説明

光学式変位計のデータ伝送方法及び光学式変位計

【課題】ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送をシリアル伝送によって行う光学式変位計において、データ伝送に必要な線路の数を低減する。
【解決手段】ヘッド部に、AD変換器と、その出力データをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、その出力データをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを設け、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送用線路をクロック信号用とシリアルデータ用の2本の線路で構成し、コントローラ部に、クロック信号及びシリアルデータを受信するデータ受信部と、受信したシリアルデータをクロック信号に従って読み取りパラレルデータに変換するシリアル・パラレル変換器とを設け、ヘッド部からコントローラ部へ送信するクロック信号に、パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号を重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に光を照射し、対象物からの光をイメージセンサーで受光して得られる電気信号から対象物までの距離又は対象物の変位を計測する光学式変位計に関する。特に、ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続された光学式変位計におけるデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光学式変位計として、三角測量の原理を用いて対象物(以下、ワークともいう)までの距離又は変位を計測するものがある。この光学式変位計は、ワークに光を照射するための発光素子としてのレーザダイオードと、複数の画素構成部のそれぞれがワークからの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーと、イメージセンサーからの電気信号に基づいてワークまでの距離又はワークの変位を計測する計測処理部とを備えている。イメージセンサーからの電気信号は、ADコンバータでディジタル値に変換されて計測処理部に入力される。
【0003】
計測処理部は受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、山部のピーク位置又は重心位置を求めることによって三角測量の原理を用いてワークまでの距離を算出する。受光波形における山部は、受光量に相当する電気信号(例えば電圧)が一旦増加したのち減少する部分であり、厳密には高さ及び幅があらかじめ定めた値を超えているものが山部として検出される。
【0004】
従来の典型的な光学式変位計は、電気ケーブルで接続されたヘッド部とコントローラ部(アンプ部ともいう)からなり、上記のレーザダイオードやイメージセンサーはヘッド部に備えられ、ADコンバータや計測処理部はコントローラ部に備えられている。そして、ヘッド部のイメージセンサーから得られた電気信号は、アナログ電圧として電気ケーブルを介してコントローラ部へ送られる。
【0005】
しかし、アナログ電圧による情報の伝送は周辺機器からの輻射ノイズの影響を受けやすく、受光波形にノイズが重畳されると山部のピーク位置又は重心位置の算出精度が悪くなる。その結果、ワークまでの距離の計測精度が悪くなる。また、伝送距離が長くなると伝送線路(電気ケーブル)の電気抵抗による電圧降下の影響が大きくなるので、計測精度が悪くなり、伝送速度を上げることが困難になる。
【0006】
一方、例えば特許文献1に記載されているように、ヘッド部にADコンバータを設けてアナログ電圧をディジタル信号に変換し、ヘッド部からコントローラ部への情報伝送をディジタル伝送によって実現することも考えられる。但し、特許文献1には使用するディジタル伝送方法の具体的な内容については開示されていない。
【特許文献1】特開平7−134006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常の計測器では、ADコンバータから8ビットあるいは16ビットといった単位で出力されるディジタルデータの伝送に汎用パラレル伝送方式(例えばGPIB規格)を使用することが多い。しかし、この伝送方式では、伝送ケーブル(電気ケーブル)を構成する電線がビット数に対応する数だけ必要であり、その分ケーブルが太くなると共に高価になる。また、ケーブルの配線(引き回し)に関する制限が多くなる。さらに、ヘッド部とコントローラ部に、そのような伝送ケーブルを接続するための比較的大きなコネクタが必要となり、小型化及びコスト低減の妨げとなる。
【0008】
そこで、シリアル伝送によってヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送を行うことが有望である。一般的なシリアルデータ伝送では、データ信号、クロック信号及びフレーム信号の3種類の信号を3本(3対)の線路を用いて伝送する必要がある。クロック信号は伝送されるデータ信号のビットごとに反転する矩形波信号であり、これによって受信側でビット同期がとられる。フレーム信号は複数ビット(例えば7ビットあるいは8ビット)のまとまりであるフレームごとに反転する矩形波信号であり、これによって受信側でフレーム同期がとられる。
【0009】
また、シリアル伝送に必要な伝送ケーブルを構成する線路の数を減らすために、クロック信号の伝送を省略し、データ信号及びフレーム信号の2種類の信号を2本(2対)の線路を用いて伝送することが考えられる。この場合は、受信側(コントローラ部側)でフレーム信号を分周してクロック信号を生成することが必要となり、そのためにPLL(位相同期ループ)回路等が使用される。しかし、このデータ伝送方式では、生成されたクロック信号と受信したデータ信号とのビット同期ずれ(ジッター)が問題になるおそれがあり、そのために伝送ケーブルの長さ(ヘッド部とコントローラ部との距離)を大きくすることが困難である。
