説明

個別宅配システム及びそれに適合するナビゲーションシステム

【課題】個別宅配を可能にする個別宅配システムに用いられるデータベースとそのメンテナンスシステム、ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】個別宅配システムは、道路単位として各道路単位ごとの属性情報を含む道路データ、建物、敷地の属性情報を含む地図データベースDB−11、同一配送日の宅配先を結ぶ順路データベースDB−16を備えている。また、宅配範囲の最小単位を定義する最小配達単位と複数の最小配達範囲から構成される配達員の配達単位の情報とを格納する区域データベースDB−18が設けられ、配達順路は上記順路データベースDB−16に格納される。個別宅配のナビゲーションシステム800においては、GPSの測定誤差の補正手法や、静止時の方角の取得手法、地図データと位置情報に基く現在位置の推定手法等が採用され、音声ナビゲーションや連続宅配ナビゲーションなどを実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な個別宅配システム、該個別宅配システムに用いられるデータベースのメンテナンスシステム、該個別宅配システムに特に適したナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
個別宅配システムは従来より種々提案されている。しかしながら、新聞配達を例に取ると、個別宅配は、個々の配達員の知識・経験等に依存するところが大であるため、柔軟性がなく、動的な人員配置や他商品の配達などを行うことが困難である。このような個別宅配業務を、誰でも容易に行うことができるようにシステム化した例はこれまでなかった。宅配のための詳細な地図の作成や配達順路の設定及びその更新、そのような宅配に適合するナビゲーションシステム等について、従来にはない新規な発想が必要とされるからである。
【0003】
顧客情報の管理や、配達順路の決定、担当者の割り振り等を効率的に行うための宅配システムが、例えば、特許文献1に示されている。この宅配システムは、業務上の拠点に設けられたコンピュータと、業務を行う地域の地図を読み取り地図情報に変換してコンピュータに出力する地図情報作成手段とを含み、拠点のコンピュータと顧客担当者が所持する携帯端末とを組み合わせることにより、従来、顧客担当者の各々が個人的に所有する帳面に手書きしていた各種顧客情報を、拠点のコンピュータで管理するとともに、個々の顧客担当者の携帯端末に表示したり、顧客情報の変動が明らかになった場合に、その時点で直ちに携帯端末へ入力して情報を共有化を図っている。また、この顧客管理システムを用いて、業務を行う地域の地図情報の作成、地図情報中に顧客の所在地をプロットして顧客情報を入力する顧客登録、配達区域の設定、担当者の割り振り、配達順路の決定等が行われている。
【0004】
しかしながら、上記宅配システムは、きめ細かいレベルでの宅配業務に適合する詳細な地図や配達順路を必要とする新聞配達のような個別宅配には対応できない。
【0005】
また、配送にナビゲーションを用いる宅配システムは、例えば、特許文献2に示されているが、このような宅配システムををそのまま用いても、上記新聞配達のような個別宅配には対応できない。従来のナビゲーション装置においても、順路案内機能、音声案内機能、可搬性、携帯性、搭載電子地図の更新機能等を備えているものはあるが、以下のような問題点があり、新聞配達の個別宅配には適していなかった。
<順路案内機能>
従前のナビゲーション装置の主たる案内の手段はディスプレイ装置に表示された情報である。補助的な音声案内はあるものの、ディスプレイ装置の情報なくしては順路を把握できない。そこで、ディスプレイ装置の使用が困難な主にバイクや徒歩で行う配達の場合には、順路案内機能の使用が難しい。
<音声案内>
従前のナビゲーション装置は、例えば、交差点を3つ通過して4つ目の交差点を右に曲がる場合、4つ目の交差点の300m手前では「この先300m右です」、直前では「まもなく右です」といった音声を出力することはできる。しかしながら、配達順路に数m間隔の入り組んだ路地などが点在し、短い距離の間に交差点がいくつも存在するような配達順路に対しては、対応が難しい。
<可搬性、携帯性>
従前のナビゲーション装置は、車両に固定することを前提としているが、新聞配達等においては、車両から降りて徒歩で配達場所に辿り着く過程においても順路案内をおこなう必要がある。
<搭載電子地図の更新機能>
ナビゲーション装置が利用する電子地図はCD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク(HD)等の媒体によって提供されることが多く、これらの電子地図を更新するには、媒体の交換が必要であった。近年、無線通信などによって変更された電子地図を受信する方法等も実用化されているが、いずれの場合においてもナビゲーション装置の提供者(もしくは提供者から委託された第三者など)から利用者に提供されるという点で一方的な更新であった。また、電子地図の更新は、調査員による調査結果(地図変更情報)をセンター側で集約して、マスター地図に変更を反映する方式で行われていることが多く、新しい道路や建物が完成したとしても、すぐに電子地図に反映させることは難しかった。
【0006】
さらに、新聞配達のようなきめ細かい個別宅配に対応するためのナビゲーションシステムには、詳細なレベルでの位置情報の誤差の補正が求められる。ナビゲーションにおける位置情報の誤差を地図データを用いて補正することは、例えば、特許文献3に示されているが、新聞配達のようなきめ細かい個別宅配に適合する補正手法は、従来存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−99592号公報
【特許文献2】特開2002−288797号公報
【特許文献3】特開平6−4024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、従来の個別宅配ビジネス、特に、新聞配達のように配達員の知識経験等に頼らざるを得なかった個別宅配ビジネスを一変させる、新しい戸別宅配システムを創造するものである。
【0009】
本発明の個別宅配システムは、実用に耐えるためには、少なくとも以下の要件を満たさなければならない。
(1)新築の家などにも配達できるようにするためには、常時、最新且つ詳細なレベルの地図データを用意しておかなければならない。地図データの整備を集中的に行う専門家を各拠点に配置することは事実上不可能であり、各拠点で誰でも簡単にメンテナンスできるようにすることが、常時最新且つ詳細なレベルの地図データの維持管理に不可欠となる。現地で実測した結果を、地図データのメンテナンスに簡易な手法で誰でも容易に反映できるようにすること、また、ナビゲーションシステムを実際に活用できるようにすることは、最新且つ詳細なレベルの地図データの維持管理、また、そのような地図データをベースとするナビゲーションシステムにおける必須事項となる。
(2)1軒あたりの所要時間を、現状の熟達した配達員の知識経験に基く配達と遜色ないものとしなければならない。個別宅配の配達コスト及び配達効率を少なくとも現状以上のレベルとする必要があり、それに適合するような宅配システム、ナビゲーションシステムが求められる。
(3)配達途上の事故を防ぐために、バイク、自転車、徒歩においては、画面確認の頻度を極端に少なくし、音声・効果音のみでナビゲーションできる必要がある。
(4)宅配に徒歩を利用することも考慮にいれ、道路以外の場所を通る配達を可能にしなければならない。即ち、道路以外の順路も通過・案内可能でなければならない。
(5)配達先が集合住宅の中にあるような場合に備えて、集合住宅の内部情報を利用した案内ができなければならない。
(6)配達先をピンポイントで指定し、そこに迅速にたどり着くようにするために、ナビゲーションの精度は、2〜3メートル程度の誤差内に抑えなければならない。
【0010】
本発明は、これらの要件を満たすため、地図や宅配順路の作成、ナビゲーション手法に既存技術にない新規な発想を採用した、個別宅配システム、該個別宅配システムに用いられるデータベースのメンテナンスシステム、該個別宅配システムに特に適したナビゲーションシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために、本発明の個別宅配システムは、交差点と交差点とを結ぶベクトル、もしくは、交差点間を結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点とを結ぶベクトルとして表される道路単位ごとの属性情報を含む道路データと、位置、形、住宅の属性情報を含む建物データと、位置、形、敷地の属性情報を含む敷地データとを含む地図データベース、及び、同一配送日の宅配先の顧客を結ぶ一筆書きの順路を格納する順路データベースを備えている。また、宅配範囲の最小単位を定義する最小配達単位と複数の最小配達範囲から構成される配達員の配達単位の情報とを格納する区域データベースを設け、配達順路は上記最小配達単位ごとに作成されて上記順路データベースに格納されるように構成される。さらに、入力システムに機能パネルの概念を採用することによりデータベースのメンテナンスが容易化されている。
【0012】
上記宅配システムに適合するナビゲーションシステムにおいては、GPSの測定誤差の補正手法や、静止時の方角の取得手法、地図データと位置情報に基く現在位置の推定手法等が採用され、また、先読みによる音声ナビゲーションや連続宅配ナビゲーションなどを実現している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果を以下に列挙する。
(1)各拠点で誰でも容易にメンテナンスができるため、常時最新且つ詳細なレベルの地図データを作成・維持することができる。
(2)1軒あたりの所要時間を、未経験者であっても、現状の熟達した配達員の知識経験に基く配達と遜色ないレベルとすることができる。
(3)音声・効果音のみでのナビゲーションを可能とすることにより、宅配業務に専念することができ、バイク、自転車、徒歩による配達の際の事故を防止できる。
(4)徒歩等による道路以外の場所を通行する際にも、順路の案内ができる。
(5)配達先が集合住宅の中にあるような場合であっても、集合住宅の内部情報を利用した案内を行うことができる。
(6)ナビゲーションの位置情報の誤差を減少させ、ピンポイントで指定された配達先に迅速にたどり着くようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーションを用いた個別宅配システムの全体概要を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る主要なデータベースのデータ構造を示す図である。
【図3】図3(A)は、始点交差点と終点交差点とを結ぶベクトルとしての「道路単位」を示す図、図3(B)は、同一交差点について始点、終点の区別を導入したサークル状の「道路単位」を示す図、図3(C)は、始点交差点と終点交差点とを結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点とを結ぶベクトルとしての「道路単位」を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る3画面ディスプレイによる基本画面構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るメニュー方式を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る機能パネルの一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る地図メンテナンス画面の一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る地図情報のレイヤ構造を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る地図データのメンテナンス手法の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る手入力によるルート設定のイメージを示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係る最小配達単位内の道路単位設定を行う画面インターフェースの一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係る最小配達単位内の一筆書きの順路の一例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態に係る拠点に戻るまでの全順路を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムを示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係るGPSの設置方法の一例を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態に係る基準点位置の補正の一例を示す図である。
