説明

光モジュール

【課題】簡単な構造で高精度に組み立てでき小型化できること。
【解決手段】実装基板101上には、光学素子としてLD素子102と、波長変換素子103が実装される。光ファイバ105の端部は、サブ基板104のファイバ固定溝301に所定長さ固定される。このサブ基板104は、実装基板101に対し、光ファイバ105が支持された面が対向して実装され、波長変換素子103と光ファイバ105とが結合される。実装基板101にサブ基板104が実装されることにより、波長変換素子103の出射端と光ファイバ105の入射端との結合箇所は、実装基板101の端部から所定距離内部の位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板上に光学素子を搭載し、光学素子と光ファイバとを光結合させる光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子や受光素子等の光学素子と、光ファイバとを光結合させる光モジュールは、これら光学素子と光ファイバとを低損失で高い光結合効率にすることが求められる。このためには、高精度に光軸の位置合わせをおこない実装する必要がある。
【0003】
このような光結合の構造としては、たとえば、基板上にV溝を形成し、このV溝に光ファイバを沿わせ、補助ガイド基板を介して光ファイバをV溝に固定する。そして、補助ガイド基板の側部であり、光ファイバの端面に位置するように、端面発光型の発光素子アレイを配置することにより、V溝の長さ方向であるX軸方向上で光ファイバと発光素子との光結合をおこなうようにした構成が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−201664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、基板のV溝上に発光素子アレイおよび光ファイバをいずれも実装する構造であるため、X,Y,Z軸の3方向全てに対して光軸の位置合わせが必要となった。V溝内に光ファイバは収容され、V溝上に発光素子アレイが搭載されるが、X軸に対し光ファイバの中心(コア)の光軸が沿っていたとしても、V溝上に配置される発光素子アレイは、V溝を用いて位置決めされていないため、光ファイバと発光素子アレイとの間では、X,Y,Zの各軸で光軸の位置合わせが必要となる。
【0006】
また、上記のようなV溝は、X軸に沿って光ファイバを収容するため、光ファイバ単体でみれば、Y軸およびZ軸に対しては逆に自由度がなく、光ファイバ側を移動させて光軸の位置合わせをおこなうことが困難になる。V溝は、並列に複数設けて複数の光ファイバを収容し、V溝のピッチで配置された発光素子アレイとの間における複数の光軸の光結合には適しているが、単一の光軸上での光ファイバと光学素子との間における位置合わせについては、自由度が制約されるため、高精度な光結合には向いていない。
【0007】
加えて、光モジュールに搭載される光学素子として、発光素子だけではなく波長変換素子等が搭載される構造となると、光の結合箇所が増え、その数分だけ光軸合わせが必要となる。
【0008】
上述の説明では、光ファイバと光学素子との光結合について説明したが、基板上に光導波路が形成され、この光導波路と、光ファイバとの光結合をおこなう場合においても、両者の光軸合わせを容易かつ高精度におこなえることが望まれている。また、光モジュールが組み込まれる装置の小型化により、部品点数が少なく全体サイズが小さいことも望まれている。
【0009】
本発明は、上述の従来技術による問題点を解消するため、簡単な構造で高精度に組み立てでき小型化できる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる光モジュールは、実装基板と、前記実装基板に搭載された光学素子と、光ファイバと、前記光ファイバを支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記光ファイバの端部を固定する所定長さの固定溝を有し、前記実装基板に対し、前記支持部材の前記光ファイバが支持された面が対向して実装され、前記光学素子と前記光ファイバとが光学的に結合する光モジュールにおいて、前記実装基板に対する前記支持部材の実装によって前記光学素子の出射端と前記光ファイバの入射端とが光学的に結合する結合箇所は、前記実装基板の端部から所定距離内部の位置に設けられたことを特徴とする。
【0011】
上記の構成により、支持部材には光ファイバの端部が所定長さ固定されて、この支持部材が実装基板に実装され、光学素子と光ファイバとが光学的に結合する箇所は、実装基板上であり、端部ではなく内部位置にでき、両者を結合できるようになる。これにより、実装基板に光ファイバを安定して保持でき小型化できる。また、実装基板上での光学素子の配置位置を端部ではなく内部位置にでき、光学素子に対する温度制御を効率的におこなえるようになる。また、実装基板の端部に固定具等の突出する部分が形成されることがなく、引っかかり等が生じにくく取り扱いを容易におこなえ、小型化できるようになる。
【0012】
また、前記支持部材に支持された前記光ファイバと、前記実装基板との間には、当該実装基板に対する前記光ファイバの接触を避けるための深さを有する逃がし溝を設けたことを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、実装基板に光ファイバを支持する支持部材を接合する際に、実装基板の光ファイバの位置に設けた逃がし溝により、光ファイバが実装基板に接触することがなく、調芯のための移動を容易におこなえるようになる。
【0014】
また、前記逃がし溝は、前記実装基板に設けたことを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、支持部材に支持された光ファイバは実装基板に接触することがなく、調芯のための移動を容易におこなえるようになる。