【0010】
本発明は、上記のような従来の課題に鑑み、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送をシリアル伝送によって行う光学式変位計において、データ伝送に必要な線路の数を減らしながら確実なビット同期を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光学式変位計のデータ伝送方法の第1の構成は、ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーとが設けられ、コントローラ部にはイメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって対象物までの距離又は対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計において、ヘッド部のイメージセンサーから得られたデータをコントローラ部の計測処理部に伝送するためのデータ伝送方法であって、ヘッド部に、イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを設け、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送用線路をクロック信号用とシリアルデータ用の2本(2対)の線路で構成し、コントローラ部に、ヘッド部から送信されたクロック信号及びシリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信したシリアルデータをクロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを設け、ヘッド部からコントローラ部へシリアルデータと共に送信するクロック信号に、パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号を重畳することを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、前述の従来のデータ伝送方法のようにクロック信号伝送用の線路を省略して受信側でフレーム信号からクロック信号を生成するのではなく、フレーム信号をクロック信号に重畳することによって、フレーム信号伝送用の線路を省略するので、データ伝送に必要な線路の数を減らしながら、データ信号と共に伝送されるクロック信号によって確実なビット同期を実現することができる。
【0013】
本発明による光学式変位計のデータ伝送方法の第2の構成は、上記第1の構成における好ましい実施形態を示すものであり、クロック信号は、フレームの切り替わりに相当する部分で反転しないでHレベル又はLレベルを所定期間維持するように構成されていることを特徴とする。したがって、受信側のコントローラ部では、クロック信号をそれより短い周期でサンプリングしたときに、非反転が所定回数続けばフレームの切り替わりであると判断することができる。
【0014】
本発明による光学式変位計のデータ伝送方法の第3の構成は、上記第1又は第2の構成における好ましい実施形態を示すものであり、ヘッド部のデータ送信部及びコントローラ部のデータ受信部がLVDS方式によってデータの授受を行うことを特徴とする。LVDS(低電圧差動信号)方式は、1本(1対)の平行電線(ペア電線)を用いて約350mVの小さい振幅の差動電圧信号でデータ伝送を行う方法であり、LCDパネルへの画像データの伝送等に使用されている伝送方式である。このような伝送方式を光学式変位計に採用することにより、不要輻射を抑えてEMI性能を高めながら、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送を低ノイズで行うことができる。
【0015】
本発明による光学式変位計の第1の構成(請求項4)は、ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーとが設けられ、コントローラ部にはイメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって対象物までの距離又は対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計において、ヘッド部は、イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを備え、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送用線路がクロック信号用とシリアルデータ用の2本(2対)の線路で構成され、コントローラ部は、ヘッド部から送信されたクロック信号及びシリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信したシリアルデータをクロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し、計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを備え、ヘッド部からコントローラ部へシリアルデータと共に送信するクロック信号に、パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号が重畳されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、前述の従来のデータ伝送方法のようにクロック信号伝送用の線路を省略して受信側でフレーム信号からクロック信号を生成するのではなく、フレーム信号をクロック信号に重畳することによって、フレーム信号伝送用の線路を省略するので、データ伝送に必要な線路の数を減らしながら、データ信号と共に伝送されるクロック信号によって確実なビット同期を実現することができる。