【図17−1】図17−1は、本発明の実施形態に係る補正先通行可能領域の決定方法を示す図である。
【図17−2】図17−2は、本発明の実施形態に係る交差点周辺の位置補正〔交差点中心点への吸い込み補正〕方法を示す図である。
【図17−3】図17−3は、本発明の実施形態に係る通行可能領域の特定と位置補正方法を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態に係る適合度による補正方法の一例を示す図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態に係る適合度の算出方法の一例を示す図である。
【図20】図20は、本発明の実施形態に係る漸近補正の一例を示す図である。
【図21】図21は、本発明の実施形態に係る集合住宅のナビゲーションの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本形態においては、ナビゲーションシステムも全て包含した個別宅配システムが開示されているが、ナビゲーションシステムをオプションとする形態とすることも可能である。図1〜図21は、本発明の実施例を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様のものである。
1.個別宅配システム
個別宅配は、顧客等からの受注・解約、製造メーカー等への商品発注・解約、宅配準備、宅配・集金・決裁等の複数のステージから構成されており、それらの各ステージ別の管理及び全体の管理を行うために、コンピュータを利用した管理システム(個別宅配システム)が用いられている。図1は、個別宅配システムの全体図を示すものである。以下、図1を参照して、各ステージ別に概要を説明する。
1.1 受注・解約
商品宅配の受注もしくは解約は、顧客100、広告主もしくは広告仲介業者200との電話、FAX、メール、インターネット、直接面談によりなされる。電話、FAX、メールによる注文情報は、コールセンター300において、不備項目があれば顧客等に連絡をとり内容を確認した上で、コールセンター300のコンピュータ310に入力される。コールセンター300のコンピュータ310に入力された情報は、ネットワーク(N−4)を介してセンターシステム400のコンピュータ410に送られ、顧客DB(DB−1)、受注解約DB(DB−4)に保存される。このコールセンター300は、拠点毎に配置することも可能である。インターネットによる注文もしくは解約では、顧客等100、200が顧客等のコンピュータ110、210より、ネットワーク(N−3)、(N−5)を介して、センターシステム400のコンピュータ410に直接アクセスし、注文もしくは解約に必要な項目を全て情報を入力する。また、入力を簡素化するため、会員登録を行えばID、パスワードでログインすることで入力情報量を減らしたり、既存の顧客については、希望があれば自動で会員登録を行っておき、ID、パスワードを連絡する形をとることも可能である。そして、この情報が、顧客DB(DB−1)、受注解約DB(DB−4)に保存される。直接面談による受注・解約の場合には、顧客等と直接面談して注文もしくは解約の情報を持った者が、コールセンター300に情報を連絡し、コールセンター300では、不備項目があれば顧客等に連絡をとり内容を確認した上で、注文情報がコールセンター300のコンピュータ310に入力される。コールセンター300のコンピュータ310に入力された情報は、ネットワーク390を介してセンターシステム400のコンピュータ410に送られ、顧客DB(DB−1)、受注解約DB(DB−4)に保存される。
1.2 商品発注・解約
センターシステム400では、センターシステム400に保存された情報を加工して、製造メーカーもしくは卸業者500への発注もしくは解約を行う。発注・解約に当っては、顧客等100,200からの受注・解約情報から、製造メーカー等500への発注・解約情報を作成する。即ち、センターシステム400では、顧客DB(DB−1)、商品DB(DB−3)、受注解約DB(DB−4)に保存されているデータを、発注DB(DB−5)に保存した上で、この情報をネットワーク(N−7)を介して、製造メーカー等500のコンピュータ510に送る。発注もしくは解約の情報を受け取った製造メーカーもしくは卸業者は、配送日もしくは配送予定中止の情報をコンピュータ510に入力し、この情報がネットワーク(N−7)を介して、センターシステム400のコンピュータ410に送られ、配送DB(DB−6)に保存される。
1.3 宅配準備
センターシステム400では、製造メーカー等500からの配送情報を受け取り、配送可能日などを決定の上、各拠点に向けた宅配指示を行ったり、手集金、口座振替、クレジットカードの決済方法のうち、口座振替、クレジットカードについては、決済業者に与信依頼、決済依頼、結果確認をする。
1.3,1 宅配指示
宅配指示に当っては、顧客等100、200からの受注・解約情報と、製造メーカー等500からの配送情報を基に、拠点への宅配指示情報を作成する。即ち、センターシステム400では、顧客DB(DB−1)、商品DB(DB−3)、受注解約DB(DB−4)、発注DB(DB−5)、配送DB(DB−6)に保存されている情報から構成された拠点への宅配指示情報を作成する。この宅配指示情報がネットワーク(N−6)を介して、拠点システム700のコンピュータ710に送られ、送られた宅配指示情報は、拠点システムの顧客DB(DB−10)、商品DB(DB−12)、受注解約DB(DB−13)、発注DB(DB−14)、配送DB(DB−15)に保存される。また、地図DB(DB−2)、区域DB(DB−8)、音DB(DB−9)等のDBに保存されている宅配に必要な情報も、ネットワーク(N−6)を介して、拠点システム700のコンピュータ710に送られ、送られた情報は、それぞれ、拠点システムの地図DB(DB−11)、区域DB(DB−18)、音DB(DB−19)に保存される。
1.3.2 決済
決済に当っては、顧客100からの受注情報により、決済業者600への与信依頼、決済依頼、結果確認を行う。センターシステム400では、顧客DB(DB−1)、受注解約DB(DB−4)に保存されているデータを決済DB(DB−7)に保存する。センターシステム400では、手集金、口座振替、クレジットカードの決済方法のうち、クレジットカードの場合のみ、与信依頼情報をネットワーク(N−8)を介して、決済業者600のコンピュータ610に送る。決済業者600は与信を行い、結果情報をコンピュータ610に入力し、この情報がネットワーク(N−8)を介して、センターシステム400のコンピュータ410に送られ、決済DB(DB−7)に保存される。また、センターシステム400では、手集金、口座振替、クレジットカードの決済方法のうち、口座振替、クレジットカードの場合、コンピュータ410に決済依頼、結果確認を入力し、この情報がネットワーク(N−8)を介して、決済業者600のコンピュータ610に送られる。決済業者600は決済を行い、結果情報をコンピュータ610に入力し、この情報がネットワーク(N−8)を介して、センターシステム400のコンピュータ410に送られ、決済DB(DB−7)に保存される。センターシステム400の決済DB(DB−7)に保存された情報は、ネットワーク(N−6)を介して、拠点システム700のコンピュータ710に送られ、送られた決済情報は拠点システムの決済DB(DB−17)に保存される。なお、与信限度額の設定や与信越え取引の可否判断等の与信管理をセンターシステム或いは拠点システムで行う場合もある。新聞販売網を利用した個別宅配を例に取れば、新聞代と一緒に月末に現金回収を行うような決済方法を採用する際に、顧客に対する与信枠を販売店が決定し、設定した与信枠をオーバーするような注文を受けた場合に販売店が受注の可否を判断しなければならないケース等が、それに該当する。
1.3.3 宅配、集金順路等作成
拠点システム700では、拠点システム700に保存された情報を加工して、宅配順路の作成を行う。また、決済情報を確認し、決済方法が手集金のものと振替不能などの理由により手集金する必要があるものに対して、集金順路を作成する。口座振替、クレジットカードの決済方法で決済が完了した場合に発行される領収証についても、領収証を宅配商品の一つと捉え、宅配順路作成の対象とする。これは、決済情報を元に決済できた顧客情報を、宅配対象物として受注情報に登録する機能により実現している。
1.3.3.1 宅配順路作成
顧客等からの受注・解約情報と顧客情報、商品情報、地図情報を元に宅配順路を作成する。拠点システム700では、顧客DB(DB−10)、地図DB(DB−11)、商品DB(DB−12)、受注解約DB(DB−13)、配送DB(DB−15)、区域DB(DB−18)に保存されているデータを、順路DB(DB−16)に保存する。順路DB(DB−16)に保存された情報および、顧客DB(DB−10)、地図DB(DB−11)、商品DB(DB−12)は、ネットワーク(N−9)を介して、ナビゲーションシステム800のコンピュータ810に送られる。送られた情報は顧客DB(DB−20)、地図DB(DB−21)、商品DB(DB−22)、順路DB(DB−23)に保存される。
1.3.3.2 決済確認
拠点システム700では、決済DB(DB−17)に保存された顧客毎の決済結果の情報を確認し、振り替え不能など手集金をする必要のある顧客の情報が、集金対象として決済DB(DB−17)に保存される。
1.3.3.3 集金順路作成
決済方法が手集金もしくは振替不能などの理由により手集金する必要のある顧客を抽出し、上記宅配順路作成と同様の手法により、集金順路の作成を行う。
1.4 宅配・集金
配達員は、ナビゲーションシステム800に設定されている順路案内に従い、宅配業務を行う。集金人は、ナビゲーションシステム800に設定されている順路案内に従い、集金業務を行う。GPSおよび地図、顧客、商品情報を利用した、画像、音声によるナビゲーションにて案内が行われる。
1.4.1 宅配
配達員はナビゲーションシステム800に設定された順路案内に従って移動を行い、宅配業務を行う。配達員は、顧客DB(DB−20)、地図DB(DB−21)、商品DB(DB−22)、順路DB(DB−23)に保存されているデータを、ナビゲーションシステム800のコンピュータ810を操作して受け取る。次の宅配先への移動手段、道順、宅配商品などが、画像と音声により案内される。案内に従い、次の宅配場所にピンポイントで到着し、案内された商品を宅配することを可能とする。配達員は、ナビゲーションシステム800のコンピュータ810に宅配完了を入力することで、さらに次の宅配先への案内を受け取ることが可能となる。
1.4,2 集金
集金人はナビゲーションシステムに設定された順路案内に従って移動を行い、上記宅配と同様の手法により集金業務を行う。
2.戸別宅配システムのデータ構造とメンテナンス方法
拠点システム700は、顧客100へのナビゲーションを可能にするための、全顧客を網羅した完全な地図データの整備機能、顧客情報のメンテナンス機能、配達員別目的別の区域設定機能、配達員別目的別で先日付でも可能な順路情報のメンテナンス機能を有し、これらの機能は、コンピュータ初心者でも操作可能なインターフェースを用いて実現されるようになっている。
2.1 戸別宅配を実現するために必要なデータ
戸別宅配のナビゲーションを実現するためには、特有のデータ構造を有する各種のデータが必要となる。位置情報から現在地を特定し、ナビゲーションを行うわけであるから、まず詳細な地図データが必要となる。また、配達員毎に範囲を限定していく必要性から配達区域を管理する区域データ、宅配先を特定するための詳細な顧客データや、宅配物のデータを格納する商品データ等も必要なデータである。複数の顧客を連続して案内するための、道路単位やその他通過点を一筆書きで保持する順路データ、音声・効果音によるナビゲーションを行うための音データも必要である。以下、必要なデータ及びそのデータ構造等について図2を参照して詳細に説明する。
2.1.1 地図DB
最新且つ詳細なレベルの地図データを作成・保存するためには、まず地図データを作成するための元情報がなければならない。これは、種別(航空写真、住宅地図等)と画像IDをキーとして元情報地図データ(D−5)に保存される。また、ナビゲーションシステムによる実測値は、GPSを利用した位置情報の生データとなるので、ナビゲーションシステムによる実測値を、実測値ID(実測日時+実測回数)をキーとして、実測データ(D−6)に保存する。実測データ(D−6)を元に、元情報地図データ(D−5)に修正を加えることにより、既存の航空写真・住宅地図データにおける様々な誤差を限りなく少なくすることが可能となる。
【0016】