【0016】
また、前記逃がし溝は、前記支持部材の前記光ファイバが支持された面に設けたことを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、支持部材に支持された光ファイバは実装基板に接触することがなく、調芯のための移動を容易におこなえるようになる。また、支持部材側にだけ溝を形成すればよく、実装基板側に溝を形成する必要がない。
【0018】
また、前記逃がし溝は、前記光ファイバの皮膜の径に対応する溝と、前記光ファイバの芯線の径に対応する溝と、からなることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、光ファイバが有する異なる径の皮膜と芯線のいずれについても、実装基板に接触することがなく、調芯のための移動を容易におこなえるようになる。
【0020】
また、前記支持部材および前記光学素子は、表面活性化接合により前記実装基板に接合されることを特徴とする。
【0021】
上記の構成により、実装基板上に、光学素子と、支持部材に支持された光ファイバとを面接合で簡単に接合させることができ、調芯が容易におこなえ、高精度に光結合できるとともに、加温等が不要で常温接合できるため、光学素子の損傷等を防止できるようになる。
【0022】
また、前記支持部材の前記光ファイバが支持された面と、前記実装基板とに、前記支持部材と前記実装基板との位置合わせのためのアライメントマークを設けたことを特徴とする。
【0023】
上記の構成により、実装基板に対する支持部材の位置決めを容易におこなうことができるようになる。
【0024】
また、前記光学素子は、所定波長の光を出射するレーザ・ダイオードと、前記レーザ・ダイオードから出射される波長の光を波長変換して出射する波長変換素子と、を含むことを特徴とする。
【0025】
上記の構成により、異なる光学素子を実装基板上に実装することができるようになり、波長変換した光を出射できるようになる。
【0026】
また、前記光学素子として、さらに、前記実装基板上に形成され、前記波長変換素子の出射光を前記光ファイバの入射端まで導波する光導波路を含むことを特徴とする。
【0027】
上記の構成により、光導波路を含む各種の光学素子を実装基板上に実装することができるようになる。この光導波路の形状を曲げたり、長さを設定する等により、実装基板上での光の出射端の位置を任意の位置に設定でき、実装基板上の各光学素子のレイアウトを自由に設定でき、実装基板の全体サイズを小型化できるようになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる光モジュールによれば、簡単な構造で高精度に組み立てでき小型化できる光学素子と光ファイバとを、実装基板上の同一平面上で光学的に結合させて実装することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる光モジュールの斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる光モジュールの実装基板を示す斜視図である。
【図3−1】図3−1は、実施の形態1にかかる光モジュールのサブ基板を示す斜視図である。
【図3−2】図3−2は、サブ基板に対する光ファイバの固定状態を示す斜視図である。
【図4−1】図4−1は、実装基板の平面図である。
【図4−2】図4−2は、実装基板の形成過程を示す側断面図である(その1)。
【図4−3】図4−3は、実装基板の形成過程を示す側断面図である(その2)。
【図4−4】図4−4は、実装基板の形成過程を示す側断面図である(その3)。
【図4−5】図4−5は、実装基板の形成過程を示す側断面図である(その4)。
【図4−6】図4−6は、実装基板の形成過程を示す側断面図である(その5)。
【図5−1】図5−1は、実装基板に対するLD素子の実装状態を示す側断面図である。
【図5−2】図5−2は、実装基板に対する波長変換素子の実装状態を示す側断面図である。
【図6】図6は、調芯実装装置の構成を示す図である。
【図7】図7は、LD素子と波長変換素子との位置関係を示す図である。
【図8】図8は、検出器の出力電圧と調芯実装機によって印加される荷重との関係を示したグラフである。
【図9−1】図9−1は、実装基板および光ファイバの端部を固定保持するサブ基板を示す斜視図である。
【図9−2】図9−2は、サブ基板の調芯状態を示す図である(その1)。
【図9−3】図9−3は、サブ基板の調芯状態を示す図である(その2)。
【図10−1】図10−1は、実施の形態1にかかる光モジュールのサブ基板の他の構成例を示す正断面図である。
【図10−2】図10−2は、サブ基板を実装基板に接合した状態を示す正断面図である。
【図11】図11は、実施の形態2にかかる光モジュールの斜視図である。
【図12】図12は、サブ基板の取り付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる光モジュールの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
(光モジュールの構成)
図1は、実施の形態1にかかる光モジュールの斜視図である。光モジュール100は、平板状の実装基板101と、実装基板101上に搭載される光学素子102,103と、ブロック状のサブ基板(支持部材)104と、シングルモード(SM)の光ファイバ105とを含み構成される。実装基板101は、筐体110上に設けられる。
【0032】
実装基板101としては、シリコン基板が用いられる。サブ基板104としては、シリコン基板あるいはガラス基板が用いられる。実装基板101上には、光学素子として、LD(レーザ・ダイオード)素子102と、LD素子102から出射された光の波長変換をおこなうための波長変換素子(一例としてPPLN:Periodically Poled Lithium Niobate)103とが実装される。