【0017】
本発明による光学式変位計の第2の構成(請求項5)は、上記第1の構成における好ましい実施形態を示すものであり、クロック信号は、フレームの切り替わりに相当する部分で反転しないでHレベル又はLレベルを所定期間維持するように構成されていることを特徴とする。したがって、受信側のコントローラ部では、クロック信号をそれより短い周期でサンプリングしたときに、非反転が所定回数続けばフレームの切り替わりであると判断することができる。
【0018】
本発明による光学式変位計の第3の構成(請求項6)は、上記第1又は第2の構成における好ましい実施形態を示すものであり、ヘッド部のデータ送信部及びコントローラ部のデータ受信部がLVDS方式によってデータの授受を行うことを特徴とする。LVDS方式を採用することにより、不要輻射を抑えてEMI性能を高めながら、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送を低ノイズで行うことができる。
【0019】
本発明による光学式変位計の第4の構成(請求項7)は、ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーが設けられ、コントローラ部にはイメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって対象物までの距離又は対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計において、ヘッド部は、イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータに基づいて発光素子の発光量又はイメージセンサーから出力されるアナログ電圧の増幅率のフィードバック制御を行う制御部と、AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを備え、コントローラ部は、ヘッド部から送信されたクロック信号及びシリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信したシリアルデータをクロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し、計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを備え、ヘッド部の制御部とコントローラ部の計測処理部との通信のための通信ラインとは別に、クロック信号用とシリアルデータ用の2本の線路を含むヘッド部のデータ送信部からコントローラ部のデータ受信部へのデータ伝送用線路が設けられ、ヘッド部からコントローラ部へシリアルデータと共に送信するクロック信号に、パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号が重畳されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、ヘッド部に備えられた制御部(マイクロコンピュータ等)によって発光量又は増幅率のフィードバック制御をヘッド部内で高速に行うことができると共に、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送を通信ラインとは別の専用データ伝送用線路を用いて高速で行うことができる。また、フレーム信号をクロック信号に重畳することによって、フレーム信号伝送用の線路を省略するので、データ伝送に必要な線路の数を減らしながら、データ信号と共に伝送されるクロック信号によって確実なビット同期を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施例に係る光学式変位計の計測原理を示す図である。この光学式変位計はレーザ変位計ともいわれ、三角測量の原理を用いて対象物(以下、ワークという)の変位を非接触で計測するのに用いられる。LDドライバ11の制御によってレーザダイオード12から発せられたレーザ光は、投光レンズ13を通りワークWKを照射する。ワークWKで反射したレーザ光の一部は、受光レンズ14を通ってリニアイメージセンサー15により受光される。リニアイメージセンサー15は、複数の画素構成部が一列に配列されたCCD又はCMOSイメージセンサーであり、受光量に相当する電荷が画素構成部ごとに蓄積され、取り出される。
【0023】
ワークWKが図1に破線で示すように変位すると、ワークWKで反射してリニアイメージセンサー15に達するレーザ光の光路が破線のように変化する。その結果、リニアイメージセンサー15の受光面における受光スポットの位置が移動し、上記の受光波形、すなわち受光量のピーク位置又は重心位置が変化する。リニアイメージセンサー15の各画素構成部における受光量に応じた蓄積電荷が読み出し回路16によって読み出され、信号処理によって一次元の受光量分布である受光波形が得られる。この受光波形のピーク位置又は重心位置からワークWKの変位が求まる。
【0024】
図2は、光学式変位計の外観を示し、図2(a)は平面図、(b)は側面図である。この光学式変位計は、ヘッド部21とコントローラ部22からなる。ヘッド部21は、上記のLDドライバ11、レーザダイオード12、投光レンズ13、受光レンズ14、リニアイメージセンサー15、読み出し回路16等を内蔵している。
【0025】
コントローラ部22には、リニアイメージセンサー15から読み出された信号からワークWKの変位を求める処理を実行する電子回路(処理ユニット)が内蔵されている。また、コントローラ部22の上面には、7セグメントLEDを用いた表示器221と、各種設定に使用されるシーソータイプの押ボタンスイッチである増減キー222等が設けられている。表示器221は、計測結果や各種設定値等の数値表示に使用され、それらを上下2段に同時に表示することができる。