修正された元情報地図データ(D−5)を元に、ナビゲーションシステム用地図データを作成する。地図データを規定するための基本的な単位として、交差点と交差点、もしくは、交差点間を結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点とを結ぶ「道路単位」という概念を採用する。図3(A)に示されるように、交差点に始点、終点の区別を導入することにより、該道路単位は、向きを持ったベクトルと考えることができる。行き止まりも交差点の一種であるとみなし、また、図3(B)に示されるように、始点と終点が同じとなるサークル状の道路も、始点、終点の区別を導入すれば、道路単位と考えることができる。また、交差点間を結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点を結ぶ道路も、道路の方向等を考慮すれば、同様にベクトルと考えることができる。交差点データ(D−2)は、交差点IDをキーとし、位置や認識半径などの情報を持つ。道路データ(D−1)は、道路単位IDをキーとして、連結交差点、形、一方通行などの各種属性、幹線道路名称などの情報を持つ。但し、道路には、私道や畦道、道路から玄関までの歩道、敷地内の通路なども含まれる。次に、地図上の建造物を保存する建物データ(D−3)を作成する。建物データ(D−3)は、建物IDをキーとし、位置や形、集合住宅などの属性などの情報を持つ。また、道路という概念に組み込めない駐車場や空き地などを保存する敷地データ(D−4)を作成する。敷地データ(D−4)は敷地IDをキーとし、位置や形、属性などの情報を持つ。また、道路と接続する部分に複数の交差点を配置することを可能とし、交差点IDを保存することができ、交差点ID毎に道路と接続する幅の情報も登録することができる。
2.1.2 区域DB
配達員毎に宅配範囲を限定し、これを動的に管理できるようにするために、「最小配達単位」という概念を採用する。最小配達単位として、路地一本のその路地に面する家の集合を考えることもできるが、この単位で作成するとメンテナンスに手間がかかる場合もあるため、通常50〜100軒程度を最小配達単位として登録し、全ての最小配達単位の和集合により、配達エリアを網羅するようにすることが現実的である。また、拠点の配達エリアは、行政区画や新聞販売における管理区域などに分割される。このような場合には、複数の最小配達単位で1管理区域となるように管理区域を作成していくものとする。管理区域データ(D−7)は、管理区域IDをキーとして、該区域の外枠の位置や形、名称、担当者などの情報を持つ。最小配達単位データ(D−8)は、管理区域IDと最小配達単位IDをキーとして、その外枠の位置や形の情報を持つ。つまり、最小配達単位はいずれかの管理区域に属し、全ての管理区域の和集合をとれば、配達エリアを網羅することになる。管理区域を分割して配達単位としたり、複数の管理区域に跨る配達単位を設定する場合もあり、配達単位を動的に変更できるようにするため、配達単位IDをキーとして、配達単位データ(D−9)を持つ。この配達単位データ(D−9)と最小配達単位データ(D−8)を関連付けるために、配達単位集約データ(D−10)を作成する。配達単位集約データ(D−10)は、配達単位IDと配達順番をキーとして、最小配達単位IDを配達員が配達する順番に登録するものである。配達単位データ(D−9)は、配達員毎に最小配達単位データ(D−8)を組み合わせたものとして作成されるので、外枠の位置や形の情報は持つ必要がない。
2.1.3 顧客DB・商品DB・受注解約DB
受注解約により日々変更される顧客毎に宅配する商品、個数の管理をするために、顧客の情報、商品の情報、受注解約情報を保存するスキームが必要となる。顧客データ(D−11)は、顧客IDをキーとして、名称、住所、電話番号、車両停止位置、バイク停止位置、玄関位置、ポスト位置、その他配達位置、建物リンク用建物ID、入口が接している道路設定用の接続道路IDもしくは敷地内に存在している場合の敷地IDなどの情報を持つ。また、一つの建物に複数の顧客がリンクする集合住宅という概念を使い、集合住宅データ(D−12)を作成する。集合住宅データ(D−12)は、集合住宅IDをキーとして、名称、住所、集合住宅内の顧客ID、車両停止位置、バイク停止位置、玄関位置、ポスト位置、その他配達位置、建物リンク用建物ID、入口が接している道路設定用の接続道路IDもしくは敷地内に存在している場合の敷地ID、集合住宅内案内用特殊情報などの情報を持つ。集合住宅案内用特殊情報とは、階数毎に案内するための情報や階段毎に案内するための情報などである。商品データ(D−14)は、商品IDをキーとして、名称、種別、製造メーカー、卸業者、卸価格、販売価格、配達単価などの情報を持つ。受注解約データ(D−13)は、受注解約受付IDをキーとして、日付、当日配達区分、顧客ID、商品ID、商品数量などの情報を持つ。
2.1.4 順路DB
効率的な宅配を行うためには、受注解約により日々変更される顧客毎に宅配する商品、個数や宅配先の顧客を結ぶ一筆書きの順路を作成・保存するスキームが必要となる。そこで、宅配先の顧客のリスト、顧客毎の商品・数量のリスト、通過する道路単位・交差点・敷地のリストを作成・保存することで順路のデータとする。また、最小配達単位間や拠点と最小配達単位を結ぶ順路や、過去に設定されている順路から、最適な順路を自動で設定し、保存するためのスキームも必要となる。宅配顧客データ(D−16)は、配達順路IDをキーとして、日付、顧客ID、集合住宅ID、管理区域ID、最小配達単位IDなどの情報を持つ。なお、配達順路IDとは、日付、管理区域ID、最小配達単位ID、配達する順番の4つの項目の組合せでユニークに決まる項目である。
【0017】
宅配商品データ(D−15)は、顧客ID、日付、商品IDをキーとして、数量などの情報を持つ。通過対象データ(D−17)は、配達順路ID、連番をキーとして、道路単位ID、交差点ID、敷地IDなどの情報を持つ。この3種類のデータで戸別宅配の案内の元情報を形成する。配達順路は、最小配達単位毎に作成される。しかし、当日の配達では拠点から一軒目、最終宅配顧客から拠点までの順路や、最小配達単位複数を一人の配達員で宅配する場合には、最小配達単位間を結ぶ順路が必要となる。区域リンクデータ(D−19)は、区域リンクIDをキーとして、日付、種別(拠点から、拠点へ、最小配達単位間、等)、拠点ID、配達順番、移動元顧客ID、移動元集合住宅ID、移動先顧客ID、移動先集合住宅IDなどの情報を持つ。通過対象データ(D−17)と同様のデータも区域リンクデータ(D−19)として保存しておく(順路を構成するものと同じ構造なので、データ図からは割愛しておく)。また、顧客と顧客を結ぶ設定済の順路は、次回同じパターンで順路を作る時には同じ設定になる場合が多い。このため、一度順路を作成した顧客間の順路を最適経路データ(D−18)に保存する。最適経路データ(D−18)は、最適経路IDをキーとして、始点顧客ID、始点種別、終点顧客ID、終点種別などの情報を持つ。通過対象データ(D−17)と同様のデータも最適経路データ(D−18)として保存しておく。
2.1.5 音DB
音による案内の重要性が非常に高いので、道順や方向を指示するための音声を、音声IDをキーに、順路案内音声データ(D−20)に保存する。また、顧客情報、商品情報を指示するための音声を、音声IDをキーに、顧客商品音声データ(D−21)に保存する。さらに、案内対象が近づいた時に効果音を発生させ、案内の補助情報として利用する。対象、距離、方向を示す各効果音を、効果音IDをキーに効果音データ(D−22)に保存することができる。これらのデータは、ナビゲーションシステム800の音DB(DB−25)に格納されている。また、音DB(DB−25)に格納されるデータは、ネットワーク(N−9)を介してナビゲーションシステム800のコンピュータ810に送られる、拠点システムの音DB(DB−19)に保存されている情報をベースとしたものである。
3. 拠点においての操作を可能とするデータのメンテナンスシステム
戸別宅配のナビゲーションを実現するための特有なデータ構造に対して、各拠点で誰でも容易にメンテナンスできるようにすることが、常時最新且つ詳細なレベルの地図データの追加・修正に不可欠となる。このため、データメンテナンスのインターフェースには非常に簡便な操作性が求められることから、本態様においては、説明書なしで操作できるゲーム感覚のインターフェースおよび、銀行ATMのインターフェース等を参考に、タッチパネル、3画面ディスプレイを最大限活用した新規且つ独自のインターフェースを案出し、データメンテナンスを容易化した。
3.1 基本インターフェース構成
タッチパネル、3画面ディスプレイによる基本画面構成は、図4に示されるように中央にタッチパネルディスプレイのメイン画面を置き、左右に補助用画面を置くものである。メイン画面の下部には、各機能共通で表示されるものとして、操作案内キャラクター表示エリア、現在の作業の説明・案内表示エリア、左画面をメイン画面の延長として使用してる場合に表示される左画面との切替ボタン表示エリア、地図などの場合に多くある画像の一部がメイン画面に表示されている場合に使用する画面スクロール用のカーソル表示エリアを配置する。左画面は、メイン画面の延長もしくは、メイン画面に表示しきれない参考情報の表示などに使い、右画面はメイン画面に表示されている機能のマニュアルを基本的に表示する。また、半透明の入力用パネル(文字、数字など)を表示させ、タッチパネルのみでの全ての機能に対する入力を可能とする。通常のマウス、キーボードによる入力も当然可能である。
3.2 メニューインターフェース
複雑なメニュー構成は、それだけでシステムの使い勝手を悪くする。そこで本態様では一画面で、図5に示されるように展開するメニュー方式を採用する。また、使用するユーザによって、現在使用できる機能および行わなければならない作業を一覧にした、TODOメニューを表示可能とし、ユーザの使いたい機能への到達を最小のアクションによって可能にした。
【0018】
上記のメインメニューの他に、各画面におけるメニューがある。この操作には機能パネルという概念を採用し、画面上でこの機能パネルを選択することにより操作を行う。これは各画面共通のインターフェースとする。図6は機能パネルの例である。この例では、「交差点」に関する作成、移動、削除等の対象作業が選択されるように、対象作業リストが表示されている。
3.3 地図メンテナンスインターフェース
地図メンテナンス画面では、行いたい作業毎の機能パネルを画面上に表示しておく。この機能パネルを選ぶことにより、地図メンテナンス画面のモードが切り替わり各種設定を行える。地図データ作成の前段階として、元情報(航空写真、住宅地図など)と、ナビゲーションシステムによって計測した現地の実測値との合わせ作業を行う。この作業により地図データの精度が飛躍的に上昇することになる。これは、順路案内の精度確保の重要な要素となる。元情報と実測値を図7のように重ねて表示する。ここで、元情報の加工、再保存を行い、元情報の精度を上げた情報として保持する。加工したい部分の元情報の範囲指定、回転、拡大縮小を行い、実測値に合わせていく作業を行う。範囲指定は、機能パネルで範囲指定モードにして、タッチパネルもしくはマウスで修正したい範囲を指示し、囲い込むことにより行う。回転、拡大縮小は、機能パネルでモードを変えると、メーターパネルが表示されメーターを操作することにより実行する。これは、範囲指定されている部分の適用される。
【0019】
次に、精度の上がった元情報の上に、本態様で使用する地図データを作成する。交差点、道路単位、建物、敷地、車両停止位置、ポスト位置などの各部品を入力していく。交差点は、機能パネルで交差点モードにして、位置、半径を指示する。道路単位は、機能パネルで道路モードにして、始まりと終わりの交差点、交差点間を結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点、幅を指示する。曲がった道路の場合は道路内に変曲点を設定し、変曲点間の道路の形を指示する。建物は、機能パネルで建物モードにして、建物を囲むように点を指示していく。敷地は、機能パネルで敷地モードにして、敷地を囲むように点を指示していく。また、敷地は敷地用道路接続点を設定し、接続幅を設定する。敷地は必ず道路と接続させなければならず、接続なしでは保存できないものとする。車両停止位置、ポスト位置などの各点は実測値を参考に、各点用の機能パネルでモードを変えた後、位置を指定する。更新は、各オブジェクトを選択して、変更することにより行う。削除は、各機能パネルに削除モードを付け、削除モードにしてから対象を選択することにより行う。交差点を削除する場合、その交差点に接続している道路単位は同時に削除される。道路単位を削除する場合、その道路単位に接続されている敷地は同時に削除される。以下に、本態様による地図データの簡単な例を載せておく。
【0020】
地図データ作成の方法は以上の手順であるが、地図を追加、修正する基本的な手法を以下に記述する。本態様では、地図情報は図8に示すようなレイヤ構造で作成され、元情報(航空写真、住宅地図など)、ナビゲーションシステムによって計測した現地の実測値、さらに道路・交差点などや、建物・敷地などの地図データが重ねて表示される。この構造により参考情報を確認しながら地図データの修正が行える。但し、開示されたレイヤ構造は例示であり、他の構造を採用することも可能である。このレイヤ構造を利用して、新しく建物と道路が作られた場合に精度の高い地図データを修正するための手法を説明するために、図9において、修正前の時点での各レイヤと、投影図、並びに、これらの情報を元に、新しく交差点、道路単位、建物を作成した修正後の各レイヤと、投影図も併せて示されている。実測点の位置情報は、現在の地図データに対し、新しい建物と道路に対する実測値の軌跡をナビゲーションシステムで測定することにより得られる。この時、建物の入口や道路の行き止まりなどでナビゲーションシステムを操作することにより、通常の軌跡と違う特定のポイントとして記憶できるようになっている。以上のように、本態様は、元情報、実測値を参考にすることで、最新且つ詳細なレベルの地図データのメンテナンスを可能としている。