【0033】
上記構成の光モジュール100では、たとえば、LD素子102から出射される波長1064nmの近赤外光を、波長変換素子103において532nmの緑色レーザに波長変換して出射する。
【0034】
サブ基板104は、光ファイバ105の端部を保持し、実装基板101に接合される。サブ基板104が実装基板101に接合された状態で光ファイバ105の端部は、波長変換素子103に直接、光結合される。この光ファイバ105の端部には、結合部材としてのGIレンズを一体的に設ける構成としてもよい。
【0035】
図2は、実施の形態1にかかる光モジュールの実装基板を示す斜視図である。実装基板101の上面には、LD実装パターン201と、波長変換素子実装パターン202と、光ファイバ実装パターン203とが設けられる。これらLD実装パターン201〜光ファイバ実装パターン203は、それぞれ金(Au)等の金属からなる導電性のパターンであり、後述する製造方法により、表面上には多数の微細な凸部(マイクロバンプ)が形成される。
【0036】
LD実装パターン201は、LD素子102の大きさ程度を有し、LD素子102底面に接合してLD素子102を固定する。波長変換素子実装パターン202は、波長変換素子103の長さ方向に平行な2本のライン状に設けられ、波長変換素子103の電極にそれぞれ接合し、電気的に接続するとともに、波長変換素子103を固定する。光ファイバ実装パターン203は、実装基板101上にサブ基板104を固定するためのパターンであり、図示のように、実装基板101の端部に所定間隔を有して2箇所に設けられる。
【0037】
実装基板101の端部において、光ファイバ実装パターン203の間には、ファイバ逃がし溝204が形成されている。ファイバ逃がし溝204は、光ファイバ105の外径より大きな径を有する。図示のファイバ逃がし溝204は、光ファイバ105の径(皮膜の外径)より大きな径(幅および深さ)を有する第1の溝204aと、光ファイバ105の芯線(クラッド)の径より大きな径(幅および深さ)を有する第2の溝204bと、を有する。たとえば、この第1の溝204aの深さは200μm程度である。第1の溝204aは、実装基板101の端部から光軸(X軸)方向に沿って形成され、第2の溝204bは、第1の溝204aに連続して波長変換素子実装パターン202の端部位置まで形成されている。このファイバ逃がし溝204は、実装基板101に対するエッチング等の処理により形成される。
【0038】
また、光ファイバ実装パターン203の近傍には、サブ基板104の位置決め用のアライメントマーク210が所定ピッチで複数形成されている。
【0039】
(サブ基板の構成)
図3−1は、実施の形態1にかかる光モジュールのサブ基板を示す斜視図である。サブ基板104は、実装基板101に接合する一方の面である接合面104aに、X軸方向に沿ってファイバ固定溝301が形成されている。ファイバ固定溝301は、光ファイバ105の径(皮膜の外径)程度の径(幅および深さ)を有する第1の溝301aと、光ファイバ105のクラッド径程度の径(幅および深さ)を有する第2の溝301bと、を有する。このファイバ固定溝301は、サブ基板104に対するエッチング等の処理により形成される。第2の溝301bは、光ファイバ105を固定保持するものであるため、溝形状は、図示のように断面を凹形状とするに限らず、V溝の形状としてもよい。
【0040】
サブ基板104には、ファイバ固定溝301の両側部に接合用パターン302が形成されている。この接合用パターン302は、Au等の金属からなる導電性のパターンであり、実装基板101上に設けられている光ファイバ実装パターン203の配置位置に対応して設けられる。また、接合用パターン302の近傍には、所定ピッチで複数形成のアライメントマーク310が形成されている。このアライメントマーク310は、実装基板101のアライメントマーク210と同じピッチで形成され、実装基板101に対するサブ基板104の位置決め用に用いられる。
【0041】
図3−2は、サブ基板に対する光ファイバの固定状態を示す斜視図である。サブ基板104のファイバ固定溝301には、第1の溝301a部分に光ファイバ105の皮膜105aが固定され、第2の溝301b部分に光ファイバ105のクラッド105bが固定される。この固定は、樹脂等の接着剤が用いられる。この固定の際、光ファイバ105の端部、すなわち、クラッド105bの端部105bbは、図示のように、サブ基板104の端面から少なくとも突出させて固定することが望ましい。
【0042】
(実装基板の実装用パターン形成方法について)
つぎに、実装基板101の実装用パターンの製造方法について説明する。図4−1は、実装基板の平面図、図4−2〜図4−6は、それぞれ実装基板の形成過程を示す側断面図である。これら図4−2〜図4−6は、図4−1のA−A線断面図である。上述したLD実装パターン201と、波長変換素子実装パターン202と、光ファイバ実装パターン203の形成方法について順に説明する。
【0043】
はじめに、図4−2に示すように、シリコン基板を用いて実装基板101を形成する。つぎに、図4−3に示すように、実装基板101の表面全面にシリコン酸化膜(Sio2)401を形成した後、バッファとしてのチタン(Ti)膜402を全面に形成する。その上に、Au膜403を全面に形成する。たとえば、Ti膜402は、0.1μm、Au膜403は、3μm程度の厚さを有し、スパッタリングあるいは蒸着またはメッキ等の手法により形成する。この後、Au膜403の上部にレジスト405を塗布し、図4−1に示したように各実装パターン(LD実装パターン201、波長変換素子実装パターン202、光ファイバ実装パターン203)のパターンの位置以外の部分に開口部を有するマスク404を載せ、露光現像することにより、レジスト405に開口部に対応したレジストパターンを形成する(ポジレジスト)。
【0044】
