ回路97に対応している。
一方、カレントミラー回路95は、NPNトランジスタ95a,95bのミラー対で構成され、両者のベースはNPNトランジスタ95aのコレクタに接続されている。また、NPNトランジスタ95aのコレクタは、抵抗素子96Rを介してPチャネルMOSFET92のゲートに接続されている。すなわち、電流源96は、NPNトランジスタ95aと抵抗素子96Rとで構成されている。また、例えばカレントミラー回路95のミラー比が1:1である場合、カレントミラー回路94のミラー比は1:2に設定される。
【0081】
次に、第13実施例の作用について説明する。PWM信号のレベルがローである場合、PチャネルMOSFET97Tのゲートには、その反転であるハイレベル信号が与えられるようになっている。すると、カレントミラー回路94がオンするので、PチャネルMOSFET92のゲート電位は、電源電圧VBよりPNPトランジスタ94bのエミッタ−コレクタ間電圧分だけ低下した電位のハイレベルとなり、PチャネルMOSFET92はオフしている。この時、コンデンサ93は放電された状態にある。
【0082】
そして、PWM信号のレベルがハイに転じると、カレントミラー回路94がオフするので、カレントミラー回路95の作用によりPチャネルMOSFET92のゲート電位はローレベルに移行する。その過程で、コンデンサ93を含むPチャネルMOSFET92のゲート−ソース間容量Cは、抵抗素子96Rの抵抗分とのCR時定数で充電される。そして、ゲート電位がローレベル(最終的には、NPNトランジスタ95aのVF相当電圧)になると、PチャネルMOSFET92がオンしてランプ2が通電される。
【0083】
この状態から、PWM信号のレベルがローに転じると、カレントミラー回路94がオンしてPチャネルMOSFET92のゲートに電流が流れてゲート電位を上昇させる。この時、PチャネルMOSFET92のゲート−ソース間容量Cは、CR時定数により放電される。
以上のように第13実施例によれば、信号出力回路91を、PチャネルMOSFET92を用いたハイサイド駆動方式で構成した場合も、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0084】
(第14実施例)
図29及び図30は第14実施例を示すものであり、第6実施例と異なる部分のみ説明する。第14実施例の信号出力回路111は、IC(集積回路)112として構成されている部分に回路を若干追加している。昇圧回路4の出力端子とNチャネルMOSFET1のゲートとの間には、電流源113とスイッチ回路114(何れも微小充電電流供給手段)との直列回路が接続されており、前記ゲートとグランドとの間には、スイッチ回路115と電流源116(何れも微小放電電流流出手段)との直列回路が接続されている。尚、電流源113により供給される電流量は、電流源6を介して供給される電流量よりも小さく設定されており、電流源116により供給される電流量は、カレントミラー回路5が動作した場合に流れる電流量よりも小さく設定されている。
【0085】
また、ロジック回路35はロジック回路117に置き換えられており、NチャネルMOSFET1のソース電位と閾値電圧Vth3とを比較するコンパレータ118が追加されている。尚、第14実施例では、コンパレータ23の非反転入力端子に与えられている閾値電圧をVth2とし、コンパレータ24の反転入力端子に与えられている電圧Vrefで決まる閾値電圧(VB+Vref)をVth1として示す。これら3つの閾値電圧の関係は、
Vth1>Vth2>Vth3となっている。そして、コンパレータ24,23,118よりロジック回路117に与えられる信号を、それぞれIN1,IN2,IN3とする。ロジック回路117は、各スイッチ回路114,34,8,115のオンオフを、制御信号A,B,E,Fによって制御し、急速充電回路22C,急速放電回路22Dを制御信号C,Dにより制御する。
以上の構成において、電流源113,スイッチ回路114,スイッチ回路115と電流源116,ロジック回路117,コンパレータ24及び118は、電流変化緩和手段(制御手段)119を構成している。
【0086】
次に、第14実施例の作用について図30を参照して説明する。PWM信号がローレベルである初期状態において、制御信号D,Fだけがハイレベルとなってスイッチ回路115だけがオンしており、その他のスイッチ回路はオフとなっていることで、コンデンサ9を含むNチャネルMOSFET1のゲート容量は、電流源116及び急速放電回路22Dにより放電されてゲート電位はローレベルとなっている。
【0087】
<充電時の動作>