3.4 区域メンテナンスインターフェース
管理区域、最小配達単位は、対象顧客の集合体となる。管理区域については、管理の都合上、飛び地になる場合もある。最小配達単位は、一筆書きで配達可能なエリアとするが、配達の態様から、建物をまたぐ一筆書きは設定できないという制約がある。メンテナンスのインターフェース上、分かりやすくするために、管理区域のメンテナンスを行った上で、その中を最小配達単位に分けるというイメージになる。飛び地の場合は、同じ管理区域の最小配達単位のエリアを他に作るという形をとる。つまり、最初に管理区域を指定し、一筆書きでエリアを囲む。これを、そのまま、その管理区域の最小配達単位として保存する。次に最小配達単位として分割したい場合や、飛び地に同じ管理区域を設定したい場合に、分割モードにして、エリアの指定を再度行うものとする。すでに設定されている最小配達単位の変更は、区境に点を自由に指定して移動することにより、区境を移動させて行う。また、管理区域の範囲を容易に変更できるように、最小配達単位ごとの管理区域を変更できる機能がある。区域の設定は基本的に点を指定していき一筆書きすることにより行う。
3.5 宅配データメンテナンスインターフェース
顧客情報、商品情報、受注解約情報からなる宅配データのメンテナンスは、まず3つの機能に分けて構築する。第1に顧客情報のメンテナンスは、顧客毎の情報の登録、削除、更新、検索、集合住宅連携の各種画面インターフェースと、顧客または集合住宅と地図を連携付ける情報を設定する画面のインターフェースがある。設定したい顧客または集合住宅を地図上の建物と関連付け、車両停止位置などの設定を行う。第2に商品情報のメンテナンスは、商品毎の情報の登録、削除、更新、検索の各種インターフェースとなるが、商品情報は各拠点に共通なので、センターシステムからの受信によるメンテナンスがメインとなる。第3に受注解約情報のメンテナンスは、顧客、商品毎の受注解約の日付、当日配達区分毎の入力となる。このメンテナンスは、修正・削除は基本的になく、数量のプラス、マイナスの登録のみで行う。プラスマイナスの結果、0となった受注解約情報は、後の順路データに反映される時に、反映対象から除外されるものとする。
3.6 順路メンテナンスインターフェース
配達順路を作成するには、まず最小配達単位を順番に並べて作る配達単位の設定が必要になる。配達員毎の配達単位を、最小配達単位を順番に選択して作り出す画面インターフェースにて行う。配達単位を設定するパターンは無数にあるので、対象エリア、配達員数などにより異なった構成の配達単位作成が必要になる。また、設定された配達単位を配達パターン毎に関連付けて保存できるようにしておく。
【0021】
配達単位が設定されたら、配達単位は最小配達単位が順番に並んでいるものなので、拠点から最初の最小配達単位の一軒目の顧客までの順路、最小配達単位同士を結ぶ順路、最後の最小配達単位の最後の顧客から拠点に戻る順路を設定する画面インターフェースが表示される。同じ画面インターフェースで順番に設定していくものとする。この作業は、配達単位作成時の必須入力項目としておく。
【0022】
一軒と一軒を結ぶ順路の設定は、ルート自動検索によってデフォルトルートを表示するが、手入力によるルート設定をメインのインターフェースとする。過去に設定されたことのある一軒と一軒を結ぶ順路は、設定済ルートとして自動表示される。手入力によるルート設定のイメージは、図10に示される通りである。スタート地点からゴール地点まで、道路単位、交差点、敷地を順にクリックしていきゴール地点が接続している道路単位または敷地まで来た時に一筆書きの順路として設定される。
【0023】
最小配達単位内の順路設定を行う画面インターフェースについて、図11を用いて説明する。最小配達単位の中には、地図上の建物とリンクした顧客・集合住宅のリストが存在する。まず、このリストを順路設定したい順に並び替え、かつ一軒と一軒を結ぶ順路の設定の設定も可能とするように、図11に示すように左側に現在の顧客・集合住宅の並び順、右に並び替えた顧客・集合住宅の並び順のリストが表示され、中心部に地図・順路情報の表示された画面インターフェースを使用する。これにより、最小配達単位内の顧客・集合住宅のリストに対して、一括で順路データのメンテナンスを実施出来る。また、顧客が留守にしたり、新しい顧客が追加されたりして、過去に順路設定されてない顧客間の順路設定が必要になる場合には、一括設定ではやりにくくなる。この場合、左のリストが順路未設定になる顧客のリストが表示される形の画面インターフェースを使用する。新しい顧客ならば左から右のリストに挿入し、既存の顧客ならば左のリストを選択すると、右のリストも同じ顧客が選択され、順路設定モードになる画面インターフェースである。
【0024】
順路データの作成は以上のような手順であるが、管理区域、最小配達単位と順路との関連について、以下に補足説明しておく。各最小配達単位には、上記の手順により、図12に示されるような一筆書きの順路が設定される。ある配達員が、図13に示されるような管理区域1(最小配達単位「1−1」〜「1−4」の和集合)と管理区域2(最小配達単位「2−1」〜「2−4」の和集合)を配達するとする。この場合、各最小配達単位には一筆書きの順路が設定されているので、図13に示されるように最小配達単位毎に順路の始点と終点が存在することになる。配達効率から最小配達単位1−4、最小配達単位1−2、最小配達単位1−1、最小配達単位1−3、最小配達単位2−1、最小配達単位2−2、最小配達単位2−4、最小配達単位2−3と配達し拠点に戻ってくる場合、図13に示されるように拠点から最小配達単位1−4、最小配達単位1−4から最小配達単位1−2、最小配達単位1−2から最小配達単位1−1、最小配達単位1−1から最小配達単位1−3、最小配達単位1−3から最小配達単位2−1、最小配達単位2−1から最小配達単位2−2、最小配達単位2−2から最小配達単位2−4、最小配達単位2−4から最小配達単位2−3、最小配達単位2−3から拠点に至る順路を設定することにより、拠点を出発して配達し、拠点に戻ってくるまでの全ての順路が完成する。以上のように本態様は最小配達単位の組合せを考えることにより、動的に配達エリアを変更することを可能としている。なお、同一の外枠を有する最小配達単位で、異なる一筆書き順路を有するものがある場合を排除するものではなく、その場合には、そのような最小配達単位を別異のものとして取り扱うことにより、同様の処理が可能である。
3.7 音声収録インターフェース
各顧客情報、商品情報毎に音声を入力もしくは既存の音声ファイルと連結する機能を各情報メンテナンス画面に実装する。また、配達顧客一覧で、音声設定のない顧客、商品を検索して絞込み、設定することも可能にする。案内関係の音声、効果音は別画面により、案内一覧、効果音一覧を出し、音声を入力もしくは既存の音声ファイルと連結することができる。案内関係の音声、効果音は各拠点に共通なので、センターシステムからの受信によるメンテナンスがメインとなる。また、音声は同一音声の方が案内に適しているので、センター提供の音声ファイルにないパターンの顧客などが発生した場合、センターで音声を作成し全拠点に配布する。
4. ナビゲーションシステム
例えば、道幅1m以下の細かい路地などのナビゲーションをも可能とする本態様において、GPSから取得できる位置情報に含まれる誤差は、ナビゲーション精度に大きな影響を与える。そこで、位置情報の誤差補正が重要になる。
【0025】
図14は、本態様のナビゲーションシステムの全体図である。図14に示されるナビゲーションシステムは、複数個のGPS(GPS−1〜GPS−N)、GPS制御部1410、位置補正部1420、順路案内部1430等の各手段、及び、各種DB(NB−1〜NB−8)等から構成されている。
【0026】
以下、本ナビゲーションシステムの主要な手段の果たす機能について、詳細に説明する。
4.1 GPS制御部1410における位置情報の誤差補正
GPS制御部1410では、GPSに含まれる誤差を補正してGPSの精度を改善している。以下、その詳細について説明する。
4.1.1 位置の座標変換式
GPSから取得できる位置情報は、緯度経度でありそのままの状態では利用しにくい。一方、本ナビゲーションシステムが対象とするナビゲーションエリアは限られており、地球の大きさから考えれば十分に平面として近似できる範囲にある。そこで、緯度経度の極座標系を、宅配拠点システムが設置された配達拠点を原点(以下、「基準点」)とした平面直交座標系に変換しておく。GPS装置から取得した緯度経度を平面座標に変換する変換式は、基準点の緯度経度を(θ0,φ0)、基準点からの移動量を(Δθ,Δφ)、移動量の測定誤差による平面座標上での誤差を(ΔXerr,ΔYerr)とすれば、緯度経度(θ0+Δθ,φ0+Δφ)に位置する測定点の平面直交座標(X,Y)は、以下のように表される。但し、Δθ、Δφは、十分小さな値と仮定する。
【0027】
【数1】

【0028】
ここでa,bは、それぞれWGS84回転楕円体の長径と短径を表す。また、Rは、該回転楕円体の中心から上記基準点までの距離を表す。上記において、移動量の測定誤差を打ち消す値(ΔXerr,ΔYerr)をオフセットと定義する。
4.1.2 GPSの設置方法
図15に示されるように、複数のGPSを2つのグループに分けて、進行方向に対して中心点から等距離の位置に各グループの中心点が来るように設置する。グループの中心点間の距離は、GPSに含まれる位置誤差の影響を排除することができる程度に間隔をあけて設置する。SBAS対応GPSの場合、この間隔は1m程度である。各グループ内のGPS(GPS1−1〜GPS1−N、GPS2−1〜GPS2−N)は、各グループの中心点を重心とした正N角形の頂点に設置することが望ましい。また、各グループ内のGPSは、接近させすぎると互いに干渉して誤差を増大させてしまうため、20cm程度の間隔をあけて設置することが望ましい。
4.1.3 位置の取得と誤差の補正
GPSの位置誤差には特徴があり、本発明者らの観察によれば、3つに大別できる。1つ目は、一定範囲内で不規則に変化する誤差(以下、「標準誤差」)。2つ目は、時間と共にある方向にある距離だけ偏ってしまう誤差(以下、「偏移誤差」)。3つ目は、その他の誤差である。以下、各誤差の補正について説明する。
4.1.3.1 標準誤差の補正(平均化)
GPSの標準誤差は、GPSそのものの精度限界を表しており、この誤差の補正は静止衛星を利用したSBAS技術やFM電波を利用したD−GPS等の補正技術に依存しているため、補正により、個々のGPSの精度を向上させることは理論的に不可能である。一方、各GPSの標準誤差は、その性質から、平均0、標準偏差σの正規分布に従うものと考えられ、また、上記配置の特徴からみて、各GPSから取得した位置情報は、(各GPSの位置に依存する)平均μi、上記標準偏差σの正規分布に従う、互いに独立な確率変数と考えられる。そこで、図15に示されるように各グループにN個ずつ設置した計2N個のGPS(GPS1−1〜GPS1−N、GPS2−1〜GPS2−N)から取得した位置情報の相加平均値は、平均Σμi/2N、標準偏差σ/(2N)1/2の正規分布に従うことになり、標準偏差が1/(2N)1/2倍となることにより、その精度の向上が期待される。なお、上記説明においては、GPSの個数を偶数として説明しているが、特に偶数に限られるものではなく、奇数であってもよい。また、標準誤差の補正に限れば、特に、複数のGPSを2つのグループに分ける必要もない(複数のGPSを2つのグループに分けることは、特に、静止時の方向の取得の際に有効な手法であり、後程詳細に説明する。)。
4.1.3.2 偏移誤差の補正
GPSの偏移誤差は、時間と共にある方向にある距離だけ偏ってしまう特徴を持つ。この特徴によれば、ある1点において過去に観測された位置情報とGPSから取得した位置情報の2つが取得できれば、その差分を上記オフセットに設定することにより補正可能である。即ち、電子地図を作成する際にあらかじめ基準点を決定しておき、基準点の正確な位置情報(以下、「基準点位置」)を初期設定ファイルNB−7に記録しておく。次に、配達の開始前に基準点位置にGPSを配置してGPSから位置情報を取得する。三番目に、GPSから取得した位置情報と基準点位置の差分(以下、「偏移量」)を算出する。最後に上記で算出した偏移量をオフセットに設定する。具体的には図16に示されるように、基準点を中心とした基準点補正位置を作成しておき、基準点補正位置に合わせて車両を停車する。また、徒歩配達の場合は基準点上に立ち、二輪車の場合は前後輪を指定位置に合わせて停車する。停止後、ナビゲーションシステムの「スタート」ボタンを押下して、オフセットの設定を行う。
【0029】
なお、GPSの固体差が少なく、それぞれのGPSの偏移誤差が略等しいと考えられる場合には、予め緯度経度の正確な情報が得られている基準点にGPSを置いておき、その基準点におけるGPSの実測値から得られる偏移誤差を、通信ネットワーク及び通信制御部1440を介してGPS制御部1410に送信することにより、自動的なオフセット設定が可能である。また、基準点にナビゲーションシステムを置き、得られたGPSの実測値を、通信制御部1440を介して他のナビゲーションシステムに送信することも可能である。