つぎに、図4−4に示すように、マスク404を取り外し、エッチング(ドライまたはウェット)することにより、Au膜403およびTi膜402がパターン形成され、各実装パターン(LD実装パターン201、波長変換素子実装パターン202、光ファイバ実装パターン203)が形成される。この後レジスト405を除去する。なお、実装基板101上に実装される光学素子の位置決め用のアライメントマーク210も同時に形成される。
【0045】
つぎに、図4−5に示すように、Au膜403の上部にレジスト406を塗布し、その上にマイクロバンプ形成用のマスク407を載せる。このマスク407は、マイクロバンプを形成するための微細な円形状の開口(たとえばφ5μm)が形成されてなる。そして、紫外線照射により、レジスト406にマイクロバンプに対応して開口されたレジストパターンを形成する。
【0046】
この後、図4−6に示すように、マスク407を取り外し、レジスト406の上部からハーフエッチングする。これにより、各実装パターン(LD実装パターン201、波長変換素子実装パターン202、光ファイバ実装パターン203)のAu膜403の表面には、Au膜403の厚さ方向に所定深さを有する微細な円形状のマイクロバンプ403aが多数形成される。この後レジスト406を除去して製造が終了する。
【0047】
マイクロバンプ403aは、複数の高さ2μmで直径5μmの円柱状の突起が10〜25μmピッチで左右均等に配置されたものである。なお、突起の形状、高さ、幅、ピッチ等は一例であって、上記に限定されるものではない。マイクロバンプ403aは、スパッタリングあるいは蒸着またはメッキ等の手法によって形成されたAu膜403上にハーフエッチングによって成形されているため、マイクロバンプ403aに含まれる全ての突起の高さは高精度に均一化されている。
【0048】
(実装基板に対する光学素子の実装)
光学素子の実装にあたり、マイクロバンプ403aの表面を覆っている酸化膜またはコンタミ等の不活性層を、プラズマ洗浄処理することによって表面活性化をおこなう。表面活性化によって、表面エネルギーの高い原子同士を接触させることができるので、原子間の凝着力を利用して常温で強固に接合することが可能となる。本接合方法は、特別な加熱を要しないことから、熱膨張係数差の残留応力による各部品の位置ずれが発生しにくく、高精度の位置決め実装をすることができる。また、熱膨張係数差の残留応力による部品破壊が発生しにくい、部品に対するストレスがなく機能劣化が少ない、等の利点も備えている。
【0049】
図5−1は、実装基板に対するLD素子の実装状態を示す側断面図である。図示のように、LD素子102をLD実装パターン201上の表面活性化されたマイクロバンプ403a上に実装する。LD素子102の接合面にも、Au層が形成され、その表面は活性化処理が施されている。したがって、マイクロバンプ403aの上部に所定の荷重を加えてLD素子102を実装するだけで、LD素子102はマイクロバンプ403a上に表面活性化接合して固定される。この際、LD素子102下面には図示しないアライメントマークを形成し、実装基板101側のアライメントマーク210を基準にLD素子102のX軸、Y軸方向の位置決めをおこなう。また、LD素子102は、マイクロバンプ403aを介して駆動電流の供給を受けるように構成することができる。その際には、マイクロバンプ403aを形成するためのAu膜403に駆動電流の供給用の所定のパターンニングが施されるようにすればよい。
【0050】
LD素子102の実装は、不図示の電子部品を回路基板上に装着する実装機によりおこなう。なお、LD素子102の実装は、調芯実装装置を用いておこなう。
【0051】
図5−2は、実装基板に対する波長変換素子の実装状態を示す側断面図である。つぎに、波長変換素子103を波長変換素子実装パターン202の表面活性化されたマイクロバンプ403a上に調芯実装して、一連の処理を終了する。波長変換素子103の接合面にも、Au膜が形成され、その表面は活性化処理が施されている。したがって、マイクロバンプ403aの上部に所定の荷重を加えて波長変換素子103を実装するだけで、波長変換素子103はマイクロバンプ403aを潰し、波長変換素子実装パターン202に対して表面活性化接合して固定される。波長変換素子103の調芯時においても、波長変換素子103の下面には、アライメントマークが形成されており(不図示)、実装基板101側のアライメントマーク210を基準に波長変換素子103のX軸、Y軸方向の位置決めをおこなう。
【0052】
図6は、調芯実装装置の構成を示す図である。図5−2の部分拡大図を用いて説明する。上記の調芯実装は、調芯実装装置600を用いておこなうことができる。調芯実装装置600は、CPUおよび所定のメモリ等を含むPC等から構成される制御部601と、波長変換素子103から出力される波長変換されたレーザ光の強度を検出し、強度に応じた検出出力電圧V(mV)を出力する検出部602と、光学素子を実装基板101上の所定の位置に実装し、かつ実装時に制御量に応じた荷重(N)を加えることが可能な調芯実装機603と、LD素子102を駆動させてレーザ光を出射させるための駆動部604等を含んで構成されている。
【0053】
制御部601は、駆動部604を制御してLD素子102を駆動させてレーザ光を波長変換素子103に入射させ、波長変換素子103から出射される波長変換されたレーザ光の強度を検出部602で検出する。さらに、制御部601は、検出部602で検出された検出出力電圧Vをモニタしながら、調芯実装機603を制御して波長変換素子103に印加する荷重を制御する。
【0054】