【0026】
ヘッド部21とコントローラ部22は電気ケーブル23で接続され、相互に電気信号がやりとりされると共に、電源電圧がコントローラ部22からヘッド部21に供給される。また、ヘッド部21は、2本のボルト24を用いて所定の取付け台25に固定される。ボルト24が挿通される2箇所の取付け孔はヘッド部21の基準面26に沿って設けられている。この基準面26は、計測用のレーザ光が出射すると共にワークWKからの反射光が入射する面である。
【0027】
図3は、光学式変位計の主な回路構成を示すブロック図である。センサーヘッド部21は、レーザダイオード12とそのドライブ回路(LDドライバ)11、リニアイメージセンサー15とその読み出し回路16、投光レンズ13及び受光レンズ14、ADコンバータ17、パラレル・シリアル変換器18、データ送信部に相当するLVDSドライバ19、制御部(MPU)44等を有する。また、読み出し回路16は、ノイズ成分除去のためのローパスフィルタや信号電圧の増幅回路を含んでいる。制御部(MPU)44は、LDドライバ11や読み出し回路16等の制御を司る。
【0028】
コントローラ部22は、データ受信部に相当するLVDSレシーバ41、シリアル・パラレル変換器42、処理ユニット(計測処理部)46、DAコンバータ45、表示器221等を有する。処理ユニット46は、マイクロプロセッサとその周辺回路、及び画像信号処理用の専用回路等を統合した集積回路(LSI)である。
【0029】
レーザダイオード12から発せられたレーザ光は、投光レンズ13を通りワークWKを照射する。ワークWKで反射したレーザ光の一部は、受光レンズ14を通ってリニアイメージセンサー15に入射する。リニアイメージセンサー15の各画素構成部に蓄積された電荷は、読み出し回路16によって読み出される。読み出し回路16は、読み出し用パルス信号である画素選択信号をリニアイメージセンサー15に与えて各画素構成部を順次走査することによって、一次元の受光量分布に相当する時系列の電圧信号を得る。
【0030】
例えば、リニアイメージセンサー15が256画素からなり、画素ごとの転送レートが1マイクロ秒の場合は、256マイクロ秒かかって全画素構成部の蓄積電荷が読み出され、読み出し回路16から時系列の電圧信号として出力される。なお、この電圧信号は、読み出し回路16に含まれるローパスフィルタによって高周波成分を除かれ、増幅器によって増幅された後に出力される。
【0031】
読み出し回路16から出力される電圧信号は、リニアイメージセンサー15における画素位置に関する受光量の分布の情報を含んでいる。電圧値が高いほど、その画素位置における受光量が多いことを意味する。この電圧信号の波形が前述の受光波形であり、受光波形には一旦増加したのち減少するように変化する山部が含まれている。この山部のピーク位置は、ワークWKまでの距離に対応する受光量の最も多い画素位置に相当する。
【0032】
図3に示すように、読み出し回路16から出力される電圧信号は制御部44に入力されると共に、ADコンバータ17でディジタル値すなわちパラレルデータに変換される。このパラレルデータは、パラレル・シリアル変換器18でシリアルデータに変換される。パラレル・シリアル変換器18にはクロック発生回路20から基本クロック信号が入力されている。パラレル・シリアル変換器18は、この基本クロック信号にフレーム信号が重畳されたデータ伝送用のクロック信号を生成すると共に、このクロック信号に同期したシリアルデータをパラレルデータから生成する。基本クロック信号にフレーム信号を重畳させる方法については後述する。パラレル・シリアル変換器18から出力されるシリアルデータ及びクロック信号は、LVDSドライバ19を介してシリアルデータ用伝送線路31及びクロック信号用伝送線路32へ送り出される。
【0033】
受信側であるコントローラ部22では、LVDSレシーバ41がシリアルデータ及びクロック信号を受信し、シリアル・パラレル変換器42に渡す。シリアル・パラレル変換器42は、入力されたクロック信号に同期するタイミングでシリアルデータの各ビットを読み取ると共に、クロック信号に重畳されたフレーム信号(フレームの区切り)を抽出することによって、シリアルデータを所定ビットからなるフレームごとのパラレルデータに変換する。
【0034】
シリアル・パラレル変換器42から出力されるパラレルデータは、処理ユニット46に逐次与えられる。処理ユニット46は、受光波形を構成する時系列のパラレルデータから受光波形の山部を検出し、そのピーク位置又は重心位置を求める。受光波形が比較的きれいで急峻な形状の山部を有する場合は上述のようにピーク位置がワークWKまでの距離に対応しているので、ピーク位置を求めれば、ワークWKまでの距離を精度良く計測することができる。
【0035】
しかし、山部のピーク位置を精度良く算出することが難しい場合も多いので、通常は山部の重心位置を算出することが多い。受光波形における山部のピーク位置又は重心位置が算出されると、前述の三角測量の原理からワークWKまでの距離又は変位が計測される。計測結果は、表示器221に表示されると共に、処理ユニット46からDAコンバータ45に与えられ、アナログ電圧に変換されて外部機器に出力される。
【0036】
図3において、レーザダイオード12から発せられるレーザ光の強さ(発光量)はLDドライバ11を介して制御部44によって制御される。レーザ光の強さが変われば、ワークWKで反射され、リニアイメージセンサー15に入射する光量(受光量)も変化する。そこで、ワークWKの光反射率(明るさ)に応じてレーザダイオード12から発せられるレーザ光の強さを調節することにより、リニアイメージセンサー15の各画素構成部における蓄積電荷の飽和を回避しながら、そのダイナミックレンジを十分に活用できるようにしている。具体的には、レーザダイオード12を駆動するパルスのパルス幅又はデューティ比を変えることによってレーザ光の強さを調節する。もちろん、パルス電圧(ピーク値)を変えることによって、レーザ光の強さを調節してもよい。