4.1.3.3 その他の誤差の補正
その他の誤差は、様々な要因によるため不規則性が高く補正の前提となるモデル化をしにくい。一方、本発明者らの観察によれば、その他の誤差の中でも、変圧器や高圧線などの電磁界の影響による誤差(以下、「電磁界誤差」)が最も大きいことが分かっている。この電磁界誤差は、毎回同一の現象ではないものの、数種類の傾向に大別できる特徴を持ち、あらかじめ電磁界誤差のパターン(以下、「補正パターン」)を把握しておくことにより、電磁界誤差を補正することができる。電磁界誤差は、局所的に違う特性を持つ偏移誤差の集合とみなすことが可能なため、補正パターンは、電磁界誤差が影響を及ぼす範囲内の各地点におけるオフセットの一覧となる。
【0030】
まず、補正パターンを表1に示す形式で、初期設定ファイルNB−7に格納しておくか、或いは、外部のデータベースに記録しておき、通信ネットワーク及び通信制御部1440を介して取得するようにする。
【0031】
【表1】

【0032】
表1において、矩形領域は現実的に同一地点とみなすことが出来る範囲の矩形領域を表す。本態様においては、例えば、50cm四方の領域である。また、補正パターンIDは補正パターンを一意に特定する番号を表す。次に、GPS利用者は、補正パターンが登録されているエリアにおいて、登録済みの補正パターンの中から適切な補正パターンを選択するだけで電磁界誤差の補正を行うことが出来る。さらに、過去の移動軌跡から正しいと推論される位置、及びその位置と実際の位置との差分を元に、登録済みの補正パターンの位置、オフセット値を検索し、適切な補正パターンを逐次的に自動選択することもできる。
4.1.4 方向の取得と誤差の補正
GPSから取得できる方向は、直前の位置と現在位置との差分に基づいて算出されているため、停止中など移動量が少ない場合は正確な方向が得られない。方向の誤差は、SBASを利用したGPSであってもほとんど改善されない。そのため、GPSから取得した方向のみによっては、特に駐車場内や庭など進行方向を特定しにくいエリアにおいて、現在の進行方向から目標物に向かうための方角を案内することができない。この方向誤差を以下のようにして補正する。
【0033】
まず、図15において、各グループ内の各GPSから取得した位置情報を相加平均して各グループの中心位置を取得する。なお、各グループ内に設けられるGPSの個数を必ずしも同数とする必要はない。次に、グループ2の中心点からグループ1の中心点に向かうベクトルを計算して方向を算出する。一方、各グループに属する各GPSの標準誤差は、前記したように、平均0、標準偏差σの正規分布に従うものと考えられ、また、上記配置の特徴からみて、各GPSから取得した位置情報は、(各GPSの位置に依存する)平均μi、標準偏差σの正規分布に従う、互いに独立な確率変数と考えられる。そのため、グループ1及び2の各グループ毎にN個ずつ設置したGPSについて、グループ1が取得した位置情報の相加平均値は、平均Σμi/N (但し、和はグループ1に属するGPSを対象としたもの)、標準偏差σ/(N)1/2の正規分布に、また、グループ2が取得した位置情報の相加平均値は、平均Σμi/N (但し、和はグループ2に属するGPSを対象としたもの)、標準偏差σ/(N)1/2の正規分布に、それぞれ従うことになる。各相加平均値の標準偏差が1/(N)1/2倍となることにより、各相加平均値の分布の重複は、各グループに1個のGPSを配置した場合の分布の重複に比べて大幅に減少することが期待できるから、グループ1及び2の中心位置情報の分離がより確実に達成され、静止時であっても方向の検出が可能となる。なお、一定速度以上の場合は、GPSから取得した方向を用いても良いことは勿論である。
4.2 位置補正部1420における位置情報の誤差補正
位置補正部1420は、GPS制御部1410から出力された位置情報(位置・方向・速度)、及び電子地図データベースNB−1の情報を利用して、最も適切と想定される位置を導出する推論システムである。また、得られた位置情報は、順次ログファイルNB−8に格納される。
4.2.1 通行可能領域の特定と位置補正
本態様では、全ての通行可能領域を電子地図データベースNB−1に登録しておく。通行可能領域とは、道路単位や交差点のみならず、庭、駐車場、またはマンションの階段や廊下など宅配業務上、配達員が通行可能な全ての領域を表す。このため、本態様において、車両もしくはGPSを装備した配達員(以下、「配達員」)は、必ず通行可能領域に位置することになる。一方、GPS制御部1410から出力された配達員の位置情報をそのまま電子地図にあてはめると、GPSの誤差により、必ずしも通行可能領域内に位置するとは限らない。そこで、GPSから取得した位置情報から、最も適切と想定される通行可能領域内の位置(以下、「補正後位置」)を推論することが必要になる。
4.2.1.1補正先通行可能領域の特定
通行可能領域は、電子地図内で複数の領域に分割されているため、複数の通行可能領域の中で、最も適切な通行可能領域(以下、「補正先通行可能領域」)を以下のように決定する。
(1)現在位置が通行可能領域であった場合で、かつ、該当する通行可能領域が1つの場合は、その通行可能領域を補正先通行可能領域とする(例;図17−1の「位置(ア)」参照)。
(2)GPSによる測定位置が、交差点のGPS認識エリア内に入った場合(例;図17−1の「位置(イ)」参照)、一旦交差点の中心点に強制的に補正する(交差点周辺の位置補正〔交差点中心点への吸い込み補正〕図17−2参照)。この場合、交差点内に位置する間は、進行方向を交差点の中心点からGPS測定点に向かうベクトルの方向とする。これは、道路の方向と進行方向の適合度によって最適道路を選択する際、正しい道路を選択しやすくするためである。ただし、GPS認識エリア内に、配達先などの目的物がある場合には、上記の補正を行ってしまうと、交差点の中心にずっといることになってしまい、適切な案内が行えない場合がある。このようなケースを避けるために、目的位置がGPS認識エリア内に含まれている場合には、計算上GPS認識エリアの半径を交差点の中心から目的位置までの距離以下として取り扱う。
(3)上記において、交差点が含まれていない場合、もしくは、現在位置が通行可能領域ではない場合、現在位置から各通行可能領域の中心線に対する法線、または中心点との接続線を考え、法線または接続線上の現在位置と通行可能領域の境界線との交点までの距離(以下、「適合距離」)を計算し、適合距離が最も小さい通行可能領域を補正先通行可能領域とする(例;図17−1の「位置(ウ)」)。
(4)ただし、上記(3)において、あらかじめ規定した速度以上で移動中の場合は、まず、進行方向と各通行可能領域の中心線の2つの線分が作る角度を取得し、次に、この角度が0度の時は0、90度に近づくにしたがって1になる値(以下、「適合度」)を計算する。ただし、中心線がない通行可能領域については、適合度を1とする。最後に、上記(3)で計算した適合距離と適合度を掛け合わせた値(以下、「適合係数」)を算出し、適合係数が最も小さい通行可能領域を補正先通行可能領域とする。
【0034】
以上述べた補正で大半のケースは対応できるが、通行可能領域の特定と位置補正に関して更に改善を要するケースもある。例えば、道路が補正候補になる場合、下町など細かい路地が入り組んだ地域では常に複数の補正候補が存在する状態となり、適合距離と方向による判定だけでは適切な道路を選択できないというケースである。このようなケースに対しては、経路上の基準点を考え、基準点からの経路距離を判定要素に加えるようにすることが有効であることを見出した。詳細は以下のとおりである。
経路基準点(経路基準オブジェクト)の選定
GPSから取得した位置情報から算出した、最も適切と想定される通行可能領域内の位置(以下、「補正後位置」)が、一定期間同じ補正候補を示しており、かつ漸近補正が行われていない状態であれば、補正後位置は妥当なものと判断できる。そのため、このような場合対象の補正候補を経路基準点として記録する。
経路距離を加味した判定
本システムでは全ての通行可能領域が地図データとして登録されており、また、各通行可能領域は互いに接続の可不可、および接続可能な場合は接続可能位置を保持している(図17−3(A)参照)。例えば、道路、交差点等の各要素は、次のような属性、関係を有している。
・道路は、両端の交差点、敷地接続点、道路接続点と接続する。
・交差点は道路と接続する。
・敷地接続点は、道路、敷地、敷地通路と接続する。
・敷地通路は敷地接続点と接続する。
・道路接続点は、道路と接続する。
【0035】
なお、敷地接続点、道路接続点については、道路の中心線と平行な直線方向に接続可能な幅が設定されている。
【0036】
例えば、図17−3(B)の場合、現在位置から接続可能な通行可能領域は、交差点1、交差点2、敷地接続点1、敷地接続点2の4つである。また、図17−3(C)の場合、現在位置から接続可能な通行可能領域は道路1、敷地通路1、敷地1の3つである。本システムでは全ての通行可能領域が地図データとして登録されており、配達員は、通行可能領域上に存在し、また接続可能な領域上しか移動しない。GPSから取得した位置情報を補正すると、補正後位置は必ずしも接続可能位置を通過しながら通行可能領域を移動するとは限らないが、現実に配達員は接続可能な領域しか移動できないため、補正基準点から、次に選択された補正候補にいたる経路を地図データから計算し、この距離を判定基準に加えるようにしてある。これにより、以下に説明するように補正ミスを抑制することが可能になる。
【0037】
図17−3(D)は、ほぼ平行して走る2つの道路についての補正結果を示しているが、GPS位置と補正候補との距離、及び、方向のみの条件で補正するとGPS位置によっては間違った補正をする可能性がある。これに対して、図17−3(E)は、距離判定条件を「GPS位置と補正候補との距離」に「経路基準点からの経路距離」を加えた係数によって判断することで、期待する補正結果を得ている。
【0038】
但し、上記の経路距離による判定条件をそのまま適用すると、特に交差点、敷地接続点、道路接続点付近で不所望の挙動を示す恐れがある。例えば、図17−3(F)において、道路3が補正基準点に選択されている状態とすると、GPS軌跡上の補正候補1、2について、補正候補1は、補正基準点上にいるため、経路距離はほぼ0(直前の補正結果との微小な差分のみ)となり、判定距離は事実上、GPS位置との法線距離となる。一方、補正候補2は、経路距離の変動が大きいため(線分4)、大きく離れた位置と判定されることになってしまう。このため、距離判定条件に経路距離を直接加えるのではなく、経路距離に、交差点、接続点等との位置関係に応じた判定係数(0〜1)を乗した値を使って距離判定を行い、上記のような誤判定が生じることを防止している。
【0039】
次に、適合度による補正について説明する。図18(A)は、適合度による補正を行わない場合の例である。このように、道路Aと道路Bが交差する場合、単純に道路までの距離に基づいて補正を行ってしまうと、実際には道路Bを移動しているにもかかわらず、交差点付近において道路Aに補正されてしまう。
【0040】
図18(B)は、適合度による補正の効果を説明する例である。方向ベクトルと道路A及び道路Bのベクトルの成す角度をもとに適合度を計算すると、補正先が道路Bとなる。適合度は、具体的には、以下のように計算する。
【0041】
図19は、道路A及び道路Bの適合度の計算方法を説明する図である。適合度(A)は、方向ベクトルと道路A及び道路Bのベクトルの成す角度のSIN関数の絶対値を表している。しかしながら、この方法では、角度の差に比べて適合度の減少が緩やかになってしまうため、最終的な適合係数において、適合度よりも適合距離の影響が大きい。このため、実際には、さらに二乗した値を適合度(図中の適合度B)として採用する。例外的なケースとして、複数の道路について適合度が0になってしまう場合については、適合度0の道路の中で、適合距離が最も短い道路を補正先の道路とする。上記の説明において、適合度は必ずしもSIN関数である必然性はなく、また、0から1の範囲の値を取る必要もない。0度で値0を取り、90度までの範囲で角度が大きくなるにつれて値が大きくなるような単調増加関数を適宜選択してもよい。
4.2.1.2 通行可能領域内の位置補正
4.2.1.1で特定した補正先通行可能領域の属性と現在の状態に応じて、以下のように位置補正を行う。
(通行可能領域が道路の場合)
現在位置から通行可能領域の中心線に下ろした法線と中心線との交点を補正後位置とする。(例;図17の「位置(ウ)の補正後の点」)
(通行可能領域が道路以外の場合)
4.2.1.1の(2)において説明した交差点周辺の位置補正〔交差点中心点への吸い込み補正〕と同様の補正を行う。
4.2.1.3 漸近補正
4.2.1.1において、現実的には必ずしも正しい補正先通行可能領域を選択できるわけではなく、ノイズに基づく不適切な補正先通行可能領域を選択してしまう場合もある。この時、特に直前の補正先通行可能領域と4.1.2.1で特定した補正先通行可能領域が離れている場合、直前の補正後基準位置と4.1.2.2で決定した補正後基準位置が大きく離れてしまう場合がある。このため、単純に4.1.2.2の補正後基準位置を最終的な補正後基準位置としてしまうと実際の位置とは異なる補正後基準位置に位置することになってしまい、ナビゲーションが不可能になってしまう。