図7は、LD素子と波長変換素子との位置関係を示す図である。LD素子102の発光中心102Aから出射された波長λ1のレーザ光が、波長変換素子103の入射位置103Aから入射され、波長変換素子103の出射中心103Bから波長λ2のレーザ光となって出射する。図6に示すように、LD素子102および波長変換素子103は、調芯実装機603によって実装基板101上に実装されるので、LD素子102の発光中心102Aと波長変換素子103の入射位置103Aとの平面上の位置関係(X−Y軸方向の位置関係)は精度よく位置決めされている。しかしながら、実装基板101の高さ方向(Z軸方向)の位置関係を精度よく定める必要がある。なお、図7において、矢印Aは、調芯実装機603によって波長変換素子103に荷重が印加される方向を示している。
【0055】
図8は、検出器の出力電圧と調芯実装機によって印加される荷重との関係を示したグラフである。図8において、曲線Bは、荷重を印加している状態における、検出部602の出力電圧(mV)と調芯実装機603によって印加される荷重(N)との関係を示している。また、曲線Cは、荷重を開放した後における、検出部602の出力電圧(mV)と調芯実装機603による最終荷重(N)との関係を示している。図8の例では、荷重を印加している状態では、荷重が400(N)の場合に、検出部602の出力電圧(mV)が最大値となる(点D参照)。しかしながら、荷重を開放した後では、最終荷重が400(N)の場合には、検出部602の出力電圧(mV)が最大値とはならない(点E参照)。
【0056】
点Dは、たとえば、波長変換素子103に荷重を印加することによって、マイクロバンプ403aを変形させ、波長変換素子103の入射位置103Aを、LD素子102の発光中心102Aと最も効率良く光結合するような位置(図7の位置P2参照)とした状態で、荷重を開放した場合に対応する。マイクロバンプ403aは、荷重がかかると変形して(潰れて)縮むが、弾性反発によって、荷重が開放されると、元の状態の戻ろうとする力が働き、弾性戻り量分だけ戻るという特性を有している。すなわち、点Eは、点Dの状態において荷重を開放すると、弾性戻りによって、波長変換素子103の入射位置103Aが、他の位置(たとえば、図7の位置P1参照)に移動してしまった場合に対応する。
【0057】
荷重を開放した状態(実際に光モジュール100が利用される状態)において、波長変換素子103の入射位置103Aを、LD素子102の発光中心102Aと最も効率良く光結合する位置(図7のP2参照)とする必要がある。そこで、上記の調芯実装において、制御部601は、波長変換素子103をマイクロバンプ403aの所定位置に配置した後に、印加する過重を増加させながら、検出部602からの出力電圧Vが最大値となった後、マイクロバンプ403aをさらに変形させるように所定の荷重量を印加してから、荷重を開放するように調芯実装機603を制御している。
【0058】
すなわち、制御部601は、検出部602からの出力電圧Vが最大値となった後(点D参照)、さらに所定の荷重量(F:200(N))を印加し、その後荷重を開放している。波長変換素子103の入射位置103Aが、LD素子102の発光中心102Aよりも、図7に示す距離W1分だけ、高さ方向(Z軸)にさらに深く押し込まれた位置(図7の位置P3参照)となるように、所定の荷重Fをさらに印加している。すなわち、荷重が開放されることによって、波長変換素子103の入射位置103Aが、LD素子102の発光中心102Aと最も効率良く光結合する位置(図7のP2参照)にマイクロバンプ403aの弾性戻りによって戻ることを考慮している。
【0059】
上述した所定の荷重量(F:200(N))は、調芯実装機603、荷重を印加する波長変換素子103の形状、マイクロバンプ403aの材質および形状等によって異なるので、図8に示す曲線BおよびCを求める実験をおこなうことによって、算出することが可能である。また、調芯実装においては、制御部601が、検出部602からの出力電圧Vが最大値となった後に、所定の荷重を印加するように調芯実装機603を制御した。しかしながら、ユーザが、検出部602からの出力電圧Vをモニタで観測しながら、調芯実装機603の制御をおこなうようにしてもよい。
【0060】
(実装基板に対する光ファイバ付きサブ基板の調芯と接合)
つぎに、実装基板に対する光ファイバの調芯および接合固定について説明する。図9−1は、実装基板および光ファイバの端部を固定保持するサブ基板を示す斜視図である。図2に示した実装基板101および図3−2に示したサブ基板104が示されている。実装基板101上には、LD素子102および波長変換素子103が実装されている。サブ基板104には、接合面104a側に光ファイバ105が固定されている。そして、図示のように、サブ基板104は、光ファイバ105が設けられた接合面104a側を実装基板101に向くようにして実装基板101の端部、すなわち、波長変換素子103の光の出射位置に取り付けられる。
【0061】
図9−2、および図9−3は、サブ基板の調芯状態を示す図である。これらの図において、(a)は正断面図、(b)は一部裁断側面図である。図9−2の(a)にのみ、便宜上、光ファイバ実装パターン203および接合用パターン302を図示してある。上述した実装基板101に対する波長変換素子103の実装と同様に、サブ基板104の実装についても、表面活性化接合により固定される。はじめに、サブ基板104の平面方向(X軸,Y軸)の位置決めは、実装基板101上のアライメントマーク210(図2参照)に対するサブ基板104のアライメントマーク310の位置を画像認識により検出して、波長変換素子103の出射光に対する光ファイバ105の光結合後の出力をモニタリングしながらおこなう(アクティブアライメント)。具体的には、図6を用いて説明した調芯実装装置600を用い、制御部601は、駆動部604を制御してLD素子102を駆動させてレーザ光を波長変換素子103に入射させ、光ファイバ105のレーザ光の強度を検出部602で検出することによりおこなう。
【0062】