【0037】
上記のような制御部44による発光量(レーザ光の強さ)の制御は、一種のフィードバック制御として行われる。つまり、図4に例示するように、受光波形48における山部49のピーク値が所定の目標値になるように、発光量(レーザ光の強さ)のフィードバック制御が行われる。図4において、しきい値は山部の幅Dを判断する際の基準レベルである。また、山部の重心を算出する際に、このしきい値のラインと山部49の波形とで囲まれた部分Mが重心算出処理の対象となる。
【0038】
なお、発光量のフィードバック制御に代えて、読み出し回路16に含まれる増幅器のゲイン(増幅率)のフィードバック制御を行ってもよい。あるいは、発光量のフィードバック制御と増幅率のフィードバック制御とを併用するようにしてもよい。例えば目標値に対するフィードバック量の誤差が所定の範囲内に収まっている間は増幅率のフィードバック制御を行い、フィードバック量の誤差が所定の範囲を超えたときは発光量のフィードバック制御を行うように構成することが可能である。
【0039】
図5は、制御部44によるフィードバック制御の構成を示すブロック図である。制御部44によって、比較部441、操作量算出部442及び出力部443が構成されている。また、図3におけるLDドライバ11又は読み出し回路16の増幅器が制御対象51に相当し、リニアイメージセンサー15、読み出し回路16、ADコンバータ17から制御部44に至る経路がフィードバック回路(FB回路)52に相当する。この例では、受光量に相当する電圧信号のピーク値(のディジタル変換値)がフィードバック量(FB量)として制御部44内の比較部441に入力される。
【0040】
比較部441は、あらかじめ定められた目標値とフィードバック量とを比較し、その誤差を出力する。この誤差に基づいて操作量算出部442が操作量を算出し、出力部443に与える。この操作量は、上述の発光量又は増幅率に相当する。操作量は、制御部44内の出力部443から制御信号として制御対象51に与えられる。すなわち、LDドライバ11又は増幅器に制御信号が与えられ、レーザダイオード12の発光量又は増幅器の増幅率が制御される。そして、フィードバック回路52によって受光量のピーク値が再び制御部44内の比較部441にフィードバックされることにより、フィードバックループが形成されている。
【0041】
次に、ヘッド部21からコントローラ部22へのデータ伝送について説明を加える。前述のように、本実施例の光学式変位計は、ヘッド部21のリニアイメージセンサー15で得られた受光量に相当する電気信号はヘッド部21でディジタルデータに変換され、さらにシリアルデータに変換されてLVDS方式によってコントローラ部22へ伝送される。LVDS(Low Voltage Differential Signaling:低電圧差動信号)方式は、1対の平行電線(ペア電線)を用いて約350mVの小さい振幅の差動電圧信号でデータ伝送を行う方法であり、LCDパネルへの画像データの伝送等に使用されている伝送方式である。
【0042】
図6は、LVDS方式によるデータ伝送を説明するための回路図である。図3のブロック図では、ヘッド部21(送信側)のLVDSドライバ19とコントローラ部22(受信側)のLVDSレシーバ41との間で2本の伝送線路が形成されている。つまり、シリアルデータ用伝送線路31及びクロック信号用伝送線路32である。これらのうちの1本が図6に示されている。また、集積回路として市販されているLVDSドライバ及びLVDSレシーバには複数ポートが備えられており、それぞれの1ポート分の回路が19a及び41aとして図6に示されている。
【0043】
図6において、LVDSドライバ19aには定電流源191、差動回路を構成する4個のトランジスタ192〜194が含まれている。また、LVDSレシーバ41aには、終端抵抗411が接続されている。定電流源191は、公称値3.5mAの電流を供給する。例えば伝送信号(ビット情報)が[1]のときはトランジスタ193及び194がオンになり、矢印線で示す方向に電流が流れる。LVDSレシーバ41aの入力抵抗は十分高いので、受信側ではほとんどの電流が終端抵抗411を流れ、その両端に約350mVの電圧が発生する。
【0044】
伝送信号(ビット情報)が[0]のときはトランジスタ192及び195がオンになり、伝送線路31(32)及び終端抵抗411には矢印線と逆の方向に電流が流れる。その結果、終端抵抗411には上記と逆方向の約350mVの電圧が発生する。したがって、LVDSレシーバ41aは、終端抵抗411の両端の電圧、すなわち入力電圧の極性によって[1]又は[0]の伝送信号を判別することができる。
【0045】
LVDS方式では、約350mVの低い電圧振幅でデータ伝送を行うので、不要輻射を抑えてEMI性能を高めることができると共に、消費電力が小さい利点を有する。また、LVDS方式で採用されている差動データ伝送方式では、図6から分かるように、1対の伝送線路31(32)に互いに逆方向(逆位相)の電流が流れるので、発生する磁界が相殺されてノイズが低減される。さらに、差動方式のレシーバで信号を受信するので、同相ノイズの影響を受けにくい利点も有する。このような利点を有する伝送方式を光学式変位計のヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送に採用することにより、ヘッド部とコントローラ部との距離が長くなっても不要輻射が少なく計測精度の高い光学式変位計を実現することができる。
【0046】
また、本実施例の光学式変位計では、ヘッド部21からコントローラ部22へのデータ伝送をシリアルデータ用伝送線路31及びクロック信号用伝送線路32の2本のみで行っている。このために、複数ビットからなるフレームの区切りを示すフレーム信号は、クロック信号に重畳した状態でヘッド部21からコントローラ部22へ送信される。フレーム信号をクロック信号に重畳する方法に関するいくつかの実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0047】