【0042】
一方、このような現象は、ノイズに基づくため不連続に発生することがほとんどであり、このノイズの影響を緩和することが出来れば大きな問題にはならない。そこで、直前の補正後基準位置と4.1.2.2で決定した補正後基準位置の差分(以下、「移動距離」)が、速度から算出した移動可能距離(以下、「最大移動可能距離」)を越えないように、移動距離を制限する。すなわち、移動距離が最大移動可能距離以上になった場合は、移動距離を強制的に最大移動可能距離に修正することにより、漸近的に移動させる。この方法によれば、例えば図17の「位置(ウ)の補正後の点」から「位置(ウ)の補正ノイズ」に補正後位置が飛んでしまったとしても移動距離が制限され、補正後位置が道路1の領域内に留まり、ノイズによるナビゲーションへの影響を最小化することが出来る。
【0043】
具体的には図20に示すような並行した道路における補正において発生する場合が多い。この例では、図中の点1(GPSから測定した位置)が問題となるケースで、並行する道路の適合度はほとんど同一になり、適合係数はほぼ、適合距離によって決定されるため、適合距離が近いほうの道路に補正されてしまう。このような補正が起きる場合、左側の道路の中心線上の位置から右側の道路の中心線上の位置に補正後の点が大きく飛ぶことになる。このとき、前述のように点の移動距離を最大移動可能距離に置き換える(図中の点2)。最大移動可能距離は、直前の補正後の点と適合係数によって判断した補正後の点を結ぶ直線上の、直前の補正後の点から最大移動可能距離の位置を、補正後の位置とする。先に説明した図18(B)のケースで、適合係数の比較だけでは道路A上にあると誤判定される場合であっても、漸近補正を併用すれば、正しい判定が行われる可能性が飛躍的に増大することが期待でき、この補正は単純だが、効果が大きいものである。
4.2.1.4 正常予測
本態様において、ナビゲーションに使用する順路は事前に決定されている。この特徴に基づき、かつ、ほとんどの場合、配達員が事前に決定された配達順路に位置していると仮定すれば、補正先通行可能領域の候補として、順路上の通行可能領域を優先的に使用することも出来る。
4.3 順路案内部1430におけるナビゲーション
順路案内部1430では、主に、位置補正部1420から取得した位置情報と、電子地図データベースNB−1、及び、配達順路データベースNB−4の情報を利用して実際のナビゲーションを行う。また、配達結果を、配達実績データベースNB−3に保存する。音声ナビゲーションを行う際には、音声ファイルNB―5の情報を利用し、ディスプレイ装置(タッチパネルによる位置等の入力装置を兼ねても良い)により視覚的な表示を行う際には、地図イメージファイルNB―2の情報を利用する。
4.3.1 先読みによる音声ナビゲーション方式
本態様は、新聞配達のような、車・バイク・自転車などの車両を利用するものの、頻繁に乗降を繰り返し、個人宅の玄関やポスト、さらには裏庭の自転車の籠等に配達しなければいけない状況において、配達員に対して安全かつ効率的に順路を案内しなければいけないという要請にこたえるために、殆ど全ての情報を音声のみで案内するように構成したものである。
4.3.1.1 音声のみによる順路案内の考え方
音声のみの案内では、やはり人間による案内が、分かりやすさという観点から、最も優れたものである。その分かりやすさの理由は、助手席に乗った人間が運転者に対して音声のみで順路を案内する場合、意識せずに「先読み案内」を行っていることにある。これは、例えば「信号がある交差点を3つを通り過ぎて、コンビニを通り過ぎて、右側にガソリンスタンドが見えたら、次のT字路を左に曲がって1つ目の信号を右」「しばらく道なり」というようなものである。運転者は、記憶した順路と「信号がある交差点を1つ、2つ、3つ通過した」「コンビニが見えた」「ガソリンスタンドが見えた」という目視できる事実の一致により正しい順路であると認識する。また、運転者は記憶があいまいになったり、忘れたり、不安になった場合等に、順路を確認しなおす場合もある。この人間による「先読み案内」には、以下のように5つの特徴がある。
(1)現在位置から一定範囲内の複数の目標物と順路指示を運転者に伝え、
(2)運転者はそれを記憶し、
(3)記憶にしたがって運転する。
(4)運転者は視認した事実との一致をもって安心し、
(5)記憶があいまいになったら再確認する。
【0044】
本態様は、(1)〜(5)の特徴を実用化したものである
4.3.1.2 音声ナビゲーション方式の各種機能
本方式では、一定距離内に存在する案内すべき進路変更部(以下、「案内点」)の情報を先読みし、事前にまとめて音声案内を行い、その音声案内を配達員に記憶させることで正確な走行順路案内を行う。そのために、以下に示すような各種の機能を有する。
(1)一定距離内に存在する案内点を先読みし、事前にまとめて音声案内を行う機能
現在位置から目的地に至る順路上の案内点について、現在位置から一定範囲内の案内点を全て取得し、それらをまとめて音声案内する機能であり、例えば「T字路右、すぐ、十字路左、3m、十字路真っすぐ」のように音声案内する。配達員は、一連の音声案内を記憶して、記憶に基づいて移動する。
(2)案内済みの案内点を通過してから続きの音声案内を行う機能
上記(1)において、既に音声案内済みの案内点を全て通過してから、新しい音声案内を開始する機能であり、これにより、配達員の混乱を防止することができる。
(3)案内点を先読みする距離を配達員のレベルに合わせて変更する機能
上記(1)において、案内点を配達員のレベルに応じて変更する機能であり、本態様になれた熟練者には長い距離をまとめて案内し、初心者には短い距離を逐次的に案内する。この方式によれば、配達員がシステムに合わせる必要がなく、配達員のレベルに応じてシステムのレベルを調整することが出来る。
(4)速度に応じた距離によって案内点を先読みする範囲を変更する機能
上記(1)において、において、案内点を先読みする範囲を移動速度に応じた距離によって決定する機能であり、高速で移動中は長い距離、低速で移動中は短い距離とし、一定距離内に存在する案内点について先読みを行う。この機能を用いれば、幹線道路移動中など高速で移動可能な場合は長い距離をまとめて案内し、入り組んだ路地など曲がり角や交差点が多い場合など低速で移動している場合は、短い距離を逐次的に案内することができる。また、記憶する時間が一定となり、時間の経過にともなう忘却による順路ミスを防ぐことが可能となる。
(5)事前に決められた個数の案内点を先読みする音声案内機能
上記(1)において、事前に決定した案内点個数を参照し、現在位置から指定個数の案内点を先読みする機能であり、配達員の慣れや記憶力の良し悪しに応じて先読み案内する案内点の個数を制御することが可能となる。
(6)音声案内を現在位置からもう一度やり直す音声案内機能
上記(1)において、記憶した先読み音声案内を忘却してしまった場合に、ボタンを押下するか音声入力によって、現在位置から一定範囲内の案内点の先読み音声案内をもう一度行う機能である。
(7)現在位置の案内点情報のみ音声案内する機能
上記(1)において、記憶した先読み音声案内を忘却してしまった場合に、ボタンを押下するか音声入力によって、現在位置からどちらの方向に向かえばよいかのみを再度案内する機能である。
(8)次の案内点の種類や進行方向を効果音により案内する機能
案内点の種類や進行方向毎に設定した効果音を鳴らす事によって、次の案内点の種類や進行方向を案内する機能である。
(9)次の案内点までの距離を音の高低により案内する機能
上記(8)において、距離に応じて効果音の音程を低い音から高い音に変化させ、音程により距離を案内する機能である。
(10)次の案内点までの距離を効果音のテンポにより通知する効果音案内機能
上記(8)において、距離に応じて効果音のテンポを長い間隔から短い間隔に変化させ、テンポにより距離を通知する機能である。
4.3.2 連続宅配ナビゲーション方式
配達センターから複数件の配達先に向けて出発した配達車両の配達員に対して、1件目の配達先の近傍にある車両停止位置に至る配達順路を案内して停車させ、配達物を通知すると共に、配達先の玄関やポストに至る徒歩順路の案内を行い1件目の配達が完了すると自動的に2件目の配達指示を開始し、以降、逐次的に配達完了までの「順路案内」と「配達指示」を行う方式である。
4.3.2.1 連続宅配のナビゲーション方式の各種機能
連続宅配ナビゲーション方式の実現のために、以下に示されるような各種機能を有している。
(1)連続宅配順路案機能式及び、配達指示機能
配達先の玄関先やポスト(以下、「最終案内点」)に至る順路に、乗車と徒歩が混在する場合は、まず、徒歩順路の直前の案内点(車両停車位置)までを案内し、車両の停車指示、及び配達物の指示を行ってから徒歩順路の案内を行う。次に、車両停止位置から最終案内点までの案内を行う。配達完了ボタンが押下された場合は、配達対象の配達先に次の配達先をセットする。このとき、案内点リストは、次の配達先の最終案内点に至る案内点が全て登録されているため、案内点を順次案内すればよい。上記において、車両停止位置で降車して徒歩により配達を行っている場合で、次の配達先の最終案内点に至る経路上に乗車順路が含まれている場合は、車両停止位置まで戻る順路を案内することになる。徒歩順路のみの場合は、そのまま徒歩で次の最終案内点に至る順路を案内することもできるが、配達物を手元に保持していないため、同様に車両停止位置まで戻る順路を案内することになる。(連続して徒歩による配達を行う場合は、後述する集合住宅として順路を作成しておく)これらの順路案内、及び配達指示は、音声による方式とディスプレイ装置に表示する方式により行う。
(2)集合住宅における連続宅配順路案内機能及び、配達指示機能
配達先の最終案内点グループに至る順路に、乗車と徒歩が混在する場合は、まず、徒歩順路の直前の案内点(車両停車位置)までを案内し、車両の停車指示、及び最終案内点グループで集計した配達物の指示を行ってから徒歩順路の案内を行う。次に、車両停止位置から最終案内点グループに属する各最終案内点までの案内及び最終案内点毎の配達物案内を行う。特に、集合住宅内の案内では、「マンション中央の階段を3階まで上れ」のように案内を行う。配達完了ボタンが押下された場合は、配達対象の配達先に次の配達先をセットする。このとき、案内点リストは、次の配達先の最終案内点に至る案内点が全て登録されているため、案内点を順次案内すればよい。上記において、車両停止位置で降車して徒歩により配達を行っている場合で、次の配達先の最終案内点に至る経路上に乗車順路が含まれている場合は、車両停止位置まで戻る順路を案内することになる。徒歩順路のみの場合は、そのまま徒歩で次の最終案内点に至る順路を案内することになる。
【0045】
集合住宅において、同一階の配達先が複数存在する場合や集合ポストに連続的に配達する場合などはモード切替により、最終案内点における配達物を連続して通知する案内も利用可能とする。例えば、1階配達中は「101 A新聞1部、103 B新聞1部、104 C新聞1部、108 D新聞1部」のような連続案内を行う。これらの順路案内、及び配達指示は、音声による方式とディスプレイ装置に表示する方式により行う。
【0046】
上記において、集合住宅の具体的な案内は、図21に示される集合住宅の2つのタイプ(i)及び(ii)に応じて、以下のようになされる。
(i) 煙突階段タイプの場合;階段の両側に入り口があるようなアパートの場合
各階段の前にバイク停止位置を設定する。各バイク停止位置において、以下のように音声ナビゲーションを行う。
(階段1の前のバイク停止位置)
「集合住宅です。配達開始ボタンを押してください。」
配達開始ボタンを押下すると「降りる。B新聞3、E新聞1。階段」(ここで、B新聞3、E新聞1の部分は、これから配達する集合住宅内の複数の顧客の合計部数を案内する)
「101、202、401 E(新聞)、502」を繰り返す。(ここで、101、202、502はB新聞であるが、B新聞は主要宅配物として設定されているため、音声は読み上げない。B新聞と異なるE新聞の場合のみ音声案内を行う。また、配達部数は1のため、音声案内は省略される。)
配達完了ボタンを押下すると「車両に戻る」
配達完了ボタンをもう一度押下すると、次のバイク停止位置(ここでは階段2の前のバイク停止位置)までの案内が開始される。
(階段2の前のバイク停止位置)
「集合住宅です。配達開始ボタンを押してください。」
配達開始ボタンを押下すると「降りる。読売4。階段」(ここで、読売4の部分は、これから配達する集合住宅内の複数の顧客の合計部数を案内する)
「104、303、404、503」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「車両に戻る」
配達完了ボタンをもう一度押下すると、次のバイク停止位置までの案内が開始される。
(ii)廊下タイプの場合;一般的なマンションの場合
(エレベータが設置されている場合)
「集合住宅です。配達開始ボタンを押してください。」
配達開始ボタンを押下すると「降りる。B(新聞)7、E(新聞)1。5階に行く」(ここで、「B(新聞)7、E(新聞)1」の部分は、これから配達する集合住宅内の複数の顧客の合計部数を案内する)