平面方向の位置調整終了後、サブ基板104に荷重を印加する。矢印Aは、調芯実装装置600によってサブ基板104に荷重が印加される方向を示している。図9−3の接合状態では、光ファイバ実装パターン203および接合用パターン302は図示を省略しているが、サブ基板104に対する荷重印加により、光ファイバ実装パターン203にサブ基板104の接合用パターン302が接する。そして、光ファイバ実装パターン203上のマイクロバンプ403a(図5−2参照)が荷重に対応して徐々に潰れ、光ファイバ105の高さが徐々に下がる。これにより、波長変換素子103から出射される波長変換後のレーザ光に対する光ファイバ105の光結合状態が変化し、対応して調芯実装装置600で検出する光の強度が変化し、光ファイバ105のコア中心が高さ方向(Z軸)に調芯される。
【0063】
そして、実装基板101に対するサブ基板104の表面活性化接合時においても、マイクロバンプ403aの弾性戻りを考慮した位置まで荷重を印加する。また、所定の荷重量は、調芯実装装置600、荷重を印加するサブ基板104の形状、マイクロバンプ403aの材質および形状等によって異なるので、図8に示す波長変換素子103に類似するサブ基板104用の実験をおこなうことにより、算出することが可能である。これにより、荷重を開放した状態(実際に光モジュール100が利用される状態)において、光ファイバ105のコア位置を、波長変換素子103の光出射位置と最も効率良く光結合する位置にできる。
【0064】
また、図9−3に示すように、サブ基板104に固定されている光ファイバ105は、皮膜105aおよびクラッド105bの下半部が実装基板101側に突出する。しかし、実装基板101には、図2に示したように、光ファイバ105の外径より大きな径のファイバ逃がし溝204が形成されている。ファイバ逃がし溝204の第1の溝204aは、光ファイバ105の径(皮膜105aの外径)より大きな径を有し、第2の溝204bは、光ファイバ105のクラッド105bの径より大きな径を有している。このファイバ逃がし溝204により、上述した平面方向(X軸,Y軸)の位置調整時における光ファイバ105の移動を妨げず、位置調整を容易におこなうことができる。
【0065】
(サブ基板の他の構成例)
図10−1、図10−2は、実施の形態1にかかる光モジュールのサブ基板の他の構成例を示す正断面図である。この図に示すサブ基板104は、ファイバ固定溝1001の構成が異なる。このファイバ固定溝1001は、実装基板101に接合する一方の面である接合面104aに、X軸方向に沿って形成される点は、上記と同様である。そして、図10−1では、サブ基板104のファイバ固定溝1001に、固定する光ファイバ105の径(高さ分)以上の深さを有する逃がし溝を形成する。
【0066】
具体的には、ファイバ固定溝1001は、少なくとも光ファイバ105のクラッド105bの径以上の径を有する第1の溝1001aと、光ファイバ105のクラッド105bの径の半分程度の径(幅および深さ)を有する第2の溝1001bと、を有する。このファイバ固定溝1001は、サブ基板104に対するエッチング等の処理により形成される。第2の溝1001bは、光ファイバ105のクラッド105bを固定保持する。この固定は、樹脂等の接着剤が用いられる。このため、第2の溝1001bの溝形状は、図示のように断面を凹形状とするに限らず、V溝の形状としてもよい。
【0067】
サブ基板104には、ファイバ固定溝1001の両側部に接合用パターン302が形成されている。この接合用パターン302は、Au等の金属からなる導電性のパターンであり、実装基板101上に設けられている光ファイバ実装パターン203の配置位置に対応して設けられる。
【0068】
図10−2は、サブ基板を実装基板に接合した状態を示す正断面図である。そして、図示のように、光ファイバ105は、第2の溝1001bから下方に突出する高さを有するが、第1の溝1001aがこの光ファイバ105の径に対して余裕を持った高さを有するため、光ファイバ105が実装基板101に接触しない。
【0069】
これにより、上述した平面方向(X軸,Y軸)の位置調整時における光ファイバ105の移動を妨げず、位置調整を容易におこなうことができる。また、サブ基板104にこのファイバ固定溝1001を設けた構成によれば、このサブ基板104側にだけファイバ固定溝1001を形成すればよく、実装基板101側には上述したようなファイバ逃がし溝204を形成する必要がない。
【0070】
以上説明した実施の形態1の構成によれば、一つの実装基板101上にLD素子102と、波長変換素子103と、光ファイバ105という3つの異種の部品(光学素子)が直接接合されている。このように、一つの実装基板101に複数の部品の実装をおこなうことにより、光モジュール全体の部品点数を削減でき、単価を下げることもできるようになる。
【0071】
また、全ての部品(光学素子)を光の直接結合で形成可能なため、たとえば、波長変換素子103と光ファイバ105との間に、別途独立したレンズを設ける必要がなく、光モジュール全体の部品点数を削減でき、全体のサイズを小型化できるようになる。また、光学部品同士が直接結合できるため、余分な治具等を使用する必要がなく、光学部品間のアライメント精度を向上でき、光の結合効率を向上できるようになる。さらに、表面活性化接合により、各光学部品を常温で実装できるため、熱影響を受けずに実装でき、部品間のアライメント精度を向上できる。
【0072】
また、LD素子102と、波長変換素子103と、光ファイバ105の固定が全てマイクロバンプ403aを用いた表面活性化接合により実装されるため、実装工程数を削減でき、複数の実装設備を用いずとも同じ実装装置(調芯実装装置600)で実装できるようになる。これら異なる光学素子(LD素子102と、波長変換素子103と、光ファイバ105(サブ基板104))毎の吸着治具を用いて接合条件を変えるだけで、単一の実装装置を用いて、複数の異なる光学素子を実装できるようになる。
【0073】