ロジック回路117は、PWM信号がハイレベルになると制御信号Dをローレベルにして急速放電回路22Dの動作を停止させると共に、制御信号Fをローレベルにしてスイッチ回路115をオフする。すると、その時点からNチャネルMOSFET1のソース電位が閾値電圧Vth2を超えるまで、制御信号Aをハイレベルにしてスイッチ回路114をオンする。これにより、コンデンサ9は電流源113により充電され、この充電期間にゲート電位はオン閾値電圧を超えてNチャネルMOSFET1はターンオンする。したがって、ランプ2に通電される電流は極めて緩やかに流れ出すことになる。
【0088】
上記ソース電位が閾値電圧Vth2を超える(入力信号IN2がハイレベル)と、ロジック回路117は、制御信号Bをハイレベルにしてスイッチ回路34をオンにする。これにより、コンデンサ9は電流源6(トランジスタ5a及び抵抗素子6R)を介して充電される。更に、NチャネルMOSFET1のゲート電位が閾値電圧Vth1を超える(入力信号IN1がハイレベル)と、ロジック回路117は、制御信号Bをローレベル,制御信号Cをハイレベルにして急速充電回路22Cを動作させ、NチャネルMOSFET1のゲート容量を急速に充電する。
【0089】
<放電時の動作>
PWM信号がローレベルになると、ロジック回路117は、制御信号Cをローレベルにして急速充電回路22Cの動作を停止させる。また、その時点からNチャネルMOSFET1のソース電位が閾値電圧Vth1を下回るまで、制御信号Dをハイレベルにして急速放電回路22Dを動作させる。これにより、コンデンサ9を含むゲート容量は急速放電回路22Dにより急速に放電される。
【0090】
そして、NチャネルMOSFET1のゲート電位が閾値電圧Vth1を下回る(入力信号IN1がローレベル)と、ロジック回路117は、制御信号Dをローレベルにして急速放電回路22Dの動作を停止させると共に、制御信号B,Eをハイレベルにしてカレントミラー回路5,7によりゲート容量を放電させる。上記ソース電位が閾値電圧Vth2を下回る(入力信号IN1がローレベル)と、制御信号B,Eをローレベルに、制御信号Fをハイレベルにする。すると、スイッチ回路115がオンしてゲート容量は電流源116により緩やかに放電される。したがって、ランプ2の通電電流が停止する際の波形の傾きも極めて緩やかになる。上記ソース電位が閾値電圧Vth3を下回る(入力信号IN3がローレベル)と、ロジック回路117は制御信号Dをハイレベルにして急速放電回路22Dを動作させる。
【0091】
尚、例えば第5実施例の図12や第6実施例の図14にも、ゲート電位の上昇開始期間や低下終了期間の傾きが緩やかになるように図示されているが、第15実施例の電流源113,116が動作した場合のゲート電位の上昇度合い,下降度合いの傾きは、第5,第6実施例よりも更に緩やかになるように設定されている。
【0092】
以上のように第14実施例によれば、電流変化緩和手段119は、NチャネルMOSFET1のゲートに充電電流の供給を開始させるタイミングと、前記ゲートより放電電流の流出を終了させるタイミングとについて、電流変化の傾きを緩和するように動作する。具体的には、カレントミラー回路5の動作を停止させている状態から、充電電流量がより小さい電流源113を介して充電電流の供給を開始させ、NチャネルMOSFET1のソース電圧のレベルが所定の閾値Vth2よりも低下するとカレントミラー回路5の動作を停止させ、放電電流量がより小さい電流源116を介して放電電流を流すようにした。これにより、ランプ2への通電が開始される場合と、通電が停止する場合についても電流波形の傾きを緩やかにすることができ、ノイズの発生を一層抑制することができる。
【0093】
(第15実施例)
図31及び図32は第15実施例を示すもので、第14実施例と異なる部分のみ説明する。第15実施例の信号出力回路111Aは、IC(集積回路)112Aとして構成されているコンパレータ118の非反転入力端子が、NチャネルMOSFET1のソースに替えてゲートに接続されている点のみが相違している。したがって、図32に示すタイミングチャートでは、閾値電圧Vth2をゲート電圧側に示している点が相違しており、その他の動作は第14実施例と同様である。
この場合、コンパレータ118は、NチャネルMOSFET1のゲート電位を閾値電圧Vth2と比較するが、ソースフォロワ構成によりソース電位はゲート電位の変化に従って変化するので、実質的に第14実施例と同様の作用となる。以上のように構成される第15実施例による場合も、第14実施例と同様の効果が得られる。
【0094】
(第16実施例)