「502、503」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「4階に行く」
「401 E(新聞)、404」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「3階に行く」
「303」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「2階に行く」
「202」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「1階に行く」
「101、104」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「車両に戻る」
配達完了ボタンをもう一度押下すると、次のバイク停止位置までの案内が開始される。
(エレベータが設置されていない場合)
「集合住宅です。配達開始ボタンを押してください。」
配達開始ボタンを押下すると「降りる。B(新聞)7、E(新聞)1。1階に行く」
「101、104」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「2階に行く」
「202」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「3階に行く」
「303」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「4階に行く」
「401 E(新聞)、404」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「5階に行く」
「502、503」を繰り返す。
配達完了ボタンを押下すると「車両に戻る」
配達完了ボタンをもう一度押下すると、次のバイク停止位置までの案内が開始される。
特に、集合住宅内ではGPSの電波状態が良くないため、GPSによるナビゲーションはほとんど不可能になるため、GPSによらない上記のようなナビゲーション方式が有効である。
(3)敷地内等における配達順路案内機能
敷地内の順路案内を、以下のような方法で実施する。
(方法1)現在の方向を元に、最終案内点に至る相対的な方向を案内する。
(方法2)現在位置、敷地内の建物位置、最終案内点位置の3点がなす角度と現在の方向から案内を行う。
【0047】
敷地内や駐車場等においては、明確に道路が存在するわけではないため、左折や突き当りなどのように順路の特徴に基づいた案内を行うことが出来ないが、上記により「右斜め前方10m」「右斜め前方、家屋裏側の洗濯機の中」などの案内が可能となる。
(4)配達順路案内に連動して配達物を指示する機能
上記(1)及び(2)において、徒歩順路がない場合は、最終案内点に到着した時点で「配達物の種類」と「数量」(以下、「配達物」)の指示を行う。また、徒歩順路が含まれる場合は、徒歩順路の直前の案内点(車両停車位置)において、配達物の指示を行う。
(5)短縮した音声で配達物を指示する機能
上記(4)において、最も多い配達物の名称と数量を省略して音声案内する。例えば、「高山(配達先顧客名)、B(新聞)1部」のような音声案内について、「B(新聞)1部」が最も多い場合は「高山」だけ音声で案内する。配達員は事前に学習したルールにより指示を補い「高山、B(新聞)1部」だと認識する。
(6)補給への対応機能
配達順路に対して補給場所を設定し、配達物を補給すれば、効率的な配達が可能となる。各車両に積載できる配達物の量にはおのずと限界があるが、配達順路はある程度固定化して運用するため、配達物の大きさや量によっては、1回の配達で配達順路内の全ての配達先に配達できない場合もある。この場合に、補給の度に配達拠点まで戻ることは効率上、問題がある。このため、配達順路上に「補給場所」を設定して、配達拠点に戻らなくても配達物を追加で積載可能とする。逆に配達順路を固定化して運用可能とするために、動的に変更可能な補給場所を作成するとも言える。拠点システムの管理者は、当日の配達物の量を勘案して、既定の順路上に補給場所を設定して、あらかじめ配達物を逓送しておく。ナビゲーションシステムは、指定された補給場所の近くになった時、配達員に案内を行い、配達員は「補給モード」にナビゲーションシステムを切り替えて補給場所に向かい、配達物を補給して、再び配達順路に戻る。ナビゲーションシステムは、この一連の補給順路を案内する。
4.3.3 ナビゲーションデータ管理方式
「先読みによる音声ナビゲーション方式」及び「連続宅配ナビゲーション方式」を実現するために、以下のようにデータを記録・管理する。
4.3.1.1 電子地図
電子地図には、通常の地図情報に加えて、全ての通行可能領域(駐車場、庭・敷地、階段、砂利道、畦道など、徒歩で通行可能な領域は全て)の情報を追加する。通行可能領域には、マンションやアパートなどの集合住宅内における階段、エレベーターや各階の廊下なども含まれる。
4.3.1.2 配達先
配達先情報(一般には顧客マスタ)には、通常の管理項目に加えて、以下の情報を追加する。
(1)配達先から指定された配達場所(玄関、ポスト、自転車の籠、窓のサン、洗濯機の中など)
(2)配達先毎の車両停止位置(車、バイク、自転車など使用する車両に応じて変わる)
(3)乗車したまま配達できるのか、車両停止位置に停車後に徒歩で配達しなければならないかの属性
(4)マンションやアパートなどの集合住宅内の配達先について、集合住宅の形状に応じて、同一順路で配達可能な配達先をグループにまとめて管理するための属性(2世帯住宅や、階段を登らなければ到達できない集落なども集合住宅の一環として考える)
4.3.1.3 配達順路
配達順路は、あらかじめ決定して表2の形式で記録しておく。ここで、ナビ端末IDは、配達員が所持するナビゲーションシステムを一意に特定するIDであり、配達順路は、配達員ごとに作成することを表す。
【0048】
【表2】

【0049】
4.3.1.4 案内点リスト
4.3.1.3の配達順路を表3の形式にあらかじめ変換しておく。案内点リストは、ナビゲーションを行うべきポイント、すなわち配達員が通行する順路上に存在する案内点をすべて列挙したものである。マンションやアパートなどの集合住宅内における階段や各階の廊下などの全ての通行可能領域を案内点として登録する。また、エレベータや階段と各階の廊下の接続点についても広義の交差点と考え案内点のひとつとする。
【0050】
【表3】

【0051】
4.3.1.5 配達物リスト
最終案内点毎の配達物リストである。徒歩順路が含まれる場合は、徒歩順路の直前の案内点(車両停車位置)毎に配達物リストを作成する。
4.3.4 電子地図更新方式
本態様は個別宅配を主たる目的としているため、例えば繁忙期のひとつである年末年始時期に、道路工事状況が反映されていない電子地図は利用価値がない。そこで、ナビゲーションシステムに、電子地図の変更管理機能をもたせることにより、各拠点システムで電子地図の修正を行うことが出来るようにする。また、変更情報の記録と同様に転入者情報の記録も行う。
(1)電子地図を変更する契機
配達員が、走行中に電子地図と実際の地図が異なっていることに気がついた場合に、当該地点の位置と変更内容を文字・音声によってナビゲーションシステムの変更データベースNB-6に記録する。
(2)変更内容に基づく電子地図の更新と再配信
拠点システムは(a)で記録した位置と変更内容を各ナビゲーションシステムから取得し、この変更情報をもとに拠点システムの管理者は電子地図の変更を行う。更新された電子地図は、ナビゲーションシステムに再配信する。
(3)拠点システム地図の統合と再配信
拠点システムは、センターシステムから見ると複数存在する。センターシステムは、これらの複数の拠点システムから修正された電子地図を取得し、修正内容を統合して1つの地図にする。具体的には以下のような手順で行っている。拠点システムで修正された場所は、センターシステムの電子地図修正作業者(以下、「オペレータ」)の確認作業が完了する前は未承認状態となっており、オペレータの確認が完了すると承認済状態となる。オペレータは、不適切な変更を取り消すことができる。オペレータは、未承認状態の修正がなくなるまで確認作業を続け、承認済状態か取消状態のいずれかの状態にして確認作業を終了する。センターシステムは、統合された電子地図を各拠点システムに再配信する。このとき、拠点システムの管理者は、自らが行った変更が取消された場合、取消状態を未承認状態に戻して再申請することも出来る。
(4)転入情報を通知するためのスキーム
配達員が、配達中に新築マンションの完成や空き家だった場所に洗濯物が干してあったこと等により転入に気がついた場合に、当該地点の位置と転入情報を文字・音声によってナビゲーションシステムの変更データベースNB-6に記録する。
(5)転入情報を基にした営業候補リストの作成
拠点システムは、上記(4)で記録した転入情報を集計して営業候補リストを作成する。
5.留意点
以上、個別宅配システム及びそれに適合するナビゲーションシステムの実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当業者であれば、他の類似する実施形態を使用することができること、また、上記の実施形態に対して、本発明から逸脱することなく適宜変更又は追加を行うことができることに留意すべきである。本発明は、上記の実施例に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載に基き解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各顧客ごとに少なくとも配送商品、配送日、配送場所の情報を格納する顧客データベースと、
少なくとも道路データ、建物データ、敷地データを格納する地図データベースであって、
該道路データは、交差点と交差点、もしくは、交差点間を結ぶ経路内にある接続点と交差点又は他の接続点、とを結ぶベクトルとして表される道路単位ごとの属性情報を含み、
該建物データは、位置、形、住宅の属性情報を含み、
該敷地データは、位置、形、敷地の属性情報を含む、地図データベースと、
同一配送日の宅配先の顧客を結ぶ一筆書きの順路を格納する順路データベースとを含み、
顧客データベースの情報と地図データベースの情報から配送に最適な一筆書き順路を作成して、順路データベースに保存することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項2】
請求項1に記載の個別宅配システムにおいて、該システムは、センターシステムと該センターシステムから情報を受け取る拠点システムとを含み、前記順路データベースは、拠点システムにおいて作成されることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の個別宅配システムにおいて、宅配範囲の最小単位を定義する最小配達単位と複数の最小配達範囲から構成される配達員の配達単位の情報とを格納する区域データベースをさらに設け、配達順路は上記最小配達単位ごとに作成されて上記順路データベースに格納されることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、該システムは、さらにGPSからの位置情報を取得するナビゲーションシステムを含むことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項5】
請求項4に記載の個別宅配システムにおいて、該システムは、音声のみによるナビゲーションを可能とするための音データベースを含むことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記地図データベースの各データは、レイヤ構造とされていることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項7】
中央をメイン画面、左右を補助画面とする3画面タッチパネルディスプレイを用いた個別宅配システムのデータメンテナンスを行うための入力システムであって、メイン画面の下部に、各機能共通で表示される操作案内キャラクター表示エリア、現在の作業の説明・案内表示エリア、左画面をメイン画面の延長として使用してる場合に表示される左画面との切替ボタン表示エリア、画像の一部がメイン画面に表示されている場合に使用する画面スクロール用のカーソル表示エリアを配置し、左画面は、メイン画面の延長もしくは、メイン画面に表示しきれない参考情報の表示などに使い、右画面はメイン画面に表示されている機能のマニュアルを表示することを特徴とする入力システム。
【請求項8】
請求項7に記載の入力システムにおいて、前記メイン画面に、作業メニュー、ToDoボタン、作業メニューが押下された場合に対応する詳細メニューを表示するための詳細表示エリアを設け、ToDoボタンの押下により作業者が次に行うべきToDoメニューを表示させるようにしたことを特徴とする入力システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の入力システムにおいて、作業ごとの機能パネルを表示し、その中から特定の機能を選択することにより対象作業の各種設定リストを表示することを特徴とする入力システム。
【請求項10】