さらに、従来の部品組み立てでは、各部品によって実装装置が異なるので、いずれかの実装装置が止まると、製造全体の工程が停止する問題が生じたが、上記の構成によれば、ある部品の実装で停止しても、吸着治具を変えて他の部品の実装を継続できる等、製造を継続できるようになる。
【0074】
また、光学素子である波長変換素子103と、光ファイバ105とが光学的に結合する結合箇所は、実装基板101の端部から所定距離内部の位置に設けられることになる。たとえば、図9−3に示すように、光ファイバ105は、サブ基板104の(光軸方向の)長さ分だけサブ基板104の接合面104aに接合され、この長さ分だけ実装基板101の内部位置まで入り込んでいる。これにより、光を外部導出する光ファイバ105は、実装基板101の端部位置が光結合箇所とならないため、実装基板101の端部で光ファイバ105の調芯をおこなう必要がなく、安定した調芯をおこなうことができる。
【0075】
すなわち、実装基板101の端部での調芯では、光ファイバ105を保持する部分が実装基板101と接合する面積が取れず不安定となるのに対し、上記実施の形態1によれば、実装基板101上まで光ファイバ105が入り込んでいるため、実装基板101上に所定面積を有してサブ基板104を安定して接合でき、光ファイバ105に対する調芯、および組み立て後の位置を安定して保持できるようになる。また、光学素子と光ファイバとの結合箇所にレンズ等が不要で直接結合でき、小型化できる。ここで、実装基板101の端部で光ファイバ105が固定される構成であると、実装基板101の端部に光ファイバ105固定用の部材が必要となり、端部における固定具等の突出量が増えるが、上記構成によれば、実装基板101の端部に固定具等の突出する部分が形成されることがなく、引っかかり等が生じにくく取り扱いを容易におこなえ、小型化できるようになる。
【0076】
さらに、実装基板101上まで光ファイバ105が入り込んでいる構成により、波長変換素子103等の光学素子が、実装基板101の端部ではなく、内部位置に位置するため、これら光学素子に対する温度調整を効率良く安定しておこなえるようになる。実装基板101の下部等には、不図示の温度調整素子が設けられ、実装基板101を温度制御する構成となっているが、実装基板101の端部に至るほど温度調整しにくいのに対し、実装基板101の内部に至るほど温度調整しやすいという熱伝導特性を効率的に利用できるようになる。
【0077】
(実施の形態2)
(他の光モジュールの構成)
図11は、実施の形態2にかかる光モジュールの斜視図である。実施の形態2の光モジュール1100は、RGB光を出力するRGBモジュールの構成例である。このため、実装基板101上には、3色のRGB光を生成するための3個のLD素子102a〜102cと、LD素子102a〜102cの出射光をそれぞれR,G,Bの波長光に波長変換する波長変換素子103a〜103cが設けられている。また、これらLD素子102a〜102cと、波長変換素子103a〜103cは、ドライバIC1101によって制御され、このドライバIC1101も実装基板101上に実装されている。
【0078】
実装基板101上には、各波長変換素子103a〜103cの出射光を導波する光導波路1102が形成されている。この光導波路1102は、各波長変換素子103a〜103cの出射光を内部に閉じこめて導波し、曲がり部1102aにより曲げられた後、結合部1102bによりRGBの各波長光が結合され、出射端1102cからは、結合されたRGB光が出射される。
【0079】
実装基板101の出射端1102cの部分には、サブ基板104が取り付けられる。このサブ基板104が取り付けられる実装基板101部分には、ファイバ逃がし溝204が形成されている。図示のファイバ逃がし溝204は、実施の形態1同様に、光ファイバ105の径(皮膜の外径)より大きな径(幅および深さ)を有する第1の溝204aと、光ファイバ105のクラッド径より大きな径(幅および深さ)を有する第2の溝204bと、を有する。また、ファイバ逃がし溝204の両端には、光ファイバ実装パターン203が設けられる。一方、サブ基板104には、接合面104a側に光ファイバ105が固定される。このサブ基板104には、ファイバ固定溝301の両側部に接合用パターン302が形成されている。
【0080】
図12は、サブ基板の取り付け状態を示す斜視図である。図示のように、サブ基板104は、光ファイバ105が設けられた接合面104a側を実装基板101に向くようにして実装基板101の端部、すなわち、光導波路1102の出射端1102cの位置に取り付けられる。実装は、上述した調芯実装装置600でおこなうことができる。サブ基板104の取り付け状態は、実施例1(図9−3と同様)であり、ファイバ逃がし溝204により、面方向(X軸,Y軸)の位置調整時における光ファイバ105の移動を妨げず、位置調整を容易におこなうことができる。
【0081】
また、サブ基板104の構成は、上述した図10−1に示したように、サブ基板104側にだけ逃がし溝を設けた構成とすることもできる。
【0082】
以上説明したように、光ファイバ105の取り付けは、RGBモジュール等にも適用することができ、各種の実装基板101に対し、サブ基板104を用いてモジュールから出射される光を光ファイバ105に効率良く入射させ、外部に導出できるようになる。
【0083】
以上説明した実施の形態2によれば、一つの実装基板101上に複数のLD素子102a〜102cと、複数の波長変換素子103a〜103cと、光導波路1102と、光ファイバ105という4つの異種の部品(光学素子)を直接接合できる。このように、実施の形態2においても、一つの実装基板101に対する実装をおこなうことにより、光モジュール全体の部品点数を削減でき、単価を下げることもできるようになる。
【0084】