図7は、フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例1を示す図である。この実施例では、1フレームは7ビットからなる。また、クロック信号は、その立上がりエッジ(矢印)でデータ信号を読み取るようなタイミングで生成されている。このとき、データ信号がD6からD0へ変化する際に、クロック信号のLレベル期間を1回欠落させる。つまり、フレームの切り替わりに相当する部分でクロック信号の反転が2回欠落し、Hレベルを所定期間(1.5周期に相当する)維持するように構成されている。このようなフレーム信号が重畳されたクロック信号の生成は、図3におけるパラレル・シリアル変換器18が実行する。
【0048】
パラレル・シリアル変換器18は、クロック発生回路20から入力される基本クロック信号と、ADコンバータ17から入力されるパラレルデータとに基づいて、上記のようなフレーム信号が重畳されたクロック信号を生成すると共に、クロック信号に同期したシリアルデータを生成する。なお、パラレル・シリアル変換器18は、本実施例ではFPGA(書替え可能ゲートアレイ)によって構成されている。
【0049】
コントローラ側では、クロック信号より短い周期でサンプリングしたときに、非反転が所定回数続けばフレームの切り替わりであると判断することができる。したがって、クロック信号からフレームの切り替わりを確実に検出できるように十分短いサンプリング周期を設定する必要がある。このような処理は、シリアル・パラレル変換器42が実行する。
【0050】
シリアル・パラレル変換器42は、LVDSレシーバ41を介して入力されるデータ信号(シリアルデータ)とクロック信号とに基づいて、パラレルデータを生成する。すなわち、クロック信号の立上がりエッジでシリアルデータの各ビットを読み取ると共に、クロック信号に重畳されたフレーム信号(フレームの切り替わり)を検出することによって、7ビットからなるフレームごとのパラレルデータを生成し、処理ユニット46に渡す。なお、図7から分かるように、ビットD0のデータ信号については、クロック信号の立上がりエッジが無いので、前回の立上がりエッジから内部タイマーによって計測した所定時間後に読み取る。このシリアル・パラレル変換器42も本実施例ではFPGA(書替え可能ゲートアレイ)によって構成されている。
【実施例2】
【0051】
図8は、フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例2を示す図である。この実施例では、1フレームは7ビットからなる。また、クロック信号は、その立上がりエッジ及び立下がりエッジの両方(矢印)を交互に用いてデータ信号を読み取るようなタイミングで生成されている。つまり、実施例1に比べてクロック信号の周期が長い(約2倍)。また、フレームの切り替わりに相当する部分でデータ信号がD6からD0へ変化する際に、クロック信号の反転が1回欠落し、Hレベル又はLレベルを所定期間(1周期に相当する)維持するように構成されている。このようなフレーム信号が重畳されたクロック信号の生成は、図3におけるパラレル・シリアル変換器18が実行する。
【0052】
コントローラ側では、クロック信号より短い周期でサンプリングしたときに、非反転が所定回数続けばフレームの切り替わりであると判断することができる。したがって、クロック信号からフレームの切り替わりを確実に検出できるように十分短いサンプリング周期を設定する必要がある。このような処理は、シリアル・パラレル変換器42が実行する。
【0053】
シリアル・パラレル変換器42は、LVDSレシーバ41を介して入力されるデータ信号(シリアルデータ)とクロック信号とに基づいて、パラレルデータを生成する。すなわち、クロック信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジを交互に用いてシリアルデータの各ビットを読み取ると共に、クロック信号に重畳されたフレーム信号(フレームの切り替わり)を検出することによって、7ビットからなるフレームごとのパラレルデータを生成し、処理ユニット46に渡す。
【0054】
この実施例では、図8から分かるように、フレームの切り替わり後の最初のビット(D0)の期間を他のビットの期間より長く(2倍)設定する必要があり、その分だけ伝送効率が悪くなる。しかし、実施例1に比べてクロックの周波数を半分に下げることができる利点を有する。クロックの周波数が低いほど不要輻射(EMI)及び消費電力が小さくなる点で有利である。また、図8から分かるように、ビットD0のデータ信号についても、他のビットのデータ信号と同様に、クロック信号の立上がりエッジ又は立下がりエッジで読み取ることができる。
【実施例3】
【0055】
図9は、フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例3を示す図である。この実施例でも、1フレームは7ビットからなり、クロック信号は、その立上がりエッジ及び立下がりエッジの両方(矢印)を交互に用いてデータ信号を読み取るようなタイミングで生成されている。つまり、実施例2と同様に、実施例1に比べてクロック信号の周期が長い(約2倍)。また、フレームの切り替わりに相当する部分でデータ信号がD6からD0へ変化する際に、クロック信号の反転が2回欠落し、Hレベルを所定期間(1.5周期に相当する)維持するように構成されている。つまり、実施例1と同様にLレベル期間を1回欠落させる。このようなフレーム信号が重畳されたクロック信号の生成は、図3におけるパラレル・シリアル変換器18が実行する。
【0056】