請求項9に記載の入力システムにおいて、地図メンテナンス画面で、航空写真、住宅地図の元情報と実測値との合わせ作業を行うモードを有することを特徴とする入力システム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の入力システムにおいて、地図メンテナンス画面で、建物、敷地を囲むように点を指示するための建物モード、敷地モードや、車両停止位置、ポスト位置などを指定するためのモードを有することを特徴とする入力システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の入力システムにおいて、地図メンテナンス画面で、各モードごとにレイヤ化された情報を投影表示することを特徴とする入力システム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の入力システムにおいて、宅配範囲の最小単位を定義する最小配達単位と複数の最小配達範囲から構成される配達員の配達単位の情報とを含む区域の設定を、地図上に点を指定することにより行うことを特徴とする入力システム。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の入力システムにおいて、順路メンテナンス画面で、宅配範囲の最小単位を定義する最小配達単位を順番に選択するためのモードと、該最小配達単位内の順路を一筆書きとなるように設定するためのモードとを有することを特徴とする入力システム。
【請求項15】
請求項14に記載の入力システムにおいて、前記最小配達単位内の顧客、集合住宅のリストに対し、一括で順路データのメンテナンスを実施するようにしたことを特徴とする入力システム。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項に記載の入力システムにおいて、顧客情報、受注解約情報のメンテナンスを行うことを特徴とする入力システム。
【請求項17】
請求項9に記載の入力システムにおいて、各顧客情報、商品情報ごとに音声の入力、既存の音声ファイルと連結する音声収録機能を各情報機能パネルに実装したことを特徴とする入力システム。
【請求項18】
請求項4に記載の個別宅配システムにおいて、前記ナビゲーションシステムは、GPSに含まれる誤差を位置情報の演算により補正するGPS制御部と、該GPS制御部から出力された位置情報と前記各種データベースの情報とを利用して適切な想定位置を推定する位置補正部と、該位置補正部から取得した位置情報と前記地図データ及び順路データを利用してナビゲーションを行う順路案内部とを含むことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項19】
請求項18に記載の個別宅配システムにおいて、前記ナビゲーションシステムは、互いに距離をおいて配置された複数のGPSを設け、前記GPS制御部は、該複数のGPSから取得した位置情報を相加平均して中心位置の位置情報を算出することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項20】
請求項18または19に記載の個別宅配システムにおいて、前記GPS制御部は、正確な位置情報が既知の基準点の位置情報と、該基準点位置にGPSを配置して得られる位置情報との偏移量を取得し、オフセット値として設定することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項21】
請求項18〜20のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記ナビゲーションは、変圧器や高圧線などから発生される電磁界の影響による誤差を補正するための補正パターンを各地点ごとに格納したデータベースを備え、前記GPS制御部は、適切な補正パターンを選択して電磁界誤差の補正を行うことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記ナビゲーションシステムの前記複数のGPSを2つのグループに分け、進行方向に対する中心点から等距離の位置に各グループの中心点が来るようにし、該各グループに属する前記複数のGPSから取得した位置情報をそれぞれ相加平均して各グループごとの中心位置情報を算出し、該中心位置情報の差ベクトルから方角を得ることにより、停止状態であっても方角を取得可能としたことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項23】
請求項18〜22のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記位置補正部は、前記地図データベースに格納されている通行可能領域に前記GPS制御部から出力された位置情報が位置するか否かを判別し、否の場合には、最も適切と想定される通行可能領域の位置(以下、「補正後位置」)を推定することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項24】
請求項23に記載の個別宅配システムにおいて、現在位置から各通行可能領域の中心線に対する法線、または中心点との接続線について、前記法線または接続線上の現在位置と通行可能領域の境界線との交点までの距離(以下、「適合距離」)を計算し、適合距離が最も小さい通行可能領域を前記最も適切な通行可能領域(以下、「補正先通行可能領域」)とすること特徴とする個別宅配システム。
【請求項25】
請求項24に記載の個別宅配システムにおいて、あらかじめ規定した速度以上で移動中の場合は、まず、進行方向と各通行可能領域の中心線の2つの線分が作る角度を取得し、次に、初期値を0とし、角度0から90度の範囲で単調増加する角度の関数から、前記取得角度に対応する値(以下、「適合度」)を取得し、前記適合距離と適合度を掛け合わせた値(以下、「適合係数」)を算出し、適合係数が最も小さい通行可能領域を補正先通行可能領域とすることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項26】
請求項25記載の前記角度の単調増加関数として、SIN関数またはSIN関数の二乗を用いることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項27】
請求項23〜26のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記通行可能領域が道路の場合には、現在位置から通行可能領域の中心線に下ろした法線と中心線との交点を補正後位置とし、通行可能領域が道路以外の場合には、まず、当該通行可能領域に進入した時の現在位置(以下、「補正前基準位置」)と補正後位置(以下、「補正後基準位置」)を記録し、現在位置から補正前基準位置を減算し、さらに補正後基準位置を加えた値を計算して補正後位置とすることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項28】
請求項23〜27のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、直前の補正後位置と推定される補正後位置の差分が、速度から算出した移動可能距離を越えないように、補正後位置の移動を制限することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項29】
請求項18〜28のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記順路案内部は、現在位置から目的地に至る順路上の案内点について、現在位置から一定範囲内の案内点を全て取得(以下、「案内点の先読み」)し、それらをまとめて音声案内することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項30】
請求項29に記載の個別宅配システムにおいて、音声案内済みの案内点を全て通過してから、新しい音声案内を開始させるようにしたことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項31】
請求項29または30に記載の個別宅配システムにおいて、前記案内点を先読みする距離を配達員のレベルに合わせて変更することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項32】
請求項29〜31のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、前記案内点を先読みする範囲を移動速度に応じた距離によって決定することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項33】
請求項29〜32のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、案内点個数を事前に決定し、現在位置から指定個数の案内点を先読みすることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項34】
請求項29〜33のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、ボタンを押下するか音声入力によって、現在位置から一定範囲内の案内点の先読み音声案内をもう一度行うようにしたことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項35】
請求項29〜34のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、ボタンを押下するか音声入力によって、現在位置からどちらの方向に向かえばよいかのみを再度案内するようにしたことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項36】
請求項29〜35のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、案内点の種類毎に設定した効果音を鳴らす事によって、次の案内点の種類を案内することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項37】
請求項29〜36のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、次の案内点までの距離に応じて効果音の音程を低い音から高い音に変化させ、音程により距離を案内することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項38】
請求項29〜36のいずれか1項に記載の個別宅配システムにおいて、次の案内点までの距離に応じて効果音のテンポを長い間隔から短い間隔に変化させ、テンポにより距離を通知することを特徴とする個別宅配システム。
【請求項39】
請求項18に記載の個別宅配システムにおいて、前記順路案内部は、配達先の玄関先やポスト(以下、「最終案内点」)に至る順路に、乗車と徒歩が混在する場合は、まず、徒歩順路の直前の案内点(車両停車位置)までを案内し、車両の停車指示及び配達物の指示を行った後、車両停止位置から最終案内点までの徒歩順路の案内を行うとともに、配達完了ボタンが押下された場合は、配達対象の配達先に次の配達先をセットすることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項40】
請求項39記載の個別宅配システムにおいて、前記順路案内及び配達指示は、音声による方式とディスプレイ装置に表示する方式により行うことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項41】
請求項39または40に記載の個別宅配システムにおいて、配達先に最終案内点グループを有する集合住宅については、車両停止位置から最終案内点グループに属する各最終案内点までの案内及び最終案内点毎の配達物案内を行うことを特徴とする個別宅配システム。
【請求項42】
請求項41に記載の個別宅配システムにおいて、集合住宅が煙突階段タイプか廊下タイプかに応じて配達物案内を切り替えることを特徴とする個別宅配システム。
【請求項43】
請求項18に記載の個別宅配システムにおいて、前期ナビゲーションシステムは、補給場所の情報を記憶可能とし、該補給場所の情報が存在する場合に、補給場所に近づくとその旨の案内を行うとともに、補給モードの設定により補給場所への順路を案内することを特徴とする個別宅配システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図17−3】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−274875(P2009−274875A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100743(P2009−100743)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(508120282)
【出願人】(508120293)
【出願人】(508120307)
【Fターム(参考)】