また、全ての部品を光の直接結合で形成可能なため、レンズのような光結合用の光学素子を省くことができるようになり、光モジュール全体の部品点数を削減でき、全体のサイズを小型化できるようになる。また、光学部品同士が直接結合できるため、余分な治具等を使用する必要がなく、光学部品間のアライメント精度を向上でき、光の結合効率を向上できるようになる。さらに、表面活性化接合により、各光学部品を常温で実装できるため、熱影響を受けずに実装でき、部品間のアライメント精度を向上できる。
【0085】
また、LD素子102a〜102cと、波長変換素子103a〜103cと、光ファイバ105の固定が全てマイクロバンプ403aを用いた表面活性化接合により実装されるため、実装工程数を削減でき、複数の実装設備を用いずとも同じ実装装置(調芯実装装置600)で実装できるようになる。これら異なる光学素子(LD素子102a〜102cと、波長変換素子103a〜103cと、光ファイバ105(サブ基板104))毎の吸着治具を用いて接合条件を変えるだけで、単一の実装装置を用いて、複数の異なる光学素子を実装できるようになる。さらには、実装基板101上に光導波路1102を形成した構成であるため、光導波路1102の形状を曲げたり、長さを設定する等により、実装基板101上での光の出射端の位置を任意の位置に設定でき、実装基板101上の各光学素子のレイアウトを自由に設定でき、また、実装基板101の全体サイズを小型化することもできるようになる。
【0086】
また、この実施の形態2においても、実装基板101上まで光ファイバ105が入り込んでいるため、実装基板101上に所定面積を有してサブ基板104が安定して接合でき、光ファイバ105に対する調芯、および組み立て後の位置を安定して保持できるようになる。さらに、実装基板101上まで光ファイバ105が入り込んでいる構成により、光導波路1102等の光学素子が、実装基板101の端部ではなく、内部位置に位置するため、これら光学素子に対する温度調整を効率良く安定しておこなえるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかる光モジュールは、レーザ素子と、このレーザ素子の後段に設けられる光学素子を介して光を出射する光モジュールに有用であり、特に、光通信システムやレーザプロジェクタなどディスプレイシステムに用いられる光源に適している。光学素子としては、SHG(Second Harmonic Generation)素子等の波長変換素子や、変調素子等が適用できる。
【符号の説明】
【0088】
100,1100 光モジュール
101 実装基板
102(102a〜102c) レーザ・ダイオード素子
103 波長変換素子
104 サブ基板
104a 接合面
105 光ファイバ
105a 皮膜
105b クラッド
201 LD実装パターン
202 波長変換素子実装パターン
203 光ファイバ実装パターン
204 ファイバ逃がし溝
301,1001 ファイバ固定溝
302 接合用パターン
403a マイクロバンプ
600 調芯実装装置
1102 光導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、前記実装基板に搭載された光学素子と、光ファイバと、前記光ファイバを支持する支持部材と、を備え、前記実装基板に対し、前記支持部材の前記光ファイバが支持された面が対向して実装され、前記光学素子と前記光ファイバとが光学的に結合する光モジュールにおいて、
前記支持部材は、前記光ファイバの端部を固定する所定長さの固定溝を有し、
前記実装基板に対する前記支持部材の実装によって前記光学素子の出射端と前記光ファイバの入射端とが光学的に結合する結合箇所は、前記実装基板の端部から所定距離内部の位置に設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記支持部材に支持された前記光ファイバと、前記実装基板との間には、当該実装基板に対する前記光ファイバの接触を避けるための深さを有する逃がし溝を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記逃がし溝は、前記実装基板に設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記逃がし溝は、前記支持部材の前記光ファイバが支持された面に設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記逃がし溝は、
前記光ファイバの皮膜の径に対応する溝と、
前記光ファイバの芯線の径に対応する溝と、
からなる
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記支持部材および前記光学素子は、表面活性化接合により前記実装基板に接合される ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項7】
前記支持部材の前記光ファイバが支持された面と、前記実装基板とに、前記支持部材と前記実装基板との位置合わせのためのアライメントマークを設けた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項8】
前記光学素子は、
所定波長の光を出射するレーザ・ダイオードと、
前記レーザ・ダイオードから出射される波長の光を波長変換して出射する波長変換素子と、を含む
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項9】
前記光学素子として、さらに、
前記実装基板上に形成され、前記波長変換素子の出射光を前記光ファイバの入射端まで導波する光導波路を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−25113(P2013−25113A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160268(P2011−160268)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】