図33は第16実施例を示すもので、第1実施例と異なる部分のみ説明する。図33は図2相当図であり、信号出力回路121は、制御手段としてカレントミラー回路7に替えて以下の構成を備えている。NチャネルMOSFET1のゲートとグランドとの間には、NPNトランジスタ122と抵抗素子123(抵抗値R1)との直列回路が接続されており、NPNトランジスタ122のベース,エミッタには、それぞれオペアンプ124の出力端子,非反転入力端子が接続されている。トランジスタ5bのコレクタは、抵抗素子125(抵抗値R2)を介してグランドに接続されると共に、オペアンプ124の非反転入力端子に接続されている。
【0095】
次に、第16実施例の作用について説明する。尚、NPNトランジスタ5b(コレクタ電流I2),5a(コレクタ電流I1)の電流比はα(I1=α・I2)とする。PWM信号のレベルがハイでありNチャネルMOSFET8Tがオンしていれば、オペアンプ124の非反転入力端子の電位V+はグランドレベルとなり、NPNトランジスタ122はオフする。
一方、PWM信号のレベルがローでNチャネルMOSFET8Tがオフすると、オペアンプ124の非反転入力端子の電位V+は、R2・I2となる。NPNトランジスタ122のエミッタ電流をI3とすると、R1・I3=R2・I2であるから、
I3=R2/R1・I2
となる。
ここで、抵抗比R2/R1を2αに設定すれば、
I3=2α・I2=2α・I1/α=2・I1
となる。したがって、NPNトランジスタ122を介し、電流源6により供給される電流I1の2倍の電流を流してゲート容量を放電させることができ、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0096】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
コンデンサ9は、削除しても良い。この場合、ゲート電位の立ち上がり,立ち下がり波形はNチャネルMOSFET1の個別のゲート容量に依存することになるが、そのバラツキが問題とならなければ良い。
負荷はランプ2に限らず、モータやLEDなどでも良い。
第12実施例において、定電圧回路84の電位基準をドレイン電圧にする必要がない場合は、ツェナーダイオード86のアノードをグランドに接続しても良い。
【0097】
第13実施例において、コンデンサ93の一端を、PチャネルMOSFET92のソースに替えて電源VBに接続しても良い。また、コンデンサ93を削除してPチャネルMOSFET92のゲート−ソース間容量のみを利用しても良い。
第14,第15実施例において、急速充放電回路22を削除しても良い。また、スイッチ回路34を削除しても良い。
【符号の説明】
【0098】
図面中、1はNチャネルMOSFET(スイッチング素子)、2はランプ(負荷)、3は信号出力回路、4は昇圧回路、5はカレントミラー回路(電流発生回路)、6は電流源(電流発生回路)、6Rは抵抗素子、7はカレントミラー回路(制御用カレントミラー回路)、8はスイッチ回路(制御手段)、9はコンデンサ、11,21は信号出力回路、22は急速充放電回路、22Cは急速充電回路(充電補助回路)、22Dは急速放電回路(放電補助回路)、24はコンパレータ(比較回路)、33は信号出力回路、34はスイッチ回路、39はPNPトランジスタ(スイッチ回路)、41,43,50は信号出力回路、51はカレントミラー回路、52,53はカレントミラー回路(制御用カレントミラー回路)、61は差動増幅回路、62,63はNチャネルMOSFET(制御手段)、69はコンパレータ(比較回路)、81〜83は信号出力回路、84は定電圧回路、91は信号出力回路、92はPチャネルMOSFET(スイッチング素子)、93はコンデンサ、94はカレントミラー回路(制御用カレントミラー回路)、95はカレントミラー回路、96は電流源(電流発生回路)、96Rは抵抗素子、97はスイッチ回路(制御手段)、101,102は電流源(電流発生回路)、111は信号出力回路、112はIC(集積回路)、113は電流源(微小充電電流供給手段)、114はスイッチ回路(微小充電電流供給手段)、115はスイッチ回路(微小放電電流流出手段)、116は電流源(微小放電電流流出手段)、119は電流変化緩和手段(制御手段)、121は信号出力回路、122はNPNトランジスタ(制御手段)、123は抵抗素子(制御手段)、124はオペアンプ(制御手段)、125は抵抗素子(制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される制御信号に応じて、電源とグランドとの間に負荷と直列に接続される電圧駆動型のスイッチング素子に駆動信号を出力する信号出力回路において、
制御電源電圧又はグランド電位と、前記スイッチング素子の制御端子の電位との関係に基づいた電流を発生する電流発生回路と、