コントローラ側では、クロック信号より短い周期でサンプリングしたときに、非反転が所定回数続けばフレームの切り替わりであると判断することができる。したがって、クロック信号からフレームの切り替わりを確実に検出できるように十分短いサンプリング周期を設定する必要がある。このような処理は、シリアル・パラレル変換器42が実行する。
【0057】
シリアル・パラレル変換器42は、LVDSレシーバ41を介して入力されるデータ信号(シリアルデータ)とクロック信号とに基づいて、パラレルデータを生成する。すなわち、クロック信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジを交互に用いてシリアルデータの各ビットを読み取ると共に、クロック信号に重畳されたフレーム信号(フレームの切り替わり)を検出することによって、7ビットからなるフレームごとのパラレルデータを生成し、処理ユニット46に渡す。但し、図9から分かるように、ビットD0のデータ信号については、クロック信号の立上がりエッジ又は立下がりエッジが無いので、前回の立上がりエッジ又は立下がりエッジから内部タイマーによって計測した所定時間後に読み取る。
【0058】
この実施例では、実施例2と同様に、フレームの切り替わり後の最初のビット(D0)の期間を他のビットの期間より長く(2倍)設定する必要があり、その分だけ伝送効率が悪くなる。しかし、実施例1に比べてクロックの周波数を半分に下げることができる利点を有する。クロックの周波数が低いほど不要輻射(EMI)及び消費電力が小さくなる点で有利である。
【0059】
上記の各実施例の光学式変位計では、上記のようなLVDS方式を使用した伝送線路31,32とは別に、ヘッド部21に備えられた制御部44とコントローラ部22とに備えられた処理ユニット46との間の通信を行うための通信ライン33が設けられている。この通信ライン33は、例えば一般的なUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter:万能非同期受信送信手段)を用いて構成されている。イニシャル処理、設定処理、計測開始処理等において、ヘッド部21の制御部44とコントローラ部22の処理ユニット46との間で情報のやりとりを行うときは、この通信ライン33が使用される。一方、計測処理中のヘッド部21からコントローラ部22へのデータ伝送については、上述のようにLVDS方式の伝送線路31,32を用いて高速伝送が行われる。
【0060】
以上、本発明をいくつかの実施例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施例に限らず、他の形態で実施することも可能である。例えば、上述の実施例では、ヘッド部からコントローラ部へのデータ伝送にLVDS方式を使用しているが、本発明はこの伝送方式に限らず他の伝送方式、例えば差動データ伝送方式ではないシングルエンド方式にも適用可能である。また、ヘッド部21に備えられたイメージセンサー15はリニアイメージセンサーに限らず、エリア(二次元)イメージセンサーを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例に係る光学式変位計の計測原理を示す図である。
【図2】光学式変位計の外観を示す平面図及び側面図である。
【図3】光学式変位計の主な回路構成を示すブロック図である。
【図4】フィードバック制御によってピーク値を調整された受光波形とその山部の例を示す図である。
【図5】処理ユニットによるフィードバック制御の構成を示すブロック図である。
【図6】LVDS方式によるデータ伝送を説明するための回路図である。
【図7】フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例1を示す図である。
【図8】フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例2を示す図である。
【図9】フレーム信号をクロック信号に重畳する方法の実施例3を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
12 レーザダイオード(発光素子)
15 リニアイメージセンサー
17 AD変換器
18 パラレル・シリアル変換器
19 LVDSドライバ(データ送信部)
21 ヘッド部
22 コントローラ部
23 電気ケーブル
31 シリアルデータ用伝送線路
32 クロック信号用伝送線路
33 通信ライン
41 LVDSレシーバ(データ受信部)
42 シリアル・パラレル変換器
44 制御部
46 処理ユニット(計測処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、前記ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と前記対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーとが設けられ、前記コントローラ部には前記イメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、前記山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって前記対象物までの距離又は前記対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計において、前記ヘッド部のイメージセンサーから得られたデータを前記コントローラ部の計測処理部に伝送するためのデータ伝送方法であって、
前記ヘッド部に、前記イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを設け、
前記ヘッド部から前記コントローラ部へのデータ伝送用線路を前記クロック信号用と前記シリアルデータ用の2本の線路で構成し、