この電流発生回路が発生した電流をミラー電流として流すカレントミラー回路と、
前記制御信号のレベル変化に応じて、前記カレントミラー回路の動作を制御する制御手段とを備え、
前記カレントミラー回路を動作させて前記制御端子より放電電流を流し、前記動作を停止させて前記制御端子に充電電流を供給するように構成されることを特徴とする信号出力回路。
【請求項2】
前記制御手段は、一方の電流経路に前記電流発生回路を介して前記カレントミラー回路と直列に接続される制御用カレントミラー回路を備え、
前記制御信号のレベル変化に応じて、前記制御用カレントミラー回路の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の信号出力回路。
【請求項3】
前記制御端子と、前記スイッチング素子と前記負荷との共通接続点との間に接続されるコンデンサを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の信号出力回路。
【請求項4】
前記コンデンサの容量は、前記スイッチング素子が、前記制御端子と前記負荷に接続されている出力端子との間に有している容量成分よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項3記載の信号出力回路。
【請求項5】
前記制御電源と前記制御端子との間,及び前記制御端子とグランドとの間に配置され、前記カレントミラー回路の動作期間の一部及び停止期間の一部において動作し、前記制御端子に対する充放電電流を増加させるためのバイパス経路を形成する充放電補助回路を備えたことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の信号出力回路。
【請求項6】
前記充放電補助回路は、前記スイッチング素子の制御端子の電位又は前記スイッチング素子と前記負荷との共通接続点の電位と、前記電源電圧に基づいて設定される基準電圧とを比較する比較回路を備え、前記比較回路の出力信号により前記バイパス経路の形成が制御されるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の信号出力回路。
【請求項7】
前記カレントミラー回路に対する前記制御電源の供給を断続するスイッチ回路を備えたことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の信号出力回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子が、前記電源と前記負荷との間に接続されているものに前記駆動信号を出力することを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の信号出力回路。
【請求項9】
前記制御電源は、前記電源電圧を昇圧する昇圧回路を備えていることを特徴とする請求項8記載の信号出力回路。
【請求項10】
前記制御電源は、前記昇圧回路によって昇圧された電圧を安定化する定電圧回路を備えていることを特徴とする請求項9記載の信号出力回路。
【請求項11】
前記電流発生回路は、前記制御電源の供給経路に挿入され、一端が前記制御端子に接続される抵抗素子を備えて構成されることを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の信号出力回路。
【請求項12】
前記制御手段は、前記制御端子に充電電流の供給を開始させるタイミングと、前記制御端子より放電電流の流出を終了させるタイミングとについて、電流変化の傾きを緩和する電流変化緩和手段を備えることを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載の信号出力回路。
【請求項13】
前記電流変化緩和手段は、前記カレントミラー回路の動作を停止させている状態から、前記電流発生回路よりも充電電流量がより小さい微小充電電流供給手段を介して充電電流の供給を開始させ、
前記スイッチング素子を介して出力される電圧のレベルが所定の閾値よりも低下すると、前記カレントミラー回路の動作を停止させ、当該カレントミラー回路よりも放電電流量がより小さい微小電流流出手段を介して放電電流を流すことを特徴とする請求項12記載の信号出力回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−166727(P2011−166727A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139306(P2010−139306)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】