前記コントローラ部に、前記ヘッド部から送信された前記クロック信号及び前記シリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信した前記シリアルデータを前記クロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し、前記計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを設け、
前記ヘッド部から前記コントローラ部へ前記シリアルデータと共に送信する前記クロック信号に、前記パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号を重畳することを特徴とする
光学式変位計のデータ伝送方法。
【請求項2】
前記クロック信号は、フレームの切り替わりに相当する部分で反転しないでHレベル又はLレベルを所定期間維持するように構成されていることを特徴とする
請求項1記載の光学式変位計のデータ伝送方法。
【請求項3】
前記ヘッド部のデータ送信部及び前記コントローラ部のデータ受信部がLVDS方式によってデータの授受を行うことを特徴とする
請求項1又は2記載の光学式変位計のデータ伝送方法。
【請求項4】
ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、前記ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と前記対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーとが設けられ、前記コントローラ部には前記イメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、前記山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって前記対象物までの距離又は前記対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計であって、
前記ヘッド部は、前記イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを備え、
前記ヘッド部から前記コントローラ部へのデータ伝送用線路が前記クロック信号用と前記シリアルデータ用の2本の線路で構成され、
前記コントローラ部は、前記ヘッド部から送信された前記クロック信号及び前記シリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信した前記シリアルデータを前記クロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し、前記計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを備え、
前記ヘッド部から前記コントローラ部へ前記シリアルデータと共に送信する前記クロック信号に、前記パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号が重畳されていることを特徴とする光学式変位計。
【請求項5】
前記クロック信号は、フレームの切り替わりに相当する部分で反転しないでHレベル又はLレベルを所定期間維持するように構成されていることを特徴とする
請求項4記載の光学式変位計。
【請求項6】
前記ヘッド部のデータ送信部及び前記コントローラ部のデータ受信部がLVDS方式によってデータの授受を行うことを特徴とする
請求項4又は5記載の光学式変位計。
【請求項7】
ヘッド部とコントローラ部とが電気ケーブルで接続され、前記ヘッド部には対象物に光を照射するための発光素子と前記対象物からの光を受光して受光量に応じた電気信号を出力するイメージセンサーが設けられ、前記コントローラ部には前記イメージセンサーから得られたデータを処理して受光量の分布に相当する受光波形の山部を検出し、前記山部のピーク位置又は重心位置を算出することによって前記対象物までの距離又は前記対象物の変位を計測する計測処理部が設けられている光学式変位計であって、
前記ヘッド部は、前記イメージセンサーから出力されるアナログ電圧をディジタル値であるパラレルデータに変換するAD変換器と、当該AD変換器から出力されるパラレルデータに基づいて前記発光素子の発光量又は前記イメージセンサーから出力されるアナログ電圧の増幅率のフィードバック制御を行う制御部と、前記AD変換器から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換するパラレル・シリアル変換器と、当該パラレル・シリアル変換器から出力されるシリアルデータをクロック信号に同期させて送信するデータ送信部とを備え、
前記コントローラ部は、前記ヘッド部から送信された前記クロック信号及び前記シリアルデータを受信するデータ受信部と、当該データ受信部が受信した前記シリアルデータを前記クロック信号に基づいて所定のタイミングで読み取ってパラレルデータに変換し、前記計測処理部に渡すシリアル・パラレル変換器とを備え、
前記ヘッド部の制御部と前記コントローラ部の計測処理部との通信のための通信ラインとは別に、前記クロック信号用と前記シリアルデータ用の2本の線路を含む前記ヘッド部のデータ送信部から前記コントローラ部のデータ受信部へのデータ伝送用線路が設けられ、
前記ヘッド部から前記コントローラ部へ前記シリアルデータと共に送信する前記クロック信号に、前記パラレルデータを構成する複数ビットごとの区切りを示すフレーム信号が重畳されていることを特徴とする光学式変位計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−48380(P2006−48380A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228662(P2004−228662)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】